特許第6046592号(P6046592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046592
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】表示装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20161212BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20161212BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20161212BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20161212BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161212BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 612A
   G09G3/20 691D
   G09G3/20 670Q
   G09G3/20 612T
   G02F1/133 530
   G02F1/1333
   G02F1/133 550
   G02F1/133 520
   G06F3/041 410
   G06F3/044 120
【請求項の数】14
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-232339(P2013-232339)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-209171(P2014-209171A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-65177(P2013-65177)
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】寺西 康幸
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸治
(72)【発明者】
【氏名】小松 英敏
(72)【発明者】
【氏名】小出 元
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大亮
【審査官】 斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/145360(WO,A1)
【文献】 特開2012−247462(JP,A)
【文献】 特開2002−123234(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/102479(WO,A1)
【文献】 特開平11−102169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G02F 1/1333
G06F 3/041
G06F 3/044
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
前記表示部の動作を確認するテストを行う際に、テスト信号を前記表示部に印加するために動作させるテスト用スイッチング素子と、
を含み、
前記電力消費部は、
前記第2期間に、前記テスト用スイッチング素子を動作させて電力を消費する、
表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、表示デバイスにタッチ検出デバイスを内蔵して一体化したものであり、
前記第1期間は前記表示デバイスの表示動作期間であり、
前記第2期間は前記タッチ検出デバイスのタッチ検出期間である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記テスト用スイッチング素子と前記表示部との間の信号線に、前記信号線の電圧値を一定に保つ信号を、前記第2期間に印加する信号印加部をさらに備える、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記信号線の電圧値を一定に保つ信号は、前記第2期間に、前記表示部に設けられている画素信号線を所定の電圧に設定するための信号である、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記電力消費部は、前記第1期間に動作するスイッチング素子を含み、
前記スイッチング素子は、前記第2期間にも動作して前記供給される電力を消費する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子は、第1トランジスタ素子及び第2トランジスタ素子を含み、
前記第2期間のいずれのタイミングにおいても前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子の少なくとも一方がオン状態になるように、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子はそれぞれ所定周期でオンオフ制御され、前記所定周期は前記第1期間での前記表示部の消費電力に応じて設定される、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記スイッチング素子を複数含み、複数の前記スイッチング素子に含まれる前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子は、ソース同士及びドレイン同士が接続されており、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの一方は前記表示部へ接続される信号線に接続され、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの他方はすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子に共通に設けられた信号線に接続され、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちのいずれか一つのトランジスタ素子がオフからオンへ遷移するタイミングと、複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの他のいずれか一つのトランジスタ素子がオンからオフへ遷移するタイミングとが一致するように制御される、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの一部は、前記第2期間のいずれのタイミングにおいても常にオン状態になるように制御される、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
複数の前記スイッチング素子は、
前記表示部に表示される画像に対応する画像信号に含まれる複数種類の色信号それぞれに対応して設けられている、請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
を含み、
前記電力消費部は、前記第1期間の前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する表示装置。
【請求項11】
所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
前記第2期間に動作するスイッチング素子と、
を含み、
前記電力消費部は、前記スイッチング素子と共に動作し、かつ、前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する、表示装置。
【請求項12】
前記電力消費部は、前記ダミー素子を、前記第1期間の前記表示部の消費電力と前記第2期間の前記スイッチング素子による消費電力とに応じた数だけ含む、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
を含み、
前記電力消費部は、前記供給される電力によって充放電動作するコンデンサを含み、
前記コンデンサは、前記第2期間に充放電動作する、表示装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の表示装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像を表示する表示装置及びそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置は、画質や消費電力などの観点から、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機EL表示装置などの様々な種類のものが開発されており、それらの特性に応じて、据置型の表示装置の他、携帯電話、携帯型情報端末など、様々な電子機器に適用されている。
【0003】
表示装置は、一般に、線順次走査を行うことにより画像を表示する(例えば、特許文献1及び特許文献2)。具体的には、例えば液晶表示装置では、まず、走査線信号駆動回路(ゲートドライバ)が、マトリックス状に配置された画素のうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として選択する。そして、信号線駆動回路(ソースドライバ)が、その選択された画素に対して画素信号を供給する。これにより、選択された1水平ラインに係る画素に画素信号が書き込まれる。表示装置は、このような画素信号の書き込み動作を、表示面全面にわたり順次走査しつつ行うことにより、画像を表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−250030号公報
【特許文献2】特開2011−76708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示装置の電源に平滑コンデンサが挿入されることがある。平滑コンデンサは、電源電圧の変動を抑える。これにより、表示装置へ供給される電力は安定化する。しかしながら、表示装置の動作状態によっては、平滑コンデンサにかかる電圧が周期的に変化することがある。平滑コンデンサにかかる電圧が周期的に変化すると、圧電効果によって平滑コンデンサが振動し、音鳴りが発生することがある。
【0006】
本開示は、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる表示装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示装置は、所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、を備える。
【0008】
本開示の電子機器は、前述した表示装置を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電力消費部によって、上記第2期間に、供給される電力を消費するので、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる表示装置及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、タッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すブロック図である。
図2図2は、静電容量型タッチ検出の基本原理を説明するため、指が接触又は近接していない状態を表す説明図である。
図3図3は、図2に示す指が接触又は近接していない状態の等価回路の例を示す説明図である。
図4図4は、静電容量型タッチ検出の基本原理を説明するため、指が接触又は近接した状態を表す説明図である。
図5図5は、図4に示す指が接触又は近接した状態の等価回路の例を示す説明図である。
図6図6は、駆動信号及びタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
図7図7は、タッチ検出機能付き表示装置を実装したモジュールの一例を示す図である。
図8図8は、タッチ検出機能付き表示デバイスの駆動電極及びタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。
図9図9は、電源回路とタッチ検出機能付き表示装置の各部との接続例を示す図である。
図10図10は、第1実施形態であるソースセレクタ部の構成例を示す図である。
図11図11は、第1実施形態の第1動作例を表す波形図である。
