(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モータシャフトの上端部を覆うハウジングのエッジカバー部の上面に対して、ブラシホルダの上側におけるハウジングの上面は低い位置にあって、エッジカバー部の上面の高さとブラシホルダの上側におけるハウジングの上面の高さとの間に、モータを制御するための回路基板が位置している請求項1記載の縦型電動工具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる縦型電動工具としての電動トリマについて
図1乃至
図15を参酌しつつ説明する。本実施形態における電動トリマは、上下方向の軸線を有するモータ1と、該モータ1を収容する本体ハウジング(ハウジング)と、本体ハウジングの上部を覆うトップカバー4と、本体ハウジングの下部が挿入されてそれを所定高さに保持するベース5とを備えている。
【0014】
本体ハウジングは、モータ1の下側且つ主要部分を覆うモータケース2と、モータ1の上部を覆うヘッドカバー3とを備えている。モータケース2は、
図4に示すように全体として上面が開口する有底筒状であって、その底部にはモータシャフト6を支持する軸受け7が配置されている。モータシャフト6の下端部はモータケース2から下方に所定長さ突出しており、その下端部にはチャック8が取り付けられ、該チャック8によって図示しないビットを着脱可能に取り付けることができる。モータケース2の上部開口部はモータケース2の主部に対して大径化されており、その上部開口部を閉塞するようにヘッドカバー3がモータケース2の上側に取り付けられている。
【0015】
該ヘッドカバー3は、ブラケットとも称される。ヘッドカバー3には側方に開口する左右一対の横孔が形成されていて該横孔にはそれぞれ筒状のブラシホルダ9が挿入され、ブラシホルダ9にブラシ10が挿入されている。ブラシホルダ9は、押圧固定ネジ11によってヘッドカバー3に押圧固定されている。押圧固定ネジ11は、
図5にも示しているようにヘッドカバー3に下側から螺入され、その先端部でブラシホルダ9の外周面を上方に押圧してブラシホルダ9を横孔の壁面に押し付けて固定する。従って、押圧固定ネジ11が螺入される雌ネジ部70はブラシホルダ9の上側即ちヘッドカバー3の上部には形成されておらず、ブラシホルダ9の下側即ちヘッドカバー3の下部に形成されている。尚、
図5のように押圧固定ネジ11はブラシホルダ9の外周面をブラシホルダ9の中心に向けて鉛直上方に押圧している。ブラシホルダ9の外周面にはフラット部9a,9bが180度対向して一対形成されており、両フラット部9a,9bが上下を向くようにブラシホルダ9はヘッドカバー3の横孔に挿入されている。押圧固定ネジ11はブラシホルダ9の下側のフラット部9bの中央部を上方に押している。即ち、ブラシホルダ9の軸線を通る平面上に押圧固定ネジ11が位置している。この押圧固定ネジ11は
図7及び
図8にも示しているように左右一対のブラシホルダ9に対してそれぞれ一つずつ設けられており、ブラシホルダ9が左右方向に180度対向して配置されていることから、押圧固定ネジ11もモータ1の軸線を中心とする同一円上に左右方向に180度対向して配置されている。尚、
図7ではモータケース2とベース5を省略して図示している。
【0016】
モータ1は
図9のようにヘッドカバー3の下部にモータ固定ネジ12によって下側からネジ止めされている。モータ1は、外側にステータ1aが設けられ、ステータ1aの内側にモータシャフト6を有するロータ1bが設けられた構成であるが、そのステータ1aがモータ固定ネジ12によってヘッドカバー3にネジ止めされている。尚、
図15はモータケース2に収容されたモータ1の下部を見やすくするためにモータケース2を取り除いて図示したものであるが、本実施形態における電動トリマは作業箇所を照らすためのライト71(具体的にはLEDライト)を備えている。該ライト71に給電するための配線コード72は上下方向に延びるコードガイド73によってガイドされながら下方に延びている。
【0017】
図7のようにモータ固定ネジ12もモータ1の軸線を中心とする同一円上に180度対向して一対設けられている。従って、押圧固定ネジ11とモータ固定ネジ12は同心円上にあるが、モータ固定ネジ12は押圧固定ネジ11よりも内側にある。また、モータ固定ネジ12は押圧固定ネジ11に対して周方向に即ちモータ1の軸線まわりに所定角度位相をずらして配置されており、この位相ずらしの配置態様により、モータ固定ネジ12と押圧固定ネジ11との干渉が防止される。また、モータ固定ネジ12と押圧固定ネジ11は何れもヘッドカバー3の下部に螺入される構成であるため、ヘッドカバー3の下部には、モータ固定ネジ12を螺入するための雌ネジ部74と押圧固定ネジ11を螺入するための雌ネジ部70とが形成されているが、これらの雌ネジ部70,74同士の干渉も防止される。更に、モータ固定ネジ12が押圧固定ネジ11即ちブラシ10に対してモータ1の軸線まわりに周方向に所定角度ずれて配置されていることから、
