特許第6046520号(P6046520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046520
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/06 20060101AFI20161206BHJP
   B31B 1/64 20060101ALI20161206BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20161206BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B65B3/06
   B31B1/64 321
   B65D30/16 A
   B65D33/38
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-36086(P2013-36086)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-162519(P2014-162519A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−184021(JP,A)
【文献】 特開2000−238704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/06
B31B 1/64
B65D 30/16
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置される第1側面シート及び第2側面シートと、前記第1側面シート及び第2側面シートの間に配置されて底面を形成する底面シートとからなり、内容物を充填して使用される包装袋であって、
前記第1側面シート及び第2側面シートは、両側辺部分が互いに接着されるとともに、上辺部分が取出口を形成可能な封止状態とされ、
前記底面シートは、上下二つ折りにされた状態で前記第1側面シート及び第2側面シートの間に固定され、
前記底面シートの前記第1側面シート側の外面は、折辺方向における中央部分が前記第1側面シートに対して非接着とされ、
前記第1側面シートと前記底面シートとの間を離間可能に構成した包装袋に対する充填方法において、
前記第1側面シート及び第2側面シートを吸着保持する吸着部材を用いて、前記第1側面シート及び第2側面シートの下辺部分を離間させて、前記包装袋の下端に開口を形成する開口工程と、
前記開口工程後に行われ、前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとの間に拡開部材を挿入し、前記拡開部材を前記第2側面シート側へ移動させることにより、前記開口内における前記底面シートの位置を前記第2側面シート側へ寄せる拡開工程と、
前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとの間を通じて、前記開口から前記包装袋内に内容物を充填する充填工程と、
前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとを接着する接着工程とを有することを特徴とする充填方法
【請求項2】
前記包装袋は、前記底面シートの前記第2側面シート側の外面、前記第2側面シートに接着されている包装袋であることを特徴とする請求項1に記載の充填方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材から形成される包装袋に対する充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の側面シートと、底面シートとから構成される包装袋が開示されている。特許文献1の包装袋は、折り目が上方を向くように底面シートを上下に二つ折りし、その底面シートを挟み込むようにして一対の側面シートを配置した状態で、側面シートの両側辺及び下辺に沿って、側面シート同士を接着するとともに側面シートと底面シートとを接着することによって袋状に形成されている。また、包装袋の上辺部分には、口具を挟んで側面シート同士が接着されることによって口具が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装袋に内容物を充填する場合、口具を通じて包装袋内に内容物を充填する方法、又は口具を取り付ける前の包装袋に対して、未接着状態の上端を開口させて、その開口から内容物を充填した後、口具を取り付けつつ上辺部分を接着する方法が主に採用されている。
【0005】
