(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非使用時の前記甲カバーの平面パターンは、前記上辺、前記上辺の右端部から直角に曲がる前記第1右側辺、前記第1右側辺に連続し前記上辺の右側延長方向に広がる右湾曲面、前記右湾曲面に連続し前記上辺に対し直交する方向に延在する前記第2右側辺、前記上辺の左端部から直角に曲がる前記第1左側辺、前記第1左側辺に連続し前記上辺の左側延長方向に広がる左湾曲面、前記左湾曲面に連続し前記上辺に対し直交する方向に延在する第2左側辺、前記第2右側辺の下端部と前記第2左側辺の下端部を互いに接続し前記上辺に平行方向に延在する前記下辺によって前記エプロン形状を定義することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外反母趾矯正サポータ。
前記右湾曲面は、前記第1右側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって前記甲カバーと前記足裏カバーの間の端部を互いに離間させ、前記左湾曲面は、前記第1左側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって前記甲カバーと前記足裏カバーの間の端部を互いに離間させることを特徴とする請求項4に記載の外反母趾矯正サポータ。
前記右湾曲面に接した前記甲カバーと前記足裏カバーの間から右足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させ、前記左湾曲面に接した前記甲カバーと前記足裏カバーの間から左足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させることを特徴とする請求項4又は5に記載の外反母趾矯正サポータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者の一人は、親指が第2指に重なるようになり、グー、チョキ、パーのパーができなくなった。それに伴い、膝の内側、足の裏に痛みが発生した。種々の矯正用器具を試み、整形外科にも通ったが、これと言った効果が得られなかった。自分が将来歩けなくなるのではとの恐怖も感じた。とにかく、今の痛みだけでも軽減したいとの思いで、以下の本発明の第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータを考え出した。
【0010】
以下の第1の実施の形態を説明において参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
又、以下に示す第1の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは、
図4に示すように、非使用時の平面パターンが、互いに同一寸法のエプロン形状をなす甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)を備えている。この第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは、エプロン形状の胸当て部に対応する箇所の上辺の中心から、上辺よりも長く、エプロン形状を定義する下辺の中心に向かう中心線に沿って、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)のそれぞれの中央を内壁側で互いに結合して境界壁を構成する中央部結合手段31と、上辺の右端部から下辺に向かう第1右側辺に沿って、甲カバー1b
t及び足裏カバー1b
bを互いに結合して右親指牽引部を構成する右親指右結合手段33bと、上辺の左端部から下辺に向かう第1左側辺に沿って、甲カバー1a
t及び足裏カバー1a
bを互いに結合して左親指牽引部を構成する左親指左結合手段33aと、下辺の右端部から上辺に向かう第2右側辺に沿って、甲カバー1b
t及び足裏カバー1b
bを互いに結合する右前足部右結合手段32bと、下辺の左端部から上辺に向かう第2左側辺に沿って、甲カバー1a
t及び足裏カバー1a
bを互いに結合する左前足部左結合手段32aとを更に備えている。第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは、エプロン形状を構成している下辺側から、
図5(b)に示すような、甲カバー(1a
t;1b
t)と足裏カバー(1a
b;1b
b)の間の境界壁で区切られた2つの空間に両足をそれぞれ挿入し、
図1〜
図3に示すように、上辺の右側から右親指の先端部を突出させ、上辺の左側から左親指の先端部を突出させる。
【0013】
外反が強くなると、親指を引っ張って放すと、まるで音の出ないバネの如く戻りが強く自力では開かなくなる。何時もじゃんけんのグーの状態になっている。第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータによれば、この外反のバネの強さを両足のそれぞれの親指に互いに利用させることができる。即ち、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータによれば、右親指保持部7bに右親指を挿入し、左親指保持部7aに左親指を挿入し、右親指保持部7bの右親指牽引部によって右親指を左側に牽引し、左親指保持部7aの付け根5aの付け根5aの左親指牽引部によって左親指を右側に牽引するように、外反のバネの強さを利用できる。
【0014】
