特許第6046672号(P6046672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6046672-自動車のLDC制御装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046672
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】自動車のLDC制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 1/00 20060101AFI20161212BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B60L1/00 L
   H02J7/00 P
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-162014(P2014-162014)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-91218(P2015-91218A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2014年8月8日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0134379
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ドン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム ウ スプ
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−220279(JP,A)
【文献】 特開2007−137275(JP,A)
【文献】 特開2009−113674(JP,A)
【文献】 特開2007−272709(JP,A)
【文献】 特開2010−172138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60R 16/00−17/02
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動部と、LDCと、一つ以上の負荷装置と連動された電気自動車のLDC制御方法であっ
DCを電力オフ状態に維持するステップと、
前記始動部からモニタリングされるIGN信号がオン状態であるかを判断するステップと、
判断結果の前記IGN信号がオン状態であれば、前記LDCに電力オン制御信号を出力して前記LDCを起動状態に転換するステップと、
判断結果の前記IGN信号がオフ状態なら、CANバスに前記一つ以上の負荷装置の中で少なくとも一つの負荷装置に関するデータがあるかどうかを判断するステップと
判断結果の前記CANバスに前記一つ以上の負荷装置の中で少なくとも一つの負荷装置に関するデータがある場合、前記少なくとも一つの負荷装置に電力を供給するために前記LDCに電力オン制御信号を出力して前記LDCを起動するステップと
前記IGNがオン状態からオフ状態に変更されれば、前記LDCに電力オフ制御信号を出力して前記LDCをオフ状態に転換させるステップと
前記IGN信号がオン状態で維持されていれば、前記CANバスに前記一つ以上の負荷装置に関するデータがいずれもないか否かを判断するステップと
判断結果の前記CANバスに前記一つ以上の負荷装置に関するデータがいずれもない場合、前記IGN信号がオン状態でも前記LDCに電力オフ制御信号を出力して前記LDCをオフ状態に転換させるステップと
を含む、電気自動車のLDC制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車のLDC制御装置に関するものであって、より詳しくは、IGN信号だけでなくLDCと連動する他の電装品が一つでもオン状態にある場合にはLDCが自ら起動して動作する状態にし、LDCと連動する他の電装品がすべてオフ状態にある場合にはLDCがそれを認知して自ら電力オフ(Power OFF)状態に動作するようにする電気自動車のLDC制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用電装品で充電などの目的で使用される一部の構成品を調べると、高電圧バッテリ、それを充電するためのOBC(On Board Charger)、低電圧バッテリ、負荷装置、低電圧直流変換機(LDC:Low voltage DC−DC Converter)などで構成されている。
【0003】
このうちLDCは、高電圧バッテリを低電圧に変換して低電圧バッテリを充電するか負荷装置に電力(Power)を伝達する役割をする。
【0004】
最近、環境問題によって環境にやさしい自動車に対する関心が増大しており、このような環境にやさしい自動車の殆どは電気エネルギーを利用して駆動されている。
【0005】
LDCはそのような電気エネルギーを低電圧バッテリに充電し、負荷装置に電力を伝達する役割をする。このようなLDCに必要な際に電源が入っていないか不必要な場合にも電源が入っているのであれば、ユーザに不便をもたらすだけでなく不必要な電流を消耗することになる。
【0006】
従来の場合、LDCはひたすらIGN信号によってのみオン・オフ制御をしていた。よって、駐停車の際にユーザがIGNを電力オフさせた状態ではLDCの動作が不可能になる。即ち、ラジオ、エアコンなどの負荷装置の使用が不可能になるだけでなく、充電の際にLDCを介して低電圧バッテリを充電することが不可能になる。よって、ユーザは充電の際にも常にIGNをオンさせなければならない不便さを有していた。
【0007】
現在、IGN信号によってのみ電源が制御される場合、ユーザが充電をする場合でも常にIGN信号を印加すべきであり、全ての電装品が動作していない場合でもIGN信号が印加されていると常に動作する非効率性がある。また、実際にLDCが動作していない状況であっても、IGNがオンされている状態ではLDCには常に電源が入っているため不必要な電流を消耗することになる。
