(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスピニングリールでは、本体ガードを筐体部及び蓋部材に当接させて位置決めしているので、本体ガードが蓋部材及び筐体部の少なくともいずれかに対して位置ずれを起こすおそれがある。本体ガードが蓋部材及び筐体部の少なくともいずれかに対して位置ずれすると、本体ガードと筐体部及び蓋部材との間に段差が生じたり、本体ガードがガタついたりするおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、スピニングリールのリール本体において、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかと本体ガードとの位置ずれを生じにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係るスピニングリールは、釣り竿を装着可能であり、釣り糸を前方に繰り出し可能である。スピニングリールは、ハンドルと、スプールと、ロータと、オシレーティング機構と、ロータ駆動機構と、リール本体と、を備える。スプールは、釣り糸が巻き付けられる。ロータは、スプールに釣り糸を巻き付け可能である。オシレーティング機構は、スプールをハンドルの回転によって前後移動させる。ロータ駆動機構は、ロータをハンドルの回転によって回転させる。リール本体は、竿取付脚と、筐体部と、蓋部材と、本体ガードと、突出部と、規制部と、有する。リール本体は、筐体部及び蓋部材のいずれかに竿取付脚が設けられる。竿取付脚は、釣り竿を装着可能である。筐体部は、オシレーティング機構及びロータ駆動機構を収納するための開口する機構装着空間を有する。蓋部材は、筐体部の機構装着空間を覆う。本体ガードは、筐体部及び蓋部材の後方を覆う先細りのものである。突出部は、本体ガードの竿取付脚から離れる側の内側面に筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに向けて突出する。規制部は、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに設けられ、突出部に係合して本体ガードの竿取付脚から離れる方向の移動を規制する。
【0007】
このスピニングリールでは、筐体部の機構装着空間内にロータ駆動機構及びオシレーティング機構を装着し、蓋部材を筐体部に装着した後に本体ガードを筐体部及び蓋部材の後面を覆うように取り付ける。本体ガードを筐体部及び蓋部材に装着すると、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに設けられた規制部が本体ガードに設けられた突出部に係合して本体ガードの竿取付脚から離れる方向の移動が規制される。ここでは、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに規制部を設け、規制部を本体ガードに設けられた突出部に係合させることによって、本体ガードの竿取付脚から離れる方向の移動が規制される。これにより、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかと、本体ガードと、の位置ずれが生じにくくなる。
【0008】
発明2に係るスピニングリールは、発明1に記載のスピニングリールにおいて、本体ガードは、竿取付脚に近い第1位置でネジ部材によって筐体部に固定され、竿取付脚から第1位置よりも離れた第2位置で筐体部に係合する。規制部は、蓋部材に設けられる。この場合には、蓋部材に対して本体ガードを固定しなくても、蓋部材に対して本体ガードが位置ずれしにくくなる。
【0009】
発明3に係るスピニングリールは、発明2に記載のスピニングリールにおいて、突出部は、第1面と第1面よりも竿取付脚から離れた第2面と、を有し、蓋部材に向けて板状に突出する。この場合には、蓋部材に向けて板状に突出して突出部が形成されるので、突出部の接触面の面積が大きくなり、規制部が突出部に係合しやすくなる。
【0010】
発明4に係るスピニングリールは、発明3に記載のスピニングリールにおいて、規制部は、蓋部材の外側面から突出部の第2面に接触可能に本体ガードに向けて突出する突起部を有する。この場合には、突起部が突出部の第2面に接触するので、本体ガードが竿取付脚から離れる方向に移動しなくなる。
【0011】
発明5に係るスピニングリールは、発明4に記載のスピニングリールにおいて、突起部は、本体ガードに向けて板状に突出する。この場合には、突出部と突起部とがともに板状であるので、両者の接触面積がさらに大きくなり、本体ガードがさらに位置ずれしにくくなる。
