特許第6046697号(P6046697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6046697ハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046697
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/00 20060101AFI20161212BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20161212BHJP
   B01D 69/04 20060101ALI20161212BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20161212BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20161212BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C04B38/00 303Z
   B01D69/02
   B01D69/04
   B01D71/02
   B01D69/10
   B01D69/12
   C04B38/00 304Z
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-507992(P2014-507992)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2013059146
(87)【国際公開番号】WO2013146956
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-80213(P2012-80213)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】内川 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】宮原 誠
(72)【発明者】
【氏名】市川 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】谷島 健二
(72)【発明者】
【氏名】寺西 慎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀之
【審査官】 延平 修一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−506697(JP,A)
【文献】 特開2010−094585(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/134514(WO,A1)
【文献】 特開2010−228948(JP,A)
【文献】 特開2010−228946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 38/00 − 38/10
B01D 69/02
B01D 69/04
B01D 69/10
B01D 69/12
B01D 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の細孔が形成されたセラミック多孔質体からなる隔壁を有し、その隔壁によって、セラミック多孔質体を貫通する流体の流路となる複数のセルが形成されたハニカム形状の基材と、
多数の細孔が形成され、その平均細孔径が前記基材の表面に比して小さいセラミック多孔質体からなり、前記基材の表面に配置された中間層と、を備え、
前記中間層の少なくとも一部が骨材粒子同士を無機結合材成分によって結合された構造を有し、
前記中間層の前記無機結合材成分がチタニアであり、
前記セル間の最短部分の基材厚みが0.51mm以上1.55mm以下であり、基材厚み/中間層厚みが2.5以上10以下であるハニカム形状セラミック多孔質体。
【請求項2】
138℃以上でpH11以上のアルカリ溶液に、30時間浸漬しても、前記セル内に圧力を加えて破壊される圧力である内圧破壊強度が低下しない請求項1に記載のハニカム形状セラミック多孔質体。
【請求項3】
前記中間層の中間層厚みは、150μm以上500μm以下である請求項1または2に記載のハニカム形状セラミック多孔質体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム形状セラミック多孔質体の前記中間層上に直接、または間接に、混合物を分離する分離層を備えるハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【請求項5】
内圧破壊強度が16MPa以上である請求項4に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【請求項6】
