(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したように、従来の永久磁石による発電機では、コイルを通過する磁束密度を増やすため、磁束を導く鉄心(コア)を備えていた。この発電機は、コギングトルクにより、入力が微弱な場合には発電できない。そのため、この発電機を備えた風力発電装置は、大型のものとなっていた。
【0010】
特許文献1,2に記載の技術は、発電機にコアレスコイルを用いている。この発電機は、コギングトルクを抑えて、比較的小さな入力でも発電させることができる。しかし、特許文献1,2に記載の技術は、N極とS極とを交互に配置したバイポール配列の発電機であり、各コイルに流れる電流は周期的に反転を繰り返す。よって、電力を取り出していない状態でも、エネルギロスが発生すると共に、コギングトルクが発生する。
風力発電装置が、或る程度以上の大きさの風車を備えていれば、このコギングトルクを乗り越えて持続的に回転して発電可能である。しかし、小型で簡素な風力発電装置が備えている小さな風車では、微風で回りだそうとする際のコギングトルクを乗り越えられず、持続的に発電できない虞があった。
【0011】
特許文献1,2に記載の技術では、発電機が発電するのは交流電力である。風力発電装置の出力電力の不安定さを補うには、発電した電力をバッテリなどの蓄電装置に充電して平準化する必要がある。よって、蓄電装置に充電するためには、交流を直流に整流する必要があった。
更にバッテリなどに充電するためには、このバッテリに12V以上の電圧を印加する必要がある。昇圧コイルによる昇圧は、コイルの表皮効果による電力損失が無視し得ないために、好ましくない。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、微風であっても効率よく発電して蓄電装置に充電することが可能なモノポール構成の風力発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、モノポール構成の風力発電装置であって、回転中心に対して回転可能なロータを備えるモノポール構成の
直流発電機と、
第1蓄電装置と前記直流発電機とを直列接続して前記直流発電機にバイアス電圧を印加することによりコイルレスで昇圧し、前記
直流発電機が発電する電力
により、第2蓄電装置を充電する昇圧回路と、
前記昇圧回路を制御する制御部と、前記ロータに接続され、前記回転中心の回りに配列される複数の羽根を有する回転駆動部とを備えるものである。
この発明によれば、コギングトルクが少ないモノポール構成の発電機を備えているので、微風であっても発電可能である。モノポール構成の
直流発電機は、直流を発電するので、整流回路によるロスが発生しない。更に
、第1蓄電装置と直流発電機とを直列接続して直流発電機にバイアス電圧を印加することによりコイルレスで昇圧
し、前記
直流発電機が発電する電力
により、前記第1蓄電装置と同様な電圧を出力する第2蓄電装置を充電する昇圧回路を備えているので、
直流発電機が発電した電力を蓄電装置の両端電圧に昇圧することなく、昇圧コイルによる電力ロスを抑えて好適に
第2蓄電装置に充電することができる。
【0015】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、
前記制御部は、前記直流発電機が発電する電力により前記
第2蓄電装置を充電したならば、
前記直流発電機と前記第2蓄電装置とを遮断し、かつ前記
第2蓄電装置から前記
第1蓄電装置に電流を流し
て前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置の出力電圧を均等化する、
この発明によれば、
第2蓄電装置の電圧と、バイアス電圧を印加する
第1蓄電装置の電圧とを均等化できるので、継続的に蓄電装置を充電することができる。
【0016】
請求項
3に記載の発明は、請求項
2に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、
前記制御部は、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置の出力電圧を均等化したならば、前記第2蓄電装置と前記第1蓄電装置とを遮断するものである。
この発明によれば、
第1蓄電装置と第2蓄電装置の出力電圧を均等化したならば、第2蓄電装置と第1蓄電装置とを遮断しているので、直流発電機による発電を検知可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記制御部は、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置の出力電圧を均等化して前記第2蓄電装置と前記第1蓄電装置との間を遮断したのち、再び前記直流発電機による発電を検知したならば、第1蓄電装置と前記直流発電機とを直列接続して、前記直流発電機から前記第2蓄電装置に電流を流して充電するものである。
この発明によれば、第2蓄電装置と第1蓄電装置とを遮断したのち、直流発電機による発電を検知したならば、再び第2蓄電装置に電流を流して充電することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記回転駆動部を覆うシュラウドを更に備え、前記シュラウドは、内部に流入する風量を規制する入口フィルタを備えるものである。
この発明によれば、シュラウドと入口フィルタによって回転駆動部を駆動する風量を規制しているので、耐久性を向上させることができる。更に、入口フィルタによって、所定風量を超えたときだけ規制するようにしたので、風量が少ないときには効率的に発電することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、トンネル内に設置されるものである。
この発明によれば、太陽光発電装置が設置できず、頻繁に風が吹くことが多いトンネル内に設置して、充分な電力を発電可能な場合が多く、トンネル内への設置に好適である。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、車両のルーフ上部に設置されるものである。
