特許第6046543号(P6046543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046543
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】水平スリット材支持具及びスリット構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 9/10 20060101AFI20161206BHJP
   E04G 15/06 20060101ALI20161206BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   E04G9/10 104D
   E04G15/06 D
   E04G21/02 103A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-86977(P2013-86977)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-211021(P2014-211021A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110376
【氏名又は名称】ドラーフタイト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】園部 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直
(72)【発明者】
【氏名】福山 孝
(72)【発明者】
【氏名】倉島 正
(72)【発明者】
【氏名】西川 昌之
(72)【発明者】
【氏名】長谷 智幸
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−127235(JP,A)
【文献】 特開2000−226936(JP,A)
【文献】 特開2007−321398(JP,A)
【文献】 特開2006−200173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 9/10
E04G 15/06
E04G 21/02
E04B 1/62
E04B 1/684
E04B 2/84
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のコンクリート部分に他方のコンクリート部分を打ち継ぐコンクリート打継部で、目地に対して間隔を隔てて併設される水平スリット材を支持するための水平スリット材支持具であって、
上記一方のコンクリート部分に、上記目地と上記水平スリット材の間に位置させて設置される第一支持部材と、上記他方のコンクリート部分に、上記第一支持部材と互いに向かい合わせて、上記目地と上記水平スリット材の間に設置される第二支持部材と、弾性素材で形成され、これら第一支持部材と第二支持部材の間に設けられる止水部材とからなることを特徴とする水平スリット材支持具。
【請求項2】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、互いに向かい合う平坦部を有すると共に、いずれか一方の該支持部材の該平坦部の一側縁に、これより当該平坦部に対して直交する方向へ立ち上げて壁部が形成され、該壁部は前記目地と対向するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の水平スリット材支持具。
【請求項3】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、互いに向かい合う平坦部を有すると共に、該平坦部の一側縁に、これより当該平坦部に対して直交する方向へ立ち上げて壁部がそれぞれ形成され、これら第一支持部材及び第二支持部材は、それらの壁部間に平坦部を挟み込む配置で、一方の該壁部が前記目地と対向し、他方の該壁部が前記水平スリット材と対向するように、前記コンクリート打継部に設置されることを特徴とする請求項1に記載の水平スリット材支持具。
【請求項4】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、前記目地と対向する一方の該支持部材の前記平坦部が部分的に前記水平スリット材と対向し、該水平スリット材と対向する他方の該支持部材の前記平坦部が部分的に前記目地と対向するように、前記コンクリート打継部に設置されることを特徴とする請求項2または3に記載の水平スリット材支持具。