前記分離層がゼオライトで形成された請求項4または5に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【請求項7】
前記分離層がDDR型ゼオライトで形成された請求項6に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム形状セラミック多孔質体の製造方法であって、前記基材に、骨材と無機結合材のチタニアゾルを含む中間層用スラリーを付着させた後、乾燥させ、1250℃以上で12時間以上焼成することにより前記中間層を形成するハニカム形状セラミック多孔質体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐圧性を有するハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及び分離層を備えたハニカム形状セラミック分離膜構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多成分の混合物(混合流体)から特定の成分のみを選択的に回収するために、セラミック製のフィルタが用いられている。セラミック製のフィルタは、有機高分子製のフィルタと比較して、機械的強度、耐久性、耐食性等に優れるため、水処理や排ガス処理、あるいは医薬や食品分野等の広範な分野において、液体やガス中の懸濁物質、細菌、粉塵等の除去に、好ましく適用される。
【0003】
このようなセラミック製のフィルタにおいて、分離性能を確保しつつ、透過性能を向上させるには、膜面積(分離膜の面積)を大きくすることが必要であり、そのためには、ハニカム形状を呈することが望ましい。さらにハニカム形状のフィルタ(ハニカム形状セラミック分離膜構造体)は、チューブ型のものに比して、折れ難く、低コスト化が図れる等の優位性がある。ハニカム形状セラミック分離膜構造体とは、多くの場合、外形が円柱形であり、その軸方向に形成された多数の平行な流路(セルという)を内部に有する多孔質の基材を具備する。更に、その多孔質の基材に比して孔径の小さな分離膜(分離層)が、セルを形成する内壁面に形成されている。
【0004】
ハニカム形状セラミック分離膜構造体(精密ろ過膜、限外ろ過膜、浸透気化膜、ガス分離膜、逆浸透膜)は、運転時に高い圧力を印加することで、透過流量を大きくすることが望ましい。特に限外ろ過、ガス分離、逆浸透膜においては、分離膜の透過係数が小さい為、高い運転圧力をかけて分離精製を行うことが必要となる。特許文献1には耐食性の高いゼオライト用の基材が開示されている。特許文献2には0.5〜30μmのゼオライト膜厚を有する耐圧性のゼオライト分離膜が報告されている。また、特許文献3には、透過流量を向上させたクロスフローの濾過装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−220074号公報
【特許文献2】特許第3128517号公報
【特許文献3】特公平6−016819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、分離層としてゼオライト膜を採用する場合に、従来のハニカム形状のセラミック製の基材では、ゼオライト膜を成膜する際の高温アルカリ条件にて基材の強度が低下するという問題点があった。特許文献1は、アルミナ質基体の成分等が厳格に規定されている。また、焼成温度が高く高コストである。一方、特許文献2,3にも強度低下や形状の影響については、何ら記載がない。
【0007】
本発明の課題は、分離層の形成後に強度の低下が従来よりも少ないハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、中間層の無機結合材をチタニアとすることにより、分離層としてゼオライト膜を形成する時に強度の低下が従来よりも小さくなることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下のハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体が提供される。
【0009】
[1] 多数の細孔が形成されたセラミック多孔質体からなる隔壁を有し、その隔壁によって、セラミック多孔質体を貫通する流体の流路となる複数のセルが形成されたハニカム形状の基材と、多数の細孔が形成され、その平均細孔径が前記基材の表面に比して小さいセラミック多孔質体からなり、前記基材の表面に配置された中間層と、を備え、前記中間層の少なくとも一部が骨材粒子同士を無機結合材成分によって結合された構造を有し、前記中間層の前記無機結合材成分がチタニアであり、前記セル間の最短部分の基材厚みが0.51mm以上1.55mm以下であり、基材厚み/中間層厚みが2.5以上10以下であるハニカム形状セラミック多孔質体。
【0010】