この発明によれば、風力発電装置は、より多くの電力を発電できる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記車両のエンジンを切った状態にて発電を行うものである。
この発明によれば、車両の95%以上を占める駐車状態に於いても発電することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記車両のエンジンが掛かっている状態にて、発電を行うものである。
この発明によれば、車両の走行時やアイドリング時に於いても発電できる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記回転駆動部は、軸方向が地面に対して垂直になるように設置されるものである。
この発明によれば、回転駆動部を充分な強度で支持することができる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記複数の羽根は、奇数枚で構成されるものである。
この発明によれば、微風であっても、時計回り方向の力と反時計回り方向の力が釣り合うことなく回転を開始することができる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記回転駆動部は、軸方向が地面に対して水平になるように設置されており、前記回転駆動部は、略円筒形であるものである。
この発明によれば、軸方向が地面に対して垂直になるように設置するよりも、回転駆動部の空間占有率が小さくなり、空力ドラッグの影響が小さくなり、着脱が簡便になり、ジャイロ効果を抑えて操縦安定性に対する影響が小さくなる。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記回転駆動部の前記複数の羽根が平面状のものである。
この発明によれば、前方からの風と後方からの風のどちらによっても、比較的好適に発電することができる。
【0026】
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載のモノポール構成の風力発電装置であって、前記回転駆動部の前記複数の羽根は、所定の回転方向に湾曲したものである。
この発明によれば、前方からの風によって、特に好適に発電することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、微風であっても効率よく発電して蓄電装置に充電することが可能なモノポール構成の風力発電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、図面中の各要素は、発明の理解を容易にするために、適宜拡大、縮小又は簡略化されて描かれることがある。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態に於ける風力発電装置5を示す斜視図である。
図1に示すように、第1の実施形態の風力発電装置5は、車両7のルーフ上側に設置され、入口フィルタ51と、左右一対の側面シュラウド52と、上面シュラウド53とを備え、内部空間にモノポール構成発電機1a,1bを備えている。モノポール構成発電機1a,1bは、それぞれ円筒状のハウジングの回りに配列された複数の羽根部3を備えている。風力発電装置5は、風力によって発電した電力を、蓄電装置である車載のバッテリ61(
図6参照)に充電するものである。なお、
図1では、入口フィルタ51を取り外した状態を示している。
【0032】
一般的に、車両7は、95%以上がエンジンを切った駐車状態である。風力発電装置5は小型であり、エンジンを切った駐車状態とエンジンが掛かった状態の両方に於いて発電可能であり、特に駐車状態に受ける風を有効に利用可能なように構成されている。風力発電装置5は、コギングトルクが少ないモノポール構成発電機1a,1bを備えているので、例え微風であっても直流電力を発電することができる。よって、モノポール構成発電機1a,1bは、車両7の駐車状態に於いて強風から微風に亘って広く発電可能である。風力発電装置5は、太陽電池のような晴天と雨天との性能差が現れず、かつ、駐車場所が日陰であっても発電することができる。更に、風力発電装置5は、車両7の走行状態に於いてエンジンの充電装置と並行して発電することが可能である。
【0033】
モノポール構成発電機1a,1bは、直流を発電するので、整流回路によるロスを発生させることなく、車載のバッテリなどに代表される蓄電装置に充電することができると共に、スタンドアローン電源として負荷に電力を供給することができる。モノポール構成発電機1a,1bが充電可能な蓄電装置は、車載バッテリに限定されず、他の持ち出し可能な二次電池やウルトラキャパシタと呼ばれる大容量コンデンサなどであってもよい。
風力発電装置5は、駐車時に発電した電力を車載のバッテリ61(
図6参照)に蓄えて、走行時の電動デバイスの駆動電源とすることで、車両7の燃費に貢献することができる。風力発電装置5は更に、冬季のプリヒートデバイスの駆動電源とすることで、車両7内部の寒さを緩和可能である。
入口フィルタ51は、風を内部空間に取り込むものである。この入口フィルタ51は、風が強すぎるときに、羽根部3を駆動する風量を規制するスクリーンを有している。これにより、風力発電装置5の劣化を防いで耐久性を向上させることができる。入口フィルタ51の反対側には、出口部54が開口している。出口部54は、入口フィルタ51から取り込まれた風の出口である。
【0034】
側面シュラウド52および上面シュラウド53は、モノポール構成発電機1a,1bを格納する内部空間を形成している。側面シュラウド52および上面シュラウド53は、入口フィルタ51と共に、風の強さを規制して、この風力発電装置5の劣化を防いで耐久性を向上させている。更に、側面シュラウド52および上面シュラウド53は、モノポール構成発電機1a,1bの羽根部3を覆っており、羽根部3の回転からユーザを保護している。
【0035】