上記方法による充填時には、二つ折り状態にある底面シートは、内部に充填された内容物の圧力によって展開される。このとき、底面シート同士又は底面シートと側面シートとが静電気等の影響により強く密着して、底面シートの展開が不十分になる場合がある。底面シートの展開が不十分であると、包装袋内に十分な容積を確保することができずに、包装袋の容量に応じて予め設定された所定量の内容物を充填することができなくなるおそれがある。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容積に応じた所定量の内容物をより確実に充填することのできる包装袋に対する充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための充填方法は、対向して配置される第1側面シート及び第2側面シートと、前記第1側面シート及び第2側面シートの間に配置されて底面を形成する底面シートとからなり、内容物を充填して使用される包装袋であって、前記第1側面シート及び第2側面シートは、両側辺部分が互いに接着されるとともに、上辺部分が取出口を形成可能な封止状態とされ、前記底面シートは、上下二つ折りにされた状態で前記第1側面シート及び第2側面シートの間に固定され、前記底面シートの前記第1側面シート側の外面は、折辺方向における中央部分が前記第1側面シートに対して非接着とされ、前記第1側面シートと前記底面シートとの間を離間可能に構成した包装袋に対する充填方法において前記第1側面シート及び第2側面シートを吸着保持する吸着部材を用いて、前記第1側面シート及び第2側面シートの下辺部分を離間させて、前記包装袋の下端に開口を形成する開口工程と、前記開口工程後に行われ、前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとの間に拡開部材を挿入し、前記拡開部材を前記第2側面シート側へ移動させることにより、前記開口内における前記底面シートの位置を前記第2側面シート側へ寄せる拡開工程と、前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとの間を通じて、前記開口から前記包装袋内に内容物を充填する充填工程と、前記底面シートの前記第1側面シート側の外面と前記第1側面シートとを接着する接着工程とを有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、包装袋の下端側から包装袋内に内容物を充填することができる。この場合には、包装袋内への内容物の充填に伴って底面シートを展開させる必要がない。そのため、充填された内容物の圧力によって包装袋が容易に膨らみ、包装袋内に所定の容積を確保することができる。したがって、包装袋の容積に応じた所定量の内容物をより確実に充填することができる。
【0011】
また、上記包装袋において、前記底面シートの前記第2側面シート側の外面は、前記第2側面シートに接着されていることが好ましい。この場合には、開口工程において、開口の形成と同時に、底面シートが第2側面シート側へ引き寄せられる。これにより、底面シートと第1側面シートとの間隔が大きく形成されて、続く充填工程において、内容物を充填するための充填ノズルを開口内に容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の充填方法によれば、容積に応じた所定量の内容物をより確実に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は実施形態の包装袋の斜視図、(b)は実施形態の包装袋の分解斜視図。
図2】実施形態の包装袋の正面図。
図3】実施形態の包装袋の部分断面図。
図4】(a)〜(f)は充填方法の説明図。
図5】変更例の包装袋を示す図。
図6】変更例の包装袋を示す図。
図7】変更例の包装袋を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の包装袋を図面に基づいて説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、包装袋10は複数のシート材を組み合わせることによって形成される。包装袋10を構成するシート材としては、包装袋に一般的に用いられる公知の樹脂シート(例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、及びポリエステル等からなる単層又は多層の樹脂シート)を用いることができる。本実施形態では、シート材として、一方側の表面のみに熱溶着性樹脂からなる熱溶着層を有する樹脂シートを用いている。
【0015】
図1(b)に示すように、包装袋10は、折辺が上方を向くように上下に二つ折りにされた横長長方形状の底面シート11と、その底面シート11を挟み込むように対向配置された一対の側面シート12とを備えている。底面シート11は、熱溶着層を有する側の面が外面側に位置する(外側を向く)ようにして二つ折りにされている。二つ折りにされた底面シート11の両側部には、半円形状の切欠部11aが設けられている。
【0016】
側面シート12は熱溶着層を有する側の面を向かい合わせるようにして対向配置されている。各側面シート12は共に同形状をなし、上辺部分の幅が上方へ向かって徐々に小さくなる釣り鐘状に形成されている。また、底面シート11は側面シート12の下辺に沿って配置されるとともに、底面シート11が挟まれる部位における側面シート12の幅は、底面シート11の左右方向(折辺方向)の幅に等しい長さに設定されている。
【0017】
