【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって制限されないものとする。
【0033】
ベースの製造(1)
実施例1
表1に示す原料配合比にて、粉体状である各原料を混合して、「実施例1」のデザートベースを製造した。各原料は、後記のデザートベースに牛乳を加えて最終的に得られるデザート食品を100質量部とする配合比にて示す。低強度寒天として「ウルトラ寒天イーナ」(伊那食品工業株式会社)を使用した。以下、特に言及しない限り、低強度寒天とは「ウルトラ寒天イーナ」(伊那食品工業株式会社)を指す。
【表1】
【0034】
デザート食品の製造(1)
実施例2
表2に示す原料配合比にて、「実施例1」のデザートベースと牛乳を混合し、適宜撹拌しながら、沸騰するまで加熱した。加熱により蒸発した水分を補い、歩留まりを100%とした。得られた混合物を、カップに注いで、常温程度にまで冷却した後、冷蔵庫(4℃程度)でさらに冷やして、ゾル状のデザート食品を得た。
【0035】
前述の方法により、得られたデザート食品の粘度を計測し、糸引き性を評価した。結果、品温20℃におけるデザート食品の粘度は4030mPa・sであり、糸引き性は非常に良好であり、よく伸びた。
【0036】
また、得られたデザート食品は、粘りと糸引き性を有する特有の食感を有し、口溶けが良く、また、フレーバーリリースが良く、嗜好性に富んだ新規な食感と風味を有するものであった。
【0037】
以上のデザート食品の性能を表2に示す。
【表2】
【0038】
デザートベースの製造(2)
実施例3及び比較例1−4
表3に示す原料配合比にて、粉体状である各原料を混合して、「実施例3」及び「比較例1−4」のデザートベースを製造した。各原料は、最終的に得られるデザート食品を100質量部とする配合比にて示す。なお、低強度寒天として「ウルトラ寒天イーナ」(伊那食品工業株式会社)を、寒天として一般的なゲル化剤である寒天を使用した。
【表3】
【0039】
デザート食品の製造(2)
実施例4及び比較例5−8
表4に示す原料配合比にて、「実施例3」、「比較例1−4」のデザートベースと牛乳を混合し、上記実施例2と同様の手順でデザート食品を得た。
【0040】
実施例4のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1.7質量部、及び、低強度寒天を0.15質量部にて配合した。
【0041】
比較例5のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を4質量部、及び、低強度寒天を1.0質量部にて配合した。
【0042】
比較例6のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を3質量部、及び、一般的な寒天を1.0質量部にて配合した。
【0043】
比較例7のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を3質量部、及び、一般的な寒天を0.5質量部にて配合した。
【0044】
比較例8のデザート食品は、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を4質量部にて配合し、寒天は配合しなかった。
【0045】
結果、実施例4のデザート食品は、ゾル状の性状を有し、良好な糸引き性、及び粘度を有するものであった。また、実施例4のデザート食品は口溶けが良く、良好な食感を有し、また、フレーバーリリースが良く、良好な風味を有するものであった。
【0046】
一方、比較例5−8のデザート食品は、ゲル状の性状を有するものであり、粘度が高く、糸引き性を有さないものであった。
【表4】
【0047】
デザートベースの製造(3)
比較例9−13
表5に示す原料配合比にて、粉体状である各原料を混合して、「比較例9−13」のデザートベースを製造した。各原料は、最終的に得られるデザート食品を100質量部とする配合比にて示す。
【表5】
【0048】
デザート食品の製造(3)
比較例14−18
表6に示す原料配合比にて、「比較例9−13」のデザートベースと牛乳を混合し、上記実施例2と同様の手順でデザート食品を得た。
【0049】
比較例14のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1質量部にて配合し、低強度寒天は配合しなかった。
【0050】
比較例15のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1.5質量部にて配合し、低強度寒天は配合しなかった。
【0051】
比較例16のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2質量部にて配合し、低強度寒天は配合しなかった。
【0052】
比較例17のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2.5質量部にて配合し、低強度寒天は配合しなかった。
【0053】
比較例18のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を3質量部にて配合し、低強度寒天は配合しなかった。
【0054】
結果、比較例14のデザート食品は、液体でありゾル状の性状を示さなかった。比較例15及び16のデザート食品は、低粘度のゾル状の性状を有し、糸引き性の乏しいものであった。一方、比較例17及び18のデザート食品は、高粘度のゾル状の性状を有し、口溶けが悪く、また風味の乏しいものであった。
【0055】
これらの結果より、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を配合しただけでは、良好な糸引き性を有し、また、口溶けが良く、良好な風味を有する、ゾル状食品を得ることは困難であることが明らかとなった。
【表6】
【0056】
デザートベースの製造(4)
実施例5−13
表7に示す原料配合比にて、粉体状である各原料を混合して、「実施例5−13」のデザートベースを製造した。なお、各原料は、最終的に得られるデザート食品を100質量部とする配合比にて示す。
【表7】
【0057】
デザート食品の製造(4)
実施例14−22
表8に示す原料配合比にて、「実施例5−13」のデザートベースと牛乳を混合し、上記実施例2と同様の手順でデザート食品を得た。
【0058】
実施例14のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1質量部、及び、低強度寒天を0.13質量部にて配合した。
【0059】
実施例15のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1質量部、及び、低強度寒天を0.33質量部にて配合した。
【0060】
実施例16のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1.5質量部、及び、低強度寒天を0.1質量部にて配合した。
【0061】
実施例17のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を1.5質量部、及び、低強度寒天を0.26質量部にて配合した。
【0062】
実施例18のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2質量部、及び、低強度寒天を0.06質量部にて配合した。
【0063】
実施例19のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2質量部、及び、低強度寒天を0.23質量部にて配合した。
【0064】
実施例20のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2.5質量部、及び、低強度寒天を0.05質量部にて配合した。
【0065】
実施例21のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を2.5質量部、及び、低強度寒天を0.2質量部にて配合した。
【0066】
実施例22のデザート食品には、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉を3質量部、及び、低強度寒天を0.03質量部にて配合した。
【0067】
前記比較例14のデザート食品にて示されるとおり、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉のみを1質量部含む場合には、液体でありゾル状の性状を示さなかったが、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉1質量部に加えて、低強度寒天を0.13質量部又は0.33質量部配合することによって(実施例14及び15)、ゾル状の性状を示し、粘度、糸引き性、口溶け、風味の各物性に改善がみられた。
【0068】
実施例15−19のデザート食品は、糸引き性を有すると共に、特に口溶けが良く、良好な食感を有し、また、フレーバーリリースが良く、良好な風味を有するものであった。
【0069】
上記比較例17及び18のデザート食品にて示されるとおり、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉のみを2.5質量部及び3質量部含む場合には、高粘度のゾル状の性状を有し、口溶けが悪く、また風味の乏しいものであった。これらに対して、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉2.5質量部に加えて、低強度寒天を0.05質量部又は0.2質量部配合することによって(実施例20及び21)、あるいは、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉3質量部に加えて、低強度寒天を0.03質量部配合することによって(実施例22)、粘度、口溶け、風味の各物性に改善がみられた。
【表8】