(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段が、前記画像形成装置前面のUSBソケットに挿入されたUSB装置の使用を制限する処理を実行するときに、当該USB装置の使用を制限する旨の情報を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【背景技術】
【0002】
電子機器である画像処理装置の1種として、多くの事業所(会社、事務所等)に、記録紙に画像を形成する画像形成装置(代表的にはコピー機)が導入されている。このような事業所において、プリンタ機能及びコピー機能等を備えた画像形成装置をネットワークに接続し、これらを複数のユーザで共用するケースが多くなっている。このような画像形成装置の1種である複合機(MFP(MultiFunction Peripheral))は、コピーモード、ファクシミリモード(以下、ファクシミリをFAXともいう)、ネットワーク対応のプリンタモード、及びスキャナモードのように、複数の基本的な動作モードを備える。
【0003】
画像形成装置は、ネットワークに接続するためのインターフェイスとして、例えばNIC(Network Interface Card)を備えている。NICには端子が装備されており、この端子にUTPケーブル(非シールドより対線)等の通信ケーブルが接続され、これによって画像形成装置はネットワークに接続される。画像形成装置は、ネットワークに接続されることによって、ネットワークに接続されたPC等の端末装置から画像データを受信してプリントする機能、原稿をスキャンして得られた画像データを電子メールに添付して送信する機能、画像データをコンピュータサーバ等にFTP転送する機能等を実現できる。
【0004】
近年では、配線が不要であり機器の設置が容易であることから、無線ネットワーク環境が整ってきている。無線接続のための装置として、IEEE802.11シリーズ等の国際標準規格にしたがった無線LAN用の小型のUSBアダプタ(以下、USB無線LANアダプタという)が普及している。USB無線LANアダプタを装着されたPC等の装置は、2.4GHz等の周波数帯の無線によって、ルータ又はアクセスポイント等に接続可能になる。また、Wi‐Fiにより、無線LAN機器のメーカ間での相互接続性が認証されるようになり、無線によるネットワーク接続がより一層普及している。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、通信データの種類(ストリーミングデータか否か)及び通信状況(アイソクロナス転送中か否か)に応じて通信方式(アイソクロナス転送又はバルク転送)を変更するUSB無線LANアダプタが開示されている。
【0006】
PC等の装置のUSBポートは、無線LANアダプタ以外に種々の周辺装置を接続するために使用される。USB接続可能な周辺装置として、USBメモリが普及している。USBメモリは、大容量であり、小型軽量で可搬性に優れ、取扱いが容易であるので、画像データ等のデータサイズが大きいデータを別の装置に移動させるために利用される。
【0007】
画像形成装置においても複数のUSBポートを備えたものが知られている。そのような画像形成装置では、1つのUSBポートにUSB無線LANアダプタを常時接続状態(画像形成装置の電源がONされている間、常に接続されている状態)で使用し、無線によってネットワークに接続する。ユーザは、画像形成装置の別のUSBポートにUSBメモリを挿入して、USBメモリに記憶されている印刷したい画像データを画像形成装置に入力すること、又は、スキャンした原稿の画像データをPC等の別の装置に移すためにUSBメモリに記憶することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像形成装置の前面のUSBポートにUSB無線LANアダプタが接続されている状態では、USB無線LANアダプタを容易に抜くことができるので、ユーザがUSB無線LANアダプタを間違って抜いてしまう可能性があり、その場合、通信が切断されてしまう問題がある。また、ユーザは画像形成装置の前に立って画像形成装置を操作するので、ユーザの体がUSB無線LANアダプタに当たってUSB無線LANアダプタが損傷してしまう可能性がある。また、ユーザ等が画像形成装置の前を通過するときに、USB無線LANアダプタに接触して損傷してしまう可能性もある。このように、従来の画像形成装置では、挿入されたUSB装置をユーザが容易に抜くことができるUSBポートに、USB無線LANアダプタ等のUSB装置が接続され、そのまま使用されてしまう問題がある。