図2に示すように、包装袋10の両側部分には、側面シート12の左右両辺に沿って、側面シート12の内面同士を所定幅で熱溶着してなる側辺接着部13が設けられている。各側辺接着部13において、側面シート12間に底面シート11が挟まれる部位では、側面シート12の内面と底面シート11の外面とが熱溶着されている。また、底面シート11の切欠部11aにおいては、側面シート12の内面同士が熱溶着されている。
【0018】
包装袋10の上辺部分には、側面シート12の上辺に沿って、側面シートの内面同士を所定幅で熱溶着してなる上辺接着部14が設けられている。上辺接着部14の中央部分には、取出口となる口具20が一体に固定されている。口具20は内部に流路を形成する筒状の注出部21と、注出部21の上部側の開口を塞ぐキャップ22とから構成されている。口具20は、注出部21の下部が側面シート12間に挟まれるようにして配置され、上辺接着部14において、注出部21の外周面と側面シート12の内面とが熱溶着されることによって取り付けられている。
【0019】
図3に示すように、包装袋10の下辺部分においては、二つ折りにされた底面シート11の両外面と、底面シート11を挟む側面シート12の内面とが非接着とされている。したがって、二つ折りにされた底面シート11は、左右方向(折辺方向)における両側部のみが側辺接着部13において側面シート12に接着された状態となっている。そのため、包装袋10は、側面シート12の下部同士を互いに離間させることによって、その下端に開口Aを形成することが可能である。
【0020】
次に、包装袋10に内容物を充填する充填方法を、本実施形態の作用とともに図4に基づいて説明する。ここでは、包装袋10を構成する一対の側面シート12について、一方の側面シート12を第1側面シート12aとし、他方の側面シート12を第2側面シート12bとして説明する。
【0021】
上記充填方法は、包装袋10の下端に開口Aを形成する開口工程と、開口Aにおける第1側面シート12aと底面シート11との間隔を広ける拡開工程と、開口Aから内容物を充填する充填工程と、底面シート11と第1及び第2側面シート12a,12bとを接着する接着工程とを有する。
【0022】
[開口工程]
図4(a)に示すように、上下逆向きの状態として包装袋10を保持する。そして、図4(b)に示すように、包装袋10の第1側面シート12a及び第2側面シート12bの下部を互いに離間させる方向へ移動させて、包装袋10の下端に開口Aを形成する。開口工程における上記の操作は、第1側面シート12a及び第2側面シート12bを吸着保持する先端部を有し、第1側面シート12a及び第2側面シート12bの積層方向に移動可能な吸着部材31を備える開口装置を用いて行うことができる。開口装置としては、例えば、特開2012−126054号公報に開示される開口装置が挙げられる。
【0023】
[拡開工程]
図4(c)に示すように、開口A内に位置する底面シート11を第2側面シート12b側へ移動させて、開口A内における底面シート11と第1側面シート12aとの間の隙間を広げる。拡開工程における上記の操作は、例えば、第1側面シート12a及び第2側面シート12bの積層方向及び上下方向に移動可能な拡開部材32を備える開口装置を用いて行うことができる。具体的には、開口A内における第1側面シート12aと底面シート11との間に拡開部材32を挿入した後、拡開部材32を第2側面シート12bへ向かって移動させる。これにより、開口A内の底面シート11は第2側面シート12b側へ移動して、開口A内における底面シート11と第1側面シート12aとの間の隙間が広がる。
【0024】
[充填工程]
図4(d)に示すように、包装袋10の開口Aを通じて、底面シート11と第1側面シート12aとの間に充填ノズル33を挿入する。ここで、底面シート11が第2側面シート12b側へ寄せられて、底面シート11と第1側面シート12aとの間の隙間が大きく確保されている。これにより、底面シート11に干渉することなく、開口A内に充填ノズル33を容易に挿入することができる。
【0025】
そして、充填ノズル33から所定量の内容物を包装袋10内へ充填する。このとき、下側に位置している包装袋10の上辺接着部14側には、底面シート11のような折り曲げ部分が存在しない。そのため、包装袋10は充填された内容物の圧力によって容易に膨らんだ状態となる。充填後、包装袋10内から充填ノズル33及び拡開部材32を退避させる。
【0026】
[接着工程]
図4(e)に示すように、包装袋10の第1側面シート12a及び第2側面シート12bの下部を互いに接近させる方向へ移動させ、包装袋10下端の開口Aを閉じるとともに、底面シート11の外面と第1側面シート12a及び第2側面シート12bの各内面とを密着させた状態とする。そして、底面シート11の外面と、第1側面シート12a及び第2側面シート12bの各内面とを熱溶着する。
【0027】
具体的には、包装袋10において、底面シート11と第1側面シート12a及び第2側面シート12bとが重なる部位よりも上下方向における中央側であって、内容物が充填されていない部分を押さえ部材34で挟持する。そして、第1側面シート12a及び第2側面シート12bに対して、その外面側から加熱部材35を押し当てることにより、底面シート11の外面と、第1側面シート12a及び第2側面シート12bの各内面とを熱溶着する。