モノポール構成発電機1a,1bは、入口フィルタ51近傍に2台が設置されている。モノポール構成発電機1a,1bの羽根部3は、軸方向が地面に対して垂直に設置されている。これにより、回転駆動する部位を充分な強度で支持することができる。
これらモノポール構成発電機1aの円筒形のハウジング(第1の回転駆動部が)備える羽根部3と、モノポール構成発電機1bの円筒形のハウジング(第2の回転駆動部)が備える羽根部3とは、入口フィルタ51を通過した同一の風によって、それぞれ時計回りと反時計回りに回転するように構成されている。これにより、モノポール構成発電機1aの羽根部3の回転力と、モノポール構成発電機1bの羽根部3の回転力とが打ち消しあうので、車両7の操縦安定性を向上させることができる。
【0036】
図2(a)〜(c)は、第1の実施形態に於ける入口フィルタ51の動作を示す図である。
図2(a)は、風力発電装置5が設置された車両7を示している。
図2(b)は、風を規制している状態を示している。
図2(c)は、風を規制していない状態を示している。
図2(a)に示すように、風力発電装置5は、車両7のルーフ上部に設置されている。高所では、より強い風が吹くことが経験的に知られている。よって、風力発電装置5は、駐車時に於いて最も強い風を受けることができる。更に風力発電装置5は、車両7の前部からの風を受けるように構成されている。
【0037】
図2(b)に示すように、風が強すぎるときには、入口フィルタ51が風の強さを規制する。これにより、内部空間へ取り込まれる風量は少なくなる。モノポール構成発電機1a,1bの回転速度は所定値で飽和するため、それ以上の風量を取り込まないように入口フィルタ51で規制することにより、風力発電装置5の耐久性および効率を向上させることができる。
【0038】
図2(c)に示すように、入口フィルタ51が風の強さを規制していないときには、内部空間に取り込まれる風量は多くなる。よって、モノポール構成発電機1a,1bの回転速度が飽和していないときには、風量を規制せずに発電することができる。
【0039】
図3(a)〜(c)は、第1の実施形態に於けるモノポール構成発電機1aの外観図である。
図3(a)は、モノポール構成発電機1aの平面図を示している。
図3(b)は、モノポール構成発電機1aを斜め上方から見た外観図である。
図3(c)は、モノポール構成発電機1aを斜め下方から見た外観図である。なお、モノポール構成発電機1bは、モノポール構成発電機1aの鏡像対称となるように構成されている。
【0040】
図3(a)に示すように、モノポール構成発電機1aは、破線で示した中空シャフト27を中心に、上部ハウジング14が回転可能に取り付けられている。この中空シャフト27は、地面に対して垂直に設置される。これにより、回転中心を含んだ中空シャフト27は、回転駆動部である上部ハウジング14や下部ハウジング16を、充分な強度で支持することができる。
上部ハウジング14には、5枚の羽根部3の上部支持部31が取り付けられている。5枚の羽根部3は、破線で示した中空シャフト27の回りに放射状に配列されている。
図に示すA−A線は、後記する
図4の断面を示す図である。モノポール構成発電機1aは、奇数枚である5枚の羽根部3を備えている。これにより、微風であっても、時計回り方向の力と反時計回り方向の力が釣り合うことなく回転を開始することができる。
【0041】
図3(b)に示すように、モノポール構成発電機1aは、円形の上部ハウジング14に5個の上部支持部31が取り付けられている。上部ハウジング14は、円筒形の側面ハウジング15の上に固定されている。円形の下部ハウジング16(不図示)は、5個の下部支持部33が取り付けられている。
上部支持部31と下部支持部33との間には、それぞれ反時計方向に湾曲した羽根32が取り付けられて、羽根部3を構成している。羽根部3は、円筒形のハウジングの回りに配列されている。この羽根32が風を受けて反時計方向に回転することにより、上部ハウジング14、側面ハウジング15、下部ハウジング16が反時計方向に回転する。
【0042】
図3(c)に示すように、モノポール構成発電機1aは、固定台4の上に回転可能に取り付けられている。この固定台4を車両7(
図1参照)のルーフ上側に固定して風を導くことにより、モノポール構成発電機1aの回転子を回転させて発電することができる。
【0043】
図4は、第1の実施形態に於けるモノポール構成発電機1aの断面図である。
図4に示すように、第1の実施形態のモノポール構成発電機1aは、回転子である円板状のロータ12と、同一の極が片面を向くようにロータ12に設置された6個の磁石11と、これら磁石11に軸方向に近接し、かつ、ロータ12に対して垂直に配置された固定子であるコアレスコイル21とを有するものである。
【0044】
磁石11は、ロータ12の回転中心に対して回転対称に設置されている、ロータ12は、コアレスコイル21と磁石11との間隔を調整するギャップ調整リング13を介して、円形の上部ハウジング14の内側下面に接着されている。この上部ハウジング14は、円筒形の側面ハウジング15の上にネジで固定されている。側面ハウジング15の下側には、円形の下部ハウジング16がネジで固定されている。上部ハウジング14の中央および下部ハウジング16の中央には、ボールベアリング17が設置されて中空シャフト27と接している。このボールベアリング17によって、上部ハウジング14と下部ハウジング16とは、中空シャフト27に対して回転可能である。
【0045】
羽根部3は、その上部支持部31によって上部ハウジング14にネジで固定され、下部支持部33によって下部ハウジング16にネジで固定されている。上部支持部31と下部支持部33とは、羽根32を支持している。この羽根32が風を受けて回転することにより、羽根部3は上部ハウジング14と下部ハウジング16とを回転駆動する。羽根部3、上部ハウジング14、側面ハウジング15、下部ハウジング16は、回転駆動部を構成している。
回転軸である中空シャフト27は、筒型であり、固定台4に固定されている。中空シャフト27の内部には、コイル線26が通っている。中空シャフト27には、モールディングコイル20を支持するコイル台固定フランジ25が固定されている。
