(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
なお、本発明は、マイクロプロセッサ、画像処理回路、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロコントローラなどの集積回路や、RFタグ、半導体表示装置等の半導体装置を、その範疇に含む。半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、中央演算装置を駆動回路または制御回路に有しているその他の半導体表示装置が、その範疇に含まれる。
【0020】
(実施の形態1)
図1(A)に、本発明の一態様に係る半導体装置100の構成を、一例としてブロック図で示す。なお、
図1(A)に示すブロック図では、半導体装置100内の回路を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0021】
図1(A)に示す半導体装置100は、CPUコア101と、メインメモリ102と、キャッシュ103と、MMU(メモリ管理ユニット)104と、パワースイッチ105と、パワーコントローラ106とを有する。
【0022】
図1(A)に示すCPUコア101は、制御装置107と、演算装置108と、レジスタ109とを有する。制御装置107は、入力された命令をデコードし、実行する機能を有する。演算装置108は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。レジスタ109は、演算装置108の演算処理の途中で得られたデータ、演算装置108の演算処理の結果得られたデータ、制御装置107において次に実行される命令のデータやそのアドレスなどを記憶する機能を有する。
【0023】
なお、
図1(A)では、制御装置107と、演算装置108と、レジスタ109とが互いに独立してCPUコア101に含まれている構成を示している。しかし、制御装置107の機能と演算装置108の機能とを併せ持った装置が、CPUコア101に含まれていても良い。また、レジスタ109は、制御装置107の一部、演算装置108の一部、或いは、制御装置107の機能と演算装置108の機能とを併せ持った装置の一部であっても良い。
【0024】
メインメモリ102は、演算装置108における演算処理に用いられるデータや、制御装置107において実行される命令のデータなどを記憶する機能を有する。キャッシュ103は、メインメモリ102に格納されているデータのうち、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。
【0025】
本発明の一態様では、メインメモリ102は、データを記憶するための複数のメモリセルを有する。そして、複数のメモリセルは、一行または複数行ごとに幾つかのブロックに分割されている。具体的に、各ブロックは、1行または複数行のメモリセルを有する。
【0026】
MMU104は、メインメモリ102のどのアドレスのメモリセルが、キャッシュ103により参照されたか、すなわちアクセスされてデータの複製が行われたかどうかを、把握する機能を有する。データが参照されたメモリセルのアドレスについて、MMU104は、TLB(Translation Lookaside Buffer)などの記憶装置に一時的に記憶させておくことができる。
【0027】
なお、MMU104の一部がTLBとしての機能を有していても良いし、TLBとしての機能を有する記憶装置が、MMU104とは別に、半導体装置100に設けられていても良い。
【0028】
パワースイッチ105は、メインメモリ102への電源電圧の供給を、ブロックごとに制御する機能を有する。パワースイッチ105は複数のスイッチを有し、複数のスイッチはそれぞれ、複数の各ブロックへの電源電圧の供給を制御する。具体的に、複数のスイッチのいずれかのスイッチがオン(導通状態)である場合、上記スイッチを介して対応するブロックへの電源電圧の供給が行われる。また、複数のスイッチのいずれかのスイッチがオフ(非導通状態)である場合、上記スイッチにより対応するブロックへの電源電圧の供給が停止される。
【0029】
パワーコントローラ106は、パワースイッチ105の動作を制御することで、メインメモリ102が有する各ブロックへの、電源電圧の供給を管理する機能を有する。具体的には、パワースイッチ105が有する複数のスイッチのうち、電源電圧の供給を行うブロックに対応するスイッチをオンにするための命令を、パワースイッチ105に送る。また、パワースイッチ105が有する複数のスイッチのうち、電源電圧の供給を停止するブロックに対応するスイッチを、オフにするための命令を、パワースイッチ105に送る。
【0030】
なお、パワーコントローラ106は、半導体装置100が有する、メインメモリ102以外への電源電圧の供給を制御する機能を有していても良い。
【0031】
次いで、メインメモリ102と、パワースイッチ105の、具体的な構成の一例を、
図1(B)に示す。
【0032】
図1(B)に示すメインメモリ102は、3行のメモリセル110をそれぞれ有するブロック102a乃至ブロック102dを有する。なお、
図1(B)では、各ブロックが有するメモリセル110が3行である場合を例示しているが、各ブロックが有するメモリセル110は1行であっても良いし、3行以外の複数行であっても良い。また、
図1(B)では、メインメモリ102が、4つのブロックに分割されている場合を例示しているが、ブロックの数は4つに限定されず、複数であればよい。
【0033】
パワースイッチ105は、スイッチ105a乃至スイッチ105dを有する。ブロック102a乃至ブロック102dには、スイッチ105a乃至スイッチ105dをそれぞれ介して電源電位VDDが与えられる。また、ブロック102a乃至ブロック102dには、電源電位VSSがそれぞれ与えられる。よって、ブロック102a乃至ブロック102dのそれぞれには、スイッチ105a乃至スイッチ105dのうち、対応するスイッチがオンになることで、電源電位VDDと電源電位VSSの電位差に相当する電源電圧が、供給される。
【0034】
なお、スイッチ105a乃至スイッチ105dのいずれかのスイッチがオフである場合、ブロック102a乃至ブロック102dのうち当該スイッチに対応するブロックには電源電位VDDが与えられない。よって、上記ブロックは、電源電圧の供給が停止される。
【0035】
本発明の一態様では、メインメモリ102を複数のブロックに分割し、ブロックごとに電源電圧の供給を制御することができる。そのため、アクセスがあるブロックへの電源電圧の供給を行いつつ、アクセスのないブロックへの電源電圧の供給を停止することができる。よって、メインメモリ102全体への電源電圧の供給を一括で制御する場合に比べて、各ブロックにおいて電源電圧の供給を停止する期間を、長く確保することができ、その分、メモリセルにおいて生じるリーク電力を削減することができる。
【0036】
次いで、
図2(A)に示した構成を有するキャッシュ103と、
図2(B)に示した構成を有するメインメモリ102及びパワースイッチ105を例に挙げて、MMU104の具体的な動作の一例について説明する。
【0037】
キャッシュ103は、キャッシュラインと呼ばれる記憶領域を、複数有している。
図2(A)では、キャッシュ103が、キャッシュライン0乃至キャッシュライン3の、4個のキャッシュラインを有している場合を例示している。また、各キャッシュラインが有する記憶領域は、タグ120、ダーティビット121、データフィールド122の3つの記憶領域に分割されて使用される。データフィールド122には、メインメモリ102から送られてくるデータが記憶される。タグ120には、データフィールド122のデータに対応した、メインメモリ102のアドレスが記憶される。ダーティビット121には、データフィールド122に格納されているデータが、メインメモリ102のデータと一致しているか否かのデータが記憶される。
【0038】
なお、キャッシュ103は、そのデータの格納構造がダイレクトマッピング方式を採用していても良いし、フルアソシエイティブ方式を採用していても良いし、セットアソシエイティブ方式を採用していても良い。
【0039】
また、
図2(B)では、
図1(B)と同様に、0番目から3番目の4つのブロック102a乃至ブロック102dを、メインメモリ102が有する場合を例示している。また、
図2(B)では、ブロック102a乃至ブロック102dが、それぞれ0行目から15行目の16行のメモリセルを有する場合を例示している。そして、パワースイッチ105が有するスイッチ105a乃至スイッチ105dにより、ブロック102a乃至ブロック102dへの電源電圧の供給がそれぞれ制御されている。
【0040】
そして、
図2(A)では、キャッシュライン0のデータフィールド122に、
図2(B)に示すメインメモリ102の3番目のブロック102dが有する、8行目のメモリセルに格納された、データAが格納されている。よって、キャッシュライン0のタグ120には、上記メモリセルのアドレスが格納されている。なお、8行目のメモリセルのうち、いずれの列のメモリセルにデータAが格納されているかを示すアドレスについても、キャッシュライン0のタグ120に格納されていても良い。
【0041】
よって、タグ120に格納されたアドレスが、ブロックのアドレスと、メモリセルの行のアドレスと、メモリセルの列のアドレス(本実施の形態では、任意のアドレス*とする)の連番だとすると、
図2(A)では、キャッシュライン0のタグ120に、アドレス”38*”が格納されていることとなる。