[2] 138℃以上でpH11以上のアルカリ溶液に、30時間浸漬しても、前記セル内に圧力を加えて破壊される圧力である内圧破壊強度が低下しない前記[1]に記載のハニカム形状セラミック多孔質体。
[3] 前記中間層の中間層厚みは、150μm以上500μm以下である前記[1]または[2]に記載のハニカム形状セラミック多孔質体。
【0011】
] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム形状セラミック多孔質体の前記中間層上に直接、または間接に、混合物を分離する分離層を備えるハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【0012】
] 内圧破壊強度が16MPa以上である前記[」に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【0013】
] 前記分離層がゼオライトで形成された前記[]または[]に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【0014】
] 前記分離層がDDR型ゼオライトで形成された前記[]に記載のハニカム形状セラミック分離膜構造体。
【0015】
] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム形状セラミック多孔質体の製造方法であって、前記基材に、骨材と無機結合材のチタニアゾルを含む中間層用スラリーを付着させた後、乾燥させ、1250℃以上で12時間以上焼成することにより前記中間層を形成するハニカム形状セラミック多孔質体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のハニカム形状セラミック多孔質体は、分離層としてのゼオライト膜の形成によって強度が低下しにくい。本発明のハニカム形状セラミック分離膜構造体は、従来よりも高強度である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るハニカム形状セラミック多孔質体を含むハニカム形状セラミック分離膜構造体の一実施形態を示す図であり、一部を切り出した斜視図である。
図2図1におけるA−A’断面の分離セル近傍を拡大して表した部分拡大断面図である。
図3】ハニカム形状セラミック多孔質体の端面を示す模式図である。
図4A】基材上の層構造の実施形態1を示す図である。
図4B】基材上の層構造の実施形態2を示す図である。
図4C】基材上の層構造の実施形態3を示す図である。
図4D】基材上の層構造の実施形態4を示す図である。
図5A】ハニカム形状セラミック分離膜構造体をハウジングに装着した実施形態を示し、ハニカム形状セラミック分離膜構造体のセルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図5B】ハニカム形状セラミック分離膜構造体をハウジングに装着した他の実施形態を示し、ハニカム形状セラミック分離膜構造体のセルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図6】粒子付着工程において、種付けスラリーを流し込む状態を示す模式図である。
図7】水熱合成により、ハニカム形状セラミック多孔質体上にゼオライト膜を形成する膜形成工程の一実施形態を示す模式図である。
図8】本発明に係るハニカム形状セラミック分離膜構造体の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
1.分離膜構造体
図1に、本発明に係るハニカム形状セラミック多孔質体9を含むハニカム形状セラミック分離膜構造体1の一の実施形態を示す。また、図2に、図1におけるA−A’断面の分離セル近傍を拡大して表した部分拡大断面図を示す。ハニカム形状セラミック分離膜構造体1(以下、単に分離膜構造体ともいう)は、ハニカム形状の基材30と、中間層31と、分離層33とを備える(本明細書では、基材30と中間層31とを、ハニカム形状セラミック多孔質体9という。)。また、本発明の分離膜構造体1は、多孔質体9の中間層31上に、アルミナによって形成されたアルミナ表面層32を備えることが好ましい。なお、アルミナ表面層32を備える場合は、アルミナ表面層32もハニカム形状セラミック多孔質体9に含むものとする。
【0020】
分離膜構造体1は、多数の細孔が形成されたハニカム形状セラミック多孔質体9(以下、単に多孔質体9ともいう)からなる隔壁3を有し、その隔壁3によって、流体の流路となるセル4が形成されている。中間層31は、多数の細孔が形成され、その平均細孔径が基材30の表面に比して小さく基材30の表面に配置されている。多孔質体9の中間層の少なくとも一部は、骨材粒子同士を無機結合材成分によって結合した構造を有する。そして、無機結合材成分は、チタニアである。言い換えると、基材30に接している中間層31(中間層31が複数層である場合は、少なくとも基材30に接している層)は、チタニアの無機結合材により骨材粒子が結合されている。基材30の形状は、ハニカム状であるため、単位体積当たりの膜面積を大きくすることができ、処理能力を高くすることができる。
