特許第6046463号(P6046463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6046463-基材レス両面粘着シート 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046463
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】基材レス両面粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20060101AFI20161206BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161206BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161206BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C09J7/00
   B32B27/00 M
   B32B27/00 L
   G06F3/041 495
   G06F3/044
【請求項の数】1
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-255751(P2012-255751)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-101469(P2014-101469A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智久
(72)【発明者】
【氏名】井崎 公裕
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207166(JP,A)
【文献】 特開2009−242562(JP,A)
【文献】 特開2008−143047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層の両面に離型フィルムがそれぞれ積層されてなる基材レス両面粘着シートであり、一方の離型フィルム(第1離型フィルム)の剥離力よりももう一方の離型フィルム(第2離型フィルム)の方が大きく、第1離型フィルムのフィルムヘーズが6%以上であり、第2離型フィルムが、二軸延伸ポリエステルフィルム上に、一般式Si(OR(Rはアルキル基またはアシル基)で示される加水分解性珪素化合物および金属元素を含む有機化合物を含有する塗布層、離型層が順次設けられたフィルムであり、フィルム面内における配向角の変動が6度/500mm以上であり、熱処理(180℃、10分間)後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が0.5mg/m以下であることを特徴とする静電容量方式のタッチパネル用基材レス両面粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材レス両面粘着シートに関し、帯電防止性、離型性、オリゴマー封止性、検査容易性、識別性が良好であり、離型フィルム剥離時に剥離帯電を発生することなく、良好な剥離性でもって剥離可能であり、さらに粘着剤塗布後、離型フィルムを貼り合わせた後、粘着剤層に対する剥離変動が小さく、粘着剤層へのオリゴマーの移行・析出が極力少なく、例えば、液晶偏光板製造用、静電容量方式のタッチパネル製造用等、粘着剤層を介して、貼り合わせる各種用途に対して、好適な基材レス両面粘着シートを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体間を面接着する粘着シートは種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。基材レス両面粘着シートは、粘着剤層の両面に剥離力の相対的に低い軽剥離フィルムと、剥離力の相対的に高い重剥離フィルムが積層された積層体構成からなり、両面の剥離フィルムを除去した後には、支持基材を有さない粘着剤層のみとなる両面粘着シートである。
【0003】
基材レス両面粘着シートの使用方法として、まず軽剥離フィルムが剥がされ、露出した粘着層の一方の表面が貼り合わせる相手方の物体面に接着され、その接着後、さらに重剥離フィルムが剥がされ、露出された粘着層の他方の面が、異なる物体面に接着され、これにより物体間が面接着される加工工程が例示される。
【0004】
近年、基材レス両面粘着シートは、その作業性良好な点が注目され、用途が広がりつつあり、各種光学用途の部材、例えば、携帯電話等にも使用されている。特に、静電容量方式のタッチパネルは、二本の指で画面操作を行なうマルチタッチ操作により、情報端末としての用途が急速に拡大する状況にある。静電容量方式のタッチパネルは、抵抗膜方式に比べ、構成上、印刷の段差が厚くなる傾向にあるため、粘着剤層を厚くして印刷の段差を解消する提案がなされている。粘着剤層を厚くした場合には、離型フィルムを剥す時に、粘着剤層の一部が離型フィルムに付着する、あるいは離型フィルムに転写した部分の粘着剤層に気泡が混入する等の不具合を生じる場合がある。そのため、基材レス両面粘着シートを光学用途に使用する場合には、基材レス両面粘着シートだけでなく、組み合わせる離型フィルムにおいても、従来よりも一段と厳しく、より高度な品質の離型フィルムが必要とされる状況にある。
【0005】
一方、離型フィルム使用時、粘着剤層から剥離させた際に剥離帯電が発生する場合があり、その結果、加工現場においては、異物等の付着あるいは巻き込みによる製品不良が発生する等の不具合を生じる場合がある。そのため、製造工程における設備対応による帯電防止対策だけでは、必ずしも十分ではなく、離型フィルム自体からの帯電防止処理が強く切望される状況にある。さらに、重剥離タイプの離型層を設けた離型フィルムにおいては、粘着剤層と長期間貼り合わせた状態の後、剥離すると重剥離化する傾向にあった。本発明のように、粘着剤層を介して、離型フィルムを貼り合わせるような用途においては、剥離力の比率が所望する範囲を外れた場合、本来剥離する必要がある場面において、剥離困難になる等の不具合を生じる場合がある。
【0006】
さらに基材レス粘着テープ使用時に透明基材同士の組み合わせから構成される場合、外観上、何れのフィルムが軽剥離タイプなのかを識別するのが困難な状況にあり、まれに重剥離側を剥離する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−189589号公報
【特許文献2】特開2011−245739号公報