【0046】
モールディングコイル20は、円形のコイルケース24の上に、各コアレスコイル21を固定するコイルベース23が接着されている。各コアレスコイル21は、注入樹脂22によってコイルベース23に固定されている。モールディングコイル20の構造については、後記する
図4、
図5で詳細に説明する。
固定子であるコアレスコイル21は、回転子であるロータ12の回転方向を向くように設置されている。
図5(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態に於けるコアレスコイル21と磁石11の構成を示す断面図、平面図、下面図である。
図5(a)の断面図と、
図5(b)の平面図に示すように、回転子である円形のロータ12の下部には、6個の磁石11が回転対称に設けられている。各磁石11は、同一の極が片面を向くようにロータ12に設置されている。
【0047】
図5(c)の平面図と、
図5(d)の断面図に示すように、円形のコイルベース23の上部には、固定子である10個のコアレスコイル21が回転対象に設けられている。
図5(e)の平面図は、コアレスコイル21と磁石11とが軸方向に近接している様子を示した図である。各コアレスコイル21は、ロータ12に対して垂直に配置されている。
ロータ12が回転することにより、各コアレスコイル21に直流電流が生じる。よって、モノポール構成発電機1は、直流電力を発電することができる。
【0048】
但し、バッテリ61(
図6参照)を充電するには、12Vレベルでなければならない。
ここで、昇圧コイルを用いて電圧を12Vに昇圧すると、微風によって発電した電力の殆どが昇圧コイルの表皮効果で消滅してしまう虞がある。よって、以下のような昇圧回路である充電回路6によって、モノポール構成発電機1が発電した電力をコイルレスで昇圧することにより、バッテリ61(
図6参照)に充電することができる。
【0049】
図6(a)〜(c)は、第1の実施形態に於ける発電装置の充電回路6を示す図である。
図6(a)は、全てオフのモードを示している。
図6(b)は、コンデンサ充電モードを示している。
図6(c)は、バッテリ充電モードを示している。
図6(a)に示すように、昇圧回路である充電回路6は、スイッチSW1〜SW11と、コンデンサC1〜C4と、電圧センサ62,64,65と、電流センサ63と、不図示の制御回路とを備えている。制御回路(不図示)には、電圧センサ62,64,65が検知した電圧情報と、電流センサ63が検知した電流情報とが出力され、各スイッチSW1〜SW11を制御する制御信号を出力する。充電回路6は、バッテリ61に充電するため、モノポール構成発電機1が発電した電力を昇圧する昇圧回路である。充電回路6は、コイルレスで昇圧しているので、昇圧コイルによる電力ロスを抑えて好適にバッテリ61に充電することができる。
【0050】
スイッチSW1〜SW11は、例えばFET(Field effect transistor)であり、制御回路(不図示)の制御信号によってオンとオフとを切り替えるものである。スイッチSW1〜SW11は、コンデンサC1〜C4を並列接続や直列接続に切り替える切替回路を構成する。なお、スイッチSW1〜SW11は、電磁リレー、ソリッドステート・リレー、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)などの任意のスイッチ素子を用いてもよい。
電圧センサ62は、コンデンサC1の両端電圧Vcを計測するものである。電圧センサ64は、バッテリ61の両端電圧Vbを計測するものである。電流センサ63は、バッテリ61に流れる電流Ibを計測するものである。
モノポール構成発電機1の正極は、スイッチSW11を介してコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他端とモノポール構成発電機1の負極とは、グランドに接続されている。更に、モノポール構成発電機1には、電圧センサ65が接続されている。制御回路(不図示)は、電圧センサ65によって、モノポール構成発電機1が発電しているか否かを検知する。
【0051】
コンデンサC1の一端は、スイッチSW1を介してコンデンサC2の一端に接続され、スイッチSW4を介してコンデンサC2の他端に接続されている。コンデンサC1の他端は、スイッチSW7を介してコンデンサC2の他端に接続されている。
コンデンサC2の一端は、スイッチSW2を介してコンデンサC3の一端に接続され、スイッチSW5を介してコンデンサC3の他端に接続されている。コンデンサC2の他端は、スイッチSW8を介してコンデンサC3の他端に接続されている。
【0052】
コンデンサC3の一端は、スイッチSW3を介してコンデンサC4の一端に接続され、スイッチSW6を介してコンデンサC4の他端に接続されている。コンデンサC3の他端は、スイッチSW9を介してコンデンサC4の他端に接続されている。
コンデンサC4の一端は、スイッチSW10と電流センサ63とを介して、バッテリ61の正極側に接続されている。バッテリ61の負極側は、グランドに接続されている。
図6(a)に示す全てオフのモードでは、全てのスイッチSW1〜SW11がオフ状態である。
【0053】
図6(b)に示すように、コンデンサ充電モードに於いて、充電回路6は、スイッチSW11と、スイッチSW1〜SW3と、スイッチSW7〜SW9とがオン状態である。スイッチSW4〜SW6と、スイッチSW10とがオフ状態である。モノポール構成発電機1の正極と負極との間に、コンデンサC1〜C4が並列に接続される。よって、コンデンサC1〜C4は、モノポール構成発電機1が発電した電流に基づき、電荷を蓄えることができる。
制御回路(不図示)は、モノポール発電状態が維持できている中風の場合や強風の場合は、無負荷の場合の回転速度の70%程度になるように、コンデンサC1〜C4やコアレスコイル21の並列数の切り替えと負荷制御とを行う。コンデンサC1〜C4やコアレスコイル21の並列数の切り替えは、マイコンを備えた制御回路(不図示)が各スイッチSW1〜SW11を切り替えることによって行う。これにより、微風から強風までの入力による最適化を図ることができる。負荷制御は、マイコンを備えた制御回路(不図示)が行い、充電する電流値を制限してコアレスコイル21による損失を低減させて、充電効率を高めるものである。
