特許第6046473号(P6046473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046473パネル表示装置、表示パネルドライバ、及び、表示装置の動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046473
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】パネル表示装置、表示パネルドライバ、及び、表示装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20161206BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20161206BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20161206BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G09G3/20 623V
   G09G3/20 611G
   G09G3/20 623A
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 612L
   G09G3/20 670F
   G09G3/34 J
   G02F1/133 505
   G02F1/133 535
   G09G3/36
【請求項の数】13
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2012-269721(P2012-269721)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-115477(P2014-115477A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】能勢 崇
(72)【発明者】
【氏名】降旗 弘史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 明生
(72)【発明者】
【氏名】水野 敏雄
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/176686(WO,A1)
【文献】 特開平09−046618(JP,A)
【文献】 特開2012−128376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する複数のドライバと、
処理装置
とを具備し、
前記複数のドライバは、
前記表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、
前記表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバ
とを含み、
前記処理装置は、前記表示領域の前記第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを前記第1ドライバに供給し、且つ、前記表示領域の前記第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを前記第2ドライバに供給し、
前記第1ドライバは、前記第1入力画像データから前記第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出し、前記第1特徴データを前記第2ドライバに送信するように構成され、
前記第2ドライバは、前記第2入力画像データから前記第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出し、前記第2特徴データを前記第1ドライバに送信するように構成され、
前記第1ドライバは、前記第1特徴データと前記第2ドライバから受け取った前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出し、前記第1全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成し、且つ、前記第1出力画像データに応答して前記表示領域の前記第1部分を駆動するように構成され、
前記第2ドライバは、前記第1ドライバから受け取った前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第2全画面特徴データを算出し、前記第2全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第2入力画像データに対して行って第2出力画像データを生成し、前記第2出力画像データに応答して前記表示領域の前記第2部分を駆動するように構成された
表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の表示装置であって、
前記第1ドライバは、前記第1特徴データに誤り検出符号を付加して前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記第2特徴データに誤り検出符号を付加して前記第1ドライバに送信し、
前記第1ドライバは、前記第2ドライバから受け取った前記第2特徴データに対して誤り検出を行って第1通信状態通知データを生成し、
前記第2ドライバは、前記第1ドライバから受け取った前記第1特徴データに対して誤り検出を行って第2通信状態通知データを生成し、前記第2通信状態通知データを前記第1ドライバに送信し、
前記第1通信状態通知データは、前記第1ドライバが前記第2ドライバから前記第2特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第2通信状態通知データは、前記第2ドライバが前記第1ドライバから前記第1特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第1ドライバは、現フレーム期間よりも前のフレーム期間である前フレーム期間について生成された第1前フレーム全画面特徴データを記憶する第1演算結果格納メモリを備えており、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの両方が通信ACKデータを含んでいる場合、前記現フレーム期間について生成された前記第1全画面特徴データである第1現フレーム全画面特徴データに応じて前記第1入力画像データに対して補正演算を行って前記第1出力画像データを生成すると共に、前記第1演算結果格納メモリに記憶されている前記第1前フレーム全画面特徴データを前記第1現フレーム全画面特徴データに更新し、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの少なくとも一方が通信NGデータを含んでいる場合、前記第1演算結果格納メモリに記憶されている前記第1前フレーム全画面特徴データに応じて前記第1入力画像データに対して補正演算を行って前記第1出力画像データを生成する
表示装置。
【請求項3】
請求項に記載の表示装置であって、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データを前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記前フレーム期間について生成された第2前フレーム全画面特徴データを記憶する第2演算結果格納メモリを備えており、
前記第2ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの両方が通信ACKデータを含んでいる場合、前記現フレーム期間について生成された前記第2全画面特徴データである第2現フレーム全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して補正演算を行って前記第2出力画像データを生成すると共に、前記第2演算結果格納メモリに記憶されている前記第2前フレーム全画面特徴データを第2現フレーム全画面特徴データに更新し、
前記第2ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの少なくとも一方が通信NGデータを含んでいる場合、前記第2演算結果格納メモリに記憶されている前記第2前フレーム全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して補正演算を行って前記第2出力画像データを生成する
表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の表示装置であって、
更に、
前記表示パネルを照明するバックライトを具備し、
前記第1特徴データは、前記第1画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第1アベレージピクチャーレベルを含み、
前記第2特徴データは、前記第2画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第2アベレージピクチャーレベルを含み、
前記第1全画面特徴データは、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体についてのアベレージピクチャーレベルである全体アベレージピクチャーレベルを含み、
前記全体アベレージピクチャーレベルが、前記第1アベレージピクチャーレベル及び前記第2アベレージピクチャーレベルに基づいて算出され
前記バックライトの輝度が、前記全体アベレージピクチャーレベルに応じて制御される
表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の表示装置であって、
前記第1特徴データは、
前記第1画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第1アベレージピクチャーレベルと、
前記第1画像について算出された画素の輝度の二乗平均である第1二乗平均
とを含み、
前記第2特徴データは、
前記第2画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第2アベレージピクチャーレベルと、
前記第2画像について算出された画素の輝度の二乗平均である第2二乗平均
とを含み、
前記第1全画面特徴データは、前記第1アベレージピクチャーレベルと、前記第1二乗平均と、第2アベレージピクチャーレベルと、前記第2二乗平均とから得られる
表示装置。
【請求項6】
請求項に記載の表示装置であって、
前記第1全画面特徴データは、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体について算出されたアベレージピクチャーレベルである全体アベレージピクチャーレベルを示すデータと、
前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体について算出された画素の輝度の分散を示す全体分散データ
とを含み、
前記全体アベレージピクチャーレベルは、前記第1アベレージピクチャーレベル及び前記第2アベレージピクチャーレベルに基づいて算出され、
前記全体分散データは、前記第1アベレージピクチャーレベルと、前記第1二乗平均と、前記第2アベレージピクチャーレベルと、前記第2二乗平均とに基づいて算出された
表示装置。
【請求項7】
表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する複数のドライバと、
処理装置
とを具備し、
前記複数のドライバは、
前記表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、
前記表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバ
とを含み、
前記処理装置は、前記表示領域の前記第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを前記第1ドライバに供給し、且つ、前記表示領域の前記第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを前記第2ドライバに供給し、
前記第1ドライバは、前記第1入力画像データから前記第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出するように構成され、
前記第2ドライバは、前記第2入力画像データから前記第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出し、前記第2特徴データを前記第1ドライバに送信するように構成され、
前記第1ドライバは、前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出し、前記第1全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成し、且つ、前記第1出力画像データに応答して前記表示領域の前記第1部分を駆動するように構成され、
前記第1ドライバは、前記第1全画面特徴データを前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記第1ドライバから受け取った前記第1全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して補正演算を行って第2出力画像データを生成し、前記第2出力画像データに応答して前記表示領域の前記第2部分を駆動するように構成され、
前記第2ドライバは、前記第2特徴データに誤り検出符号を付加して前記第1ドライバに送信し、
前記第1ドライバは、前記第2ドライバから受け取った前記第2特徴データに対して誤り検出を行って第1通信状態通知データを生成し、
前記第1通信状態通知データは、前記第1ドライバが前記第2ドライバから前記第2特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第1通信状態通知データが通信ACKデータを含む場合、前記第1ドライバは、前記第1全画面特徴データに誤り検出符号を付加して前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記第1ドライバから受け取った前記第1全画面特徴データに対して誤り検出を行って第2通信状態通知データを生成し、前記第2通信状態通知データを前記第1ドライバに送信し、
前記第2通信状態通知データは、前記第2ドライバが前記第1ドライバから前記第1全画面特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第1ドライバは、現フレーム期間よりも前のフレーム期間である前フレーム期間について生成された第1前フレーム全画面特徴データを記憶する第1演算結果格納メモリを備えており、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの両方が通信ACKデータを含んでいる場合、前記現フレーム期間について生成された前記第1全画面特徴データである現フレーム全画面特徴データに応じて前記第1入力画像データに対して補正演算を行って前記第1出力画像データを生成すると共に、前記第1演算結果格納メモリに記憶されている前記第1前フレーム全画面特徴データを前記現フレーム全画面特徴データに更新し、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの少なくとも一方が通信NGデータを含んでいる場合、前記第1演算結果格納メモリに記憶されている前記第1前フレーム全画面特徴データに応じて前記第1入力画像データに対して補正演算を行って前記第1出力画像データを生成する
表示装置。
【請求項8】
請求項に記載の表示装置であって、
前記第1ドライバは、前記第1通信状態通知データを前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記前フレーム期間について生成された第2前フレーム全画面特徴データを記憶する第2演算結果格納メモリを備えており、
前記第2ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの両方が通信ACKデータを含んでいる場合、前記現フレーム全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して補正演算を行って前記第2出力画像データを生成すると共に、前記第2演算結果格納メモリに記憶されている前記第2前フレーム全画面特徴データを前記現フレーム全画面特徴データに更新し、
前記第2ドライバは、前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの少なくとも一方が通信NGデータを含んでいる場合、前記第2演算結果格納メモリに記憶されている前記第2前フレーム全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して補正演算を行って前記第2出力画像データを生成する
表示装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の表示装置であって、
更に、
前記表示パネルを照明するバックライトを具備し、
前記第1特徴データは、前記第1画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第1アベレージピクチャーレベルを含み、
前記第2特徴データは、前記第2画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第2アベレージピクチャーレベルを含み、
前記第1全画面特徴データは、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体についてのアベレージピクチャーレベルである全体アベレージピクチャーレベルを含み、
前記全体アベレージピクチャーレベルが、前記第1アベレージピクチャーレベル及び前記第2アベレージピクチャーレベルに基づいて算出され、
前記バックライトの輝度が、前記全体アベレージピクチャーレベルに応じて制御される
表示装置。
【請求項10】
表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する複数のドライバと、
処理装置
とを具備し、
前記複数のドライバは、
前記表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、
前記表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバ
とを含み、
前記処理装置は、前記表示領域の前記第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを前記第1ドライバに供給し、且つ、前記表示領域の前記第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを前記第2ドライバに供給し、
前記第1ドライバは、前記第1入力画像データから前記第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出するように構成され、
前記第2ドライバは、前記第2入力画像データから前記第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出し、前記第2特徴データを前記第1ドライバに送信するように構成され、
前記第1ドライバは、前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出し、前記第1全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成し、且つ、前記第1出力画像データに応答して前記表示領域の前記第1部分を駆動するように構成され、
前記第1ドライバは、前記第1全画面特徴データを前記第2ドライバに送信し、
前記第2ドライバは、前記第1ドライバから受け取った前記第1全画面特徴データに応じて前記第2入力画像データに対して前記補正演算を行って第2出力画像データを生成し、且つ、前記第2出力画像データに応答して前記表示領域の前記第2部分を駆動するように構成され、
前記第1特徴データは、
前記第1画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第1アベレージピクチャーレベルと、
前記第1画像について算出された画素の輝度の二乗平均である第1二乗平均
とを含み、
前記第2特徴データは、
前記第2画像について算出されたアベレージピクチャーレベルである第2アベレージピクチャーレベルと、
前記第2画像について算出された画素の輝度の二乗平均である第2二乗平均
とを含み、
前記第1全画面特徴データは、前記第1アベレージピクチャーレベルと、前記第1二乗平均と、第2アベレージピクチャーレベルと、前記第2二乗平均とから得られる
表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置であって、
更に、
前記表示パネルを照明するバックライトを具備し、
前記第1全画面特徴データは、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体についてのアベレージピクチャーレベルである全体アベレージピクチャーレベルを含み、
前記全体アベレージピクチャーレベルが、前記第1アベレージピクチャーレベル及び前記第2アベレージピクチャーレベルに基づいて算出され、
前記バックライトの輝度が、前記全体アベレージピクチャーレベルに応じて制御される
表示装置。
【請求項12】
表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する表示パネルドライバであって、
前記表示領域の前記第1部分に表示される第1画像に対応する入力画像データを受け取り、前記入力画像データから前記第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出する特徴データ算出回路と、
他のドライバから、前記他のドライバによって駆動される前記表示領域の第2部分に表示される第2画像の特徴量を示す第2特徴データを受け取る通信回路と、
前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す全画面特徴データを算出する全画面特徴データ演算回路と、
前記全画面特徴データに基づいた補正演算を前記入力画像データに対して行って出力画像データを生成する補正回路と、
前記出力画像データに応答して前記表示領域の前記第1部分を駆動する駆動部と、
前記他のドライバから受け取った前記第2特徴データに対して誤り検出を行って第1通信状態通知データを生成する検出回路と、
現フレーム期間よりも前のフレーム期間である前フレーム期間について生成された前フレーム全画面特徴データを記憶する演算結果格納メモリ
とを具備し、
前記通信回路は、前記他のドライバが当該表示パネルドライバから受け取った前記第1特徴データに対して誤り検出を行うことによって生成した第2通信状態通知データを前記他のドライバから受け取り、
前記第1通信状態通知データは、前記通信回路が前記他のドライバから前記第2特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第2通信状態通知データは、前記他のドライバが当該表示パネルドライバから前記第1特徴データを正常に受け取った場合に通信ACKデータを含み、正常に受け取らなかった場合に通信NGデータを含み、
前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの両方が通信ACKデータを含んでいる場合、前記現フレーム期間について生成された前記全画面特徴データである現フレーム全画面特徴データに応じて前記入力画像データに対して補正演算が行われて前記出力画像データが生成されると共に、前記演算結果格納メモリに記憶されている前記前フレーム全画面特徴データが前記現フレーム全画面特徴データに更新され、
前記第1通信状態通知データと前記第2通信状態通知データの少なくとも一方が通信NGデータを含んでいる場合、前記演算結果格納メモリに記憶されている前記前フレーム全画面特徴データに応じて前記入力画像データに対して補正演算が行われて前記出力画像データが生成される
