特許第6046635号(P6046635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046635
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】手術用ステープル綴じデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】16
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2013-549599(P2013-549599)
(86)(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公表番号】特表2014-508572(P2014-508572A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012021380
(87)【国際公開番号】WO2012097342
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】61/461,196
(32)【優先日】2011年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513179282
【氏名又は名称】ニュー ホープ ベンチャーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ピー.ホイットマン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョンストン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ダットカック
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−117725(JP,A)
【文献】 特開2008−284359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1顎部と、
前記第1顎部に対して開き位置及び閉じ位置を有する第2顎部と、
前記第1顎部内に配置されると共に、前記第1顎部の長手方向に沿って延在する第1群のラチェット歯を有する起動バーと、
前記第1顎部の長手方向に沿って前記起動バーを揺動的に変位させるように構成されたラチェットピストンと、
少なくとも1つのステープル及び少なくとも1つのステープル駆動スロットを有すると共に前記第1顎部内に載置されたハウジングと、
少なくとも1つのステープル駆動用楔状部材を有するキャリッジであって、該キャリッジは、前記起動バーの前記第1群のラチェット歯に対して、各遠位方向ストロークに在るときに係合し且つ各近位方向ストロークに在るときに係合しないことで、前記ハウジングを通る遠位方向において近位方向終端位置から遠位方向終端位置まで、前記遠位方向終端位置と前記位方向終端位置との間の距離であって、前記起動バーの揺動変位の1回のストローク長よりも大きい距離だけ当該キャリッジを平行移動させるキャリッジとを具備し、
前記ステープル駆動用楔状部材が、前記ハウジングを通る前記キャリッジの遠位方向移動の間において、前記ステープルを、前記ステープル駆動スロットを通して前記第2顎部に対して駆動する手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項2】
前記起動バーが、前記第1顎部の長手方向に沿って延在する第2群のラチェット歯を有し、且つ、
前記キャリッジが更に、前記第2群のラチェット歯に対して、各近位方向ストロークに在るときに係合し且つ各遠位方向ストロークに在るときに係合しないことで、前記ハウジングを通る近位方向において前記遠位方向終端位置から前記近位方向終端位置まで当該キャリッジを平行移動させる請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項3】
前記ラチェットピストンが油圧的に起動される請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項4】
前記第1群のラチェット歯に係合することで前記キャリッジを前記遠位方向に平行移動させ、前記第2群のラチェット歯に係合することで前記キャリッジを前記近位方向に平行移動させるように構成された双方向掛止機構を更に具備する請求項に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項5】
前記双方向掛止機構が前記キャリッジに対してスプリング力伝達ピンを介して係合され、且つ、前記双方向掛止機構が前記スプリング力伝達ピンの回りでスプリング負荷される請求項4に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項6】
前記起動バーが遠位端にて拡大開口を有し、該拡大開口は、前記スプリング負荷された双方向掛止機構が前記スプリング力伝達ピンの回りで回動して、前記第1群のラチェット歯からは係合解除され且つ前記第2群のラチェット歯に対しては係合することを許容するように寸法設定されている請求項5に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項7】
前記ラチェットピストンが、当該ラチェットピストンシャフトの遠位端に載置された周縁凹所を備えるラチェットピストンシャフトを有し、前記起動バーが、当該起動バーの近位端に載置された力伝達リブを有し、該力伝達リブが、前記周縁凹所内に嵌合するように構成され、前記ラチェットピストンシャフトが、前記周縁凹所及び前記力伝達リブを介して前記ラチェットに対して力を伝達することで前記起動バーを揺動させるように構成される請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項8】
前記ラチェットピストンが複動式ピストンである請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項9】
前記第2顎部が、該第2顎部に対して前記キャリッジにより及ぼされた挟持力により、前記開き位置から前記閉じ位置まで移動可能である請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項10】
前記キャリッジが、第1群のキャリッジ歯及び第2群のキャリッジ歯を有し、前記キャリッジが、(i)前記第1群のラチェット歯に係合されて前記ハウジングを通して前記遠位方向に該キャリッジを平行移動させる前記第1群のキャリッジ歯、及び、(ii)前記第2群のラチェット歯に係合されて前記ハウジングを通して前記近位方向に該キャリッジを平行移動させる前記第2群のキャリッジ歯、の内の一方を介して前記起動バーに係合可能である請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項11】
前記ラチェットピストンがラチェットピストンシャフト及び該ラチェットピストンシャフトの遠位端に載置された力伝達ピンを有し、前記起動バーが該起動バーの近位端に載置された力伝達スロットを有し、前記力伝達ピンが前記力伝達スロットに嵌合するように構成され、前記ラチェットピストンシャフトが、前記力伝達ピン及び前記力伝達スロットを介して前記起動バーに対して力を伝達することで前記起動バーを揺動させるように構成される請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項12】
前記第1顎部の第1アンビルピンスロット及び前記第2顎部の第2アンビルピンスロット内に載置されたアンビル枢動ピンと、
前記アンビル枢動ピンを前記遠位方向に駆動して前記第2顎部に挟持力を及ぼして該第2顎部を前記開き位置から前記閉じ位置まで移動させるように構成され、且つ、前記アンビル枢動ピンを前記近位方向に駆動して前記第2顎部における前記挟持力を解除して該第2顎部を前記閉じ位置から前記開き位置まで移動させるように構成されたアンビルピストンと、を更に具備する請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項13】
前記ラチェットピストンを収容するピストンハウジングと、
前記ピストンハウジングを前記第1顎部に対して解除可能に係合させるように構成されたヘッド解放ラッチと、を更に具備し、
前記ラチェットピストンは、前記ピストンハウジングが前記第1顎部と係合されているときに、前記起動バーと係合される請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項14】
油圧ポンプを有する基礎ユニットと、
前記基礎ユニット及び前記ラチェットピストンと油圧連通する可撓シャフトとを更に具備し、
前記油圧ポンプにより生成された油圧力が、前記基礎ユニットから前記ラチェットピストンまで伝達可能である請求項1に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項15】
前記基礎ユニットが少なくとも2つの単動式ピストンを含み、該少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つが、前記ラチェットピストンの遠位側と流体連通され、該少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つが、前記ラチェットピストンの近位側と流体連通され、且つ、
前記少なくとも2つの単動式ピストンの各々が、前記ラチェットピストンの遠位側又は近位側に正又は負の油圧を及ぼす請求項14に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【請求項16】
スイッチを有すると共に前記基礎ユニットと前記ラチェットピストンとの間に載置された制御デバイスを更に具備し、
前記スイッチが、前記基礎ユニットから前記ラチェットピストンへの油圧力の伝達を選択的に開始すべく、且つ、前記基礎ユニットから前記ラチェットピストンへの油圧力の伝達を選択的に終結させるべく作用し得る請求項14に記載の手術用ステープル綴じデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2011年1月14日に出願された米国仮特許出願第61/461,196号の利益を主張するものであり、該仮特許出願は言及したことにより、その全体が本明細書中に明示的に援用される。
本発明は、手術用ステープル綴じデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一定の手術処置は、組織が離断され且つ閉じられることを必要とする。このことは、胃腸管に対する腫瘍又は損傷が生じたときにおける胃腸管手術において当てはまることが多い。典型的に、離断(transection)は、腫瘍又は損傷区画の近位方向及び遠位方向の両側にて行われる。例えば、患者の結腸上に位置する癌性腫瘍は、該腫瘍の近位側にて結腸を離断してから、該腫瘍の遠位側での第2の離断により、除去され得る。故に、異常組織区画は、結腸の2つの残存分岐部を残置し乍ら除去され得、該残存分岐部は引き続き、吻合又は再結合される。結腸又は他の器官の内側内容物に対して周囲組織を露出することは、感染及び関連合併症のリスクを相当に高め得ることから、各残存分岐部は、該分岐部が吻合又は再結合されるまで、閉じたままとされることが望ましい。
【0003】
線形カッタは、典型的には対向する2つの顎部の間に組織を挟持し、且つ、挟持された組織をステープル綴じし且つ切断する手術デバイスである。幾つかの機器は、典型的には切断の前又はそれと同時に、組織内へと複数列のステープルを駆動するステープル綴じ機構を含んでいる。これらの複数列のステープルは、器官の開放端部を離断し且つ閉じる役割を果たすことから、その器官の内容物に対する周囲組織の一切の露出を制限する。好適には、一列以上のステープルが、切断部毎の各側部上に駆動される。
【0004】
上述のステープル綴じ処置において、各ステープルは典型的には、挟持用顎部の一方上に配設されたステープル押圧器により駆動される。該ステープル押圧器は、第1の挟持用顎部から各ステープルを、挟持された組織内へと且つ該組織を貫通させて、対置された挟持用顎部内のアンビルであって、ステープル閉成部を屈曲させ又は別様に形成するように構成されたアンビル内へと押圧することにより、各ステープルを成形する。上記組織を有効に効果的にステープル綴じするためには、2つの挟持用顎部の間に、例えば1ミリメートルなどの小さな厚みが配設されるように、該組織を挟持することが有用である。この結果を達成するために、各挟持用顎部は、相当量の挟持力を及ぼして維持せねばならない。すると、挟持された組織内へと各ステープルが駆動されるときに困難性が生じ得る、と言うのも、一方の顎部から、他方の顎部におけるアンビル内へとステープルを駆動すると、各顎部の間には、上記挟持力とは逆の力が付与されるからである。故に、ステープル綴じの間、各挟持用顎部の間には、更に大きな挟持力が及ぼされる必要がある。すなわち、各挟持用顎部は、該各顎部間の所望の組織間隔を維持すること、及び、各ステープルをそれらの締着形態へと成形することの両方に対して十分な力を付与せねばならない。しかし大きな挟持力は問題であり得る、と言うのも、近位側で支持された各顎部は、外方に偏向又は拡開されることにより、各顎部の丈に沿って均一な組織間隔を達成することが困難となり得るからである。
【0005】
特許文献1は、ステープル押圧器及びカッタを担持するブロックに、該カッタ及び押圧器が遠位方向に移動されるときに、対置された各顎部におけるスロットに入り込む複数の横方向突出部を備えることにより、上述の問題を可能的に緩和する機構を開示している。これらの突出部/スロット係合は、上記ステープル押圧器の領域において各顎部間に局所的な支持を提供することにより、挟持力の維持を支援し得る。しかし、同時的に、組織を切断し、各ステープルを押圧して形状化し、且つ、上記突出部/スロット配置に起因する付加的な抵抗を克服するためには、遠位方向に向けられた相当量の力がステープル押圧器に対して付与されねばならない。特許文献1のデバイスは、手術部位に対する完全なアクセスを要する手持ち式ユニットであることから、操作者は、各顎部に非常に近い箇所においてノブを押圧することにより、相当の力を手動的に付与し得る。
【0006】
上述の処置の幾つかは内視鏡的に実施され得るが、該処置は一般的に侵襲さが少なく、且つ、該処置は、手動式の手術器具の利用に必要なアクセスを許容するための大寸の切開口を必要とし得る開腹手術と比較して、更に迅速な治癒を許容する。内視鏡処置は典型的に、例えばカニューレを通して、小寸の切開箇所を通しての機器の挿入を伴う。これらの処置を実施するために必要な手術器具は一般的に、ハンドピース又は他の基礎ユニットからエンドエフェクタまで延在する長寸シャフトを有する。
【0007】
内視鏡的手術器具のエンドエフェクタは一般的に、機器の“作業端部”と称される。それらは、多くの場合に手術用ステープルの形態である留め具のような構成要素を収容する。これらのエンドエフェクタは、人体における内臓及び血管を、離断し、吻合部を形成し、且つ、閉塞し得る。
【0008】
上記エンドエフェクタ及びシャフトは比較的に小さな直径を有することから、操作者が器具を手術部位の外部から制御し乍ら、エンドエフェクタ及びシャフトはカニューレに貫通して挿入されて処置を実施し得る。斯かるデバイスの欠点は、それらのデバイスが一般的に、操作者により手動的に生成された機械的力をハンドピース又は基部からエンドエフェクタまで伝達することを要することである。このことは、上記シャフトを貫通延在する駆動軸、押圧ロッド、ケーブルなどにより達成される。これらの機構を通して動力を伝達すると、相当の動力損失に帰着すると共に、厳密な制御が極めて困難とされる。更に、これらの欠点は、可撓シャフトを利用するシステムにおいては増幅され得る。
【0009】
これらの内視鏡器具の機械的な非効率さの故に、ステープル押圧器及びカッタを駆動すべく遠位方向に付与される相当量の手動力を必要とする特許文献1の突出部/スロット配置は、内視鏡のエンドエフェクタに対して良好に適してはいない。特許文献1は、手術部位に対する完全なアクセスを要する手持ち式ユニットを開示することから、操作者は、各顎部に非常に近い箇所においてノブを押圧することにより、相当の力を付与し得る。このことは、最小限度に抑えられた患者の外傷及び手術室での時間の故に、開腹的及び/又は内視鏡的処置よりも本来的に優れた処置である内視鏡的な又は生来の体腔的な処置においては、実行可能でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,520,817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
故に、エンドエフェクタに対する優れた動力伝達を実現するデバイス及び方法に対する要望が在る。更に、エンドエフェクタにおける優れた挟持機能を実現するデバイス及び方法に対する要望が在る。
【0012】
更に、エンドエフェクタが可撓シャフトに対して取付けられる手術器具に関しては、その可撓シャフトを介してエンドエフェクタに対して力を効果的に伝達する上での困難性が知られている。この点に関し、効果的な可撓ステープル綴じ器によれば、外科医は、手術に対して、生来的な体腔、又は、導管的(umbilical)な手法を利用することが許容される。効果的な可撓シャフト式のステープル綴じ器は、患者に対する痛覚の減少、切開の排除、及び、短い手術室時間に繋がる単一ポート手法により、手術における進歩を許容するであろう。
【0013】
更に、多くの手術用ステープル綴じ器は、殆どの場合に手動操作される駆動バンドを利用する起動機構を利用する。これらの手動操作デバイスによれば操作者は、手動的にレバーを引くことで、一対一のストロークを提供し、又は、手動的に反復的にトリガを引いて、所望の起動を達成することが必要とされる。斯かるデバイスは、起動のためには、操作者により付与された力(例えば、操作者の各指と親指との間の力)を頼りにする。この点に関し、駆動バンドを必要とせず、且つ、手動操作以外の手段により動力供給されるデバイスに対する要望が在る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の例示的実施例は、駆動バンドの必要性を完全に排除し乍ら、制御アセンブリからエンドエフェクタまでの力伝達を許容する往復駆動機構を利用する。
【0015】
本発明の例示的実施例は、公知の駆動機構の一対一の入力/出力関係を改良する。一対一のストロークを提供し、又は、単一の全ストロークと同一の効果を達成すべく手動的にトリガを複数回引き寄せることを必要とする機構を提供する代わりに、本発明の例示的実施例は、揺動駆動機構(oscillating drive mechanism)を提供する。該揺動機構は、高速で機能し得ると共に、シリンダ内で迅速に前後に移動するピストンからの入力及び出力を受容する。この入力/出力された力は油圧的に達成されることから、手動的な入力は必要とされず、且つ、生成された力は手動デバイスより大きい。この前後により延在占有された距離は所定距離内に収まることから、移動は、所定の手術デバイス、特に手動的に操作されるデバイスのエンドエフェクタを起動するために踏破されねばならない相対距離よりも小さく、幾つかの場合には相当に小さくされ得る。