【0010】
しかし、一般的なPC等の複数のUSBポートを備える装置においては、周辺機器は何れのUSBポートにも接続して使用することができる。複数のUSBポートを備えた従来の画像形成装置においても同様である。特許文献1に記載された発明によっても、上記の問題を解決することはできない。
【0011】
したがって、本発明は、USB無線LANアダプタ等のUSBで接続される機能拡張装置が外力によって損傷を受ける可能性、及び、間違って抜去される可能性を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、下記によって達成することができる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、複数のUSBソケットを備えた画像形成装置であって、複数のUSBソケットのうちの特定のUSBソケットに挿入されたUSB装置が所定装置であるか否かを判定する判定部と、所定装置であると判定されたUSB装置を使用不可能な状態にする処理、又は所定装置であると判定されたUSB装置を使用可能な状態にする処理を選択的に実行する制御部とを備え、特定のUSBソケットは、画像形成装置に対する指示を受付ける操作部の付近に立ったユーザによってUSB装置の挿入及び抜去が可能な位置に配置され、所定装置は、画像形成装置の機能を拡張するためのUSB接続可能な装置である。
【0014】
好ましくは、制御部は、所定装置であると判定されたUSB装置を使用不可能な状態にする処理を実行する。
【0015】
より好ましくは、所定装置は、外部機器と通信を行なうためのUSB記憶装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置が備える複数のUSBソケット(USBポート)のうち、画像形成装置を操作するユーザの手が届く範囲に配置され、ユーザが容易にUSB装置を挿入及び抜去することができる特定のUSBソケットに、画像形成装置の機能を拡張するためのUSB装置が接続されても、そのUSB装置を使用可能な状態にしないようにすることができるので、使用中に間違って抜去される可能性及び損傷を受ける可能性を低減することができる。
【0017】
画像形成装置の前面に配置されたUSBソケットを制限の対象とすることによって、ユーザが画像形成装置の前面で
特定のUSB装置以外のUSB装置を容易に使用できることに加えて、特定のUSB装置が前面のUSBソケットに間違って接続されることを防止することができる。
【0018】
公知のUSB規格のディスクリプタ情報(クラスID、ベンダID及びプロダクトID)を用いて、使用が制限されるUSB装置を判別するので、USB装置に特別な情報を記憶させることなく、製造者から供給されるUSB装置をそのまま使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0021】
図1及び
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100は、原稿を読取って生成された画像データに応じて、所定の記録紙に多色又は単色の画像を形成する。画像形成装置100は、本体装置110と、自動原稿送り装置120とにより構成されている。
【0022】
本体装置110の上部(内部)には、画像読取部140が配置されている。画像読取部140は、自動原稿送り装置120によって搬送される原稿をスキャンして画像データを生成する。本体装置110の上部には、操作部160が配置されている。画像形成装置100は、操作部160を介して入力される指示に応じた処理を実行する。本体装置110の下部には、画像を形成するための記録紙を保持する給紙部156が配置されている。画像形成装置100は、給紙部156から記録紙を引出して、その表面に画像を形成し、画像が形成された記録紙を胴内排紙トレイ170に排紙する。
【0023】
本体装置110には、前面USBソケット184及び背面USBソケット186を備えている。前面USBソケット184は、操作部160が配置されている面であり、画像形成装置100を操作するユーザに対向する面である前面に配置されている。背面USBソケット186は、前面に対向する面である背面に配置されている。具体的には、背面USBソケット186は、
図2に示すように、本体装置110の右側面112の近傍の背面に配置されている。
図1及び
図2には、前面USBソケット184及び背面USBソケット186に挿入され得るUSB装置を破線で示している。
【0024】