表示パネルドライバ。
【請求項13】
表示パネルと前記表示パネルを駆動する複数のドライバとを具備し、前記複数のドライバが、前記表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、前記表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバとを含む表示装置の動作方法であって、
前記表示領域の前記第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを前記第1ドライバに供給するステップと、
前記表示領域の前記第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを前記第2ドライバに供給するステップと、
前記第1ドライバにおいて、前記第1入力画像データから前記第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出するステップと、
前記第2ドライバにおいて、前記第2入力画像データから前記第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出するステップと、
前記第2特徴データを前記第2ドライバから前記第1ドライバに送信するステップと、
前記第1特徴データを前記第1ドライバから前記第2ドライバに送信するステップと、
前記第1ドライバにおいて、前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出するステップと、
前記第1ドライバにおいて、前記第1全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成するステップと、
前記第1出力画像データに応答して前記表示領域の前記第1部分を駆動するステップと、
前記第2ドライバにおいて、前記第1特徴データと前記第2特徴データとを用いて、前記表示パネルの前記表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第2全画面特徴データを算出するステップと、
前記第2ドライバにおいて、前記第2全画面特徴データに基づいた補正演算を前記第2入力画像データに対して行って第2出力画像データを生成するステップと、
前記第2出力画像データに応答して前記表示領域の前記第2部分を駆動するステップ
とを具備する
表示装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示パネルドライバ、及び、表示装置の動作方法に関し、特に、複数の表示パネルドライバで表示パネルを駆動する構成の表示装置、及び、それに適用される表示パネルドライバ、動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD(liquid crystal display)パネルのパネルサイズ、解像度はますます増加しており、これに伴い、消費電力の増加が問題になっている。消費電力を抑制するための一つの手法は、バックライトの輝度を低くすることである。しかしながら、バックライトの輝度が低いと、画像が暗いときのコントラストが不十分であることに起因して、表示品質が劣化するという問題が発生する。
【0003】
表示品質の劣化を抑制しながらバックライトの輝度を低く抑える一つの方法は、コントラストを強調するための補正演算、例えば、ガンマ補正を入力画像データに対して行うことである。このとき、補正演算を行うと共にバックライトの輝度を制御すれば、画質の劣化を一層に抑制することができる。
【0004】
このような背景から、発明者らは、演算式による補正演算を入力画像データに対して行う技術を提案している(例えば、特許第4198720号)。この技術では、入力画像データを変数とし、補正データによって係数が決定される演算式を用いて補正が行われる。ここで、補正データは、入力画像データと補正後の画像データ(出力画像データ)との対応関係を規定するデータであり、表示される画像のAPL(average picture level)、又は、各画素の階調のヒストグラムに応じて決定される。
【0005】
また、特開平7−281633号公報は、表示される画像のAPL(average picture level)や輝度の分散(又は標準偏差)に応答してガンマ値を決定し、決定されたガンマ値を用いてガンマ補正を行うことによってコントラストを制御する技術を開示している。
【0006】
更に、特開2010−113052号公報は、表示データに対して伸張処理(階調をβ倍(1<β<2)にする処理)を行うと共に、バックライトを減光することで、画質の劣化を抑制しながら消費電力を低減する技術を開示している。この特許文献にいう伸張処理は、入力画像データに対する補正演算の一種である。
【0007】
上記された補正演算は、画質を改善するには有効である。しかしながら、これらの特許文献には、入力画像データに対して補正演算を行う技術を、複数の表示パネルドライバを用いて表示パネルを駆動する表示装置(例えば、タブレットのように大型の表示パネルを搭載した携帯端末に適用される表示装置)に適用する場合において発生する問題について、何ら言及がない。発明者の検討によれば、入力画像データに対して補正演算を行う技術を複数の表示パネルドライバを用いて表示パネルを駆動する表示装置に適用する場合、データ転送速度の問題や、コストの増大の問題が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4198720号
【特許文献2】特開平7−281633号公報
【特許文献3】特開2010−113052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、複数の表示パネルドライバを用いて表示パネルを駆動する表示装置において、必要なデータ転送速度及びコストを低減しながら、入力画像データに対して適切な補正演算を行うための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の観点では、表示装置が、表示パネルと、表示パネルを駆動する複数のドライバと、処理装置とを具備する。複数のドライバは、表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバとを含む。処理装置は、表示領域の第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを第1ドライバに供給し、且つ、表示領域の第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを第2ドライバに供給する。第1ドライバは、第1入力画像データから第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出するように構成され、第2ドライバは、第2入力画像データから第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出し、第2特徴データを第1ドライバに送信するように構成される。第1ドライバは、第1特徴データと第2特徴データとを用いて、表示パネルの表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出し、第1全画面特徴データに基づいた補正演算を第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成し、且つ、第1出力画像データに応答して表示領域の第1部分を駆動する。第2ドライバは、第1ドライバで行われる補正演算と同一の補正演算を第2入力画像データに対して行って第2出力画像データを生成し、第2出力画像データに応答して表示領域の第2部分を駆動する。
【0011】
一実施形態では、第1ドライバは、第1特徴データを第2ドライバに送信する。この場合、第2ドライバは、第1ドライバから受け取った第1特徴データと第2特徴データとを用いて、表示パネルの表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第2全画面特徴データを算出し、第2全画面特徴データに応じて第2入力画像データに対して補正演算を行って第2出力画像データを生成するように構成される。
【0012】
本発明の更に他の観点において、表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する表示パネルドライバが提供される。該表示パネルドライバは、表示領域の第1部分に表示される第1画像に対応する入力画像データを受け取り、入力画像データから第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出する特徴データ算出回路と、他のドライバから、他のドライバによって駆動される表示領域の第2部分に表示される第2画像の特徴量を示す第2特徴データを受け取る通信回路と、第1特徴データと第2特徴データとを用いて、表示パネルの表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す全画面特徴データを算出する全画面特徴データ演算回路と、全画面特徴データに基づいた補正演算を入力画像データに対して行って出力画像データを生成する補正回路と、出力画像データに応答して表示領域の第1部分を駆動する駆動部とを具備する。
【0013】
本発明の更に他の観点では、表示パネルと表示パネルを駆動する複数のドライバとを具備し、複数のドライバが、表示パネルの表示領域の第1部分を駆動する第1ドライバと、表示領域の第2部分を駆動する第2ドライバとを含む表示装置の動作方法が提供される。当該動作方法は、
表示領域の第1部分に表示される第1画像に対応する第1入力画像データを第1ドライバに供給するステップと、
表示領域の第2部分に表示される第2画像に対応する第2入力画像データを第2ドライバに供給するステップと、
第1ドライバにおいて、第1入力画像データから第1画像の特徴量を示す第1特徴データを算出するステップと、
第2ドライバにおいて、第2入力画像データから第2画像の特徴量を示す第2特徴データを算出するステップと、
第2特徴データを第2ドライバから第1ドライバに送信するステップと、
第1ドライバにおいて、第1特徴データと第2特徴データとを用いて、表示パネルの表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第1全画面特徴データを算出するステップと、
第1ドライバにおいて、第1全画面特徴データに基づいた補正演算を第1入力画像データに対して行って第1出力画像データを生成するステップと、
第1出力画像データに応答して表示領域の第1部分を駆動するステップと、
第2ドライバにおいて、第1ドライバで行われる補正演算と同一の補正演算を第2入力画像データに対して行って第2出力画像データを生成するステップと、
第2出力画像データに応答して表示領域の第2部分を駆動するステップ
とを具備する。
【0014】
一実施形態では、当該動作方法は、更に、第1特徴データを第1ドライバから第2ドライバに送信するステップを具備する。この場合、第2ドライバにおいて第2出力画像データを生成するステップでは、第2ドライバにおいて、第1特徴データと第2特徴データとを用いて、表示パネルの表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示す第2全画面特徴データが算出され、第2全画面特徴データに応じて第2入力画像データに対して補正演算が行われて第2出力画像データが生成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の表示パネルドライバを用いて表示パネルを駆動する表示装置において、必要なデータ転送速度及びコストを低減しながら、入力画像データに対して適切な補正演算を行うための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】入力画像データに対して補正演算を行う技術を採用した液晶表示装置の例を示すブロック図である。
図2】複数のドライバICを用いて液晶表示パネルを駆動する構成が採用され、且つ、入力画像データに対して補正演算を行う液晶表示装置の例を示すブロック図である。
図3】複数のドライバICを用いて液晶表示パネルを駆動する構成が採用され、且つ、入力画像データに対して補正演算を行う液晶表示装置の他の例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態の表示装置の動作の一例を示す概念図である。
図6】ドライバIC間のチップ間通信データの通信における通信エラーの問題を説明する図である
図7】第1の実施形態におけるドライバICの構成の例を示すブロック図である。
図8】補正点データ組CP_selに含まれる補正点データCP0〜CP5により指定されるガンマカーブ、及び、該カンマカーブに従った補正演算(ガンマ補正)の内容を示すグラフである。
図9】第1の実施形態における近似演算補正回路の構成の例を示すブロック図である。
図10】第1の実施形態における特徴データ演算回路の構成の例を示すブロック図である。
図11】第1の実施形態における補正点データ算出回路の構成の例を示すブロック図である。
図12】各フレーム期間におけるドライバICの動作を示すフローチャートである。
図13】ドライバIC間での特徴データの通信が正常に行われた場合の動作と、正常に行われなかった場合の動作の比較を示す概念図である。
図14A】第1の実施形態における補正点データ算出回路の動作の一例を示すフローチャートである。
図14B】第1の実施形態における補正点データ算出回路の動作の他の例を示すフローチャートである。
図15】一実施形態における、APLAVE、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係を説明するグラフである。
図16】他の実施形態における、APLAVE、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係を説明するグラフである。
図17】補正点データ組CP#q、CP#(q+1)にそれぞれに対応するガンマカーブの形状と、補正点データ組CP_Lに対応するガンマカーブの形状を概念的に示すグラフである。
図18】補正点データ組CP_Lを、分散σAVEに基づいて修正することの技術的意義を示す概念図である。
図19】分散σAVEに基づいて補正点データCP1、CP4の修正を行った場合における、階調の分布(ヒストグラム)と、補正演算の内容との関係を概念的に示す表である。
図20】第1の実施形態において、3つのドライバICでLCDパネルの表示領域の画素が駆動される場合の液晶表示装置の構成を示す図である。
図21】第2の実施形態における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図22】第2の実施形態におけるドライバICの動作を示す図である。
図23】第2の実施形態において、3つのドライバICでLCDパネルの表示領域の画素が駆動される場合の液晶表示装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の技術的意義の理解を容易にするために、まず、入力画像データに対して補正演算を行う技術を採用した表示装置について説明する。
【0018】
図1は、入力画像データに対して補正演算を行う技術を採用した表示装置の例を示すブック図である。図1の表示装置は、液晶表示装置として構成されており、本体ブロック101と、液晶表示ブロック102と、FPC(flexible printed circuit board)103とを備えている。本体ブロック101にはCPU(central processing unit)104が搭載され、液晶表示ブロック102にはLCDパネル105が搭載されている。LCDパネル105には、ドライバIC106が搭載されている。ドライバIC106には、画像データに対して補正演算を行う画像データ補正回路106aが搭載される。また、FPC103には、CPU104とドライバIC106を接続する信号線が設けられると共に、LED(light emitting diode)ドライバ107と、LEDバックライト108とが搭載される。
【0019】
図1の液晶表示装置は、概略的には、以下のように動作する。CPU104は、ドライバIC106に画像データと同期信号とを供給する。ドライバIC106は、CPU104から受け取った画像データと同期信号とに応答してLCDパネル105のデータ線を駆動する。LCDパネル105の駆動においては、ドライバIC106の画像データ補正回路106aによって画像データに対して補正演算が行われ、補正された画像データがLCDパネル105の駆動に使用される。コントラストを強調するための補正演算、例えば、ガンマ補正を入力画像データに対して行うことで、バックライトの輝度を低くしても、画質の劣化を抑制することができる。更に、補正演算において算出された画像の特徴量(例えば、APL(average picture level))に応答してバックライトの輝度を制御すれば、画質の劣化を一層に抑制することができる。図1の構成では、画像データ補正回路106aで算出された画像の特徴量に応答して生成された輝度制御信号がLEDドライバ107に供給され、これにより、LEDバックライト108の輝度が制御される。
【0020】
図1には、LCDパネル105が単一のドライバIC106で駆動される液晶表示装置が図示されているが、タブレットのように、比較的に大型の液晶表示パネルを搭載する端末では、複数のドライバICを用いて液晶表示パネルを駆動する構成が採用される。このような構成において、画像データに対して補正演算を行う場合に考慮すべき事の一つは、LCDパネル105に表示される画像の全体に対して共通の補正演算を行うことである。例えば、異なるドライバICにおいて異なる補正演算が行われると、ドライバIC毎に異なるコントラストで画像がLCDパネル105に表示されることになり、LCDパネル105の、隣接するドライバICによって駆動される部分の境界が視覚的に認識可能になってしまう。
【0021】
LCDパネル105の全体に対して共通の補正演算を行う一つの手法としては、図2に図示されているように、送信元において画像データの補正演算を行い、補正後の画像データを各ドライバICに送信する構成が考えられる。詳細には、図2の構成では、本体ブロック101には、画像データ補正回路109aを有する画像処理IC109が搭載される。一方、LCDパネル105には2つのドライバIC106−1、106−2が搭載される。画像処理IC109は、FPC103−1に設けられた信号線によってドライバIC106−1に接続され、更に、FPC103−2に設けられた信号線によってドライバIC106−に接続されている。FPC103−2には、更に、LEDドライバ107、LEDバックライト108が搭載される。
【0022】
CPU104は、画像処理IC109に画像データを供給する。画像処理IC109は、画像データ補正回路109aによって画像データを補正して生成された補正後画像データをドライバIC106−1、106−2に供給する。このとき、画像データ補正回路109aは、LCDパネル105の全体に対して共通の補正演算を行う。ドライバIC106は、画像処理IC109から受け取った補正後画像データに応答してLCDパネル105のデータ線及びゲート線を駆動する。更に、画像処理IC109は、画像データ補正回路109aにおいて算出された画像の特徴量に応答して輝度制御信号を生成し、LEDドライバ107に供給する。これにより、LEDバックライト108の輝度が制御される。
【0023】
しかしながら、図2の構成では、LCDパネル105の全体に対して共通の補正演算を行うためのIC(画像処理IC)を追加する必要があり、液晶表示装置を構成するICの数が増加してしまう。これは、コスト面で不利である。特に、少数のドライバIC(例えば、2個のドライバIC)でLCDパネルを駆動するような場合、ICの数が1つ増加することは、コスト面でのデメリットが大きい。
【0024】
LCDパネル105の全体に対して共通の補正演算を行う他の手法としては、図3に図示されているように、LCDパネル105に表示される画像の全体の画像データを、各ドライバICに供給することが考えられる。詳細には、図3の構成では、LCDパネル105に、2つのドライバIC106−1、106−2が搭載されている。ドライバIC106−1、106−2のそれぞれには、画像データに対して補正演算を行う画像データ補正回路106aが搭載される。また、FPC103には、CPU104とドライバIC106−1、106−2を接続する信号線が設けられると共に、LED(light emitting diode)ドライバ107と、LEDバックライト108とが搭載される。ここで、CPU104とドライバIC106−1、106−2とは、マルチドロップ接続(mutli-drop)接続によって接続されている。即ち、ドライバIC106−1、106−2が、CPU104から同一のデータを受け取る。
【0025】
図3の液晶表示装置は、次のように動作する。CPU104は、ドライバIC106−1、106−2のそれぞれに、LCDパネル105に表示される画像の全体の画像データを供給する。ここで、CPU104とドライバIC106−1、106−2とがマルチドロップ接続によって接続されているから、ドライバIC106−1、106−2の一方に、画像の全体の画像データを供給することは、他方にも画像の全体の画像データを供給することを意味していることに留意されたい。ドライバIC106−1、106−2のそれぞれの画像データ補正回路106aは、受け取った画像データから画像の全体の特徴量を算出し、算出した特徴量に応じて画像データに対して補正演算を行う。ドライバIC106−1、106−2は、補正演算によって得られた補正後画像データに応答してLCDパネル105のデータ線及びゲート線を駆動する。更に、ドライバIC106−2は、その画像データ補正回路106aで算出された画像の特徴量に応答して輝度制御信号を生成し、LEDドライバ107に供給する。これにより、LEDバックライト108の輝度が制御される。
【0026】
ドライバIC106−1、106−2のそれぞれが画像の全体の画像データを受け取る図3の構成では、受け取った画像データから画像の全体の特徴量を算出できるので、LCDパネル105の全体に対して共通の補正演算を行うことができる。
【0027】
しかしながら、図3の構成では、各フレーム期間において、LCDパネル105に表示される画像の全体の画像データを、複数のドライバIC(即ち、ドライバIC106−1、106−2)に転送する必要があるので、画像データの転送に必要なデータ転送速度が増加してしまう。これは、消費電力の増大やEMI(electromagnetic interference)の増大を招くため好ましくない。
【0028】
本発明は、上記のような発明者らの検討に基づいてなされたものであり、複数の表示パネルドライバを用いて表示パネルを駆動する表示装置において、必要なデータ転送速度及びコストを低減しながら、入力画像データに対して適切な補正演算を行うための技術を提供するものである。なお、上記の図1図3の構成の説明は、図1図3の構成が公知であることを出願人が自認しているものと解釈してはならない。以下では、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態の表示装置の構成を示すブロック図である。図1の表示装置は、液晶表示装置として構成されており、本体ブロック1と、液晶表示ブロック2と、FPC3−1、3−2とを備えている。本体ブロック1にはCPU4が搭載され、液晶表示ブロック2にはLCDパネル5が搭載されている。本体ブロック1と液晶表示ブロック2は、FPC3−1、3−2によって連結されている。
【0030】