【0028】
この接着工程では、図2の符号Sで示す部分において、底面シート11の外面と各側面シート12の各内面とが接着される。具体的には、底面シート11と側面シート12とが重なる部分のうち、上下方向において円弧状に凹んだ曲線と側面シート12の左辺、右辺及び下辺によって囲まれる部分S(一点鎖線で囲まれた部分)が接着される。そして、図4(f)に示すように、包装袋10の下辺部分が接着されることによって、包装袋10は内容物が充填された充填済み包装袋40となる。
【0029】
次に、本実施形態における効果について、以下に記載する。
(1)包装袋10は、対向して配置される一対の側面シート12と、側面シート12間に配置されて底面を形成する底面シート11とを備えている。一対の側面シート12は、両側辺部分が互いに接着されるとともに、上辺部分が取出口を形成可能な封止状態とされている。底面シート11は、上下二つ折りにされた状態で側面シート12間に固定され、底面シート11の外面は、折辺方向における中央部分が側面シート12に対して非接着とされている。包装袋10は、側面シート12と底面シート11との間が離間可能に形成されている。
【0030】
上記構成によれば、包装袋10の下端側から包装袋10内に内容物を充填することができる。この場合には、包装袋10内への内容物の充填に伴って底面シート11を展開させる必要がない。そのため、充填された内容物の圧力によって包装袋10が容易に膨らみ、包装袋10内に所定の容積を確保することができる。したがって、包装袋10の容積に応じた所定量の内容物をより確実に充填することができる。
【0031】
また、口径の大きい充填ノズル33を用いて内容物の充填を行うことができる。例えば、口具20を備える包装袋に対する充填方法の一つとして、口具20を介して内容物を充填する方法がある。この場合、充填ノズル33の口径は、口具20の内径の範囲内に制限される。これに対して、上記構成によれば、包装袋10の下端側から内容物を充填可能であるため、口具20の内径によって充填ノズル33の口径が制限されることはない。したがって、口具20の内径よりも口径の大きい充填ノズル33の採用も可能となり、それだけ充填速度を速くすることができる。
【0032】
(2)包装袋10に対する充填方法は、側面シート12の下辺部分を離間させて包装袋10の下端に開口Aを形成する開口工程と、開口Aにおける底面シート11と側面シート12との間から包装袋10内に内容物を充填する充填工程と、底面シート11と側面シート12とを接着する接着工程とを有している。上記構成によれば、包装袋10に対して、包装袋10の容積に応じた所定量の内容物をより確実に充填することができる。
【0033】
(3)包装袋10に対する充填方法は更に、開口工程後に行われ、底面シート11を第2側面シート12b側へ移動させて、底面シート11と第1側面シート12aとの間隔を広げる拡開工程を有している。上記構成によれば、充填工程において、充填ノズル33を開口A内に容易に挿入することができる。
【0034】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0035】
・ 上記実施形態では、側面シート12の上辺接着部14に口具20を挟み込むことによって、包装袋10の上辺部分を、取出口を形成可能な封止状態としていたが、包装袋10の上辺部分の構成はこれに限定されるものではない。
【0036】
例えば、図5に示すように、口具20を取り付ける構成に代えて、切り取り溝23を設ける構成としてもよい。この場合、切り取り溝23に基づいて、包装袋10の上部の一部を切り取ることにより、取出口24を形成することができる。また、切り取り溝23に基づいて取出口24を形成する構成において、側面シート12における取出口24が形成される部位よりも下側の部位に、雄型テープと雌型テープとからなるファスナー部材等を取り付ける構成としてもよい。
【0037】
・ 包装袋10を形成する側面シート12の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、一枚のシート材を左右に二つ折り又は三つ折りにすることにより、対向する一対の側面シート12を構成してもよい。また、側面シート12の形状を適宜、変更することもできる。例えば、図5に示す変更例では、長方形状の側面シート12を用いている。
【0038】
・ 上記実施形態では、底面シート11の両外面の中央部が共に、側面シート12に対して非接着とされていたが、少なくとも一方側の外面が側面シート12に対して非接着であればよい。例えば、一対の側面シート12をそれぞれ第1側面シート12a及び第2側面シート12bとしたとき、底面シート11の第2側面シート12b側の外面と第2側面シート12bとを接着するとともに、底面シート11の第1側面シート12a側の外面と第1側面シート12aとを非接着とする構成であってもよい。この場合には、開口工程において、開口Aの形成と同時に、底面シート11は第2側面シート12b側へ引き寄せられる。これにより、底面シート11と第1側面シート12aとの間隔が大きく形成されて、続く充填工程において、充填ノズル33を開口A内に容易に挿入することができる。