図3を参照して、画像形成装置100は、画像形成装置100全体を制御する制御部(以下、CPUという)130と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)132と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)134と、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)136と、バス142とを備えている。ROM132には、画像形成装置100の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータが記憶されている。
【0025】
CPU130、ROM132、RAM134、HDD136はバス142に接続されている。各部間のデータ(制御情報を含む)交換は、バス142を介して行なわれる。CPU130は、バス142を介してROM132からプログラムをRAM134上に読出して、RAM134の一部を作業領域としてプログラムを実行する。即ち、CPU130は、ROM132に格納されているプログラムにしたがって画像形成装置100を構成する各部の制御を行ない、画像形成装置100の各機能を実現する。
【0026】
画像形成装置100は、上記した自動原稿送り装置120、画像読取部140、給紙部156、操作部160、胴内排紙トレイ170、前面USBソケット184及び背面USBソケット186に加えて、画像形成部150、画像処理部152、画像メモリ154、USBホストコントローラ180、及びUSBハブ182を備えている。これら(USBハブ182を除く)も、バス142に接続されている。なお、図示していないが、画像形成装置100は、通常の画像形成装置と同様に、通信ケーブルでネットワークに接続するためのNIC、FAX通信用モデム等を備えている。
【0027】
操作部160は、ユーザによる画像形成装置100に対する指示等の入力を受付ける。操作部160は、操作パネル162及び操作キー部(操作部160中の操作パネル162以外の領域)を備えている。操作パネル162は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを含む。画像形成装置100を操作するために、表示パネルにはソフトキーが表示され、操作キー部にはハードキーが配置される。CPU130は、これらのキーに対するユーザの操作を監視する。ユーザはこれらのキーを押下又はタッチして、画像形成装置100に対して、画像形成の指示、画像形成の条件の設定等を入力することができる。表示パネルに表示されたキーの選択は、表示パネルに重ねられたタッチパネル上の該当部分にタッチすることによって行なわれる。
【0028】
ユーザによって操作部160が操作され、画像形成が指示された場合、画像読取部140によって、原稿が読取られて生成された画像データは画像メモリ154に一時的に記憶される。画像処理部152は、画像メモリ154に記憶された画像データに対して、種々の画像処理を実行する。画像データは、必要に応じてHDD136に記憶される。
【0029】
給紙部156は、給紙カセットを含み、画像形成用の記録紙を保持する。画像形成部150は、感光体ドラム、帯電器、光走査装置、現像器、転写ローラ、定着ユニット等を含み、画像メモリ154又はHDD136から読出された画像データを、給紙部156から搬送される記録紙上に形成する。
【0030】
USBホストコントローラ180、USBハブ182、前面USBソケット184及び背面USBソケット186は、公知のUSB接続形態(多重スター型トポロジ)で接続されている。USBホストコントローラ180は、最上位のルートハブでもある。前面USBソケット184及び背面USBソケット186は何れも、公知のシリーズAプラグが接続されるソケットである。
【0031】
以下に、
図4を参照して、画像形成装置100において実行される、USBソケットに接続されるUSB装置の使用を制限するプログラムに関して説明する。挿入されるUSB装置の使用を制限するUSBソケットを特定するための情報(ポート番号)、及び、使用が制限されるUSB装置を特定するための情報(後述するUSBディスクリプタの情報)は、予めHDD136に記憶されている。なお、「USB装置の使用を制限する」及び「使用が制限されるUSB装置」とは、画像形成装置が、そのUSB装置に該当するデバイスドライバ(OS(Operating System)がハードウェアを制御するために必要な下位のソフトウェアプログラム)をロードせず、そのUSB装置を使用できない状態のままにする場合があることを意味する。
【0032】