LCDパネル5には、複数のデータ線と、複数のゲート線が配置されると共に、画素が行列に並んで配置されている。本実施形態では、V行H列の画素がLCDパネル5に配置されている。本実施形態では、各画素は、赤に対応する副画素(R副画素)、緑に対応する副画素(G副画素)、及び、青に対応する副画素(B副画素)とを備えており、よって、V行3H列の副画素がLCDパネル5に配置されている。各副画素は、LCDパネル5のデータ線とゲート線とが交差する位置に設けられている。LCDパネル5の駆動においては、ゲート線が順次に選択され、選択されたゲート線に接続された副画素にデータ線から所望の駆動電圧が書き込まれる。これにより、LCDパネル5の各副画素が所望の階調に設定され、所望の画像がLCDパネル5に表示される。
【0031】
加えて、LCDパネル5には、COG(Chip on Glass)のような表面実装技術を用いて複数のドライバIC、本実施形態では、2つのドライバIC6−1、6−2が搭載されている。以下において、ドライバIC6−1、6−2は、それぞれ、第1ドライバ、第2ドライバと呼ばれることもあることに留意されたい。本実施形態では、LCDパネル5の表示領域が2つの部分:第1部分9−1、第2部分9−2を有しており、第1部分9−1に設けられた画素(厳密には、該画素に含まれる副画素)、及び、第2部分9−2に設けられた画素は、それぞれ、ドライバIC6−1、6−2によって駆動される。
【0032】
CPU4は、LCDパネル5に表示されるべき画像データと、ドライバIC6−1、6−2を制御する同期データとをドライバIC6−1、6−2に供給する処理装置である。
【0033】
詳細には、CPU4とドライバIC6−1を接続する信号線がFPC3−1に設けられ、該信号線を介して、入力画像データDIN1と同期データDSYNC1とがドライバIC6−1に送られる。ここで、入力画像データDIN1は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像のうちの第1部分9−1に表示される部分に対応する画像データ、即ち、第1部分9−1に設けられた画素の各副画素の階調を示すデータである。本実施形態では、LCDパネル5の画素の各副画素の階調が8ビットで表わされる。LCDパネル5の各画素は、3つの副画素(R副画素、G副画素、B副画素)を有しているから、入力画像データDIN1は、LCDパネル5の各画素の階調を24ビットで表わすデータである。同期データDSYNC1は、ドライバIC6−1のタイミング制御に用いられるデータである。
【0034】
同様に、CPU4とドライバIC6−2を接続する信号線がFPC3−2に設けられ、該信号線を介して、入力画像データDIN2と同期データDSYNC2とがドライバIC6−2に送られる。ここで、入力画像データDIN2は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像のうちの第2部分9−2に表示される部分に対応する画像データであり、第1部分9−2に設けられた画素の各副画素の階調を示している。入力画像データDIN1と同様に、入力画像データDIN2は、第2部分9−2に設けられた画素の各副画素の階調を8ビットで表すデータである。同期データDSYNC2は、ドライバIC6−2のタイミング制御に用いられるデータである。
【0035】
加えて、FPC3−2には、LEDドライバ7と、LEDバックライト8とが搭載される。LEDドライバ7は、ドライバIC6−2から供給される輝度制御信号SPWMに応答して、LED駆動電流IDRVを生成する。輝度制御信号SPWMは、PWM(pulse width modulation)によって生成されたパルス信号であり、LED駆動電流IDRVは、輝度制御信号SPWMの波形に対応する波形(一致する波形)を有している。LEDバックライト8は、LED駆動電流IDRVによって駆動され、LCDパネル5を照明する。
【0036】
ここで、CPU4とドライバIC6−1、6−2とは、ピア・トゥ・ピア(peer-to-peer)接続されていることに留意されたい。ドライバIC6−1には、ドライバIC6−2に供給される入力画像データDIN2は供給されないし、ドライバIC6−2には、ドライバIC6−1に供給される入力画像データDIN1は供給されない。即ち、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれには、LCDパネル5の表示領域の全体に対応する入力画像データが供給されるわけではない。これは、入力画像データDIN1、DIN2を転送するために必要なデータ転送速度を低下させることに寄与する。
【0037】
ドライバIC6−1、6−2の間には、それらを接続する信号線が設けられており、ドライバIC6−1、6−2は、当該信号線を介して、チップ間通信データDCHIPを交換する。ドライバIC6−1、6−2を接続する信号線は、LCDパネル5のガラス基板の上に配線されていてもよい。
【0038】
チップ間通信データDCHIPは、ドライバIC6−1、6−2が特徴データを交換するために使用される。特徴データとは、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれが駆動するLCDパネル5の表示領域の部分(即ち、第1部分9−1、第2部分9−2)の画像の特徴量を示すデータである。ドライバIC6−1は、それに供給される入力画像データDIN1から、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1に表示される画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を示す特徴データをチップ間通信データDCHIPとしてドライバIC6−2に送る。同様に、ドライバIC6−2は、それに供給される入力画像データDIN2から、LCDパネル5の表示領域の第部分9−2に表示される画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を示す特徴データをチップ間通信データDCHIPとしてドライバIC6−1に送る。
【0039】
ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴データに含まれる特徴量としては、様々なパラメータが使用され得る。一実施形態では、特徴量として各色について算出された(即ち、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出された)APLが使用され得る。他の実施形態では、特徴量として、各色について算出された副画素の階調のヒストグラムが使用され得る。更に他の実施形態では、特徴量として、各色について算出されたAPLと、副画素の階調の分散(又は標準偏差)との組み合わせが使用され得る。
【0040】
ドライバIC6−1、6−2に供給される入力画像データDIN1、IN2がRGBデータである場合、特徴量は、入力画像データDIN1、IN2に対してRGB−YUV変換を行うことによって得られた輝度データ(又はYデータ)から算出してもよい。この場合、一実施形態では、特徴量として、輝度データから算出されたAPLが使用され得る。各ドライバIC6−iは、入力画像データDINiに対してRGB−YUV変換を行って各画素についての輝度を示す輝度データを算出し、第i部分9−iに表示される画像の各画素の輝度の平均値としてAPLを算出する。他の実施形態では、特徴量として、画素の輝度のヒストグラムが使用され得る。更に他の実施形態では、特徴量として、輝度の平均値として算出されたAPLと輝度の分散(又は標準偏差)との組み合わせが使用され得る。
【0041】
本実施形態の表示装置の一つの特徴は、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、ドライバIC6−1、6−2の間で交換された特徴データに基づいてLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量が算出され、算出された特徴量に応じて入力画像データDIN1、DIN2に対して補正演算が行われるということである。このような動作によれば、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて算出されたLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。言い換えれば、追加の画像処理IC(図2参照)を用いずにLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。これは、コストの低減に寄与する。その一方で、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれには、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体に対応する画像データを送信する必要がない。即ち、ドライバIC6−1には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1の画像に対応する入力画像データDIN1が送信され、ドライバIC6−2には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−2の画像に対応する入力画像データDIN2が送信される。したがって、本実施形態の表示装置では、必要なデータ転送速度を低減させることができる。
【0042】
図5は、本実施形態の表示装置の動作の一例を示す概念図である。なお、図5では、特徴量として、輝度データから算出されたAPLを用いる例について説明しているが、これに限定されない。
【0043】
図5に図示されているように、ドライバIC6−1(第1ドライバ)は、それに送られてきた入力画像データDIN1から、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1に表示される画像のAPLを算出する。同様に、ドライバIC6−2(第2ドライバ)は、それに送られてきた入力画像データDIN2から、LCDパネル5の表示領域の第2部分9−2に表示される画像のAPLを算出する。図5の例では、ドライバIC6−1は、第1部分9−1に表示される画像のAPLを104と算出し、ドライバIC6−2は、第2部分9−2に表示される画像のAPLを176と算出している。
【0044】
更に、ドライバIC6−1は、それが算出したAPL(第1部分9−1に表示される画像のAPL)を示す特徴データをドライバIC6−2に送信し、ドライバIC6−2は、それが算出したAPL(第2部分9−2に表示される画像のAPL)を示す特徴データをドライバIC6−1に送信する。
【0045】
ドライバIC6−1は、自身が算出したAPL(即ち、第1部分9−1に表示される画像のAPL)と、ドライバIC6−2から受け取った特徴データに示されているAPL(即ち、第2部分9−2に表示される画像のAPL)とから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLを算出する。ここで、第1部分9−1に表示される画像のAPLと第2部分9−2に表示される画像のAPLの平均値APLAVEが、表示領域に表示される画像の全体のAPLである。図5の例では、第1部分9−1に表示される画像のAPLが104であり、第2部分9−2に表示される画像のAPLが176であるから、ドライバIC6−1は、平均値APLAVEを140として算出する。
【0046】
同様に、ドライバIC6−2は、自身が算出したAPL(即ち、第2部分9−2に表示される画像のAPL)と、ドライバIC6−1から受け取った特徴データに示されているAPL(即ち、第2部分9−1に表示される画像のAPL)とから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPL、即ち、第1部分9−1に表示される画像のAPLと第2部分9−2に表示される画像のAPLの平均値APLAVEを算出する。図5の例では、ドライバIC6−2は、ドライバIC6−1と同様に平均値APLAVEを140として算出することになる。
【0047】
ドライバIC6−1は、自身が算出した表示領域に表示される画像の全体のAPL(即ち、平均値APLAVE)に応じて入力画像データDIN1に対して補正演算を行い、該補正演算によって得られた補正後画像データに応じて第1部分9−1に設けられた画素を駆動する。同様に、ドライバIC6−2は、自身が算出した平均値APLAVEに応じて入力画像データDIN2に対して補正演算を行い、該補正演算によって得られた補正後画像データに応じて第2部分9−2に設けられた画素を駆動する。
【0048】
ここで、ドライバIC6−1、6−2それぞれによって算出される平均値APLAVEは、(原理的には)同一値であるので、結果として、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれは、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。このように、本実施形態では、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにLCDパネル5の表示領域の全体の画像に対応する入力画像データを送らなくても、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれが、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる
【0049】
なお、特徴データに含まれる特徴量として、輝度の平均値として算出されたAPL以外にも、画素の輝度のヒストグラム、画素の輝度の分散(又は標準偏差)が使用され得ることは、上述された通りである。
【0050】
チップ間通信データDCHIPとして交換される特徴データに示されている特徴量として望ましい特性は、3つある。第1に、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の画像について多くの情報量を有していることが望ましい。第2に、簡便な演算により、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の特徴量を再生できることが望ましい。第3に、特徴データのデータ量が小さいことが望ましい。
【0051】
これらの観点から、特徴データに含まれる特徴量の好適な一例は、各色について算出された、APL(即ち、副画素の階調の平均)と副画素の階調の二乗平均との組み合わせである。ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出されたAPLと副画素の階調の二乗平均との組み合わせを採用することにより、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPL及び副画素の階調の二乗平均を算出し、更に、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の副画素の階調の分散σを算出できる。詳細には、各色について、第1部分9−1、第2部分9−2に表示される画像それぞれのAPLから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLを算出可能である。また、各色について、第1部分9−1、第2部分9−2に表示される画像のそれぞれについて算出されたAPL及び副画素の階調の二乗平均とからLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の副画素の階調の分散σを算出することができる。APL及び副画素の階調の分散σは、副画素の階調の分布を概略的に把握するために適したパラメータの組み合わせであり、このようなパラメータに基づいて補正演算を行うことで、画像のコントラストの補正を適切に行うことができる。更に、各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均との組み合わせは、(例えば、ヒストグラムと比較して)データ量としては小さい。このように、各色について算出されたAPLと副画素の二乗平均との組み合わせは、特徴データに含まれる特徴量として望ましい特性を兼ね備えている。
【0052】
データ量が一層に小さいという観点からは、画素の輝度の平均値として算出されたAPL(即ち、画素の輝度の平均)と画素の輝度の二乗平均との組み合わせを特徴量として用いることが好適である。ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されたAPLと、該輝度の二乗平均との組み合わせを採用することにより、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPL及び画素の輝度の二乗平均を算出し、更に、LCDパネル5の表示領域に表示される画像全体の画素の輝度の分散σを算出できる。詳細には、第1部分9−1、第2部分9−2に表示される画像それぞれのAPLから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLを算出可能である。また、第1部分9−1、第2部分9−2に表示される画像のそれぞれについて算出されたAPL及び画素の輝度の二乗平均とからLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の画素の輝度の分散σを算出することができる。APL及び画素の輝度の分散は、画素の輝度の分布を概略的に把握するために適したパラメータの組み合わせである。更に、APLと画素の輝度の二乗平均との組み合わせは、(例えば、上述されているような各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均との組み合わせと比較して)データ量としては小さい。このように、画素の輝度の平均値として算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均との組み合わせは、特徴データに含まれる特徴量として望ましい特性を兼ね備えている。
【0053】
図5に示された動作において起こり得る一つの問題は、ドライバIC6−1、6−2の間のチップ間通信データDCHIPの交換(即ち、特徴データの交換)のための通信において通信エラーが発生すると、LCDパネル5の表示領域に表示される画像に乱れが生じ得ることである。特に、ドライバIC6−1、6−2の間のチップ間通信データDCHIPの通信に用いられる信号線が、LCDパネル5のガラス基板上に設けられていると、通信エラーが起こりやすくなる。図6は、ドライバIC6−1、6−2の間のチップ間通信データDCHIPの通信における通信エラーの問題を説明する図である。
【0054】
例えば、図5の動作において、ドライバIC6−2からドライバIC6−1への通信が正常に行われる一方で、ドライバIC6−1からドライバIC6−2への通信に通信エラーが発生したとする。より具体的には、ドライバIC6−1が算出したAPL(第1部分9−1に表示される画像のAPL)を示す特徴データをドライバIC6−2に送信する際に通信誤りが発生し、この結果、ドライバIC6−2が、第1部分9−1に表示される画像のAPLが12であると認識したとする。この場合、ドライバIC6−2は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLAVEを94と誤って算出することになる。一方、ドライバIC6−1は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLAVEを140と正しく算出することになる。この結果、ドライバIC6−1、6−2が異なる補正演算を行うことになり、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になってしまう。
【0055】
以下に述べられるドライバIC6−1、6−2の具体的な構成及び動作では、あるフレーム期間において特徴データの通信が正常に行うことができなくても、ドライバIC6−1、6−2において同一の補正演算を行うことを可能にするような技術的手法が採用され、これにより、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になるという問題が回避される。以下、ドライバIC6−1、6−2の具体的な構成及び動作について詳細に説明する。
【0056】
図7は、第1の実施形態におけるドライバIC6−1、6−2(以下、ドライバIC6−iと総称することがある)の構成の例を示すブロック図である。なお、以下において、ドライバIC6−1、6−2を総称してドライバIC6−iと記載することがある。このとき、ドライバIC6−iに送られる入力画像データを入力画像データDINiとして記載し、ドライバIC6−iに送られる同期データを同期データDSYNCiと記載することがある。
【0057】
各ドライバIC6−iは、メモリ制御回路11と、表示用メモリ12と、チップ間通信回路13と、補正点データ組供給回路14と、近似演算補正回路15と、減色処理回路16と、ラッチ回路17と、データ線駆動回路18と、階調電圧発生回路19と、タイミング制御回路20と、バックライト輝度調整回路21とを備えている。
【0058】
メモリ制御回路11は、表示用メモリ12を制御してCPU4から送られてくる入力画像データDINiを表示用メモリ12に書き込む機能を有している。より具体的には、メモリ制御回路11は、CPU4から送られてくる同期データDSYNCiから表示用メモリ制御信号SM_CTRLを生成して表示用メモリ12を制御する。更にメモリ制御回路11は、同期データDSYNCiから生成される同期信号(例えば、水平同期信号HSYNC、垂直同期信号VSYNCに同期して入力画像データDINiを表示用メモリ12に転送し、入力画像データDINiを表示用メモリ12に書き込む。
【0059】
表示用メモリ12は、入力画像データDINiをドライバIC6−iの内部で一時的に保持するために使用される。表示用メモリ12は、1フレームの画像を記憶可能な容量を有している。LCDパネル5の画素の各副画素の階調が8ビットで表わされる本実施形態では、表示用メモリ12の容量は、V×3H×8ビットである。表示用メモリ12は、メモリ制御回路11から送られる表示用メモリ制御信号SM_CTRLに応答して、保持している入力画像データDINiを順次に出力する。入力画像データDINiの出力は、LCDパネル5の1ラインの画素毎に行われる。
【0060】
チップ間通信回路13は、他のドライバICとチップ間通信データDCHIPを交換する機能を有している。即ち、ドライバIC6−1のチップ間通信回路13と、ドライバIC6−2のチップ間通信回路13とは、互いに、チップ間通信データDCHIPを交換する。
【0061】
チップ間通信回路13が他のドライバICから受け取るチップ間通信データDCHIPは、当該他のドライバICによって生成された特徴データ及び通信状態通知データを含んでいる。ここで、以下では、他のドライバICから送信された特徴データを、入力特徴データDCHR_INという。また、他のドライバICから送信された通信状態通知データを、通信状態通知データDST_INという。
【0062】
入力特徴データDCHR_INは、当該他のドライバICによって算出された特徴量を示している。例えば、ドライバIC6−1がドライバIC6−2から受け取った入力特徴データDCHR_INは、ドライバIC6−2によって算出された特徴量(即ち、第2部分9−2に表示される画像の特徴量)を示している。
【0063】
また、通信状態通知データDST_INは、当該他のドライバICが正常に特徴データを受け取ったかを示している。例えば、ドライバIC6−1がドライバIC6−2から受け取った通信状態通知データDST_INは、ドライバIC6−2が(ドライバIC6−1から)正常に特徴データを受け取ったかを示している。各ドライバIC6−iは、通信状態通知データDST_INから、他のドライバICが正常に特徴データを受け取ったかを知ることができる。チップ間通信回路13は、他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_IN及び通信状態通知データDST_INを補正点データ組供給回路14に供給する。
【0064】
一方、チップ間通信回路13が他のドライバICに送信するチップ間通信データDCHIPは、当該チップ間通信回路13が集積化されたドライバICにおいて生成された、他のドライバICに送信すべき特徴データ及び通信状態通知データを含んでいる。該チップ間通信回路13が集積化されたドライバICにおいて生成された、他のドライバICに送信すべき特徴データは、以下、出力特徴データDCHR_OUTという。また、他のドライバICに送信すべき通信状態通知データは、以下、通信状態通知データDST_OUTで示されている。