【0039】
図6に示すように、底面シート11における第1側面シート12a側の下端部分に、第1側面シート12aから突出する突出部11bを設ける構成としてもよい。この場合には、拡開工程において、突出部11bを利用する(例えば、突出部11bを把持する)ことによって、上記実施形態のように底面シート11と第1側面シート12aとの間に拡開部材32を挿入する必要がない。そのため、静電気等の影響によって、開口工程後も底面シート11と第1側面シート12aとが密着しているような場合であっても、底面シート11を第2側面シート12b側へ容易に移動させることができる。突出部11bは、接着工程後に除去してもよいし、そのまま残してもよい。なお、突出部11bを設ける構成は、上述した底面シート11と第2側面シート12bとが接着されている構成と組み合わせて採用することが特に好ましい。
【0040】
図7に示す包装袋10としてもよい。すなわち、第1側面シート12aは、第2側面シート12bよりも上下方向の長さが下側に長くなるように形成されている。底面シート11は、第1側面シート12a側が第2側面シート12b側よりも上下方向に長くなるように二つ折りにされている。つまり、第2側面シート12bの下端に対して、第1側面シート12aの下端、及び底面シート11における第1側面シート12a側の下端が下方へ延出するように形成されている。そして、底面シート11の第2側面シート12b側の外面と第2側面シート12bとが接着されている。
【0041】
このように構成した場合には、上記実施形態の構成と比較して、包装袋10内に多量の内容物を充填することができる。図4(e)に示すように、上記実施形態の場合には、接着工程において、底面シート11と第1及び第2側面シート12a,12bとを重ねた状態としている。そのため、接着工程を安定的に行うべく、包装袋10内への充填量は、底面シート11と第1及び第2側面シート12a,12bとを重ねることが可能な範囲内の量とされる。
【0042】
一方、図7の構成によれば、底面シート11と第1及び第2側面シート12a,12bとを重ねることが困難な量の内容物が充填されて、底面シート11の一部が展開した状態であっても、接着工程を行うことができる。つまり、底面シート11の一部が展開した状態であっても、第1側面シート12a及び底面シート11における第2側面シート12bの下端から延出する部分同士を矢印で示すように重ねて、同部位を溶着することによって包装袋10の下辺部分を封止することができる。そのため、底面シート11に近い高さ位置まで内容物を充填することが可能であり、上記実施形態の構成よりも多量の内容物を充填することができる。
【0043】
・ 二つ折りにされた底面シート11の両側部に設けられる切欠部11aを省略してもよい。この場合には、例えば以下のような構成を採用することが好ましい。底面シート11として、二つ折りの状態で外面となる側に第1熱溶着層を有するとともに、内面となる側に第1熱溶着層よりも融点の高い第2熱溶着層を有するシートを用いる。そして、側辺接着部13を形成する際には、第2熱溶着層の融点以上の温度で溶着を行うことにより、底面シート11の外面の両側部と側面シート12の内面とを溶着するとともに、底面シート11の両側部における内面同士を溶着する。また、溶着工程においては、底面シート11の内面同士が溶着しないように、第2熱溶着層の融点よりも低い温度、且つ第1熱溶着層の融点以上の温度で溶着を行う。これにより、切欠部11aを設けた場合と同様の包装袋10を得ることができる。
【0044】
・ 上記充填方法において、拡開工程を省略してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 前記底面シートの前記第1側面シート側の下端には、前記第1側面シートから突出する突出部が設けられている前記包装袋。
【0045】
(ロ) 前記第1側面シートは、その下端が前記第2側面シートの下端よりも下側へ長くなるように形成されるとともに、前記底面シートは、前記第1側面シート側の下端が前記第2側面シートよりも下側へ長くなるように形成され、前記底面シートの前記第2側面シート側の外面は、前記第2側面シートに接着されている前記包装袋。
【0046】
(ハ) 前記包装袋に内容物を充填するための充填装置であって、前記側面シートの下辺部分を互いに離間する方向へ引き寄せて、前記包装袋の下端に開口を形成する開口装置と、前記底面シートを前記第2側面シート側へ移動させて、前記底面シートと前記第1側面シートとの間隔を広げる拡開装置と、前記包装袋内に内容物を充填するノズルと、前記底面シートと前記第1側面シートとを接着する接着装置と備える充填装置。
【符号の説明】
【0047】
A…開口、10…包装袋、11…底面シート、12…側面シート、12a…第1側面シート、12b…第2側面シート、13…側辺接着部、14…上辺接着部、20…口具、24…取出口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7