図12図12は、第1実施形態の第2動作例を表す波形図である。
図13図13は、第1実施形態の第3動作例を表す波形図である。
図14図14は、第2実施形態の構成例を示す図である。
図15図15は、第2実施形態に対する比較例を示す図である。
図16図16は、第2実施形態の動作の一例を表す波形図である。
図17図17は、第2実施形態の動作の一例を示す波形図である。
図18図18は、画像信号を伝達する配線に固定電位が印加されている場合の第2実施形態の構成例を示す図である。
図19図19は、画像信号を伝達する配線に固定電位が印加されている場合の第2実施形態の構成例を示す図である。
図20図20は、画像信号を伝達する配線に固定電位が印加されている場合の第2実施形態の構成例を示す図である。
図21図21は、表示部の動作を確認する場合の構成例を示す図である。
図22図22は、第3実施形態の構成例を示す図である。
図23図23は、第3実施形態の動作の一例を表す波形図である。
図24図24は、第3実施形態の動作の一例を表す波形図である。
図25図25は、第4実施形態の構成例を示す図である。
図26図26は、第4実施形態の動作の一例を表す波形図である。
図27図27は、変形例1の構成例を示す図である。
図28図28は、変形例1の動作の一例を表す波形図である。
図29図29は、タッチ検出期間及び表示動作期間における、電源電圧、駆動信号の電圧値の変化の例を示す波形図である。
図30図30は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図31図31は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図32図32は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図33図33は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図34図34は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図35図35は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図36図36は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図37図37は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図38図38は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図39図39は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図40図40は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図41図41は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
図42図42は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.全体構成例
2.静電容量式タッチ検出の基本原理
3.電源回路と表示装置との接続例
4.実施形態
5.適用例
6.本開示の構成
【0012】
<1.全体構成例>
【0013】
図1は、本例に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すブロック図である。タッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、ソースセレクタ部13Sと、駆動電極ドライバ14と、タッチ検出部40とを備えている。このタッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出機能付き表示デバイス10がタッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、表示素子として液晶表示素子を用いている液晶表示デバイス20に静電容量型のタッチ検出デバイス30を内蔵して一体化した、いわゆるインセルタイプの装置である。なお、タッチ検出機能付き表示デバイス10は、表示素子として液晶表示素子を用いている液晶表示デバイス20の上方に、静電容量型のタッチ検出デバイス30を装着した、いわゆるオンセルタイプの装置であってもよい。オンセルタイプの装置の場合、液晶表示デバイス20の直上にタッチ検出デバイス30が設けられていてもよいし、液晶表示デバイス20の直上ではなく他の層を介して上方にタッチ検出デバイス30が設けられていてもよい。
【0014】
液晶表示デバイス20は、後述するように、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14、及びタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらが互いに同期して動作するように制御する回路である。本開示における制御装置は、制御部11、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14を含む。
【0015】
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。
【0016】
ソースドライバ13は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の、各画素Pix(副画素SPix)に画素信号Vpixを供給する回路である。ソースドライバ13には、例えば6ビットのR(赤)、G(緑)、B(青)のデジタル画像信号Vsigが与えられる。ソースドライバ13は、1水平ライン分の映像信号Vdispから、液晶表示デバイス20の複数の副画素SPixの画素信号Vpixを時分割多重化した画素信号を生成し、ソースセレクタ部13Sに供給する。また、ソースドライバ13は、画像信号Vsigに多重化された画素信号Vpixを分離するために必要なスイッチ制御信号Vselを生成し、画素信号Vpixとともにソースセレクタ部13Sに供給する。なお、ソースセレクタ部13Sは、ソースドライバ13と制御部11との間の配線数を少なくすることができる。
【0017】
駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の、後述する駆動電極COMLにタッチ検出用の駆動信号(タッチ用駆動信号、以下駆動信号という。)VcomAC、表示用の電圧である表示用駆動電圧VcomDCを供給する回路である。
【0018】
タッチ検出部40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出機能付き表示デバイス10のタッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチ(上述した接触状態)の有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出部40はタッチ検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを備えている。
【0019】
タッチ検出信号増幅部42は、タッチ検出デバイス30から供給されるタッチ検出信号Vdetを増幅する。タッチ検出信号増幅部42は、タッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過アナログフィルタを備えていてもよい。
【0020】
以下の説明では、図1に示したタッチ検出機能付き表示装置1の構成要素のうち、専ら表示のために用いられる構成要素をまとめて「表示部」ということがある。「表示部」は、例えば、液晶表示デバイス20と、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14とを含む。
【0021】
<2.静電容量式タッチ検出の基本原理>
タッチ検出デバイス30は、静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、タッチ検出信号Vdetを出力する。図1図6を参照して、本例のタッチ検出機能付き表示装置1におけるタッチ検出の基本原理について説明する。図2は、静電容量型タッチ検出の基本原理を説明するため、指が接触又は近接していない状態を表す説明図である。図3は、図2に示す指が接触又は近接していない状態の等価回路の例を示す説明図である。図4は、静電容量型タッチ検出の基本原理を説明するため、指が接触又は近接した状態を表す説明図である。図5は、図4に示す指が接触又は近接した状態の等価回路の例を示す説明図である。図6は、駆動信号及びタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
【0022】
例えば、図2に示すように、容量素子C1は、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極、駆動電極E1及びタッチ検出電極E2を備えている。図3に示すように、容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出部)DETに接続される。電圧検出器DETは、例えば図1に示すタッチ検出信号増幅部42に含まれる積分回路である。
【0023】
交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)の交流矩形波Sgを印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端)側に接続された電圧検出器DETを介して、出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述する駆動信号VcomACに相当するものである。
【0024】
指が接触(又は近接)していない状態(非接触状態)では、図2及び図3に示すように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流Iが流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図6に示す波形Vのようになり、図3に示す電圧検出器DETは、波形Vを検出する。
【0025】
一方、指が接触(又は近接)した状態(接触状態)では、図4に示すように、指によって形成される静電容量があたかも容量素子C2として容量素子C1に付加するように作用する。そして、図5に示す等価回路でみると、容量素子C2は容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、容量素子C1、C2に電流I、Iが流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図6の波形Vのようになり、電圧検出器DETは、波形Vを検出する。このとき、他端Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I、Iの値によって定まる分圧電位となる。このため、波形Vは、非接触状態での波形Vよりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧Vth以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧Vth未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0026】
図1に示すタッチ検出デバイス30は、駆動電極ドライバ14から供給される駆動信号Vcom(後述する駆動信号VcomAC)に従って、1検出ブロックずつ順次走査してタッチ検出を行うようになっている。
【0027】
タッチ検出デバイス30は、複数の後述するタッチ検出電極TDLから、図3又は図5に示す電圧検出器DETを介して、検出ブロック毎にタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出部40のA/D変換部43に供給するようになっている。
【0028】
A/D変換部43は、駆動信号VcomACに同期したタイミングで、タッチ検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する回路である。
【0029】