【0065】
出力特徴データDCHR_OUTは、当該チップ間通信回路13が集積化されたドライバICによって算出された特徴量を示している。例えば、ドライバIC6−1のチップ間通信回路13が送信する出力特徴データDCHR_OUTは、ドライバIC6−1において算出された特徴量を示しており、ドライバIC6−2に送信される。
【0066】
また、通信状態通知データDST_OUTは、当該チップ間通信回路13が集積化されたドライバICが正常に特徴データを受け取ったかを示している。例えば、ドライバIC6−1のチップ間通信回路13が送信する通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1が正常に入力特徴データDCHR_INを受け取ったかを示している。ドライバIC6−1において生成された通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−2のチップ間通信回路13に送られ、ドライバIC6−2における処理で使用される。
【0067】
補正点データ組供給回路14は、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_sel(以下、これらを総称して補正点データ組CP_selと記載することがある)を近似演算補正回路15に供給する。ここで、補正点データ組CP_selは、近似演算補正回路15において行われる補正演算の入出力関係を指定するデータである。本実施形態では、近似演算補正回路15において行われる補正演算としてガンマ補正が使用され、補正点データ組CP_selは、ガンマ補正に適用されるガンマカーブの形状を決定するデータの組である。補正点データ組CP_selのそれぞれは、6つの補正点データ:CP0〜CP5で構成されており、一組の補正点データCP0〜CP5により、あるガンマ値γに対応するガンマカーブの形状が指定される。
【0068】
ここで、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれの入力画像データDINiについて異なるガンマ値を用いてガンマ補正を行うことを可能にするために、本実施形態では、R副画素、G副画素、B副画素それぞれについて補正点データ組が選択される。R副画素について選択された補正点データ組は、補正点データ組CP_selと記載され、G副画素について選択された補正点データ組は、補正点データ組CP_selと記載され、B副画素について選択された補正点データ組は、補正点データ組CP_selと記載される。
【0069】
図8は、補正点データ組CP_selに含まれる補正点データCP0〜CP5により指定されるガンマカーブ、及び、該カンマカーブに従った補正演算(ガンマ補正)の内容を示している。補正点データCP0〜CP5は、それぞれ、入力画像データDINiを横軸(第1軸)、出力画像データDOUTを縦軸(第2軸)とする座標系の上の点として定義される。ここで、補正点データCP0、CP5は、カンマカーブの両端の位置にある。補正点データCP2、CP3は、カンマカーブの中央付近の位置にある。また、補正点データCP1は、補正点データCP0、CP2の間の位置にあり、補正点データCP4は、補正点データCP3、CP5の間の位置にある。補正点データCP1〜CP4の位置を適切に決定することにより、カンマカーブの形状が指定される。
【0070】
例えば、図8に示されているように、補正点データCP1〜CP4の位置を、カンマカーブの両端の位置を結ぶ直線より下の位置に定めることで、ガンマカーブを下に凸の形状に決定できる。後述されるように、近似演算補正回路15においては、補正点データ組CP_selに含まれる補正点データCP0〜CP5により指定される形状のガンマカーブによるガンマ補正が行われて出力画像データDOUTが生成される。
【0071】
本実施形態では、ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、入力画像データDINiからLCDパネル5の表示領域の第i部分9−iの画像の特徴量を算出する。ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、更に、それが算出した特徴量と、他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_INに示されている特徴量とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の特徴量を算出し、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の特徴量に応答して、補正点データ組CP_selを決定する。
【0072】
一実施形態では、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について(即ち、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて)副画素の階調の平均値として算出されたAPLと副画素の階調の二乗平均の組み合わせが採用される。ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、入力画像データDINiからLCDパネル5の表示領域の第i部分9−iの画像のAPLと、副画素の階調の二乗平均とを、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出する。ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、更に、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて、当該補正点データ組供給回路14が算出した特徴量と、他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_INに示されている特徴量とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の特徴量を算出する。詳細には、当該補正点データ組供給回路14により算出されたR副画素のAPLと、他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_INに示されているR副画素のAPLとから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のR副画素のAPLが算出される。また、当該補正点データ組供給回路14により算出されたR副画素の階調の二乗平均と他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_INに示されているR副画素の階調の二乗平均とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のR副画素の階調の二乗平均が算出される。更に、R副画素について算出されたLCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とから、R副画素の階調の分散σが算出され、算出されたR副画素のAPLと階調の分散σが、補正点データ組CP_selの決定に使用される。同様に、G副画素についてLCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とが算出され、更に、G副画素の階調の分散σが算出される。算出されたG副画素のAPLと階調の分散σが、補正点データ組CP_selの決定に使用される。また、B副画素についてLCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とが算出され、更に、B副画素の階調の分散σが算出される。算出されたB副画素のAPLと階調の分散σが、補正点データ組CP_selの決定に使用される。
【0073】
他の実施形態では、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される。ここで、各画素の輝度は、入力画像データDINiに示されている当該画素のRGBデータからRGB−YUV変換を行うことで得られる。ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、(RGBデータである)入力画像データDINiに対してRGB−YUV変換を行い、LCDパネル5の表示領域の第i部分9−iの画像の各画素の輝度を算出し、更に、算出された各画素の輝度から、APLと画素の輝度の二乗平均とを算出する。ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14は、更に、当該補正点データ組供給回路14が算出した特徴量と、他のドライバICから受け取った入力特徴データDCHR_INに示されている特徴量とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の特徴量を算出する。LCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと画素の輝度の二乗平均とは、輝度の分散σの算出に使用され、更に、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selの決定に使用される。この場合、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selは、同一であっても良い。補正点データ組供給回路14の構成と動作については、後に詳細に説明する。
【0074】
近似演算補正回路15は、補正点データ組供給回路14から送られてくる補正点データ組CP_selによって指定されたガンマカーブによるガンマ補正を入力画像データDINiに対して行い、出力画像データDOUTを生成する。
【0075】
出力画像データDOUTは、入力画像データDINiよりも多いビット数を有するデータである。出力画像データDOUTのビット数を入力画像データDINiよりも多くすることは、補正演算によって画素の階調の情報が失われないために有効である。入力画像データDINiが各画素の各副画素の階調を8ビットで表わす本実施形態では、出力画像データDOUTは、例えば、各画素の各副画素の階調を10ビットで表わすデータとして生成される。
【0076】
近似演算補正回路15によって行われるガンマ演算には、LUTではなく演算式が用いられる。近似演算補正回路15からLUTを排除することは、近似演算補正回路15の回路規模を小さくし、更に、ガンマ値を切り換えるのに必要な消費電力を低減させるために有効である。ただし、近似演算補正回路15によるガンマ補正には、厳密式ではなく近似式が用いられる。近似演算補正回路15は、補正点データ組供給回路14から送られてくる補正点データ組CP_selからガンマ補正に使用される近似式の係数を決定し、これにより、所望のガンマ値によるガンマ補正を行う。厳密式によってガンマ補正を行うためには、べき乗の演算を行う必要があり、これは、回路規模を増大させる。本実施形態では、べき乗を含まない近似式によってガンマ補正を行うことにより、回路規模が小さくされている。
【0077】
図9は、近似演算補正回路15の構成の例を示すブロック図である。以下において、入力画像データDINiのうち、R副画素の階調を示すデータを入力画像データDINiと記載する。同様に、入力画像データDINiのうち、G副画素の階調を示すデータを入力画像データDINiと記載し、B副画素の階調を示すデータを入力画像データDINiと記載する。また、出力画像データDOUTのうち、R副画素の階調を示すデータを出力画像データDOUTと記載する。同様に、出力画像データDOUTのうち、G副画素の階調を示すデータを出力画像データDOUTと記載し、B副画素の階調を示すデータを出力画像データDOUTと記載する。
【0078】
近似演算補正回路15は、R副画素、G副画素、B副画素についてそれぞれ用意された近似演算ユニット15R、15G、15Bを備えている。近似演算ユニット15R、15G、15Bは、それぞれ、入力画像データDINi、DINi、及びDINiについて演算式によるガンマ補正を行い、出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTを生成する。上述のように、出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTのビット数は、入力画像データDINi、DINi、及びDINiのビット数よりも多く、10ビットである。
【0079】
近似演算ユニット15Rがガンマ補正に使用する演算式の係数は、補正点データ組CP_selの補正点データCP0〜CP5によって決定される。同様に、近似演算ユニット15G、15Bがガンマ補正に使用する演算式の係数は、それぞれ、補正点データ組CP_sel、CP_selの補正点データCP0〜CP5によって決定される。
【0080】
近似演算ユニット15R、15G、15Bの機能は、それに入力される入力画像データと補正点データが異なること以外は同一である。以下では、近似演算ユニット15R、15G、15Bを、相互に区別しない場合、近似演算ユニット15kと記載することがある。
【0081】
図7に戻り、減色処理回路16、ラッチ回路17及びデータ線駆動回路18は、近似演算補正回路15から出力される出力画像データDOUTに応じてLCDパネル5の表示領域の第i部分9−iのデータ線を駆動する駆動部として機能する。具体的には、減色処理回路16は、近似演算補正回路15によって生成された出力画像データDOUTに対して減色処理を行い、減色画像データDOUT_Dを生成する。ラッチ回路17は、タイミング制御回路20から供給されるラッチ信号SSTBに応答して減色画像データDOUT_Dを減色処理回路16からラッチし、ラッチした減色画像データDOUT_Dをデータ線駆動回路18に転送する。データ線駆動回路18は、ラッチ回路17から送られてくる減色画像データDOUT_Dに応答して、LCDパネル5の表示領域の第i部分9−iのデータ線を駆動する。詳細には、データ線駆動回路18は、減色画像データDOUT_Dに応答して階調電圧発生回路19から供給される複数の階調電圧のうちから対応する階調電圧を選択し、対応するLCDパネル5のデータ線を、選択された階調電圧に駆動する。本実施形態では、階調電圧発生回路19から供給される複数の階調電圧の数は255である。
【0082】
タイミング制御回路20は、ドライバIC6−iに供給される同期データDSYNCiに応答してドライバIC6−iのタイミング制御を行う。詳細には、タイミング制御回路20は、同期データDSYNCiに応答してフレーム信号SFRM及びラッチ信号SSTBを生成し、それぞれ、補正点データ組供給回路14、及びラッチ回路17に供給する。フレーム信号SFRMは、各フレーム期間の開始を補正点データ組供給回路14に通知する信号である。フレーム信号SFRMは、各フレーム期間の開始時にアサートされる。ラッチ信号SSTBは、減色画像データDOUT_Dのラッチをラッチ回路17に許可する信号である。補正点データ組供給回路14、及びラッチ回路17の動作タイミングは、フレーム信号SFRM及びラッチ信号SSTBによって制御される。
【0083】
バックライト輝度調整回路21は、LEDドライバ7を制御する輝度制御信号SPWMを生成する。輝度制御信号SPWMは、補正点データ組供給回路14から供給されるAPLデータDAPLに応答して行われるパルス幅変調(PWM: pulse width modulation)によって生成されるパルス信号である。ここで、APLデータDAPLは、補正点データ組供給回路14において補正点データ組CP_selの決定に使用されたAPLである。輝度制御信号SPWMはLEDドライバ7に供給され、LEDバックライト8の輝度は、輝度制御信号SPWMによって制御される。なお、ドライバIC6−1、6−2のうちの一方のバックライト輝度調整回路21によって生成された輝度制御信号SPWMがLEDドライバ7に供給され、他方のバックライト輝度調整回路21によって生成された輝度制御信号SPWMは使用されない。
【0084】
続いて、各ドライバIC6−iの補正点データ組供給回路14の構成及び動作について説明する。補正点データ組供給回路14は、特徴データ演算回路22と、演算結果格納メモリ23と、補正点データ算出回路24とを備えている。
【0085】
図10は、特徴データ演算回路22の構成を示すブロック図である。特徴データ演算回路22は、特徴データ算出回路31と、誤り検出符号追加回路32と、チップ間通信検出回路33と、全画面特徴データ演算回路34と、通信状態格納メモリ35と、通信確認回路36とを備えている。
【0086】
ドライバIC6−iの特徴データ算出回路31は、入力画像データDINiから、現フレーム期間においてLCDパネル5の表示領域の第i部分9−iに表示される画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を示す特徴データDCHR_iを出力する。上述のように、一実施形態では、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出された、第i部分9−iに表示される画像のAPL、及び、副画素の階調の二乗平均が使用される。この場合、特徴データDCHR_iは、以下のデータを含んでいる:
(a)第i部分9−iに表示される画像のR副画素のAPL(以下、「APL」と記載する。)
(b)第i部分9−iに表示される画像のG副画素のAPL(以下、「APL」と記載する。)
(c)第i部分9−iに表示される画像のB副画素のAPL(以下、「APL」と記載する。)
(d)第i部分9−iに表示される画像のR副画素の階調の二乗平均(以下、「<g」と記載する。)
(e)第i部分9−iに表示される画像のG副画素の階調の二乗平均(以下、「<g」と記載する。)
(f)第i部分9−iに表示される画像のB副画素の階調の二乗平均(以下、「<g」と記載する。)
【0087】
ここで、第i部分9−iに表示される画像の各R副画素の階調をgjRとすると、第i部分9−iに表示される画像のR副画素のAPL及び階調の二乗平均は、次式で算出される:
APL=ΣgjR/n ・・・(1a)
<g=Σ(gjR/n ・・・(2a)
ここで、nは、LCDパネル5の表示領域の第i部分9−iに含まれる画素の数(即ち、R副画素の数)であり、Σは、第i部分9−iについての和を表している。
【0088】
同様に、第i部分9−iに表示される画像の各G副画素の階調をgjGとすると、第i部分9−iに表示される画像のG副画素のAPL及び階調の二乗平均は、次式で算出される:
APL=ΣgjG/n ・・・(1b)
<g=Σ(gjG/n ・・・(2b)
【0089】
更に、第i部分9−iに表示される画像の各B副画素の階調をgjBとすると、第i部分9−iに表示される画像のB副画素のAPL及び階調の二乗平均は、次式で算出される:
APL=ΣgjB/n ・・・(1c)
<g=Σ(gjB/n ・・・(2c)
【0090】
一方、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均として算出されたAPL及び輝度の二乗平均が用いられる場合、特徴データDCHR_iは、以下のデータを含んでいる:
(a)第i部分9−iに表示される画像の各画素のAPL(以下、「APL」と記載する。)
(b)第i部分9−iに表示される画像の各画素の輝度の二乗平均(以下、「<Y」と記載する。)
【0091】
ここで、第i部分9−iに表示される画像の各画素の輝度階調をYとすると、第i部分9−iに表示される画像のAPL及び画素の輝度の二乗平均は、次式で算出される:
APL=ΣY/n ・・・(1d)
<Y=Σ(Y)/n ・・・(2d)
ここで、nは、LCDパネル5の表示領域の第i部分9−iに含まれる画素の数あり、Σは、第i部分9−iについての和を表している。
【0092】
このようにして算出された特徴データDCHR_iは、誤り検出符号追加回路32、及び、全画面特徴データ演算回路34に送られる。
【0093】
誤り検出符号追加回路32は、特徴データ算出回路31によって生成された特徴データDCHR_iに誤り検出符号を追加し、他のドライバICに送信すべき特徴データである出力特徴データDCHR_OUTを生成する。出力特徴データDCHR_OUTは、チップ間通信回路13に引き渡され、チップ間通信データDCHIPとして他のドライバICに送信される。出力特徴データDCHR_OUTが誤り検出符号を含んでいることにより、当該他のドライバICは、送信された出力特徴データDCHR_OUTを入力特徴データDCHR_INとして受け取ったときに、入力特徴データDCHR_INを正常に受信できたかを判断することができる。
【0094】
チップ間通信検出回路33は、他のドライバICから送信された特徴データである入力特徴データDCHR_INをチップ間通信回路13から受け取り、更に、受け取った入力特徴データDCHR_INについて誤り検出を行って入力特徴データDCHR_INを正常に受信できたかを判断する。チップ間通信検出回路33は、更に、その判断の結果を通信状態通知データDST_OUTとして出力する。通信状態通知データDST_OUTは、通信が正常に行われたことを示す通信ACK(acknowledged)データ又は通信が正常に行われなかったことを示す通信NG(no good)データを含んでいる。
【0095】
詳細には、他のドライバICから受信した入力特徴データDCHR_INは、当該他のドライバICの誤り検出符号追加回路32によって追加された誤り訂正符号を含んでいる。チップ間通信検出回路33は、この誤り訂正符号を用いて他のドライバICから受信した入力特徴データDCHR_INについて誤り検出を行う。チップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INにデータ誤りを検出しなかった場合には、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。一方、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合、チップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。出力された通信状態通知データDST_OUTは、通信確認回路36に送られる。加えて、チップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTをチップ間通信回路13に引き渡す。チップ間通信回路13に引き渡された通信状態通知データDST_OUTは、チップ間通信データDCHIPとして他のドライバICに送信される。
【0096】
誤り検出符号として、誤り訂正可能な符号を使用しても良い。このような場合、チップ間通信検出回路33は、誤り訂正が可能であるような誤りを検出した場合には誤り訂正を行って、誤りが訂正された入力特徴データDCHR_INを出力する。この場合、チップ間通信検出回路33は、通信が正常に行われたと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。一方、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合、チップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。
【0097】
全画面特徴データ演算回路34は、特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_iと、チップ間通信検出回路33から受け取った入力特徴データDCHR_INとから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量を演算によって求め、求められた特徴量を示す全画面特徴データDCHR_Cを算出する。ここで、全画面特徴データDCHR_Cは、現フレーム期間においてLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量を示している。以下において、このことを強調する場合、“現フレーム全画面特徴データDCHR_C”と記載する。
【0098】
ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出されたAPLと副画素の階調の二乗平均が採用される場合、全画面特徴データ演算回路34は、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とを、各色について算出する。全画面特徴データ演算回路34は、更に、各色について算出された、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の副画素の階調の分散σを算出する。この場合、全画面特徴データ演算回路34によって生成される現フレーム全画面特徴データDCHR_Cは、次のデータを含んでいる:
(a)LCDパネル5の表示領域の全体のR副画素について算出されたAPL(以下、「APLAVE_R」と記載する。)
(b)LCDパネル5の表示領域の全体のG副画素について算出されたAPL(以下、「APLAVE_G」と記載する。)
(c)LCDパネル5の表示領域の全体のB副画素について算出されたAPL(以下、「APLAVE_B」と記載する。)
(d)LCDパネル5の表示領域の全体のR副画素の階調の分散(以下、「σAVE_R」と記載する。)
(e)LCDパネル5の表示領域の全体のG副画素の階調の分散(以下、「σAVE_G」と記載する。)
(f)LCDパネル5の表示領域の全体のB副画素の階調の分散(以下、「σAVE_B」と記載する。)
【0099】
APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_B、σAVE_R、σAVE_G、σAVE_Bの算出は、次のようにして行われる。まず、ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34について考える。
【0100】
ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34には、ドライバIC6−1の特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_1と、ドライバIC6−2から入力特徴データDCHR_INとして受け取った特徴データDCHR_2(これは、ドライバIC6−2の特徴データ算出回路31によって算出される)とが供給される。ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34は、特徴データDCHR_1に記述されている、第1部分9−1に表示される画像のR副画素のAPL(APL)と、特徴データDCHR_2(即ち、入力特徴データDCHR_IN)に記述されている、第2部分9−2に表示される画像のR副画素のAPL(APL)の平均値としてAPLAVE_Rを算出する。即ち、
APLAVE_R=(APL+APL)/2 ・・・(3a)
同様に、APLAVE_G、APLAVE_Bは、次式で算出される:
APLAVE_G=(APL+APL)/2 ・・・(3b)
APLAVE_B=(APL+APL)/2 ・・・(3c)
【0101】
また、ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34は、特徴データDCHR_1に記述されている、第1部分9−1に表示される画像のR副画素の階調の二乗平均<gと、特徴データDCHR_2(即ち、入力特徴データDCHR_IN)に記述されている、第2部分9−2に表示される画像のR副画素の階調の二乗平均<gの平均値として、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のR副画素の階調の二乗平均<gAVEを算出する。即ち、
<gAVE=(<g+<g)/2 ・・・(4a)
同様に、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のG副画素、B副画素の階調の二乗平均<gAVE、<gAVEは、下記式で得られる:
<gAVE=(<g+<g)/2 ・・・(4b)
<gAVE=(<g+<g)/2 ・・・(4c)
【0102】
更に、σAVE_R、σAVE_G、σAVE_Bが、下記式で算出される:
σAVE_R=<gAVE−(APLAVE_R ・・・(5a)
σAVE_G=<gAVE−(APLAVE_G ・・・(5b)
σAVE_B=<gAVE−(APLAVE_B ・・・(5c)
【0103】
ドライバIC6−2の全画面特徴データ演算回路34も同様にしてAPLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_B、σAVE_R、σAVE_G、σAVE_Bを算出できることは容易に理解されよう。
【0104】
一方、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各画素の輝度の平均値として算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均が採用される場合、全画面特徴データ演算回路34は、LCDパネル5の表示領域の画像の全体について、APL及び画素の輝度の二乗平均を算出する。ここで、APLは、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の画素の輝度の平均値として定義される。全画面特徴データ演算回路34は、更に、LCDパネル5の表示領域の画像の全体のAPLと画素の輝度の二乗平均とから、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の画素の輝度の分散σを算出する。この場合、全画面特徴データ演算回路34によって生成される現フレーム全画面特徴データDCHR_Cは、次のデータを含んでいる:
(a)LCDパネル5の表示領域の全体の画素について算出されたAPL(以下、「APLAVE」と記載する。)
(b)LCDパネル5の表示領域の全体の画素の輝度の分散(以下、「σAVE」と記載する。)
【0105】
ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおける、APLAVE、σAVEの算出は、次のようにして行われる。まず、ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34には、ドライバIC6−1の特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_1と、ドライバIC6−2から入力特徴データDCHR_INとして受け取った特徴データDCHR_2(これは、ドライバIC6−2の特徴データ算出回路31によって算出される)とが供給される。ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34は、特徴データDCHR_1に記述されている、第1部分9−1に表示される画像の各画素のAPL(APL)と、特徴データDCHR_2(即ち、入力特徴データDCHR_IN)に記述されている、第2部分9−2に表示される画像の各画素のAPL(APL)の平均値としてAPLAVEを算出する。即ち、
APLAVE=(APL+APL)/2 ・・・(3d)
【0106】
また、ドライバIC6−1の全画面特徴データ演算回路34は、特徴データDCHR_1に記述されている、第1部分9−1に表示される画像の画素の輝度の階調の二乗平均<Yと、特徴データDCHR_2(即ち、入力特徴データDCHR_IN)に記述されている、第2部分9−2に表示される画像の画素の輝度の二乗平均<Yの平均値として、LCDパネル5の表示領域の画像の全体の画素の輝度の二乗平均<YAVEを算出する。即ち、
<YAVE=(<Y+<Y)/2 ・・・(4d)
【0107】
更に、σAVEが、下記式で算出される:
σAVE=<YAVE−(APLAVE ・・・(5d)
【0108】
ドライバIC6−2の全画面特徴データ演算回路34も同様にしてAPLAVE、σAVEを算出できることは容易に理解されよう。
【0109】
このようにしてドライバIC6−1、6−2の両方において現フレーム全画面特徴データDCHR_Cが算出され、算出された現フレーム全画面特徴データDCHR_Cが、演算結果格納メモリ23と補正点データ算出回路24とに送られる。
【0110】
通信状態格納メモリ35は、他のドライバICから送信された通信状態通知データDST_INをチップ間通信回路13から受け取って一時的に格納する。通信状態通知データDST_INは、当該他のドライバICが入力特徴データDCHR_INを正常に受け取ったかを示すデータであり、通信ACKデータ又は通信NGデータを含んでいる。通信状態格納メモリ35に格納された通信状態通知データDST_INは、通信確認回路36に送られる。
【0111】
通信確認回路36は、チップ間通信検出回路33から受け取った通信状態通知データDST_OUTと通信状態格納メモリ35から受け取った通信状態通知データDST_INから、ドライバIC6−1、6−2の間の通信において特徴データの交換が正常に行われたかを判断する。あるフレーム期間において通信状態通知データDST_OUTと通信状態通知データDST_INの両方が通信ACKデータである場合、通信確認回路36は、当該フレーム期間においてドライバIC6−1、6−2の間の通信において特徴データの交換が正常に行われたと判断し、通信確認信号SCMFをアサートする。一方、あるフレーム期間において通信状態通知データDST_OUTと通信状態通知データDST_INの少なくとも一方が通信NGデータである場合、通信確認回路36は、当該フレーム期間においてドライバIC6−1、6−2の間の通信において特徴データの交換が正常に行われなかったと判断し、通信確認信号SCMFをネゲートする。
【0112】
図7に戻り、演算結果格納メモリ23は、通信確認信号SCMFに応答して全画面特徴データDCHR_Cを取り込んで記憶する機能を有している。通信確認信号SCMFがアサートされているフレーム期間(即ち、ドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われたフレーム期間)においては、全画面特徴データDCHR_Cが演算結果格納メモリ23に取り込まれる。一方、通信確認信号SCMFがネゲートされているフレーム期間においては、演算結果格納メモリ23の内容は更新されない。即ち、演算結果格納メモリ23は、あるフレーム期間の開始時には、当該フレーム期間より前のフレーム期間であってドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われた最後のフレーム期間において算出された全画面特徴データDCHR_Cを格納している。以下では、演算結果格納メモリ23に格納されている全画面特徴データDCHR_Cを、前フレーム全画面特徴データDCHR_Pと記載することにする。前フレーム全画面特徴データDCHR_Pは、補正点データ算出回路24に供給される。
【0113】
前フレーム全画面特徴データDCHR_Pは、必ずしも、現フレーム期間の直前のフレーム期間について算出された全画面特徴データDCHR_Cとは限らないことに留意されたい。例えば、現フレーム期間を含む2フレーム期間にわたってドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われなかった場合、2フレーム期間前について算出された全画面特徴データDCHR_Cが前フレーム全画面特徴データDCHR_Pとして保存され、補正点データ算出回路24に供給される。
【0114】
補正点データ算出回路24は、概略的には、次のような動作を行う:補正点データ算出回路24は、通信確認信号SCMFに応答して現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれかを選択し、選択した全画面特徴データに応じた補正点データ組CP_selを近似演算補正回路15に供給する。詳細には、補正点データ算出回路24は、通信確認信号SCMFがアサートされているフレーム期間では(即ち、ドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われたフレーム期間では)、現フレーム全画面特徴データDCHR_Cを用いて補正点データ組CP_selを決定する。一方、通信確認信号SCMFがネゲートされているフレーム期間では(即ち、ドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われなかったフレーム期間では)、演算結果格納メモリ23に記憶されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pを用いて補正点データ組CP_selを決定する。
【0115】
このような動作が、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれの補正点データ算出回路24において行われる。これにより、ドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われなかったフレーム期間において、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、ドライバIC6−1、6−2の間の通信が正常に行われた最新のフレーム期間の前フレーム全画面特徴データDCHR_Pが補正点データ組CP_selの決定に使用される。よって、ドライバIC6−1、6−2が異なる補正演算を行うことになり、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になってしまうという問題を解消することができる。
【0116】
図11は、補正点データ算出回路24の構成を示すブロック図である。補正点データ算出回路24は、特徴データ選択回路37と、補正点データ組格納レジスタ38aと、補間演算/選択回路38bと、補正点データ加減算回路39とを備えている。
【0117】
特徴データ選択回路37は、通信確認信号SCMFに応答して現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれかを選択する機能を有している。特徴データ選択回路37は、選択した全画面特徴データに含まれているAPLを示すAPLデータDAPLと、選択した全画面特徴データに含まれている分散σを示す分散データDσ2とを出力する。APLデータDAPLは、補間演算/選択回路38bに送られ、分散データDσ2は、補正点データ加減算回路39に送られる。
【0118】
ここで、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均の組み合わせが採用される場合、APLデータDAPLは、LCDパネル5の表示領域の全体のR副画素について算出されたAPLAVE_Rと、G副画素について算出されたAPLAVE_Gと、B副画素について算出されたAPLAVE_Bとを記述するデータとして生成される。ここで、APLデータDAPLは、APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bを、それぞれMビットで表わす3Mビットのデータとして生成される。また、分散データDσ2は、LCDパネル5の表示領域の全体のR副画素について算出された階調の分散σAVE_Rと、G副画素について算出された階調の分散σAVE_Gと、B副画素について算出された階調の分散σAVE_Bとを記述しているデータとして生成される。
【0119】
一方、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各画素の輝度の平均値として算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合、APLデータDAPLは、LCDパネル5の表示領域の全体について各画素の輝度の平均値として算出されたAPLAVEを含んでおり、分散データDσ2は、LCDパネル5の表示領域の全体の画素について算出された輝度の分散σAVEを含んでいる。ここで、APLデータDAPLは、APLAVEをMビットで表わすデータとして生成される。
【0120】
ここで、APLデータDAPLは、上述のバックライト輝度調整回路21にも送られ、輝度制御信号SPWMの生成に使用される。即ち、LEDバックライト8の輝度は、APLデータDAPLに応じて制御される。ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均の組み合わせが採用される場合、APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bに対してRGB−YUV変換が行われ、RGB−YUV変換で得られた輝度データYAVEに応じて輝度制御信号SPWMが生成される。即ち、LEDバックライト8の輝度は、輝度データYAVEに応じて制御される。一方、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各画素の輝度の平均値として算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合、APLデータDAPLに記述されているAPLAVEに応じて輝度制御信号SPWMが生成される。即ち、LEDバックライト8の輝度は、APLAVEに応じて制御される。
【0121】
補正点データ組格納レジスタ38aは、最終的に近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを算出する元データとして使用される複数の補正点データ組CP#1〜CP#mを格納している。補正点データ組CP#1〜CP#mは、異なるガンマ値γに対応しており、補正点データ組CP#1〜CP#mのそれぞれは、補正点データCP0〜CP5から構成されている。
【0122】
あるガンマ値γに対応する補正点データ組CP#jの補正点データCP0〜CP5は、下記のように算出される。
(1)γ<1の場合
【数1】
(2)γ≧1の場合
【数2】
ここで、DINMAXは、入力画像データDINiの許容最大値であり、DOUTMAXは、出力画像データDOUTの許容最大値である。Kは、下記式:
K=(DINMAX+1)/2, ・・・(7)
で与えられる定数である。また、Gamma[x]は、ガンマ補正の厳密式を表す関数であり、下記式によって定義される:
【数3】
【0123】
本実施形態では、補正点データ組CP#1〜CP#mは、補正点データ組CP#1〜CP#mから任意に選択された補正点データ組CP#jについて、jが大きいほど式(8)のγが大きくなるように決定されている。即ち、補正点データ組CP#jについて定められたガンマ値をγとすると、
γ<γ<・・・<γm−1<γ ・・・(9)
【0124】
補正点データ組格納レジスタ38aに保存される補正点データ組CP#1〜CP#mの数は、2M−(N−1)組である。ここで、Mは、上述されているように、APLデータDAPLにおいてAPLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bをそれぞれ記述するために使用されるビットの数であり、Nは、Mよりも小さく2以上の所定の整数である。すなわち、m=2M−(N−1)である。補正点データ組格納レジスタ38aに格納される補正点データ組CP#1〜CP#mは、初期設定として、CPU4から各ドライバIC6−iに供給されてもよい。
【0125】
補間演算/選択回路38bは、APLデータDAPLに応じて補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lを決定する機能を有している。補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、最終的に近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを算出するために使用される中間生成データであり、それぞれが、補正点データCP0〜CP5を含んでいる。以下において、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、総称して、補正点データ組CP_Lと記載されることがある。
【0126】
詳細には、APLデータDAPLが、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出されたAPLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bを記述するデータである場合、一実施形態では、補間演算/選択回路38bは、APLAVE_k(k=“R”、“G”or“B”)に応じて上述の補正点データ組CP#1〜CP#mのいずれかを選択し、選択した補正点データ組を補正点データ組CP_L(k=“R”、“G”or“B”)として決定してもよい。
【0127】
その代わりに、補間演算/選択回路38bは、次のようにして補正点データ組CP_L(k=“R”、“G”or“B”)を決定してもよい。補間演算/選択回路38bは、APLデータDAPLに記述されているAPLAVE_kに応じて、補正点データ組格納レジスタ38aに格納されている補正点データ組CP#1〜CP#mのうちの2つの補正点データ組:補正点データ組CP#q、CP#(q+1)を選択する。qは、1以上、m−1以下の整数である。更に補間演算/選択回路38bは、補正点データ組CP_Lの補正点データCP0〜CP5を、それぞれ、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出する。補正点データ組CP_Lの補正点データCP0〜CP5を、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出することは、補正点データ組格納レジスタ38aに保存される補正点データ組CP#1〜CP#mの数が少なくても、ガンマ補正に使用されるガンマ値を細かく調節することを可能にする点で有用である。
【0128】
一方、APLデータDAPLに画素の輝度の平均値として算出されたAPLAVEが記述されている場合、補間演算/選択回路38bは、APLAVEに応じて上述の補正点データ組CP#1〜CP#mのいずれかを選択し、選択した補正点データ組を、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lとして決定してもよい。この場合、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、いずれも、選択した補正点データ組に一致し、互いに等しい。
【0129】
その代わりに、補間演算/選択回路38bは、次のようにして補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lを決定してもよい。補間演算/選択回路38bは、APLデータDAPLに記述されているAPLAVEに応じて、補正点データ組格納レジスタ38aに格納されている補正点データ組CP#1〜CP#mのうちの2つの補正点データ組:補正点データ組CP#q、CP#(q+1)を選択する。qは、1以上、m−1の整数である。更に補間演算/選択回路38bは、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lのそれぞれの補正点データCP0〜CP5を、それぞれ、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出する。この場合も、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、互いに等しい。補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの補正点データCP0〜CP5を、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出することは、補正点データ組格納レジスタ38aに保存される補正点データ組CP#1〜CP#mの数が少なくても、ガンマ補正に使用されるガンマ値を細かく調節することを可能にする点で有用である。
【0130】
上記に説明した補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの決定において行われる補間計算については、後に詳細に説明する。
【0131】