【0054】
図6(c)に示すように、バッテリ充電モードに於いて、充電回路6は、スイッチSW11と、スイッチSW1〜SW3と、スイッチSW7〜SW9とがオフ状態である。スイッチSW4〜SW6と、スイッチSW10とがオン状態である。コンデンサC1〜C4は直列に接続されて昇圧し、バッテリ61に昇圧された電圧を印加し、蓄えた電荷をバッテリ61に流して充電する。よって、昇圧回路である充電回路6は、昇圧コイルによるロス無く好適に、蓄電装置であるバッテリ61を充電することができる。
【0055】
図7は、第1の実施形態に於ける充電回路6のモード遷移図である。
この風力発電装置5が起動すると、初期モードM10を介して、スイッチSW1〜SW11が全てオフされているモードM11に遷移する。
モードM11に於いて、制御回路(不図示)は、モノポール構成発電機1が発電していることを検知したならば、各スイッチSW1〜SW11を
図6(b)の状態に切り替えてコンデンサ充電モードM12に遷移する。
【0056】
コンデンサ充電モードM12は、充電回路6により、モノポール構成発電機1が発電した電力を、コンデンサC1〜C4の電荷として蓄えるモードである。
コンデンサ充電モードM12に於いて、制御回路(不図示)は、コンデンサC1〜C4の充電が完了し、かつ、バッテリ61の充電が未了であることを検知したならば、各スイッチSW1〜SW11を
図6(c)の状態に切り替えてバッテリ充電モードM13に遷移する。更に制御回路(不図示)は、モノポール構成発電機1が発電していないことを検知したならば、各スイッチSW1〜SW11を全てオフしてモードM11に遷移する。
バッテリ充電モードM13は、充電回路6により、コンデンサC1〜C4が蓄えた電荷を、バッテリ61に流して充電するモードである。
バッテリ充電モードM13に於いて、制御回路(不図示)は、コンデンサC1〜C4の充電が未了であることを検知したならば、各スイッチSW1〜SW11を
図6(b)の状態に切り替えてコンデンサ充電モードM12に遷移する。制御回路(不図示)は、バッテリ61の充電が完了したことを検知したならば、各スイッチSW1〜SW11を全てオフしてモードM11に遷移する。
【0057】
図8は、第1の実施形態に於ける充電処理を示すフローチャートである。制御回路(不図示)が充電処理のフローチャートを実行することにより、
図7に示すモード遷移が実現される。
充電回路6の制御回路(不図示)は、例えば、タイマ割り込みなどにより、周期的に処理を開始する。
【0058】
ステップS10に於いて、制御回路(不図示)は、スイッチSW1〜SW11の状態を判定する。制御回路(不図示)は、スイッチSW1〜SW11が全てオフされていたならば、ステップS11の処理を行い、スイッチSW1〜SW11がコンデンサ充電モードに切り替えられていたならば、ステップS13の処理を行い、スイッチSW1〜SW11がバッテリ充電モードに切り替えられていたならば、ステップS18の処理を行う。
ステップS11に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ65により、モノポール構成発電機1の両端電圧を検知し、所定値を超えているか否かによって、モノポール構成発電機1が発電しているか否かを検知する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS12の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、
図8の処理を終了する。
【0059】
ステップS12に於いて、制御回路(不図示)は、各スイッチSW1〜SW11をコンデンサ充電モードに設定し、
図8の処理を終了する。これにより、コンデンサC1〜C4は、モノポール構成発電機1が発電した電力を電荷として蓄えることができる。
【0060】
ステップS13に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ62により電圧Vcを測定し、例えば3[V]を超えているか否かによって、コンデンサC1〜C4の充電が完了したか否かを判断する。ここで3[V]とは、バッテリ61の電圧12[V]を、コンデンサC1〜C4の個数で割った値である。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS14の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS16の処理を行う。
ステップS14に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ64により電圧Vbを測定し、充電完了値を超えているか否かによって、バッテリ61の充電が完了したか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS16の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS15の処理を行う。
【0061】
ステップS15に於いて、制御回路(不図示)は、各スイッチSW1〜SW11をバッテリ充電モードに設定し、
図8の処理を終了する。これにより、コンデンサC1〜C4に蓄えた電荷をバッテリ61に流して充電することができる。
ステップS16に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ65によりモノポール構成発電機1の両端電圧を検知し、所定値を超えているか否かによって、モノポール構成発電機1が発電しているか否かを検知する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、
図8の処理を終了し、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS17の処理を行う。