信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に含まれる、駆動信号VcomACをサンプリングした周波数以外の周波数成分(ノイズ成分)を低減するデジタルフィルタを備えている。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する論理回路である。信号処理部44は、指による差分の信号のみ取り出す処理を行う。この指による差分の信号は、上述した波形Vと波形Vとの差分の絶対値|ΔV|である。信号処理部44は、1検出ブロック当たりの絶対値|ΔV|を平均化する演算を行い、絶対値|ΔV|の平均値を求めてもよい。これにより、信号処理部44は、ノイズによる影響を低減できる。信号処理部44は、検出した指による差分の信号を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧Vth以上であれば、外部近接物体の非接触状態と判断する。一方、信号処理部44は、検出したデジタル電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、しきい値電圧Vth未満であれば、外部近接物体の接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出部40はタッチ検出が可能となる。
【0030】
座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチが検出されたときに、そのタッチパネル座標を求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45とが同期して動作するように制御する。座標抽出部45は、タッチパネル座標を信号出力Voutとして出力する。
【0031】
図7は、本例に係るタッチ検出機能付き表示装置を実装したモジュールの一例を示す図である。図7に示すように、タッチ検出機能付き表示装置1は、後述する画素基板2(TFT基板21)と、フレキシブルプリント基板Tとを備えている。画素基板2(TFT基板21)は、COG(Chip On Glass)19を搭載し、上述した液晶表示デバイス20の表示領域Adと、額縁Gdとが形成されている。COG19は、TFT基板21に実装されたICドライバのチップであり、図1に示した制御部11、ソースドライバ13など、表示動作に必要な各回路を内蔵した制御装置である。本例では、上述したソースドライバ13及びソースセレクタ部13Sは、TFT基板21上に形成されている。ソースドライバ13及びソースセレクタ部13Sは、COG19に内蔵されていてもよい。また、駆動電極ドライバ14の一部である、駆動電極走査部14A、14Bは、TFT基板21に形成されている。また、ゲートドライバ12は、ゲートドライバ12A、12Bとして、TFT基板21に形成されている。また、タッチ検出機能付き表示装置1は、COG19に駆動電極走査部14A、14B、ゲートドライバ12などの回路を内蔵してもよい。
【0032】
図7に示すように、TFT基板21の表面に対する垂直方向において、駆動電極COMLの駆動電極ブロックBと、タッチ検出電極TDLとは、立体交差するように形成されている。
【0033】
また、駆動電極COMLは、一方向に延在する複数のストライプ状の電極パターンに分割されている。タッチ検出動作を行う際は、各電極パターンには、駆動電極ドライバ14によって駆動信号VcomACが順次供給される。同時に駆動信号VcomACが供給される、駆動電極COMLの複数のストライプ状の電極パターンが図7に示す駆動電極ブロックBである。駆動電極ブロックB(駆動電極COML)は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の長辺方向に形成されており、後述するタッチ検出電極TDLは、タッチ検出機能付き表示デバイス10の短辺方向に形成されている。タッチ検出電極TDLの出力は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の短辺側に設けられ、フレキシブルプリント基板Tを介して、フレキシブルプリント基板Tに実装されたタッチ検出部40と接続されている。このように、タッチ検出部40は、フレキシブルプリント基板T上に実装され、並設された複数のタッチ検出電極TDLのそれぞれと接続されている。フレキシブルプリント基板Tは、端子であればよく、フレキシブルプリント基板に限られず、この場合、モジュールの外部にタッチ検出部40が備えられる。
【0034】
後述する駆動信号生成部は、COG19に内蔵されている。ソースセレクタ部13Sは、TFT基板21上の表示領域Adの近傍に、TFT素子を用いて形成されている。表示領域Adには、後述する画素Pixがマトリックス状(行列状)に多数配置されている。額縁Gd、Gdは、TFT基板21の表面を垂直な方向からみて画素Pixが配置されていない領域である。ゲートドライバ12と、駆動電極ドライバ14のうち駆動電極走査部14A、14Bとは、額縁Gd、Gdに配置されている。
【0035】
ゲートドライバ12は、ゲートドライバ12A、12Bを備え、TFT基板21上にTFT素子を用いて形成されている。ゲートドライバ12A、12Bは、表示領域Adに、後述する副画素SPix(画素)がマトリックス状に配置された、表示領域Adを挟んで両側から駆動することができるようになっている。以下の説明では、ゲートドライバ12Aを第1ゲートドライバ12Aとし、ゲートドライバ12Bを第2ゲートドライバ12Bとする。また、走査線は、第1ゲートドライバ12A、第2ゲートドライバ12Bとの間に配列する。このため、走査線は、TFT基板21の表面に対する垂直方向において、駆動電極COMLの延在方向と平行な方向に延びるように設けられている。
【0036】
駆動電極走査部14A、14Bは、TFT基板21上にTFT素子を用いて形成されている。駆動電極走査部14A、14Bは、駆動信号生成部から、表示用配線LDCを介して、表示用駆動電圧VcomDCの供給を受けると共に、タッチ用配線LACを介して駆動信号VcomACの供給を受ける。駆動電極走査部14A、14Bは、並設された複数の駆動電極ブロックBのそれぞれを、両側から駆動することができるようになっている。表示用駆動電圧VcomDCを供給する表示用配線LDCと、タッチ用駆動信号VcomACを供給するタッチ用配線LACとは、並列に額縁Gd、Gdに配置されている。表示用配線LDCは、タッチ用配線LACよりも表示領域Ad側に配置されている。この構造により、表示用配線LDCにより供給される表示用駆動電圧VcomDCが、表示領域Adの端部の電位状態を安定させる。このため、特に、横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスにおいて、表示が安定する。
【0037】
図7に示すタッチ検出機能付き表示装置1は、上述したタッチ検出信号Vdetを、タッチ検出機能付き表示デバイス10の短辺側から出力する。これにより、タッチ検出機能付き表示装置1は、端子部であるフレキシブルプリント基板Tを介してタッチ検出部40に接続する際の配線の引き回しが容易になる。
【0038】
本例に係る駆動電極COMLは、液晶表示デバイス20の駆動電極として機能するとともに、タッチ検出デバイス30の駆動電極としても機能する。
【0039】
図8は、タッチ検出機能付き表示デバイスの駆動電極及びタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。図8に示す駆動電極COMLは、TFT基板21の表面に対する垂直方向において、画素電極に対向している。タッチ検出デバイス30は、画素基板2に設けられた駆動電極COMLと、対向基板3に設けられたタッチ検出電極TDLにより構成されている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と交差する方向に延びるストライプ状の電極パターンから構成されている。そして、タッチ検出電極TDLは、TFT基板21の表面に対する垂直な方向において、駆動電極COMLと対向している。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出部40のタッチ検出信号増幅部42の入力にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を生じさせている。タッチ検出デバイス30では、駆動電極ドライバ14が駆動電極COMLに対して駆動信号VcomACを印加することにより、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極COMLは、図2図6に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。
【0040】
なお、タッチ検出電極TDL又は駆動電極COML(駆動電極ブロック)は、ストライプ状に複数に分割される形状に限られない。例えば、タッチ検出電極TDL又は駆動電極COML(駆動電極ブロック)は、櫛歯形状であってもよい。あるいはタッチ検出電極TDL又は駆動電極COML(駆動電極ブロック)は、複数に分割されていればよく、駆動電極COMLを分割するスリットの形状は直線であっても、曲線であってもよい。
【0041】
図8に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触又は近接が生じた位置の検出も可能となっている。つまり、タッチ検出デバイス30では、タッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14が、図7に示す駆動電極ブロックBを時分割的に線順次走査するように駆動する。これにより、スキャン方向Scanに駆動電極COMLの駆動電極ブロックB(1検出ブロック)は、順次選択される。そして、タッチ検出デバイス30は、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。このようにタッチ検出デバイス30は、1検出ブロックのタッチ検出が行われるようになっている。
【0042】
<3.電源回路と表示装置との接続例>
図9は、電源IC100とタッチ検出機能付き表示装置1の各部との接続例を示す図である。図9に示すように、タッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、ゲートドライバ12と、ソースセレクタ部13Sと、駆動電極ドライバ14(駆動電極走査部14A、14B)と、テスト用スイッチング素子部15と、電源IC100と、平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14とを備える。テスト用スイッチング素子部15は、テスト用スイッチング素子を含む。テスト用スイッチング素子は、表示部、例えばタッチ検出機能付き表示デバイス10の動作を確認するためのテスト信号を表示部に印加するために動作、すなわちオン−オフする。テスト用スイッチング素子部15は、例えば、図7に示したCOG19の搭載位置の下に設けられるが、これには限定されない。
【0043】
電源IC100の内部には、電源回路110が設けられている。電源回路110には、配線101、102、103、104が接続されている。電源回路110は、配線101に電源電圧VGHを、配線102に電源電圧VGLを、配線103に電源電圧TPHを、配線104に電源電圧TPLを、それぞれ出力する。電源回路110は、ゲートドライバ12へ電源電圧VGH、VGLを供給し、タッチ検出機能付き表示デバイス10へ電力を供給する。また、電源回路110は、駆動電極ドライバ14へ電源電圧TPH、TPLを供給し、タッチ検出機能付き表示デバイス10へ電力を供給する。
【0044】
電源IC100の内部には、ドライバ111が設けられている。ドライバ111は、配線101と配線102との間に接続されている。ドライバ111は、配線101に出力される電源電圧VGHと配線102に出力される電源電圧VGLとを電源として動作する。ドライバ111には、配線105が接続されている。ドライバ111は、配線105を介してソースセレクタ部13Sに制御信号を供給する。したがって、電源回路110は、ソースセレクタ部13Sへ電源電圧を供給し、タッチ検出機能付き表示デバイス10へ電力を供給する。
【0045】
電源回路110の出力側の配線101、102、103、104には、平滑コンデンサC11、C12、C13、C14が接続されている。平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14は、電源回路110の各配線に対応して設けられており、それぞれ対応する各配線とグランドレベルとの間に挿入されている。
【0046】