【請求項5】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材のうち、前記壁部が前記目地と対向する一方の該支持部材は、その平坦部の位置が、該目地の面と面一あるいは当該面よりも没入した位置に設定されることを特徴とする請求項2〜4いずれかの項に記載の水平スリット材支持具。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかの項に記載の水平スリット材支持具が、一方のコンクリート部分に他方のコンクリート部分を打ち継ぐ前記コンクリート打継部に設けられる前記目地と該目地から間隔を隔てて併設される前記水平スリット材との間に設置されていることを特徴とするスリット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打継部において、止水性能を確保しつつ、一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分とをより確実に縁切りすることが可能な水平スリット材支持具及びスリット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
RC造などのコンクリート構造物では、柱や壁の境界部分に不連続となる構造スリットを形成する目的でスリット材が使用されている。例えば、コンクリート打継部にスリット材を用いて一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分の縁を切ることで、構造物が地震等による外力を受けたときに構造物に生じる力を、スリット材により吸収し緩和する。
【0003】
スリット材による吸収・緩和作用によって力の伝達を遮断することにより、コンクリート構造物のせん断破壊・脆性破壊を防ぎ、コンクリート打継部におけるひび割れの発生を抑えるなど、のため、一般的に、スリット材としては、地震時の緩衝材として機能させるために、外力を受けて変位した場合に元に戻ろうとする、所謂復元力を有するものが使用される。
【0004】
このようなスリット材は、支持具とともに設置されることが一般的であり、この種支持具の中には、止水機能を備えている、或いは、目地棒を取り付け易くする等の工夫が施されているものがある。
【0005】
特許文献1の「コンクリート打継部分の止水構造及び止水部材」では、止水部材を介在させて前打コンクリートと後打コンクリートとが打継がれてなるコンクリート打継部分の止水構造であって、止水部材が長尺で剛性を有すると共に長手方向に対する垂直断面形状においてL型部を有している。
【0006】
特許文献2の「水平スリット材用支持具」では、梁と非構造壁下端側の水平接合部分において、前記梁の外面上端部に形成される目地部の内側に長手方向に沿って設けられる水平スリット材を、コンクリートを前記水平スリット材の上面位置まで打設する際に所定位置に固定する支持具であって、前記目地部を形成する垂直型枠内面の目地棒に嵌合する連結部と、当該目地棒の長手方向に延在する水平スリット材の保持部とを備えている。
【0007】
特許文献3の「打継埋め込み部材および打継部の構造」では、外型枠と内型枠との間にコンクリートを打設して形成される壁部の打継部に埋設する打継埋め込み部材であって、上面板、底面板および水返しを有し、前記上面板と前記底面板が、前記外型枠に固定された打継目地棒に係合するための基部と、前記外型枠と前記内型枠の間において前記基部よりも前記内型枠側に位置づけられる先端部を形成し、前記上面板と前記底面板は、それらの間隔が前記先端部に向け狭まって、前記打継目地棒に係合した該打継埋め込み部材の前記底面板が前記外型枠側に向け下降する斜面を形成するとともに、先端部において接続され、前記上面板上には、前記先端部の近傍に前記水返しが位置づけられ、かつ第1の通水孔が前記水返しよりも基部側に穿設され、前記第1の通水孔から前記上面板と前記底面板の間の空間に流下した浸水を前記空間からさらに流下させる第2の通水孔が前記底面板に穿設されている。
【0008】
そしてこれら特許文献では特に、支持具に、水返しやブチルゴムを用いることで止水効果を向上したり(特許文献1参照)、目地棒を取り付け易いように接続部やアンカーを設け、目地棒を取り外す際に、支持具まで外れないようにしている(特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−321298号公報
【特許文献2】特許第4627593号公報