【特許文献3】特開2011−224896号公報
【特許文献4】特開2011−224904号公報
【特許文献5】特開2012−25030号公報
【特許文献6】特開2012−184327号公報
【特許文献7】特開2012−207166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、例えば、静電容量方式のタッチパネル用部材として、帯電防止性、離型性、オリゴマー封止性、検査容易性、識別性が良好であり、かつ離型フィルム自体にオリゴマー封止性能を有する基材レス両面粘着シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる基材レス両面粘着シートによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、粘着剤層の両面に離型フィルムがそれぞれ積層されてなる基材レス両面粘着シートであり、一方の離型フィルム(第1離型フィルム)の剥離力よりももう一方の離型フィルム(第2離型フィルム)の方が大きく、第1離型フィルムのフィルムヘーズが6%以上であり、第2離型フィルムが、二軸延伸ポリエステルフィルム上に、一般式Si(OR(Rはアルキル基またはアシル基)で示される加水分解性珪素化合物および金属元素を含む有機化合物を含有する塗布層、離型層が順次設けられたフィルムであり、フィルム面内における配向角の変動が6度/500mm以上であり、熱処理(180℃、10分間)後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が0.5mg/m以下であることを特徴とする静電容量方式のタッチパネル用基材レス両面粘着シートに存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、静電容量方式のタッチパネル用部材として、帯電防止性、離型性、オリゴマー封止性、検査容易性、識別性が良好であり、かつ離型フィルム自体にオリゴマー封止性能を有する基材レス両面粘着シートを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る基材レス両面粘着シートを示す模式的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における2つの離型フィルム、第1および第2離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0014】
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
【0015】
本発明において、ポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0016】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0017】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0018】
さらに、ポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0019】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
【0020】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0021】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0022】
本発明の第1離型フィルムおよび第2離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、25〜250μm、好ましくは38〜188μm、さらに好ましくは50〜125μmの範囲である。
【0023】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0024】
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0025】
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
【0026】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0027】
本発明における離型フィルムを構成する塗布層について、説明する。
【0028】
本発明における離型フィルムを構成する塗布層は帯電防止性、オリゴマー析出防止性を良好とすると共に、経時での離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とするために加水分解性珪素化合物を含有するのが好ましい。
【0029】
本発明で用いられる加水分解性珪素化合物としては、一般式Si(OR(R4−xで表されるものを使用するのが、本発明の用途上、好ましい。前記一般式においてxは2〜4の整数であることが好ましい。上記一般式においてRは、アルキル基またはアシル基のいずれかがよい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基、アシル基としては例えばアセチル基等の炭素数1〜4のアシル基が挙げられる。上記一般式においてRは、炭素数1〜10の有機基であって、例えば、無置換または置換の炭化水素基である。無置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−デシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基等が挙げられる。また、置換炭化水素基としては、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。これらの加水分解性珪素化合物は、単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて併用してもよい。
【0030】
x=4の加水分解性珪素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−アセトキシシラン等が例示される。x=3の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。x=2のアルコキシシラン化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が例示される。