【0016】
本発明の例示的実施例は、手術器具を起動する1つ以上の個別的な段階を実施し得る1つ以上の往復動ピストンを有し得る。この点に関し、往復動ピストンは、与えられた任意の例示的な手術デバイスにおいて挟持用特定構造又は発射機構のいずれかの意図された行程の100%未満の距離を迅速に前後移動し得る。
【0017】
本発明の例示的実施例に依ると、手術用ステープル綴じデバイスは、第1顎部と、上記第1顎部に対して開き位置及び閉じ位置を有する第2顎部と、キャリッジと、駆動器と、上記第1及び第2の顎部に対して上記駆動器を例えば高速で往復動させて上記キャリッジを上記第1及び第2の顎部に対して平行移動するように構成されたアクチュエータとを備えて成る。
【0018】
上記駆動器は、油圧的に起動され得る。更に、上記油圧起動は、制御モジュールからエンドエフェクタまでの油圧的な力伝達を含み得る。上記油圧的な力伝達は、可撓シャフト内に配設された油圧流体により提供され得る。
【0019】
上記駆動器は起動バーを含み得る。
【0020】
上記起動バーは、上記キャリッジを第1方向に平行移動するために該キャリッジと選択的に係合可能な第1の複数のラチェット歯を含み得る。
【0021】
上記起動バーは、上記キャリッジを第2方向に平行移動するために該キャリッジと選択的に係合可能な第2の複数のラチェット歯を含み得る。
【0022】
上記第1方向は上記第1及び第2の顎部に対して遠位方向であり得ると共に、上記第2方向は上記第1及び第2の顎部に対して近位方向であり得る。
【0023】
上記キャリッジは、該キャリッジを上記第1方向に平行移動するために上記起動バーが該キャリッジに係合されたときに上記第1群のラチェット歯とラチェット係合するように構成された第1の複数のキャリッジ歯を含み得る。
【0024】
上記キャリッジは、該キャリッジを上記第2方向に平行移動するために上記起動バーが該キャリッジに係合されたときに上記第2群のラチェット歯とラチェット係合するように構成された第2の複数のキャリッジ歯を含み得る。
【0025】
上記キャリッジは、該キャリッジを上記第1方向に平行移動するために上記起動バーが該キャリッジに係合されたときに上記第1群のラチェット歯とラチェット係合するように構成された、例えば爪材などのスプリング負荷された双方向掛止機構であって、該キャリッジを上記第2方向に平行移動するために上記起動バー該キャリッジに係合されたときに上記第2群のラチェット歯とラチェット係合するように構成されたスプリング負荷された双方向掛止機構を含み得る。この配置構成は、上記爪材と上記第1及び第2群のラチェット歯との間の完全な歯部把持を提供するという利点を有する。更に、上記キャリッジの運動を上記遠位方向から上記近位方向へと切換えるために、ユーザの動作及び最小限の機械的な動作は必要とされない、と言うのも、上記スプリング負荷により上記双方向掛止機構はその係合を、上記第1群のラチェット歯から上記第2群のラチェット歯へと切換えるからである。上記双方向掛止機構の上記スプリング負荷は、該双方向掛止機構がその係合を上記第1群のラチェット歯から上記第2群のラチェット歯へと切換える前及び後にて、同一、又は、実質的に同一であり得る。
【0026】
本発明の例示的実施例は、他のデバイスの状況において要求されるストロークの必要性を排除する。このことは、例えば、局限された物理的範囲内で揺動する起動機構を配備することにより達成され得る。この揺動は、例えば制御モジュール内に配設された制御要素の対応する揺動により推進され得る。
【0027】
更に、上記制御要素の揺動によれば、上記デバイスのエンドエフェクタ内の対応駆動器に対し、揺動するための力が油圧流体を介して伝達され得る。上記油圧流体は、上記制御モジュールから上記エンドエフェクタまで、可撓シャフトを介して延在し得る。
【0028】
上記揺動制御要素及び/又は上記揺動駆動器は、例えば油圧ピストンなどの1つ以上の往復動ピストンとされ得る。
【0029】
本発明の例示的方法に依れば、対置された各顎部の間に組織が挟持され、且つ、対置された各顎部に関し、挟持された組織を切断及び/又はステープル綴じするために、揺動アクチュエータを介してキャリッジが進行される。
【0030】
上記キャリッジは、力伝達バーを備えて成り得る。
【0031】
上記キャリッジは、該キャリッジが組織を切断及び/又はステープル綴じすべく進行されるときに、上記第1及び第2の顎部間に挟持力を及ぼすように構成され得る。上記キャリッジにより及ぼされる挟持力は、対置された各顎部間に付与される唯一の挟持力であり得る。故に、例えば各顎部を閉じるための付加的なピストンは必要とされないことから、過剰な材料は排除され、製造コストは低減され、動作不良のリスクは低減され、且つ、操作が簡素化され得る。
【0032】
上記揺動起動は、操作者の入力信号に応じて実施され得る。例えば、上記揺動は、スイッチ又は他の入力器の操作に応じて行われ得る。例えば、上記入力器は、デジタル、無線デジタル及び/又は有線デジタル式の入力機構とされ得る。更に、上記デバイスは、上記スイッチが第1位置に在るときには上記アクチュエータを連続的に揺動させるように構成され得る。更に、上記デバイスは、上記スイッチが第2位置に在ることに応じて、上記アクチュエータの揺動を中断するように構成され得る。更に、上記揺動起動は、1つ以上のデジタル、無線デジタル及び/又は有線デジタルの制御信号、又は、他の任意で適切な制御システムを介して制御され得る。
【0033】
本発明の例示的実施例に依れば、手術用ステープル綴じデバイスは、第1顎部と、上記第1顎部に対して開き位置及び閉じ位置を有する第2顎部と、上記第1顎部内に配置されると共に、第1群のラチェット歯を含む起動バーと、上記第1顎部の長手方向に沿って上記起動バーを揺動的に変位させるように構成されたラチェットピストンと、少なくとも1つのステープル及び少なくとも1つのステープル駆動スロットを有すると共に、上記第1顎部内に載置されたハウジングと、少なくとも1つのステープル駆動用楔状部材を含むキャリッジであって、該キャリッジは、上記起動バーの上記第1群のラチェット歯に対して選択的に係合可能とされることで、該キャリッジは、上記ハウジングを通る遠位方向において近位方向終端位置から遠位方向終端位置まで、上記遠位方向終端位置と上記遠位方向終端位置との間の距離であって、上記ラチェットバーの揺動変位のストローク長よりも大きい距離だけ平行移動される、キャリッジと、を備えて成り、上記ステープル駆動用楔状部材は、上記ハウジングを通る上記キャリッジの遠位方向移動の間において、上記ステープルを上記ステープル駆動スロットを通して上記第2顎部に対して駆動する。
【0034】
上記起動バーは、第2群のラチェット歯を更に含み得ると共に、上記キャリッジは更に、上記第2群のラチェット歯に対して選択的に係合可能とされることで、該キャリッジは、上記ハウジングを通る近位方向において上記遠位方向終端位置から上記近位方向終端位置まで平行移動され得る。
【0035】
上記ラチェットピストンは、油圧的に起動され得る。
【0036】
上記手術用ステープル綴じデバイスは、上記第1群のラチェット歯に係合することで上記キャリッジを上記遠位方向に平行移動させ、且つ、上記第2群のラチェット歯に係合することで上記キャリッジを上記近位方向に平行移動させるべく適合化された双方向掛止機構を更に備えて成り得る。
【0037】
上記双方向掛止機構は、上記キャリッジに対してスプリング力伝達ピンを介して係合され得ると共に、上記スプリング力伝達ピンの回りでスプリング負荷され得る。
【0038】
上記起動バーは遠位端にて拡大開口を含み得、該拡大開口は、上記スプリング負荷された双方向掛止機構が上記スプリング力伝達ピンの回りで回動して、上記第1群のラチェット歯からは係合解除され且つ上記第2群のラチェット歯に対しては係合することを許容すべく寸法設定される。
【0039】
上記ラチェットピストンは、当該ラチェットピストンシャフトの遠位端に載置された周縁凹所を有するラチェットピストンシャフトを含み得、上記起動バーは、該起動バーの近位端に載置された力伝達リブを有し、上記力伝達リブは、上記周縁凹所内に嵌合するように構成され、上記ラチェットピストンシャフトは、上記周縁凹所及び上記力伝達リブを介して上記ラチェットに対して力を伝達することで上記起動バーを揺動させるように構成される。
【0040】
上記ラチェットピストンは複動式ピストンであり得る。上記手術用ステープル綴じデバイスは、少なくとも2つの単動式ピストンを含む基礎ユニットを更に備えて成り得、上記少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つは、上記ラチェットピストンの遠位側と流体連通され、該少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つは、上記ラチェットピストンの近位側と流体連通され、且つ、上記少なくとも2つの単動式ピストンの各々は、上記ラチェットピストンの遠位側又は近位側に正又は負の油圧を及ぼす。
【0041】
上記第2顎部は、上記キャリッジにより上記第2顎部に及ぼされる挟持力により、上記開き位置から上記閉じ位置へと移動可能とされ得る。
【0042】
上記キャリッジは、第1群のキャリッジ歯及び第2群のキャリッジ歯を含み得、上記キャリッジは、(i)上記第1群のラチェット歯に係合されて上記ハウジングを通して上記遠位方向に該キャリッジを平行移動させる上記第1群のキャリッジ歯、及び、(ii)上記第2群のラチェット歯に係合されて上記ハウジングを通して上記近位方向に該キャリッジを平行移動させる上記第2群のキャリッジ歯、の内の一方を介して上記起動バーに係合可能である。
【0043】
上記ラチェットピストンは、ラチェットピストンシャフト、及び、該ラチェットピストンシャフトの遠位端に載置された力伝達ピンを含み得、上記起動バーは、該起動バーの近位端に載置された力伝達スロットを有し、上記力伝達ピンは上記力伝達スロットに嵌合すべく適合化され、上記ラチェットピストンシャフトは、上記力伝達ピン及び上記力伝達スロットを介して上記起動バーに対して力を伝達することで上記起動バーを揺動させるべく適合化される。
【0044】
上記手術用ステープル綴じデバイスは、上記第1顎部の第1アンビルピンスロット及び上記第2顎部の第2アンビルピンスロット内に載置されたアンビル枢動ピンと、上記アンビル枢動ピンを上記遠位方向に駆動して上記第2顎部に挟持力を及ぼして該第2顎部を上記開き位置から上記閉じ位置まで移動させるべく、且つ、上記アンビル枢動ピンを上記近位方向に駆動して上記第2顎部における上記挟持力を解除して該第2顎部を上記閉じ位置から上記開き位置まで移動させるように構成されたアンビルピストンとを更に備えて成り得る。
【0045】
上記手術用ステープル綴じデバイスは、上記ラチェットピストンを収容するピストンハウジングと、上記ピストンハウジングを上記第1顎部に対して解除可能に係合させるべく適合化されたヘッド解放ラッチとを更に備えて成り得、上記ラチェットピストンは、上記ピストンハウジングが上記第1顎部と係合されているときに、上記起動バーと係合される。
【0046】
上記手術用ステープル綴じデバイスは、油圧ポンプを有する基礎ユニットと、上記基礎ユニット及び上記ラチェットピストンと油圧連通する可撓シャフトとを更に備えて成り得、上記油圧ポンプにより生成された油圧力は、上記基礎ユニットから上記ラチェットピストンまで伝達可能である。上記基礎ユニットは少なくとも2つの単動式ピストンを含み得、該少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つは、上記ラチェットピストンの遠位側と流体連通され、該少なくとも2つの単動式ピストンの内の1つは、上記ラチェットピストンの近位側と流体連通され、且つ、上記少なくとも2つの単動式ピストンの各々は、上記ラチェットピストンの遠位側又は近位側に正又は負の油圧を及ぼし得る。上記手術用ステープル綴じデバイスは、スイッチを含む制御デバイスであて、上記基礎ユニットと上記ラチェットピストンとの間に載置された制御デバイスを更に備えて成り得、上記スイッチは、上記基礎ユニットから上記ラチェットピストンへの油圧力の伝達を選択的に開始すべく、且つ、上記基礎ユニットから上記ラチェットピストンへの油圧力の伝達を選択的に終結させるべく作用し得る。
【0047】
本発明の例示的実施例に依れば、手術的にステープル綴じを行う方法は、第2顎部を、第1顎部に関する開き位置から該第1顎部に関する閉じ位置まで挟持する段階と、ラチェットピストンを揺動的に駆動する段階と、上記第1顎部内に載置された起動バーを、上記ラチェットピストンの駆動により揺動させる段階であって、上記起動バーは上記第1顎部の長手方向に沿うストローク長に亘り揺動し、上記起動バーは第1群のラチェット歯を有する段階と、上記第1顎部内に載置されたハウジングであって少なくとも1つのステープル及び少なくとも1つのステープル駆動スロットを有するハウジングを通し、上記第1群の歯に依るラチェット作用係合による上記起動バーの揺動により、遠位方向において近位方向終端位置から遠位方向終端位置までキャリッジをラチェット駆動する段階と、上記遠位方向における上記キャリッジのラチェット駆動により、上記少なくとも1つのステープルを上記少なくとも1つのステープル駆動スロットを通して駆動する段階とを備えて成り、上記遠位方向終端位置と上記近位方向終端位置との間の距離は上記ストローク長より大きい。
【0048】
本発明の例示的実施例の更なる特徴及び見地は、添付図面を参照して以下に更に詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスの分解斜視図である。
図2図1のデバイスを組立て状態で示す図である。
図3図1のデバイスをステープルカートリッジなしで示す図である。
図4】各顎部が閉じ位置とされた図1のデバイスの側面図である。
図5図1のデバイスのハウジング又は本体アセンブリの側面図である。
図6図1のデバイスの本体アセンブリを示す図である。
図7図1のデバイスの本体アセンブリの部分的側面図である。
図8図1のデバイスの前方断面図である。
図9A図1のデバイスの部分的上面図である。
図9B図1のデバイスのアンビルピストンを示す図である。
図9C図1のデバイスのラチェットピストンを示す図である。
図9D】アンビル内に配設されたアンビルスレッドアセンブリを示す図1のデバイスの部分図である。
図9E】請求項1のデバイスのアンビルスレッドアセンブリの分解図である。
図10A図1のデバイスの起動アセンブリを示す図である。
図10B図1のデバイスのキャリッジを示す図である。
図10C】請求項1のデバイスのハウジングに関し、ラチェットピストンの位置と起動バーの位置との間の関係を概略的に示す図である。
図10D】請求項1のデバイスのハウジングに関し、ラチェットピストンの位置と起動バーの位置との間の関係を概略的に示す図である。
図10E】請求項1のデバイスのハウジングに関し、ラチェットピストンの位置と起動バーの位置との間の関係を概略的に示す図である。
図11A図1のデバイスのハウジングを示す図である。
図11B図1のデバイスのハウジングの上面図である。
図11C図1のデバイスのハウジングの側面図である。
図11D図1のデバイスのハウジングの底面図である。
図11E図1のデバイスのハウジングの前面図である。
図11F図1のデバイスのハウジングの後面図である。
図12A図1のデバイスの本体アセンブリの本体シリンダブロックの前面図である。
図12B図12Aの断面A−Aに対応する断面図である。
図13A図1のデバイスのアンビルの底面図である。
図13B図1のデバイスのアンビルの側面図である。
図13C図13Bの断面B−Bに対応する断面図である。
図13D図1のデバイスのアンビルの後面図である。
図13E図13Bの区画C−Cに対応する断面図である。
図14】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスの斜視図である。
図15図14のデバイスのアンビルピストンを示す図である。
図16図14のデバイスのラチェット起動ピストンを示す図である。
図17】ハウジングアンビルピストンを備えた図14のデバイスを示す図である。
図18】アンビル閉じピストン及び力伝達ピストンを備えた図14のハウジングの底面図である。
図19A図14のデバイスのハウジングアセンブリの側面図である。
図19B図19Aの区画Dの拡大図である。
図20A図14のデバイスのキャリッジを示す図である。
図20B図14のデバイスのキャリッジの側面図である。
図20C図14のデバイスのキャリッジの後面図である。
図20D図14のデバイスのキャリッジの底面図である。
図21A図14のデバイスの起動バーの斜視図である。
図21B図14のデバイスの起動バーの側面図である。
図21C図14のデバイスの起動バーの平面図である。
図21D図37の区画Eに対応する拡大断面図である。
図21E図14のデバイスの起動バーの背面図である。
図21F図14のデバイスの起動バーの前面図である。
図22A】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスを示す図である。
図22B図22Aの手術デバイスの斜視図である。
図23】アンビルピストン及びアンビルがそれらの開き位置に在る図22Aの手術デバイスの断面図である。
図24】アンビルピストン及びアンビルがそれらの開き位置に在る図22Aの手術デバイスの部分的断面図である。
図25】アンビルが開き位置に在る図22Aのデバイスの部分的側面図である。
図26】アンビルが閉じ位置に在る図22Aのデバイスの部分的側面図である。
図27】アンビルピストン及びアンビルがそれらの閉じ位置に在る図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図28図22Aのデバイスのキャリッジ及びキャリッジ起動アセンブリの部分図である。
図29】保持器プレートから取り外された図22Aのデバイスのキャリッジを示す図である。
図30】アンビルが開き位置に在る図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図31A】アンビルは閉じ位置に在り且つラチェット起動ピストンは近位位置に在る図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図31B】アンビルは閉じ位置に在り且つラチェット起動ピストンは遠位位置に在る図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図31C】アンビルは閉じ位置に在り且つラチェット起動ピストンは遠位位置から近位位置へと移動している図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図32】アンビルは閉じ位置に在り、ラチェット起動ピストンは遠位位置に在り、且つ、再装填用スレッドによるステープルの駆動を示す図22Aのデバイスの部分的断面図である。