図7及び
図8のように両モータ固定ネジ12間にそれぞれ位置する界磁コイル75もまたブラシ10に対して位相が所定角度ずれている。
【0018】
ヘッドカバー3の上部中央部は上方に膨出した形状とされ、その膨出した部分は上端閉塞下端開口の円筒状であってその内部にはモータシャフト6の上端部を支持するための軸受け13が内蔵されている。この膨出した部分が、モータシャフト6の上端部を上側からカバーするエッジカバー部14となっている。このようにモータシャフト6は、モータケース2の底部の軸受け7とヘッドカバー3のエッジカバー部14の軸受け13とによって、上下二箇所で支持されている。
【0019】
モータケース2の下部はベース5に上側から挿入されている。ベース5は、板状部50と、該板状部50の上面に取り付けられて一体となった上面開口の筒状部51とを備えている。筒状部51は、モータケース2と同様にモータシャフト6を中心とした円筒形状であって、その外周面が作業する際に把持される把持部となる。
図1及び
図2のように、筒状部51には上下方向に延びるスリット52が形成されており、該スリット52により僅かに拡縮可能となっている。そして、筒状部51の上部外周面には水平方向に回動するレバー53が設けられており、該レバー53を筒状部51の外周面に接近させるように閉じると筒状部51は緊縮して縮径し、逆にレバー53を筒状部51の外周面から離反させるように開くと筒状部51は緩んで拡径する。また、筒状部51の上部外周面には左右一対のフック体54が水平方向の軸線まわりに回動可能に取り付けられている。該フック体54は、バネ55によって、上部が径方向内側に、下部が径方向外側に向けて回動するように付勢されており、フック体54の上部の内側にはフック部54aが形成されている。
【0020】
一方、モータケース2の主部外周面には
図4のように筒状の操作リング20が外装されている。モータケース2は上方からベース5の筒状部51に挿入されているが、操作リング20の下端面がベース5の筒状部51の上端面に当接することによりその挿入高さが決定する。また、操作リング20の下端面がベース5の筒状部51の上端面に当接することによりモータ1の重量がベース5によって支えられている。モータケース2の主部外周面には雌ネジ部21が形成され、該雌ネジ部21に操作リング20の内周面の雄ネジ部22が螺合している。操作リング20の下部外周面には環状溝23が形成され、該環状溝23には上記左右一対のフック体54のフック部54aが係合している。上記レバー53を開いて筒状部51を緩めて拡径させると、フック体54のフック部54aが操作リング20の環状溝23に係合している状態で操作リング20をモータケース2に対して回転させることができる。操作リング20は、その下端面がベース5の筒状部51の上端面と摺動しながら回転する。この操作リング20の回転操作によってモータケース2はベース5に対して上下動し、それに伴いモータシャフト6もベース5に対して上下動する。これによりチャック8によりモータシャフト6に固定されたビットによる被加工材への加工深さを調整することができる。また、フック体54のフック部54aを操作リング20の環状溝23から外すと、モータケース2を操作リング20と共にベース5から上方に抜いて取り外すことができる。
【0021】
ヘッドカバー3の上側には配線ベース体30が載せられ、該配線ベース体30を上方から覆うようにしてトップカバー4が取り付けられている。トップカバー4は下方に開口したカップ形状であって、その下端周縁部がヘッドカバー3の周縁部と対峙している。トップカバー4とヘッドカバー3との上下の間には所定サイズの収容空間が形成されており、該収容空間に配線ベース体30が収容されている。
図5のようにトップカバー4は上側からネジ15によってヘッドカバー3と共にモータケース2の上部にネジ止めされている。該ネジ15は本実施形態では
図6のように合計四本あり、従って、ヘッドカバー3には合計四本のボス部16が上方に突設されているが、ボス部16は配線ベース体30を回避するようにその外側に位置している。
【0022】