補間演算/選択回路38bによって決定された補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、補正点データ加減算回路39に送られる。
【0132】
補正点データ加減算回路39は、特徴データ選択回路37から送られる分散データDσ2に基づいて補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lを修正し、最終的に近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを算出する。
【0133】
詳細には、分散データDσ2が、LCDパネル5の表示領域の全体のR副画素について算出された階調の分散σAVE_Rと、G副画素について算出された階調の分散σAVE_Gと、B副画素について算出された階調の分散σAVE_Bとを記述しているデータとして生成される場合、補正点データ加減算回路39は、次のようにして補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを算出する。補正点データ加減算回路39は、R副画素について算出された分散σAVE_Rに基づいて、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4を修正する。修正された補正点データCP1、CP4が、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4として使用される。また、補正点データ組CP_Lの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5は、そのまま、補正点データ組CP_selの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5として使用される。
【0134】
同様に、補正点データ加減算回路39は、G副画素について算出された階調の分散σAVE_Gに基づいて、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4を修正する。修正された補正点データCP1、CP4が、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4として使用される。更に、補正点データ加減算回路39は、B副画素について算出された階調の分散σAVE_Bに基づいて、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4を修正する。修正された補正点データCP1、CP4が、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4として使用される。補正点データ組CP_L、CP_Lの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5は、そのまま、補正点データ組CP_sel、CP_selの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5として使用される。
【0135】
一方、分散データDσ2が、LCDパネル5の表示領域の全体の画素の輝度の分散σAVEを記述しているデータとして生成される場合、補正点データ加減算回路39は分散σAVに基づいて、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの補正点データCP1、CP4を修正する。修正された補正点データCP1、CP4が、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selの補正点データCP1、CP4として使用される。また、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5は、そのまま、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5として使用される。この場合、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、互いに等しく、よって、結果として生成される補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selも互いに等しいことに留意されたい。
【0136】
補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの修正による補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selの算出については、後に詳細に説明する。
【0137】
続いて、本実施形態の液晶表示装置の動作、特に、ドライバIC6−1、6−2の動作について説明する。図12は、各フレーム期間におけるドライバIC6−1(第1ドライバ)、及び、ドライバIC6−2(第2ドライバ)の動作を示すフローチャートである。
【0138】
ドライバIC6−1、6−2の特徴データ演算回路22の特徴データ算出回路31において、それぞれ、入力画像データDIN1、DIN2が分析され、特徴データDCHR_1、DCHR_2が算出される(ステップS01)。上述のように、特徴データDCHR_1は、LCDパネル5の第1部分9−1に表示される画像の特徴量を示すデータであり、ドライバIC6−1に供給される入力画像データDIN1から算出される。同様に、特徴データDCHR_2は、LCDパネル5の第部分9−2に表示される画像の特徴量を示すデータであり、ドライバIC6−2に供給される入力画像データDIN2から算出される。
【0139】
続いて、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に、ドライバIC6−1において算出された特徴データDCHR_1が送られ、ドライバIC6−2からドライバIC6−1に、ドライバIC6−2において算出された特徴データDCHR_1が送られる(ステップS02)。詳細には、ドライバIC6−1は、特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_1に誤り検出符号を付加した出力特徴データDCHR_OUTをドライバIC6−2に送信する。誤り検出符号の付加は、誤り検出符号追加回路32によって行われる。ドライバIC6−2は、ドライバIC6−1から送信された出力特徴データDCHR_OUTを、入力特徴データDCHR_INとして受信する。同様に、ドライバIC6−2は、特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_2に誤り検出符号を追加した出力特徴データDCHR_OUTをドライバIC6−1に送信する。ドライバIC6−1は、ドライバIC6−2から送信された出力特徴データDCHR_OUTを、入力特徴データDCHR_INとして受信する。
【0140】
ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INに付加された誤り検出符号を用いて、ドライバIC6−2から送信された入力特徴データDCHR_INが正常に受信できたかを判断する(ステップS03)。
【0141】
詳細には、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INにデータ誤りを検出しなかった場合(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、訂正不可能なデータ誤りを検出しなかった場合)、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信ACKデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS04)。通信ACKデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られた状態を、以下では、「通信状態#1」と呼ぶことにする。
【0142】
一方、データ誤りを検出した場合、(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合)、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信NGデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS05)。通信NGデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られた状態を、以下では、「通信状態#2」と呼ぶことにする。
【0143】
同様に、ドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INに付加された誤り検出符号を用いて、ドライバIC6−1から送信された入力特徴データDCHR_INが正常に受信できたかを判断する(ステップS06)。
【0144】
詳細には、ドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INにデータ誤りを検出しなかった場合(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、訂正不可能なデータ誤りを検出しなかった場合)、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られる。即ち、通信ACKデータがドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られる(ステップS07)。通信ACKデータがドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られた状態を、以下では、「通信状態#3」と呼ぶことにする。
【0145】
一方、データ誤りを検出した場合、(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合)、ドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られる。即ち、通信NGデータがドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られる(ステップS08)。通信NGデータがドライバIC6−2からドライバIC6−1に送られた状態を、以下では、「通信状態#4」と呼ぶことにする。
【0146】
各フレーム期間においては、次の4つの状態の組み合わせが生じ得る:
組み合わせA:通信状態#1、#3の組み合わせ
組み合わせB:通信状態#1、#4の組み合わせ
組み合わせC:通信状態#2、#3の組み合わせ
組み合わせD:通信状態#2、#4の組み合わせ
【0147】
組み合わせAの状態が生じた場合(即ち、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に通信ACKデータが送られ、且つ、ドライバIC6−2からドライバIC6−1に通信ACKデータが送られた場合)、ドライバIC6−1、6−2の両方において、現フレーム期間において算出された現フレーム全画面特徴データDCHR_Cが選択される。更に、現フレーム全画面特徴データDCHR_Cに応じて補正点データ組CP_selが決定され、決定された補正点データ組CP_selは、近似演算補正回路15に送られて、入力画像データDIN1、DIN2の補正演算に使用される。このとき、現フレーム全画面特徴データDCHR_Cは、演算結果格納メモリ23に格納される。
【0148】
詳細には、組み合わせAの状態が生じた場合には、ドライバIC6−1、6−2の両方において、通信確認回路36に供給される通信状態通知データDST_OUT、DST_INの両方が通信ACKデータになる。ドライバIC6−1、6−2のそれぞれの通信確認回路36は、通信状態通知データDST_OUT、DST_INの両方が通信ACKデータであることから、組み合わせAの状態が発生したことを認識することができる。この場合、ドライバIC6−1、6−2の通信確認回路36は、通信確認信号SCMFをアサートする。通信確認信号SCMFがアサートされることに応答して、ドライバIC6−1、6−2の両方において、補正点データ算出回路24の特徴データ選択回路37が、現フレーム全画面特徴データDCHR_Cを選択する。補正点データ算出回路24は、選択した現フレーム全画面特徴データDCHR_Cに応じて、補正点データ組CP_selを決定する。加えて、演算結果格納メモリ23は、通信確認信号SCMFがアサートされることに応答して、現フレーム全画面特徴データDCHR_Cを取り込んで格納する。これにより、演算結果格納メモリ23に格納されていた前フレーム全画面特徴データDCHR_Pが、現フレーム期間において算出された現フレーム全画面特徴データDCHR_Cに更新されることになる。
【0149】
一方、組み合わせA以外の状態が生じた場合(即ち、組み合わせB、C又はDの状態が生じた場合)、ドライバIC6−1、6−2の両方において、前フレーム全画面特徴データDCHR_Pが選択される。ここで、組み合わせA以外の状態が生じた場合、即ち、組み合わせB、C又はDの状態が生じた場合とは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に、及び/又は、ドライバIC6−2からドライバIC6−1に通信NGデータが送られたことを意味している。更に、前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに応じて補正点データ組CP_selが決定され、決定された補正点データ組CP_selは、近似演算補正回路15に送られて、入力画像データDIN1、DIN2の補正演算に使用される。このとき、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pは更新されない。
【0150】
詳細には、組み合わせB、C又はDの状態が生じた場合には、ドライバIC6−1、6−2の両方において、通信確認回路36に供給される通信状態通知データDST_OUT、DST_INの少なくとも一方が通信NGデータになる。ドライバIC6−1、6−2のそれぞれの通信確認回路36は、通信状態通知データDST_OUT、DST_INの少なくとも一方が通信NGデータであることから、組み合わせB、C又はDの状態が発生したことを認識することができる。この場合、ドライバIC6−1、6−2の通信確認回路36は、通信確認信号SCMFをネゲートする。通信確認信号SCMFがネゲートされることに応答して、ドライバIC6−1、6−2の両方において、補正点データ算出回路24の特徴データ選択回路37が、前フレーム全画面特徴データDCHR_Pを選択する。補正点データ算出回路24は、選択した前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに応じて、補正点データ組CP_selを決定する。このとき、演算結果格納メモリ23は、通信確認信号SCMFがネゲートされているので、前フレーム全画面特徴データDCHR_Pを更新せずに保持する。
【0151】
上述の過程により、組み合わせA、B、C、Dのいずれの場合でも、補正点データ組CP_selが決定されることになる。ドライバIC6−1の近似演算補正回路15は、入力画像データDIN1に対し、補正点データ組CP_selによって決定されるガンマカーブに対応するガンマ補正を演算式によって行って出力画像データDOUTを出力する。同様に、ドライバIC6−2の近似演算補正回路15は、入力画像データDIN2に対し、補正点データ組CP_selによって決定されるガンマカーブに対応するガンマ補正を演算式によって行って出力画像データDOUTを出力する。ドライバIC6−1、6−2のデータ線駆動回路18は、それぞれ、出力された出力画像データDOUTに応答して(より正確には、出力画像データDOUTから生成された減色画像データDOUT_Dに応答して)LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2のデータ線を駆動する。
【0152】
図13は、ドライバIC6−1、6−2の間での特徴データの通信が正常に行われた場合の動作と、正常に行われなかった場合の動作の比較を示している。図13には、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴データに記述され得る特徴量のうち、画素の輝度の平均値として算出されたAPLのみが図示されているが、他のパラメータ(例えば、各色について算出されたAPL及び副画素の階調の二乗平均、画素の輝度の二乗平均)についても、同様の処理が行われる。
【0153】
ドライバIC6−1、6−2の間での特徴データの通信が正常に行われた場合の動作が、図13の左欄に図示されている。ドライバIC6−1、6−2の間での特徴データの通信が正常に行われた場合の動作は、以下の通りである。ドライバIC6−1(第1ドライバ)は、それに送られてきた入力画像データDIN1から、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1に表示される画像の特徴量を算出する。同様に、ドライバIC6−2(第2ドライバ)は、それに送られてきた入力画像データDIN2から、LCDパネル5の表示領域の第2部分9−2に表示される画像の特徴量を算出する。図13の例では、ドライバIC6−1は、第1部分9−1に表示される画像のAPLを104と算出し、ドライバIC6−2は、第2部分9−2に表示される画像のAPLを176と算出している。
【0154】
更に、ドライバIC6−1は、それが算出した特徴量(第1部分9−1に表示される画像の特徴量)を示す特徴データをドライバIC6−2に送信し、ドライバIC6−2は、それが算出した特徴量(第2部分9−2に表示される画像の特徴量)を示す特徴データをドライバIC6−1に送信する。
【0155】
ドライバIC6−1は、自身が算出した特徴量(即ち、第1部分9−1に表示される画像の特徴量)と、ドライバIC6−2から受け取った特徴データに示されている特徴量(即ち、第2部分9−2に表示される画像の特徴量)とから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量を算出する。ここで、APLについては、第1部分9−1に表示される画像のAPLと第2部分9−2に表示される画像のAPLの平均値APLAVEが、表示領域に表示される画像の全体のAPLである。図13の例では、第1部分9−1に表示される画像のAPLが104であり、第2部分9−2に表示される画像のAPLが176であるから、ドライバIC6−1は、平均値APLAVEを140として算出する。
【0156】
同様に、ドライバIC6−2は、自身が算出した特徴量(即ち、第2部分9−2に表示される画像の特徴量)と、ドライバIC6−1から受け取った特徴データに示されている特徴量(即ち、第部分9−1に表示される画像の特徴量)とから、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量を算出する。APLについては、第1部分9−1に表示される画像のAPLと第2部分9−2に表示される画像のAPLの平均値APLAVEを算出する。図13の例では、ドライバIC6−2は、ドライバIC6−1と同様に平均値APLAVEを140として算出することになる。
【0157】
ドライバIC6−1は、自身が算出した、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量(APLについては、平均値APLAVE)に応じて入力画像データDIN1に対して補正演算を行い、該補正演算によって得られた出力画像データDOUTに応じて第1部分9−1に設けられた画素を駆動する。同様に、ドライバIC6−2は、自身が算出した表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じて入力画像データDIN2に対して補正演算を行い、該補正演算によって得られた出力画像データDOUTに応じて第2部分9−2に設けられた画素を駆動する。
【0158】
ドライバIC6−1、6−2の間での特徴データの通信が正常に行われなかった場合の動作が、図13の右欄に図示されている。ドライバIC6−1、6−2の間での特徴データの通信が正常に行われなかった場合の動作は、以下の通りである。ドライバIC6−1、6−2が、入力画像データDIN1、DIN2から、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2に表示される画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を示す特徴データを一方から他方に送信する動作は、特徴データの通信が正常に行われた場合と同一である。
【0159】
ここで、ドライバIC6−1からドライバIC6−2への特徴データの通信が正常に行われなかったとする。例えば、本来はドライバIC6−1によって算出された第1部分9−1の画像のAPLが104であるにもかかわらず、ドライバIC6−2によって受信された特徴データが、第1部分9−1の画像のAPLが12であることを示していたとする。
【0160】
この場合、ドライバIC6−2では、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLが正しく算出されない。しかしながら、ドライバIC6−2は、ドライバIC6−1からドライバIC6−2への特徴データの通信が正常に行われなかったことを誤り検出によって知ることができるので、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに示されている特徴量を用いて入力画像データDIN2に対して補正演算を行う。
【0161】
また、ドライバIC6−1では、ドライバIC6−2から受け取った通信状態通知データDST_INから、ドライバIC6−1からドライバIC6−2への特徴データの通信が正常に行われなかったことを知ることができるので、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに示されている特徴量を用いて入力画像データDIN1に対して補正演算を行う。ドライバIC6−1、6−2は、該補正演算によって得られた出力画像データDOUTに応じて、それぞれ、第1部分9−1、第2部分9−2に設けられた画素を駆動する。
【0162】
以上に説明されているように、本実施形態では、ドライバIC6−1、6−2の間の特徴データの通信が正常に行われなかった場合、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに示されている特徴量を用いて補正演算を行うので、通信が正常に行われなかった場合でも、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になってしまうことを防ぐことができる。
【0163】
図14Aは、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均の組み合わせが採用される場合の補正点データ算出回路24の動作を示すフローチャートである。この場合、現フレーム全画面特徴データDCHR_C及び前フレーム全画面特徴データDCHR_Pは、いずれも、APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bを記述するAPLデータDAPL、及び、σAVE_R、σAVE_、σAVE_を記述する分散データDσ2を含んでいることに留意されたい。補正点データ算出回路24は、このような内容の現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pから、近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_selを決定する。
【0164】