【特許文献3】特許第5000422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献では、支持具に設けられた水返し、接続部及びアンカーなどは、一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分とに跨って設置されているため、一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分との縁が完全に切れてはいなかった。
このため、地震等の外力が構造物に作用すると、支持具がコンクリート部分相互の挙動を拘束してしまい、コンクリート打継部やその近傍にひび割れが生じてしまうおそれがあるという課題があった。
【0011】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、コンクリート打継部において、止水性能を確保しつつ、一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分とをより確実に縁切りすることが可能な水平スリット材支持具及びスリット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる水平スリット材支持具は、一方のコンクリート部分に他方のコンクリート部分を打ち継ぐコンクリート打継部で、目地に対して間隔を隔てて併設される水平スリット材を支持するための水平スリット材支持具であって、上記一方のコンクリート部分に、上記目地と上記水平スリット材の間に位置させて設置される第一支持部材と、上記他方のコンクリート部分に、上記第一支持部材と互いに向かい合わせて、上記目地と上記水平スリット材の間に設置される第二支持部材と、弾性素材で形成され、これら第一支持部材と第二支持部材の間に設けられる止水部材とからなることを特徴とする。
【0013】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、互いに向かい合う平坦部を有すると共に、いずれか一方の該支持部材の該平坦部の一側縁に、これより当該平坦部に対して直交する方向へ立ち上げて壁部が形成され、該壁部は前記目地と対向するように設置されることを特徴とする。
【0014】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、互いに向かい合う平坦部を有すると共に、該平坦部の一側縁に、これより当該平坦部に対して直交する方向へ立ち上げて壁部がそれぞれ形成され、これら第一支持部材及び第二支持部材は、それらの壁部間に平坦部を挟み込む配置で、一方の該壁部が前記目地と対向し、他方の該壁部が前記水平スリット材と対向するように、前記コンクリート打継部に設置されることを特徴とする。
【0015】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材は、前記目地と対向する一方の該支持部材の前記平坦部が部分的に前記水平スリット材と対向し、該水平スリット材と対向する他方の該支持部材の前記平坦部が部分的に前記目地と対向するように、前記コンクリート打継部に設置されることを特徴とする。
【0016】
前記第一支持部材及び前記第二支持部材のうち、前記壁部が前記目地と対向する一方の該支持部材は、その平坦部の位置が、該目地の面と面一あるいは当該面よりも没入した位置に設定されることを特徴とする。
【0017】
本発明にかかるスリット構造は、上記水平スリット材支持具が、一方のコンクリート部分に他方のコンクリート部分を打ち継ぐ前記コンクリート打継部に設けられる前記目地と該目地から間隔を隔てて併設される前記水平スリット材との間に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる水平スリット材支持具及びスリット構造にあっては、コンクリート打継部において、止水性能を確保しつつ、一方のコンクリート部分と他方のコンクリート部分とをより確実に縁切りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る水平スリット材支持具及びそれを用いたスリット構造の好適な一実施形態を示す側断面図である。
図2図1に示した水平スリット材支持具の斜視図である。
図3図1に示した水平スリット材支持具の設置手順を示す工程図である。
図4】本発明に係る水平スリット材支持具及びそれを用いたスリット構造の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる水平スリット材支持具及びスリット構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、RC造等のコンクリート構造物において、一方のコンクリート部分に他方のコンクリート部分を打ち継ぐコンクリート打継部の一例として、構造部材である梁と、非構造部材である外壁との横向きの境界部分が示されている。これ以外のコンクリート打継部であっても、本発明を適用できることは勿論である。また、水平スリット材としては、発泡樹脂やグラスウールなどの周知の材料で形成される。