本発明者の一人は、毎晩就寝時に1時間程度、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータを装着した。10日経過した頃、グー、チョキ、パーのパーができるようになった。一月後には、親指の第2指への重なりにも、かなりの改善が見られた。もちろん、膝脇、足裏の痛みも解消した。
【0015】
甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)は、ポリエステエルやナイロン等の弾性に富んだ繊維材料の織物生地やゴム等の弾性材料からなる生地等が好ましい。或いは繊維状の弾性材料をポリエステエルやナイロン等と共に平織等によって織り込んだ織物生地でもよい。なお、足裏カバー1b
bの方が、甲カバー1b
tよりも伸縮性(弾性)がやや小さい方が望ましい。
【0016】
図4に示した中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33a、右前足部右結合手段32b、左前足部左結合手段32aは、例えば連続した繊維の糸を用いてで、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)の互いに対向する内壁(内面)をほぼ一定周期で縫い込んで、線状に密着させ、物理的に結合させる機構が採用可能である。具体的にはミシン等を用いて縫い目を表に出すように、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)を線状に縫い込めばよい。縫い目を表に出すことにより、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータを履いたときの捻れを点検できる。
【0017】
又、中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33a、右前足部右結合手段32b、左前足部左結合手段32aは、それぞれ独立した繊維の糸を、等間隔でステープラーのように貫通させ、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に密着させ、物理的に結合させてもよい。或いは、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)の互いに対向する内壁(内面)を熱等により融解して、互いに密着させ、線状に結合させてもよく、接着剤等を用いて、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に結合させてもよく、その他、種々の化学的手段によって、甲カバー(1a
t;1b
t)及び足裏カバー(1a
b;1b
b)の互いに対向する内壁(内面)を線状に結合させて、中央部結合手段31、右親指右結合手段33b、左親指左結合手段33a、右前足部右結合手段32b、左前足部左結合手段32a等を構成してもよい。
【0018】
図4に示すように、非使用時の甲カバー(1a
t;1b
t)の平面パターンは、上辺、上辺の右端部から直角に曲がる第1右側辺、第1右側辺に連続し上辺の右側延長方向に広がる右湾曲面、右湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2右側辺、上辺の左端部から直角に曲がる第1左側辺、第1左側辺に連続し上辺の左側延長方向に広がる左湾曲面、左湾曲面に連続し上辺に対し直交する方向に延在する第2左側辺、第2右側辺の下端部と第2左側辺の下端部を互いに接続し上辺に平行方向に延在する下辺によって胸当て部と前掛け部を有するエプロン形状を定義する。足裏カバー(1a
b;1b
b)側の平面パターンの図示を省略しているが、非使用時においては、
図4に示した甲カバー(1a
t;1b
t)の平面パターンと合同となる同一寸法、同一形状である。
【0019】
甲カバー(1a
t;1b
t)と足裏カバー(1a
b;1b
b)が同一寸法、同一形状であるので、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータを履いたとき、足の甲の盛り上がった容積分、甲カバー(1a
t;1b
t)側の面積が不足する。足裏カバー1b
bの方が甲カバー1b
tよりも伸縮性(弾性)が小さいように設定しておけば、不足分は伸縮性(弾性)が大きな甲カバー1b
tが伸びをカバーすることになる。この甲カバー1b
tの伸びも親指の牽引に役立つ。
【0020】
第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの右湾曲面は、
図4に示すように、第1右側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー1b
tと足裏カバー1b
bの間の端部を互いに離間させ、左湾曲面は、第1左側辺の下端部から下に凸となる円弧状に広がって甲カバー1a
tと足裏カバー1a
bの間の端部を互いに離間させている。このため、
図1〜
図3に示したように、右湾曲面に接した甲カバー1b
tと足裏カバー1b
bの間から右足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させ、左湾曲面に接した甲カバー1a
tと足裏カバー1a
bの間から左足の第2指〜第5指をそれぞれ突出させることができる。右湾曲面から右足の第2指〜第5指が、左湾曲面から左足の第2指〜第5指が露出するようにすることにより、足を覆う部分の甲カバー(1a
t;1b
t)と足裏カバー(1a
b;1b