【0031】
また、本発明における塗布層を構成する材料として、オリゴマー封止性をさらに良好とするために金属元素を含む有機化合物を併用するのが好ましい。
【0032】
具体的には、アルミニウム、チタン、ジルコニウムから選ばれる、少なくとも1種以上の金属元素を含む有機化合物を塗布層中に含有することを必須の要件とするものである。
【0033】
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。
【0034】
チタン元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
【0035】
ジルコニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0036】
それらの中でも、特にオリゴマー析出防止性能が良好となる点でアルミニウム、ジルコニウムから選ばれる金属元素を含む有機化合物が好ましく、さらに好ましくはキレート構造を有する有機化合物が好ましい。なお、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
【0037】
本発明における離型フィルムを構成する塗布層において、好ましくはオリゴマー封止性を良好とするために、加水分解性珪素化合物(A)と金属元素を含む有機化合物(B)とを混合するのが好ましい。両者の配合比率(重量比)は(A):(B)=1:0.001〜1:0.01の範囲が好ましい。当該範囲を外れる場合には、離型フィルムにおける離型層表面の表面固有抵抗(R)が所望するレベルに到達しない、あるいはオリゴマー封止性能が不足する等の不具合を生じるようになる場合がある。
【0038】
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における第1離型フィルムおよび第2離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)を一定範囲にすることで本発明を完成させることができる。
【0039】
軽剥離側に相当する第1離型フィルム31の粘着層11に対する剥離力は、5〜40mN/cmが好ましい。第1離型フィルムの剥離力が5mN/cm未満では、本来剥離する必要のない場面において、離型フィルムが容易に剥離する場合がある。また、第1離型フィルムの剥離力が、40mN/cmを越えた場合は、第1離型フィルムを剥す工程で第2離型フィルムと粘着剤層の間で浮きと呼ばれる剥がれ現象が発生する場合がある。
【0040】
第1離型フィルム31の剥離力の絶対値を低く抑えることにより、第2離型フィルム32の剥離力の絶対値を低くしても、両離型フィルム31、32の剥離力差を大きくすることが可能となる。また、第1離型フィルム31の剥離力を一定の値以上とすることによって、使用前に、本来剥離する必要のない場面において、第1離型フィルム31が粘着剤層11から容易に剥離する、あるいは、第1離型フィルム31が粘着層11から浮いてしまう現象を防止することが可能となる。
【0041】
一方、重剥離側に相当する第2離型フィルム32の剥離力は、45〜100mN/cmが好ましく、更に好ましくは50〜80mN/cmである。第2離型フィルムの剥離力が45mN/cm未満では、第1離型フィルムを剥す時に、第2離型フィルムの一部が剥離する等の不具合を生じる場合がある。また、第2離型フィルムの剥離力が100mN/cmを越えた場合は、第2離型フィルムに粘着層由来の成分が残留する等の不具合を生じる場合がある。
【0042】
本発明の基材レス両面粘着シートは、上述の剥離力調整に加えて、第1離型フィルムと第2離型フィルムの剥離力差を設けることが好ましい。
第2離型フィルム32の剥離力は、第1離型フィルム31の剥離力の通常2.0倍以上、好ましくは3.0倍以上とするのが好ましい。第2離型フィルム32の剥離力が第1離型フィルム31の剥離力の2.0倍未満では、軽剥離側の第1離型フィルム31を剥がした時に、第2離型フィルム32が粘着剤層11から浮く現象が発生する、第2離型フィルム32への粘着剤層成分の残留、あるいはジッピング等の不具合を生じる場合がある。
【0043】
本発明における第1離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)により、ポリエステルフィルム上に設けられることも可能である。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0044】
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、本発明の主旨を損なわない範囲において、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
【0045】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、X−62−5039、X−62−5040、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0046】
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常、0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0047】
本発明における第1離型フィルムは外部からの識別を容易にするためにフィルムヘーズで6%以上であることを必須の要件とするものである。好ましくは10%以上がよい。 当該フィルムヘーズが6%未満の場合、基材レス両面粘着シートから離型フィルムを剥離する際に間違うようになる。
【0048】
本発明における第2離型フィルムは、フィルム内における配向角の変動が6度/500mm以上であることが必要である。配向角の変動が6度/500mmを下回る場合には、本用途向けに不適となる。
【0049】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0050】
本発明における第1離型フィルムおよび第2離型フィルムに関して、離型層が設けられていないフィルム面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
【0051】
また、第1離型フィルムおよび第2離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0052】