平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14は、対応する電源の配線によって供給される電圧に変動があると、充電動作又は放電動作を行う。すなわち、平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14は、各電源の電圧が上昇すると充電され、逆に電圧が下がると放電する。したがって、平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14は、対応する配線の電圧の変動を抑えることができる。なお、平滑コンデンサC11、C12、C13及びC14は、TFT基板21に設けてもよいし、フレキシブルプリント基板Tに設けてもよい。
【0047】
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20にタッチ検出デバイス30を内蔵して一体化した、いわゆるインセルタイプの装置であり、ノイズの影響を避けるため、表示動作期間とタッチ検出期間とは同時に実行されず、排他的に存在する。
【0048】
表示動作期間は、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、液晶表示デバイス20に1水平ラインずつ順次走査して表示を行う期間である。
【0049】
タッチ検出期間は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出デバイス30の駆動電極COMLに、駆動電極ドライバ14からタッチ検出用の駆動信号Vcomを供給し、外部物体が接触又は近接したか否かを検出するタッチ検出動作が実施される期間である。
【0050】
表示動作期間とタッチ検出期間とは交互に繰り返し実行される。表示動作期間の繰り返し周期は例えば60Hzであり、タッチ検出期間は例えばその数倍の繰り返し周期である。したがって、表示動作期間とタッチ検出期間との繰り返し周期によっては、タッチ検出機能付き表示装置1の電源IC100の配線101、102、103,104とグランドレベルとの間に挿入された平滑コンデンサC11、C12、C13、C14にかかる電圧が周期的に変化し、平滑コンデンサC11、C12、C13、C14が振動し、音鳴りとして認識される可能性がある。タッチ検出機能付き表示デバイス10が、いわゆるオンセルタイプの装置である場合も同様である。オンセルタイプの装置は、液晶表示デバイスの上に、タッチ検出デバイスが装着された装置である。
【0051】
<4.実施形態>
本開示のタッチ検出機能付き表示装置1は、タッチ検出期間において電力を消費する電力消費部を有する。電力消費部が、タッチ検出期間において電力を消費することにより、電源IC100の配線101、102、103、104とグランドレベルとの間に挿入された平滑コンデンサC11、C12、C13、C14にかかる電圧の変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。以下の説明では、所定閾値より高い電位を「H電位」、所定閾値より低い電位を「L電位」ということがある。
【0052】
(第1実施形態)
図10は、第1実施形態の構成例を示す図である。第1実施形態では、ソースセレクタ部13Sを電力消費部とする。第1実施形態では、表示部は、ソースセレクタ部13Sを含まない。
【0053】
図10において、ソースセレクタ部13Sは、画像信号Vsigに多重化されたR信号SigR、G信号SigG、B信号SigBに、それぞれ対応して設けられたスイッチSWR、SWG、SWBを備えている。スイッチSWR、スイッチSWG及びスイッチSWBは、ソース同士及びドレイン同士を接続したNch型MOSトランジスタ(以下、NMOSTrと略称することがある)とPch型MOSトランジスタ(以下、PMOSTrと略称することがある)とから構成されている。
【0054】
ソースセレクタ部13Sには、選択信号SELR、SELG、SELB、xSELR、xSELG及びxSELBが入力されている。これら選択信号SELR、SELG、SELB、xSELR、xSELG及びxSELBは、スイッチ制御信号Vselに含まれる。選択信号xSELRは、選択信号SELRを反転した信号である。例えば、選択信号SELRをインバータ回路に入力し、その出力によって選択信号xSELRを得ることができる。選択信号xSELGは、選択信号SELGを反転した信号である。例えば、選択信号SELGをインバータ回路に入力し、その出力によって選択信号xSELGを得ることができる。選択信号xSELBは、選択信号SELBを反転した信号である。例えば、選択信号SELBをインバータ回路に入力し、その出力によって選択信号xSELBを得ることができる。
【0055】
選択信号SELR及びxSELRはR信号SigRを選択するための信号である。選択信号SELRは、スイッチSWRのNMOSTrのゲートに入力される。選択信号xSELRは、スイッチSWRのPMOSTrのゲートに入力される。
【0056】
選択信号SELG及びxSELGはG信号SigGを選択するための信号である。選択信号SELGは、スイッチSWGのNMOSTrのゲートに入力される。選択信号xSELGは、スイッチSWGのPMOSTrのゲートに入力される。
【0057】
選択信号SELB及びxSELBはB信号SigBを選択するための信号である。選択信号SELBは、スイッチSWBのNMOSTrのゲートに入力される。選択信号xSELBは、スイッチSWBのPMOSTrのゲートに入力される。なお、ソースセレクタ部13Sは、1つの表示部に対して複数設けられてもよい。
【0058】
ソースセレクタ部13Sは、表示動作期間において、スイッチSWR、SWG、SWBをオンオフさせてR信号SigR、G信号SigG、B信号SigBを出力する。したがって、表示動作期間以外の期間であるタッチ検出期間では、ソースセレクタ部13Sは本来動作させない。
【0059】
本実施形態では、ソースセレクタ部13Sを、タッチ検出期間においても動作させ、スイッチSWR、SWG、SWBをオンオフさせることにより、電力を消費させる。具体的には、スイッチSWR、SWG、SWBを構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲート−ソース間及びゲート−ドレイン間の寄生容量成分を充放電させることによって電力を消費させる。寄生容量成分をC、NMOSTrおよびPMOSTrのゲートに印加される電圧をVg、オンとオフとの切り替え周期をfとすると、寄生容量成分の充放電に際に生じる電流iは、式(1)によって表すことができる。
i=C・Vg・f …(1)
電力の消費量は、電流iの大きさに比例する。したがって、例えば、スイッチSWR、SWG、SWBのオンとオフとによる電力の消費量は、オンとオフとの切り替え周期を調整することによって調整可能である。スイッチSWR、SWG、SWBのオンとオフとによる電力の消費量を調整し、タッチ検出期間において平滑コンデンサC11及び平滑コンデンサC12にかかる電圧を、表示動作期間においてこれらにかかる電圧と略一致させることにより、平滑コンデンサC11及びC12の音鳴りを抑止又は低減できる。
【0060】
具体的には、スイッチSWR、SWG、SWBのオンとオフとの切り替え周期は、配線101及び102によって電力が供給される各部の消費電力が、タッチ検出期間と表示動作期間とで略同一となるように調整される。タッチ検出期間の消費電力と、表示動作期間の消費電力との差が少ないほど、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。タッチ検出期間と表示動作期間とにおける消費電力差が、例えば30%未満であれば、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる程度に低減できる。
【0061】
(第1実施形態の第1動作例)
図11は、図10に示す構成の第1動作例を示す波形図である。図11において、信号TSHDは、タッチ検出期間において、H電位になる信号である。信号TSHDがH電位になっている期間すなわちタッチ検出期間において、選択信号SELR、SELG、SELBがH電位の期間はスイッチSWR、SWG、SWBのNMOSTrがオンし、L電位の期間はスイッチSWR、SWG、SWBのNMOSTrがオフになる。また、選択信号xSELR、xSELG及びxSELBがL電位の期間は、スイッチSWR、SWG、SWBのPMOSTrがオンし、H電位の期間はスイッチSWR、SWG、SWBのPMOSTrがオフになる。このようにスイッチSWR、SWG、SWBをオンオフ制御することにより、タッチ検出期間での消費電力を高めることができる。
【0062】
ところで、図11を参照すると、選択信号SELR、SELG、SELBがL電位でスイッチSWR、SWG、SWBのNMOSTrがオフしている期間は、選択信号xSELR、xSELG及びxSELBがL電位でスイッチSWR、SWG、SWBのPMOSTrがオンしている。一方、選択信号xSELR、xSELG及びxSELBがH電位でスイッチSWR、SWG、SWBのPMOSTrがオフしている期間は、選択信号SELR、SELG、SELBがH電位でスイッチSWR、SWG、SWBのNMOSTrがオンしている。
【0063】
このため、タッチ検出期間では、NMOSTrとPMOSTrとの少なくとも一方はオンになっている状態を維持する。つまり、タッチ検出期間のいずれのタイミングにおいてもNMOSTr及びPMOSTrの少なくとも一方がオン状態になるように、NMOSTr及びPMOSTrはそれぞれ所定周期でオンオフ制御される。タッチ検出期間のいずれのタイミングにおいてもNMOSTr及びPMOSTrの少なくとも一方がオン状態になるので、R信号SigR、G信号SigG、B信号SigBは固定とし、画像信号Vsigがグランド(接地)に接続された状態を維持し、R信号SigR、G信号SigG、B信号SigBがフローティング状態になることを防止できる。
【0064】
以上のように、第1実施形態では、本来、表示動作期間に選択動作を行うために設けられているソースセレクタ部13Sを、表示動作期間以外の期間においても動作させることによって、電力消費部として機能させる。こうすることにより、タッチ検出期間の消費電力を表示動作期間の消費電力に等しく又は近づけることができ、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
【0065】
また、第1実施形態では、表示制御に用いられるソースセレクタ部13Sを電力消費部として機能させるので、平滑コンデンサの音鳴りの抑止又は低減のために新たな部材を追加しなくてもよい。さらに、ソースセレクタ部13SのスイッチSWR、SWG、SWBを切り替える周期を変更することでソースセレクタ部13Sの消費電力を調整できるため、様々な表示装置に容易に適用できる。なお、本来、表示動作期間に選択動作を行うためのソースセレクタ部13Sを表示動作期間以外に動作させても、表示動作に影響はない。
【0066】
(第1実施形態の第2動作例)
ソースセレクタ部13SのスイッチSWR、SWG、SWBを構成するトランジスタをオンオフ動作させる場合に、あるトランジスタがオンからオフへ遷移するタイミングと他のトランジスタがオフからオンへ遷移するタイミングとが一致するように、選択信号を変化させることによって、表示部へのノイズを抑制又は低減することができる。
【0067】
例えば、タッチ検出期間において、図12に示すように選択信号を変化させることによって、スイッチSWR、SWG及びSWBを構成するトランジスタについて、オフからオンへの遷移タイミングとオンからオフへの遷移タイミングとを一致させる。例えば、選択信号SELBがL電位からH電位に変化するタイミングと選択信号SELRがH電位からL電位に変化するタイミングとが一致し、スイッチSWBのNMOSTrがオフからオンへ遷移するタイミングとスイッチSWRのNMOSTrがオンからオフへ遷移するタイミングとが一致している。また、選択信号xSELGがL電位からH電位に変化するタイミングと選択信号xSELRがH電位からL電位に変化するタイミングとが一致し、スイッチSWGのPMOSTrがオンからオフへ遷移するタイミングとスイッチSWRのPMOSTrがオフからオンへ遷移するタイミングとが一致している。
【0068】
ここで、複数のスイッチSWR、SWG及びSWBに含まれるすべてのNMOSTr及びPMOSTrのそれぞれのソース及びドレインの一方は表示部へ接続される信号線に接続され、NMOSTr及びPMOSTrのそれぞれのソース及びドレインの他方はすべてのNMOSTr及びPMOSTrに共通に設けられた信号線に接続されている。そして、複数のスイッチSWR、SWG及びSWBに含まれるすべてのNMOSTr及びPMOSTrのうちのいずれか一つのトランジスタ素子がオフからオンへ遷移するタイミングと、複数のスイッチSWR、SWG及びSWBに含まれるすべてのNMOSTr及びPMOSTrのうちの他のいずれか一つのトランジスタ素子がオンからオフへ遷移するタイミングとが一致するように制御される。