【0008】
よって、ユーザの便宜性を阻害するだけでなく不必要な電力の損失を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、IGN信号だけでなくLDCと連動する他の電装品が一つでもオン状態にある場合にはLDCが自ら動作する状態にし、LDCと連動する他の電装品が全てオフ状態にある場合にはLDCがそれを認知して自ら電力オフ状態に動作するようにする電気自動車のLDC制御装置を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は上述した課題に限られず、言及されていない他の課題は下記の記載から提案される実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によると、始動部と、LDCと、一つ以上の負荷装置と連動された電気自動車のLDC制御装置であって、一つ以上の負荷装置と通信を行う通信部と、LDCに電力制御信号を出力し、LDCと、一つ以上の負荷装置の状態情報を含むデータを送受信する制御部と、を含み、制御部は始動部のIGN信号状態情報がオフ状態である場合、一つ以上の負荷装置で起動状態がオン状態である負荷装置があればLDCに電力オン制御信号を出力し、始動部のIGN信号状態情報がオン状態である場合、一つ以上の負荷装置で起動状態が全てオフ状態であればLDCに電力オフ制御信号を出力する電気自動車のLDC制御装置が提供される。
【0012】
制御部は、始動部で始動キーの位置がIGNオフ状態で維持された状態でLDCを起動して充電を行う。
【0013】
制御部はLDCが正常状態である状態で始動部からIGNのオフ信号が感知されると、LDCに電力オフ制御信号を出力してLDCがオフ状態に転換されるようにする。
【0014】
電気自動車のLDC制御装置は始動部のIGN信号状態情報、LDCの状態情報、電圧情報、電流情報、負荷装置情報を記憶するメモリを更に含む。
【0015】
通信部はCANバスを介して一つ以上の負荷装置とCAN通信を行うCAN通信部であってもよい。
【0016】
制御部は始動部のIGN信号状態情報がオフ状態である場合にはCANバスにデータがあればLDCに電力オン制御信号を出力し、始動部のIGN信号状態情報がオン状態である場合にはCANバスにデータがなければLDCに電力オフ制御信号を出力する。
【0017】
本発明の他の側面によると、始動部、LDC、一つ以上の負荷装置と連動された電気自動車のLDC制御装置の制御方法であって、前記始動部のIGN信号状態情報がオフ状態である場合、前記一つ以上の負荷装置で起動状態がオン状態である負荷装置があれば前記LDCに電力オン制御信号を出力するステップと、前記始動部のIGN信号状態情報がオン状態である場合、前記一つ以上の負荷装置で起動状態が全てオフ状態であれば前記LDCに電力オフ制御信号を出力するステップと、を含む電気自動車のLDC制御方法が提供される。
【0018】
前記LDC電力オン制御信号を出力するステップは、前記LDCを電力オフ状態に維持するステップと、前記始動部からモニタリングされるIGN信号がオン状態であるかを判断するステップと、判断結果IGN信号がオン状態であれば、前記LDCに電力オン制御信号を出力して前記LDCを起動状態に転換するステップと、を含む。
【0019】
電気自動車のLDC制御方法は、前記IGN信号がオン状態であるかを判断した結果、前記始動部から感知されたIGN信号がオン状態ではなくオフ状態であればCANバスにデータがあるか否かを判断するステップと、判断結果CANバスにデータがある場合、前記LDC電力オン制御信号を出力して前記LDCを起動するステップと、を更に含む。
【0020】
前記LDCに電力オフ制御信号を出力するステップは、前記LDCが正常動作状態である状態で、前記始動部からIGNの信号がオフ状態であるか否かを判断するステップと、判断結果IGN信号がオフ状態であれば、前記LDCに電力オフ制御信号を出力して前記LDCをオフ状態に転換させるステップと、判断結果IGN信号がオン状態であれば、他の全ての負荷装置がオフ状態であるか否かを判断するためにCANバスにデータがあるかを判断するステップと、判断結果CANバスにいずれのデータもない場合、IGNがオン状態であっても前記LDCに電力オフ制御信号を出力して前記LDCをオフ状態に転換させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、LDC電源制御方式を多変化してIGN信号だけでなくLDCと連動する他の電装品が一つでもオン状態にある場合にはLDCが自ら起動して動作する状態にし、LDCと連動する他の電装品が全てオフ状態にある場合にはLDCがそれを認知して自ら電力オフ状態に動作するようにすることで、電装品が全て動作していない状況ではIGN信号が印加されていてもLDCが電力オフされて電力の消耗を効果的に減らすことができる。
【0022】
LDCの動作が必要な時点を認識して電源を印加することでユーザの便宜性を向上し、LDCの動作が不必要な時点を認識して電源を消すことで不必要な電力の損失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例による電気自動車のLDC制御装置の構成ブロック図である。
図2】本発明の一実施例による電気自動車のLDC制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施例を図面と共に詳細に説明する。しかし、本発明の思想が提示される実施例に制限されることはなく、他の構成要素の追加や変更、削除などによって退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができる。
【0025】