図33】再装填ハウジングのステープルに対する図32Aのデバイスの再装填用スレッドの係合を示す図である。
図34図32Aのデバイスのキャリッジ及び起動アセンブリを示す図である。
図35A】前進/遠位方向ストロークの開始時における図32Aのデバイスの部分的底面図である。
図35B】前進/遠位方向ストロークの終了時における図32Aのデバイスの部分的底面図である。
図36A】後退/近位方向ストロークの開始時における図32Aのデバイスの部分的底面図である。
図36B】後退/近位方向ストロークの終了時における図32Aのデバイスの部分的底面図である。
図37】アンビルアセンブリに対する図32Aのデバイスのキャリッジの係合構成の部分的断面図である。
図38A】キャリッジ及びアンビルスレッドアセンブリは各顎部の近位領域に在る図32Aのデバイスのキャリッジ起動/案内アセンブリの斜視図である。
図38B】キャリッジ及びアンビルスレッドアセンブリは各顎部の遠位領域まで進行された図32Aのデバイスのキャリッジ起動/案内アセンブリを示す図である。
図39】本発明の例示的実施例に係る手術システムを示す図である。
図40図39の手術システムに関して使用されるハンドルを示す図である。
図41A図39の手術システムに関して使用される操作卓を示す図である。
図41B図39の手術システムに関して使用される操作卓を示す図である。
図42】第1方向及び該第1方向とは逆の第2方向における力の付与及び運動のための油圧操作を概略的に示す図である。
図43A】油圧制御器具を示す図である。
図43B】油圧制御器具を示す図である。
図44図43の油圧制御器具に関する図32Aのデバイスの部分的内部斜視図である。
図45】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスのヘッドアセンブリの斜視図である。
図46】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスのヘッドアセンブリの斜視図である。
図47A図45のデバイスの部分的底面図である。
図47B図45のデバイスの部分的底面図である。
図47C図45のデバイスの部分的底面図である。
図48図45のデバイスの接続アセンブリの斜視図である。
図49図45のデバイスのキャリッジ/ステープル駆動器を示す図である。
図50】本発明の例示的実施例に係る手術デバイスの斜視図である。
図51図50のデバイスの接続アセンブリの平面図である。
図52図50のデバイスの接続アセンブリの部分的底面図である。
図53図50のデバイスのキャリッジ、接続アセンブリ及び油圧起動システムの斜視図である。
図54図50のデバイスのキャリッジ、接続アセンブリ及び油圧起動システムの斜視図である。
図55図50のデバイスのキャリッジ、接続アセンブリ及び油圧起動システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1乃至図13Eは、本発明の例示的実施例に係る手術デバイス5を該手術デバイス5の分解図にて示している。本発明の例示的方法に依れば、デバイス5は、第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方に沿ってキャリッジ405を進行させる油圧駆動式起動バー505の例示的形態である揺動アクチュエータ505を利用して、挟持された組織を切断し、且つ、ステープル綴じする。例示的なデバイス5において、第1顎部はハウジング105を含み、且つ、第2顎部はアンビル205を含む。図示例において、キャリッジ405は、該キャリッジ405が第1及び第2顎部105、205に沿って進行されるときに該キャリッジの軸線方向箇所にて局所的挟持力を及ぼすべく、第1顎部105及び第2顎部205の両方に係合するように構成される。例示的なキャリッジ405は、挟持された組織内へと各ステープルを駆動し、且つ、該キャリッジが揺動アクチュエータ505により各顎部に沿って進行されるときに、挟持された組織を切断する。キャリッジ405により及ぼされる挟持力の軸線方向箇所は、現在駆動されているステープルの軸線方向箇所と実質的に整列されることで、高信頼性のステープル駆動作用をもたらす。キャリッジ405は、揺動している起動要素505の状態を変更した後、該起動要素505の更なる揺動により、各顎部に対して逆方向に移動され得る。例示的なデバイス5において、起動バー505の状態は、該起動バーをキャリッジ405に対して横方向にシフトさせることにより変更される。
【0051】
図1の分解図を参照すると、手術デバイス5は、ハウジング105、カバー180、アンビル205、ステープル成形プレート260、アンビル枢動ピン290、アンビルピストン305、キャリッジ405、起動ラチェットバー505、ラチェット起動ピストン605、各管材705、後側キャップ805、円筒状ガスケット825、各ネジ850、捲縮リング860、再装填ハウジング(reload housing)905、及び、再装填用スレッド(reload sled)950を含んでいる。
【0052】
図2に示されたように組立てられたデバイス5を参照すると、アンビル205は、ハウジング105及び再装填ハウジング905に対して開き配向に在る。再装填ハウジング905は、それ自体が交換可能なステープルカートリッジを構成し得るか、又は、再装填ハウジング905及び再装填用スレッド950は協働して、交換可能なステープルカートリッジを形成し得る。換言すると、再装填用スレッド950は再装填ハウジング905が(図3に示されたように)取り外されたときにハウジング105と共に留まり得るか、又は、再装填用スレッド950は、該再装填用スレッド950が再装填ハウジング905に沿って取り外されるように、該再装填ハウジング905に対して取付けられ得る。後者の構成に依れば、各再装填ハウジング905は、それ自体の再装填用スレッド950を有し得るか、又は、再装填用スレッド905は異なる再装填ハウジング905間で互換的とされ得る。
【0053】
アンビル205は、図2に示された開き配向と、図4に示された閉じ配向との間で、アンビル枢動ピン290の回りで回動可能である。開き配向から閉じ配向までのアンビル205の回動は、スロット内ピン配置により起動される。各ピン要素はデバイス5においては、例えば図9Bに示されたように、アンビルピストン305から横方向に延在するピン310として具現される。ピン310の各々は、アンビルピストン隙間325における夫々の基部から横方向外方に延在し、自由端部に至る。図9Bを参照すると、各ピン310は、アンビル枢動ピン290の長手軸線zに対して平行な共通軸線yであって、本体105に対してアンビル205が回動する平面に対して直交する共通軸線yに沿って位置する。
【0054】
アンビルピストン隙間325は、アンビル205の回動の平面内に位置する長手軸線zであって、当該アンビルピストンシャフト330の近位部分におけるピン軸線yに対して直交する長手軸線zを有するアンビルピストンシャフト330に対して連結され、近位側O−リング保持壁340と遠位側O−リング保持壁345との間にはO−リング溝335が形成される。
【0055】
例えば図7を参照すると、アンビルピストン305は、近位側及び遠位側のO−リング保持壁340及び345を含むアンビルピストン305の近位部が、ハウジング105の第1油圧チャンバ110内に配設されるように、ハウジング105内に配設される。近位側及び遠位側のO−リング保持壁340及び345は、アンビルピストン305が第1油圧チャンバ110に対して近位位置及び遠位位置の間で摺動可能であるように、第1油圧チャンバ110の円筒状内側面の直径よりも僅かに小寸の直径を有すべく寸法設定された円筒状外側面を有する。
【0056】
図10Aに示されたように、アンビルピストン305と、第1油圧チャンバ110の内側面との間にはO−リング320によりシールが形成され、該シールは、近位側及び遠位側のO−リング保持壁340及び345の間のO−リング溝335内に保持される。故に、アンビルピストン305の近位側表面350と、第1油圧チャンバ110の各円筒状側壁と、第1油圧チャンバ110の近位側表面115との間には、油圧的な空間又は体積が画成される。同様に、アンビルピストン305の遠位側表面355と、第1油圧チャンバ110の各円筒状側壁と、油圧チャンバ110の遠位端におけるワッシャ又はプレート112の近位方向指向表面112aとの間には、油圧的な空間又は体積が画成される。第1油圧チャンバ110内に画成された上記2つの油圧的体積は、O−リング320を含むアンビルピストン305により、相互からシールされる。これらの油圧的体積は、アンビルピストン305の軸線方向位置に依存して、相互に対して反比例的に変化する。特に、上記アンビルピストンが遠位方向に移動するとき、遠位側油圧的体積の容量は減少し且つ近位側油圧的体積の容量は増大する。同様に、上記アンビルピストンが近位方向に移動するとき、遠位側油圧的体積の容量は増大し、且つ、近位側油圧的体積の容量は減少する。
【0057】
更に、アンビルピストン305のO−リング320により形成されたシールの近位方向に配設された油圧的体積は、油圧供給管705aと流体連通し、且つ、アンビルピストン305のO−リング320により形成されたシールの遠位方向に配設された油圧的体積は、油圧供給管705bと流体連通する。
【0058】
油圧供給管705a、705bは、例えば、可撓シャフト内を、1つ以上の油圧制御ユニットが配設されるハンドピース及び/又は他の適切な制御ユニットまで近位方向に延在する。制御信号に応じ、各油圧制御ユニットは、制御された圧力及び/又は流量にて、例えば塩水などの油圧流体を、各油圧的体積内へと又は油圧的体積外へと送るように構成される。概略的に、上記油圧駆動システムは、アンビルピストン305の遠位方向及び近位方向の起動の両方の間において該アンビルピストン305に及ぼされる力の全てではなくても、その殆どを生成すべく、正圧を使用する。この点に関し、上記正圧はアンビルピストン305の遠位方向起動の間においては第1油圧供給管705aを介して付与され、且つ、アンビルピストン305の近位方向起動の間においては油圧供給管705bを介して付与される。但し、正圧に加え、又は、その代わりに、負圧が利用され得ることを理解すべきである。特に、圧力が長寸管材により伝達される配置構成においては、負圧が有用なこともある。概略的に、供給管705a、705bの一方を介して一方の油圧流体体積に対して油圧流体が付加されるにつれ、他方の供給管705b、705aを介して他方の油圧流体体積からは、同一量の油圧流体が引き出されることから、第1及び第2の油圧流体体積の間における相補的な関係、及び、油圧供給管705a、705b間における同様の相補的関係が提供される。
【0059】
故に、供給管705a、705bを介して搬送される油圧流体を厳密に制御することにより、各油圧制御ユニットは、第1油圧チャンバ110のシールされた各油圧的体積を制御することにより、アンビルピストン305の移動及び位置を厳密に制御し得る。上記第1及び第2の油圧流体体積が、相補的だとしても、別体的に調節され得る、というこの複動式ピストン機構によれば、外部要素に対する上記手術デバイスの相互作用を制限する密閉式流体システムが許容される。
【0060】
アンビルピストンシャフト330は、第1油圧チャンバ110の遠位端に配設されたワッシャ又はプレート112及びO−リング113内を軸線方向に摺動する。上記O−リングは、アンビルピストンシャフト330の遠位部分を径方向で支持すべく作用すると共に、該O−リングは、アンビルピストンシャフト330とハウジング105との間の摺動シールを形成することで、一切の油圧流体が上記第1油圧チャンバから流出することを阻止し、且つ、一切の不都合な流体又は他の汚染物質が第1油圧チャンバ110に進入することを阻止する。ワッシャ112は、ピストン305とシリンダ110の遠位端との間に所定材料の保護層を提供する。
【0061】
図4を参照すると、アンビルピストン305が遠位方向及び近位方向に起動されるとき、横方向に延在する各ピン310は、ハウジング105の長手軸線aに対して平行に延在するアンビルピンスロット120内を軸線方向に摺動する。故に、各ピン310は、ハウジング105の長手軸線aに平行な方向に起動される。
【0062】
図13Bを参照すると、アンビル205は、アンビル枢動ピン290を受容するボア210を含み、該ピンの回りにてアンビル205は、ハウジング105と、該ハウジング105により支持された再装填ハウジング905とに対して、回動する。アンビル205は、アンビル枢動ピン290の回りにおける回動の軸線と交差する長手軸線bを有する。アンビル205はまた、該アンビル205の夫々の翼部225上に配設された一対のアンビル起動スロット220も含んでいる。アンビル起動スロット220の各々は、枢動ピン290の軸線からオフセットされた夫々の軸線cであって、アンビル枢動ピン290により画成される回動軸線に沿って視認されたときに長手軸線bに対して角度付けされた夫々の軸線cに沿って、延在する。デバイス5が組立てられたとき、各ピン310は、順次的に、アンビルピストン隙間325から、アンビル205のアンビル起動スロット220を通り、ハウジング105のアンビルピンスロット120内へと延在する。
【0063】
ピン310の各々はアンビル起動スロット220及びアンビルピンスロット120の両方を貫通延在することから、且つ、アンビル起動スロット220の軸線cはアンビル205の回動軸線からオフセットされ且つアンビル205の長手軸線bに対して角度付けされることから、アンビルピンスロット120内における各ピン310の遠位方向摺動によれば、アンビル205は開き位置から閉じ位置へと回動され、且つ、アンビルピンスロット120内における各ピン310の近位方向摺動によればアンビル205は閉じ位置から開き位置へと回動される。故に、アンビルピストン305の移動及び位置を厳密及び正確に制御することにより、各油圧制御ユニットは、アンビル205により及ぼされる運動、位置及び力を厳密及び正確に制御し得る。
【0064】
各ピン310の遠位方向移動はアンビル205の閉成を起動するが、アンビル起動スロット220の軸線cの角度は、各ピン310の近位方向摺動がアンビル205の閉成を引き起こし、且つ、各ピン310の遠位方向摺動がアンビル205の開成を引き起こするように提供され得ることを理解すべきである。
【0065】
例えば図4に示されたようにアンビル205が閉じ位置に在るとき、力伝達バーの形態で配備されたキャリッジ405は、ハウジング105の長手軸線aに沿って遠位方向に進行され得る。
【0066】
図10A及び図10Bを参照すると、キャリッジ405は、第1顎部係合部分420と第2顎部係合部分430との間に延在するプレート410を含む。第1顎部係合部分420は、プレート410に対して直交して配向されたプレートであって、対置された一対のフランジ422、426を含むプレートとして形状化され、且つ、第2顎部係合部分430もまた、プレート410に対して直交して配向されたプレートであって、対置された一対のフランジ432、433を含むプレートとして形状化される。第1及び第2の顎部係合部420、430のフランジ422、426、432、436の各々は、プレート410に対して横方向に突出すると共に、例えば図6に示されたように、手術デバイス5がその組立て構成に在るときに、ハウジング105の長手軸線aに平行な方向において長手方向に延在する。
【0067】
第2顎部係合部分430は、キャリッジ405が、ハウジング105の長手軸線aに対する横方向の移動から拘束され乍ら、該ハウジング105の長手軸線aに沿って摺動可能であるように、ハウジング105及び再装填ハウジング905を備えて成る下側の顎部に対して係合するように構成される。この点に関し、キャリッジ405は、例えば図11E及び図11Fに示されたように、保持プレート460が下側プレート又は壁部130の上方に配設されながら、第2顎部係合部分430が壁部130の下側を摺動するように、ハウジング105に対して連結されるように構成される。壁部130は、ハウジング105の長手軸線aに沿って延在する案内スロット135であって、第2顎部係合部分430と保持プレート460との間に延在するキャリッジ405の案内リブ440を摺動可能に受容するように構成された案内スロット135を含む。保持プレート460は、キャリッジ405の取外し可能な構成要素であり、且つ、取り外しを促進するスロット462を含む。但し、保持プレート460は、取外し不能とされ得、且つ/又は、キャリッジ405の本体と一体的な単一の単体片として形成され得ることを理解すべきである。
【0068】
案内リブ440が案内スロット135により受容されたとき、下側壁部130は、第2顎部係合部分430及び保持器プレート460により画成された対置表面437、465間の間隙又は領域439内に配設されることで、キャリッジ405が案内スロット135に沿って摺動するときに、ハウジング105の長手軸線aに対して横方向となるキャリッジ405の移動が制約される。特に、第2顎部係合部分430の表面437及び下側壁部130の下側表面131は相互に係合することで、ハウジング105の長手軸線aを横切る第1方向において、該ハウジング105に関するキャリッジ405の移動に対する第1の確定的停止部を形成する。同様に、保持器プレート460の下側表面465及び下側壁部130の下側表面131は相互に係合することで、ハウジング105の長手軸線aを横切る第2方向において、キャリッジ405の移動に対する第2の確定的停止部を形成し、上記第1及び第2の方向は、当該平面内において、アンビル205がハウジング105に対して開き位置と閉じ位置との間で回動する平面内に在る。
【0069】
図11Dを参照すると、案内スロット135は、該案内スロットの幅よりも大きい幅を底壁部130に有する拡大開口136内へと近位方向に延在することにより、キャリッジ405が拡大開口136の領域内に位置されたときに、キャリッジ405が案内スロット135から離脱されることが許容される。
【0070】
図13A乃至図13Eを参照すると、アンビル205は、図4に示されたように、該アンビル205がハウジング105に対して閉じ状態に在るときに、ハウジング105の長手軸線aに平行である該アンビル205の長手軸線bの方向に延在する案内チャネル230を含む。図1図9D及び図9Eを参照すると、デバイス5が組立てられたとき、案内チャネル230は、アンビル掛止プレート270、低摩擦インサート275及び戻りリンク部材280を含む。案内チャネル230内においては、近位位置及び遠位位置の間でアンビルスレッドアセンブリ268が摺動可能である。摺動の遠位方向及び近位方向は、図4に示されたように、アンビル205がハウジング105に対して閉じ状態に在るときに、該アンビル205の長手軸線bに沿うと共に、ハウジング105の長手軸線aに対して平行である。図11Aにおいて、アンビルスレッドアセンブリ268は、近位位置に在る。