【0042】
同様に、
図2(A)では、キャッシュライン1のデータフィールド122に、
図2(B)に示すメインメモリ102の2番目のブロック102cが有する、5行目のメモリセルに格納された、データBが格納されている。よって、
図2(A)では、キャッシュライン1のタグ120に、アドレス”25*”が格納されていることとなる。
【0043】
同様に、
図2(A)では、キャッシュライン2のデータフィールド122に、
図2(B)に示すメインメモリ102の0番目のブロック102aが有する、2行目のメモリセルに格納された、データCが格納されている。よって、
図2(A)では、キャッシュライン2のタグ120に、アドレス”02*”が格納されていることとなる。
【0044】
同様に、
図2(A)では、キャッシュライン3のデータフィールド122に、
図2(B)に示すメインメモリ102の2番目のブロック102cが有する、3行目のメモリセルに格納された、データDが格納されている。よって、
図2(A)では、キャッシュライン3のタグ120に、アドレス”23*”が格納されていることとなる。
【0045】
MMU104は、データが参照されたメモリセルのアドレスを、TLBに記憶させる。そして、上記アドレスを用い、ブロックごとに、キャッシュ103により参照されたメモリセルの行数、或いはメモリセル数などを算出する。算出された、ブロックごとのメモリセルの行数、或いはメモリセル数は、TLBに記憶させることができる。
【0046】
本発明の一態様では、メインメモリ102のうち、キャッシュ103によりデータが参照されてから経過した時間が短いメモリセル及びその近傍のメモリセルほど、キャッシュ103により次にデータが参照されるまでの期間が短い可能性が高いものと仮定する。上記仮定に基づくと、
図2(A)及び
図2(B)の場合、1番目のブロック102bにおいてキャッシュ103に参照されているメモリセルの行数及びメモリセル数が0であるので、次回アクセスされるまでの期間が4つのブロックの中で最も長いと予測される。
【0047】
MMU104は、次回アクセスされるまでの期間が長いと予測されるブロックを選択し、上記ブロックのアドレスを、パワーコントローラ106に通知する機能を有する。或いは、MMU104は、算出された、ブロックごとのメモリセルの行数、或いはメモリセル数を、パワーコントローラ106に通知するようにしても良い。この場合、次回アクセスされるまでの期間が長いと予測されるブロックを、パワーコントローラ106にて選択すれば良い。
【0048】
そして、パワーコントローラ106は、選択されたブロックへの電源電圧の供給を停止すべく、各スイッチの動作を制御する命令を、パワースイッチ105に送る。
図2(B)では、パワーコントローラ106からパワースイッチ105に送られた命令に従い、ブロック102bに対応するスイッチ105bがオフになった場合を例示している。スイッチ105bがオフになることで、ブロック102bへの電源電圧の供給が停止される。
【0049】
なお、
図2(A)及び
図2(B)では、キャッシュ103が4つのキャッシュラインを有し、メインメモリ102において4行のメモリセルがキャッシュ103により参照されている場合を例示しているが、実際のキャッシュ103では、より多くのキャッシュラインを有する場合が想定される。この場合、キャッシュ103により参照されるメモリセルの行数、或いはメモリセル数も、大きな数値となる。本発明の一態様では、MMU104において、キャッシュ103により参照されるメモリセルの行数、或いはメモリセル数をブロックごとに厳密に算出しても良いが、上記数が大きい場合、算出する数に上限を設けるようにしても良い。この場合、各ブロックのメモリセルの行数、或いはメモリセル数が上限に達したら、当該ブロックにおいて上記算出を終了する。
【0050】
或いは、MMU104は、メモリセルの行数やメモリセル数を算出するのではなく、データが参照されたメモリセルの有無だけを、ブロックごとに判断しても良い。また、MMU104は、データが参照されたメモリセルのアドレスを用い、ブロックごとに、データを参照したキャッシュラインの数を算出するようにしても良い。いずれの場合でも、キャッシュ103によるアクセスの履歴から、データが参照されていないブロックを、特定することが可能である。
【0051】
また、本発明の一態様では、キャッシュ103によるアクセスの履歴のみならず、キャッシュ103によるアクセスの時間や頻度を用い、MMU104またはパワーコントローラ106において、電源電圧の供給が停止されるブロックを選択しても良い。
【0052】
また、本発明の一態様では、電源電圧の供給が停止されるブロックの選択を、MMU104とパワーコントローラ106の両方において行うこともできる。この場合、例えば、MMU104において、電源電圧の供給を停止すべきブロックをアクセスの履歴から選択し、当該ブロックに対応するスイッチをオフする。次いで、パワーコントローラ106において、アクセスの時間または頻度から、電源電圧の供給を停止すべきブロックを追加で選択することができる。
【0053】
また、キャッシュ103によるアクセスの履歴から、次回アクセスされるまでの期間が短いと予測されるブロックに加え、当該ブロックに隣接するブロックにおいて、電源電圧の供給を行うようにしても良い。
図3に示すように、メインメモリ102が有するブロック102−1乃至ブロック102−16のうち、キャッシュ103によるアクセスの履歴から、ブロック102−1、ブロック102−2、ブロック102−3、ブロック102−7、ブロック102−9、ブロック102−15において、次回アクセスされるまでの期間が短いと予測されたとする。この場合、上記ブロックに隣接するブロック102−4、ブロック102−6、ブロック102−8、ブロック102−10、ブロック102−14、ブロック102−16においても、電源電圧の供給を行う。すなわち、
図3に示すメインメモリ102の場合、ブロック102−5、ブロック102−11、ブロック102−12、ブロック102−13において、電源電圧の供給を停止することとなる。
【0054】
本発明の一態様では、次回アクセスされるまでの期間が他のブロックよりも短いであろうブロックを、キャッシュ103によるメインメモリ102へのアクセスの履歴によりCPUコア101が選択することで、アクセスがあるブロックへの電源電圧の供給を行いつつ、アクセスのないブロックへの電源電圧の供給を停止することができる。よって、メインメモリ102全体への電源電圧の供給を一括で制御する場合に比べて、各ブロックにおいて電源電圧の供給を停止する期間を、長く確保することができ、その分、メモリセルにおいて生じるリーク電力を削減することができる。
【0055】
また、本発明の一態様では、メインメモリが有するメモリセルへの電源電圧の供給をブロックごとに制御することのみならず、メモリセルを行ごとに選択する駆動回路への電源電圧の供給を、ブロックごとに制御する構成であっても良い。
【0056】
図4に、本発明の一態様に係る半導体装置100の、メインメモリ102とパワースイッチ105及びパワースイッチ112の、接続構成の一例を示す。メインメモリ102は、ブロック102a乃至ブロック102dを有し、ブロック102a乃至ブロック102dは、複数行のメモリセル110をそれぞれ有する。パワースイッチ105は、ブロック102a乃至ブロック102dへの電源電圧の供給を制御することができる。
【0057】
また、
図4に示すメインメモリ102は、メインメモリ102におけるデータの書き込みと読み出しの時に、各ブロックにおいてメモリセル110を行ごとに選択する行デコーダ130a乃至行デコーダ130dと、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dの選択を行う行デコーダ131と、を有する。行デコーダ131において選択された行デコーダ130a乃至行デコーダ130dのいずれかが選択され、なおかつ選択された行デコーダにより一行のメモリセル110が選択される。
【0058】
また、
図4に示すパワースイッチ112は、メモリセル110を列ごとに選択する列デコーダ132を有することができる。よって、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dと、行デコーダ131とにより選択された一行のメモリセル110から、列デコーダ132によりさらに一または複数のメモリセル110が選択される。
【0059】
また、
図4に示すメインメモリ102は、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dへの電源電圧の供給を制御するパワースイッチ112を有する。具体的に、
図4では、パワースイッチ112は4つのスイッチ112a乃至スイッチ112dを有する。
【0060】
行デコーダ130a乃至行デコーダ130dには、スイッチ112a乃至スイッチ112dをそれぞれ介して電源電位VDDが与えられる。また、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dには、電源電位VSS(図示せず)がそれぞれ与えられる。よって、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dのそれぞれには、スイッチ112a乃至スイッチ112dのうち、対応するスイッチがオンになることで、電源電位VDDと電源電位VSSの電位差に相当する電源電圧が、供給される。
【0061】