本発明において、第2離型フィルムを製造する場合、ポリエステルフィルム上に塗布層を塗布した後、一端、フィルムを巻き上げた後にさらに塗布層上に離型層を設けてもよいし、ポリエステルフィルム上に塗布層を塗布、乾燥後、連続して塗布層上に離型層を設けてもよく、本発明においてはいずれの手法を用いてもよい。
【0053】
本発明における基材レス粘着シートを構成する第2離型フィルムにおいて、粘着剤層表面への異物付着、あるいは剥離帯電防止の観点より、離型面の表面固有抵抗(R)値は、1×1012(Ω)以下であることが好ましく、さらに好ましくは1×1011(Ω)以下、特に好ましくは1×1010(Ω)以下である。Rが上記範囲を外れる場合、離型フィルム剥離時に異物を巻き込む等の不具合を生じることがある。
【0054】
さらに本発明における第2離型フィルムにおいては、熱処理後(180℃、10分間)、離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)が0.5mg/m以下である必要がある。OLが0.5mg/mを越える場合、離型フィルムの離型面を粘着剤層と貼り合わせた場合、経時でオリゴマーが析出し、光学的評価を伴う検査工程において、検査時に支障を来たすようになる。
【0055】
次に本発明における基材レス両面粘着シートを構成する粘着剤層について、以下に説明する。本発明における粘着剤層とは粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、従来から公知の材料を用いることができる。具体例の一つとして、アクリル系粘着剤を使用する場合について、以下に説明する。
【0056】
本発明において、アクリル系粘着剤とは、アクリル系モノマーを必須の単量体(モノマー)成分として形成されるアクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着層のことを意味する。当該アクリル系ポリマーは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として(さらに好ましくは、主たるモノマー成分として)形成されるアクリル系ポリマーであることが好ましい。さらに、アクリル系ポリマーは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0057】
本発明の粘着剤層は、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系粘着剤層であることが好ましい。
【0058】
また、本発明の粘着剤層におけるベースポリマーであるアクリル系ポリマーを形成する
モノマー成分には、さらに、極性基含有単量体、多官能性単量体やその他の共重合性単量
体が共重合モノマー成分として含まれていてもよい。なお、上記の「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を表し、他も同様である。また、特に限定されないが、ベースポリマーであるアクリル系ポリマーの本発明の粘着剤層中の含有量は、粘着剤層の総重量(100重量%)に対して、60重量%以上が好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。
【0059】
上記アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分として、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と略記する場合がある)を好適に用いることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独、または2種以上を併用してもよい。中でも、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0060】
上記極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその
無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)
アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニル
アルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有単量体;(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メ
タ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アク
リル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジ
ル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニト
リルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(
メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−
ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾー
ル、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ビニルスルホン酸ナトリウ
ムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートな
どのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイ
ミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネー
ト基含有単量体などが挙げられる。上記極性基含有単量体は単独または2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0061】
上記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ
(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジ
ビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレ
ートなどが挙げられる。上記多官能性単量体は単独または2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0062】