ステップS17に於いて、制御回路(不図示)は、各スイッチSW1〜SW11を全てオフして、
図8の処理を終了する。
【0062】
ステップS18に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ64により電圧Vbを測定し、充電完了値を超えているか否かによって、バッテリ61の充電が完了したか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS19の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS20の処理を行う。
ステップS19に於いて、制御回路(不図示)は、各スイッチSW1〜SW11を全てオフして、
図8の処理を終了する。
ステップS20に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ62により電圧Vcを測定し、例えば3[V]を超えているか否かによって、コンデンサC1〜C4の充電が完了したか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、
図8の処理を終了し、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS21の処理を行う。
ステップS21に於いて、制御回路(不図示)は、各スイッチSW1〜SW11をコンデンサ充電モードに設定し、
図8の処理を終了する。
【0063】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に於ける風力発電装置5Aを示す斜視図である。
図9に示すように、風力発電装置5Aは、車両7のルーフ上側に設置され、風量を規制する実装シュラウド55と、2個のフィルタ51Aとを備え、内部空間に2台の羽根部3Aに機械的に接続されたモノポール構成発電機1Aを2台備えている。これら2台の羽根部3Aは、軸受57で回転可能に支持され、かつ、2個の防護ケース56で覆われている。この防護ケース56は、金属製の網で構成され、羽根部3Aの回転からユーザを保護するものである。なお、
図9では、説明のため、手前側の防護ケース56を取り外した状態を示している。
【0064】
実装シュラウド55は、モノポール構成発電機1Aと羽根部3Aと軸受57と防護ケース56とを覆っている。2個のフィルタ51Aは、実装シュラウド55の上側に対称的に設けられており、羽根部3Aの下部に風が当たらないように規制する共に、羽根部3Aの上部に風を当てるようにしている。これにより、羽根部3Aは、風によって回転駆動する。
2個のフィルタ51Aは、風を内部空間に取り込むものである。これらフィルタ51Aは、風が強すぎるときに、羽根部3Aを駆動する風量を規制するスクリーンを有している。これにより、風力発電装置5Aの劣化を防いで耐久性を向上させることができる。
羽根部3Aは、軸方向が地面に対して水平になるように設置されている。これにより、軸方向が地面に対して水平になるように設置するよりも、空間占有率が小さくなり、空力ドラッグの影響が小さくなり、着脱が簡便になり、ジャイロ効果を抑えて操縦安定性に対する影響が小さくなる。
【0065】
図10は、第2の実施形態に於けるモノポール構成発電機1Aの断面図である。
図10に示すように、第2の実施形態のモノポール構成発電機1Aは、第1の実施形態と同様に、回転子である円板状のロータ12と、同一の極が片面を向くようにロータ12に設置された6個の磁石11と、これら磁石11に軸方向に近接し、かつ、ロータ12に対して垂直に配置された固定子であるコアレスコイル21とを有するものである。固定子であるコアレスコイル21は、回転子であるロータ12の回転方向を向くように設置されている、このコアレスコイル21は、コイルシュラウド22Aによって固定されている。
【0066】
磁石11は、ロータ12の回転中心に対して回転対称に設置されている、ロータ12は、回転軸である回転シャフト27Aに固定されている。回転シャフト27Aは、第1ハウジング14Aおよび第2ハウジング16Aと、ボールベアリング17を介して回転可能に接している。
第1ハウジング14Aは、側面ハウジング15Aにネジで固定されている。側面ハウジング15Aには、第2ハウジング16Aがネジで固定されている。第1ハウジング14Aおよび第2ハウジング16Aには、ボールベアリング17が設置されて回転シャフト27Aと接している。このボールベアリング17によって、回転シャフト27Aは、第1ハウジング14Aおよび第2ハウジング16Aに対して回転可能である。
更に側面ハウジング15Aは、コイルシュラウド22Aを固定している。コイルシュラウド22Aの構造については、後記する
図9、
図10で詳細に説明する。
【0067】
図11(a),(b)は、第2の実施形態に於ける風力発電装置5Aの内部構成を示す図である。
図11(a)に示すように、風力発電装置5Aの内部には、2台のモノポール構成発電機1Aが線対称に設けられている。各モノポール構成発電機1Aと軸受57との間には、羽根部3Aが回転可能に設けられている。2つの羽根部3Aは、それぞれ防護ケース56によって覆われている。
図11(a)では説明のため、手前側の防護ケース56を取り外した状態を示している。
【0068】
図11(b)は、羽根部3Aから防護ケース56を取り外し、更にモノポール構成発電機1Aの第1ハウジング14Aと側面ハウジング15Aと第2ハウジング16Aを取り外した状態を示している。コイルシュラウド22Aの中心には、回転シャフト27Aが差し込まれて回転し、よってロータ12(磁石11)がコアレスコイル21に、軸方向に近接して回転する。このロータ12は、羽根部3Aと機械的に接続されて回転するように構成されている。羽根部3Aは、ロータ12に回転シャフト27Aが機械的に接続されており、回転駆動部を構成している。
羽根部3Aは、回転軸36と、その両端に固定された円板状の端部34,35と、羽根32Aとを備えている。羽根32Aは、平板状であり、端部34,35の間に固定され、かつ、回転軸36の回りに放射状に配列している。羽根部3Aは、その上部に風を受けることにより、モノポール構成発電機1Aのロータ12を回転させて発電する。