なお、スイッチ112a乃至スイッチ112dのいずれかのスイッチがオフである場合、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dのうち当該スイッチに対応するデコーダには電源電位VDDが与えられない。よって、上記デコーダは、電源電圧の供給が停止される。
【0062】
なお、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dへの電源電圧の供給の有無は、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dにそれぞれ対応する、ブロック102a乃至ブロック102dへの電源電圧の供給の有無により決まる。例えば、ブロック102aへの電源電圧の供給が、スイッチ105aがオフになることで停止されると、ブロック102aに対応する行デコーダ130aへの電源電圧の供給も、スイッチ112aがオフになることで停止される。
【0063】
なお、行デコーダ130a乃至行デコーダ130dに供給される電源電圧と、ブロック102a乃至ブロック102dに供給される電源電圧とは、大きさが異なっていても良い。
【0064】
なお、
図4では、デコーダへの電源電圧の供給をブロックごとに制御する構成について説明したが、例えばインバータなどの、駆動回路に含まれるその他の回路についても、電源電圧の供給をブロックごとに制御する構成にしても良い。
【0065】
次いで、行デコーダ130a乃至行デコーダ130d(以下、
図5では行デコーダ130とする)の構成の一例を、
図5(A)及び
図5(B)に示す。
図5(A)では、行デコーダ130の回路記号を示し、
図5(B)では、
図5(A)に示した回路記号に対応する行デコーダ130の、具体的な回路構成の一例を示す。
【0066】
図5(A)及び
図5(B)に示す行デコーダ130は、メモリセルのアドレスをデータとして含む信号が、端子A0及び端子A1に与えられる。また、イネーブル信号は、端子ENから行デコーダ130に与えられる。そして、行デコーダ130では、イネーブル信号のデジタル値が”1”のときに、端子X0乃至端子X3のいずれか1つにおいてのみ、出力される信号のデジタル値が”1”となり、他の全てにおいて出力される信号のデジタル値が”0”となる。また、行デコーダ130では、イネーブル信号のデジタル値が”0”のときに、端子X0乃至端子X3の全てにおいて、出力される信号のデジタル値が”0”となる。
【0067】
具体的に、
図5(B)に示す行デコーダ130は、インバータ700乃至インバータ702と、NAND704乃至NAND707と、NOR708乃至NOR711と、バッファ712乃至バッファ715などの論理素子を有する。なお、バッファ712乃至バッファ715は、行デコーダ130に必ずしも設ける必要はないが、インピーダンス変換器としての機能を有している。そのため、バッファ712乃至バッファ715を行デコーダ130に設けることで、行デコーダ130のメモリセルへの電力供給能力を高めることができる。
【0068】
そして、行デコーダ130に与えられる電源電圧は、上記論理素子のそれぞれに与えられる。よって、行デコーダ130への電源電圧の供給を停止することで、上記論理素子のそれぞれにおいて生じるリーク電力を小さく抑えることができる。
【0069】
次いで、
図6に、メモリセル110の構成を例示する。
【0070】
メモリセル110は、論理素子161及び論理素子162と、スイッチ163と、スイッチ164と、記憶回路170と、記憶回路171とを有する。
【0071】
論理素子161及び論理素子162は、入力端子の電位の極性を反転させて出力端子から出力する機能を有している。具体的に、論理素子161及び論理素子162として、それぞれインバータ、またはクロックドインバータなどを用いることができる。そして、論理素子161と論理素子162は、入力端子が互いの出力端子に接続されている。
【0072】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0073】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0074】
また、メモリセル110には、配線180乃至配線183が接続されている。メモリセル110におけるデータの書き込みと読み出しは、配線180及び配線181を介して行われる。スイッチ163は、配線180に与えられたデータの論理素子161及び論理素子162への書き込みと、論理素子161及び論理素子162から配線180へのデータの読み出しとを、制御する機能を有する。また、スイッチ164は、配線181に与えられたデータの論理素子161及び論理素子162への書き込みと、論理素子161及び論理素子162から配線181へのデータの読み出しとを、制御する機能を有する。
【0075】
具体的に、
図6では、スイッチ163は、論理素子161の入力端子と配線180の電気的な接続を制御する機能を有する。また、スイッチ164は、論理素子162の入力端子と配線181の電気的な接続を制御する機能を有する。
【0076】
配線182及び配線183は、メモリセル110に電源電位を与える機能を有する。具体的に、
図6では、配線182に与えられる電源電位と配線183に与えられる電源電位の電位差が、電源電圧として論理素子161及び論理素子162に与えられる。
【0077】
なお、電源電圧を与えない状態とは、論理素子161及び論理素子162の場合、配線182と配線183の電位差が限りなく0に近い状態を意味する。
【0078】
論理素子161及び論理素子162は、電源電圧が与えられることで、スイッチ163及びスイッチ164を介して書き込まれたデータを、保持することができる。
【0079】
記憶回路170及び記憶回路171は、メモリセル110への電源電圧の供給が停止されていても、論理素子161及び論理素子162に保持されているデータを記憶する機能を有する。具体的に、
図6では、記憶回路170が論理素子161の入力端子に接続されており、記憶回路171が論理素子162の入力端子に接続されている。上記構成により、メモリセル110への電源電圧の供給が停止する前に、論理素子161及び論理素子162に保持されているデータを記憶回路170及び記憶回路171に待避させ、データが消失するのを防ぐことができる。
【0080】
なお、記憶回路170及び記憶回路171には、電源電圧の供給が停止されている期間においてデータを保持することができる、容量素子、MRAM、ReRAM、FeRAMなどの回路素子を用いることができる。
【0081】
また、メモリセル110は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどの、その他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0082】
なお、
図6に示すメモリセル110において、論理素子161に与えられる電源電圧と、論理素子162に与えられる電源電圧とを、別系統にしても良い。上記構成により、記憶回路170及び記憶回路171に保持されていたデータを論理素子161及び論理素子162に戻す際に、論理素子161及び論理素子162において、一方に電源電圧を与えつつ、他方に電源電圧を与えない状態を、作ることができる。よって、論理素子161及び論理素子162のいずれか一方にのみ電源電圧を与える動作と、待避させていたデータを論理素子161及び論理素子162に書き込む動作と、論理素子161及び論理素子162の両方に電源電圧を与えることで上記データを論理素子161及び論理素子162に保持させる動作とを、同時にではなく、順に行うことができる。したがって、記憶回路170及び記憶回路171に待避させていたデータを論理素子161及び論理素子162に戻す際にデータが誤って消失してしまうのを防ぐことができ、データの高信頼性を確保することができる。
【0083】
次いで、
図6に示したメモリセル110の具体的な構成の一例について、
図7(A)を用いて示す。
【0084】
図7(A)に示すメモリセル110では、スイッチ163として機能するトランジスタ163tと、スイッチ164として機能するトランジスタ164tと、論理素子161の一例に相当するインバータ161iと、論理素子162の一例に相当するインバータ162iと、記憶回路170の一例に相当するトランジスタ167及び容量素子165と、記憶回路171の一例に相当するトランジスタ168及び容量素子166とを有する。インバータ161iとインバータ162iは、入力端子が互いの出力端子に接続されている。
【0085】
容量素子165は、インバータ161i及びインバータ162iに保持されているデータを必要に応じて記憶できるように、トランジスタ167を介して、インバータ161iの入力端子に接続されている。また、容量素子166は、インバータ161i及びインバータ162iに保持されているデータを必要に応じて記憶できるように、トランジスタ168を介して、インバータ162iの入力端子に接続されている。
【0086】
具体的に、容量素子165は、一対の電極間に誘電体を有するコンデンサであり、その一方の電極は、トランジスタ167を介してインバータ161iの入力端子に接続され、他方の電極は、接地電位などの電位が与えられているノードに接続されている。また、容量素子166は、一対の電極間に誘電体を有するコンデンサであり、その一方の電極は、トランジスタ168を介してインバータ162iの入力端子に接続され、他方の電極は、接地電位などの電位が与えられているノードに接続されている。
【0087】
