特許第6046474号(P6046474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6046474-砂分離装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046474
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】砂分離装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 7/00 20060101AFI20161206BHJP
   B04C 5/04 20060101ALI20161206BHJP
   B04C 9/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   E02F7/00 C
   B04C5/04
   B04C9/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-271931(P2012-271931)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118672(P2014-118672A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592087599
【氏名又は名称】敬産興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099254
【弁理士】
【氏名又は名称】役 昌明
(74)【代理人】
【識別番号】100108729
【弁理士】
【氏名又は名称】林 紘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139675
【弁理士】
【氏名又は名称】役 学
(72)【発明者】
【氏名】藤井 敬次
(72)【発明者】
【氏名】中原 修
(72)【発明者】
【氏名】前田 典彦
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−208456(JP,A)
【文献】 特開2013−043148(JP,A)
【文献】 特開平10−230188(JP,A)
【文献】 特開平10−137630(JP,A)
【文献】 実開平06−048843(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 7/00
B04C 9/00
B01D 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板および該底板の縁に立設された2本の柱部材よりなる架台の下半体と、
3本のチャンネル部材を下向きに開いたコ字形に形成した2組を平行に配置して桟で結合した架台の上半体と、
上記下半体の底板に固定される水中ポンプと、
上記上半体に固定される液体サイクロンと、
上記下半体の2本の柱部材に対して上記上半体を高さを調整して結合することにより架台を形成する手段とを具備し、
上記下半体、水中ポンプ、上半体、液体サイクロンを作業現場の使用済の安定液を貯留する水槽の深さに合わせて組み立てることを特徴とする砂分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築、土木工事における現場築造杭、地中連続壁等で使用された砂分が多いベントナイト安定液等の粘土を含む水(以下「使用済の安定液」という。)から、砂を分離する砂分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済の安定液を取り扱う建築や土木工事においては、使用される多くの機械や設備が大型でしかも大重量であるから、現場の作業スペースが狭い場合には、同時に遂行する鉄筋組立て等の他の作業スペースと重複する。そのために、複数の作業が、相互に支障となり、作業性が低下し、省力化、省エネルギー、コストなどの点から見ても問題であった。
【0003】
従来の使用済の安定液から砂を分離する装置は、水槽の上部に砂を分離する液体サイクロンを設け、この液体サイクロンの下方に受樋を設け、この受樋の最低部付近に砂排出管を設け、水槽の下部および底部にそれぞれテーパー面およびピットを設け、水槽の底部に水中ポンプを設けた砂分離装置が、下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−131714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の砂分離装置は、水槽と、この水槽の上部に設けられた液体サイクロンと、水中ポンプなどを予め組み立てた状態で各工事現場へ運搬され、据え付けて使用している。なお、水中ポンプは、水槽に入れられた砂分が多い処理前の安定液を液体サイクロンへ圧送するするために使用される。
【0006】
水槽は、大型トラックで運搬可能な大きさと重量に製作され、寸法は、幅2.3m、高さ2.5m、長さ8.4mで、重量は、約10tonである。このような寸法および重量は、すべての工事現場に適用できるものではなかった。
【0007】