【0071】
アンビル205は、2つの案内フランジ240、245の間に形成された案内スロット235であって、拡大凹所240内へと近位方向に開口する案内スロット235を含む。故に、案内スロット235は、図13Aに示されたように、案内フランジ240、245の近位端で開始する。
【0072】
ハウジング105に対して、アンビルスレッドアセンブリ268及びキャリッジ405が、それらの夫々の近位位置に在るとき、ハウジング105に対して、アンビル205は自身の開き状態及び閉じ状態の間で移行すべく回動可能である。アンビル205が開き状態から閉じ状態へと回動するとき、上記キャリッジの上側顎部係合部分420は、アンビルキャリッジ468の戻りリンク部材280における拡大開口282を貫通通過し、アンビル205の拡大凹所250内に至る。この点に関し、拡大開口282及び拡大凹所250は、アンビルスレッドアセンブリ268及びキャリッジ405がそれらの夫々の近位位置に在るときに、ハウジング105に関する上記アンビルの開き及び閉じの間において、キャリッジ405と、アンビル205の一切の構造又はアンビルスレッドアセンブリ268との間の間隙を許容すべく、横方向に寸法設定される。
【0073】
手術処置の間において、上記に相当に詳細に示されたように、アンビルピストン305の起動によりアンビル205がハウジング105に対して閉じられ且つ開かれることで、該アンビル205とハウジング105との間の組織を挟持し且つ解放するときは常に、アンビルスレッドアセンブリ268及びキャリッジ405はそれらの夫々の初期近位位置に在る。
【0074】
アンビル205がハウジング105に対して閉じられることで、該アンビル205とハウジング105との間に組織の一部分を挟持した後、キャリッジ405は、挟持された組織の一部分を切断してクランプ止めするために、遠位方向に進行される。
【0075】
この段階において、上記第1顎部係合部分は戻りリンク部材280における拡大開口282を貫通し且つアンビル205の凹所250内に至り乍ら、ハウジング105に対して当該キャリッジ自体の近位位置に在るキャリッジ405を遠位方向に進行させるために、ラチェット起動ピストン605を介して、歯止め機構の形態の往復動機構が起動される。
【0076】
ラチェット起動ピストン605は、上述されたアンビルピストン305に類似した特定構造を含むと共に、上述されたアンビルピストン305と同一の一般的な方法にて近位方向及び遠位方向に起動されて機能する。図9Cを参照すると、ラチェット起動ピストン605は、ハウジング105及びアンビルピストン305の長手軸線a、zと平行な長手軸線zzを有するラチェット起動ピストンシャフト630を含む。ラチェットピストンシャフト630の近位部分には、近位側O−リング保持壁640と遠位側O−リング保持壁645との間に形成されたO−リング溝635が在る。
【0077】
例えば図7を参照すると、近位側及び遠位側のO−リング保持壁640及び645を含むラチェット起動ピストン605の近位部が、ハウジング105の第2油圧チャンバ150内に配設されるように、ラチェット起動ピストン605はハウジング105内に配設される。ラチェット起動ピストン605が第2油圧チャンバ150に対して近位位置及び遠位位置の間で摺動可能であるように、近位側及び遠位側のO−リング保持壁640及び645は、第2油圧チャンバ150の円筒状内側面の直径よりも僅かに小寸の直径を有すべく寸法設定される。
【0078】
図10Aに示されたように、ラチェット起動ピストン605と、第2油圧チャンバ150の内側面との間にはO−リング620によりシールが形成され、該シールは、近位側及び遠位側のO−リング保持壁640及び645の間のO−リング溝635内に保持される。故に、ラチェット起動ピストン605の近位側表面650と、第2油圧チャンバ150の各円筒状側壁と、第2油圧チャンバ150の近位側表面155との間には、油圧的な空間又は体積が画成される。同様に、ラチェット起動ピストン605の遠位側表面655と、第2油圧チャンバ150の各円筒状側壁と、油圧チャンバ150の遠位端におけるワッシャ又はプレート152の近位方向指向表面152aとの間には、油圧的な空間又は体積が画成される。第2油圧チャンバ150内に画成された上記2つの油圧的体積は、O−リング620を含むラチェット起動ピストン605により、相互からシールされる。これらの油圧的体積は、ラチェット起動ピストン605の軸線方向位置に依存して、相互に対して反比例的に変化する。特に、上記ラチェットピストンが遠位方向に移動するとき、遠位側油圧的体積の容量は減少し且つ近位側油圧的体積の容量は増大する。同様に、ラチェットピストン605が近位方向に移動するとき、遠位側油圧的体積の容量は増大し、且つ、近位側油圧的体積の容量は減少する。
【0079】
油圧チャンバ110、150の近位側壁部115、155は、後側キャップ805の一部分であることから、ハウジング105と後側キャップ805との間の界面には円筒ガスケット825が配備されることで、ハウジング105と該端部キャップとが(例えばネジ850を介して)結合されたとき、それらの間にはシールが形成される。更に、円筒ガスケット825は油圧チャンバ110、150の各々の内部に対して部分的に露出されることで、シリンダ305、605の近位側表面350、650と、夫々の近位側壁部115、155との間には障壁が提供されることで、そのようにしなければ、シリンダ305、605の近位側表面350、650と夫々の近位側壁部115、155との間の直接的な衝当に起因するであろう破損又は摩耗に対し、エネルギを吸収することにより夫々の構成要素305、605、805が保護される。同様に、ワッシャ112、152は、ピストン305、605の遠位方向又は前方のストロークの間においてピストン305、605の遠位側表面355、655とハウジング105との間の直接的な衝当を阻止することにより、シリンダ305、605及びハウジング105に対して同様の保護を提供する。これらの要素805、112、152は、例えば、一種類以上のエラストマなどの任意の適切な材料で作成され得る。更に、これらの要素805、112、152は同一材料で形成され得るか、又は、これらの要素805、112、152の内の1つ以上が、他の要素805、112、152の1つ以上とは異なる材料で形成され得る。
【0080】
更に、ラチェットピストン605のO−リング620により形成されたシールの近位方向に配設された油圧的体積は、油圧供給管705cと流体連通する。油圧供給管705c、705dは、例えば、可撓シャフト内を、1つ以上の油圧制御ユニットが配設されるハンドピース又は他の適切な制御ユニットまで近位方向に延在する。制御信号に応じ、各油圧制御ユニットは、制御された圧力及び/又は流量にて、例えば塩水などの油圧流体を、第2油圧チャンバ150の各油圧的体積内へと又は油圧的体積外へと送るように構成される。上述されたアンビルピストン305の駆動と同様に、上記油圧駆動システムは概略的に、ラチェットピストン605の遠位方向及び近位方向の起動の両方の間において該ラチェットピストン605に及ぼされる力の全てではなくても、その殆どを生成すべく、正圧を使用する。この点に関し、上記正圧はラチェットピストン605の遠位方向起動の間においては第1油圧供給管705cを介して付与され、且つ、ラチェットピストン605の近位方向起動の間においては油圧供給管705dを介して付与される。但し、上述されたアンビルピストン305の起動と同様に、正圧に加え、又は、その代わりに、負圧が利用され得ることを理解すべきである。概略的に、供給管705c、705dの一方を介して一方の油圧流体体積に対して油圧流体が付加されるにつれ、他方の供給管705d、705cを介して他方の油圧流体体積からは、同一量の油圧流体が引き出されることから、第1及び第2の油圧流体体積の間における相補的な関係、及び、油圧供給管705c、705d間における同様の相補的関係が提供される。
【0081】
故に、供給管705c、705dを介して搬送される油圧流体を厳密に制御することにより、各油圧制御ユニットは、第2油圧チャンバ150のシールされた各油圧的体積を制御することにより、ラチェットピストン605の移動及び位置を厳密に制御し得る。
【0082】
図12A及び図12Bを参照すると、管705bからの油圧流体は、相互接続された一群のボア170を介し、シリンダ110及び管705bの間で移送される。この点に関し、上記流体は、シリンダ110に対して平行に延在し且つ該シリンダから離間された軸線方向供給ボア170に沿って、該軸線方向供給ボア170と第1シリンダ110の遠位領域とを接続する遠位横方向供給ボア172まで進行する。故に、管705bは油圧流体を、シリンダ110の遠位領域に対して供給し且つ其処から除去し得る。
【0083】
同様に、管705dからの油圧流体は、相互接続された一群のボア174、176において、チャンバ150と管705dとの間で移送される。上記流体は、シリンダ150に対して平行に延在し且つ該チャンバから離間された軸線方向供給ボア174に沿って、軸線方向供給ボア172と第1シリンダ150の遠位領域とを接続する遠位横方向供給ボア176まで進行する。故に、管705dは油圧流体を、シリンダ150の遠位領域に対して供給し且つ其処から除去し得る。
【0084】
図12Aを参照すると、ボア172、176は、図示内容の左側にて、上記ハウジングからの開口を提供して示される。但し、図4においてボア172、174の左方までのボア174及び176の延在は、一方はボア170及びシリンダ150内まで延在し且つ他方はボア174及びシリンダ150内まで延在する、2つの夫々の横方向孔をハウジング105の側部内へと穿孔することに依るものである。もし、ボア174、176のいずれかがこのように形成されるなら、ハウジング105の外側面を貫通延在するボア174、176の部分は、例えば、そのボアを、ピン、合せピン、充填物、接着剤、及び/又は、他の適切な材料で満たすなどの、任意の適切な手法でシールされ得る。
【0085】
管705a及び705cは、上記ハウジングアセンブリの後側キャップ805における夫々の近位ボアを介し、夫々のシリンダ110、150に対して油圧流体を提供する。これらのボアは、夫々の管705a、705cと同心的である。但し、管705a、705b、705c、705dと、シリンダ110、150の夫々の領域との間の送給機構は、例示的実施例に依り変更され得ることを理解すべきである。
【0086】
ラチェット起動ピストンシャフト630は、第2油圧チャンバ150の遠位端に配設されたワッシャ152及びO−リング153内を軸線方向に摺動する。O−リング152は、ラチェット起動ピストンシャフト630の遠位部分を径方向で支持し、且つ、ラチェット起動ピストンシャフト630とハウジング605との間の摺動シールを形成することで、一切の不都合な流体又は他の汚染物質が第2油圧チャンバ150に進入することを阻止すべく作用する。ワッシャ152は、ピストン605と、シリンダ150の遠位端との間に所定材料の保護層を提供する。
【0087】
図9Cを参照すると、ラチェット起動ピストン605は、ラチェット起動ピストンシャフト630における横方向ボアを貫通延在する力伝達ピン610を含む。故に、図9Cに示されたように、上記ボア内に受容された力伝達ピン610の長手軸線yyは、ラチェット起動ピストン605の長手軸線zzに対して横方向であり且つ直交する。
【0088】
デバイス5が組立てられたとき、ラチェット起動ピストン605の力伝達ピン610は、起動バー505の横方向延在近位部材515における力伝達スロット510内に受容される。力伝達ピン610と力伝達スロット510との間の係合は、例えば図10Aに示される。力伝達ピン610は、長手軸線zzに関し、故に、揺動するラチェット起動ピストン605の往復ストロークに関し、横方向に且つそれに対して直交して延在する力伝達スロット510の幅よりも僅かに小寸に寸法設定される。故に、スロット510の丈に沿って何処に力伝達ピン610が配置されるかに関わらず、起動バー505が力伝達スロット510の丈に沿って力伝達ピン610に対して摺動可能とされたまま、ラチェット起動ピストン605の長手方向に向けられた往復ストロークによれば、起動バー505の長手方向に向けられた対応ストロークも引き起こされる。例えば図10Aにおいて、起動バー505は、力伝達ピン610が力伝達スロット510の第1端部に配設されるように、ラチェット起動ピストン605に対して第1の横方向40に移動されている。図9Aは、力伝達ピン610が力伝達スロット510の逆の第2端部に配設されるように、ラチェット起動ピストン605に対して逆向きの第2の横方向45に移動された後の起動バー505を示している。以下において相当に詳細に示されるように、ラチェット起動ピストン605に対して、これらの2つの横方向位置のいずれに力伝達バー505が在るかにより、該キャリッジ405がハウジング105の長手軸線aに沿って遠位方向に駆動されるか近位方向に駆動されるかが決定される。
【0089】
上記往復駆動機構においては、該駆動機構が比較的に局限された軸線方向箇所に留まり乍ら、キャリッジ405は相当の軸線方向距離だけ連続的に起動される。
【0090】
上記に示されたように、デバイス5が組立てられ且つキャリッジ405が案内スロット135に係合されたとき、第2顎部係合部分430はハウジング105の下側プレート130の下方に配設される。第2顎部係合部分430に加え、キャリッジ405が案内スロット135に係合されたとき、第1及び第2のラチェット機能要素470、480もまた、下側プレート130の下方に配設される。ラチェット機能要素470、480は、夫々のスプリングアーム475、485により、第2顎部係合部分430に対して連結される。
【0091】
起動バー505もまた、ハウジング105の下側プレート130の下方に配設される。この点に関し、起動バー505は、ハウジング105と、該ハウジング105に対して取付けられたカバー180との間に摺動可能に配設されると共に、それらにより支持される。ハウジング105、後側キャップ805、及び、カバー180は、デバイス5が組立てられたときに、ハウジングアセンブリ105、180、805を形成する。この点に関し、ハウジング105、カバー180及び後側キャップ805に関して本明細書中で記述された特徴は概略的に、全体的なユニットとしてのハウジングアセンブリ105、180、805の特徴にも言及している。更に、ハウジング10、カバー180及び後側キャップ805に関して本明細書中で記述された特徴は、示された特定の要素105又は180上に配備される必要はない。例えば、以下に記述される整列要素160a、160bはハウジング105の一部として論じられるが、これらの要素160a、160bは全体としてハウジングアセンブリ105の一部であること、及び、これらの要素160a及び/又は160bの1つ以上又は全ては、例えば、カバー180上などの、ハウジングアセンブリ105、180の他の要素上に配備され得ることを理解すべきである。更に、ハウジングアセンブリ105、180、805は、単一構成要素として、又は、図示例に関して記述されたよりも付加的な構成要素を有するものとして、配備されても良い。
【0092】
図10Aに示されたように、起動バー505は、該起動バーがキャリッジ405及びハウジング105に対して第1横方向位置に在るように、第1の横方向40において移動されている。この第1横方向位置において、第1ラチェット要素470の一群のラチェット歯472は、起動バー505の対応する第1群の歯572に噛合する。歯472及び572の間の噛合は、起動バー505が往復動の各近位方向ストロークに在るときではなく、該起動バーが各遠位方向ストロークに在るときに、起動バー505の第1群の歯572が第1ラチェット機能要素470の歯472により繋止される如きである。故に、起動バー505の往復動の各遠位方向ストロークによれば、キャリッジ405は案内スロット135に沿って、ハウジング105に対して段増的遠位方向距離だけ押圧される。但し、上記往復動の各近位方向ストロークによれば、起動バー505の第1群の歯572は、歯472及び572の勾配表面の故に、第1ラチェット機能要素470の第1群の歯472上を摺動することが許容される。故に、起動バー505は、該起動バー505の往復動の各近位方向ストロークの間において、キャリッジ405のそれほどの近位方向平行移動を引き起こさずに、近位方向に移動することが許容される。故に、起動バー505の各往復動サイクル(一回の遠位方向ストローク、及び、一回の近位方向ストローク)によれば、キャリッジ405は、正味の段増的遠位方向距離を移動する。故に、起動バー505の往復動サイクルを反復すると、キャリッジ405は遠位方向に進展される。このラチェット作用機構により、キャリッジ405は、上記起動バーが上記第1横方向位置に在るときに、案内スロット135に沿ってハウジング105に対して遠位方向に起動可能である。
【0093】
キャリッジ405をハウジング105に対して近位方向に平行移動させるために、図9Aに示されたように、起動バー505をその第2横方向位置へと移動させることにより同様のラチェット作用機構が係合されることから、起動バー505の第2群の歯582が、第2ラチェット機能要素480の歯482に噛合する。但し、歯482、582の配向は逆とされている。故に、歯482及び582の間の噛合は、起動バー505が往復動の各遠位方向ストロークに在るときではなく、該起動バーが各近位方向ストロークに在るときに、起動バー505の第2群の歯582が第2ラチェット機能要素480の歯482により繋止される如きである。故に、起動バー505の往復動の各近位方向ストロークによれば、キャリッジ405は案内スロット135に沿って、ハウジング105に対して段増的近位方向距離だけ引き寄せられる。但し、上記往復動の各遠位方向ストロークによれば、起動バー505の第2群の歯582は、歯482及び582の勾配表面の故に、第2ラチェット機能要素480の歯482上を摺動することが許容される。故に、起動バー505は、該起動バー505の往復動の各近位方向ストロークの間において、キャリッジ405のそれほどの遠位方向平行移動を引き起こさずに、近位方向に移動することが許容される。故に、起動バー505の各往復動サイクル(一回の遠位方向ストローク、及び、一回の近位方向ストローク)によれば、キャリッジ405は、正味の段増的遠位方向距離を移動する。故に、起動バー505の往復動サイクルを反復すると、キャリッジ405は近位方向に進展される。このラチェット作用機構により、キャリッジ405は、上記起動バーが上記第2横方向位置に在るときに、案内スロット135に沿ってハウジング105に対して近位方向に起動可能である。