【0021】
多孔質体9は、138℃以上でpH11以上のアルカリ溶液に、30時間浸漬しても強度が低下しないことが好ましい。具体的には、多孔質体9は、分離層33の形成後に強度が低下しないことが好ましく、水熱合成によって、分離層33としてのゼオライト膜を多孔質体9の表面上に形成した後に、強度が低下しないものであることが好ましい。ゼオライト膜の水熱合成では、多孔質体9をアルカリ性の溶液に浸漬して行うため、従来は、多孔質体の強度が大きく低下していた。
【0022】
本発明の分離膜構造体1は、多孔質体9の中間層31上に直接または間接に、混合物を分離する分離層33を備える(「間接に」とは、アルミナ表面層32を備える場合は、アルミナ表面層32上に分離層33が形成されるため、中間層31に直接接していないという意味である。)。分離層33は、ゼオライトで形成されていることが好ましい。さらに、ゼオライトとしては、DDR型ゼオライトを挙げることができる。
【0023】
分離膜構造体1は、内圧破壊強度が16MPa以上であることが好ましい。内圧破壊強度とは、セル4a内に圧力を加え、分離膜構造体1が破壊される圧力であり、内圧破壊強度が大きいため、運転時に高い圧力を印加して、透過流量を大きくすることができる。
【0024】
基材30と中間層31と(アルミナ表面層32と)を含む多孔質体9は、その外形は円柱形であり、外周面6を有している。そして、一方の端面2aから他方の端面2bまで貫通し列をなして形成された複数の分離セル4aと、一方の端面2aから他方の端面2bまで列をなして形成された複数の集水セル4bを備える。分離膜構造体1は、分離セル4aと集水セル4bの断面形状は円形である。そして、分離セル4aの両端面2a,2bの開口は開放されているが(開口のままであるが)、集水セル4bは、その両端面2a,2bの開口が目封止部材で目封止されて目封止部8が形成され、集水セル4bが外部空間と連通するように、排出流路7が設けられている。また、断面形状が円形である分離セル4aの内壁面の中間層31表面に(アルミナ表面層32を備える場合は、アルミナ表面層32上に)、分離層33が配設されている。少なくとも基材30の端面2a,2bを被覆するようにガラスシール35が配置されていることが好ましい。分離膜構造体1は、混合物を分離するセラミックフィルタである。以下、さらに詳しく説明する。
【0025】
(基材)
基材30は、平均細孔径が5〜25μmであることが好ましい。より好ましくは、5μm〜20μm、さらに好ましくは、6μm〜20μmである。基材30の平均細孔径が5μm以上であると、分離層33で分離した透過分離成分の基材30での透過速度が速く、単位時間あたりの透過流量を十分なものとすることができる。一方、25μm以下とすると、その上の膜を均一に成膜しやすい。
【0026】
また、基材30は、気孔率は、25〜50%であることが好ましい。平均細孔径及び気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0027】
基材30の材質は、セラミックである。好ましくは、骨材粒子が、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ムライト(Al・SiO)、セルベン及びコージェライト(MgAlSi18)等である。これらの中でも、粒径が制御された原料(骨材粒子)を入手し易く、安定な坏土を形成でき、かつ、耐食性が高いアルミナが更に好ましい。無機結合材は、易焼結性アルミナ、シリカ、ガラスフリット、粘土鉱物、及び易焼結性コージェライトからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。無機結合材は、骨材粒子を結合させるための結合材であり、骨材成分が焼結しない温度で、焼結固化する無機成分のことである。骨材成分としてアルミナを選択する場合、易焼結性アルミナとは、平均粒径が骨材に対して1/10以下のものである。骨材成分としてコージェライトを選択する場合、易焼結性コージェライトとは、平均粒径が骨材に対して1/10以下のものである。なお、平均粒径は、基材30あるいは中間層31等を問わず、“レーザー回折法”により測定した値である。また粘土鉱物としては、カオリン、ドロマイト、モンモリロナイト、長石、カルサイト、タルク、マイカ等が挙げられる。
【0028】
基材30の全体的な形状やサイズについては、その分離機能を阻害しない限りにおいて特に制限はない。全体的な形状としては、例えば、円柱(円筒)状、四角柱状(中心軸に直交する断面が四角形の筒状)、三角柱状(中心軸に直交する断面が三角形の筒状)等の形状が挙げられる。中でも、押出成形がし易く、焼成変形が少なく、ハウジングとのシールが容易な円柱状が好ましい。精密濾過や限外濾過に用いる場合には、中心軸に直交する断面における直径が30〜220mm、中心軸方向における長さが150〜2000mmの円柱状とすることが好ましい。