【0069】
このように、ソースセレクタ部13SのスイッチSWR、SWG及びSWBを構成するトランジスタのうち、あるトランジスタがオンからオフへ遷移するタイミングと他のトランジスタがオフからオンへ遷移するタイミングとが一致するように、各選択信号を変化させることによって、表示部へのノイズを抑制又は低減することができる。
【0070】
図10を参照して説明したように、ソースセレクタ部13Sには、画像信号Vsigが、スイッチSWR、SWG及びSWBに共通に設けられた信号線を介して表示部に入力される。このため、任意のタイミングでトランジスタがオフからオンへ遷移する場合又はオンからオフへ遷移する場合には、PMOSTr又はNMOSTrのゲート−ソース間及びゲート−ドレイン間の寄生容量成分が充電又は放電される。寄生容量成分が充電又は放電される際に電流が流れ、画像信号Vsigを表示部に入力するために共通に設けられた信号線に電圧の変動が生じる。この電圧の変動は表示部へのノイズとして現われることも考えられる。そこで、本実施形態のようにPMOSTr又はNMOSTrのオフからオンへの遷移タイミングとオンからオフへの遷移タイミングとが一致するように、スイッチ制御信号Vselを生成するソースドライバ13が選択信号を変化させることによって、電圧の変化を相殺する。このように遷移タイミングを一致させれば、一致させない場合に比べて、よりノイズを抑制又は低減することができる。
【0071】
ところで、図12に示す波形を得るには、例えば、基本となる選択信号を用意し、それを1/3周期遅延させた選択信号及び2/3周期遅延させた選択信号をそれぞれ作成すればよい。3つの選択信号の位相差を1/3周期ずつに設定することによって、1/3周期ずつ、均等に位相がずれた3つの選択信号SELR、SELG及びSELBを得ることができる。
【0072】
第2動作例ではRGBの3色を利用しているため位相を1/3周期ずつずらしているが、RGBに白色を加えたRGBWの4色を利用する場合は、基本となる選択信号を、1/4周期遅延させた選択信号、2/4周期遅延させた選択信号及び3/4周期遅延させた選択信号を作成すればよい。4つの選択信号の位相差を1/4周期に設定することによって、1/4周期ずつ、均等に位相がずれた4つの選択信号を得ることができる。
【0073】
ソースセレクタ部13SのスイッチSWR、SWG及びSWBを構成するトランジスタを本例のように動作させた場合、表示部へのノイズを抑制又は低減しつつタッチ検出期間の消費電力を表示動作期間の消費電力に等しく又は近づけることができる。これにより、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
【0074】
(第1実施形態の第3動作例)
ソースセレクタ部13Sを、表示動作期間以外の期間においても動作させることによって、電力消費部として機能させる場合に、ソースセレクタ部13SのスイッチSWR、SWG、SWBのうちの一部のスイッチをオンオフ動作させ、他のスイッチについてはオン状態を維持させてもよい。スイッチをオンオフ動作させた場合、上述した寄生容量成分が充放電されることによって電力が消費される。このため、オン状態を維持させるスイッチの数と、オンオフ動作させるスイッチの数との比を調整することによって、電力の消費量を調整できる。
【0075】
図13は、第1実施形態の第3動作例を表す波形図である。例えば、図13に示すように、タッチ検出期間において、選択信号SELRと選択信号SELGとは逆相の関係になっており、一方がL電位からH電位に変化するタイミングと他方がH電位からL電位に変化するタイミングとが一致している。これにより、タッチ検出期間において、スイッチSWRのNMOSTrがオフからオンへ遷移するタイミングとスイッチSWGのNMOSTrがオンからオフへ遷移するタイミングとが一致し、スイッチSWGのNMOSTrがオフからオンへ遷移するタイミングとスイッチSWRのNMOSTrがオンからオフへ遷移するタイミングとが一致する。
【0076】
一方、選択信号xSELR、xSELG及びxSELBがL電位、選択信号SELBがH電位になっており、スイッチSWR、SWG、SWBのPMOSTr及びSWBのNMOSTrはオン状態が維持されている。
このように、ソースセレクタ部13Sを構成する一部のスイッチをオンオフ動作させ、他のスイッチについてはオン状態を維持させることにより、電力の消費量を調整できる。第3動作例の場合、第2動作例の場合と比べて電力の消費量は1/3となる。また、オンオフ動作させるスイッチのオン期間とオフ期間とを調整することによって、電力の消費量を細かく調整できる。
【0077】
また、ソースセレクタ部13Sを構成する一部のスイッチをオンオフ動作させる場合に、あるトランジスタがオンからオフへ遷移するタイミングと他のトランジスタがオフからオンへ遷移するタイミングとが一致するように、選択信号を変化させることによって、上記の第2動作例の場合と同様に、ノイズを抑制又は低減しつつタッチ検出期間の消費電力を表示動作期間の消費電力に等しく又は近づけることができ、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
【0078】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態の構成例を示す図である。第2実施形態では、テスト用スイッチング素子15SWを、電力消費部とする。第2実施形態では、タッチ検出期間に、グランドレベルの信号を出力するバッファ16を用いる。バッファ16は、ソースセレクタ部13Sへの画像信号Vsigを伝達する配線に、タッチ検出期間に、例えば、グランドレベルの信号を印加する信号印加部として機能する。図14において、ソースセレクタ部13Sへの画像信号Vsigを伝達する配線には、タッチ検出期間において、バッファ16の出力であるグランドレベルの信号が印加される。これにより、ソースセレクタ部13Sの出力側に接続される表示部に設けられている画素信号線の電圧は、タッチ検出期間に、グランドレベルに設定される。
【0079】
テスト用スイッチング素子15SWは、表示部の動作を確認するテストを行う際に、テスト信号を表示部に印加するために動作させるスイッチング素子である。一般に、最終製品が完成する前に、表示部の動作の確認が行われる。表示部の動作の確認は、例えば、画素基板2にCOG19が形成される前に行われるが、これには限定されない。表示部の動作を確認する場合、テスト用スイッチング素子15SWをオン状態にしておき、評価ボードからテスト信号をテスト用スイッチング素子15SWに印加すると、テスト用スイッチング素子15SW及びソースセレクタ部13Sを介して表示部にテスト用信号が印加される。テスト用信号を表示部に印加することによって、表示部の動作を確認する。
【0080】
通常、表示部の動作を確認した後は、テスト用スイッチング素子15SWをオフ状態に維持する。例えば、本実施形態に対する比較例を示す図15のように、電源電圧VGLをテスト用スイッチング素子15SWのNMOSTrのゲートに印加し、かつ、電源電圧VGLをインバータ15Bで反転した電圧をテスト用スイッチング素子15SWのPMOSTrのゲートに印加する。これにより、テスト用スイッチング素子15SWはオフ状態に維持され、それ以後はテスト用スイッチング素子15SWが何かに使用されることはない。
【0081】
これに対し、本実施形態では、表示部の動作の確認が終了した後は本来使用されることのないテスト用スイッチング素子15SWを、タッチ検出期間において動作させることによって、電力を消費させる。つまり、本実施形態においては、本来使用されることのないテスト用スイッチング素子15SWを、電力消費部として機能させるので、平滑コンデンサの音鳴りの抑止又は低減のために新たな素子及び回路等を追加しなくてもよい。
【0082】
図14に戻り、タッチ検出期間において、選択信号SELR、SELG及びSELBは共にH電位に固定され、選択信号xSELR、xSELG及びxSELBは共にL電位に固定される。このため、タッチ検出期間において、ソースセレクタ部13Sを構成するスイッチSWR、SWG、SWBのNMOSTr及びPMOSTrはすべてオン状態になる。タッチ検出期間において、画像信号Vsigを伝達する配線には、バッファ16からグランドレベルの信号が印加され、表示部に設けられている画素信号線の電圧はグランドレベルに設定される。
【0083】
テスト用スイッチング素子15SWは、NMOSTrとPMOSTrとを有しており、NMOSTrにはバッファ15Dの出力がそのまま印加され、PMOSTrにはバッファ15Dの出力がインバータ15Bによって反転されて印加されている。バッファ15Dには、H電位とL電位とを所定の周期で繰返すトグル信号TSWTGLが入力され、バッファ15Dの出力によって、テスト用スイッチング素子15SWはオンオフ動作を繰返す。
【0084】
図16は、第2実施形態の動作の一例を表す波形図である。例えば、図16に示すように、タッチ検出期間において、テスト用スイッチング素子15SWは、トグル信号TSWTGLがH電位であるときにオン状態、トグル信号TSWTGLがL電位であるときにオフ状態になる。テスト用スイッチング素子15SWは電力を消費する電力消費部として機能する。
【0085】
図16の場合、トグル信号TSWTGLは、H電位の期間とL電位の期間とが1対1である。トグル信号TSWTGLについて、H電位からL電位への変化及びL電位からH電位への変化の回数を多くすればするほど、すなわち電圧の変化の周期が短ければ短いほど、テスト用スイッチング素子15SWによる消費電力量は増加する。つまり、図17に示す、トグル信号TSWTGLのH電位の期間aの長さと、L電位の期間bの長さとを調整し、トグル信号TSWTGLの電位の変化の周期(つまり、周波数)を調整することによって、テスト用スイッチング素子15SWによる消費電力量を調整することができる。
【0086】
ここで、タッチ検出期間において、画像信号Vsigを伝達する配線には、バッファ16からグランドレベルの信号が印加されている。このため、テスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作を繰返した場合でも、テスト用スイッチング素子15SWと表示部との間の信号線の電圧値を一定に保つことができ、ソースセレクタ部13S及び表示部へ与えられるノイズは非常に少ない。なお、ソースセレクタ部13S、テスト用スイッチング素子15SW及びバッファ16は、1つの表示部に対して複数設けてもよい。
【0087】
ところで、タッチ検出期間に、バッファ16から画像信号Vsigを伝達する配線に印加する信号はグランドレベルの信号に限定されない。例えば、グランドレベル以外の任意の固定電位を、バッファ16から画像信号Vsigを伝達する配線に与えてもよい。これにより、ソースセレクタ部13Sの出力側に接続される表示部に設けられている画素信号線の電圧は、タッチ検出期間に、グランドレベル以外の固定電位に設定される。グランドレベル以外の固定電位に設定することにより、テスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作することによって接続される配線の状態が固定電位と同じ電位、フローティング状態及び高抵抗状態のいずれの場合でも、テスト用スイッチング素子15SWと表示部との間の信号線の電圧値を一定に保つことができ、ソースセレクタ部13S及び表示部へ与えられるノイズは非常に少ない。
【0088】
図18図20は、タッチ検出期間に、画像信号Vsigを伝達する配線に、グランドレベル以外の固定電位を印加する場合の第2実施形態の構成例を示す図である。
【0089】
図18は、同じ固定電位が印加されている場合の第2実施形態の構成例を示す図である。図18に示すように、バッファ16Bから画像信号Vsigを伝達する配線にテスト用スイッチング素子15SWを介して印加する電位は、例えば、固定電位Vgrayである。また、タッチ検出期間において、バッファ16Aから画像信号Vsigを伝達する配線に印加する電位も同じく固定電位Vgrayである。このように同じ固定電位Vgrayが印加されている状態において、トグル信号TSWTGLによってテスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作を繰返してもソースセレクタ部13S及び表示部に影響を与えずに、電力を消費し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