【0012】
発明6に係るスピニングリールは、発明4に記載のスピニングリールにおいて、突起部は、本体ガードに向けて棒状に突出する。この場合には、突起部が棒状であるので、棒の横断面の大きさを変更することによって、本体ガードのがたを細かく調整できる。
【0013】
発明7に係るスピニングリールは、発明6に記載のスピニングリールにおいて、突起部は、丸棒状であり、蓋部
材に着脱可能に装着される。この場合には、外径が異なる複数種の突起部を用意することにより、量産化において、本体ガードの姿合わせ及びガタ調整を容易に行うことができる。
【0014】
発明8に係るスピニングリールは、発明2から7のいずれかに記載のスピニングリールにおいて、本体ガードは、筐体部の底面に接触可能なリブを有する。この場合には、竿取付脚に近い第1位置で筐体部に固定される本体ガードを、筐体部の底面に接触させることができるので、本体ガードが筐体部に対して竿取付脚に近づく方向に位置ずれしにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに規制部を設け、規制部を本体ガードに設けられた突出部に係合させることによって、本体ガードの竿取付脚から離れる方向の移動が規制される。これにより、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかと、本体ガードと、の位置ずれが生じにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
<全体構成>
図1及び
図2において、本発明の第1実施形態によるスピニングリール100は、釣り糸を前方に繰り出すものである。スピニングリール100は、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、スプール4に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、ハンドル1は、
図1に示すリール本体2の左側と、リール本体2の右側とのいずれにも装着可能である。
【0018】
ハンドル1は、
図1及び
図2に示すように、ハンドル軸8a(
図2)の先端に揺動可能に装着され、ハンドル軸8aと交差する方向に延びるハンドルアーム8bと、ハンドルアーム8bの先端に固定された把手軸(図示せず)と、把手軸に回転自在に装着されたハンドル把手8cとを備えている。
【0019】
<リール本体の構成>
リール本体2は、
図1及び
図2に示すように、筐体部2aと、蓋部材2bと、竿取付脚2cと、本体ガード7と、本体ガード7に設けられる突出部7a
(図6参照)と、蓋部材2bに設けられる規制部19aと、を有する。筐体部2aは、例えばアルミニウム合金製又はマグネシウム合金製であり、開口する機構装着空間2dを有する。機構装着空間2dには、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4をハンドル1の回転に連動して前後往復移動させるオシレーティング機構6と、が設けられている。筐体部2aの前部には、
図3に示すように
、筒部2fと、蓋部材2bとで円形のフランジ部2gを構成する第1フランジ2g1とが形成される。筒部2fの内部には、後述する逆転防止機構50が収納される。
【0020】
蓋部材2bは、例えばアルミニウム合金製又はマグネシウム合金製であり、機構装着空間2dの開口2eを覆って機構装着空間2dを塞ぐために設けられる。
図3に示すように、蓋部材2bと、筐体部2aとの間には、開口2eに沿って配置される無端のシール板71が装着される。これにより、筐体部2aと蓋部材2bの隙間がシールされる。蓋部材2bの前部には、第1フランジ2g1とで円形のフランジ部2gを構成する第2フランジ2g2が形成される。第2フランジ2g2の前方には、上下に間隔を隔てて2つのネジ挿通孔19b,19cが形成される。ネジ挿通孔19b,19cには、それぞれネジ部材9が挿通され、筐体部2
aの機構装着空間2dの前方にネジ込まれる。前側の2本のネジ部材9は、カバー部材72によって覆われる。
【0021】
蓋部材2bは、
図4、
図5及び