【0094】
ラチェット機能要素470、480の各々は、スプリングアーム475、480により、起動バー505が夫々の第1及び第2の位置に在るとき、夫々の歯572、582に向けてスプリング付勢されることから、第1及び第2のラチェット要素470、480の歯472、482は、歯572、582により形成された輪郭形状に沿って横方向に撓曲することで、ラチェット機能作用を許容する。
【0095】
図10C乃至図10Eの概略的図示内容を参照すると、起動バー505を第1横方向位置から第2横方向位置まで移動させるために、ラチェットピストン605は第2油圧チャンバ150内における該ピストンの全体的軸線方向ストローク範囲675内において、往復動が遠位方向起動のために実施される第1軸線方向領域660から、往復動が近位方向起動のために実施される第2軸線方向領域670まで移動する。第1及び第2の軸線方向領域660、670間には、遷移領域665が在る。図10C乃至図10Eにおいては、図示を促進するために、ラチェットピストン605の位置は、該ラチェットピストン605の移動を軸線方向に追尾する起動バー505の上方に概略的に重畳される。故に、図10C乃至図10Eに概略的に示されるように、ラチェットピストン605の一切の軸線方向変位は、起動バー505の厳密に同一量の軸線方向変位に対応する。
【0096】
更に、起動バー505はハウジング105に対し、該起動バー505が摺動可能に支持される位置で示される。この点に関し、上記起動バーは、図10C乃至図10Eの各々における横方向位置が、径方向内側に向けられた突出部の形態である対置された一対の整列要素160a、160bにより拘束される。整列要素160a、160bは各々が、ハウジング105の夫々の群の整列要素160a、160bの一部であるが、図示の容易化のために、起動バー505の対応部分と共に、1つのみの整列要素160a及び1つの整列要素160bが示されることを銘記されたい。
【0097】
図10Cを参照すると、ラチェットピストン605は第1軸線方向領域660に在る。ラチェットピストン605が第1軸線方向領域660に在るとき、整列要素160aは起動バー505の第1軸線方向部材550の外方表面552に沿って摺動可能であり、且つ、整列要素160bは起動バー505の第2軸線方向部材560の凹状形成表面564に沿って摺動可能であるように、起動バー505は、対置された整列要素160a、160bにより横方向が拘束される。外方表面552及び凹状形成表面554は、相互に対して平行なラインであって、案内スロット135、及び、ハウジング105の長手軸線a、起動バー505の第1群の歯570及び起動バー505の第2群の歯575の配置に対して平行であるラインに沿って、軸線方向に延在する。この点に関し、デバイス5が組立てられたとき、起動バー505の外方表面552は、起動バー505の凹状形成表面554よりも、案内スロット135の長手軸線から大きな横方向距離に在り、且つ、起動バー505の外方表面562は、起動バー505の凹状形成表面564よりも、案内スロット135の長手軸線から大きな横方向距離に在る。
【0098】
起動バー505がハウジング105に対して軸線方向に移動するとき、整列要素160aは、起動バー505の第1表面輪郭形状であって、外方表面552と、凹状形成表面554と、該外方表面552及び凹状形成表面554の間に配設されると共にそれらと連続的である勾配遷移表面553とを含む第1表面輪郭形状に追随する。同時に、整列要素160bは、起動バー505の第2表面輪郭形状であって、外方表面562と、凹状形成表面564と、該外方表面562及び凹状形成表面564の間に配設されると共にそれらと連続的である勾配遷移表面563とを含む第2表面輪郭形状に追随する。
【0099】
外方表面552、562は、対置されて横方向外方に臨む起動バー505の各側面に対応する。凹状形成表面554及び勾配遷移表面553は、第1軸線方向部材550の整列凹所551の一部であって、外方表面552に対して凹状形成された一部である。同様に、凹状形成表面564及び勾配遷移表面563は、第2軸線方向部材560の整列凹所551であって、外方表面552に対して凹状形成された一部である。更に、図示された第1凹状形成部分551及び第2凹状形成部分561は、軸線方向にオフセットされて対置された一対の凹所551、561を形成する。図示された一対の凹所551、561は、図1に図示された例示的デバイスの起動バー505の丈に沿って配設されたように対置された3対の凹所551、561の内の一対である。各凹所551、561、並びに、夫々の外方表面552、562及び突出部160a、160bは、図10C乃至図10Eに図示された対応要素と同一の又は類似する方法で機能する。凹所552、562又は他の幾何学形状は、図示例とは異なり得ることを理解すべきである。例えば、更に多い又は更に少ない凹所561、562が在り得ると共に、他方の軸線方向部材560、550よりも、一方の軸線方向部材550、560上に多数の凹所561、562が在り得る。更に、凹所552、562は、異なる幾何学形状及び/又は不規則的間隔を有し得、且つ/又は、対置された一対以上の整列突出部160a、160bの内の対置された整列突出部160a、160bは、相互から軸線方向にオフセットされても良い。
【0100】
図10Cに示されたように、上記起動バーの第1群の歯570が、該起動バー505の第2群の歯580よりも案内スロット135に近いように、上記起動バーは第1横方向位置に在る。この位置において第1群の歯570は、キャリッジ405の第1ラチェット機能要素470の対応する歯472に噛合する。外方表面552及び凹状形成表面564は、ラチェットピストン605の第1軸線方向領域660の丈に対して少なくとも概略的に対応する丈を有することから、第1軸線方向領域660内における近位位置と遠位位置との間でのラチェットピストン605の往復動によれば、起動バー505もまた、第1横方向位置に留まり乍ら、対応する近位位置及び軸線方向位置の間で往復動される。故に、上記ラチェットピストン605がその第1軸線方向領域660内に在るときに、該ラチェットピストン及び起動バー505の往復動の間において、(第1軸線方向部材550に沿って配設された)第1群の歯570と、第1ラチェット機能要素470との間のラチェット作用係合は維持される。故に、第1軸線方向範囲660内における近位位置と遠位位置との間におけるラチェットピストン605の往復動により、キャリッジ405の遠位方向移動が行われる。
【0101】
キャリッジ405を近位方向に移動させるために、デバイス5は起動バー505を、当該軌道135に沿って該キャリッジ405が遠位方向及び近位方向に進展する軌道135に関し、(例えば図10Cに示された)第1横方向位置から、(例えば図10Eに示された)第2横方向位置まで、横方向にシフトさせねばならない。
【0102】
図10Dを参照すると、上記第1横方向位置と第2横方向位置との間における起動バー505の横方向シフトは、ラチェットピストン605を、故に起動バー505も、第1領域660から、第1及び第2の領域660、670の間に配設された遷移領域665に亘り、第2領域670へと伸張することにより達成される。
【0103】
図10Eは、軸線方向遷移領域665におけるラチェットピストン605及び起動バー505を示している。この過渡的な位置において、第1整列要素160aは、第1軸線方向部材550の勾配遷移表面553に接触することにより起動バー505を側方的に拘束するように構成される一方、第2整列要素160bは、勾配遷移表面563に接触することにより起動バー505を側方的に拘束するように構成される。
【0104】
整列部材160aは、外方表面552と、勾配遷移表面553と、凹状形成表面554とにより画成されたカム表面に追随するカム従動子として作用し、且つ、整列部材160bは、外方表面562と、勾配遷移表面563と、凹状形成表面564とにより画成されたカム表面に追随するカム従動子として作用することから、起動バー505は、例えば図10Cに示された第1横方向位置と、例えば図10Eに示された第2横方向位置との間において、勾配遷移部を介して案内される。
【0105】
図10Eを参照すると、ラチェットピストン605は第1軸線方向領域660に在る。ラチェットピストン605が第2軸線方向領域670に在るとき、整列要素160aは起動バー505の第1軸線方向部材550の凹状形成表面554に沿って摺動可能であり、且つ、整列要素160bは起動バー505の第2軸線方向部材560の外方表面562に沿って摺動可能であるように、起動バー505は対置された整列要素160a、160bにより側方的に拘束される。凹状形成表面554及び外方表面562は、相互に対して平行なラインであって、案内スロット135、及び、ハウジング105の長手軸線a、起動バー505の第1群の歯570及び起動バー505の第2群の歯580の配置に対して平行であるラインに沿って、軸線方向に延在する。
【0106】
図10Eに示されたように、起動バー505の第2群の歯580が、該起動バー505の第1群の歯570よりも案内スロット135に接近するように、起動バー505は第2横方向位置に在る。この位置において、第2群の歯580は、キャリッジ405の第2ラチェット機能要素480の対応する歯482に噛合する。外方表面562及び凹状形成表面554は、ラチェットピストン605の第1の第2領域670の丈に対して少なくとも概略的に対応する丈を有することから、第2軸線方向領域670内における近位位置と遠位位置との間でのラチェットピストン605の往復動によれば、起動バー505もまた、第1横方向位置に留まり乍ら、対応する近位位置及び軸線方向位置の間で往復動される。故に、上記ラチェットピストン505がその第1軸線方向領域660内に在るときに、該ラチェットピストン及び起動バー505の往復動の間において、(第2軸線方向部材560に沿って配設された)第2群の歯580と、第2ラチェット機能要素480との間のラチェット作用係合は維持される。故に、第2軸線方向範囲670内における近位位置と遠位位置との間におけるラチェットピストン605の往復動により、キャリッジ405の近位方向移動が行われる。
【0107】
デバイス5は、上記起動バーが第1横方向位置に在るときにはキャリッジ405を遠位方向に移動させ、且つ、起動バー505が第2横方向位置に在るときにはキャリッジ405を近位方向に移動させるように構成されるが、この配向は反転され得ること、及び、起動バー505とキャリッジ405との間の選択的な係合は、ハウジング105に関する第1及び第2の横方向位置の間における起動バー505の選択的な移動に加え、又は、その代替策として、他の機構により実現され得ることを理解すべきである。
【0108】
更に、ラチェットピストン605は、該ピストン605が近位側第1軸線方向領域660において起動されたときには、上記ハウジングに対してキャリッジ405の遠位方向移動を起動し、且つ、該ピストン605が遠位側第2軸線方向領域660において起動されたときには、ハウジング105に対してキャリッジ405の近位方向移動を起動するが、デバイス5は、ピストン605が、その全体的に利用可能な軸線方向ストロークの遠位側軸線方向領域において往復動されるときにはキャリッジ405を遠位方向に進行させるべく、且つ、ピストン605が、その全体的に利用可能な軸線方向ストロークの近位領域において往復動されるときにはキャリッジ405を近位方向に進行させるべく、構成され得ることを理解すべきである。更に、デバイス5は、ピストン605が、キャリッジ405を軸線方向及び/又は遠位方向に起動する該ピストンの往復動の間に該ピストンが利用可能な軸線方向ストロークの大部分又は全体を利用することを許容するように構成され得ることを理解すべきである。更に、整列突出部160a、160bに加え、又は、その代替策として、回動の方向を選択する他の調節機構が配備され得る。例えば、上記往復駆動機構の係合状態を選択するために、1つ以上の専用アクチュエータが配備され得る。
【0109】
手術処置の間、デバイス5は、組織の一部分が、アンビル205を含む上側顎部と、ハウジング105及び再装填ハウジング905を含む下側顎部との間に配設されるように、位置決めされる。アンビル枢動ピン290の回りにおいてアンビル205を図4に示された閉じ位置まで起動すると同時に、上記組織は、確実なステープルの駆動及び成形を許容する厚みまで圧縮される。例えば、アンビル205と、ハウジング5及び/又は再装填ハウジング905の対向表面との間の間隙は、アンビル205が閉じ配向に在るときに、2mm以下とされ得る。
【0110】
手術処置の間、アンビルピストン305を介したアンビル205の閉成の後、初期近位位置に在るキャリッジ405は、上記に示されたように、ラチェットピストン605を介して案内スロット135に沿って遠位方向に進行される。上記キャリッジが遠位方向に進行するにつれ、ナイフブレード450は、アンビル205とハウジング105との間に挟持された組織を直線状に切断する一方、上記キャリッジは、ステープルを、再装填ハウジング905から、案内チャネル230内に配設されたステープル成形プレート260内へと押し進めるために、楔形状の再装填用スレッド950を遠位方向に押圧する。この点に関し、図示された例示的実施例における再装填用スレッド950は、例えば4個の夫々のステープルをステープル成形プレート260内へと同時に駆動するように構成された4個の平行なステープル駆動用楔状部材952を含む。各楔状部材952は、ハウジング105の下側壁部130の上側表面132に沿って摺動するように構成された摺動プレート954の上方にて、ハウジング105の長手軸線aと案内スロット135の長手方向経路とに対して平行な方向に延在する。
【0111】
ナイフブレード450の切断刃は好適には、示されたように、円弧形状の曲率を有する。該曲率は、例えば、ブレード450が組織を切断するにつれ、該組織の前縁部を該ブレードの切断刃又は表面上に維持し又は中心合わせするために有用であり得る。ナイフブレード450は湾曲されるが、任意の所望のブレード幾何学形状又は他の切断機構が配備され得ることを理解すべきである。
【0112】
図示例の再装填ハウジング905は、再装填用スレッド950とは別体的である交換可能なカートリッジであるが、再装填用スレッド950は、各カートリッジアセンブリがそれ自体の再装填用スレッド950を含むように、上記カートリッジ内に取入れられ得ることを理解すべきである。更に、再装填用スレッド950は4個の楔状部材952を用いて4個のステープルを駆動するように構成されるが、再装填用スレッド950は、他の任意の個数の楔状部材952、又は、任意の所望の個数のステープルを駆動するように構成された他のステープル駆動要素を含み得ることを理解すべきである。
【0113】
キャリッジ405がその初期近位位置から遠位方向へと進展するにつれ、第1又は上側顎部係合部分420は、アンビルスレッドアセンブリ268に係合する。特に、第1顎部係合部分420のフランジ422、426は、アンビル掛止プレート270が該フランジ422、426の両方の下方に延在するように、該アンビル掛止プレート270により受容される。この段階において、キャリッジ405は、アンビルスレッドアセンブリ268と共に、アンビル205の案内スロット235に沿って遠位方向に進展される。この遠位方向移動の間、アンビル205は、ハウジング105から案内スロット235を通り、案内チャネル230内へと延在する。アンビルスレッドアセンブリ268は、案内チャネル230に沿って延在するステープル成形プレート260の上方にて、案内チャネル230により支持され且つ該案内チャネルの丈に沿って軸線方向に摺動可能である。成形プレート260は、キャリッジ405も貫通延在する案内スロット265を有する。この点に関し、第1顎部係合部分420のフランジ422、426は、力を、ハウジング105の方向において、アンビルスレッドアセンブリ268へと伝達する。ステープル押圧プレート260はアンビルスレッドアセンブリ268とハウジング105との間に配設されることから、上記力は、アンビルスレッドアセンブリ268からステープル押圧プレート260に対しても伝達される。更に、各低摩擦インサート275は、上記力が、アンビルスレッドアセンブリ268とステープル押圧プレート260との間の摺動表面を通して伝達されるにも関わらず、キャリッジ405が摺動可能であることを許容する。この少ない摩擦係合は特に有用であり得る、と言うのも、軸線方向力は、キャリッジ405上の箇所であって、アンビルスレッドアセンブリ268とステープル押圧プレート260との間の摺動係合部から相当にオフセットされた箇所にて、起動バー505により及ぼされるからである。
【0114】
故に、第1顎部係合部分420及び第2顎部係合部430はアンビル205及びハウジング105に係合することで、切断及びステープル綴じの箇所において、局所的な挟持力又は強化を提供する。このことは特に有用である、と言うのも、顎部205、105を離間すべく付勢する傾向のある力は、上記ステープル成形プレート内へとステープルを押圧することにより増大されるからである。この点に関し、上記キャリッジ又は力伝達バー405は、例えば、各ステープルを係合させて成形する力を伝達し、組織を切断し、且つ、一定の組織厚みに対するアンビル“挟持”位置を維持するなどの、複数の機能を有する。顎部105、205の傾斜の勾配は、力伝達バー405が顎部105、205に沿って進行するときに挟持効果を高めるべく改変され得る。
【0115】
ナイフブレード450は、挟持された組織の近位縁部にて開始して該挟持された組織を連続的に切断するように構成されるが、上記ブレードは、上記挟持された組織の近位縁部を遠位方向に越えた箇所において該挟持された組織に係合するように構成され得ることを理解すべきである。例えば、ブレード450は、挟持された各顎部に沿う所定の及び/又は選択可能な箇所において、組織との係合へと作動し又は別様に起動するように構成され得る。この点に関し、ブレード450は、最初はアンビルスレッドアセンブリ268から係合解除されても良いが、遠位方向移動の間における所定の及び/又は選択可能な距離及び/又は箇所の後は、組織の切断と、キャリッジ405からステープルアンビルスレッドアセンブリ268に対する横方向力の伝達の許容とを開始すべく、上記アンビルスレッドアセンブリとの係合へと作動され得る。他のブレード構成も提供され得る。
【0116】
キャリッジ405が所望の軸線方向位置に一旦到達したなら(例えば、組織の上記部分が完全に切断されてステープル綴じされた後)、デバイス5は、上記に示されたように、起動バー505を、その第1横方向位置からその第2横方向位置まで移動させ、且つ、引き続き、第2軸線方向領域670におけるラチェット顎部605の往復動によりハウジング105に対してキャリッジ405を近位方向にラチェット駆動させることにより、キャリッジ405を後退させ得る。キャリッジ405が近位方向に移動するにつれ、第1顎部係合部分410は上記アンビルスレッドアセンブリのアンビル掛止プレート270と係合したままとなり得るか、又は、第1顎部係合部分420は上記アンビル掛止プレートから係合解除され得、その場合、キャリッジ405の更なる近位方向後退によれば、第1顎部係合部分420は戻りリンク部材280の開口282の近位縁部と接触されることで、アンビルスレッドアセンブリ268を近位方向に引き寄せる。