b)のそれぞれの面積を必要最小限とし、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの装着睡眠時の開放感を損ねないようにできる。即ち、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは、右湾曲面及び左湾曲面を有することにより、就寝、読書、テレビ鑑賞など足を使わないときに、随時自由に開放感を伴うように装着可能である。
【0021】
なお、
図4には甲カバー(1a
t;1b
t)の上辺に沿って縫い目34が、下辺に沿って縫い目35が示されているが、これらの縫い目34及び縫い目35は、それぞれ甲カバー(1a
t;1b
t)の上辺及び下辺における繊維の解れを防ぐための縫い目であって、足裏カバー(1a
b;1b
b)側まで貫通する縫い目ではない。図示を省略しているが、足裏カバー(1a
b;1b
b)の上辺及び下辺に沿ってもそれぞれ縫い目がある。したがって、
図6に示すように、甲カバー(1a
t;1b
t)の上辺と足裏カバー(1a
b;1b
b)の上辺との間は分離されており、左親指及び右親指を挿入して貫通させることが可能である。同様に、甲カバー(1a
t;1b
t)の下辺と足裏カバー(1a
b;1b
b)の下辺との間は
図5(a)に示すように分離されており、
図5(a)に示すように、甲カバー(1a
t;1b
t)と足裏カバー(1a
b;1b
b)の間には、中央部結合手段31によって設けられた甲カバー(1a
t;1b
t)と足裏カバー(1a
b;1b
b)の生地が構成する境界壁の両側に右足及び左足のそれぞれの前足部を挿入可能な2つの空間が形成できる。
【0022】
第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは、装着する人間の足のサイズに依存せず、ほぼ共通の寸法が採用可能である。例えば、
図4の第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの平面図において、右親指保持部7bの付け根5bから右親指牽引部に沿って測った親指保持部長l
1を3〜4cm程度に設定するのが好ましい。左右対称の構造であるので、当然ながら、左親指保持部7aの付け根5aから左親指牽引部に沿って測った長さも同一の親指保持部長l
1の値に設定することになる。親指保持部長l
1=3.5cm程度にした場合は、
図4に示した上辺の幅w
1は、6〜7cm程度に、下辺の幅W
2は16〜17cm程度に設定すればよい。左湾曲面と第2左側辺の接続箇所P
Lから右湾曲面と第2右側辺の接続箇所P
Rに至るエプロンの前掛け部の上辺の長さ(幅)w
3は、下辺の長さ(幅)w
2よりも1.5cm程度長くするのが好ましい。即ち、エプロンの前掛け部の下辺の長さw
2=16〜17cmに対し、前掛け部の上辺の長さw
3=17.5〜18.5cm程度に設定し、第2左側辺と第2右側辺の間の距離が下に行くに従い狭くなるように、第2左側辺及び第2右側辺が、それぞれ僅かに傾斜するのが好ましい。
【0023】
又、
図4の平面図においてエプロンの前掛け部の高さに相当する前足保持部長l
2は、親指保持部長l
1=3.5cm程度にした場合は、6.5〜7.5cm程度に設定すればよい。更に、
図4の平面図において親指保持部長l
1=3.5cm程度にした場合は、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの長さLは13〜15cm程度に設定し、中足部(土踏まず)に第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの下辺がかかる程度にすればよい。
【0024】
甲カバー(1a
t;1b
t)の上辺と足裏カバー(1a
b;1b
b)の上辺との間を塞がずに互いに分離できる構造として、左親指及び右親指を、
図4の下側から挿入して、上辺から上側に貫通してつま先を突出させることによって、左親指及び右親指のつま先に対する圧迫を緩和させることができる。外反母趾になりやすい足型はエジプト型と言われる左親指及び右親指の長いタイプである。長年靴に圧迫されて、徐々に親指が曲がるのが外反母趾になる大きな原因であると言われている。左親指及び右親指のそれぞれのつま先部分を突出させるのは、左親指及び右親指のつま先に対する圧迫を解消するのが好ましいからである。右親指保持部7bにつま先を突出するように右親指を挿入し、左親指保持部7aにつま先を突出するように左親指を挿入する構造ではあるが、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータの装着をきつすぎるようにする必要はなく、就寝時に手を使わずに簡単に脱ぐことも可能である。
【0025】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータによれば、外部から矯正用の力を加える必要もないので、嵩張らず、非常にスムーズな装着感の外反母趾矯正サポータが安価に製造できる。特に、第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは自分の左右の親指同士が勝手に引っ張り合いをしているだけなので、違和感がない。このように第1の実施の形態に係る外反母趾矯正サポータは従来の片足方式の外反母趾矯正器具に比し、重い荷物を人力で持ち上げるのと、梃を利用して持ち上げる以上の顕著な差異が生じる。外反が軽減すると、ファッショナブルな靴が履けるようになり、女性にとっては大きな喜びである。
【0026】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。