まず、通信確認回路36から送られる通信確認信号SCMFに応答して、現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれかが特徴データ選択回路37によって選択される(ステップS11A)。ステップS11Aで選択された特徴データを、以下では、選択特徴データという。選択特徴データが現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれであっても、選択特徴データは、APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bを記述するAPLデータDAPL、及び、σAVE_R、σAVE_、σAVE_を記述する分散データDσ2を含んでいることに留意されたい。
【0165】
更に、補間演算/選択回路38bにより、選択特徴データに含まれているAPLデータDAPLに応じてガンマ値が決定される(ステップS12A)。ガンマ値の決定は、色ごとに(即ち、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて)行われる。赤色又はR副画素についてのガンマ値γ、緑又はG副画素についてのガンマ値γ、青又はB副画素についてのガンマ値γは、それぞれ、APLAVE_R、APLAVE_G、APLAVE_Bが大きいほど大きくなるように決定される。ガンマ値γ、γ、γは、例えば、次式で決定される:
γ=γSTD+APLAVE_R・η ・・・(10a)
γ=γSTD+APLAVE_G・η ・・・(10b)
γ=γSTD+APLAVE_B・η ・・・(10c)
ここで、γSTD、γSTD、γSTDは、基準となるガンマ値であり、所定の定数である。γSTD、γSTD、γSTDは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、η、η、ηは、所定の比例定数である。η、η、ηは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0166】
ガンマ値γ、γ、γが決定された後、補間演算/選択回路38bにより、ガンマ値γ、γ、γに応じて、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが決定される(ステップS13A)。
【0167】
一実施形態では、APLAVE_k(k=“R”、“G”or“B”)に応じて上述の補正点データ組CP#1〜CP#mのいずれかを選択し、選択した補正点データ組を補正点データ組CP_L(k=“R”、“G”or“B”)として決定してもよい。図15は、このようにして補正点データ組CP_Lが決定された場合のAPLAVE_k、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係を説明するグラフである。APLAVE_kが大きいほど、ガンマ値γは大きく設定され、よりjの値が大きいような補正点データ組CP#jが選択される。
【0168】
他の実施形態では、次のようにして補正点データ組CP_L(k=“R”、“G”or“B”)を決定してもよい。まず、APLデータDAPLに記述されているAPLAVE_kの上位(M−N)ビットに応じて、補正点データ組格納レジスタ38aに格納されている補正点データ組CP#1〜CP#mのうちの2つの補正点データ組:補正点データ組CP#q、CP#(q+1)を選択する。ここで、上述されているように、Mは、APLAVE_kのビット数であり、Nは、所定の定数である。また、qは、1以上m−1以下の整数である。APLAVE_kが大きいほど、ガンマ値γは大きく設定され、よりqの値が大きいような補正点データ組CP#q、CP#(q+1)が選択される。
【0169】
更に、補正点データ組CP_Lの補正点データCP0〜CP5が、それぞれ、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出される。より具体的には、補正点データ組CP_L(kは、”R”、”G”、”B”の任意)の補正点データCP0〜CP5は、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5から、下記式で算出される。
CPα_L=CPα(#q)+
{(CPα(#q+1)−CPα(#q)/2}×APLAVE_k[N−1:0],
・・・(11)
α:0以上、5以下の整数
CPα_L:補正点データ組CP_Lの補正点データCPα
CPα(#q):選択された補正点データ組CP#qの補正点データCPα
CPα(#q+1):選択された補正点データ組CP#(q+1)の補正点データCPα
APLAVE_k[N−1:0]:APLAVE_kの下位Nビット
【0170】
図16は、このようにして決定された時のAPLAVE_k、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係を説明するグラフである。APLAVE_kが大きいほど、ガンマ値γは大きく設定され、よりqの値が大きいような補正点データ組CP#q、CP#(q+1)が選択される。そして、補正点データ組CP_Lは、補正点データ組CP#q、CP#(q+1)が対応するガンマ値γ、γq+1の中間の値のガンマ値に対応するように決定されることになる。
【0171】
図17は、補正点データ組CP#q、CP#(q+1)にそれぞれに対応するガンマカーブの形状と、補正点データ組CP_Lに対応するガンマカーブの形状を概念的に示すグラフである。補正点データ組CP_Lの補正点データCPαが、補正点データ組CP#q、CP#(q+1)それぞれの補正点データCPα(#q)、CPα(#q+1)の補間計算により算出される結果(αは、0以上5以下の整数)、補正点データ組CP_Lに対応するガンマカーブは、補正点データ組CP#q、CP#(q+1)にそれぞれに対応するガンマカーブの間にあるような形状になる。
【0172】
図14Aに戻り、補正点データ組CP_Lが決定された後、補正点データ組CP_Lが、分散データDσ2に記述されている分散σAVE_kに応じて修正される(ステップS14)。修正された補正点データ組CP_Lが、補正点データ組CP_selとして、最終的に近似演算補正回路15に供給される(ステップS14A)。
【0173】
図18は、補正点データ組CP_Lを、分散σAVE_kに基づいて修正することの技術的意義を示す概念図である。分散σAVE_kが大きいことは、APLAVE_kから離れた階調の副画素が多いことを意味しており、言い換えれば、画像のコントラストが大きいことを意味している。画像のコントラストが大きい場合には、コントラストを強調するように近似演算補正回路15における補正演算を行うことで、LEDバックライト8の輝度を抑制したまま、当該画像のコントラストを表現できるようになる。
【0174】
補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4は、コントラストに及ぼす影響が大きいので、本実施形態では、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4が分散σAVE_kに応じて制御される。補正点データ組CP_Lの補正点データCP1の修正は、分散σAVE_kが大きいほど、最終的に近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_selの補正点データCP1が小さくなるように行われる。また、補正点データ組CP_Lの補正点データCP4の修正は、分散σAVE_kが大きいほど、最終的に近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_selの補正点データCP4が小さくなるように行われる。このような修正により、画像のコントラストが大きい場合には、コントラストを強調するように近似演算補正回路15における補正演算が行われることになる。なお、本実施形態では、補正点データ組CP_Lの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5については修正が行われない。即ち、補正点データ組CP_selの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5は、補正点データ組CP_Lの補正点データCP0、CP2、CP3、CP5と同一の値である。
【0175】
一実施形態では、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4は、次式で算出される:
CP1_sel=CP1_L−(DINMAX−σAVE_R)・ξ ・・・(12a)
CP1_sel=CP1_L−(DINMAX−σAVE_G)・ξ ・・・(12b)
CP1_sel=CP1_L−(DINMAX−σAVE_B)・ξ ・・・(12c)
CP4_sel=CP4_L+(DINMAX−σAVE_R)・ξ ・・・(13a)
CP4_sel=CP4_L+(DINMAX−σAVE_G)・ξ ・・・(13b)
CP4_sel=CP4_L+(DINMAX−σAVE_B)・ξ ・・・(13c)
ここで、DINMAXは、入力画像データDIN1、DIN2の許容最大値である。また、ξ、ξ、ξは、所定の比例定数である。ξ、ξ、ξは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、CP1_sel、CP4_selは、それぞれ、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4であり、CP1_L、CP4_Lは、それぞれ、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4である。
【0176】
図19は、上記の式で補正点データCP1、CP4の修正を行った場合における、階調の分布(ヒストグラム)と、補正演算の内容との関係を概念的に示している。APLAVE_kが同一であっても、コントラストが相違すると、分散σAVE_kは相違する。階調がAPLAVE_kに近い副画素が多い画像では、コントラストが小さく、この場合、分散σAVE_kが小さくなる。このような場合、補正点データCP1が小さくなり、且つ、補正点データCP4が大きくなるように修正が行われることで、コントラストが強調される(右欄)。一方、階調がAPLAVE_kから離れている副画素が多い画像では、コントラストが大きく、この場合、分散σAVE_kが大きくなる。このような場合、補正点データCP1、CP4に対して小さな修正しかなされず、コントラストは強調されない(欄)。上記の式(12a)〜(12c)、(13a)〜(13c)が、このような条件を満たすことは理解されよう。
【0177】
図14Aに戻り、ドライバIC6−1、6−2の近似演算補正回路15の近似演算ユニット15R、15G、15Bは、それぞれ、このようにして算出された補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを用いて入力画像データDINi、DINi、及びDINiに対して補正演算を行い、出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTを生成する(ステップS15A)。
【0178】
ドライバIC6−iの各近似演算ユニット15は、下記式によって入力画像データDINiから出力画像データDOUTを演算する:
(1)DINi<DINCenter、且つ、CP1>CP0の場合:
【数4】
補正点データCP1が補正点データCP0よりも大きいということは、ガンマ補正に使用されるガンマ値γが1より小さいことを意味していることに留意されたい。
【0179】
(2)DINi<DINCenter、且つ、CP1≦CP0の場合:
【数5】
補正点データCP1が補正点データCP0以下であるということは、ガンマ補正に使用されるガンマ値γが1以上であることを意味していることに留意されたい。
【0180】
(3)DINi>DINCenterの場合:
【数6】
【0181】
ここで、中間データ値DINCenterとは、入力画像データDINiの許容最大値DINMAXを用いて下記式:
INCenter=DINMAX/2, ・・・(15)
で定義される値である。また、Kは、上述の式(7)で与えられるパラメータである。更に、式(14a)〜(14c)に現れるDINS、PDINS、NDINSは、下記のように定義される値である:
(a)DINS
INSは、入力画像データDINiに依存して決まる値であり、下記式で与えられる:
【数7】
【0182】
(b)PDINS
PDINSは、式(17b)で定義されるパラメータRを用いて、下記式(17a)で定義される:
【数8】
式(16a)、(16b)、(17b)から理解されるように、パラメータRは、DINiの1/2乗に比例する値であり、従って、PDINSは、入力画像データDINiの1/2乗に比例する項、及び1乗に比例する項を含む式で算出される値である。
【0183】
(c)NDINS
NDINSは、下記式で与えられる:
【数9】
式(16a)、(16b)、(18)から理解されるように、NDINSは、入力画像データDINiの2乗に比例する項を含む式で算出される値である。
【0184】
近似演算補正回路15において上記の一連の式によって算出された出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTが、減色処理回路16に送られる。減色処理回路16では、出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTに対して減色処理を行われ、減色画像データDOUT_Dが生成される。減色画像データDOUT_Dは、ラッチ回路17を介してデータ線駆動回路18に送られ、LCDパネル5のデータ線は、減色画像データDOUT_Dに応じて駆動される。
【0185】
一方、図14Bは、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されるAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合の補正点データ算出回路24の動作を示すフローチャートである。この場合、現フレーム全画面特徴データDCHR_C及び前フレーム全画面特徴データDCHR_Pは、いずれも、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLAVEを記述するAPLデータDAPL、及び、σAVEを記述する分散データDσ2を含んでいることに留意されたい。補正点データ算出回路24は、このような内容の現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pから、近似演算補正回路15に供給される補正点データ組CP_selを決定する。
【0186】
まず、通信確認回路36から送られる通信確認信号SCMFに応答して、現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれかが選択特徴データとして選択される(ステップS11B)。選択特徴データが現フレーム全画面特徴データDCHR_C又は前フレーム全画面特徴データDCHR_Pのいずれであっても、選択特徴データは、APLAVEを記述するAPLデータDAPL、及び、σAVEを記述する分散データDσ2を含んでいることに留意されたい。
【0187】
更に、補間演算/選択回路38bにより、選択特徴データに含まれているAPLデータDAPLに応じてガンマ値が決定される(ステップS12B)。ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されるAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合、ガンマ値γは、全ての色に共通の値として決定される。ここで、ガンマ値γは、APLデータDAPLに記述されているAPLAVEが大きいほど大きくなるように決定される。ガンマ値γは、例えば、次式で決定される:
γ=γSTD+APLAVE・η ・・・(19)
ここで、γSTDは、基準となるガンマ値であり、また、ηは、所定の比例定数である。
【0188】
ガンマ値γが決定された後、補間演算/選択回路38bにより、ガンマ値γに応じて、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが決定される(ステップS13B)。なお、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されるAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lは、互いに等しくなるように決定されることに留意されたい。
【0189】
一実施形態では、APLAVEに応じて上述の補正点データ組CP#1〜CP#mのいずれかを選択し、選択した補正点データ組を補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lとして決定してもよい。このようにして補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが決定された場合のAPLAVE、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係は、上述の図15に図示されているとおりである。
【0190】
他の実施形態では、次のようにして補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lを決定してもよい。まず、APLデータDAPLに記述されているAPLAVEの上位(M−N)ビットに応じて、補正点データ組格納レジスタ38aに格納されている補正点データ組CP#1〜CP#mのうちの2つの補正点データ組:補正点データ組CP#q、CP#(q+1)を選択する。ここで、上述されているように、Mは、APLAVEのビット数であり、Nは、所定の定数である。また、qは、1以上m−1以下の整数である。APLAVEが大きいほど、ガンマ値γは大きく設定され、よりqの値が大きいような補正点データ組CP#q、CP#(q+1)が選択される。
【0191】
更に、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lの補正点データCP0〜CP5が、それぞれ、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5の補間計算によって算出される。より具体的には、補正点データ組CP_L(kは、”R”、”G”、”B”の任意)の補正点データCP0〜CP5は、選択した2つの補正点データ組CP#q、CP#(q+1)の補正点データCP0〜CP5から、下記式で算出される。
CPα_L=CPα(#q)+
{(CPα(#q+1)−CPα(#q)/2}×APLAVE[N−1:0],
・・・(20)
α:0以上、5以下の整数
CPα_L:補正点データ組CP_Lの補正点データCPα
CPα(#q):選択された補正点データ組CP#qの補正点データCPα
CPα(#q+1):選択された補正点データ組CP#(q+1)の補正点データCPα
APLAVE[N−1:0]:APLAVEの下位Nビット
【0192】
補正点データ組CP_Lがこのようにして決定された時のAPLAVE、γ、及び、補正点データ組CP_Lの関係は、図16に図示されているとおりである。また、補正点データ組CP#q、CP#(q+1)にそれぞれに対応するガンマカーブの形状と、補正点データ組CP_Lに対応するガンマカーブの形状は、図17に図示されているとおりである。
【0193】
図14Bに戻り、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが決定された後、補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが、分散データDσ2に記述されている分散σAVEに応じて修正される(ステップS14B)。修正された補正点データ組CP_L、CP_L、CP_Lが、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selとして、最終的に近似演算補正回路15に供給される(ステップS14B)。ここで、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されるAPLと画素の輝度の二乗平均の組み合わせが採用される場合、補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selは、互いに等しくなるように決定されることに留意されたい。
【0194】
一実施形態では、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4は、次式で算出される:
CP1_sel=CP1_L−(DINMAX−σAVE)・ξ ・・・(12a)
CP4_sel=CP4_L+(DINMAX−σAVE)・ξ ・・・(13a)
ここで、DINMAXは、入力画像データDIN1、DIN2の許容最大値である。また、ξは、所定の比例定数である。また、CP1_sel、CP4_selは、それぞれ、補正点データ組CP_selの補正点データCP1、CP4であり、CP1_L、CP4_Lは、それぞれ、補正点データ組CP_Lの補正点データCP1、CP4である。上記の式で補正点データCP1、CP4の修正を行った場合における、階調の分布(ヒストグラム)と、補正演算の内容との関係は、図19に図示されているとおりである。
【0195】
図14Bに戻り、ドライバIC6−1、6−2の近似演算補正回路15の近似演算ユニット15R、15G、15Bは、それぞれ、このようにして算出された補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selを用いて入力画像データDINi、DINi、及びDINiに対して補正演算を行い、出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTを生成する(ステップS15B)。補正点データ組CP_sel、CP_sel、CP_selに応じた補正演算により、入力画像データDINi、DINi、及びDINiから出力画像データDOUT、DOUT、及びDOUTを生成する演算は、ドライバIC6−1、6−2の間で交換される特徴量として、各色について算出された、APLと副画素の階調の二乗平均の組み合わせが採用される場合と同一である(上記の式(14a)〜(14c)、(15)、(16a)、(16b)、(17a)、(17b)、(18)参照))。
【0196】
以上に説明されているように、本実施形態の表示装置では、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、ドライバIC6−1、6−2の間で交換された特徴データに基づいてLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量が算出され、算出された特徴量に応じて入力画像データDIN1、DIN2に対して補正演算が行われる。このような動作によれば、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて算出されたLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。言い換えれば、追加の画像処理IC(図2参照)を用いずにLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。これは、コストの低減に寄与する。その一方で、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれには、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体に対応する画像データを送信する必要がない。即ち、ドライバIC6−1には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1の画像に対応する入力画像データDIN1が送信され、ドライバIC6−2には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−2の画像に対応する入力画像データDIN2が送信される。したがって、本実施形態の表示装置では、必要なデータ転送速度を低減させることができる。
【0197】