【0021】
図1は、本実施形態に係る水平スリット材支持具及びそれを用いたスリット構造を示す側断面図であり、図2は、図1に示した水平スリット材支持具の斜視図である。
【0022】
本実施形態における梁1と外壁2とのコンクリート打継部Xには図1に示すように、梁1と外壁2との間に、コンクリート構造物の外周部に面して目地3が設けられると共に、梁1と外壁2との間であって、目地3よりもコンクリート構造物の内側に位置させて水平スリット材4が設けられ、これら水平スリット材4と目地3との間に、水平スリット材支持具5が設置される。
【0023】
水平スリット材支持具5は、コンクリート打継部Xにおいて、目地3に対して間隔を隔てて併設される水平スリット材4を支持するようになっている。目地3は、コーキング材6とバックアップ材7とで構成される。水平スリット材支持具5は、外壁2を両側から挟んで立設される柱間方向に沿って設けられる。水平スリット材支持具5は、その長さ方向が柱間寸法に達するように、長尺に形成される。複数の水平スリット材支持具5を長さ方向に並べて、その長さ寸法が柱間寸法に達するようにしても良い。
【0024】
水平スリット材支持具5は主に、図1及び図2に示すように、一方のコンクリート部分である梁1側に設置される第一支持部材8と、他方のコンクリート部分である外壁2側に設置される第二支持部材9と、これら第一支持部材8と第二支持部材9との間に設けられる止水部材10とから構成される。第一支持部材8及び第二支持部材9は共に、目地3と水平スリット材4の間に位置させて設置される。また、第一支持部材8と第二支持部材9は、上下方向に互いに向かい合わせて設置される。
【0025】
第一支持部材8と第二支持部材9は、同一形態・同一材質の同じ部材である。これら第一支持部材8及び第二支持部材9は例えば、それらの長さ方向に押し出して成形される合成樹脂製もしくは金属製の押出成形部材である。
【0026】
第一支持部材8及び第二支持部材9は、その長さ方向と直交する方向で切断した断面がほぼL字状に形成される。詳細には、第一支持部材8及び第二支持部材9は、これらを上下に重ねたときに互いに向かい合う平坦部8a,9aを有する。各支持部材8,9の平坦部8a,9aにおいて、当該支持部材8,9の長さ方向と直交する幅方向における平坦部8a,9aの一側縁からは、これより平坦部8a,9aに対して直交する方向へ、すなわち直角に立ち上げて壁部8b,9bが形成される。これら壁部8b,9b及び平坦部8a,9aにより、各支持部材8,9は、断面L字状に形成される。
【0027】
各支持部材8,9の平坦部8a,9aには、互いに対向する表面8c,9cとは反対側の裏面8d,9dに、壁部8b,9bの立ち上げ方向と同じ側へ突出する突起でなるアンカー8e,9eが支持部材8,9の長さ方向に沿ってかつその幅方向に間隔を隔てて設けられる。これらアンカー8e,9eは、梁1及び外壁2を形成する打設コンクリート中に埋設される。
【0028】
第一支持部材8及び第二支持部材9は、これらを互いに上下及び左右双方で向きを反転した状態で、平坦部8a,9a同士が互いに向かい合うように組み合わせて用いられる。これにより、第一支持部材8は、垂下される壁部8bが目地3と対向するように設置される。また、第二支持部材9は、立ち上がる壁部9bが水平スリット材4と対向するように設置される。そしてこれら支持部材8,9は、それらの平坦部8a,9aが壁部8b,9b間に挟み込まれる配置で、コンクリート打継部Xに設置される。
【0029】
さらに、双方の支持部材8,9の平坦部8a,9aを幅方向に位置ずれさせて配置することにより、壁部8bが目地3と対向する第一支持部材8の平坦部8aが、部分的に水平スリット材4と上下に対向し、かつ壁部9bが水平スリット材4と対向する第二支持部材9の平坦部9aが、部分的に目地3と上下に対向するように、これら支持部材8,9がコンクリート打継部Xに設置される。
【0030】
すなわち、第二支持部材9の平坦部9aが第一支持部材8の壁部8bから目地3の上側に迫り出し、同時に、第一支持部材8の平坦部8aが第二支持部材9の壁部9bから水平スリット材4の下側に迫り出し、これによってこれら目地3または水平スリット材4を位置決めする隅角部Yが形成される。
【0031】