本発明で使用される用語はできるだけ現在広く使用されている一般的な用語を選択しているが、特定の場合には出願人が任意に設定した用語もあり、この場合該当する発明の説明部分にその意味を詳細に記載しているため、単純な用語の名称ではなく用語が有する意味として本発明を把握すべきであることを明らかにする。
【0026】
即ち、以下の説明において、単語「含む」は列挙されたものと異なる構成要素又は段階の存在を排除しない。
【0027】
図1は、本発明は一実施例による電気自動車のLDC制御装置の構成ブロック図である。
【0028】
図1を参照すると、LDC制御装置100は始動部200、LDC300、一つ以上の負荷装置400に電気的に接続されている。
【0029】
LDC制御装置100はCAN(Controller Area Network)バスを介して一つ以上の負荷装置400に連結されている。LDC制御装置100と負荷装置400はCANバスを介してCAN通信を行ってデータを送受信する。負荷装置400はLDC300又はバッテリ(図示せず)によって電力を供給される。始動部200はユーザの始動キー操作によってIGN(ignition)オン信号又はIGNオフ信号を発生する。
【0030】
LDC制御装置100はメモリ110、CAN通信部120、制御部130を含んで構成される。
【0031】
メモリ110は始動部200のIGN信号状態情報、LDC300の状態情報、電圧情報、電流情報、負荷装置400に対する情報を貯蔵する。
【0032】
CAN通信部120はCANバスを介して負荷装置400とCAN通信を行う。ここではCAN通信部120で説明したが、本発明はそれに限られずに電気自動車内で他の通信方式を介して通信部が具現されてもよい。
【0033】
制御部130はLDC300に電力制御信号を出力し、LDC300、負荷装置400の状態情報を含むデータを送受信する。
【0034】
制御部130は始動部200から発生したIGN信号を感知し、負荷装置400の起動(Wakeup)信号を感知する。負荷装置400の起動信号は負荷装置400が動作している場合に発生される。
【0035】
制御部130はLDC300を電力オフ状態に維持する。
【0036】
制御部130は外部でユーザの始動キー操作によって始動部200からIGN ON信号が発生すると、LDC300に電力オン制御信号を出力してLDC300を起動状態に転換する。それによって、LDC300は起動状態に転換されて正常動作を行う。
【0037】
一方、制御部130は始動部200から感知されたIGN信号がOFF状態であればCANバスにデータがあるか否かを判断する。
【0038】
制御部130はCANバスにデータがある場合にはLDC300に電力オン制御信号を出力し、LDC300を起動して正常動作を行わせる。
【0039】
それによって、制御部130は始動部200で始動キーの位置がIGNオフ状態で維持された状態で、LDC300を起動して充電を行う。
【0040】
制御部130はLDC300が正常動作状態である状態で、始動部200からIGNのオフ信号が感知されるとLDC300に電力オフ制御信号を出力してLDC300をオフ状態に転換させる。
【0041】
制御部130は始動部200のIGN信号がオン状態で感知されるとCANバスのデータ有無を判断する。
【0042】
制御部130は判断結果、CANバスにいずれのデータもない場合、IGNがオン状態であってもLDC300に電力オフ制御信号を出力してLDC300を電力オフ状態に転換させる。このようにして始動部200のIGN信号がオン状態であってもあえてLDC300の起動が不必要な状況ではLDC300による電流消耗を減らすことができる。
【0043】
図2は、本発明の一実施例による電気自動車のLDC制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図2を参照すると、制御部130はLDC300を電力オフ状態で維持する(S1)。
【0045】
制御部130は始動部200からモニタリングされるIGN信号がオン状態であるかを判断する(S2)。
【0046】
判断の結果、IGN信号がオン状態であれば制御部130はLDC300に電力オン制御信号を出力してLDC300を起動状態に転換する(S3)。それによって、LDC300は起動状態に転換されて正常動作を行う(S4)。
【0047】
一方、S2の判断の結果、始動部200から感知されたIGN信号がオン状態ではなくオフ状態であれば、制御部130はCANバスにデータがあるか否かを判断する(S5)。
【0048】
判断の結果、CANバスデータがある場合には制御部130はLDC300に電力オン制御信号を出力し、LDC300を起動させて正常動作を行わせる(S3)。
【0049】
制御部130はLDC300が正常動作状態である状態で、始動部200からのIGN信号がオフ状態であるか否かを判断する(S6)。
【0050】
S6の判断の結果、IGN信号がオフ状態であれば制御部130はLDC300に電力オフ制御信号を出力してLDC300をオフ状態に転換させる(S7)。
【0051】
S6の判断の結果、IGN信号がオン状態であれば制御部130は他の全ての負荷装置がオフ状態であるか否かを判断するためにCANバスにデータがあるかを判断する(S8)。
【0052】
S8の判断の結果、CANバスにいずれのデータもない場合、制御部130はIGNがオン状態であってもLDC300に電力オフ制御信号を出力してLDC300を電力オフ状態に転換させる(S7)。
【0053】
これまで本発明による具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能であることはもちろんである。よって、本発明の範囲は説明された実施例に限って決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって決められるべきである。
【符号の説明】
【0054】
100 LDC制御装置
110 メモリ
120 CAN通信部
130 制御部
200 始動部
300 LDC
400 負荷装置
図1
図2