【0117】
デバイス5が、各油圧管705を収容する(例えば以下に記述されるシャフト5205などの)シャフトに対して連結されたとき、そのシャフトとデバイス5との間には、そのシャフトの壁部を、図1に示された捲縮リング860を以て後側キャップ805に対して捲縮することにより、シールが形成され得る。
【0118】
図14乃至図21Fは第2の例示的な手術デバイス1005を示し、図22A乃至図38Bは第3の例示的な手術デバイス3005を示し、且つ、図45乃至図55は第4の例示的な手術デバイス8005を示している。デバイス1005は、別段の表示がなければ、デバイス5に関して本明細書中に記述された特徴を含んでいる。更に、デバイス5もまた、別段の表示がなければ、本明細書中に記述されるデバイス1005の特徴を含んでいる。この点に関し、同様の参照番号は同様の又は類似する要素を表すが、デバイス5の一切の参照番号1〜999は、デバイス1005の参照番号1001〜1999に夫々対応する。例えば、デバイス5のハウジング105は、デバイス1005のハウジング1105に対応し、デバイス5のアンビル205はデバイス1005のアンビル1205に対応するなどである。
【0119】
図22A乃至図38Bは、第3の例示的な手術デバイス3005を示している。デバイス3005は、別段の表示がなければ、デバイス5及び1005に関して本明細書中に記述される特徴を含んでいる。更に、デバイス5及び1005は、別段の表示がなければ、本明細書中に記述されるデバイス3005の特徴も含んでいる。この点に関し、同様の参照番号は同様の又は類似する要素を表すが、デバイス5の一切の参照番号1〜999及びデバイス1005の一切の参照番号1001〜1999は、デバイス3005の参照番号3001〜3999に夫々対応する。例えば、デバイス5のハウジング105及びデバイス1005のハウジング1105は、デバイス3005のハウジング3105に対応し、デバイス5のアンビル205及びデバイス1005のアンビル1205はデバイス3005のアンビル3205に対応するなどである。
【0120】
図45乃至図55は、第4の例示的な手術デバイス8005を示している。デバイス8005は、別段の表示がなければ、デバイス5、1005及び3005に関して本明細書中に記述される特徴を含んでいる。更に、デバイス5、1005及び3005は、別段の表示がなければ、本明細書中に記述されるデバイス8005の特徴も含んでいる。この点に関し、同様の参照番号は同様の又は類似する要素を表すが、デバイス5の一切の参照番号1〜999、デバイス1005の一切の参照番号1001〜1999、及び、デバイス3005の一切の参照番号3001〜3999は、デバイス8005の参照番号8001〜8999に夫々対応する。例えば、デバイス5のハウジング105、デバイス1005のハウジング1105、デバイス8005のハウジング3105は、デバイス8005のハウジング8105に対応し、デバイス5のアンビル205、デバイス1005のアンビル1205、及び、デバイス3005のアンビル3205は、デバイス8005のアンビル8205に対応するなどである。
【0121】
更に、各例示的デバイス5、1005、3005、8005間で何らかの異なる特徴が表される限りにおいて、本発明の例示的実施例は、組み合わせて又は代替策として異なる特徴を含み得ること、及び、各特徴は任意の所望の組み合わせにて配備され得ることを理解すべきである。
【0122】
図16を参照すると、デバイス1005のラチェットピストン1605はデバイス5、3005及び8005のラチェットピストン605、3605及び8605と異なる、と言うのも、ラチェットピストン605のピン610、及び、以下において相当に詳細に記述されるデバイス3005、8005のシャフト3630、8630とは対照的に、付加的で非限定的な実施例においては、シャフト1630から下方に突出されたプレート状延長部1610の形態の起動バー係合機構が配備されるからである。延長部1610は、ピン310がデバイス5のスロット310に係合するのと同一方法で、起動バー1505のスロット1510に係合して該スロットと協働する。
【0123】
図20A乃至図20Cを参照すると、デバイス1005のキャリッジ1405は、デバイス5及び3005のキャリッジ405、3405と異なる、と言うのも、付加的である非限定的な実施例において、ブレード3450は直線状であり、且つ、該ブレードがアンビル1205に向けて進展するにつれ、該ブレードはデバイス1005の遠位端に向けて角度付けられるからである。アンビル1405はまた、保持器プレート460、1460を別体的及び/又は着脱自在な構成要素として有するのと対照的に、キャリッジ3405が保持器プレート1460と一体的に単一の単体片として形成される、という点においても異なる。
【0124】
図21A乃至図21Cを参照すると、デバイス1005の起動バー1505は、デバイス5、3005及び8005の起動バー505、3505及び8505と異なる、と言うのも、延長部1610を受容する力伝達スロット1510は、図21Cにおいて頂部から視認されたときに断面が矩形状であり、且つ、付加的である非限定的な実施例において起動バー1505の一方の側面にて開いているからである。
【0125】
デバイス5の起動バー505もまた、デバイス1005及び3005の起動バー1505及び3505とは異なる、と言うのも、付加的である非限定的な実施例においては、軸線方向凹所1551、1561が軸線方向に整列されるからである。この点に関し、デバイス5に関して図10C乃至図10Eに示された機構と類似する機構が配備されるが、デバイス1005の整列突出部は、デバイス5の起動バー505の対向する対の整列凹所551、561と同一量だけオフセットされる。更に、対向する整列突出部の両方が軸線方向にオフセットされ且つ対向する整列凹所551、561がオフセットされる場合には、付加的な類似機構が配備され得ることを理解すべきである。
【0126】
図21を参照すると、各歯1570は、起動バー1505の長さ方向延伸範囲に関し、勾配表面1572よりも急峻な勾配を有する掛止表面1571を有する。勾配表面1572は、ラチェットピストン1605の往復動の近位方向ストロークの間において、第1ラチェット機能要素1470が(スプリングアーム1475の撓曲により)側方に押圧され得ることで、該第1ラチェット機能要素1470に対して起動バー1505が近位方向に移動されることを許容する。ラチェットピストン605の遠位方向ストロークの間、更に急峻な(この場合には直交する)掛止表面1571は、第1ラチェット機能要素1470に係合して、キャリッジ1405を遠位方向に平行移動させる。この点に関し、近位方向ストロークの間において、キャリッジ1405は、該キャリッジ1405と、デバイス1005の他の各要素との間の係合に起因する摩擦力により、該キャリッジの軸線方向位置に保持され得ることを銘記されたい。起動バー1505の逆側上の歯1580は反転されることで、ハウジング105に対してキャリッジ405を近位方向に移動させる類似した反転係合を許容する。
【0127】
上記起動バーがキャリッジ1405を夫々の軸線方向において移動させるとき、歯1472、1482の掛止表面が歯1570、1580の夫々の掛止表面に接触し、且つ、歯1472、1482の勾配表面が、二次的なピストンストロークの間において歯1570、1580の夫々の勾配表面に係合し且つ平行移動するように、ラチェット機能要素1470及び1480は、図21に示された歯1570の輪郭形状と類似した輪郭形状を備えるラチェット作用歯1472、1482を有する。但し、ラチェット機能要素1470及び/又は1480に、例えば、単一の歯1472、1482などの、図示されたのとは異なる歯部幾何学形状及び/又は異なる個数の歯1472、1482を配備するなど、他の任意の機構が配備され得る。
【0128】
図21Cを参照すると、一連の歯1570は、第1軸線方向要素1550の遠位端に到達する前に終了し、且つ、第2群の歯1580は、第2軸線方向要素1560の近位端到達する前に終了し、このことは、第1軸線方向部材1550の内向き表面上の遠位平坦部1575、及び、第2軸線方向部材1560の対置された内向き表面上の近位平坦部1585に帰着することを更に銘記されたい。この点に関し、平坦部1575、1585は、ハウジング1105内でキャリッジ1405がその最近位位置と最遠位位置との間で移動されるときに、第1及び第2のラチェット機能要素470、480が延在しない、夫々の軸線方向領域に配備される。但し、任意の所望のパターンの歯が配備され得ることを理解すべきである。
【0129】
図21E及び図21Fを参照すると、起動バー1505の底部部分は、軸線方向で視認されたときに、面取りされた下縁部を有する。但し、任意の所望の幾何学形状が配備され得ることを理解すべきである。
【0130】
図22A及び図22Bを参照すると、手術デバイス3005は、シャフト5410に対して連結されることで、手術システムを形成する。シャフト5410は可撓シャフトであるが、堅固なシャフトが配備され得ることを理解すべきである。シャフト5410は、油圧供給管3705a、3705b、3705c及び3705dを収容する。
【0131】
図23及び図24を参照すると、手術デバイス3005は手術デバイス5、1005及び8005とは異なる、と言うのも、付加的な例示的実施例において、再装填ハウジング3905の近位部が、再装填用スリーブ3980の保持フランジ3981内へと摺動し且つ該フランジにより径方向に拘束されるように、ステープルカートリッジとして機能する再装填ハウジング3905は再装填用スリーブ3980内に受容されるからである。再装填用スリーブ3980は、再装填ハウジング3905が取り外されるときに上記ハウジングから取り外され得るか、又は、再装填用スリーブ3980は、再装填ハウジング3905が取り外されるときにハウジング3105に対して固定されても良い。
【0132】
図25及び図26を参照すると、手術デバイス3005は手術デバイス5、1005及び8005と異なる、と言うのも、付加的な例示的実施例においては、アンビル起動スロット3220は非線形であり、且つ、該スロットは、図26に示されたように、上記アンビルがハウジング3105に対して閉じ位置に在るときに該ハウジングのアンビル起動スロット3220に対して平行に延在する遠位部分を含むからである。この配置構成によれば、組織がアンビル3205とハウジング3105との間に挟持されているときに、アンビルピストン3305のピン又はシャフト3310上に及ぼされる近位向きの一切の力が減少又は排除され得る。アンビル3205はアンビル205、1205、8205とも異なる、と言うのも、それは、付加的な例示的実施例において、アンビル3205と、ハウジング3105及び/又は再装填ハウジング3905の夫々の挟持表面の間の間隙内に延在する横方向部材3206を含むからである。横方向部材3206は、挟持された組織の近位縁部が、所望の挟持領域の近位方向に延在することを阻止する確定的停止部を形成すべく作用する。
【0133】
図26を更に参照すると、駆動ピン3310は、アンビル3205を下方に挟持するために、図25の位置から前方又は遠位方向に移動されている。この点に関し、例えば上記ピンの前方移動の間において、挟持力は、ピストン3305に対して付与される流体圧力に比例する。例えば図27に示されたように、挟持ピストン3305は、シリンダ3110内の流体圧力に依り延伸する。
【0134】
図29は、保持器プレート3460が取り外されたキャリッジ3405を示している。他のデバイス5、1005、8005と同様に、キャリッジ又は力伝達バー3405は、例えば、各ステープルを係合させて成形する力を伝達し、組織を切断し、且つ、一定の組織厚みに対するアンビル“挟持”位置を維持するなどの、複数の機能を有する。
【0135】
図31Bは、該図31Bに示された矢印の方向により表されるように、前方又は遠位方向に移動しているピストン3605、アクチュエータ(往復動バー3505)、及び、キャリッジ(力伝達バー)3405を示している。図31Cは、該図31Cに示された矢印の方向により表されるように、後方又は近位方向に移動しているピストン3605を示している。上記ピストンは、図31B及び図31Cに夫々示された各位置の間で、後方及び前方に揺動し続ける。
【0136】
例えば、図30乃至図32を参照すると、デバイス3005は、付加的な例示的実施例において、ラチェットピストン3605が、ラチェットピストンシャフト3630の遠位部分において、デバイス5及び1005において配備されたピン610又は突出部1610の代わりに、周縁凹所3610を含む、という点においてもデバイス5、1005と異なる。
【0137】
更に、起動バー3505はデバイス5及び1005の起動バー505及び1505とは異なる、と言うのも、それは、付加的な例示的実施例において、力伝達スロット510、1510の代わりに、力伝達リブ3510を含むからである。起動バー505、1505の凹所又は雌型構造内へと延在するラチェットピストン605、1605の突出部又は雄型部材610、1610の代わりに、ラチェットピストン3605は、起動バー3505の突出部3510を受容するように構成された凹所又は雌型構造3610を含むことを除き、該ラチェットピストン3605は、デバイス5及び1005のラチェットピストン605、1605及び起動バー505、1505に対して上記に示されたのと類似する方法で起動バー3505と交合する。起動バー3505の横方向に延在する力伝達リブ3510は、シャフト3630の周縁凹所3610内へと延在することにより、ラチェットピストン3605に対して起動バー3505を軸線方向に拘束する一方、ハウジング3105に関する起動バー3505の第1及び第2の横方向位置の間における該起動バーの起動の間においてリブ3510が凹所3610に対して横方向に摺動することを許容する。力伝達リブ3510は、起動バー3505がその第1横方向位置に在るときにラチェットピストン3605の周縁凹所3610内に同様に延在する上向き突出部3511を有する。故に、リブ3510の横方向に延在する部分に加え、周縁凹所3610内への突出部3511の延長部によれば、キャリッジ3405の遠位方向移動の間において、ラチェットピストン3605と起動バー3505との間における力伝達の箇所における大きな構造的一体性が許容される。
【0138】
図32及び図33は、同時的に組織を切断してステープル綴じすべきキャリッジ3405の遠位方向起動の間における再装填ハウジング3905の各ステープル3910の駆動を示している。図示されたように、各楔状部材3952がステープル3910をアンビル3205内のステープル成形プレート3260に向けて上方に漸進的に押圧するように、キャリッジ3405は再装填ハウジング3905を遠位方向に押圧している。各楔状部材3952は、再装填ハウジング3905内に配設された夫々のステープル駆動器3920を漸進的に上昇させることにより、各ステープルを押圧する。各ステープルは、再装填ハウジング3905におけるステープル駆動スロット又は開孔3908を介して放出される。
【0139】
キャリッジ3405は、アンビルスレッドアセンブリ3268に係合する前に、ハウジング3105内における該キャリッジの初期近位位置から、所定遠位方向距離だけ進行することを銘記されたい。但し、この距離は、付加的な例示的実施例においては、所望であれば、減少され、又は、排除さえされ得ることを理解すべきである。
【0140】
図35A乃至図36Bは、起動バー3505の第1及び第2の横方向位置の間で該起動バーをシフトする機構を含む、デバイス3005の起動機構を示している。但し、該機構はデバイス5のそれとは異なる、と言うのも、整列要素3160a、3160bがピンとして構成されるからである。ピン3160a及び/又は3160bは、ハウジング3105、カバー3180、及び/又は、ハウジングアセンブリの他の任意の所望の構造内に支持され得る。図35A乃至図36Bはデバイス3005の部分的底面図であり、デバイス3005は、図35Aにおいては前進/遠位方向ストロークの開始時であり、図35Bにおいては前進/遠位方向ストロークの終了時であり、図36Aにおいては後退/近位方向ストロークの開始時であり、且つ、図36Bにおいては後退/近位方向ストロークの終了時に在る。
【0141】
図37は、アンビル3205内におけるアンビルアセンブリ3268に関するキャリッジ3405の係合構成の部分的断面図である。この点に関し、ステープル成形プレート3260は、該ステープル成形プレート3260がアンビル3205に対して横方向に移動することを拘束すべく、2つの棚部又はフランジ3212により支持される。キャリッジ3405は、ステープル成形プレート3260における案内スロット3265を貫通し、且つ、該ステープル成形プレート3260の上方における案内チャネル3230内へと、垂直に延在する。この領域において、第1顎部係合部分3420は、アンビルアセンブリ3268のアンビル掛止プレート3270に係合する。図37に示された構成において、キャリッジ3405により及ぼされる下向きの力は、上側顎部係合部分3420の対置フランジ3422、3426から、該フランジ3422、3426の下方に配設されたアンビル掛止プレート3270の構造に対して及ぼされる。この力は次に、アンビル掛止プレート3270から、該アンビル掛止プレート3270とステープル成形プレート3260との間に配設されて対置された2つの低摩擦インサート3275へと伝達される。上記力は次に、各低摩擦インサート3275からステープル成形プレート3260へと伝達され、該プレートは次にその力を、棚部又はフランジ3212を介してアンビル3205に伝達する。このようにして、切断及びステープル綴じ手順の間、キャリッジ3405によりアンビル3205に対して下向き力が及ぼされる。下側の顎部に対しては、デバイス5に対して上記に示されたのと同一方法で、ハウジング3105に対する下側顎部係合部分3430の係合により、対応する相補的な上向き力が及ぼされる。故に、キャリッジ3405は、例えば本明細書中に記述された往復起動機構を介して該キャリッジ3405が軸線方向に前進又は後退されるときに一定の挟持組織厚みを維持するために、アンビル3205とハウジング3105との間で張設されることで、アンビル3205及びハウジング3105を、それらの挟持された相対位置へと付勢する。近位箇所から遠位箇所までのキャリッジ3405の移動は、図38A及び図38Bに順次的に示される。
【0142】