【0069】
図12(a1)〜(b2)は、第2の実施形態に於ける羽根部3Aの断面形状を示す図である。
羽根部3Aは、回転軸36の回りに放射状に配列された3枚の羽根32Aを備えている。羽根部3Aは、奇数枚である3枚の羽根32Aを備えているので、微風であっても、時計回り方向の力と反時計回り方向の力が釣り合うことなく回転を開始することができる。
図12(a1)に示すように、前方である図左側から風力W1を受けたとき、羽根部3Aに、時計回り方向の回転力W4が発生する。それと共に、
図12(a2)に示すように、風力W1の巻き込みW2と、羽根32Aを外側に引っ張る力W3とが発生する。
図12(b1)に示すように、後方である図右側から風力W5を受けたとき、羽根部3Aに、反時計回り方向の回転力W8が発生する。それと共に、
図12(b2)に示すように、風力W1の巻き込みW6と、羽根32Aを外側に引っ張る力W7が発生する。
このように、羽根32Aを平板状とすることにより、前方からの風力W1と後方からの風力W5のどちらによっても、比較的好適にモノポール構成発電機1Aのロータ12を回転させて発電することができる。
また、回転軸36と3枚の羽根32Aとの間には、空隙37が設けられている。これにより、羽根部3Aは、風の異方性による羽根まわりの抵抗などを緩和することができ、効率よく双方向に回転することができる。
【0070】
図13は、第2の実施形態の変形例に於ける羽根部3Bの断面形状を示す図である。
図13に示すように、羽根部3Bは、回転軸36の回りに放射状に配列された羽根32Bを備えている。羽根32Bは、時計回り方向に湾曲している。このとき、前方である図左側から風力W1を受けたとき、羽根部3Bに、時計回り方向の回転力W4が最も好適に発生する。よって、前方からの風力W1により、特に好適にモノポール構成発電機1Aのロータ12を回転させて発電することができる。また、回転軸36と3枚の羽根32Bとの間には、空隙37が設けられている。これにより、羽根部3Bは、風の異方性による羽根まわりの抵抗などを緩和することができ、効率よく双方向に回転することができる。
【0071】
図14(a)〜(c)は、第2の実施形態に於ける発電装置の充電回路6Aを示す図である。
図14(a)は、全てオフのモードを示している。
図14(b)は、発電中モードを示している。
図14(c)は、電圧均等化モードを示している。
図14(a)に示すように、昇圧回路である充電回路6Aは、スイッチSW21,SW22と、電圧センサ64−1,64−2,65と、電流センサ63−1,63−2と、第1バッテリ61−1と、不図示の制御回路とを備え、第2バッテリ61−2に接続されている。充電回路6Aは、モノポール構成発電機1Aにバイアス電圧を掛けて昇圧し、第2バッテリ61−2に充電するものである。この図では、スイッチSW21,SW22は両方ともオフ状態である。
【0072】
第1バッテリ61−1は、両端電圧が12[V]の二次電池であり、この風力発電装置5Aが備えているものである。第1バッテリ61−1の負極はグランドに接続されている。第1バッテリ61−1の両端には、電圧センサ64−1が接続されている。第1バッテリ61−1の正極は、スイッチSW21を介してモノポール構成発電機1Aの負極に接続されている。スイッチSW21は、モノポール構成発電機1Aに対して12[V]のバイアス電圧を掛けるか否かを切り替えるものである。
モノポール構成発電機1Aの正極と負極との間には、電圧センサ65が接続されている。モノポール構成発電機1Aの正極は、電流センサ63−2を介して第2バッテリ61−2の正極に接続されている。第2バッテリ61−2の両端には、電圧センサ64−2が接続されている。第2バッテリ61−2の負極は、グランドに接続されている。
第2バッテリ61−2は、車両7(
図9参照)に搭載されて、この車両7の各種電動デバイスを駆動するものである。第1バッテリ61−1の正極と第2バッテリ61−2の正極との間は、電流センサ63−1とスイッチSW22とが直列に接続されている。
【0073】
図14(b)に示すように、発電中モードに於いて、制御回路(不図示)は、切替回路であるスイッチSW21をオンし、スイッチSW22をオフするように制御する。これにより、モノポール構成発電機1Aが微風によって回り始めて電圧が数[V]だけ上昇した場合であっても、モノポール構成発電機1Aの負極に12[V]のバイアス電圧を印加しているので、12[V]以上を第2バッテリ61−2に印加して電流Ib2を流し、充電することができる。モノポール構成発電機1Aに12[V]のバイアス電圧を印加するのは、他の蓄電装置である第1バッテリ61−1である。
充電回路6Aは、発電機が発電した電力を蓄電装置の両端電圧に昇圧することなく、バイアス電圧を印加してコイルレスで昇圧している。よって、昇圧コイルによる電力ロスを抑えて、好適に蓄電装置である第2バッテリ61−2を充電することができる。
【0074】
図14(c)に示すように、電圧均等化モードに於いて、制御回路(不図示)は、スイッチSW21をオフし、スイッチSW22をオンするように制御する。これにより、第2バッテリ61−2の正極から第1バッテリ61−1の正極に電流Ib1が流れる。よって、第1バッテリ61−1の電圧Vb1と第2バッテリ61−2の電圧Vb2とを、均等化することができる。よって、充電回路6Aは、第1バッテリ61−1の電圧降下を防ぎ、蓄電装置である第2バッテリ61−2を継続的に充電することができる。
【0075】
図15は、第2の実施形態に於ける充電回路6Aのモード遷移図である。
この風力発電装置5Aが起動すると、初期モードM20を介して、スイッチSW21,SW22が全てオフされているモードM21に遷移する。
モードM21に於いて、制御回路(不図示)は、モノポール構成発電機1Aが発電しており、かつ、第2バッテリ61−2の充電が未了であることを検知したならば、各スイッチSW21,SW22を
図14(b)の状態に切り替えて、発電中モードM22に遷移する。