そして、本発明の一態様では、トランジスタ167及びトランジスタ168が、オフ電流が著しく小さいことを特徴とする。上記構成により、メモリセル110への電源電圧の供給が停止されても、トランジスタ167及びトランジスタ168をオフにすることで、記憶回路170及び記憶回路171においてデータを保持することができる。よって、メモリセル110への電源電圧の供給が停止する前に、インバータ161i及びインバータ162iに保持されているデータを記憶回路170及び記憶回路171に待避させ、データが消失するのを防ぐことができる。
【0088】
トランジスタ163t及びトランジスタ164tは、nチャネル型であってもpチャネル型であっても、どちらでも良い。
図7(A)では、トランジスタ163t及びトランジスタ164tが全てnチャネル型である場合を例示している。
【0089】
また、
図7(A)では、インバータ161iはpチャネル型のトランジスタ176と、nチャネル型のトランジスタ177とを有する。インバータ162iはpチャネル型のトランジスタ174と、nチャネル型のトランジスタ175とを有する。
【0090】
そして、トランジスタ163tのソース端子及びドレイン端子は、一方が配線180に接続され、他方がトランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極に接続されている。トランジスタ163tのゲート電極は、配線184に接続されている。トランジスタ164tのソース端子及びドレイン端子は、一方が配線181に接続され、他方がトランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極に接続されている。トランジスタ164tのゲート電極は、配線184に接続されている。
【0091】
なお、トランジスタのソース端子とは、活性層の一部であるソース領域、或いは活性層に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレイン端子とは、活性層の一部であるドレイン領域、或いは活性層に接続されたドレイン電極を意味する。
【0092】
また、トランジスタ167のソース端子及びドレイン端子は、一方がトランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極に接続され、他方が容量素子165の一方の電極に接続されている。トランジスタ167のゲート電極は、配線185に接続されている。トランジスタ168のソース端子及びドレイン端子は、一方がトランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極に接続され、他方が容量素子166の一方の電極に接続されている。トランジスタ168のゲート電極は、配線185に接続されている。
【0093】
また、トランジスタ174のソース端子及びドレイン端子は、一方が配線182に接続され、他方がトランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極に接続されている。トランジスタ175のソース端子及びドレイン端子は、一方が配線183に接続され、他方がトランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極に接続されている。トランジスタ176のソース端子及びドレイン端子は、一方が配線182に接続され、他方がトランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極に接続されている。トランジスタ177のソース端子及びドレイン端子は、一方が配線183に接続され、他方がトランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極に接続されている。
【0094】
上記構成を有するインバータ161iでは、トランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極が、その入力端子としての機能を有する。また、インバータ161iでは、トランジスタ176のソース端子及びドレイン端子の他方と、トランジスタ177のソース端子及びドレイン端子の他方とが、その出力端子としての機能を有する。上記構成を有するインバータ162iでは、トランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極が、その入力端子としての機能を有する。また、インバータ162iでは、トランジスタ174のソース端子及びドレイン端子の他方と、トランジスタ175のソース端子及びドレイン端子の他方とが、その出力端子としての機能を有する。
【0095】
なお、メモリセル110は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどの、その他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0096】
図7(A)に示したメモリセル110に、トランジスタ178及びトランジスタ179を追加した構成を、
図7(B)に示す。
【0097】
具体的に、トランジスタ178は、トランジスタ174のソース端子及びドレイン端子の他方と、トランジスタ175のソース端子及びドレイン端子の他方とが接続されているノードAと、トランジスタ176及びトランジスタ177のゲート電極と、トランジスタ163tのソース端子及びドレイン端子の他方とが接続されているノードBとの間の接続を制御する機能を有する。また、トランジスタ179は、トランジスタ176のソース端子及びドレイン端子の他方と、トランジスタ177のソース端子及びドレイン端子の他方とが接続されているノードCと、トランジスタ174及びトランジスタ175のゲート電極と、トランジスタ164tのソース端子及びドレイン端子の他方とが接続されているノードDとの間の接続を制御する機能を有する。
【0098】
なお、
図7(A)及び
図7(B)において、トランジスタ163t、トランジスタ164t、トランジスタ167、トランジスタ168のそれぞれが、複数のトランジスタで構成されていても良い。さらに、
図7(B)においては、トランジスタ178、トランジスタ179のそれぞれが、複数のトランジスタで構成されていても良い。上記トランジスタが複数のトランジスタで構成されている場合、複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0099】
本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、第1のトランジスタのソース端子とドレイン端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタのソース端子とドレイン端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタのソース端子とドレイン端子のいずれか一方が、第2のトランジスタのソース端子とドレイン端子のいずれか一方に接続され、第1のトランジスタのソース端子とドレイン端子の他方が第2のトランジスタのソース端子とドレイン端子の他方に接続されている状態を意味する。
【0100】
また、トランジスタが有するソース端子とドレイン端子は、トランジスタのチャネル型及びソース端子とドレイン端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型のトランジスタでは、ソース端子とドレイン端子のうち、低い電位が与えられる方がソース端子と呼ばれ、高い電位が与えられる方がドレイン端子と呼ばれる。また、pチャネル型のトランジスタでは、ソース端子とドレイン端子のうち、低い電位が与えられる方がドレイン端子と呼ばれ、高い電位が与えられる方がソース端子と呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソース端子とドレイン端子とが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソース端子とドレイン端子の呼び方が入れ替わる。
【0101】
また、
図7(A)及び
図7(B)では、各スイッチを構成しているトランジスタがシングルゲート構造である場合を例示しているが、上記トランジスタは、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0102】
図7(A)及び
図7(B)に示すメモリセル110では、トランジスタ167をオフにすることで容量素子165における電荷の保持を行う。また、トランジスタ168をオフにすることで容量素子166における電荷の保持を行う。よって、トランジスタ167及びトランジスタ168は、オフ電流が小さいことが望ましい。オフ電流が小さいトランジスタ167及びトランジスタ168を用いることで、容量素子165及び容量素子166からリークする電荷の量を小さく抑えることができるので、記憶回路170及び記憶回路171においてデータを確実に保持することができる。
【0103】
バンドギャップが広く、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタは、オフ電流が著しく小さい。上記トランジスタをトランジスタ167及びトランジスタ168に用いることで、記憶回路170及び記憶回路171においてデータを確実に保持することができる。
【0104】