【0029】
基材30のセル4の断面形状(セル4の延びる方向に直交する断面における形状)としては、例えば、円形、多角形等を挙げることができ、多角形としては四角形、五角形、六角形、三角形等を挙げることができる。尚、セル4の延びる方向は、基材30が円柱(円筒)状の場合には、中心軸方向と同じである。
【0030】
基材30のセル4の断面形状が円形の場合、セル4の直径(セル径42:図3参照)は、1〜5mmであることが好ましい。1mm以上とすることにより、膜面積を十分に確保することができる。5mm以下とすることにより、セラミックフィルタの強度を十分なものとすることができる。
【0031】
基材30は、セル4間の最短部分の、中間層31、アルミナ表面層32、及び分離層33を含まない基材厚み40が0.51mm以上1.55mm以下であることが好ましい。基材厚み40とは、図3に示すように、基材30を押し出し成形したときの厚みであり、中間層31、アルミナ表面層32、及び分離層33を含まない部分の厚みである。基材厚み40は、より好ましくは、0.51mm以上1.2mm以下、さらに好ましくは、0.65mm以上1.0mm以下である。基材厚み40が0.51mm以上であることにより、十分な内圧破壊強度が得られる。ただし、基材厚み40が大きすぎると、一定体積中に配置できるセル数が減るために、膜面積が小さくなる。これにより、透過流量が低下するため、1.55mm以下であることが好ましい。なお、基材厚み40は、セル4が円形の場合は、図3に示す距離であるが、セルが他の形状の場合は、セル4間の最短距離である。
【0032】
(中間層)
本発明の多孔質体9は、ハニカム形状の基材30と、中間層31と、(アルミナ表面層32と)を備えたハニカム形状セラミック製の多孔質体である。中間層31の骨材粒子は、アルミナ、チタニア、ムライト、セルベン、及びコージェライトからなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。また、中間層31の無機結合材は、チタニアである。無機結合材は、骨材成分が焼結しない温度で、焼結固化する無機成分のことである。なお、平均粒径は、基材30あるいは中間層31等を問わず、“レーザー回折法”により測定した値である。また粘土鉱物としては、カオリン、ドロマイト、モンモリロナイト、長石、カルサイト、タルク、マイカ等が挙げられる。
【0033】
基材30上に、分離層(分離膜)以外に複数の層が形成されている場合には、少なくとも基材30に接している層が、チタニアの無機結合材によって骨材粒子が結合されている。図4A図4Dに、基材30上の層構造の実施形態を示す。図4Aは、基材30上に中間層31が形成されている実施形態である。図4Bは、基材30上に、中間層31とアルミナ表面層32が形成されている実施形態である(図2と同じ)。図4C、及び図4Dは、基材30上に中間層31が複数層形成されている実施形態である。図4A図4Dでは、少なくとも基材30に接している中間層31の骨材粒子が、チタニアで結合されている。このように、基材30に接している中間層31の骨材粒子が、チタニアで結合されていると、アルカリ溶液に曝された場合でも、強度が低下しない。
【0034】
中間層31(焼成後)に含まれるチタニアは、5〜40質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。5質量%以上であると、結合材の量として十分である。40質量%以下であると、結合材として寄与しない無駄なチタニアがなく製造コストを抑えることができる。なお、無機固形分中の無機結合材成分割合(質量%)=(無機結合材)/(骨材粒子+無機結合材)×100である。無機固形成分割合、チタニアの含有割合は、EDS(エネルギー分散型X線分析)で測定した値とする。
【0035】
中間層31が複数の層で構成される場合、または中間層31とアルミナ表面層32が配置される場合には、基材30側から分離層33側に向かって、順次平均細孔径が小さくなるように各中間層31(およびアルミナ表面層32)を配置することが好ましい。具体的には、1μmオーダーの平均細孔径である中間層31と、0.1μmオーダーの平均細孔径であるアルミナ表面層32で構成されることが好ましい。中間層31の平均細孔径は、ASTM F316に記載のエアフロー法により測定された値とする。
【0036】
中間層31の厚み(中間層厚み41)は、150μm以上500μm以下であることが好ましい。中間層厚み41は、中間層31が複数の層で構成されている場合は、すべての層の合計の厚みである。より好ましくは、160μm以上400μm以下、さらに好ましくは、200μm以上300μm以下である。