【0076】
発電中モードM22は、充電回路6Aにより、モノポール構成発電機1Aにバイアス電圧を印加して、発電した電力を蓄電装置である第2バッテリ61−2に充電するモードである。
発電中モードM22に於いて、制御回路(不図示)は、モノポール構成発電機1Aが発電しておらず、または、第2バッテリ61−2の充電が完了したことを検知したならば、各スイッチSW21,SW22を
図14(c)の状態に切り替えて、電圧均等化モードM23に遷移する。
電圧均等化モードM23は、充電回路6Aにより、第2バッテリ61−2から第1バッテリ61−1に電流を流して、これらの電圧を均等化するモードである。
電圧均等化モードM23に於いて、制御回路(不図示)は、モノポール構成発電機1Aが発電しており、かつ、第2バッテリ61−2の充電が未了であることを検知したならば、各スイッチSW21,SW22を
図14(b)の状態に切り替えて、発電中モードM22に遷移する。更に制御回路(不図示)は、第1バッテリ61−1の電圧Vb1と、第2バッテリ61−2の電圧Vb2との均等化が完了したならば、スイッチSW21,SW22が全てオフしてモードM21に遷移する。
【0077】
図16は、第2の実施形態に於ける充電処理を示すフローチャートである。制御回路(不図示)が充電処理のフローチャートを実行することにより、
図15に示すモード遷移が実現される。
充電回路6Aの制御回路(不図示)は、例えば、タイマ割り込みなどにより、周期的に処理を開始する。
【0078】
ステップS30に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ65によりモノポール構成発電機1Aの両端電圧を検知し、所定値を超えているか否かによって、モノポール構成発電機1Aが発電しているか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS31の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS33の処理を行う。
ステップS31に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ64−2により電圧Vb2を検知し、所定値を超えているか否かによって、第2バッテリ61−2が充電完了しているか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS33の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS32の処理を行う。
なお、これに限られず、制御回路(不図示)は、発電中モードに於いて、電流センサ63−2に流れる電流値が所定値以下であるか否かによって、第2バッテリ61−2が充電完了しているか否かを判断してもよい。
【0079】
ステップS32に於いて、制御回路(不図示)は、スイッチSW21,SW22を、
図14(b)に示す発電中モードに設定し、
図16の処理を終了する。
ステップS33に於いて、制御回路(不図示)は、電圧センサ64−1,64−2により、それぞれ電圧Vb1,Vb2を検知し、これら電圧Vb1と電圧Vb2の差の絶対値が所定値以下であるかによって、電圧均等化済みであるか否かを判断する。制御回路(不図示)は、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS34の処理を行い、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS35の処理を行う。
なお、これに限られず、制御回路(不図示)は、発電中モードに於いて、電流センサ63−1に流れる電流値が所定値以下であるかによって、電圧均等化済みであるか否かを判断してもよい。
ステップS34に於いて、制御回路(不図示)は、スイッチSW21,SW22を、
図14(c)に示す電圧均等化モードに設定し、
図16の処理を終了する。
ステップS35に於いて、制御回路(不図示)は、スイッチSW21,SW22を全てオフして、
図16の処理を終了する。
【0080】
(変形例)
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0081】
(a) 上記実施形態の風力発電装置5,5Aを用いて、車載のバッテリ61ではなく、外付けの二次電池などに充電して、非常時持ち出し電源として活用してもよい。
【0082】
(b) 上記実施形態の風力発電装置5,5Aが発電した電力は、電力系統などを介して売電してもよい。
【0083】
(c) 上記実施形態の風力発電装置5,5Aは、車載用途に限定されず、トンネルや高架下へ設置してもよい。このような場所では、太陽光があまり入射しないため、太陽光発電は適していない。また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを用いた環境振動発電では、充分な電力を発電できない。トンネルや高架下では、頻繁に風が吹くことが多いため、風力発電装置5,5Aは、充分な電力を発電可能な場合が多く、よって、これらの場所への設置に好適である。
【0084】
(d) 上記実施形態の風力発電装置5,5Aは、二次電池と組み合わせて、例えば、夜間監視モニタの駆動用電源や、防災センサの駆動用電源や、街路灯の駆動用電源などの独立電源に用いてもよい。これにより、電力線を新たに敷設することなくセンサやモニタなどを駆動させることができるので、地域の防犯や防災などに役立てることができる。
【0085】
(e) 第1実施形態の風力発電装置5は、充電回路6の代わりに第2の実施形態の充電回路6Aを備えていてもよい。同様に第2実施形態の風力発電装置5Aは、充電回路6Aの代わりに第1の実施形態の充電回路6を備えていてもよい。
【0086】
(f) 上記実施形態の風力発電装置5,5Aは、正極と負極とを電圧センサで計測することにより、発電しているか否かを判断している。しかし、これに限られず、風力発電装置は、ホールセンサなどでロータ12が回転しているか否かを判断することにより、発電しているか否かを判断してもよい。