以下では、前面USBソケット184にUSB無線LANアダプタが挿入された場合、そのUSB無線LANアダプタを使用可能な状態にせず、即ち使用不可能な状態のままにし、背面USBソケット186に関してはUSB装置の使用を制限しないとする。また、前面USBソケット184にUSB無線LANアダプタ以外のUSB装置が接続された場合、そのUSB装置を使用可能にするとする。
【0033】
ステップ400において、CPU130は、前面USBソケット184又は背面USBソケット186にUSB装置のプラグが挿入されたか否かを判定する。USB装置には、USBメモリ、USB無線LANアダプタ等がある。前面USBソケット184にUSB装置のプラグが挿入されたか否かは、例えば、前面USBソケット184の特定の端子(例えば、データ伝送用の「+Data」端子又は「−Data」端子)の電位を観測することで検知することができる。背面USBソケット186に関しても同様である。何も接続されていない状態で開放されていたUSBソケットの端子は、USB装置のプラグの端子と接続されると、電位が変化する。USB装置のプラグが挿入されたと判定された場合、制御はステップ402に移行する。そうでなければ、ステップ400が繰返される。なお、CPU130が定期的に、USBソケットの端子の電位を観測してもよいが、電位が変化した場合にCPU130に対して割込みが発生するようにしてもよい。
【0034】
以下では、管理者又はサービスマンによって、
図5に示すように前面USBソケット184に、USB無線LANアダプタ190が接続されたとする。
【0035】
ステップ402において、CPU130は、USBホストコントローラ180を制御して、USBハブ182を介して、前面USBソケット184に接続されたUSB装置(USB無線LANアダプタ190)に、USB装置を特定するための情報を要求する。USBホストコントローラ180とUSB装置との通信は、公知のUSB規格にしたがって行なわれる。具体的には、USBホストコントローラ180は、挿入されたUSB無線LANアダプタ190をリセットするためのリセット命令を送信した後、USB無線LANアダプタ190のディスクリプタ情報を取得する命令(GET_DESCRIPTOR)を送信する。命令を受信したUSB無線LANアダプタ190は、記憶しているディスクリプタを、所定のデータ形式で必ず返信しなければならない。
【0036】
ステップ404において、CPU130は、USBホストコントローラ180がUSB装置から、要求した情報(ディスクリプタ)を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ406に移行する。そうでなければ、ステップ404が繰返される。ステップ406に移行する前に、CPU130は、受信した情報をRAM134に記憶する。
【0037】
ステップ406において、CPU130は、USB装置が挿入されたUSBソケットが前面USBソケット184であるか否かを判定する。具体的には、CPU130は、HDD136から、USB装置の使用を制限するポート番号を読出し、ステップ400でUSB装置の挿入が検出されたUSBソケットのポート番号と一致するか否かを判定する。挿入が検出されたポート番号が、HDD136から読出したポート番号と一致した場合、前面USBソケット184に挿入されたと判定されて、制御はステップ408に移行する。そうでなければ、制御はステップ418に移行する。
【0038】
ステップ408において、CPU130は、挿入されたUSB装置が、使用が制限されるUSB装置であるか否かを判定する。これは、USBディスクリプタのクラスの情報(クラスID)を用いて判定することができる。
【0039】
USB装置は、その機能等に応じて、“USB Implementers Forum, Inc.”によってクラスIDが定められている。例えば、無線LANアダプタ190には、クラスIDとして“E0h”(hは16進数であることを意味する。以下同じ)が割当てられている。ここでは、USB無線LANアダプタ190の使用を制限するので、予めHDD136に、使用が制限されるUSB装置を特定するための情報として“E0h”を記憶しておく。CPU130は、ステップ404でRAM134に記憶した、USB装置から受信したディスクリプタのクラスIDが、HDD136から読出した“E0h”と一致するか否かを判定する。使用が制限されるUSB装置(クラスIDが“E0h”)であると判定された場合、制御はステップ410に移行する。そうでなければ(クラスIDが“E0h”ではない)、制御はステップ418に移行する。
【0040】