なお、ソースセレクタ部13S、テスト用スイッチング素子15SW及びバッファ16Aは、1つの表示部に対して複数設けてもよい。その場合、各バッファ16Aから、画像信号Vsigを伝達する配線に印加する固定電位は、互いに異なる値であってもよい。例えば、正の固定電位+Vgray又は負の固定電位−Vgrayを印加するようにしてもよい。
【0090】
図19は、テスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作することによって接続される配線がフローティング状態である場合の第2実施形態の構成例を示す図である。図19に示すように、信号TSHDを反転した信号がスイッチング素子18SWのNMOSTrのゲートに印加され、かつ、信号TSHDを反転した信号をインバータ18Bで反転した信号がテスト用スイッチング素子18SWのPMOSTrのゲートに印加される。信号TSHDがHレベルであるタッチ検出期間すなわちトグル信号TSWTGLによってテスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作を繰返す期間において、スイッチング素子18SWはオフ状態に保たれる。これにより、テスト用スイッチング素子15SWとスイッチング素子18SWとの間の配線はフローティング状態となる。このようなフローティング状態において、タッチ検出期間において、画像信号Vsigを伝達する配線には、バッファ16Aから固定電位Vgrayが印加される。このため、トグル信号TSWTGLによってテスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作を繰返しても、テスト用スイッチング素子15SWと表示部との間の信号線の電圧値を一定に保つことができ、ソースセレクタ部13S及び表示部に影響を与えずに、電力を消費し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
【0091】
信号TSHDがLレベルになっている期間においては、スイッチング素子18SWをオン状態に保ち、テスト用スイッチング素子15SWとスイッチング素子18SWとの間の配線をグランドレベルとすることが望ましい。
なお、ソースセレクタ部13S、テスト用スイッチング素子15SW及びバッファ16Aは、1つの表示部に対して複数設けてもよい。その場合、各バッファ16Aから、画像信号Vsigを伝達する配線に印加する固定電位は、互いに異なる値であってもよい。例えば、正の固定電位+Vgray又は負の固定電位−Vgrayを印加するようにしてもよい。
【0092】
図20は、画像信号Vsigを伝達する配線に、テスト用スイッチング素子15SWを介して印加する電位が高抵抗状態である場合の第2実施形態の構成例を示す図である。図20に示すように、テスト用スイッチング素子15SWを構成するNMOSTrのソース及びPMOSTrのソースは抵抗Rを介してグランドレベルに接続されている。このような接続状態によれば、テスト用スイッチング素子15SWを介して印加する電位が高抵抗状態になることが防止される。
【0093】
このような接続状態において、タッチ検出期間において、バッファ16Aから、画像信号Vsigを伝達する配線に、固定電位Vgrayが印加される。そして、固定電位Vgrayが印加されている状態において、トグル信号TSWTGLによってテスト用スイッチング素子15SWがオンオフ動作を繰返しても、テスト用スイッチング素子15SWと表示部との間の信号線の電圧値を一定に保つことができ、ソースセレクタ部13S及び表示部に影響を与えずに、電力を消費し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。
なお、ソースセレクタ部13S、テスト用スイッチング素子15SW及びバッファ16Aは、1つの表示部に対して複数設けてもよい。その場合、各バッファ16Aから、画像信号Vsigを伝達する配線に印加する固定電位は、互いに異なる値であってもよい。例えば、正の固定電位+Vgray又は負の固定電位−Vgrayを印加するようにしてもよい。
【0094】
ここで、テスト用スイッチング素子15SWを利用して表示部の動作を確認する場合について、図21を参照して説明する。図21は、表示部の動作を確認する場合の構成例を示す図である。表示部の動作を確認する場合、電源電圧VGHがテスト用スイッチング素子15SWのNMOSTrのゲートに印加され、電源電圧VGHをインバータ15Bで反転した電圧がテスト用スイッチング素子15SWのPMOSTrのゲートに印加される。これにより、テスト用スイッチング素子15SWはオン状態に設定される。テスト用スイッチング素子15SWがオン状態に設定された状態で評価ボード17からテスト用信号が出力されると、テスト用スイッチング素子15SW及びソースセレクタ部13Sを介して、テスト用信号が表示部に印加される。このテスト用信号が印加されることによって表示部の動作を確認できる。
【0095】
1つの表示部に対し、ソースセレクタ部13S及びテスト用スイッチング素子15SWが複数設けられている場合、評価ボード17から出力されるテスト用信号が各テスト用スイッチング素子15SW及びソースセレクタ部13Sを介して表示部に印加され、表示部の動作を確認できる。
【0096】
(第3実施形態)
図22は、第3実施形態の構成例を示す図である。第3実施形態では、電源電圧の配線間にMOSトランジスタ201を設け、電力消費部とする。
【0097】
MOSトランジスタ201のソースは配線101に、ドレインは配線102に、それぞれ接続されている。MOSトランジスタ201のゲートには、信号VcomSELが供給されている。信号VcomSELは、図23に示すように、表示動作期間は電源電圧VGLと同様の電位で、タッチ検出期間は電源電圧VGHと同様の電位である。したがって、MOSトランジスタ201は、表示動作期間以外の期間であるタッチ検出期間にオンになって電流が流れる。このため、MOSトランジスタ201は、タッチ検出期間に、電力を消費する。
【0098】
信号VcomSELは、図24に示すように、タッチ検出期間において、電源電圧VGLと同様の電位になる状態と電源電圧VGHと同様の電位になる状態とを連続して繰り返すものであってもよい。
【0099】
本実施形態では、上記のように、MOSトランジスタ201によって電力の消費量を調整し、タッチ検出期間において平滑コンデンサC11及びC12にかかる電圧を、表示動作期間においてこれらにかかる電圧と略一致させることにより、平滑コンデンサC11及びC12の音鳴りを抑止又は低減できる。
【0100】
具体的には、MOSトランジスタ201をオンさせる期間は、配線101及び102によって電力が供給される各部の消費電力が、タッチ検出期間と表示動作期間とで略同一となるように調整される。タッチ検出期間の消費電力と、表示動作期間の消費電力との差が少ないほど、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。タッチ検出期間と表示動作期間とにおける消費電力差が、例えば30%未満であれば、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる程度に低減できる。
【0101】
(第4実施形態)
図25は、第4実施形態の構成例を示す図である。第4実施形態では、コンデンサを設け、電力消費部とする。図25に示すように、電源回路110とグランド電位GNDとの間に、コンデンサC10を設けている。本実施形態では、コンデンサC10を充放電動作させて電力を消費する。
【0102】
電源回路110は、信号CAPをコンデンサC10へ出力する。信号CAPは、図26に示すように、表示動作期間では電源電圧VGLと同様の電位である。また、信号CAPは、タッチ検出期間では電源電圧VGLと同様の電位になる状態と電源電圧VGHと同様の電位になる状態とを繰り返す。このため、コンデンサC10は、タッチ検出期間において、充電動作と放電動作とを繰り返す。したがって、コンデンサC10は、タッチ検出期間において、電力を消費する。信号CAPのタッチ検出期間での繰り返し周波数及びコンデンサC10の容量を適切に設定すれば、タッチ検出機能付き表示装置1のタッチ検出期間の電力の消費量を調整可能である。コンデンサC10の充電動作及び放電動作による電力の消費量を調整し、タッチ検出期間において平滑コンデンサC11及びC12にかかる電圧を、表示動作期間においてこれらにかかる電圧と略一致させることにより、平滑コンデンサC11及びC12の音鳴りを抑止又は低減できる。
【0103】
具体的には、信号CAPのタッチ検出期間での繰り返し周波数及びコンデンサC10の容量は、配線101及び102によって電力が供給される各部の消費電力が、タッチ検出期間と表示動作期間とで略同一となるように調整される。
タッチ検出期間の消費電力と、表示動作期間の消費電力との差が少ないほど、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。タッチ検出期間と表示動作期間とにおける消費電力差が、例えば30%未満であれば、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる程度に低減できる。
【0104】
なお、コンデンサC10は、TFT基板21に設けてもよいし、フレキシブルプリント基板Tに設けてもよい。
【0105】
(変形例1)
上記の実施形態では、表示のための構成要素である表示部の消費電力をタッチ検出期間と表示動作期間とでほぼ一致させる例について説明した。しかしながら、タッチ検出機能付き表示装置1は、他の構成要素の消費電力を含めた消費電力がタッチ検出期間と表示動作期間とでほぼ一致するように構成されてもよい。
【0106】
図27は、表示部以外の構成要素の消費電力を含めた消費電力をタッチ検出期間と表示動作期間とでほぼ一致させる構成例を示す図である。図27に示す例では、駆動電極走査部14Aに設けたダミーのスイッチを、電力消費部とする。
【0107】
図27に示すように、駆動電極走査部14Aは、シフトレジスタSR1、SR2、SR3と、NANDゲートN1、N2、N3と、セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2、SEL−SW3と、を含んでいる。これらは、タッチ検出機能付き表示装置1に通常設けられている構成である。駆動電極走査部14Aから出力される、駆動信号Vcom1、Vcom2、Vcom3を、タッチ検出デバイス30に入力することによって、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無が検出される。
【0108】
本実施形態では、上記構成に、インバータINV1、INV2と、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2と、を追加した構成としている。
シフトレジスタSR1、SR2、SR3の各出力信号out1、out2、out3は、NANDゲートN1、N2、N3の入力端子の一方に入力される。NANDゲートN1、N2、N3の入力端子の他方には、信号VcomSELが入力される。
【0109】
セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2及びSEL−SW3並びにダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1及びSEL−SWDM2は、ドレイン同士を接続したNMOSTr及びPMOSTrによって構成されている。セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2、SEL−SW3を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートにはNANDゲートN1、N2、N3の出力信号が入力される。セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2、SEL−SW3を構成するPMOSTrのソースには電源電圧TPHが入力され、セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2、SEL−SW3を構成するNMOSTrのソースには電源電圧TPLが入力される。
【0110】
セレクトスイッチSEL−SW1、SEL−SW2、SEL−SW3を構成するNMOSTr及びPMOSTrのドレインから、駆動信号Vcom1、Vcom2、Vcom3が出力される。駆動信号Vcom1、Vcom2、Vcom3は、タッチ検出機能付き表示デバイス10に入力される。
【0111】