上記多官能性単量体の含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分100重量%に対して0.5重量%以下が好ましい。当該含有量が0.5重量%を超えると、例えば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、応力緩和性が低下する場合がある。
【0063】
また、上記極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体(その他の共重
合性単量体)としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を
有する(メタ)アクリル酸エステルなどの前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルや極性基含有単量体や多官能性単量体以
外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステ
ル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イ
ソプレン、イソブチレンなどのオレフィンまたはジエン類;ビニルアルキルエーテルなど
ビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0064】
上記アクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を従来公知あるいは慣用の重合方法により重合して調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。上記の中でも透明性、耐水性、製造コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。
【0065】
上記の活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線として、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙
げられ、中でも、紫外線が本発明の用途上、好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは本発明の主旨を損なわない範囲であれば、特に限定されるわけではない。
【0066】
また、前記溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0067】
上記のアクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤
や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は単独
または2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0068】
上記光重合開始剤に関しては、特に限定されるわけではなく、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤の使用量に関しては、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、特に限定されるわけではないが、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して0.01〜0.2重量部の範囲が好ましい。
【0069】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤の具体例として、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0070】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0071】
α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0072】
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤の具体例としては、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
【0073】
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
【0074】
ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。
【0075】
ベンゾフェノン系光重合開始剤の具体例として、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが例示される。
【0076】
ケタール系光重合開始剤の具体例として、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。 チオキサントン系光重合開始剤の具体例として、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0077】
上記熱重合開始剤の具体例として、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾ
ビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン
酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒド
ロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)
二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロク
ロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert
−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始
剤の使用量としては、本発明の主旨を損なわない範囲であれば、特に限定されるわけではない。
【0078】
本発明における粘着剤層の一形態として使用するアクリル系粘着剤層には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。また、粘着剤層を形成する際には、各種の一般的な溶剤を用いることもできる。溶剤の種類としては、特に限定されず、前述の溶液重合に用いる溶剤として例示されたものなどを用いることができる。