図6に示すように、ガード装着部19dと、ボス部19eと、を有する。ガード装着部19dは、竿取付脚2cから離れる側である後下側の外側面に、他の部分よりも凹んで形成される。ボス部19eは、後述する駆動軸10を支持するために他の部分よりも外方に筒状に突出して形成される。ガード装着部19dに本体ガード7が、本体ガード7の外側面と蓋部材2bの外側面とが実質的に面一となるように装着される。このガード装着部19dに規制部19a設けられる。ガード装着部19dの後部及び蓋部材2bの上部には、ネジ部材9をそれぞれ挿通可能なネジ挿通孔19f,19gが形成されている。ネジ部材9は、ネジ挿通孔19f,19gを貫通して筐体部2aの後部にねじ込まれる。これにより、4本のネジ部材9によって、蓋部材2bは筐体部2aに固定される。なお、筐体部2aと蓋部材2bとの間には、凹凸嵌合によって位置決めする図示しない複数の位置決め手段が設けられている。このように、蓋部材2bは、筐体部に対して位置決めされるため、筐体部2aと蓋部材2bとの間では、位置ずれが生じにくい。
【0022】
規制部19aは、本体ガード7に係合して、本体ガード7が蓋部材2bに対して竿取付脚2cから離れる下方に位置ずれするのを防止するために設けられる。規制部19aは、この実施形態では、蓋部材2bのガード装着部19dから突出し前後方向
に延びる板状の突起部19hを有する。具体的には、突起部19hは、ガード装着部19dの外側面から突出部7aの後述する第2面7gに接触可能に本体ガード7の内側面に向けて板状に突出する。
【0023】
竿取付脚2cは、
図1及び
図2に示すように、筐体部2aから斜め上前方に延びた後に前後方向に延びる概ねT字状の部分である。この実施形態では、竿取付脚2cは、筐体部2aと一体形成されているが、蓋部材2bと一体形成されてもよい。
【0024】
本体ガード7は、
図3、
図7及び
図8に示すように、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)等の比較的硬質の合成樹脂製である。本体ガード7は、筐体部2a及び蓋部材2bの後部及び後側底部を覆うように、後方に向かって先細りの形状である。本体ガード7は、竿取付脚2cに近い第1位置に設けられるボス部7bと、第1位置よりも竿取付脚2cから離れた第2位置に形成された底部7cと、を有する。ボス部7bは、筐体部2aの後面に形成された小径部を有する嵌合孔2iに嵌合する。本体ガード7は、ボス部7bに螺合するネジ部材73によって筐体部2aに固定される。ネジ部材73は、筐体部2aに開口2e側から装着される取付部材74を貫通してボス部7bにねじ込まれる。取付部材74の前端部は、筐体部2aの前部に形成された通過孔2jに装着された弾性体製の丸棒状のシール部材75によってシールされる。また、取付部材74の後端面と筐体部2aとの間には、Oリング77(
図2及び
図3参照)が装着されている。これにより、取付部材74の内部に液体が浸入しにくくなり、通過孔2j又は嵌合孔2iから液体が機構装着空間2d内に浸入しにくくなる。
【0025】
本体ガード7の底部7cの先端部7dは、筐体部2aの段差部2k及び蓋部材2bの段差部19iに係合している。本体ガード7は、底部7cの内側面に、筐体部2aの底面2mに接触可能に形成されたリブ7eを有する。本体ガードの底部7cは、前下がりに傾斜しており、リブ7eは、傾斜する底部7cに対して徐々に突出高さが大きくなるように形成される。このリブ7eによって、第1位置だけでネジ止めされる本体ガード7が上方に位置ずれしにくくなる。
【0026】
突出部7aは、本体ガード7のガード装着部19dと対向する内側面に、ガード装着部19dに向かって板状に突出して設けられる。突出部7aは、前後方向に延びる第1面7fと第1面7fよりも竿取付脚2cから離れた第2面7gと、を有する。この第2面7gに、前述したように、突起部19hが接触する。これにより、本体ガード7が竿取付脚2cから離れる下方に位置ずれしにくくなる。なお、突出部7aの
前端部及び規制部19aの
後端部は、本体ガード7を装着する際に突出部7aの第2面7gを規制部19aに案内しやすくするために、三次元的に互いに丸められている。
【0027】
本体ガード7と筐体部2a及び蓋部材2bとの間には、合成樹脂製のボディカバー76が設けられている。ボディカバー76は、本体ガード7と筐体部2a及び蓋部材2bとを姿合わせするために設けられる。
【0028】
<ロータ駆動機構の構成>
ロータ駆動機構5は、
図2に示すように、ハンドル1のハンドル軸8aが連結された駆動軸10、駆動軸10とともに回転する駆動ギア11と、駆動ギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。駆動軸10は、たとえば、ステンレス合金製の筒状の軸であり、筐体部2a及び蓋部材2bに装着された軸受(図示せず)により両端支持されている。駆動軸10の両内周面には、雌ねじ部(図示せず)が形成されている。