加えて、壁部8bが目地3と対向する第一支持部材8は、コンクリート打継部Xにおける平坦部8aの位置が、目地3の上面3aと面一、あるいは止水部材10の寸法分相当で当該上面3aよりも没入した位置に設定される。
【0032】
第一支持部材8と第二支持部材9の間の止水部材10は、ゲルや軟質の塩化ビニル材、ブチルゴムなどの弾性素材で形成される。止水部材10は、各支持部材8,9に予め一体的に設けておくようにしても良い。
【0033】
図3は、水平スリット材支持具5の設置手順を示す工程図である。まず、型枠11に設置した目地棒12に、第一支持部材8を釘13で取付固定する。詳細には、アンカー8eが形成されている第一支持部材8の平坦部8aの裏面8dを下方に向ける。また、第一支持部材8の壁部8bを、外壁2の外回りに位置することとなる目地棒12に対向させる。
【0034】
そして、壁部8b側から目地棒12に向けて釘13を打ち付けて、第一支持部材8を目地棒12に固定する。第一支持部材8を目地棒12に固定するとき、平坦部8aの表面8cが、目地3の上面3aとなる目地棒12の上面12aよりも下方に位置されて、目地棒12の上面12aより没入した位置となるように配置する(図3(a)参照)。第一支持部材8の平坦部8aの表面8cが、目地棒12の上面12aと面一となるように配置しても良い。
【0035】
次に、第一支持部材8の平坦部8aの表面8cに、目地棒12の上面12aとほぼ面一となるように止水部材10を設置する。止水部材10は図3に示すように、各支持部材8,9の幅方向に広く、平坦部表面8cのほぼ全域にわたるような一体品であっても、幅方向に適宜に分割されたものであってもよい。
【0036】
次に、目地棒12及び止水部材10双方の上に、これらに跨がるようにして、第二支持部材9を設置する。詳細には、アンカー9eが形成されている第二支持部材9の平坦部9aの裏面9dを上方に向ける。また、第二支持部材9の壁部9bを、目地棒12とは反対側に向ける。第一支持部材8の平坦部8aと上下に向かい合う第二支持部材9の平坦部9aは、目地棒12の上面12aに部分的に被さるように、第一支持部材8の平坦部8aに対し位置がずらされ、当該第一支持部材8の平坦部8aから迫り出される。これにより、第一支持部材8の平坦部8aも、第二支持部材9の平坦部9aから迫り出される(図3(b)参照)。
【0037】
別の施工方法としては、型枠11に設置した目地棒12に、第一支持部材8を釘13で取付固定する前に、予め、第一支持部材8と第二支持部材9と止水部材10とを一体化したもの、すなわち、これら支持部材8,9双方を、互いに上下及び左右方向で向きを反転させて平坦部8a,9a同士を互いに向かい合わせ、且つ当該平坦部8a,9aの位置を幅方向にずらしたものを一体品として用意しておく仕方がある。このようにすれば、目地棒12に水平スリット材支持具5を固定する際、第二支持部材9の平坦部9aと第一支持部材8の壁部8bで形成される隅角部Y(図1参照)と目地棒12の角部とを合わせるだけで、容易に位置決めをすることができ、施工性を向上することができる。
【0038】
次に、コンクリート打継部Xとなる打設ラインLまで、梁1を形成するためのコンクリートを打設する。このとき、目地棒12の上面12a及び第二支持部材9の平坦部9a直下までコンクリートを打設する(図3(c)参照)。
【0039】
次に、打設したコンクリートが硬化した後に、当該コンクリート(梁1)上に、水平スリット材4をセットする。この際、第二支持部材9の壁部9bに、水平スリット材4の端面を対向させて当接させる(図3(d)参照)。
【0040】
次に、外壁2を形成するためのコンクリートを打設する。打設したコンクリートが硬化したら、型枠11及び目地棒12を取り外す(図3(e)参照)。その後、目地棒12を取り外すことで現れる窪みに、コーキング材6を充填し、更にバックアップ材7を充填することで、これらコーキング材6及びバックアップ材7が詰められた目地3が形成される(図3(f)参照)。
【0041】
本実施形態に係る水平スリット材支持具5及びスリット構造によれば、梁1に外壁2を打ち継ぐコンクリート打継部Xで、目地3に対して間隔を隔てて併設される水平スリット材4を支持するための水平スリット材支持具5が、梁1に対して目地3と水平スリット材4の間に位置させて設置される第一支持部材8と、外壁2に対して第一支持部材8と互いに向かい合わせて、目地3と水平スリット材4の間に設置される第二支持部材9と、これら第二支持部材9と第一支持部材8の間に設けられる止水部材10とを備えて構成されている。すなわち、第一支持部材8と第二支持部材9とを上下に重ね、これらの間に止水部材10を設けることにより、目地3が設けられる梁1と、水平スリット材4が設けられる外壁2との間をほぼ完全に縁切りすることができる。これにより、コンクリート構造物が地震等の外力を受けたときに力の伝達を遮断することができ、梁1や外壁2へのひび割れの発生を抑制することができる。