【0079】
上記架橋剤は、粘着剤層のベースポリマーを架橋することにより、粘着剤層のゲル分率をコントロールすることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられ、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を好適に用いることできる。架橋剤は単独または2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0080】
次に本発明における基材レス両面粘着シートにおいては、その構成単位である、粘着剤層形成時にアクリル系粘着剤組成物を使用する場合、例えば、光学部材(例えば、表面保護層、タッチパネル、および画像表示ユニットの表示面等)間に存在する空隙を、空気と比較して屈折率が光学部材に近い透明な粘着シートで置換することにより、光透過性を向上させ、画像表示装置の輝度やコントラストの低下を抑えることを考慮する場合、粘着剤層自体を柔軟に設計するのが好ましい。例えば、動的粘弾性における貯蔵弾性率(G`)は1.0×10Pa以下であることが好ましく、さらに好ましくは5.0×10Pa以下がよい。貯蔵弾性率(G`)が、1.0×10Paを越える場合、例えば、光学部材間に存在する空隙を埋める場合、充填した粘着剤層が隅々まで届かず、端部で剥がれ、あるいは浮きが生じる等の不具合を生じる場合がある。
【0081】
本発明における基材レス両面粘着シートを構成する粘着剤層厚みとして、25μm〜200μm、好ましくは25μm〜150μmの範囲がよい。当該粘着層厚みが25μm以下の場合、例えば、光学部材間に生じる空隙の方が大きくなりすぎて、隅々まで、粘着剤層で充填させるのが困難な場合がある。一方、粘着剤層厚みが200μmをこえる場合には、光学部材間に生じる空隙よりも粘着剤層厚みの方が厚くなりすぎて、余剰分の粘着剤層成分が光学部材間からはみ出す等の不具合を生じる場合がある。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0083】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0084】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0085】
(3)第1離型フィルムのフィルムヘーズ測定
JISーK6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムヘーズ(濁度)を測定した。
【0086】
(4)主配向軸、およびフィルム内における配向角の変動の測定
第2離型フィルムの幅方向に対して、中心となる位置より、両端に向かって、500mm毎の位置と、最両端よりサンプルを切り出し、それぞれカールツァイス社製偏光顕微鏡を用いて、ポリエステルフィルムの配向を観察し、ポリエステルフィルム面内の主配向軸の方向がポリエステルフィルムのMDに対して何度傾いているかを求めた。なお、測定上、主配向軸が90度を越えた場合には、その補角を主配向軸のMD方向に対する角度とした。また、最両端の位置を含む配向角の変動を算出する際、サンプル位置間が500mmに満たない場合は、比例計算にて500mm毎の配向角の変動を算出する。このようにして幅方向の500mm毎の配向角の変動を求め、平均値をそれぞれフィルムの幅方向の配向角変動とした。
【0087】
(5)第2離型フィルにおける面内リターデーションの測定
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルム幅方向に対して中心となる位置の面内リターデーションを測定した。フィルムの面内リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし23℃で行った。
【0088】
(6)離型フィルムの剥離力(F1・F2)測定
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0089】
(7)離型フィルムの表面固有抵抗(R)測定
試料フィルムにおいて、離型面の表面固有抵抗(R)を測定し、下記判定基準により判定を行った。測定条件は23℃、50%RHの雰囲気下にて行なった。横河・ヒューレット・パッカード社の内側電極50mm径、外側電極70mm径の同心円電極である16008A(商品名)を23℃、50%RHの雰囲気下で試料に設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗値を測定した。
《判定基準》
◎:R(Ω)が1010以下(実用可能なレベルであり、特に良好)
○:R(Ω)が1012以下(実用可能なレベル)
×:R(Ω)が1012を越える(実用困難なレベル)
【0090】
(8)離型フィルムの離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。
【0091】
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
【0092】
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0093】
(9)離型フィルムの離型面側からの金属元素量測定
あらかじめ、試料サンプルの離型層が設けられた面より蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、金属元素量を測定した。
【0094】
【表1】
【0095】
(10)離型フィルムの塗膜密着性促進評価(実用特性代用評価)
試料フィルムを恒温恒湿槽中、60℃、80%RH雰囲気下、4週間放置した後に試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
【0096】
(11)粘着剤層の貯蔵弾性率(G`)測定
実施例および比較例で得られた両面粘着シートからセパレータを剥離して、アクリル系
粘着剤層のみを積層して、厚さ(乾燥後)1.5mm±0.1mmのアクリル系粘着剤層の積層体を作製し、測定サンプルとした。上記測定サンプルを、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、周波数1Hzの条件で、−70〜200℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定して、温度23℃における貯蔵弾性率(G`)を求めた。なお、本発明における実施例および比較例で使用した粘着層の貯蔵弾性率(G`)は5.0×10Paであった。