なお、トランジスタ163t、トランジスタ164t、トランジスタ174乃至トランジスタ177は、酸化物半導体などのバンドギャップの広い半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタであっても良いし、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタであっても良い。結晶性を有するシリコンまたはゲルマニウムなどの半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタは、移動度が高い。上記トランジスタをトランジスタ163t、トランジスタ164t、トランジスタ174乃至トランジスタ177に用いることで、メモリセル110におけるデータの書き込み及び読み出しを、高速に行うことができる。
【0105】
また、トランジスタ163t、トランジスタ164t、トランジスタ174乃至トランジスタ177と、トランジスタ167及びトランジスタ168とを積層することで、メインメモリの高集積化を実現することができる。
【0106】
なお、
図7(A)及び
図7(B)に示した構成を有するメモリセル110は、MRAMなどを記憶回路に用いたメモリセルに比べて、データの書き込みに要する電流が小さくて済む。具体的に、MRAMは、1セルあたりの書き込み電流が50μA〜500μAと言われているが、
図7(A)及び
図7(B)に示した構成を有するメモリセル110では、容量素子への電荷の供給によりデータの待避を行っているので、データの書き込みに要する電流をMRAMの1/100程度に抑えることができる。そのため、
図7(A)及び
図7(B)に示した構成を有する本発明の一態様に係る半導体装置では、MRAMを用いる場合より消費電力を抑えることができる。
【0107】
(実施の形態2)
本実施の形態では、トランジスタのオフ電流の算出例について説明する。
【0108】
まず、オフ電流の算出に用いた特性評価用回路の構成について説明する。本実施の形態では、互いに並列に接続された8つの測定系801を備えた、特性評価用回路を用いた。具体的に
図8では、8つの測定系801のうちの2つを例示している。
【0109】
測定系801は、トランジスタ811と、トランジスタ812と、容量素子813と、トランジスタ814と、トランジスタ815とを含む。
【0110】
トランジスタ811は、電荷注入用のトランジスタ811である。そして、トランジスタ811は、その第1端子が、電位V1の与えられているノードに接続されており、その第2端子が、トランジスタ812の第1端子に接続されている。トランジスタ811のゲート電極は、電位Vext_aの与えられているノードに接続されている。
【0111】
トランジスタ812は、リーク電流評価用トランジスタである。なお、本実施の形態においてリーク電流とは、トランジスタのオフ電流を含んでいる。そして、トランジスタ812は、その第1端子が、トランジスタ811の第2端子に接続されており、その第2端子が、電位V2の与えられているノードに接続されている。トランジスタ812のゲート電極は、電位Vext_bの与えられているノードに接続されている。
【0112】
容量素子813の第1の電極は、トランジスタ811の第2端子及びトランジスタ812の第1端子に接続されている。容量素子813の第2の電極は、電位V2の与えられているノードに接続されている。
【0113】
トランジスタ814は、その第1端子が、電位V3の与えられているノードに接続されており、その第2端子が、トランジスタ815の第1端子に接続されている。トランジスタ814のゲート電極は、トランジスタ811の第2端子、トランジスタ812の第1端子、容量素子813の第1の電極に接続されている。なお、このトランジスタ814のゲート電極が接続されている箇所を、ノードAとする。
【0114】
トランジスタ815は、その第1端子が、トランジスタ814の第2端子に接続されており、その第2端子が、電位V4の与えられているノードに接続されている。トランジスタ815のゲート電極は、電位Vext_cの与えられているノードに接続されている。
【0115】
そして、測定系801は、トランジスタ814の第2端子と、トランジスタ815の第1端子が接続されているノードの電位を、出力信号の電位Voutとして出力する。
【0116】
そして、本実施の形態では、トランジスタ811として、酸化物半導体を活性層に含み、なおかつ、活性層に含まれるチャネル形成領域のサイズがチャネル長L=10μm、チャネル幅W=10μmであるトランジスタを用いる。
【0117】
なお、チャネル形成領域とは、半導体膜のうち、ソース電極とドレイン電極の間において、ゲート絶縁膜を間に挟んでゲート電極と重なる領域に相当する。
【0118】
また、トランジスタ814及びトランジスタ815として、酸化物半導体を活性層に含み、なおかつ、活性層に含まれるチャネル形成領域のサイズがチャネル長L=3μm、チャネル幅W=100μmであるトランジスタを用いる。
【0119】
また、トランジスタ812として、酸化物半導体を活性層に含み、活性層の上部にソース電極及びドレイン電極が接し、ソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極とが重なるオーバーラップ領域を設けず、幅1μmのオフセット領域を有するボトムゲート構造のトランジスタを用いる。オフセット領域を設けることにより、寄生容量を低減することができる。さらに、トランジスタ812として、活性層に含まれるチャネル形成領域が、下記の表1の条件1から条件6に示すような、異なるサイズを有するトランジスタを用いる。
【0121】
なお、電荷注入用のトランジスタ811を測定系801に設けない場合には、容量素子813への電荷注入の際に、リーク電流評価用のトランジスタ812を一度オンにする必要がある。この場合、リーク電流評価用のトランジスタ812が、オンからオフの定常状態となるまでに時間を要するような素子だと、測定に時間を要する。
図8に示すように、電荷注入用のトランジスタ811と、リーク電流評価用のトランジスタ812とを別々に測定系801に設けることにより、電荷注入の際に、リーク電流評価用のトランジスタ812を常にオフに保つことができる。よって、測定に要する時間を短縮化することができる。
【0122】
また、電荷注入用のトランジスタ811と、リーク電流評価用のトランジスタ812とを測定系801に別々に設けることにより、それぞれのトランジスタを適切なサイズとすることができる。また、リーク電流評価用のトランジスタ812のチャネル幅Wを、電荷注入用のトランジスタ811のチャネル幅Wよりも大きくすることにより、リーク電流評価用のトランジスタ812のリーク電流以外の、特性評価用回路内のリーク電流成分を相対的に小さくすることができる。その結果、リーク電流評価用のトランジスタ812のリーク電流を高い精度で測定することができる。同時に、電荷注入の際に、リーク電流評価用のトランジスタ812を一度オンとする必要がないため、チャネル形成領域の電荷の一部がノードAに流れ込むことによるノードAの電位変動の影響もない。
【0123】
一方、電荷注入用のトランジスタ811のチャネル幅Wを、リーク電流評価用のトランジスタ812のチャネル幅Wよりも小さくすることにより、電荷注入用のトランジスタ811のリーク電流を相対的に小さくすることができる。また、電荷注入の際に、チャネル形成領域の電荷の一部がノードAに流れ込むことによるノードAの電位変動の影響も小さい。
【0124】
また、
図8に示すように、複数の測定系801を並列に接続させた構造にすることにより、より正確に特性評価用回路のリーク電流を算出することができる。
【0125】
次に、
図8に示す特性評価用回路を用いた、トランジスタのオフ電流の具体的な算出方法について説明する。
【0126】
まず、
図8に示す特性評価用回路のリーク電流測定方法について、
図9を用いて説明する。
図9は、
図8に示す特性評価用回路を用いたリーク電流測定方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0127】
図8に示す特性評価用回路を用いたリーク電流測定方法は、書き込み期間及び保持期間に分けられる。それぞれの期間における動作について、以下に説明する。なお、書き込み期間及び保持期間の両期間において、電位V2及び電位V4を0V、電位V3を5V、電位Vext_cを0.5Vとする。
【0128】
まず、書き込み期間において、電位Vext_bを、トランジスタ812がオフとなるような高さの電位VL(−3V)に設定する。また、電位V1を書き込み電位Vwに設定した後、電位Vext_aを、一定期間トランジスタ811がオンとなるような高さの電位VH(5V)に設定する。上記構成により、ノードAに電荷が蓄積され、ノードAの電位は、書き込み電位Vwと同等の値になる。次いで、電位Vext_aを、トランジスタ811がオフとなるような高さの電位VLに設定する。その後、電位V1を電位VSS(0V)に設定する。
【0129】
次に、保持期間において、ノードAが保持する電荷量の変化に起因して生じるノードAの電位の変化量の測定を行う。電位の変化量から、トランジスタ812のソース電極とドレイン電極との間を流れる電流値を算出することができる。以上により、ノードAの電荷の蓄積とノードAの電位の変化量の測定とを行うことができる。
【0130】
ノードAの電荷の蓄積及びノードAの電位の変化量の測定(蓄積及び測定動作ともいう)は、繰り返し行う。まず、第1の蓄積及び測定動作を15回繰り返し行った。第1の蓄積及び測定動作では、書き込み期間に書き込み電位Vwとして5Vの電位を入力し、保持期間に1時間の保持を行う。次に、第2の蓄積及び測定動作を2回繰り返し行う。第2の蓄積及び測定動作では、書き込み期間に書き込み電位Vwを3.5Vとし、保持期間に50時間の保持を行う。次に、第3の蓄積及び測定動作を1回行う。第3の蓄積及び測定動作では、書き込み期間に書き込み電位Vwを4.5Vとし、保持期間に10時間の保持を行う。蓄積及び測定動作を繰り返し行うことにより、測定した電流値が、定常状態における値であることを確認することができる。言い換えると、ノードAを流れる電流I