かかる配線ベース体30は、全体として上方に開口した浅底型のケース状であって、底面部の周縁部には上方に延びる外周壁部31が全周のうち一部を除いて周設されている。また、配線ベース体30の中央部には、ヘッドカバー3のエッジカバー部14を回避すべく、上下貫通した回避孔32が形成され、該回避孔32をヘッドカバー3のエッジカバー部14が上方に挿通している。このようにヘッドカバー3のエッジカバー部14が配線ベース体30の回避孔32を挿通することにより、配線ベース体30はヘッドカバー3のエッジカバー部14の上面よりも下方に位置していて、ブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17よりも上方に位置している。
【0023】
図5及び
図13に示しているように、ブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17は平坦面とされ、ブラシホルダ9の周囲のうち上部におけるヘッドカバー3の肉厚は他の部分に比して局所的に薄肉とされている。詳細には、ヘッドカバー3はブラシホルダ9の上側において膨出した形状とされ、その膨出形状は、ブラシホルダ9の軸線に沿って延びる蒲鉾形であるが、その蒲鉾形の膨出部分のうち頂上部付近は平坦面とされており、この平坦面を形成することにより、他の部分に比して局所的に薄肉となっている。また、配線ベース体30の底面部の下面もブラシホルダ9の上側において局所的に上方に凹んで凹部が形成されており、その底面部の下面の凹形状に対応して底面部の上面も局所的に凸形状とされると共に、底面部の凹部にブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17が入り込んでいる。このようにブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17を平坦面とすると共に、配線ベース体30の底面部にブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17が上方に入り込むようにすることで、配線ベース体30の高さを更に下げることができる。
【0024】
また、配線ベース体30の回避孔32の開口縁部には、上方に延びる内周壁部33がヘッドカバー3のエッジカバー部14の周囲を包囲するようにして周設されており、外周壁部31と内周壁部33との間に回路基板36を収容するための収容部が形成されている。
図13にも示しているように内周壁部33のうちヘッドカバー3のエッジカバー部14の左右両側に位置する部分は互いに平行且つ前後方向に沿って形成されており、この部分は位置決め用のガイド壁33aとして構成されている。ヘッドカバー3のエッジカバー部14の外周面には部分的に平面とされた平面部14aが左右一対形成されており、該左右一対の平面部14aがそれぞれ左右一対のガイド壁33aと対峙することで、ヘッドカバー3のエッジカバー部14に対する配線ベース体30の位置決めとなる。
【0025】
かかる配線ベース体30には、モータ1を作動停止させるためのスイッチ34と、電源コード35と、回路基板36と、モータ1のスピードを調節するためのスピードダイヤル37が取り付けられている。スイッチ34は、上記外周壁部31が一部形成されていない箇所である配線ベース体30の周縁部の前端部に取り付けられている。該スイッチ34は、ロッカースイッチあるいはシーソースイッチと呼ばれるタイプのものであって、シーソー状に回動する切り替え部38を備えている。本実施形態においては、スイッチ34を横向きで配置しており、従って切り替え部38は水平方向の軸線まわりに上下に回動する。切り替え部38が下側に回動するとスイッチ34はOFFとなり、逆に切り替え部38が上側に回動するとスイッチ34はONとなる。
【0026】
スイッチ34はトップカバー4によって覆われているため外部から切り替え部38を直接操作することはできない。そのためスイッチ34をオンオフ操作するためのスイッチ操作部材39が設けられている。スイッチ操作部材39はトップカバー4に設けられていてその一部が操作部39aとしてトップカバー4の表面に表出している。該操作部39aの内面には内側に向けて腕部39bが突出しており、該腕部39bの一方の側面が押圧面として上記スイッチ34の切り替え部38の被押圧面に対峙して切り替え部38を回動させる働きをする。尚、
図6及び
図10においては、理解を容易にするために、スイッチ操作部材39をトップカバー4に取り付けた状態ではなく、敢えて配線ベース体30側に位置させた状態で示している。
図6のように平面視においてスイッチ34はスイッチ操作部材39の内側であってヘッドカバー3のエッジカバー部14との間に位置する。