ステップ418において、CPU130は、挿入されたUSB装置を使用可能にするために、該当するデバイスドライバがHDD136に記憶されているか否かを判定する。該当するデバイスドライバがHDD136に記憶されていると判定された場合、制御はステップ420に移行し、CPU130は、該当するデバイスドライバをロード、即ち、HDD136から該当するデバイスドライバをRAM134に読出し、実行可能な状態にする。その後、制御はステップ416に移行する。これによって、挿入されたUSB装置は、画像形成装置において使用可能になる。一方、該当するデバイスドライバがHDD136に記憶されていないと判定された場合、制御はステップ410に移行する。なお、ここでは、USB無線LANアダプタ190が挿入されたと仮定したので、ステップ418及びステップ420は実行されない。
【0041】
ステップ410において、CPU130は、所定のメッセージを操作パネル162に表示する。ステップ408からステップ410に移行した場合には、例えば、
図6に示すようなメッセージ500を表示する。
図6には、操作パネル162に表示された画像形成装置100の操作画面に重畳されて、挿入されたUSB装置(USB無線LANアダプタ190)が前面USBソケット184では使用できないこと、及び背面USBソケット186では使用できることを示すメッセージ500が表示されている。これによって、管理者又はサービスマンは、前面USBソケット184に挿入したUSB装置、即ちUSB無線LANアダプタ190を抜いて、背面USBソケット186に挿入することが可能になる。
【0042】
一方、ステップ418からステップ410に移行した場合には、例えば、
図7に示すようなメッセージ502を表示する。
図7には、操作パネル162に表示された画像形成装置の操作画面に重畳されて、挿入されたUSB装置のデバイスドライバがないために、挿入されたUSB装置が使用できないことを示すメッセージ502が表示されている。これによって、一般ユーザは、前面USBソケット184に挿入したUSB装置を抜き、必要であれば、該当するデバイスドライバを画像形成装置100にインストールすることを管理者又はサービスマンに要求することができる。
【0043】
なお、ステップ410が、ステップ408及びステップ418の何れから遷移して実行されるかは、フラグによって判定することができる。例えば、フラグの初期値を“0”とし、ステップ408において、使用が制限されるUSB装置であると判定された場合、CPU130がフラグを“1”にセットし、ステップ410では、CPU130が、フラグが“1”の場合に
図6のようなメッセージ500を表示し、フラグが“0”の場合に
図7のようなメッセージ502を表示するようにすればよい。なお、CPU130は、メッセージを表示した後にフラグを“0”にリセットする。
【0044】
ステップ412において、CPU130は、挿入されたUSB装置が抜去されたか否かを判定する。USB装置が抜去されたことは、USBソケットの所定の端子の電位変化を検知することで行なわれる。USB装置が抜去されたと判定された場合、制御はステップ414に移行する。そうでなければ、ステップ412が繰返される。
【0045】
ステップ414において、CPU130は、操作パネル162に表示されたメッセージを消去し、元の操作画面を表示する。
【0046】
ステップ416において、CPU130は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。終了の指示は、例えば画像形成装置100の電源オフによってなされる。
【0047】
以上によって、前面USBソケット184に、USB無線LANアダプタ190が挿入された場合、該当するデバイスドライバがHDD136に記憶されていたとしても、ステップ400〜410が実行されて、USB無線LANアダプタ190を使用可能な状態にせず、その旨を示すメッセージが操作パネル162に表示される。メッセージを見た管理者又はサービスマンは、前面USBソケット184からUSB無線LANアダプタ190を抜き、背面USBソケット186に挿入する。その後、ステップ400〜406及びステップ418〜420が実行されて、背面USBソケット186に挿入されたUSB無線LANアダプタ190が使用可能になる。USB無線LANアダプタ190は、容易にアクセスできない背面USBソケット186で使用されるので、常時接続で使用されても、損傷される可能性、及び、間違って抜去される可能性は低い。
【0048】