そこで、この発明の砂分離装置は、工事現場に存在する水槽、またはリースなどにより入手容易な水槽を活用して、使用済の安定液より砂を分離するために考えられたものでる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の砂分離装置は、底板および該底板の縁に立設された2本の柱部材よりなる架台の下半体と、3本のチャンネル部材を下向きに開いたコ字形に形成した2組を平行に配置して桟で結合した架台の上半体と、上記下半体の底板に固定される水中ポンプと、上記上半体に固定される液体サイクロンと、上記下半体の2本の柱部材に対して上記上半体を高さを調整して結合することにより架台を形成する手段とを具備し、上記下半体、水中ポンプ、上半体、液体サイクロンを作業現場の使用済の安定液を貯留する水槽の深さに合わせて組み立てるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の砂分離装置によると、工事現場の規模や状況に対応する水槽を選択し、この選択された各種の水槽の大きさおよび形状に合わせて、上半体および下半体よりなる架台、液体サイクロン、水中ポンプを工事現場で組立てるように構成されているので、水槽のどの位置にでも設置することができる。また、砂分離装置を分解した状態で運送できるので、嵩張ることなく大型車両を必要としない。
【0010】
1セットの砂分離装置では能力が不足する場合には、水槽のどの位置にでも複数セットの砂分離装置を追加して設置して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の砂分離装置の実施形態を示す側面図、
図2】この実施形態を示す正面図、
図3】この実施形態を示す平面図、
図4】この実施形態において使用する架台の側面図、
図5】この実施形態を組み立てる途中の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の砂分離装置は、図4の側面図に示すように、下半体10および上半体20よりなる架台と、図5の側面図に示すように、架台1の下半体10に固定される水中ポンプ4と、架台1の上半体20に固定される液体サイクロン3とにより構成される。
【0013】
図4の側面図に示すように、架台の下半体10は、水中ポンプ4を載せて固定する鉄板よりなる底板11と、この底板11の縁に立設されたL型チャンネル部材よりなる2本の柱部材12と、底板11と柱部材12との間に斜めに設けた補強材14とにより構成される。
【0014】
架台の下半体10の2本の柱部材12の上部には、ボルトを挿通する複数の孔13が等間隔にそれぞれ開けられている。
【0015】
架台の上半体20は、図4の側面図に示すように、3本のL型チャンネル部材21、22、23を下向きに開いたコ字形に組み立てたものを2組用意し、この2組を平行に配置して桟25、26(図3参照)で結合したものであって、水槽5(図1参照)の側壁51を跨がるように配置されるものである。
【0016】
この上半体20の水槽5の内側に配置されるチャンネル部材21の下部にもボルトを挿通する複数の孔24が等間隔にそれぞれ開けられており、下半体10の柱部材12に開けた孔13と位置合わせしてボルトを挿通し、上半体20を所望の高さに設定してナットを締め付けて固定することにより架台を形成する。
【0017】
上半体20の頂部には、図3の平面図に示すように、L型チャンネル部材22とL型チャンネル部材25、26よりなる長方形の枠が形成されており、L型チャンネル部材26には、液体サイクロン3を挿し込む2つの切欠き27をあけた鉄板28が固定されている。この鉄板28と上半体20のチャンネル部材23の間に斜めに補強材29が設けられている。
【0018】
この鉄板28の2つの切欠き27に、2本の液体サイクロン3をそれぞれ嵌め込んで固定する。液体サイクロン3は、使用済の安定液を流入口31より円筒型胴部に接線方向に流入させ、回転流により生じる遠心力を利用して、固体粒子(砂)を速やかに沈降させて流体から分離する装置である。この発明においては、2本の液体サイクロン3を左右対称に配置して使用している。
【0019】
液体サイクロン3によって分離された固体粒子は、下の砂吐出口32から排出され、固体粒子を除いた安定液は、上の吐出口33から排出されて繰り返し利用される。
【0020】
以上で説明した構成の砂分離装置を工事現場に設置して使用する手順を説明する。
【0021】
作業現場のスペースに合わせた使用済の安定液を貯留する長方形の水槽5(図1参照)を用意する。図5の側面図に示すように、この水槽5の内壁面51に近い位置の底面に、水中ポンプ4を固定した下半体10を据え付ける。
【0022】
予め2本の液体サイクロン3を連結して固定した上半体20を吊り下げて、下半体10の上まて移動させて、下半体10の柱部材12と上半体20のチャンネル部材21とを、水槽5の深さに合わせて、上半体20を所望の高さに設定する。
【0023】
そして、図1に示すように、下半体10の柱部材12の孔13と上半体20のチャンネル部材21の孔24にボルトを挿通して、ナットを締めて下半体10と上半体20を固定して所望高さの架台1を形成する。
【0024】
水中ポンプ4の吐出口41と液体サイクロン3の流入口31との間に可撓性のホース2を接続する。
【0025】
このような組み立てに際して、下半体10および上半体20よりなる架台1が、水槽5に接触すると、水中ポンプ4の振動が水槽5に伝わって騒音を発生することがあるので、接触部分があれば、そこにクッション材を介在させることが望ましい。
【0026】
現場築造杭や地中連続壁などの工事で使用されて、砂分を多く含むベントナイト安定液等の粘土を含む使用済の安定液を水槽5に入れる。水中ポンプ4を起動すると、未処理の安定液が可撓性のホース2を経て2本の液体サイクロン3の流入口31へ圧送される。
【0027】
液体サイクロン3において、接線方向に流入して生じた回転流の遠心力により、固体粒子(砂)を速やかに内壁面側へ沈降させて流体から分離し、内壁面に沿って降下させて砂吐出口32から排出させる。一方、砂を分離した安定液は、上側の安定液吐出口33より排出させて繰り返し使用される。
【符号の説明】
【0028】
1 架台
2 可撓性のホース
3 液体サイクロン
4 水中ポンプ
5 水槽
10 下半体
20 上半体
図1
図2
図3
図4
図5