【0027】
図12のように腕部39bの一方の側面はスイッチ34の切り替え部38側に凸の曲面であり、それに対峙しているスイッチ34の切り替え部38の被押圧面は逆に凹の曲面となっている。また、腕部39bの他方の側面には凹部40が上下一対形成されており、該凹部40には、腕部39bをスイッチ34の切り替え部38側に押圧付勢するための板バネ41の凸部が係合する。即ち、スイッチ34の切り替え部38の側方には切り替え部38から所定距離離間してバネ取付壁43が突設されている。該バネ取付壁43は配線ベース体30の外周壁部31の一部から構成され、具体的には、外周壁部31の周方向の端部に形成されている。板バネ41は上部で折り返された二つ折りの形状であってバネ取付壁43に上方から差し込まれている。即ち、板バネ41の一方の板部はスイッチ34の切り替え部38側にあり、板バネ41の他方の板部はスイッチ34の切り替え部38とは反対側にある。板バネ41の一方の板部は全体として、くの字状に形成されていてその屈曲部42が凸部となってスイッチ操作部材39の凹部40に係合する。板バネ41の他方の板部はバネ取付壁43に沿って下方に延びていて、その下端部は略直角に折り曲げられてバネ取付壁43の下面の下側に位置している。このように板バネ41の他方の板部の下端部がバネ取付壁43の下面の下側に位置して係止部として機能することにより、板バネ41がバネ取付壁43から上方に離脱することが防止される。尚、ヘッドカバー3のボス部16の外周面とトップカバー4の内面によっても板バネ41の所定量を越える動きが抑制される。
【0028】
スイッチ操作部材39は上下に往復動作する構成である。スイッチ操作部材39を下方にスライド移動させるとスイッチ34はOFFとなり、スイッチ操作部材39を上方にスライド移動させるとスイッチ34はONとなる。スイッチ34がOFFのとき、スイッチ操作部材39は
図1〜
図3のようにトップカバー4から上方には突出していない状態にあり、
図11のようにスイッチ操作部材39を上方に引き上げてトップカバー4から上方に突出させるとスイッチ34がONとなる。トップカバー4の内部においては
図12のような状態となっており、スイッチ操作部材39が下方に押し下げられてスイッチ34がOFFの状態では、
図12(a)のように、スイッチ操作部材39の腕部39bも下方位置にあってスイッチ34の切り替え部38を下側に押圧して回動させた状態にあり、スイッチ操作部材39の腕部39bの上側の凹部40に板バネ41の屈曲部42が係合している。スイッチ操作部材39が上方に引き上げられてスイッチ34がONの状態では、
図12(b)のようにスイッチ操作部材39の腕部39bも上方位置にあってスイッチ34の切り替え部38を上側に押圧して回動させた状態にあり、スイッチ操作部材39の腕部39bの下側の凹部40に板バネ41の屈曲部42が係合している。このようにスイッチ操作部材39の腕部39bに凹部40を形成してその凹部40に板バネ41の屈曲部42が係合することにより、クリック感が得られると共にスイッチ操作部材39がONの上方位置及びOFFの下方位置にそれぞれ確実に保持されることになる。また、スイッチ操作部材39は、スイッチ34がONのときにトップカバー4から上方に突出しているので、視認性が良く、作業中にモータ1を緊急停止させたいような場合であってもスイッチ操作部材39を下方に押し込むだけでよいので、素早く且つ簡単にモータ1を停止させることができる。しかも、スイッチ操作部材39の操作部39aはトップカバー4あるいはヘッドカバー3から前方に突出していないので、作業箇所を上方から見る場合において視界の邪魔になることもない。また、スイッチ34を切り替え部38が上に位置している縦置きとすると、配線端子によって上下方向の設置スペースが大きくなったり側方に張り出したりすることになるが、スイッチ34を切り替え部38が横に位置する横置きとすることで、張り出し部を設ける必要がなくて良好な視認性が確保されると共に上下方向の寸法もコンパクト化できる。
【0029】
電源コード35は、配線ベース体30の後部下面に取り付けられて後方に向けて略水平に延びる。また、回路基板36は本実施形態においてはモータ1を制御するためのものであって詳細にはフィードバック制御するためのものであり、配線ベース体30の上側、具体的には底面部の上面あるいは上面から若干上方に浮かせて取り付けられる。回路基板36は配線ベース体30の外周壁部31の内側に配置される。また、配線ベース体30の回避孔32をヘッドカバー3のエッジカバー部14が上方に挿通していて、回路基板36はヘッドカバー3のエッジカバー部14を回避する形状とされ、