インバータINV1、INV2には、信号VcomSELが入力される。インバータINV1、INV2の出力信号は、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートに入力される。
【0112】
ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を構成するPMOSTrのソースには電源電圧TPHが入力され、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を構成するNMOSTrのソースには電源電圧TPLが入力される。
【0113】
なお、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を構成するNMOSTr及びPMOSTrのドレインはどこにも接続されない。このため、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2から出力される、ダミーの出力Vcom Dummy1、Vcom Dummy2は電力を消費するために利用される。
【0114】
次に、駆動電極走査部14Aの動作について、図28を参照して説明する。図28において、シフトレジスタSR1から出力される信号out1がH電位になっている期間はNANDゲートN1により、信号VcomSELを反転した信号であるVcomSELout1が、セレクトスイッチSEL−SW1を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートに入力される。これにより、セレクトスイッチSEL−SW1を構成するNMOSTrとPMOSTrとが交互にオンするので、電源電圧TPHと電源電圧TPLとが交互に駆動信号Vcom1としてタッチ検出デバイス30に入力される。
【0115】
また、シフトレジスタSR2から出力される信号out2がH電位になっている期間はNANDゲートN2により、信号VcomSELを反転した信号であるVcomSELout2が、セレクトスイッチSEL−SW2を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートに入力される。これにより、セレクトスイッチSEL−SW2を構成するNMOSTrとPMOSTrとが交互にオンするので、電源電圧TPHと電源電圧TPLとが交互に駆動信号Vcom2としてタッチ検出デバイス30に入力される。
【0116】
シフトレジスタSR3から出力される信号out3がH電位になっている期間はNANDゲートN3により、信号VcomSELを反転した信号であるVcomSELout3が、セレクトスイッチSEL−SW3を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートに入力される。これにより、セレクトスイッチSEL−SW3を構成するNMOSTrとPMOSTrとが交互にオンするので、電源電圧TPHと電源電圧TPLとが交互に駆動信号Vcom3としてタッチ検出デバイス30に入力される。
【0117】
ここで、信号VcomSELは、インバータINV1、INV2に入力されており、インバータINV1、INV2の出力信号は、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を構成するNMOSTr及びPMOSTrのゲートに入力されている。したがって、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1を構成するNMOSTrとPMOSTrとは交互にオンするので、電源電圧TPHと電源電圧TPLとが交互にダミーの出力VcomSELDummy1となる。また、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM2を構成するNMOSTrとPMOSTrとは交互にオンするので、電源電圧TPHと電源電圧TPLとが交互にダミーの出力VcomSELDummy2となる。
【0118】
以上のように、ダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2をオンさせることによって、電力を消費させる。
【0119】
DC−DC駆動の場合、タッチ検出期間に、駆動電極走査部14Aをオン及びオフさせるため、電源電圧VGH及びVGLは消費される。しかしながら、タッチ検出期間の消費電力は、表示動作期間の消費電力よりも低い。例えば、タッチ検出期間の消費電力は、表示動作期間の消費電力の1/3程度である。そこで、本実施形態では、2個のダミーのセレクトスイッチSEL−SWDM1、SEL−SWDM2を追加し、これらをタッチ検出期間にオンオフさせる。こうすることによって、タッチ検出期間の電力の消費量を3倍にすることができ、表示動作期間と同等の電力の消費量をタッチ検出期間において実現できる。
【0120】
本実施形態では、ダミーのセレクトスイッチの個数を増減することによってタッチ検出機能付き表示装置1のタッチ検出期間の消費電力を調整可能である。ダミーのセレクトスイッチの個数を調整し、タッチ検出期間において平滑コンデンサC13及びC14にかかる電圧を、表示動作期間においてこれらにかかる電圧と略一致させることにより、平滑コンデンサC13及びC14の音鳴りを抑止又は低減できる。具体的には、ダミーのセレクトスイッチの個数は、配線103及び104によって電力が供給される各部の消費電力が、タッチ検出期間と表示動作期間とで略同一となるように調整される。タッチ検出期間の消費電力と、表示動作期間の消費電力との差が少ないほど、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を低減し、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる。タッチ検出期間と表示動作期間とにおける消費電力差が、例えば30%未満であれば、平滑コンデンサにかかる電圧の周期的変化を、平滑コンデンサの音鳴りを抑止又は低減できる程度に低減できる。
【0121】
(変形例2)
上記の第1実施形態から第4実施形態及び変形例1は、それぞれ独立して実施することができる。このため、第1実施形態から第4実施形態及び変形例1を複数組み合わせて実施してもよい。各実施形態及び変形例1の実施によって消費できる電力が少ない場合に、各実施形態及び変形例1を複数組み合わせて実施することにより消費する電力を適切に設定できる場合がある。
【0122】
(変形例3)
上記の説明では、所定電力を消費する第1期間が表示動作期間であり、第1期間より消費電力の少ない第2期間がタッチ検出期間である場合について説明した。しかしながら、第1期間及び第2期間は、これらに限定されない。第1期間及び第2期間は、それぞれ、表示装置において、少なくとも一部の構成要素の消費電力が周期的に変化する期間のうち、消費電力が相対的に多い期間及び消費電力が相対的に少ない期間であればよい。
【0123】
(比較例)
次に、上記実施形態の構成を採用しない場合について説明する。
【0124】
表示装置が1画面分の表示動作を行う間にタッチ検出動作が1又は複数回実行される場合、動作状態には表示動作期間と、タッチ検出期間と、が設けられることがある。表示動作期間は所定電力を消費する期間である。タッチ検出期間は表示動作期間より消費電力の少ない期間である。
【0125】
図29は、タッチ検出期間及び表示動作期間における、電源電圧VGL及びVGH、駆動信号Vcomの電圧値の変化の例を示す波形図である。図29に示すように、電源電圧VGL及びVGH、駆動信号Vcomの電圧値は、表示動作期間とタッチ検出期間との切り替わりに応じて変化する。特に、電源電圧VGLについては、表示動作期間は電力が多く消費されるのに対し、タッチ検出期間は電力の消費が少ない。つまり、表示デバイス10については、所定電力を消費する第1期間(表示動作期間)と、第1期間より消費電力の少ない第2期間(タッチ検出期間)とがある。
【0126】
そして、図29に示すように、表示装置は表示動作期間とタッチ検出期間とを繰り返すことにより、消費電力が周期的に(例えば、3.2KHzで)変化する。消費電力が周期的に変化すると、平滑コンデンサにかかる電圧が周期的に変化し、平滑コンデンサが振動する。したがって、消費電力の変化する周期が人間の可聴域に含まれる場合、平滑コンデンサの振動が音鳴りとして聞こえることがある。
【0127】
そこで、上記の各実施形態のように、タッチ検出期間において本来消費しない電力を消費することにより、表示動作期間の消費電力とタッチ検出期間の消費電力との差を無くす又は少なくすることができ、平滑コンデンサの振動を無くす又は低減でき、音鳴りを抑止又は低減できる。
【0128】
<5.適用例>
次に、図30図42を参照して、実施形態及び変形例で説明したタッチ検出機能付き表示装置1の適用例について説明する。図30図42は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1を適用する電子機器の一例を示す図である。本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0129】
(適用例1)
図30に示す電子機器は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1が適用されるテレビジョン装置である。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511及びフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0130】
(適用例2)
図31及び図32に示す電子機器は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1が適用されるデジタルカメラである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523及びシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0131】
(適用例3)
図33に示す電子機器は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部531、この本体部531の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ532、撮影時のスタート/ストップスイッチ533及び表示部534を有している。そして、表示部534は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0132】
(適用例4)
図34に示す電子機器は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体541、文字等の入力操作のためのキーボード542及び画像を表示する表示部543を有しており、表示部543は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0133】
(適用例5)
図35図41に示す電子機器は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1が適用される携帯電話機である。図35は携帯電話機を開いた状態での正面図、図36は携帯電話機を開いた状態での右側面図、図37は携帯電話機を折りたたんだ状態での正面図、図38は携帯電話機を折りたたんだ状態での左側面図、図39は携帯電話機を折りたたんだ状態での右側面図、図40は携帯電話機を折りたたんだ状態での平面図、図41は携帯電話機を折りたたんだ状態での底面図である。この携帯電話機は、例えば、上側筐体551と下側筐体552とを連結部(ヒンジ部)553で連結したものであり、ディスプレイ554、サブディスプレイ555、ピクチャーライト556及びカメラ557を有している。そのディスプレイ554又はサブディスプレイ555は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0134】
(適用例6)
図42に示す電子機器は、携帯型コンピュータ、多機能な携帯電話、音声通話可能な携帯コンピュータ又は通信可能な携帯コンピュータとして動作し、いわゆるスマートフォン、タブレット端末と呼ばれることもある、情報携帯端末である。この情報携帯端末は、例えば筐体561の表面に表示部562を有している。この表示部562は、本実施形態及び変形例に係るタッチ検出機能付き表示装置1である。
【0135】
以上、実施形態及び電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0136】