例えば、図38A及び図38を参照すると、アンビルスレッドアセンブリ3268はデバイス5及び1005のアンビルスレッドアセンブリ268、1268とは異なる、と言うのも、アンビル掛止プレート3270及び戻りリンク部材3280は、付加的な例示的実施例においては単一の単体片として形成されるからである。
【0143】
遠位方向への切断及びステープル綴じ移動の後でキャリッジ3405がハウジング3105内における該キャリッジの近位位置へと近位方向に復帰するとき、キャリッジ3405はアンビルスレッドアセンブリ3268に係合し、該アセンブリを、アンビル3205における該アセンブリの元の近位位置まで戻し摺動させる。
【0144】
図45を参照すると、手術デバイス8005のヘッドアセンブリ8006及びピストンアセンブリ8010が示される。ヘッドアセンブリ8006は、デバイス5、1005及び3005と同様に、ハウジング8105及びアンビル8205を含む。手術デバイス8005は手術デバイス5、1005及び3005と異なる、と言うのも、手術デバイス8005は、アンビル起動ピストン、アンビル起動ピン、又は、アンビル起動スロットを含まないからである。代わりに、デバイス8005のアンビル8205は、以下において更に詳細に記述されるように、アンビル枢動スロット8120内にてハウジング8105に係合するアンビル枢動フランジ8290を含む。
【0145】
図46は、起動バー8505の上方に載置されたキャリッジ8405、再装填用スレッド8950及びステープル駆動用楔状部材8952を含む、手術デバイス8005のヘッドアセンブリ8006を示している。キャリッジ8405はヘッドアセンブリ8006に対して該キャリッジの近位位置に配置され、且つ、アンビル8205はハウジング8105に対して再び開いている。アンビル枢動フランジ8290もまた示される。再装填ハウジング8905内には、ステープル駆動器8920が示される。デバイス5、1005及び3005におけるのと同様に、デバイス8005のキャリッジ8405は、遠位方向において前方にラチェット駆動されることで、各ステープル駆動用楔状部材8952は、夫々のステープル駆動器8920を(不図示の)ステープル内へと付勢する。
【0146】
デバイス8005のラチェット駆動はデバイス5、1005及び3005のラチェット駆動と異なる、と言うのも、キャリッジ8405は、ラチェット機能要素470、480及びスプリングアーム475、485の代わりに、スプリング負荷された双方向掛止機構又は爪材8470を含むからである。図47A乃至図47Cは、第1群の歯8570及び第2群の歯8580を有する起動バー8505を示すと共に、スプリング力伝達スロット8475と、前縁部8472と、追随縁部8473とを有する爪材8470を更に示している。スプリング力伝達ピン8476を有するキャリッジ8405も示される。キャリッジ8405は、爪材8470に対して(図47の視点から)反時計方向のスプリング力を付与すべく、スプリング力伝達スロット8475内に載置されたスプリング力伝達ピン8476を介して、爪材8470に係合する。図47に示されたように、手術デバイス8005の起動に先立つ、術前位置において、反時計方向のスプリング力は爪材8470の前縁部8472を付勢し、第1群の歯8570と接触させる。以下に記述されるように、遠位方向における起動バー8505の移動時には、第1群の歯8570に対する爪材8470の前縁部8472の係合により、キャリッジ8405は遠位方向に移動され、且つ、以下に記述されるように、近位方向における起動バー8505の移動時には、第1群の歯8570に対する爪材8470の前縁部8472の係合によりキャリッジ8405は近位方向には移動されないように、第1群の歯8570は載置される。第1群の歯8570における各歯間の距離は、起動バー8505の揺動量よりも小さくされるべきであることから、起動バー8505の近位方向移動毎に、(反時計方向のスプリング負荷力下に留まる)爪材8470は、第1群の歯8570の遠位方向において次の歯に係合することが許容される。このようにして起動バー8505が揺動するとラチェット駆動作用が生成され、爪材8470が、故にキャリッジ8405が遠位方向に移動される。
【0147】
第1群の歯8570の遠位端において、起動バー8505は、第1群の歯8570を含む該起動バー8505の側面上に、拡大開口8506を含んでいる。ラチェット駆動操作が進展するにつれ、キャリッジ8405及び爪材8470は最終的に遠位端に到達し、其処で前縁部8472及び爪材8470は、第1群の歯8570の最後の歯に係合した後、拡大開口8506に到達する。拡大開口8506は、爪材8470の前縁部8472が、第1群の歯8570と対置された起動バー8505の側面上の第2群の歯8580と係合するまで、反時計方向のスプリング負荷力により爪材8470がスプリング力伝達ピン8476の回りで回動されるに十分なだけ、大寸である。以下に記述されるように、近位方向における起動バー8505の移動時には、第2群の歯8580に対する前縁部8472の係合により、キャリッジ8405は近位方向に移動され、且つ、以下に記述されるように、遠位方向における起動バー8505の移動時には、第2群の歯8580に対する爪材8470の前縁部8472の係合によりキャリッジ8405は遠位方向に移動されないように、第2群の歯8580は第1群の歯8570と逆の方法で載置される。第2群の歯8580における各歯間の距離は、起動バー8505の揺動量よりも少なくされるべきであることから、起動バー8505の遠位方向移動毎に、(時計方向のスプリング負荷力下に留まる)爪材8470は、第2群の歯8580の近位方向において次の歯に係合することが許容される。このようにして起動バー8505が揺動するとラチェット駆動作用が生成され、爪材8470が、故にキャリッジ8405が近位方向に移動される。この配置構成は、上記スプリング負荷爪材の単純な回動のみにより、上記キャリッジを遠位方向及び近位方向に移動させるべく同一の力(すなわち揺動ピストン及び起動バー)を使用する、という利点がある。上記キャリッジの移動方向を反転する上で、複雑な機構は何ら存在しないことから、結果的なシステムは、複雑さが少なく、操作が更に単純であり、製造が更に容易かつ更に安価であり、且つ、更に効率的である。
【0148】
上述のように、デバイス8005はデバイス5、1005及び3005とは異なる、と言うのも、デバイス8005は、アンビル起動ピストン、アンビル起動ピン、又は、アンビル起動スロットを含まないからである。代わりに、図48を参照すると、デバイス8005のアンビル8205は、アンビル枢動フランジ8290を含む。キャリッジ8405は、第1顎部係合部分8420及び第2顎部係合部分8430を含む。第1顎部係合部分8420は、フランジ8422及び8426を含む。第2顎部係合部分8430は、丸形フランジ8432を含む。フランジ8422及び8426はキャリッジ8405をアンビル8205に係合させ、且つ、丸形フランジ8432はキャリッジ8405をハウジング8105に係合させる。図48図53及び図54を参照すると、キャリッジ8405がヘッドアセンブリ8006の遠位方向に移動するにつれ、キャリッジ8405により及ぼされる下向きの力は、上側顎部係合部分8420の対置フランジ8422、8426から、該フランジ8422、8426の下方に配設されたステープル成形プレート8260へと及ぼされる。上記力はステープル成形プレート8260に対して伝達され、それは次にその力をアンビル8205に対して伝達する。このようにして、切断及びステープル綴じ手順の間に、キャリッジ8405により下向き力がアンビル8205に対して及ぼされる。下側の顎部に対しては、デバイス5に対して上記に示されたのと同一方法で、ハウジング8105に対する下側顎部係合部分8430の係合により、対応する相補的な上向き力が及ぼされる。故に、キャリッジ8405は、例えば本明細書中に記述された往復起動機構を介して該キャリッジ8405が軸線方向に前進又は後退されるときに一定の挟持組織厚みを維持するために、アンビル8205とハウジング8105との間で張設されることで、アンビル8205及びハウジング8105を、それらの挟持された相対位置へと付勢する。
【0149】
図48図53及び図54を参照すると、デバイス8005の起動バー8505はデバイス5及び1005の起動バー505及び1505とは異なる、と言うのも、それは、付加的な例示的実施例において、力伝達スロット510、1510の代わりに、デバイス3005の力伝達リブ3510と類似する力伝達リブ8510を含むからである。デバイス3005におけるのと同様に、起動バー505、1505の凹所又は雌型構造内へと延在するラチェットピストン605、1605の突出部又は雄型部材610、1610の代わりに、ラチェットピストン8605は、起動バー8505のリブ8510を受容するように構成された凹所又は雌型構造8610を含むことを除き、該ラチェットピストン8605は、デバイス5及び1005のラチェットピストン605、1605及び起動バー505、1505に対して上記に示されたのと類似する方法で起動バー8505と交合する。起動バー8505の横方向に延在する力伝達リブ8510は、シャフト8630の周縁凹所8610内へと延在することにより、ラチェットピストン8605に対して起動バー8505を軸線方向に拘束する。ラチェットピストン605、1605及び3605におけるのと同様に、ラチェットピストン8605は、O−リング溝8635、近位側O−リング保持壁8640、及び、遠位側O−リング保持壁8645を含む。起動バー8505はデバイス3005の起動バー3505とは異なる、と言うのも、力伝達リブ8510は、ラチェットピストン8605の周縁凹所8610内へと延在する2つの上向き突出部8511を有するからである。故に、周縁凹所8610の更に大きな部分内への突出部8511の延在によれば、キャリッジ8405の遠位方向移動の間において、ラチェットピストン8605と起動バー8505との間における力伝達の箇所における大きな構造的一体性が許容される。起動バー8505は、本明細書中で更に記述されるように、起動バー5、1505及び3505の複数の横方向位置を含まない。
【0150】
第4の例示的な手術デバイス8005において、キャリッジ8405は先ず、原位置又は近位位置に着座する。この位置において、キャリッジ8405の第1顎部係合部分8420は、アンビル8205と係合せず、又は、該アンビル8205と部分的にのみ係合し、且つ、アンビル8205は、開き位置へとスプリング負荷されて、開き位置に在る。爪材8470は、第1群のラチェット歯8570における近位歯に係合され得るか、又は、起動バー8505に対して最近位位置に在り得る。ラチェットピストン8605からの力が起動バー8505に伝達されるにつれ、爪材8470は、第1群のラチェット歯8570の近位歯に係合し、キャリッジ8405を遠位方向に駆動する。キャリッジ8405が遠位方向に移動するにつれ、第1顎部係合部分8420は案内チャネル8230及び案内フランジ8240及び8245に係合し、アンビル8205に挟持力を及ぼして、該アンビル8205を閉じ位置にもたらす。アンビル8205を閉じるキャリッジ8405の最初の遠位方向移動は、約3mmであり得る。上記最初の遠位方向移動の長さは、ラチェットピストン8605のピストンストロークの長さ、及び、第1群のラチェット歯8570に関する爪材8470の第1近位位置と第1群のラチェット歯8570の第2の近位歯に係合する該爪材8470の第2近位位置との間の軸線方向距離と、実質的に同一であるか、又は、それらより僅かに大寸であり得る。この第1ストローク又は第1歯の距離内において、キャリッジ8405の遠位方向移動は停止され得ると共に、アンビル8205を開くべく且つ手術的ステープル綴じ処理が進展することを阻止すべく、該キャリッジ8405は近位方向に引き戻される。キャリッジ8405がこの第1距離を越えて一旦進展したなら、ステープル発射プロセスは進展する。この配置構成は、上記アンビルを閉じるための第2ピストンに対する必要性を克服し、代わりに、アンビルを閉じ、各ステープルを駆動し、且つ、上記ナイフブレードを前進させるために唯一個のピストンを提供する。単一ピストンシステムは、複雑さが少なく、操作が更に単純であり、製造が更に容易かつ更に安価であり、且つ、更に効率的である。
【0151】
図49は、アンビル8205、キャリッジ8405、起動バー8505、各ステープル駆動器8920、及び、1つの例示的なステープル8910を示している。キャリッジ8405は、プレート8410を含む。図49にはナイフブレードが示されないが、デバイス5、1005、3005のブレード450、1450、3450の内の任意のものが可能である。
【0152】
図45及び図50乃至図55を参照すると、(アンビル8205及びハウジング8105を含む)ヘッドアセンブリ8006を、ハウジング8106、後側キャップ8805及び操縦コラム8807に対して接続するヘッド解放ラッチ8007が示される。該ヘッド解放ラッチ8007は、複数のヘッド解放操作部材8008及び複数のヘッド解放フランジ8009を含む。作動時に、各ヘッド解放フランジ8009は夫々のヘッド解放スロット8107内に載置される。図53及び図54において更に詳細に示されたように、ヘッド解放フランジ8009がヘッド解放スロット8107に係合され、且つ、ラチェット起動ピストン8630は周縁凹所8610を介して係合されて、起動バー8505の力伝達リブ8510を付勢する。図55に示されたようにヘッドアセンブリ8006を上記油圧システムから解放するために、ユーザはヘッド解放操作部材8008を使用して、各フランジ8009を夫々のスロット8107から引き抜き得る。複動式ピストン駆動用起動バー8505と協働して、故に、閉成された油圧起動システムと協働して、上記ヘッドアセンブリを解放すると、上記手術デバイスの実施形態毎に、新たなヘッドアセンブリが使用され得る。新たなアンビル、新たなステープル、及び、新たなナイフブレードを含む新たなヘッドアセンブリは、高度の無菌性の利点を提供すると共に、清浄で無菌の手術デバイスを維持する労力を簡素化する。
【0153】
図50乃至図55に更に示されたように、可撓管5410の端部に接続された操縦ヘッド8807は、油圧的に起動されて、ハウジング8106に接続されたときのヘッドアセンブリ8006に対する油圧的な操縦を提供し得る。操縦ヘッド8807はピン8806を介して後側キャップ8805と係合され、該ピンの回りでは、操縦ヘッド8807に関するヘッドアセンブリ8006の軸線方向が調節され得る。油圧式操縦は、単動式又は複動式のピストンとされ得る操縦ピストン8808を介して行われる。公知の油圧方法において、操縦ピストン8808は、操縦ピストンシリンダ8150の遠位端まで前進されるか、近位端まで引き寄せられ得る。操縦ピストン8808が操縦ピストンシリンダ8150の遠位端と近位端との間の中間に載置されたとき、ヘッドアセンブリ8006は操縦ヘッド8807と同一の軸線方向に載置される。操縦ピストン8808を操縦ピストンシリンダ8150の遠位端まで進行させ、又は、操縦ピストン8808を操縦ピストンシリンダ8150の近位端まで引き寄せると、操縦ヘッド8807に対して左方又は右方へと、ヘッドアセンブリ8006の軸線方向が調節され得る。
【0154】
図39は、上述されたデバイス5、1005、3005、8005の1つ以上と関連して配備され得る手術システム5005を示している。該デバイスは、1つ以上の油圧コントローラを収容する基礎ユニット5105の例示的形態の制御モジュールを含んでいる。AC差込口及び/又はバッテリにより給電され得ると共に、外部電力スイッチ5110及び電源投入表示灯5110を有する基礎ユニット5105は、手術処置の実施のための種々の電子機器も含み得る。更に、基礎ユニット5105は、システム5005の活動状況、及び、障害及び準備状態を表す複数のインディケータ5115aを有する。基礎ユニット5105からは、該基礎ユニット5105に対して互換的プラグ接続部5210を介して接続された可撓シャフト5205が延在する。シャフト5205は、基礎ユニット5105から、例えば外科医などの操作者により保持されて手術処置を実施するように構成されたハンドル5305まで延在する。該ハンドル5305は、ハウジング5310、及び、一対のスイッチ5315及び5320を有する。スイッチ5315は、エンドエフェクタ5505の対置された各顎部の閉成及び開成を起動するように構成された揺動スイッチであり、且つ、スイッチ5300は、エンドエフェクタ5505の切断及びステープル綴じ処置を制御するトリガとして構成される。上記揺動スイッチは、ハウジング105、1105、3105、8205に関するアンビル205、1205、3205、8205の開成及び閉成を制御し、且つ、トリガスイッチ5320は、ハウジング105、1105、3105、8105に関するキャリッジ405、1405、3405、8405の軸線方向移動を制御するように、エンドエフェクタ5505は上述されたデバイス5、1005、3005、8005の内の任意のものであり得る。代替策においては、デバイス8005に関して本明細書中に記述されたように、アンビル8205の開成及び閉成はキャリッジ8205の軸線方向移動により制御され得ることから、アンビル8205の開成及び閉成に対する別体的な制御器は不要であり得る。
【0155】
ハンドル5310からは、(例えばDelrin(登録商標)などの)ポリオキシメチレン、又は、例えばアルミニウムのような陽極酸化された他の任意で適切な材料で形成されたロッド5405が延在する。該ロッド5405の端部には、該ロッド5405からエンドエフェクタ5505まで延在する可撓管5410が在る。該管5410の内部は、ロッド5405の内部と連通する。この点に関し、例えばデバイス5、1005、3005、8005などのエンドエフェクタに付随する(例えば油圧管705a、705b、705c及び705dなどの)複数本の油圧管は、本明細書中に示された方法にて、基礎ユニット5105の内部から、可撓シャフト5205を貫通し、ハンドル5305を貫通し、ロッド5405を貫通し、可撓管5410を貫通し、且つ、デバイス5、1005、3005、8005などのエンドエフェクタ5505内へと延在する。故に、デバイス5、1005、3005、8005は、エンドエフェクタ5505として操作され得ると共に、例えば、スイッチ5320、5315からの制御信号に応じて、制御モジュール5105内のコントローラにより油圧的に制御され得る。各油圧コントローラは基礎ユニット5105内に配設されるが、付加的な例示的実施例に依れば、各コントローラは任意の適切な箇所に配設され得ることを理解すべきである。
【0156】
スイッチ5315、5320は電子的スイッチであるが、純粋に機械的なスイッチが配備され得ることを理解すべきである。
【0157】
シャフト5205は、ハンドル5305に対する接続部にて、鋳造エラストマ又は他の任意で適切な材料で形成された張力緩和部材5215を備えている。更に、ハンドル5305のハウジング5310は、(例えば左半体及び右半体などの)2つの鋳造半体を結合することにより形成され得る。