また、一般ユーザが、USB無線LANアダプタ190以外のUSB装置(例えばUSBメモリ)を、前面USBソケット184に挿入した場合には、ステップ408において、使用が制限されないUSB装置であると判定されるので、そのUSB装置の使用が可能になる。
【0049】
上記では、使用が制限されるUSB装置を特定するために、クラス情報を使用する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、ディスクリプタ中のベンダID及びプロダクトIDを使用してもよい。その場合、ステップ408において、CPU130は、USB装置から受信したディスクリプタのベンダID及びプロダクトID(ステップ404でRAM134に記憶)が、HDD136に予め記憶されたベンダID及びプロダクトID(使用が制限されるUSB装置を特定するための情報)と一致するか否かを判定すればよい。
【0050】
なお、ベンダIDとは、USB装置の製造者を特定するための情報であり、プロダクトIDは、製造者の製品を特定するための情報である。プロダクトIDは、USB装置の製造者によって指定されるが、ベンダIDは、製造者が“USB Implementers Forum, Inc.”に申請することで、決定される。ベンダIDは公知であり、“USB Implementers Forum, Inc.”のウェブページ(http://www.usb.org)から、製造者と対応させたデータが提供されている。
【0051】
上記では、使用が制限されるUSB装置がUSB無線LANアダプタである場合を説明したが、これに限定されない。画像形成装置の機能を拡張するためのUSB接続可能な装置であればよく、外付け記憶装置(HDD等)、又はユーザ認証装置(ICカードリーダ、磁気カードリーダ、指紋認証装置等)等であってもよい。これらも、前面USBソケットに常時接続されて使用されると、損傷される可能性、及び間違って抜去される可能性が高いので、前面USBソケットに接続された場合、使用できる状態にしないことが好ましい。
【0052】
図8に、クラスIDの例を示す。例えば、ICカードリーダのクラスIDは“0Bh”であるので、ICカードでユーザ認証を行なうためにICカードリーダを画像形成装置に接続して使用する場合、ICカードリーダが前面USBソケットに接続されないように、使用が制限されるUSB装置を特定する情報として“0Bh”を予めHDD136に記憶しておけばよい。また、ユーザ認証を行なうために指紋読取機を接続する場合には、使用が制限されるUSB装置を特定するための情報として“0Dh”を予めHDD136に記憶しておけばよい。また、複数種類のUSB装置の使用を制限する場合には、それらのクラスIDを予めHDD136に記憶しておけばよい。
【0053】
なお、外付けHDD等の外付け記憶装置のクラスIDは、USBメモリと同じ“08h”であるので、クラスIDだけで判別することはできないが、ベンダID及びプロダクトIDを用いれば、外付け記憶装置の使用を制限することができる。
【0054】
上記では、前面及び背面にUSBソケットを備える画像形成装置に関して説明したが、これに限定されない。画像形成装置を操作するために操作部付近に立ったユーザが、手でUSB装置を挿入及び抜去できる位置(例えば前面)に配置されたUSBソケットと、手でUSB装置を挿入及び抜去できない位置(例えば、前面以外の面)に配置されたUSBソケットとを備えた画像形成装置であれば、本発明を適用することができる。例えば、
図9に示したように、画像形成装置が、前面と、右側面の後方とにUSBソケットを備える場合、側面のUSBソケット188を、上記の背面USBソケット186と同様に扱えばよい。
【0055】
上記では、ステップ420においてデバイスドライバが自動的にロードされて、USB装置が使用可能になる場合を説明したが、必要な設定を入力する画面を操作パネル162に表示してもよい。例えば、USB無線LANアダプタであれば、デバイスドライバがロードされて、近くにある無線ルータ又はアクセスポイントを自動的に検出して接続するようにすることができるが、接続可能な無線ルータ又はアクセスポイントが複数検出された場合、検出された複数の接続先を操作パネル162に表示して、選択させてもよい。また、デバイスドライバがロードされた後、接続先のIPアドレスを入力する画面を表示してもよい。また、WEP(Wired Equivalent Privacy)、WPA(Wi‐Fi Protected Access)等の無線通信における公知のセキュリティを設定してもよい。
【0056】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。