更に、ドライバIC6−1、6−2の間の特徴データの通信が正常に行われなかった場合、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに示されている特徴量を用いて補正演算を行うので、通信が正常に行われなかった場合でも、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になってしまうことを防ぐことができる。
【0198】
なお、以上には、2つのドライバIC6−1、6−2でLCDパネル5の表示領域の画素が駆動される構成が図示されているが、3以上のドライバICによってLCDパネル5の表示領域の画素が駆動されてもよい。図20は、3つのドライバIC6−1〜6−3でLCDパネル5の表示領域の画素が駆動される構成を示す図である。
【0199】
図20の構成では、LCDパネル5に通信バス10が形成され、ドライバIC6−1〜6−3は、通信バス10を通じてチップ間通信データDCHIP、より具体的には、特徴データと通信状態通知データとを交換する。ドライバIC6−1〜6−3のそれぞれは、自らが生成した特徴データ(DCHR_i)と外部から受け取った特徴データ(DCHR_IN)とから、現フレーム全画面特徴データを算出する。上述のように、ドライバIC6−1〜6−3の間で交換される特徴量として、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出されたAPL及び階調の二乗平均が使用される場合、特徴データDCHR_1、DCHR_2、DCHR_3に記述されているAPLの平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLとして算出され、特徴データDCHR_1、DCHR_2、DCHR_3に記述されている副画素の階調の二乗平均の平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の副画素の階調の二乗平均として算出される。更に、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均から副画素の階調の分散が算出され、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと副画素の階調の分散に応じた補正演算が行われる。また、ドライバIC6−1〜6−3の間で交換される特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されたAPL及び画素の輝度の二乗平均が使用される場合、特徴データDCHR_1、DCHR_2、DCHR_3に記述されているAPLの平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLとして算出され、特徴データDCHR_1、DCHR_2、DCHR_3に記述されている画素の輝度の二乗平均の平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の画素の輝度の二乗平均として算出される。更に、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと画素の輝度の二乗平均から画素の輝度の分散が算出され、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと画素の輝度の分散に応じた補正演算が行われる。
【0200】
更に、ドライバIC6−1〜6−3のそれぞれは、自らが生成した通信状態通知データDST_OUTと外部から受け取った通信状態通知データDST_INの全てが通信ACKデータである場合、現フレーム全画面特徴データを選択し、そうでない場合、前フレーム全画面特徴データを選択する。このような動作によれば、3個以上のドライバICが含まれる表示装置において、通信が正常に行われなかった場合でも、全てのドライバICにおいて同一の補正演算を行うことができる。
【0201】
(第2の実施形態)
図21は、本発明の第2の実施形態における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、LCDパネル5が2つのドライバIC6−1、6−2で駆動される。第2の実施形態におけるドライバIC6−1、6−2の構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。ただし、第2の実施形態では、ドライバIC6−1、6−2における補正演算を統一するための動作(即ち、ドライバIC6−1、6−2において同一の補正演算を行わせるための動作)が、第1の実施形態と異なっている。
【0202】
第2の実施形態では、ドライバIC6−1、6−2の一方が、マスタードライバとして動作し、他方がスレーブドライバとして動作する。ここで、マスタードライバとは、ドライバIC6−1、6−2における補正演算を統一するための動作を制御するドライバである。スレーブドライバは、マスタードライバによる制御の下で補正演算を行うドライバである。以下の説明では、ドライバIC6−1がスレーブドライバ、ドライバIC6−2がマスタードライバとして動作する場合について説明する。
【0203】
図22は、本実施形態におけるドライバIC6−1、6−2の動作を示す図である。まず、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれの特徴データ演算回路22において、それぞれ、入力画像データDIN1、DIN2が分析され、特徴データDCHR_1、DCHR_2が算出される(ステップS21)。上述のように、特徴データDCHR_1は、LCDパネル5の第1部分9−1に表示される画像の特徴量を示すデータであり、ドライバIC6−1に供給される入力画像データDIN1から算出される。同様に、特徴データDCHR_2は、LCDパネル5の第1部分9−2に表示される画像の特徴量を示すデータであり、ドライバIC6−2に供給される入力画像データDIN2から算出される。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて算出される特徴量として、R副画素、G副画素、B副画素のそれぞれについて算出されたAPL及び副画素の階調の二乗平均を使用してもよい。また、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて算出される特徴量としては、画素の輝度の平均値として算出されたAPL及び画素の輝度の二乗平均を使用してもよい。
【0204】
続いて、スレーブドライバであるドライバIC6−1からマスタードライバであるドライバIC6−2に、ドライバIC6−1において算出された特徴データDCHR_1が送られる(ステップS22)。詳細には、ドライバIC6−1は、特徴データ算出回路31によって算出された特徴データDCHR_1に誤り検出符号を付加した出力特徴データDCHR_OUTをドライバIC6−2に送信する。誤り検出符号の付加は、誤り検出符号追加回路32によって行われる。ドライバIC6−2は、ドライバIC6−1が送信した出力特徴データDCHR_OUTを、入力特徴データDCHR_INとして受信する。
【0205】
マスタードライバであるドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INに付加された誤り検出符号を用いて、ドライバIC6−1から送信された入力特徴データDCHR_INが正常に受信できたかを判断する(ステップS23)。詳細には、ドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INにデータ誤りを検出しなかった場合(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、訂正不可能なデータ誤りを検出しなかった場合)、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを生成する。一方、データ誤りを検出した場合、(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合)、ドライバIC6−2のチップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。
【0206】
ステップS23において、マスタードライバであるドライバIC6−2が、ドライバIC6−1から送信された入力特徴データDCHR_INを正常に受信できたと判断した場合、以下に述べられるステップS24〜S27の動作が行われる。
【0207】
ステップS24では、まず、マスタードライバであるドライバIC6−2は、全画面特徴データ演算回路34において、ドライバIC6−1から受け取った入力特徴データDCHR_IN(即ち、特徴データDCHR_1)と、ドライバIC6−2が自ら算出した特徴データDCHR_2とから、現フレーム全画面特徴データを算出する。現フレーム全画面特徴データの算出方法は、第1の実施形態と同様である。例えば、特徴量として、各色について算出されたAPL及び階調の二乗平均が使用される場合、特徴データDCHR_1、DCHR_2に記述されているAPLの平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLとして算出され、特徴データDCHR_1、DCHR_2に記述されている二乗平均の平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体についての画素の階調の二乗平均として算出される。更に、各色について算出された、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと副画素の階調の二乗平均とから、副画素の階調の分散が算出される。補正演算は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと副画素の階調の分散に応じて行われる。また、特徴量として、画素の輝度の平均値として算出されたAPL及び画素の輝度の二乗平均が使用される場合、特徴データDCHR_1、DCHR_2に記述されているAPLの平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLとして算出され、特徴データDCHR_1、DCHR_2に記述されている輝度の二乗平均の平均値が、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体についての画素の輝度の二乗平均として算出される。更に、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体について算出されたAPLと画素の輝度の二乗平均とから、画素の輝度の分散が算出される。補正演算は、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体のAPLと画素の輝度の分散に応じて行われる。
【0208】
ステップS24では、更に、マスタードライバであるドライバIC6−2は、現フレーム全画面特徴データに誤り訂正符号を追加したデータを、出力特徴データDCHR_OUTとして生成し、生成した出力特徴データDCHR_OUTと、通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTとをスレーブドライバであるドライバIC6−1に送信する。この場合、ドライバIC6−1は、現フレーム全画面特徴データに誤り訂正符号を追加したデータを入力特徴データDCHR_INとして受信し、通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTを通信状態通知データDST_INとして受信することになる。
【0209】
続いて、スレーブドライバであるドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INに付加された誤り検出符号を用いて、ドライバIC6−2から送信された入力特徴データDCHR_IN(即ち、現フレーム全画面特徴データ)が正常に受信できたかを判断する(ステップS25)。詳細には、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_IN(即ち、誤り検出符号が付加された現フレーム全画面特徴データ)にデータ誤りを検出しなかった場合(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、訂正不可能なデータ誤りを検出しなかった場合)、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信ACKデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS26)。
【0210】
一方、ステップS25においてデータ誤りを検出した場合、(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合)、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信NGデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS27)。
【0211】
更に、ステップS23において、マスタードライバであるドライバIC6−2が、ドライバIC6−1から送信された入力特徴データDCHR_INを正常に受信しなかったと判断した場合、以下に述べられるステップS28〜S31の動作が行われる。
【0212】
ステップS28では、マスタードライバであるドライバIC6−2は、現フレーム全画面特徴データと同一形式のダミーデータに誤り訂正符号を追加したデータを、出力特徴データDCHR_OUTとして生成し、生成した出力特徴データDCHR_OUTと、通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTとをスレーブドライバであるドライバIC6−1に送信する。この場合、ドライバIC6−1は、ダミーデータに誤り訂正符号を追加したデータを入力特徴データDCHR_INとして受信し、通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTを通信状態通知データDST_INとして受信することになる。
【0213】
続いて、スレーブドライバであるドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_INに付加された誤り検出符号を用いて、ドライバIC6−2から送信された入力特徴データDCHR_IN(即ち、ダミーデータ)が正常に受信できたかを判断する(ステップS29)。詳細には、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、入力特徴データDCHR_IN(即ち、誤り検出符号が付加されたダミーデータ)にデータ誤りを検出しなかった場合(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、訂正不可能なデータ誤りを検出しなかった場合)、入力特徴データDCHR_INを正常に受信したと判断し、通信状態通知データDST_OUTとして通信ACKデータを出力する。通信ACKデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信ACKデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS30)。
【0214】
一方、ステップS29においてデータ誤りを検出した場合、(又は、誤り訂正符号が使用された場合には、誤り訂正が不可能であるような誤りを検出した場合)、ドライバIC6−1のチップ間通信検出回路33は、通信状態通知データDST_OUTとして通信NGデータを出力する。通信NGデータを含む通信状態通知データDST_OUTは、ドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる。即ち、通信NGデータがドライバIC6−1からドライバIC6−2に送られる(ステップS31)。
【0215】
ドライバIC6−1、6−2のそれぞれは、それぞれのチップ間通信検出回路33によって生成された通信状態通知データDST_OUTと、外部から受け取った通信状態通知データDST_INとから、現フレーム全画面特徴データ又は前フレーム全画面特徴データのいずれを用いて補正演算を行うか(即ち、現フレーム全画面特徴データ又は前フレーム全画面特徴データのいずれから補正点データ組CP_sel)を生成するかを選択する。ドライバIC6−1、6−2のそれぞれは、それぞれのチップ間通信検出回路33によって生成された通信状態通知データDST_OUTと、外部から受け取った通信状態通知データDST_INとの両方が通信ACKデータである場合に現フレーム全画面特徴データを選択する。ここで、ドライバIC6−2においては、ドライバIC6−2に含まれる全画面特徴データ演算回路34によって算出された現フレーム全画面特徴データが選択され、ドライバIC6−1においては、ドライバIC6−2から送信された現フレーム全画面特徴データが選択される。現フレーム全画面特徴データが選択された場合、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、演算結果格納メモリ23の内容が、現フレーム全画面特徴データに更新される。
【0216】
通信状態通知データDST_OUT、DST_INの少なくとも一方が通信NGデータである場合、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれは、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データを選択する。ここで、スレーブドライバであるドライバIC6−1は、マスタードライバであるドライバIC6−2から通信NGデータを受け取った場合(即ち、正常に特徴データDCHR_1を受け取らなかった場合)には、現フレーム全画面特徴データではなくダミーデータを受け取ることになる。しかしながら、この場合には前フレーム全画面特徴データが選択されるので、動作に支障はない。
【0217】
本実施形態の表示装置においても、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体について算出された特徴量に応じて入力画像データDIN1、DIN2に対して補正演算が行われる。このような動作によれば、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれにおいて算出されたLCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体の特徴量に応じた補正演算を行うことができる。その一方で、ドライバIC6−1、6−2のそれぞれには、LCDパネル5の表示領域に表示される画像の全体に対応する画像データを送信する必要がない。即ち、ドライバIC6−1には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1の画像に対応する入力画像データDIN1が送信され、ドライバIC6−2には、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−2の画像に対応する入力画像データDIN2が送信される。したがって、本実施形態の表示装置では、必要なデータ転送速度を低減させることができる。
【0218】
更に、ドライバIC6−1、6−2の間の特徴データ(又は現フレーム全画面特徴データ)の通信が正常に行われなかった場合、演算結果格納メモリ23に格納されている前フレーム全画面特徴データDCHR_Pに示されている特徴量を用いて補正演算を行うので、通信が正常に行われなかった場合でも、LCDパネル5の表示領域の第1部分9−1、第2部分9−2の境界が視覚的に認識可能になってしまうことを防ぐことができる。
【0219】
なお、以上に述べられた第2の実施形態では、液晶表示装置が2個のドライバICを含む構成が説明されているが、スレーブドライバの数を増やすことにより(即ち、上記のドライバIC6−1の動作と同一の動作を行うドライバICの数を増やすことにより)、3個以上のドライバICを含む表示装置を実現することもできる。この場合、マスタードライバは、全てのスレーブドライバから、特徴データ及び通信状態通知データを受け取るとともに、全てのスレーブドライバに現フレーム全画面特徴データ及び通信状態通知データを送信する。各ドライバIC(マスタードライバ、スレーブドライバ)は、自らが生成した通信状態通知データと外部から受け取った通信状態通知データの全てが通信ACKデータである場合、現フレーム全画面特徴データを選択し、そうでない場合、前フレーム全画面特徴データを選択する。このような動作によれば、3個以上のドライバICが含まれる表示装置において、通信が正常に行われなかった場合でも、全てのドライバICにおいて同一の補正演算を行うことができる。
【0220】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記載されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が、様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。特に、上記には本発明が液晶表示装置に適用された実施形態が説明されているが、本発明は、補正演算を行う表示パネルドライバを含む表示装置一般に適用可能であることに留意されたい。
【符号の説明】
【0221】
1 :本体ブロック
2 :液晶表示ブロック
3 :FPC
4 :CPU
5 :LCDパネル
6−1、6−2、6−3:ドライバIC
7 :LEDドライバ
8 :LEDバックライト
9−1 :第1部分
9−2 :第2部分
10 :通信バス
11 :メモリ制御回路
12 :表示用メモリ
13 :チップ間通信回路
14 :補正点データ組供給回路
15 :近似演算補正回路
15R、15G、15B、15k:近似演算ユニット
16 :減色処理回路
17 :ラッチ回路
18 :データ線駆動回路
19 :階調電圧発生回路
20 :タイミング制御回路
21 :バックライト輝度調整回路
22 :特徴データ演算回路
23 :演算結果格納メモリ
24 :補正点データ算出回路
31 :特徴データ算出回路
32 :誤り検出符号追加回路
33 :チップ間通信検出回路
34 :全画面特徴データ演算回路
35 :通信状態格納メモリ
36 :通信確認回路
37 :特徴データ選択回路
38a :補正点データ組格納レジスタ
38b :補間演算/選択回路
39 :補正点データ加減算回路
101 :本体ブロック
102 :液晶表示ブロック
103 :FPC
104 :CPU
105 :LCDパネル
106、106−1、106−2:ドライバIC
106a :画像データ補正回路
107 :ドライバ
107 :LEDドライバ
108 :LEDバックライト
109 :画像処理IC
109a :画像データ補正回路
CP_L:補正点データ組
CP_L:補正点データ組
CP_L:補正点データ組
CP_L:補正点データ組
CP_sel:補正点データ組
CP_sel:補正点データ組
CP_sel:補正点データ組
CP_sel:補正点データ組
CP0〜CP5 :補正点データ
APL :APLデータ
CHIP:チップ間通信データ
CHR_1、DCHR_2:特徴データ
CHR_C:現フレーム全画面特徴データ
CHR_IN:入力特徴データ
CHR_OUT:出力特徴データ
CHR_P:前フレーム全画面特徴データ
IN1、DIN2、DIN3、DINi、DINi、DINi、DINi:入力画像データ
INCenter:中間データ値
INMAX:許容最大値
OUT、DOUT、DOUT、DOUT、DOUT:出力画像データ
OUT_D:減色画像データ
ST_IN:通信状態通知データ
ST_OUT:通信状態通知データ
SYNC1、DSYNC2、DSYNCi:同期データ
σ2 :分散データ
SYNC:水平同期信号
DRV :LED駆動電流
CMF :通信確認信号
FRM :フレーム信号
M_CTRL:表示用メモリ制御信号
PWM :輝度制御信号
STB :ラッチ信号
SYNC:垂直同期信号
図1
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図14A
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