【実施例】
【0011】
以下、本発明の最良の実施例を
図1〜
図9に基づいて説明する。
図1は、「乗り物」としてのワンボックスタイプの自動車に搭載されてなるシート1が着座可能状態であることを示す。つまり、該シート1は、ワンボックスタイプの自動車の中央(センターラインCL)で左右対称に配された内の左側LHに配される。右側RHに配されるシートは、前記シート1の左右対称なので、図示することを割愛する。また、該シート1の前側FRには、フロア15に固定される運転席、助手席などのシートが配設されてなるが、図示することを割愛する。この明細書では、代表して、ワンボックスタイプの自動車の中央(センターラインCL)の左側LHのシート1についてのみ説明する。
【0012】
前記シート1は、シートバック2と、シートクッション3とよりなり、該シートバック2及びシートクッション3は、その骨格のみを示し、該骨格に、パッドを介して布などの表皮で覆われているが、何れも周知のため、説明を割愛する。
【0013】
前記シートバック2は、鉄パイプにより正面視で四角い閉ループ状に形成されてなるバックフレーム4と、該バックフレーム4の右側RHの側部に固定され且つ後述するクッションブラケット11に連結手段12を介して回転自在に支持されてなるバックブラケット5とよりなる。バックフレーム4の左側LH及び右側RHの間には、適宜のしなりを有するワイヤ6、6が適宜の上下間隔を開けて固定される。バックフレーム4の上端部(上側UPR)には、図示しないヘッドレストのスティが上下方向(上側UPR及び下側LWR)に摺動自在に支持されるためのヘッドレストホルダー7、7が支持されてなる。
【0014】
図1、
図3、
図4に示す符号9は、前記バックフレーム4の左側LHに固定されてなる第2接続ブラケットで、鉄板よりなる。
図1、
図3、
図4に示す符号8は、前記第2接続ブラケット9の側部に固定されてなる第1接続ブラケットで、鉄板よりなる。該第1接続ブラケット8の下端部は、リクライニング装置14に連結されて、前記シートバック2の傾きの調節が自在なるように構成されてなる。尚、前記リクライニング装置14は、
図6及び
図7に示すように、前記シートクッション3に沿う前倒れ位置まで前倒しが可能なるように構成されてなるが、周知技術のため、説明を割愛する。
【0015】
前記シートクッション3は、
図1に示すように、鉄パイプにより上面視で四角い閉ループ状に形成されてなるクッションフレーム10と、該クッションフレーム10の右側RHの側部に固定されて、前記バックブラケット5と連結手段12により回転自在に支持されてなるクッションブラケット11とよりなる。クッションフレーム10の前後間には、適宜のしなりを有するS字スプリング20、20が適宜の左右間隔を開けて懸架されてなる。クッションフレーム10の左側LHには、前記リクライニング装置14が固設されてなると共に回転制御機構13が支持されてなる。
【0016】
前記回転制御機構13は、
図1乃至
図5に示すように、フロア15の上側UPRに配されてなる着座可能位置、即ち、シートクッション3が略水平に保持される位置及び
図7に示すように、側壁15bに沿った収納位置、即ち、シートクッション3が略垂直に保持される位置との間を、シートクッション3を起倒回動可能に支持するものである。該回転制御機構13は、前記フロア15側、即ち前記フロア15の外側(センターラインCL側の逆側)に小山状に盛り上がった自動車に装着された図示しないタイアが収納されてなるタイヤハウスインナパネル15aの上に固定されたベースプレート23と、該ベースプレート23にそれぞれ回転自在に軸支されてなる下端ピン24a、25aと、前記シートクッション3のクッションフレーム10に固定された固定用ブラケット26、即ちシート1側にそれぞれ回転自在に軸支されてなる上端ピン24b、25bと、前記下端ピン24a及び上端ピン24bに上下端部を支持されてなる「リンク」である第1リンク24と、前記下端ピン25a及び上端ピン25bに上下端部を支持されてなる「リンク」である第2リンク25とを有してなる。側壁15bは、室内から見て、フロア15から小山状に盛り上がったタイヤハウスインナパネル15aの上側UPRに形成されてなるデッドスペースとなる壁である。
【0017】
符号18は、
図3に示すように、前記シートクッション3及び前記フロア15側の間に介在して前記シートクッション3を着座可能位置に保持する展開位置及び
図7に示すように、前記シートクッション3の下側LWR部、即ちクッションフレーム10に沿って畳み込まれてなる収納位置の間で起倒回動可能なレッグである。該レッグ18は、前記クッションフレーム10より垂下されてなるレッグブラケット28にレッグピン18aにより、上端部が回転自在に軸支されてなる。符号18bは、レッグ18がクッションフレーム10に沿って畳み込まれてなる収納位置で、それ以上の
レッグ18の回転を阻止するように、レッグブラケット28に干渉するレッグストッパピンである。
【0018】
前記レッグ18の上端部の前記レッグピン18aには、レッグ18が展開位置の方向に常時付勢した
単品の「付勢手段」である復帰用スプリング22が巻装されてなる。前記レッグ18の下端部には、前記フロア15に支持されてなるストライカ16に係脱自在なラッチ17が配されている。即ち、ラッチ17は、
図1及び
図2に示すように、前記レッグ18の前側FRと後側RRに1個づつ設けられていて、ストライカ16に係合すると、図示しない解除装置を操作しない限り、ストライカ16から解除しないで、保持される。図示しない解除装置を操作すると、ラッチ17のロックが解除され、ストライカ16から離脱する。
【0019】
図1、図6〜図9に示す符号19は、下端部が前記ベースプレート23に固定用ピン19aにより回転自在に軸支されてなり、上端部が前記クッションフレーム10に図示しないピンにより回転自在に軸支されてなるガススプリングであり、
図3に示す着座可能位置、即ち、シートクッション3が略水平に保持される位置から
図7に示す側壁15bに沿った収納位置、即ち、シートクッション3が略垂直に保持される位置に回動する際に、持ち上げ力を助ける(助力という。)働きをする。
【0020】
符号21は、前記回転制御機構13の第1リンク24に一端部が結合され且つ前記レッグ18に他端部が結合されて、前記復帰用スプリング22の回転付勢力に抗して前記レッグ18を収納位置に牽引可能なるケーブルである。該ケーブル21は、
図5に示すように、滑車27、27により方向を異なるように案内されている。
【0021】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0022】
フロア15の上側UPRに配されてなる着座可能位置及び側壁15bに沿った収納位置にシートクッション3を起倒回動可能に支持する回転制御機構13と、前記シートクッション3及び前記フロア15側の間に介在して前記シートクッション3を着座可能位置に保持する展開位置及び前記シートクッション3の下側
LWR部に畳み込まれてなる収納位置の間で起倒回動可能なレッグ18と、前記回転制御機構13に一端部が結合され且つ前記レッグ18に他端部が結合されて前記レッグ18を収納位置に牽引可能なるケーブル21と、前記レッグ18を前記収納位置から前記展開位置の方向に常時付勢してなる
単品の復帰用スプリング22とを備えてなり、前記回転制御機構13は、前記フロア15側に回転中心を有し且つ前記シートクッション3側に回転自在に軸支されてなることで並設されてなるリンク24、25を有してなるため、付勢方向が
従来例のように真逆な二つの付勢手段を必要とせず、一方向であるので、復帰用スプリング22の付勢力を大きくする必要が無く、その分、復帰用スプリング22の組付性が良くなるばかりか、シートクッション3の剛性を大きくしなくて良いので、クッションフレーム10の板厚を増す必要が無い。つまり、シート1自体が軽くなる。製造原価高騰のおそれが無い。