【0029】
ピニオンギア12は、たとえば、ステンレス合金製の筒状の部材であり、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と一体回転可能に固定されている。ナット13は、リテーナ18によって回り止めされる。リテーナ18は、ロータ3に固定される。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、筐体部2aに間隔を隔てて装着された軸受14a,14bにより筐体部2aに回転自在に支持されている。
【0030】
<オシレーティング機構の構成>
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に往復移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。螺軸21は前後方向に配置されており、筐体部2aに回転自在に支持されている。スライダ22にはスプール軸15の基端が回転不能に連結されている。
【0031】
スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。スライダ22は、筐体部2aに前後方向に沿って配置された2本のガイド軸(図示せず)により前後方向に案内されている。中間ギア23は、ピニオンギア12に噛み合っている。
【0032】
スプール軸15は、ピニオンギア12の中心部を貫通して配置されている。スプール軸15は、ピニオンギア12の内部をオシレーティング機構6により前後に往復移動する。スプール軸15は、中間部がナット13内に装着された軸受16により、後部がピニオンギア12の後部内周面により、回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。
【0033】
<ロータの構成>
ロータ3は、
図2に示すように、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に支持される。ロータ3は、ピニオンギア12に一体回転可能に連結されたロータ本体30と、第1カバー部材32と、第2カバー部材33と、ベールアーム36と、を有する。
【0034】
ロータ本体30は、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に連結される有底筒状の連結部30aと、第1ロータアーム30bと、第2ロータアーム30cと、を有する。第1ロータアーム30bは、連結部30aの後端部の第1側(
図2上側)から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。第2ロータアーム30cは、連結部30aの後端部の第1側と対向する第2側(
図2下側)から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。ロータ本体30は、たとえばアルミニウム合金製又はマグネシウム合金製であり一体成形されている。
【0035】
連結部30aの前部には、壁部31aが形成されており、壁部31aの中央部にはボス部31bが形成されている。ボス部31bの中心部には貫通孔31cが形成されており、この貫通孔31cをピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通している。壁部31aの前部にロータ3をピニオンギア12に固定するためのナット13が配置されておる。ナット13とスプール軸15との間には、スプール軸15とナット13との隙間から液体が筐体部2a内に浸入するのを防止するためのシール部材17が装着されている。シール部材17は、ナット13に接触して配置される。連結部30aの後部には、リール本体2の前部を収納可能な円形空間を有する凹陥部31dが形成されている。
【0036】
第1ロータアーム30bは、図
2に示すように、連結部30aから外方に凸に湾曲して前方に延びており、
連結部30aとの接続部は連結部30aの周方向に広がり湾曲している。第2ロータアーム30cは、連結部30aから外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部30aとの接続部は連結部30aの周方向に広がり湾曲している。
【0037】
第1カバー部材32は、第1ロータアーム30bの径方向外側を覆う。第1