Aのうち、過渡電流(測定開始後から時間経過とともに減少していく電流成分)を除くことができる。その結果、より高い精度でリーク電流を測定することができる。
【0131】
一般に、ノードAの電位V
Aは、出力信号の電位Voutの関数として次式のように表すことができる。
【0133】
また、ノードAの電荷Q
Aは、ノードAの電位V
A、ノードAに接続される容量C
A、定数(const)を用いて、次式のように表される。ノードAに接続される容量C
Aは、容量素子813の容量値と、容量素子813以外の容量が有する容量値の和である。
【0135】
ノードAの電流I
Aは、ノードAに流れ込む電荷(またはノードAから流れ出る電荷)の時間微分であるから、ノードAの電流I
Aは次式のように表現される。
【0137】
例えば、Δtを約54000secとする。ノードAに接続される容量C
Aと、出力信号の電位Voutから、ノードAの電流I
Aを求めることができるため、特性評価用回路のリーク電流を求めることができる。
【0138】
次に、上記特性評価用回路を用いた測定方法による出力信号の電位Voutの測定結果及び該測定結果より算出した特性評価用回路のリーク電流の値を示す。
【0139】
図10に、一例として、条件1、条件2及び条件3における上記測定(第1の蓄積及び測定動作)に係る時間と、出力信号の電位Voutとの関係を示す。
図11に、上記測定に係る時間と、該測定によって算出されたリーク電流との関係を示す。測定開始後から出力信号の電位Voutが変動しており、定常状態に到るためには10時間以上必要であることがわかる。
【0140】
また、
図12に、上記測定により見積もられた条件1乃至条件6におけるノードAの電位とリーク電流の関係を示す。
図12では、例えば条件4において、ノードAの電位が3.0Vの場合、リーク電流は28yA/μmである。リーク電流にはトランジスタ812のオフ電流も含まれるため、トランジスタ812のオフ電流も28yA/μm以下とみなすことができる。
【0141】
以上のように、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に含むトランジスタを用いた特性評価用回路において、リーク電流が十分に小さいため、該トランジスタのオフ電流が十分に小さいことがわかる。
【0142】
(実施の形態3)
本実施の形態では、
図7(A)に示したメモリセル110の、断面構造の一例について説明する。なお、本実施の形態では、トランジスタ163t、トランジスタ164t、トランジスタ174乃至トランジスタ177が、非晶質、微結晶、多結晶又は単結晶である、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体を活性層に用い、トランジスタ167及びトランジスタ168が、酸化物半導体を活性層に用いる場合を例に挙げて、メモリセル110の断面構造について説明する。
【0143】
なお、シリコンとしては、プラズマCVD法などの気相成長法若しくはスパッタリング法で作製された非晶質シリコン、非晶質シリコンをレーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコン、単結晶シリコンウェハに水素イオン等を注入して表層部を剥離した単結晶シリコンなどを用いることができる。
【0144】
図13に、pチャネル型のトランジスタ174及びnチャネル型のトランジスタ175と、容量素子165と、トランジスタ167の構成を、断面図で一例として示す。
【0145】
図13に示す記憶装置は、その表面に絶縁膜201が形成された基板200上に、トランジスタ175と、トランジスタ174とを有する。
【0146】
トランジスタ175は、結晶性を有するシリコンを有する半導体膜203nと、半導体膜203n上のゲート絶縁膜204nと、ゲート絶縁膜204nを間に挟んで半導体膜203nと重なる位置に設けられたゲート電極205nと、半導体膜203nに接続された導電膜206及び導電膜207とを有する。そして、半導体膜203nは、チャネル形成領域として機能する第1の領域208と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2の領域209及び第2の領域210とを有する。第2の領域209及び第2の領域210は、第1の領域208を間に挟んでいる。なお、
図13では、半導体膜203nが、第1の領域208と第2の領域209及び第2の領域210との間に、LDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する第3の領域211及び第3の領域212を有している場合を例示している。
【0147】
また、トランジスタ174は、結晶性を有するシリコンを有する半導体膜203pと、半導体膜203p上のゲート絶縁膜204pと、ゲート絶縁膜204pを間に挟んで半導体膜203pと重なる位置に設けられたゲート電極205pと、半導体膜203pに接続された導電膜207及び導電膜213とを有する。そして、半導体膜203pは、チャネル形成領域として機能する第1の領域214と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2の領域215及び第2の領域216とを有する。第2の領域215及び第2の領域216は、第1の領域214を間に挟んでいる。なお、
図13では、半導体膜203pが、第1の領域214と第2の領域215及び第2の領域216との間に、LDD領域として機能する第3の領域217及び第3の領域218を有している場合を例示している。
【0148】
なお、
図13では、トランジスタ175と、トランジスタ174とが導電膜207を共有している。
【0149】
また、
図13では、トランジスタ175と、トランジスタ174とが、薄膜の半導体膜を用いている場合を例示しているが、トランジスタ175と、トランジスタ174とが、バルクの半導体基板にチャネル形成領域を有するトランジスタであっても良い。薄膜の半導体膜としては、例えば、非晶質シリコンをレーザー結晶化させることで得られる多結晶シリコン、単結晶シリコンウェハに水素イオン等を注入して表層部を剥離した単結晶シリコンなどを用いることができる。
【0150】
そして、
図13に示す記憶装置は、導電膜206、導電膜207、及び導電膜213上に絶縁膜219が設けられている。そして、絶縁膜219上には、トランジスタ167が設けられている。
【0151】
トランジスタ167は、絶縁膜219上に、酸化物半導体を含む半導体膜230と、半導体膜230上のゲート絶縁膜231とを有する。なお、ゲート絶縁膜231は半導体膜230を完全に覆ってはいない。トランジスタ167は、半導体膜230上に、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜232及び導電膜233を有しており、半導体膜230のうちゲート絶縁膜231に覆われていない領域において、半導体膜230と、導電膜232及び導電膜233とが、それぞれ接続されている。
【0152】
そして、導電膜233は、絶縁膜219に設けられた開口部を介して、導電膜207に接続されている。
【0153】
また、トランジスタ167は、ゲート絶縁膜231上において、半導体膜230と重なる位置に、ゲート電極234及びサイドウォール235を有する。サイドウォール235はゲート電極234の側部に設けられている。そして、導電膜232の一部、及び導電膜233の一部は、サイドウォール235上に重なっている。また、導電膜232及び導電膜233上には、絶縁膜237が形成されている。
【0154】
なお、導電膜232及び導電膜233は必ずしもサイドウォール235に接している必要はないが、サイドウォール235に接するように導電膜232及び導電膜233を形成することで、導電膜232及び導電膜233の位置が多少ずれて形成されたとしても、導電膜232及び導電膜233と半導体膜230との接する面積が、変動するのを防ぐことができる。よって、導電膜232及び導電膜233の位置がずれることによる、トランジスタ167のオン電流の変動を防ぐことができる。
【0155】
また、ゲート電極234上には絶縁膜236が設けられている。絶縁膜236は必ずしも設ける必要は無いが、絶縁膜236をゲート電極234の上部に設けることで、導電膜232及び導電膜233の位置がずれて、ゲート電極234の上部にかかるように形成されても、導電膜232及び導電膜233とゲート電極234が接触するのを防ぐことができる。
【0156】
また、トランジスタ167及び絶縁膜237上には、絶縁膜238が設けられており、絶縁膜238上には導電膜239が設けられている。絶縁膜237及び絶縁膜238を間に挟んで導電膜232及び導電膜239が重なっている部分が、容量素子165として機能する。
【0157】
なお、
図13では、容量素子165をトランジスタ167と共に絶縁膜219の上に設けている場合を例示しているが、容量素子165は、トランジスタ175及びトランジスタ174と共に、絶縁膜219の下に設けられていても良い。
【0158】
また、