【0042】
特に、第一支持部材8と第二支持部材9との間に設ける止水部材10を弾性素材で形成しているので、地震時における揺れに対して、水平スリット材支持具5が追随することができ、梁1と外壁2との相対的な挙動が拘束されることがなく、梁1及び外壁2の損傷を大幅に低減することができる。
【0043】
止水部材10を、弾力性や復元力があり、かつ、伸び性能が高いゲルや軟質の塩化ビニル材のような素材で形成しているので、地震時のエネルギーを吸収でき、水平スリット材4と同様の作用を水平スリット材支持具5でも発揮させることができる。一般に、水平スリット材支持具5の下側に、水平スリット材4と同じ厚さの下側水平スリット材15が設置される。本実施形態のように、弾力性や復元力があり、かつ、伸び性能が高い止水部材10を採用すれば、図4に示すように、第一支持部材8の下側に設置する下側水平スリット材15の厚みを薄くすることもでき、これによって材料コストを低減することができる。
【0044】
目地3に対向する第一支持部材8及び第二支持部材9の間に止水部材10を設けているので、たとえ目地3から水が浸入したとしても、コンクリート構造物内部への水の浸入を防止することができる。
【0045】
第一支持部材8及び第二支持部材9にあっては、互いに向かい合う平坦部8a,9aを有すると共に、平坦部8a,9aの一側縁に、これより当該平坦部8a,9aに対して直交する方向へ立ち上げて壁部8b,9bがそれぞれ形成され、これら第一支持部材8及び第二支持部材9は、それらの壁部8b,9b間に平坦部8a,9aを挟み込む配置で、一方の壁部8bが目地3と対向し、他方の壁部9bが水平スリット材4と対向するように、コンクリート打継部Xに設置されるので、たとえ第二支持部材9の平坦部9a上に水が浸入したとしても、コンクリート構造物内部への水の浸入を防止することができる。
【0046】
第一支持部材8と第二支持部材9を同一形態・同一材質にすれば、これらを単一の型や製造装置で製造することができる。これにより、材料コストを低減することができる。また、水平スリット材支持具5を施工するとき、第一支持部材8と第二支持部材9の取り付け間違いがなくなり施工性を向上できると共に、在庫管理も容易化することができる。
【0047】
第一支持部材8及び第二支持部材9にあっては、壁部8bが目地3と対向する第一支持部材8の平坦部8aが、部分的に水平スリット材4に下方から対向し、壁部9b水平スリット材4と対向する第二支持部材9の平坦部9aが部分的に目地3に上方から対向するように、コンクリート打継部Xに設置されるので、これら支持部材8,9で形成される隅角部Yに目地棒12や水平スリット材4を当接させることで、的確に位置決めして支持することができ、支持具として複雑な形状を組み込むことなく、施工作業性を向上することができる。
【0048】
目地棒12の上面12aに載せられる第二支持部材9の平坦部9aにより、梁1を形成するコンクリートの打設ラインLを明確にすることができ、コンクリートの打設作業も的確かつ容易化することができる。第二支持部材9の平坦部9aの一側縁に、梁1上に立ち上げられる壁部9bを形成すれば、梁1の構築後に当該壁部9bに水平スリット材4を当接させるだけで、当該水平スリット材4を所定位置に的確に設置することができ、施工性をさらに向上できる。
【0049】
第一支持部材8及び第二支持部材9にアンカー8e,9eを設けたので、これら支持部材8,9を梁1及び外壁2に対し、強固に固定することができる。強固な固定を確保することができるので、第一支持部材8を固定している釘13から、目地棒12を撤去する場合であっても、水平スリット材支持具5が梁1や外壁2から抜脱されることを確実に防止することができる。
【0050】
上記実施形態では、第一支持部材8と第二支持部材9を同一形態としたが、これら支持部材8,9は同一形態でなくても良く、目地3と対向する一方の支持部材には、平坦部とその平坦部の一側縁に壁部を形成し、他方の支持部材には、平坦部のみを形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 梁
2 外壁
3 目地
4 水平スリット材
5 水平スリット材支持具
8 第一支持部材
8a 平坦部
8b 壁部
9 第二支持部材
9a 平坦部
9b 壁部
10 止水部材
X コンクリート打継部
図1
図2
図3
図4