カバー部材32と第1ロータアーム30bとの間にベールアーム36を糸巻取姿勢と糸開放姿勢とに振り分けて付勢するベール反転機構(図示せず)が設けられる。
【0038】
ベールアーム36は、
図2に示すように、第1及び第2ロータアーム30b,30cの先端に糸解放姿勢と糸巻き取り姿勢との間で揺動自在に装着されている。ベールアーム36は、糸巻取姿勢にあるとき、ロータ3の糸巻取方向の回転により、釣り糸をスプール4に巻き付ける。
【0039】
ベールアーム36は、第1ロータアーム30bの先端の外周側に揺動自在に装着された第1ベール支持部材40と、第2ロータアーム30cの先端の外周側に揺動自在に装着された第2ベール支持部材42と、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されたラインローラ41と、を有している。また、ベールアーム36は、第1ベール支持部材40の先端に固定され第1ベール支持部材40に片持ち支持された、ラインローラ41を支持する固定軸(図示せず)と、固定軸の先端側に配置された固定軸カバー44と、固定軸カバー44と第2ベール支持部材42とを連結するベール45と、を有している。
【0040】
<その他の構成>
図2に示すように、リール本体2の筒部2fの内部には、前述したように、ロータ3の逆転を禁止するための逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ51を有している。この逆転防止機構50は、ロータ3の糸繰り出し方向の逆転を常時禁止しており、逆転を許可する状態をとることはない。なお、逆転防止機構を逆転許可状態と逆転禁止状態とを切り換えできるように構成してもよい。逆転防止機構50は、筒部2fに固定されたキャップ部材20によって抜け止めされる。キャップ部材20は、例えば筒部2fの外周面にねじ込み固定される。キャップ部材20と逆転防止機構50との間には、筒部2f内への液体の浸入を防止するためのシール部材78が装着されている。シール部材78の先端は、ロータ3のボス部31bに接触している。
【0041】
ここでは、リール本体2の筐体部2aと蓋部材2bとの間に配置されるシール板71と、ナット13の前面に配置されたシール部材17と、逆転防止機構50に配置されたシール部材78と、取付部材74に装着されたOリング77と、通過孔2jに装着されたシール部材75によって、機構装着空間2dが液密に保たれる。このため、機構装着空間2d内への外部からの液体の浸入を防止できる。
【0042】
スプール4は、
図2に示すように、ロータ3の第1ロータアーム30bと第2ロータアーム30cとの間に配置されており、スプール軸15の先端に回転自在に支持されている。スプール4は、スプール軸15とともに前後移動しながら、外周に釣り糸が巻かれる。スプール4は、たとえばアルミニウム合金製のものである。スプール4の内部には、設定されたドラグ力がスプール4に作用するようにスプール4を制動するドラグ機構60が収納されている。
【0043】
ドラグ機構60は、
図2に示すように、スプール4の糸繰り出し方向への回転を制動してスプール4にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構60は、ドラグ力を手で調整するためのドラグつまみ組立体65と、ドラグつまみ組立体65によりにスプール4側に押圧されてドラグ力が調整される摩擦部66と、を備えている。ドラグつまみ組立体
65は、スプール4の前部に配置されている。摩擦部66は、スプール4の内部に配置されている。
【0044】
<本体ガードの取り付け手順>
このような構成のスピニングリール100では、機構装着空間2d内にロータ駆動機構5とオシレーティング機構6とを装着すると、蓋部材2b及び本体ガード7を筐体部2aに固定する。この固定を行う場合、駆動ギア11が設けられた駆動軸10を取り付ける前に、本体ガード7を固定するための取付部材74を機構装着空間2d内に仮組みする。取付部材74を仮組みする場合、ネジ部材73を取付部材74に取り付け、取り付けたネジ部材73を嵌合孔2iの小径部に差し込む。
【0045】
この状態で駆動軸10を組み込み、シール板71を機構装着空間2dの縁部に配置し、蓋部材2bを筐体部2aに4本のネジ部材9によって固定する。蓋部材2bの固定が完了すると、本体ガード7を筐体部2aに固定する。このとき、ボディカバー76を筐体部2a及び蓋部材2bの後面に配置する。この状態で、本体ガード7の縁部がボディカバー76に接触するようにして本体ガード7のボス部7bを嵌合孔2iに挿入する。