図3,9,10のように回路基板36はヘッドカバー3のエッジカバー部14の上面よりも下側に位置している。具体的には、回路基板36は、後部から前側に向けてヘッドカバー3のエッジカバー部14を左右に迂回するように二股に分岐していて全体として平面視Y字状であって、二股に分岐する形状とすることでヘッドカバー3のエッジカバー部14との干渉を防止しつつその面積が確保されている。尚、回路基板36はエポキシ樹脂等の合成樹脂によって樹脂モールドされている。但し、モータ1の制御を行わない場合には回路基板36は小さい面積のもので足りる。例えば、モータ1の制御を行わない構成である一方で上述したように作業箇所を照らすためのライト71を備えるような場合には、そのライト71のための回路基板36で足りることから小面積のもので済む。
【0030】
スピードダイヤル37は、
図6のようにヘッドカバー3のエッジカバー部14の後側に位置するように配線ベース体30に取り付けられている。該スピードダイヤル37は回避孔32に位置していて、前後方向に延びる水平方向の軸線まわりに回転する。そして、
図1のようにスピードダイヤル37の上部のみがトップカバー4の上面から露出していて、その露出した上部により回転操作が可能である。
【0031】
以上のように配線ベース体30にはスイッチ34と回路基板36と電源コード35とスピードダイヤル37が取り付けられているのであるが、これらは配線ベース体30において互いの配線処理がなされている。即ち、スイッチ34と回路基板36と電源コード35とスピードダイヤル37との間の配線処理は配線ベース体30において完結している。尚、モータ1との間の配線については以下のようになっている。即ち、
図6に示す二本の配線コード60,61はモータ1に接続されているものであり、該配線コード60,61は回避孔32を通って上方に延びていてそれぞれの端部は回路基板36の上面に突設されたコネクタ62,63に差し込まれて電気的に接続されている。この二本の配線コード60,61によってモータ1と回路基板36との間の電気配線がなされている。尚、本実施形態においては、作業箇所を照らすためのライト71(
図15参照)をモータケース2の下部に備えているので、そのライト71に給電するための配線コード72も必要となる。その配線コード72は上端が回路基板36に接続されてコードガイド73にガイドされつつモータケース2の下部へと延びることとなる。
【0032】
次に、上記構成の電動トリマの組み立て手順の概要について説明すると、まず、ヘッドカバー3の下部にモータ1のステータ1aをモータ固定ネジ12によりネジ止めすると共に、ヘッドカバー3の横孔に挿入されたブラシホルダ9を押圧固定ネジ11で押圧固定する。このモータ固定ネジ12と押圧固定ネジ11は何れもヘッドカバー3に下側から螺入されるので同じ方向から螺入作業を行うことができる。モータケース2の内部には予めモータ1のロータ1bをモータシャフト6が軸受け7に圧入された状態でセットしておく。そして、ヘッドカバー3にネジ止めされたモータ1のステータ1aに、モータケース2にセットされたモータ1のロータ1bを挿入してヘッドカバー3とモータケース2を組み合わせる。
【0033】
このように本体ハウジングを組み立てた後、
図13のようにその上に配線ベース体30を載せる。配線ベース体30には既にスイッチ34、スピードダイヤル37、電源コード35、回路基板36といった電気部品が取り付けられて配線処理がなされており、それをユニットとして本体ハウジングにセットする。モータ1からの配線コード60,61は合計四本あり、そのうちの二本は一対のブラシ10にそれぞれ接続されており、残る二本の配線コード60,61が
図13のように上方に引き出され、それらを配線ベース体30の回避孔32から上方に引き出して、
図14に示すようにそれぞれ回路基板36のコネクタ62,63に接続する。このように配線ベース体30を本体ハウジングにドッキングさせる際の配線処理は極めて容易である。その後、トップカバー4を上方から被せてネジ止めすればよい。トップカバー4を被せることでスイッチ操作部材39の腕部39bがスイッチ34の切り替え部38と板バネ41との間に上側から自動的に挿入される。
【0034】