【0037】
中間層厚み41が厚すぎると、その分セル径42が小さくなり、最表層の分離層の膜面積が減少するため膜処理能力が下がる。中間層厚み41が薄すぎると水熱合成前の元々の多孔質体9の強度が低くなる。
【0038】
また、セル間の最短部分の、中間層31及び前記分離層33を含まない基材厚みが0.51mm以上1.55mm以下であり、基材厚み/中間層厚みが2.5以上10以下であることが好ましい(図3参照)。中間層厚み41と基材厚み40が上記範囲で、さらに基材厚み/中間層厚みが上記範囲であると、分離層33の成膜時における多孔質体9の強度低下を小さくすることができる。
【0039】
(アルミナ表面層)
アルミナ表面層32は、中間層31上の、多孔質体9の最表面に、アルミナを主成分として形成される層である。ここで主成分とは、アルミナ表面層32の50質量%以上がアルミナであることを意味する。アルミナを主成分とすることにより、強度を向上させることができる。成分の比率については、EDSにより測定した元素比率を酸化物換算した質量比で評価する。多孔質体9は、アルミナ表面層32を備えることが好ましく、アルミナ表面層32を備えることにより、アルミナ表面層32上に形成される分離層33の強度を向上させることができる。なお、基材30上に一層のみアルミナで形成された層がある場合は、アルミナ表面層32ではなく、中間層31と考える。
【0040】
アルミナ表面層32は、粒径が0.4〜3μmのアルミナ粒子によって形成されていることが好ましく、0.4〜1.0μmのアルミナ粒子によって形成されていることがより好ましい。0.4μm以上の粒径のアルミナ粒子を用いることにより、分離性能保持強度を大きくすることができる。3μm以下の粒径のアルミナ粒子を用いることにより、アルミナ表面層32上に形成する分離層33の成膜性を向上させることができる。なお、アルミナ粒子の粒径は、光学散乱粒度測定で測定された値とする。
【0041】
アルミナ表面層32の厚みは、5〜80μmが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。アルミナ表面層32に用いるアルミナの純度は、90%以上が好ましい。
【0042】
アルミナ表面層32は、マグネシウム系化合物を含むことが好ましい。マグネシウム系化合物中のMgは、アルミナ表面層32のアルミナに対して、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、1〜25質量%、最も好ましくは、2〜10質量%である。アルミナ表面層32がマグネシウム系化合物を含むことにより、同じ温度で焼結させた場合、焼結性が向上し、マグネシウム系化合物が入っていないものよりも分離性能保持強度が向上する。また、Mgが30質量%以下であることにより、中間層31との熱膨張差を少なくし、アルミナ表面層32のクラック発生を防止することができる。
【0043】
(分離層)
分離層33(分離膜)は、複数の細孔が形成され、その平均細孔径が多孔質体9(基材30、中間層31、アルミナ表面層32)に比して小さく、セル4内の壁面(隔壁3の表面)に配置されたものである。分離層33によって混合物を分離することができる。このように分離層33を備えた構造のセラミックフィルタは、専ら分離層33によって分離機能が発揮されるため、多孔質体9の平均細孔径を大きく構成することができる。従って、分離層33を透過して、セル4内から多孔質体9内に移動した流体が、多孔質体9内部を透過する際の流動抵抗を低減させることができ、流体透過性を向上させることが可能となる。
【0044】
分離層33の平均細孔径は、要求される濾過性能または分離性能(除去すべき物質の粒径)により、適宜決定することができる。例えば、精密濾過や限外濾過に用いるセラミックフィルタの場合であれば、0.01〜1.0μmが好ましい。この場合、分離層33の平均細孔径は、ASTM F316に記載のエアフロー法により測定した値である。
【0045】
分離層33としては、ガス分離膜および逆浸透膜を採用することができる。ガス分離膜としては特に限定されるものではなく、公知の一酸化炭素分離膜、ヘリウム分離膜、水素分離膜、炭素膜、ゼオライト膜、シリカ膜、チタニアUF膜等、分離する気体の種類に応じて適宣選択すればよい。
【0046】
分離層33が、ゼオライト膜である場合には、ゼオライトとしては、LTA、MFI、MOR、FER、FAU、DDRといった結晶構造のゼオライト等を利用することができる。分離層33がDDR型ゼオライトである場合には、特に、二酸化炭素を選択的に分離するために用いられるガス分離膜として利用することができる。
【0047】
(目封止部)