図13において、トランジスタ167は、ゲート電極234を半導体膜230の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜230を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有していても良い。
【0159】
シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料の一例として、酸化物半導体の他に、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体などがある。酸化物半導体は、炭化珪素や窒化ガリウムと異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコンまたは窒化ガリウムとは異なり、酸化物半導体は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上或いはシリコンを用いた集積回路上に電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。よって、上述したワイドギャップ半導体の中でも、特に酸化物半導体は量産性が高いというメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば電界効果移動度)を向上させるために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、250℃から800℃の熱処理によって容易に結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0160】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さいという特性を有する。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。水分または水素などの不純物濃度が十分に低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を小さくすることができる。
【0161】
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10
6μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10
−13A以下という特性を得ることができる。この場合、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当該測定では、高純度化された酸化物半導体膜を上記トランジスタのチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく小さい。
【0162】
なお、酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気的特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0163】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を含んでいてもよい。
【0164】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0165】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn系酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高いため、半導体装置に用いる半導体材料としては好適である。
【0166】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0167】
しかし、これらに限られず、必要とする電気的特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする電気的特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0168】
なお、例えば、酸化物半導体膜は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含むターゲットを用いたスパッタリング法により形成することができる。In−Ga−Zn系酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn−Ga−Zn系酸化物のターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn−Ga−Zn系酸化物のターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶または後述するCAAC−OSが形成されやすくなる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。充填率の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0169】
なお、酸化物半導体としてIn−Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn
2O
3:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn
2O
3:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1.5:1〜15:1(モル数比に換算するとIn
2O
3:ZnO=3:4〜15:2)とする。例えば、In−Zn系酸化物である酸化物半導体膜の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範囲に収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0170】
また、酸化物半導体膜としてIn−Sn−Zn系酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合、金属元素の原子数比がIn:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、または4:9:7で示されるIn−Sn−Zn系酸化物ターゲットを用いる。
【0171】
そして、具体的に酸化物半導体膜は、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて形成すればよい。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室を排気すると、例えば、水素原子、水(H
2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0172】
なお、スパッタリング等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分または水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水分または水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体膜に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、加熱処理を施す。
【0173】
酸化物半導体膜に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜中の水分または水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0174】
なお、上記加熱処理により、酸化物半導体膜から酸素が脱離し、酸化物半導体膜内に酸素欠損が形成される場合がある。そこで、上記加熱処理の後に、半導体膜230に酸素を供給する処理を行い、酸素欠損を低減させることが望ましい。
【0175】
例えば、酸素を含むガス雰囲気下において加熱処理を行うことで、半導体膜230に酸素を供給することができる。酸素を供給するための加熱処理は、上述した、水分又は水素の濃度を低減するための加熱処理と同様の条件で行えば良い。ただし、酸素を供給するための加熱処理は、酸素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)などの酸素を含むガス雰囲気下において行う。
【0176】
上記酸素を含むガスには、水、水素などの濃度が低いことが好ましい。具体的には、酸素を含むガス内に含まれる不純物濃度を、1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが好ましい。
【0177】
或いは、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いて、半導体膜230に酸素を供給することができる。上記方法を用いて酸素を半導体膜230に供給した後、半導体膜230に含まれる結晶部が損傷を受けた場合は、加熱処理を行い、損傷を受けた結晶部を修復するようにしても良い。
【0178】