以上のように、本実施形態における電動トリマにあっては、モータ固定ネジ12と同様に押圧固定ネジ11もヘッドカバー3に下側から螺入される構成であるので、モータ固定ネジ12用の雌ネジ部74と押圧固定ネジ11用の雌ネジ部70が何れもヘッドカバー3の下側に集中している。即ち、ヘッドカバー3の上側には押圧固定ネジ11用の雌ネジ部70がなく、従って、ブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の肉厚を薄肉にすることができる。そして、その薄肉化によって形成されたスペースに配線ベース体30を配置しているので、電動トリマの全高寸法が抑制される。即ち、ブラシホルダ9の上側に押圧固定ネジ11用の雌ネジ部70を形成する必要がないので、ブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の肉厚を薄肉化することができ、エッジカバー部14の周囲にスイッチ34や回路基板36、スピードダイヤル37等を配置するためのスペースを容易に確保することができ、その結果、電動トリマの全高寸法が抑制されるのである。
【0035】
また、ヘッドカバー3のエッジカバー部14の上面に対して、ブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17は低い位置にあり、回路基板36は、エッジカバー部14の上面の高さとブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17の高さとの間に位置している。従って、回路基板36を備えていても電動トリマの全高を容易に抑制することができる。
【0036】
更に、
図5及び
図13のようにブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17を平坦面としていてその部分を薄肉としているので、より一層回路基板36を低い位置に配置することができ、電動トリマの全高寸法を抑制することができる。また、回路基板36とブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17との間には配線ベース体30の底面部が位置しているが、配線ベース体30の底面部の下面には凹部が形成され、該凹部にブラシホルダ9の上側におけるヘッドカバー3の上面17が入り込んでいるので、回路基板36をより一層低い位置に配置することができる。
【0037】
また更に、モータ固定ネジ12のネジ止め位置が押圧固定ネジ11に対してモータ1の軸線まわりに所定角度位相をずらして配置されているので、モータ固定ネジ12用の雌ネジ部74と押圧固定ネジ11用の雌ネジ部70との互いの干渉を容易に防止することができる。
【0038】
また、配線ベース体30にエッジカバー部14との干渉を回避するための回避孔32が形成され、回避孔32をエッジカバー部14が上方に挿通して該回避孔32の回りに回路基板36が配置されているので、回路基板36をエッジカバー部14の上面よりも容易に下側に位置させることができ、電動トリマの全高寸法を更に抑制することができる。それと共に、回避孔32の回りに回路基板36を配置することによって回路基板36の面積も容易に確保できる。
【0039】
そして、配線ベース体30にはスイッチ34、電源コード35、回路基板36、スピードダイヤル37等の電気部品が取り付けられていてトップカバー4との間の配線処理が不要となっているので、配線ベース体30をヘッドカバー3の上部に載せてその上からトップカバー4を被せればよく、組み立て性に優れている。また、回避孔32を利用してモータ1からの二本の配線コード60,61を上方に引き出すことができるので、配線ベース体30と本体ハウジング間の配線作業も容易であり、回路基板36が配線ベース体30の上側に配置されているので、上方から容易にコネクタ62,63に接続したり半田付け等したりして電気配線処理を行うことができる。また、トップカバー4にスイッチ操作部材39を配置していて本体ハウジングにトップカバー4を取り付けることで自動的にスイッチ操作部材39をスイッチ34とドッキングさせることができるので、配線作業や組み立て作業が簡素化され、組み立て時間も短縮される。
【0040】
尚、本実施形態ではモータ固定ネジ12と押圧固定ネジ11を位相をずらして配置したが、位相をずらさずに同位相としてもよい。同位相とする場合、押圧固定ネジ11をモータ固定ネジ12と干渉しない程度に外側に配置することができる。また、押圧固定ネジ11を鬼目ナットのようにその中心に雌ネジ部を有する構成としてその押圧固定ネジ11に形成された雌ネジ部にモータ固定ネジ12を螺入するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては回避孔32を貫通孔としたが切欠状であってもよいし、非貫通のもの、即ち底面部の下面に形成された凹部であってもよい。また、回路基板36もY字状に限らずその形状も種々変更可能である。