【0046】
ボス部7bを嵌合孔2iに挿入すると、本体ガード7に設けられた突出部7aの第2面7gが規制部19aの突起部19hの上面に接触する。これにより、本体ガード7が下方へ位置ずれしにくくなる。ボス部7bを挿入すると、ボス部7bを固定するためのネジ部材73を回すために、ドライバーの先端を通過孔2jに挿入する。そして、ネジ部材73の頭部の、例えば十字溝にドライバーの先端を係合させてネジ部材73を締め込む。これにより、本体ガード7の底部7cの先端部7dが筐体部2aの段差部2k及び蓋部材の段差部19iに係合し、本体ガード7が筐体部に固定される。本体ガード7の固定が終わると、通過孔2jにシール部材75を装着し、通過孔2jを塞ぐ。これにより、本体ガード7の取り付けが完了する。ここでは、蓋部材に規制部19aを設け、規制部19aを本体ガード7に設けられた突出部7aに係合させることによって、本体ガード7の竿取付脚2cから離れる方向の移動が規制される。これにより、蓋部材2bと、本体ガード7と、の位置ずれが生じにくくなる。
【0047】
<第2実施形態>
以降の実施形態の説明では、第1実施形態と異なる部分について異なる符号(第1実施形態の符号を3桁に変更した符号)を付けて説明し、同様な構成についての説明を省略する。
【0048】
第1実施形態では、突出部7a及び規制部19aの双方を板状に形成したが、
図9に示す第2実施形態では、規制部119aの突起部119hは、第1実施形態と異なり、ガード装着部119dの外側面から丸棒状に突出する。なお、突出部7aは、第1実施形態と同様に、本体ガードの内側面から板状に突出する。
【0049】
突起部119hは、ガード装着部119dに設けられる装着孔119iに装着される。装着孔119iは、貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。装着孔119iは、例えばネジ孔である。突起部119hは、突出部7aの第2面7gに接触可能な突起部本体119jと、装着孔119iに係合する装着部119kと、を有する。したがって、第2実施形態では、規制部119aは、蓋部材2bに対して着脱可能である。
【0050】
なお、
図9では、突起部本体119jが装着部119kよりも大径であるが、突起部本体119jと装着部119kの大きさは、どちらが大きくてもよいし、同径であってもよい。
【0051】
このような構成の突起部119hでは、突起部本体119jの外径が異なる複数種の突起部119hを用意することにより、量産化において、本体ガード7の姿合わせ及びガタ調整を容易に行うことができる。
【0052】
なお、ここでは、突起部119hをねじ込み固定したが、突起部を装着孔に嵌合させるだけでもよい。例えば、本体ガード7の内側面で突起部を抜け止めするように構成すれば、すきま嵌めで突起部の装着部を装着穴に嵌合させてもよい。
【0053】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0054】
(a)第1及び第2実施形態では、本体ガード7は、筐体部2aだけに固定され、蓋部材2bには固定されていない。このため、本体ガード7は、筐体部2aよりも蓋部材2bに対して位置ずれしやすくなる。そこで、蓋部材2bに規制部19aを設けるとともに、本体ガード7に突出部7aを設けている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、本体ガードが蓋部材に固定されている場合には、規制部を筐体部から本体ガードに向けて突出させ、突出部を本体ガードから筐体部に向けて突出させてもよい。また、本体ガードの固定先に関わらず、筐体部及び蓋部材の少なくともいずれかに規制部を設け、規制部によって規制される突出部を本体ガードに設けてもよい。
【0055】
(b)第2実施形態では、規制部119aの突起部119hを丸棒状に突出させ、突出部7aを板状に突出させたが、本発明はこれに限定されない。突出部と規制部は、本体ガードの竿取付脚から離れる下方への位置ずれを防止できるように係合するのであればどのような係合状態でもよい。例えば、突起部を板状に突出させ、突出部を棒状(例えば丸棒状)に突出させてもよい。
【0056】
(c)前記実施形態では、筐体部2aに竿取付脚2cが一体形成されていたが、蓋部材2bに竿取付脚2cが一体形成されてもよい。この場合、蓋部材に本体ガードが固定されているときは、他の実施形態(a)で説明したように、筐体部に規制部を設けてもよい。