また、酸化物半導体膜と接するゲート絶縁膜などの絶縁膜として、酸素を含む絶縁膜を用い、上記絶縁膜から酸化物半導体膜に酸素を供給するようにしても良い。酸素を含む絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素を半導体膜に添加することをいう。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素を半導体膜に添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法又はイオンドーピング法を用いて行ってもよい。酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成より酸素が多い領域を有する絶縁膜を形成することができる。そして、酸素を含む絶縁膜を形成した後、加熱処理を施すことで、上記絶縁膜から酸化物半導体膜に酸素が供与されるようにする。上記構成により、ドナーとなる酸素欠損を低減し、酸化物半導体膜に含まれる酸化物半導体の、化学量論的組成を満たすことができる。酸化物半導体膜には化学量論的組成を超える量の酸素が含まれていることが好ましい。その結果、酸化物半導体膜をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気的特性のばらつきを軽減し、電気的特性の向上を実現することができる。
【0179】
酸素を絶縁膜から酸化物半導体膜に供与するための加熱処理は、窒素、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)で行う。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下であることが望ましい。
【0180】
また、半導体膜230として、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)、微結晶、または非晶質などの状態を有する酸化物半導体膜を用いることができる。好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
【0181】
CAAC−OS膜で構成された酸化物半導体膜は、スパッタリング法によっても作製することができる。スパッタリング法によってCAAC−OS膜を得るには酸化物半導体膜の堆積初期段階において六方晶の結晶が形成されるようにすることと、当該結晶を種として結晶が成長されるようにすることが肝要である。そのためには、ターゲットと基板の距離を広くとり(例えば、150mm〜200mm程度)、基板加熱温度を100℃〜500℃、好適には200℃〜400℃、さらに好適には250℃〜300℃にすると好ましい。また、これに加えて、成膜時の基板加熱温度よりも高い温度で、堆積された酸化物半導体膜を熱処理することで膜中に含まれるミクロな欠陥や、積層界面の欠陥を修復することができる。
【0182】
酸化物半導体膜は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
【0183】
酸化物半導体膜は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
【0184】
酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。または、微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。
【0185】
酸化物半導体膜は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
【0186】
なお、酸化物半導体膜が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
【0187】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
【0188】
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。
【0189】
CAAC−OS膜は、完全な非晶質ではない。CAAC−OS膜は、例えば、結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0190】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0191】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0192】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
【0193】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気的特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0194】
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である金属酸化物ターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜する。当該ターゲットにイオンが衝突すると、ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基板に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
【0195】
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0196】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、処理室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0197】
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。
【0198】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
【0199】
ターゲットの一例として、In−Ga−Zn系酸化物ターゲットについて以下に示す。
【0200】
InO
X粉末、GaO
Y粉末およびZnO
Z粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn系酸化物ターゲットとする。なお、X、YおよびZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InO
X粉末、GaO
Y粉末およびZnO
Z粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3または3:1:2である。なお、粉末の種類、およびその混合するmol数比は、作製するターゲットによって適宜変更すればよい。
【0201】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0202】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図14に示す。
【0203】
図14(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。なお、
図14(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0204】
図14(B)は携帯情報端末であり、第1筐体5601、第2筐体5602、第1表示部5603、第2表示部5604、接続部5605、操作キー5606等を有する。第1表示部5603は第1筐体5601に設けられており、第2表示部5604は第2筐体5602に設けられている。そして、第1筐体5601と第2筐体5602とは、接続部5605により接続されており、第1筐体5601と第2筐体5602の間の角度は、接続部5605により変更できる。第1表示部5603における映像を、接続部5605における第1筐体5601と第2筐体5602との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1表示部5603及び第2表示部5604の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
【0205】
図14(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。
【0206】
図14(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303等を有する。
【0207】
図14(E)はビデオカメラであり、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部5803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。操作キー5804及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐体5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続部5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接続部5806により変更できる。表示部5803における映像の切り替えを、接続部5806における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って行う構成としても良い。
【0208】
図14(F)は普通自動車であり、車体5101、車輪5102、ダッシュボード5103、ライト5104等を有する。
【0209】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。