例えば、上記実施形態等では、タッチセンサは静電容量式としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば光学式であってもよいし、抵抗膜式であってもよい。
【0137】
また、例えば、上記実施形態等では、表示素子は液晶素子としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばEL(Electro Luminescence)素子であってもよい。
【0138】
さらに、上記実施形態等では、第1期間がタッチ検出機能付き表示装置1の表示動作期間であり、第2期間がタッチ検出機能付き表示装置1のタッチ検出期間であるが、これらの期間に限定されず、所定電力を消費する第1期間と第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、第1期間と第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化するデバイスについて、本技術を適用できる。
【0139】
<6.本開示の構成>
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0140】
(1)所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
を含む表示装置。
【0141】
(2)前記表示部は、表示デバイスにタッチ検出デバイスを内蔵して一体化したものであり、
前記第1期間は前記表示デバイスの表示動作期間であり、
前記第2期間は前記タッチ検出デバイスのタッチ検出期間である、前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記表示部の動作を確認するテストを行う際に、テスト信号を前記表示部に印加するために動作させるテスト用スイッチング素子をさらに備え、
前記電力消費部は、
前記第2期間に、前記テスト用スイッチング素子を動作させて電力を消費する、前記(1)又は前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記テスト用スイッチング素子と前記表示部との間の信号線に、前記信号線の電圧値を一定に保つ信号を、前記第2期間に印加する信号印加部をさらに備える、前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記信号線の電圧値を一定に保つ信号は、前記第2期間に、前記表示部に設けられている画素信号線を所定の電圧に設定するための信号である、前記(4)に記載の表示装置。
【0142】
(6)前記電力消費部は、前記第1期間に動作するスイッチング素子を含み、
前記スイッチング素子は、前記第2期間にも動作して前記供給される電力を消費する、
前記(1)に記載の表示装置。
(7)前記スイッチング素子は、第1トランジスタ素子及び第2トランジスタ素子を含み、
前記第2期間のいずれのタイミングにおいても前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子の少なくとも一方がオン状態になるように、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子はそれぞれ所定周期でオンオフ制御され、前記所定周期は前記第1期間での前記表示部の消費電力に応じて設定される、
前記(6)に記載の表示装置。
(8)前記スイッチング素子を複数含み、複数の前記スイッチング素子に含まれる前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子は、ソース同士及びドレイン同士が接続されており、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの一方は前記表示部へ接続される信号線に接続され、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの他方はすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子に共通に設けられた信号線に接続され、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちのいずれか一つのトランジスタ素子がオフからオンへ遷移するタイミングと、複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの他のいずれか一つのトランジスタ素子がオンからオフへ遷移するタイミングとが一致するように制御される、前記(7)に記載の表示装置。
(9)複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの一部は、前記第2期間のいずれのタイミングにおいても常にオン状態になるように制御される、前記(8)に記載の表示装置。
(10)複数の前記スイッチング素子は、
前記表示部に表示される画像に対応する画像信号に含まれる複数種類の色信号それぞれに対応して設けられている、前記(8)又は前記(9)に記載の表示装置。
【0143】
(11)前記電力消費部は、前記第1期間の前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する、
前記(1)又は前記(2)に記載の表示装置。
【0144】
(12)前記第2期間に動作するスイッチング素子を含み、
前記電力消費部は、前記スイッチング素子と共に動作し、かつ、前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する、
前記(1)又は前記(2)に記載の表示装置。
(13)前記電力消費部は、前記ダミー素子を、前記第1期間の前記表示部の消費電力と前記第2期間の前記スイッチング素子による消費電力とに応じた数だけ含む、
前記(12)に記載の表示装置。
【0145】
(14)前記電力消費部は、前記供給される電力によって充放電動作するコンデンサを含み、
前記コンデンサは、前記第2期間に充放電動作する、前記(1)又は前記(2)に記載の表示装置。
【0146】
(15)前記(1)から前記(14)までのいずれかに記載の表示装置を備えた電子機器。
【0147】
また、タッチ検出機能付き表示デバイスがオンセルタイプの装置である場合、本技術は以下のような構成とすることができる。
(21)所定電力を消費する第1期間と前記第1期間より消費電力の少ない第2期間とを有し、前記第1期間と前記第2期間とを繰り返すことにより消費電力が周期的に変化する表示部と、
前記表示部へ供給される電力を安定化する平滑コンデンサと、
前記第2期間に、前記供給される電力を消費する電力消費部と、
を含む表示装置。
【0148】
(22)前記表示部は、表示デバイスの上方にタッチ検出デバイスを設けたものであり、
前記第1期間は前記表示デバイスの表示動作期間であり、
前記第2期間は前記タッチ検出デバイスのタッチ検出期間である、前記(21)に記載の表示装置。
(23)前記表示部の動作を確認するテストを行う際に、テスト信号を前記表示部に印加するために動作させるテスト用スイッチング素子をさらに備え、
前記電力消費部は、
前記第2期間に、前記テスト用スイッチング素子を動作させて電力を消費する、前記(21)又は前記(22)に記載の表示装置。
(24)前記テスト用スイッチング素子と前記表示部との間の信号線に、前記信号線の電圧値を一定に保つ信号を、前記第2期間に印加する信号印加部をさらに備える、前記(23)に記載の表示装置。
(25)前記信号線の電圧値を一定に保つ信号は、前記第2期間に、前記表示部に設けられている画素信号線を所定の電圧に設定するための信号である、前記(24)に記載の表示装置。
【0149】
(26)前記電力消費部は、前記第1期間に動作するスイッチング素子を含み、
前記スイッチング素子は、前記第2期間にも動作して前記供給される電力を消費する、前記(21)に記載の表示装置。
(27)前記スイッチング素子は、第1トランジスタ素子及び第2トランジスタ素子を含み、
前記第2期間のいずれのタイミングにおいても前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子の少なくとも一方がオン状態になるように、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子はそれぞれ所定周期でオンオフ制御され、前記所定周期は前記第1期間での前記表示部の消費電力に応じて設定される、前記(26)に記載の表示装置。
(28)前記スイッチング素子を複数含み、複数の前記スイッチング素子に含まれる前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子は、ソース同士及びドレイン同士が接続されており、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの一方は前記表示部へ接続される信号線に接続され、前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のそれぞれのソース及びドレインの他方はすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子に共通に設けられた信号線に接続され、
複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちのいずれか一つのトランジスタ素子がオフからオンへ遷移するタイミングと、複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの他のいずれか一つのトランジスタ素子がオンからオフへ遷移するタイミングとが一致するように制御される、前記(27)に記載の表示装置。
(29)複数の前記スイッチング素子に含まれるすべての前記第1トランジスタ素子及び前記第2トランジスタ素子のうちの一部は、前記第2期間のいずれのタイミングにおいても常にオン状態になるように制御される、前記(28)に記載の表示装置。
(30)複数の前記スイッチング素子は、
前記表示部に表示される画像に対応する画像信号に含まれる複数種類の色信号それぞれに対応して設けられている、前記(28)又は前記(29)に記載の表示装置。
【0150】
(31)前記電力消費部は、前記第1期間の前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する、前記(21)又は前記(22)に記載の表示装置。
【0151】
(32)前記第2期間に動作するスイッチング素子を含み、
前記電力消費部は、前記スイッチング素子と共に動作し、かつ、前記表示部の動作に影響を与えずに動作するダミー素子を含み、
前記ダミー素子は、前記第2期間に動作して前記供給される電力を消費する、前記(21)又は前記(22)に記載の表示装置。
(33)前記電力消費部は、前記ダミー素子を、前記第1期間の前記表示部の消費電力と前記第2期間の前記スイッチング素子による消費電力とに応じた数だけ含む、前記(22)に記載の表示装置。
【0152】
(34)前記電力消費部は、前記供給される電力によって充放電動作するコンデンサを含み、
前記コンデンサは、前記第2期間に充放電動作する、前記(21)又は前記(22)に記載の表示装置。
【0153】
(35)前記(21)から前記(34)までのいずれかに記載の表示装置を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0154】
1 タッチ検出機能付き表示装置
2 画素基板
3 対向基板
10 タッチ検出機能付き表示デバイス
11 制御部
12、12A、12B ゲートドライバ
13 ソースドライバ
13S ソースセレクタ部
14 駆動電極ドライバ
14A、14B 駆動電極走査部
15 テスト用スイッチング素子部
15B インバータ
15D、16 バッファ
15SW テスト用スイッチング素子
17 評価ボード
19 COG
20 液晶表示デバイス
21 TFT基板
30 タッチ検出デバイス
40 タッチ検出部
42 タッチ検出信号増幅部
43 A/D変換部
44 信号処理部
45 座標抽出部
46 検出タイミング制御部
100 電源IC
101、102、103、104、105 配線
110 電源回路
111 ドライバ
201 MOSトランジスタ
C10 コンデンサ
C11、C12、C13、C14 平滑コンデンサ
SR1、SR2、SR3 シフトレジスタ
SWB、SWG、SWR スイッチ
T フレキシブルプリント基板
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