【0057】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0058】
(A)スピニングリール100は、釣り竿を装着可能であり、釣り糸を前方に繰り出し可能である。スピニングリール100は、ハンドル1と、スプール4と、ロータ3と、オシレーティング機構6と、ロータ駆動機構5と、リール本体2と、を備える。スプール4は、釣り糸が巻き付けられるものである。ロータ3は、スプール4に釣り糸を巻き付け可能である。オシレーティング機構6は、スプール4をハンドル1の回転によって前後移動させる。ロータ駆動機構5は、ロータ3をハンドル1の回転によって回転させる。リール本体2は、竿取付脚2cと、筐体部2aと、蓋部材2bと、本体ガード7と、突出部7aと、規制部19aと、有する。リール本体2は、筐体部2a及び蓋部材2bのいずれかに竿取付脚2cが設けられる。竿取付脚2cは、釣り竿を装着可能である。筐体部2aは、オシレーティング機構6及びロータ駆動機構5を収納するための開口する機構装着空間2dを有する。蓋部材2bは、筐体部2aの機構装着空間2dを覆う。本体ガード7は
、筐体部2a及び蓋部材2bの後方を覆う先細りのものである。突出部7aは、本体ガード7の竿取付脚から離れる側の内側面から蓋部材2b向けて突出する。規制部19aは、蓋部材2bに設けられ、突出部7aに係合して本体ガード7の竿取付脚2cから離れる方向の移動を規制する。
【0059】
このスピニングリール100では、筐体部2aの機構装着空間2d内にロータ駆動機構5及びオシレーティング機構6を装着し、蓋部材2bを筐体部2aに装着した後に本体ガード7を筐体部2a及び蓋部材2bの後面を覆うように取り付ける。本体ガード7を筐体部2a及び蓋部材2bに装着すると、蓋部材2bに設けられた規制部19aが本体ガード7に設けられた突出部7aに係合して本体ガード7の竿取付脚2cから離れる方向の移動が規制される。ここでは、蓋部材2bに規制部19aを設け、規制部19aを本体ガード7に設けられた突出部7aに係合させることによって、本体ガード7の竿取付脚2cから離れる方向の移動が規制される。これにより、蓋部材2bと、本体ガード7と、の位置ずれが生じにくくなる。
【0060】
(B)スピニングリール100において、本体ガード7は、第1位置でネジ部材73によって筐体部2aに固定され、竿取付脚2cから第1位置よりも離れた第2位置で筐体部2aに係合する。規制部19aは、蓋部材2bに設けられる。この場合には、蓋部材2bに対して本体ガード7を固定しなくても、蓋部材2bに対して本体ガード7が位置ずれしにくくなる。
【0061】
(C)スピニングリール100において、突出部7aは、第1面7fと第1面7fよりも竿取付脚2cから離れた第2面7gと、を有し、蓋部材2bに向けて板状に突出する。この場合には、蓋部材2bに向けて板状に突出して突出部7aが形成されるので、突出部7aの接触面の面積が大きくなり、規制部19aが突出部7aに係合しやすくなる。
【0062】
(D)スピニングリール100において、規制部19aは、蓋部材2bの外側面から突出部7aの第2面7gに接触可能に本体ガード7に向けて突出する突起部19hを有する。この場合には、突起部19hが突出部7aの第2面7gに接触するので、本体ガード7が竿取付脚2cから離れる方向に移動しなくなる。
【0063】
(E)スピニングリール100において、突起部19hは、本体ガード7に向けて板状に突出する。この場合には、突出部7aと突起部19hとがともに板状であるので、両者の接触面積がさらに大きくなり、本体ガード7がさらに位置ずれしにくくなる。
【0064】
(F)スピニングリールにおいて、突起部119hは、本体ガード7に向けて棒状に突出する。この場合には、突起部119hが棒状であるので、棒の横断面の大きさを変更することによって、本体ガード7のがたを細かく調整できる。
【0065】
(G)スピニングリールにおいて、突起部119hは、丸棒状であり、蓋部材2bに着脱可能に装着される。この場合には、外径が異なる複数種の突起部119hを用意することにより、量産化において、本体ガード7の姿合わせ及びガタ調整を容易に行うことができる。
【0066】
(H)スピニングリール100において、本体ガード7は、筐体部2aの底面2mに接触可能なリブ7eを有する。この場合には、竿取付脚に近い第1位置で筐体部2aに固定される本体ガード7を、筐体部2aの底面2mにリブ7e接触させることができるので、本体ガード7が筐体部2aに対して竿取付脚2cに近づく方向に位置ずれしにくくなる。