【0158】
各ハンドル5305のハウジング5310の遠位端には、ボタン5325及びノブ5330が在る。ノブ5330はロッド5405の長手軸線の回りで回動可能とされることで、可撓管5410の屈曲により、例えば、図22Bに示されたデバイス3005の枢動及び/又は逆方向への枢動などのような、エンドエフェクタ5505の運動を起動する。ノブ5330の回動により、エンドエフェクタ5505の任意の適切な単一又は複数の運動が起動されるように構成され得る。ボタン5325は、該ノブ5330が回動に対して固定される既定の非押圧位置を有する。上記ノブが操作者により押圧されたとき、操作者は次に、ノブ5330を回動し得る。
【0159】
可撓管5410は、そのいずれかの端部に結合され得るステンレス鋼のメッシュ内側管を含み得る。管5410は、エンドエフェクタ5505の運動のための1つ以上のヒンジを収容し得る。更に、例えば、可撓管5410と堅固なロッド5405との間の接続部において、該可撓管5410の縁部を覆い及び/又はシールすべく、熱シンクの一部が配備され得る。
【0160】
図40は、別様に示されたところ以外は、上述のシステム5305と同一であるシステムにおいて配備され得る別のハンドル5305’を示している。更に、同様の又は類似する要素には、図39の参照番号と同一であるが記号“’”(ダッシュ)が追随する参照番号が提供される。図40のシステムは図39のシステムと異なる、と言うのも、付加的な例示的実施例においては、ハンドル5305の代わりにハンドル5305’が配備されるからである。別段の表示がなければ、ハンドル5305’は、ハンドル5305と同一方法で機能すると共に、ハンドル5305と同一の特徴を含む。
【0161】
ハンドル5305’はハンドル5305と異なる、と言うのも、それは付加的な例示的実施例において、ハンドル5305のピストルグリップ形態と対照的に、直線状の取手を有するからである。ハンドル5305’はまた、該ハンドルが、スライダスイッチ5305’を含み、例えばデバイス5、1005、3005、8005などのエンドエフェクタ5505の各顎部を開成及び閉成すべくハンドル5305の揺動スイッチ5315の代わりに、スライダスイッチ5315’を含むという点において異なる。ハンドル5305’の遠位から延在するシャフト5405’は、黒色の陽極酸化された加工アルミニウム、又は、例えば(例えばDelrin(登録商標)などの)ポリオキシメチレンのような他の任意で適切な材料で形成される。
【0162】
図41A及び図41Bは、操作卓5605を示している。該操作卓5605は、システム5005の一部として、又は、それに関連して使用され得る。操作卓5605は、例えば、LCD画面又は他の適切なグラフィック的ディスプレイなどのディスプレイ5615、並びに、モノラル及び/又はステレオの音声を出力するように構成された一対のスピーカ5620を含む頂部パネル5610を含む。ディスプレイ5615及び/又はスピーカ5620は、システム5005の(例えばデバイス5、1005、3005、8005などの)エンドエフェクタ5505により実施されつつある処置に関して、操作者に対して情報及び/又は警報を表示するように構成され得る。例えば、ディスプレイ5615は、ステータス情報、システム状態情報、(例えば、エンドエフェクタ5505の各顎部の開成若しくは成状態、及び/又は、デバイス5、1005、3005、8005に関して記述されたような切断及び/又はステープル綴じの状態などの)エンドエフェクタのパラメータ、(例えば、検知された圧力、温度、又は、他のパラメータなどの)フィードバック情報、及び/又は、他の任意で適切な情報を示すように構成され得る。更に、ディスプレイ5615は、例えば内視鏡カメラなどから獲得され得る静止及び/又はビデオ画像を示すように構成され得る。この点に関し、操作卓5605は、視認下で処置を実施すべく、内視鏡及び/又はモニタと組み合わせて使用され得る。
【0163】
更に、操作卓5605は操作者により、例えば、エンドエフェクタ5505及び/又は基礎ユニット5105などのような、システム5005の他の構成要素を制御すべく使用され得る操作パラメータのような制御信号を入力すべく使用され得る。
【0164】
操作卓5605は、任意の適切な通信機構を介して、基礎ユニット5105、及び/又は、上記システムの(例えばハンドル5305及び/又はエンドエフェクタ5505などの)他の任意の単一又は複数の構成要素と通信し得る。例えば、上記通信機構は、ハード結線された、且つ/又は、無線の送信を包含し得る。
【0165】
図42は、第1方向6130、及び、該第1方向6130とは逆の第2方向6135における力の付与及び動作のための油圧操作を概略的に示している。この点に関し、対応する油圧制御シリンダ6100における油圧制御ピストン6105を起動すると、対応する油圧起動シリンダ6150における油圧起動ピストン6155が起動される。
【0166】
図42の例示的な配置構成は、(例えば塩水又は他の適切な液体などの)2つの連続的なシール体積の油圧流体6140、6145を提供する。第1シール体積6140は、制御ピストン6105及び起動ピストン6155により、第2シール体積6145から分離される。
【0167】
図42の左側の配置構成を参照すると、制御ピストン6105に対しては、制御ピストンシャフト6106を介して力6133が付与されることで、第1流体体積6140が加圧される。上記力は、例えば、電気モータ、ソレノイド、及び/又は、他の任意で適切なデバイスなどの、任意の適切な機構により付与され得る。小径の可撓管6120、6125などの上記システムの各構成要素は比較的に拡開不能であることから、上記力は、起動シリンダ6150内の第1体積の油圧流体6140の一部に対して実質的に伝達される。第1体積6140における上記圧力増大は、第1体積6140に接触する起動シリンダ6150の面に作用する。この点に関し、第1体積6140によりピストン6145上に付与される圧力は、起動チャンバ6150の軸線に沿って見たときに、流体6140の圧力とピストン6140の面積との積に略等しい。力6133の付与により、上記第1流体における圧力は体積6145の流体の圧力よりも十分に大きくなることから、起動ピストン6155は、方向6130において該ピストン6155に付与される正味の力の故に、方向6130に移動する。制御ピストン6106及び起動ピストン6155が夫々のシリンダ6100、6150内で移動するにつれ、第1体積6140の加圧流体は管6120内で制御シリンダ6100から起動シリンダ6150に向かう方向に流れ、且つ、第2体積6145の流体は管6125内で起動シリンダ6155から制御シリンダ6100に向かう方向に流れる。
【0168】
図42の右側に示されたように、ピストン6155は、力6133と逆の方向における力6137により類似方法で逆方向6135に起動され、第2体積6145を加圧すると共に、第1及び第2の体積6140、6145が、前方起動に対して上述された各方向とは逆の方向に、管6120、6125内で流される。
【0169】
図42の概略的図示内容において、油圧制御シリンダ6100及び油圧制御ピストン6105は、手術処置の無菌領域の外部とされ得る制御モジュール6102内に配設される一方、油圧起動シリンダ6150及び油圧起動ピストン6155はデバイス6152内に配設され、管6120、6125が制御モジュール6102とデバイス6152とを相互接続している。例えば、上述のシステム5005を参照すると、油圧制御シリンダ6100及び油圧制御ピストン6105は基礎ユニット5105内に収容され得る一方、油圧起動シリンダ6150及び油圧起動ピストン6155は(例えばデバイス5、1005、3005、8005などの)エンドエフェクタ5505内に配設される。例えば、エンドエフェクタ5055がデバイス5、1005、3005、8005の内の1つである場合、アンビルピストン305、1305、3305及びラチェットピストン605、1605、3605、8605を駆動すべく図42の起動機構が配備され得る。故に、制御モジュール5105は、1つはアンビルピストン305、1305、3305を制御し、且つ、1つはラチェットピストン605、1605、3605、8605を独立的に制御する2つの制御ピストン機構を操作し得る。
【0170】
ピストン6105及び6145は実質的に同一の直径として示されるが、相対的直径は、任意の所望の油圧的な梃子作用を提供すべく選択され得ることを理解すべきである。
【0171】
図43Aは、図42に関して概略的に示され且つ記述されたのと同一の概略的な設計態様及び起動原理を利用する制御機構7005を示している。図42の力6133及び6137の起動は、図43Aの機構7005においては、任意の適切なコントローラにより制御され得る電気モータ7010により提供される。上記電気モータの出力軸はクランク軸機構7015に対して連結され、該機構は、上記モータの出力軸の回転軸線からオフセットされた偏心ピン7016であって、継手7025を介して中間出力軸7030に対して同様に回転可能に連結されたリンク7020に対して回転可能に連結される偏心ピン7016を含む。軸7030は軸受ブロック7035により、離間された2つの軸線方向箇所において摺動可能に支持され、該ブロックは、中間軸7030の長手軸線に沿った該中間軸の平行移動を許容するが、中間軸7030を側方移動又は回動からは抑制する。故に、モータ7010が回転するとき、偏心ピン7016の対応回転により、中間軸7030の往復的な軸線方向移動が引き起こされる。中間軸7030は継手7040を介し、油圧制御シリンダ7100内で摺動する油圧制御ピストン7105の制御ピストンシャフト7106に対して連結される。故に、中間軸7030の往復動によれば、ピストン7105はシリンダ7100内を軸線方向に往復動する。
【0172】
制御ピストンシャフト7106、油圧制御ピストン7105及び油圧制御シリンダ7100は、上述された図22のシステムの制御ピストンシャフト6106、油圧制御ピストン6105及び油圧制御シリンダ6100に類似することから、同一方法で機能する。この点に関し、図42の管6120及び6125に対応する管は、夫々の流体コネクタ7050及び7055を介してシリンダ7100の夫々の側に対して接続される。例えば、第1油圧チャンバ110、1110、3110、8110内のラチェットピストン605、1605、3605、8605を起動するために、管705c、1705c、3705cはコネクタ7050に対して連結され得ると共に、相補的な管705d、1705d、3705dはコネクタ7055に対して接続され得、又は、逆も同様である。故に、ピストン7105がシリンダ7100内で電気モータ7010により往復動されるにつれ、図22のピストン6155に対応する上記ピストンにおいて、対応する往復運動が起動される。
【0173】
更に、(例えばラチェットピストン605などの)ピストンが(例えば往復動されるなどの)起動される範囲を制御するために、上記制御ピストンの(例えば往復動などの)運動の範囲は、上記例においては空気シリンダとして配備されるが、任意の適切なアクチュエータとされ得る線形アクチュエータ7060を介して制御可能である。線形アクチュエータ7060は、システム7005の上記モータ及び他の固定された駆動構成要素に対して駆動シリンダ7100を軸線方向に移動させることにより、ピストン7105に対して駆動シリンダ7100を移動させる。このことは、シリンダ7100が内部に形成されたシリンダブロック7101を、線形アクチュエータ7060の出力軸7065の軸線方向の伸張又は縮動により、シリンダ7100の軸線に沿って押圧することにより達成される。線形アクチュエータ7060は、空気入出力バルブ7070及び7075により駆動される。
【0174】
シリンダブロック7101はブロック支持体7103内に摺動可能に支持され、該ブロック支持体は、ピストン7105の利用可能なストローク範囲に対してシリンダ7100の2つの所定の軸線方向位置に対応する確定的停止部を配備することにより、両方の軸線方向において、ブロック支持体7101の軸線方向位置、故にシリンダ7105の軸線方向位置を制限する。この点に関し、これらの位置の間における上記シリンダの移動は、起動されつつある上記ピストンの同様のシフトを達成する。図10C乃至図10Eに関して上記に相当に詳細に記述されたように、例えば、シリンダ7100の第1の所定位置によればラチェットピストン605は第1軸線方向領域660において往復動され得る一方、シリンダ7100を第2の所定位置に移動させると、ラチェットピストン605は第2軸線方向領域670において往復動され得る。故に、アクチュエータ7060は、駆動シリンダ7100を2つの固定位置に移動させることで、ピストン起動の2つの選択可能な区域660、670を生成するように構成される。
【0175】
更に、第1油圧チャンバ110、1110、3110内のアンビルピストン305、1305、3305を起動するために、デバイス5、1005、3005の油圧管705a、1705a、3705a、8705aはコネクタ7050に対して連結され得ると共に、相補的な管705b、1705b、3705bはコネクタ7055に対して連結され得、又は、逆も同様である。この点に関し、モータ7010は、アンビルピストン305、1305、3305を起動するために、上記ピストンが非往復動方法で移動されるように、制御され得る。
【0176】
ピストン7105とシリンダ7100との間においては、ピストン7105の各側部上に配設されてシールされた第1及び第2の流体体積を分離するシールを、O−リング7107が維持する。
【0177】
図43B乃至図43Eには、上記基礎ユニットの代替実施例が示される。基礎ユニット9105は、該基礎ユニット9105の内部を、プラグ接続可能な手術デバイスに対してプラグ受容器9008が接続する枠体9011を含む。互換的なプラグ接続構造9210は、シャフト9205及びプラグ本体9003を含む。4個の単動式ピストン9016、9026、9036(背景にあり、描かれていない)、9046(前景にあり、描かれていない)を有するプラグ本体9003は、例えば、蝶ナット9007を介してプラグ受容器9008に対して取付けられ得る。ピストン9016、9026、9036及び9046の各々は、油圧チャンバ9116、9126、9136(背景にあり、描かれていない)、9146(前景にあり、描かれていない)内に夫々載置される。基礎ユニット9105のモータにより起動された押圧ロッド9019、9029、9039及び9049(前景にあり、描かれていない)は、ピストン9016、9026、9036及び9046に夫々係合し、各油圧チャンバに対して正又は負の力を提供する。上記ピストンとは逆側にて、各油圧チャンバは管9216、9226、9236及び9246に臨み、各油圧チャンバにおいて遭遇した正又は負の油圧力を、手術デバイスの単一又は複数のピストンへと伝達する。
【0178】
ピストン9016及び9026は、本発明の各ラチェットピストンに対して正及び負の油圧力を提供する一対の単動式ピストンを形成する。油圧チャンバ9116及び9126は、手術デバイスの各複動式ラチェットピストンの遠位方向及び近位方向に配置された夫々の相補的な油圧チャンバと流体接続される。故に、ピストン対9016及び9026は各々、他方により提供された油圧力を補完し、必要に応じて、上記複動式ラチェットピストンを揺動させる。ピストン9036及び9046は、例えば、操縦ピストン又はアンビルピストンなどの付加的な複動式ピストンに対して正及び負の油圧力を提供する付加的な対の単動式ピストンを形成し得る。
【0179】
図44は、図43の油圧制御器具7005に関する図22Aのデバイス3005の部分的内部斜視図である。上記で示されたようにラチェットピストン7605を往復動させるために、油圧管3705cは、機構7005のコネクタ7050と、ピストン3605とシリンダ3150との間に形成されたシールの近位側であるシリンダ3150の部分との間で油圧流体を伝達すべく、コネクタ3706cを介して接続され、且つ、管3705dは、機構7005のコネクタ7055と、ピストン3605とシリンダ3150との間に形成されたシールの遠位側であるシリンダ3150の部分との間で油圧流体を伝達すべく、コネクタ3706dを介して接続される。このようにして、駆動シリンダ7100内の往復動ピストン7105は異なる方向に交互に切り替わり、管接続構造7050及び7055及び管3705a及び3705bに対して流体を循環的に出し入れする。管3705a及び3705bは往復動する流体を伝達することで、エンドエフェクタシリンダ150内における揺動運動を生成する。このことは、(ピストン3605とシリンダ3150との間でO−リング3620により形成された)ピストンシールの各側上でシリンダ3150に出入り移動する流体により達成されることで、エンドエフェクタ3005内のピストン3605が往復動される。
【0180】
アンビルピストン3305は、類似する接続構造を介して夫々の機構7005により駆動され得ることから、管3705a、3705bは夫々のコネクタ3706a、3706b及び7050、7055に接続されて油圧流体を搬送する。
【0181】
上述された往復動する手術デバイス5、1005、3005、8005は制御モジュールからの力を伝達すべく油圧起動システムを利用しているが、例えば、電気機械的な駆動器などの他の起動システムが配備され得ることを理解すべきである。例えば、(エンドエフェクタ5、1005、3005、8005、及び/又は、システムの他の任意の箇所内に)1つ以上のソレノイドが配備されることで、開き位置と閉じ位置との間で、起動バーを往復動させ、且つ/又は、アンビルを起動し得る。
【0182】
更に、各例においては、往復動する起動機構が1つ以上の歯を有すると記述されたが、噛合歯は省略され得、且つ/又は、例えば、異なる摩擦の他の任意の係合機構が、本明細書中に記述された各歯に加えて、又は、その代替策として配備され得ることを理解すべきである。
【0183】
本明細書中に記述された各手術デバイスの配置構成は、ハンドル内ではなく、ハウジング内に配置されたラチェット駆動要素を含む。この配置構成によれば、手術デバイスの遠隔操作を支援する可撓シャフトの使用が許容される。
【0184】
本発明は特定の例及び好適実施例に関して記述されてきたが、上記記述は決して限定的でないことを理解すべきである。更に、本明細書中に記述された各特徴は、任意の組合せで使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図32
図33
図34
図35A
図35B
図36A
図36B
図37
図38A
図38B
図39
図40
図41A
図41B
図42
図43A
図43B
図43C
図43D
図43E
図44
図45
図46
図47A
図47B
図47C
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55