【0097】
(12)ジッピング発生状況(実用特性代用評価)
下記粘着剤組成物を第2離型フィルムに塗布し、100℃、5分間熱処理した後、厚み(乾燥後)が50μmの粘着剤層を得た。次に第1離型フィルムを粘着剤層表面に貼り合わせた基材レス両面粘着シートにおいて、第1離型フィルム剥離時に剥離状況を観察し、ジッピングの発生状況につき、下記判定基準により判定を行った。
<アクリル系粘着剤組成物>
(モノマー配合組成)
アクリル酸2−エチルヘキシル 70重量%
アクリル酸2−メトキシエチル 29重量%
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1重量%
上記モノマー組成100重量部に対して、日本ポリウレタン製コロネートLを
0.1部添加し、アクリル系粘着剤層形成用組成物を得た。
(判定基準)
○:極めて円滑に剥離し、剥離スジがなく、剥離音も発生しない
△:軽微な剥離スジが見られ、剥離音がわずかに発生する、または軽微なジッピングが発生する(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:剥離スジが見られ、剥離音が発生する、あるいはジッピングが発生する(実用上、問題になるレベル)
【0098】
(13)第1離型フィルム、第2離型フィルムの剥離性評価
(実用特性代用評価)
(6)項において、第1離型フィルム剥離時、第2離型層と粘着層界面の状況につき、下記判定基準により、官能評価を行った。
(判定基準)
○:第2離型層と粘着層界面に異常が見られない(実用上、問題ないレベル)
△:第2離型層と粘着層界面で、わずかに浮きが見られる(実用上問題になる場合があるレベル)
×:第2離型層と粘着層界面で、明確な浮きが見られる(実用上、問題あるレベル)
【0099】
(14)総合評価(実用特性代用評価)
実施例および比較例において製造した、基材レス両面粘着シートを用いて、ジッピ
ング発生状況、剥離性、帯電防止性、オリゴマー封止性、密着性、検査容易性、識別性の各評価項目につき、下記判定基準により総合評価を行った。
(判定基準)
○:ジッピング発生状況、剥離性、帯電防止性、オリゴマー封止性、密着性、検査容易性、識別性の全てが○(実用上、問題ないレベル)
△:ジッピング発生状況、剥離性、帯電防止性、オリゴマー封止性、密着性、検査容易性、識別性の内、少なくとも一つが△(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:ジッピング発生状況、剥離性、帯電防止性、オリゴマー封止性、密着性、検査容易性、識別性の少なくとも一つが×(実用上、問題あるレベル)
【0100】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
【0101】
製造例2(ポリエチレンテレフタレートA2)
製造例1において、平均粒径2.5μmのシリカ粒子を0.6部添加する以外は製造例1と同様にして製造し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートA2を得た。
【0102】
製造例3(ポリエチレンテレフタレートA3)
製造例1において、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子を1.0部添加する以外は製造例1と同様にして製造し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートA3を得た。
【0103】
製造例3(ポリエステルフィルムF1)
ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ92%、8%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ80%、20%の割合でブレンドした原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1300μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを90℃で縦方向に3.5倍延伸し、130℃で横方向に4.1
倍延伸し、230℃で熱処理し、その後、幅方向に4.3%の弛緩処理を行い、厚さ50μm(厚み構成比=2.5μm/45μm/2.5μm)のポリエステルフィルムF1を得た。
【0104】
製造例4(ポリエステルフィルムF2)
ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ92%、8%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ80%、20%の割合でブレンドした原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約740μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを90℃で縦方向に3.5倍延伸し、130℃で横方向に4.1倍延伸し、230℃で熱処理し、その後、幅方向に4.3%の弛緩処理を行い、厚さ50μm(厚み構成比=2.5μm/45μm/2.5μm)のポリエステルフィルムを得た。次にオフラインにて下記塗布剤組成から構成される塗布層を塗布量(乾燥後)が0.05g/m2になるようにリバースグラビアコート方式にて塗布した後、120℃、30秒熱処理して、塗布層が設けられた、厚み50μmのポリエステルフィルムF2を得た。
【0105】
・塗布層組成
AC1:コルコートN−103X(コルコート社製)
AC2:アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)
AC3:ジルコニウムテトラアセチルアセトネート
AC4:チタンテトラアセチルアセトネート
・配合条件:
AC1:99.5重量%
AC2:0.5重量%
AC3:0重量%
AC4:0重量%
【0106】
製造例5(ポリエステルフィルムF3)
製造例4において塗布層の配合が異なる以外は製造例4と同様にして製造し、ポリエステルフィルムF3を得た。
【0107】
製造例6(ポリエステルフィルムF4)
製造例4において塗布層の配合が異なる以外は製造例4と同様にして製造し、ポリエステルフィルムF4を得た。
【0108】
製造例7(ポリエステルフィルムF5)
製造例4において塗布層の配合が異なる以外は製造例4と同様にして製造し、ポリエステルフィルムF5を得た。
【0109】
製造例8(ポリエステルフィルムF6)
ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ92%、8%の割合でブレンドした原料を表層原料とし、ポリエチレンテレフタレートA1、A3をそれぞれ80%、20%の割合でブレンドした原料を中間層の原料として、2台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約740μmの無定形フィルムを得た。このフィルムを90℃で縦方向に2.8倍延伸し、120℃で横方向に5.4倍延伸し、200℃で熱処理し、その後、幅方向に4.3%の弛緩処理を行い、厚さ50μm(厚み構成比=2.5μm/45μm/2.5μm)のポリエステルフィルムを得た。次にオフラインにて下記塗布剤組成から構成される塗布層を塗布量(乾燥後)が0.05g/m2になるようにリバースグラビアコート方式にて塗布した後、120℃、30秒熱処理して、塗布層が設けられた、厚み50μmのポリエステルフィルムF6を得た。
【0110】
・塗布層組成
AC1:コルコートN−103X(コルコート社製)
AC2:アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)
AC3:ジルコニウムテトラアセチルアセトネート
AC4:チタンテトラアセチルアセトネート
・配合条件:
AC1:99.5重量%
AC2:0.5重量%
AC3:0重量%
AC4:0重量%
【0111】
製造例9(ポリエステルフィルムF7)
製造例4において塗布層を設けない以外は製造例4と同様にして製造し、ポリエステルフィルムF7を得た。
【0112】
製造例10(ポリエステルフィルムF8)
製造例4において表層、中間層の原料配合が下記のように異なり、塗布層を設けない以外は製造例4と同様にして製造し、ポリエステルフィルムF8を得た。
表層原料:ポリエチレンテレフタレートA1、A2をそれぞれ80%、20%の割合でブレンドした原料を使用した。
中間層原料:ポリエチレンテレフタレートA1=100%の原料を使用した。
【0113】
・離型層組成―A
硬化型シリコーン樹脂
(LTC303E:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0114】
・離型層組成―B
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T: 信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0115】
・離型層組成―C
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製) 10部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0116】
・離型層組成―D
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製) 1部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0117】
実施例1:
<第1離型フィルムの製造>
ポリエステルフィルムF1にオフラインにて、下記離型層組成−Aを塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理した。
【0118】
・離型層組成―A
硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング製) 100部
硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
得られた第1離型フィルムの特性を表1〜3に示す。
【0119】
<第2離型フィルムの製造>
ポリエステルフィルムF2において、塗布層上に下記離型層組成−Dを塗布量が0.1g/m2(乾燥後)になるようにオフラインにて、リバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理した。得られた第2離型フィルムの特性を表1〜3に示す。
・離型層組成―C
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 95部
重剥離コントロール剤(BY24−4980:東レ・ダウコーニング製)10部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1) 1500部
【0120】
<基材レス両面粘着シートの製造>
得られた第2離型フィルムの離型層上に、下記アクリル系粘着剤組成物から構成される塗布液をアプリケータにて塗工した後、熱風式循環炉を用いて、100℃、5分間熱処理し、塗布量(乾燥後)が50μmの粘着剤層を得た。
【0121】
<アクリル系粘着剤層形成用組成物>
(モノマー配合組成)
アクリル酸2−エチルヘキシル 70重量%
アクリル酸2−メトキシエチル 29重量%
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1重量%
上記モノマー組成100重量部に対して、日本ポリウレタン製コロネートLを
0.1部添加し、アクリル系粘着剤層形成用組成物を得た。
次に2kgのゴムローラーを用いて、第1離型フィルムの離型層と粘着剤層とを貼り合わせて基材レス両面粘着シートを得た。
【0122】
実施例2〜5、参考例6および比較例1〜4:
実施例1 において、塗布剤組成、離型剤組成、ポリエステルフィルム基材厚みを下記表1に示すとおり変更する以外は実施例1と同様にして製造し、第1離型フィルム、第2離型フィルムを得た。その後、両者を用いて粘着剤層を介して貼り合わせて、基材レス両面粘着シートを得た。上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を表1〜表3に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【表4】
【0126】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明のフィルムは、例えば、液晶偏光板製造用、静電容量方式のタッチパネル製造用部材等、各種光学用部材として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
10 基材レス両面粘着シート
11 粘着剤層
13 第1離型フィルム基材
14 第1塗布層
15 第1離型剤層
23 第2離型フィルム基材
24 第2塗布層
25 第2離型剤層
31 第1離型フィルム(軽剥離シート)
32 第2離型フィルム(重剥離シート)
図1