目封止部材は、骨材粒子、無機結合材、バインダ、増粘剤及び保水剤を含むものが好ましい。この目封止部材は、多孔質体9と同じ材料で形成することができる。目封止部8の気孔率は25〜50%であることが好ましい。目封止部8の気孔率が50%超であると、中間層31を形成するために用いられる中間層用スラリーに含まれる固形分が目封止部8を通過してしまう場合がある。一方、目封止部8の気孔率が20%未満であると、中間層31を成膜するために用いられる中間層用スラリーに含まれる水分の排出が困難になる場合がある。
【0048】
(ガラスシール)
本発明に係る分離膜構造体1においては、透過分離成分を含む混合流体が分離膜構造体1の端面2の多孔質体部分から直接流入し、所定の分離セル4aの内壁面に形成された分離層33で分離されることなく流出することを防止するために、分離膜構造体1の混合流体を流入する端面2側の多孔質体9を覆うようにガラスシール35を更に備えることが好ましい。
【0049】
(分離膜構造体)
分離膜構造体1は、セル4a内に圧力を加えたときに破壊される内圧破壊強度が16MPa以上である。内圧破壊強度とは、セル4a内に圧力を加え、分離膜構造体1が破壊される圧力である。従来は、16MPa以上の内圧破壊強度を有するハニカム形状セラミック分離膜構造体がなかった。本発明の分離膜構造体1は、基材厚み40と中間層厚み41(図3参照)の比である基材厚み/中間層厚みを所定の範囲内とすること等により、従来よりも高い内圧破壊強度を有する。
【0050】
2.分離方法
次に、本実施形態の分離膜構造体1を用いて複数種類が混合した流体から一部の成分を分離する方法について説明する。図5Aに示すように、本実施形態のハニカム形状の分離膜構造体1を用いて流体を分離する際には、分離膜構造体1を、流体入口52及び流体出口53を有する筒状のハウジング51内に収納し、ハウジング51の流体入口52から流入させた被処理流体F1を分離膜構造体1で分離し、分離された被処理流体(処理済流体F2)を流体出口53から排出することが好ましい。
【0051】
分離膜構造体1をハウジング51に収納する際には、図5Aに示すように、分離膜構造体1の両端部において、分離膜構造体1とハウジング51との隙間を、シール材54,54で塞ぐことが好ましい。
【0052】
流体入口52からハウジング51内に流入した被処理流体F1の全てが分離膜構造体1のセル4内に流入し、セル4内に流入した被処理流体F1は、分離層33を透過して処理済流体F2となって基材30内に浸入する。そして、基材30の外周面6から基材30外に流出して、流体出口53から外部(外部空間)に排出される。シール材54,54によって、被処理流体F1と処理済流体F2とが混ざることを防止することができる。
【0053】
ハウジング51の材質としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼等が挙げられる。また、シール材54としては、特に限定されないが、例えば、O−リング等が挙げられる。また、シール材54の材質としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンゴムを挙げることができる。これらの材質は、高温で長時間使用するのにも適している。
【0054】
図5Bに、分離膜構造体1をハウジング51に装着した他の実施形態を示す。図5Bに示すように、分離膜構造体1を、流体入口52及び流体出口53,58を有する筒状のハウジング51内に収納する。この実施形態では、ハウジング51の流体入口52から流入させた被処理流体F1を分離膜構造体1で分離し、分離された被処理流体(処理済流体F2)を流体出口53から排出、残り(流体F3)を流体出口58から排出することができる。流体出口58から流体F3を排出することができるため、被処理流体F1の流速を大きく運転することができ、処理済流体F2の透過流速を大きくすることができる。一般的に、フィルタは膜表面にカットした成分の堆積層が形成されるため、処理済流体F2の透過量が低下する。またガス分離でも膜を透過しない成分の濃度が濃くなる濃度分極によって、処理済流体F2の透過量が低下する。しかし、被処理流体F1の流速が大きいと、カットした成分が流体出口58へ流れるため、堆積層形成や濃度分極が緩和し、目詰まりしにくい。
【0055】
3.製造方法
(基材)
次に、本発明に係る分離膜構造体1の製造方法について説明する。最初に、多孔質体9の原料を成形する。例えば、真空押出成形機を用い、押出成形する。これにより分離セル4aと集水セル4bを有するハニカム形状の未焼成の基材30を得る。他にプレス成形、鋳込み成形などがあり、適宜選択できる。
【0056】
そして、得られた未焼成の基材30に、その外周面6の一の部位から集水セル4bを貫通して他の部位まで連通する排出流路7を形成する。
【0057】
次いで、得られた排出流路7付の未焼成の基材30の集水セル4bの両端面2a,2bから、排出流路7に達するまでの空間内に、スラリー状態の目封止部材を充填する。
【0058】
(中間層)
そして、基材30の分離セル4aの内壁面に、分離層33の下地となる中間層31を形成する。中間層31を形成する(成膜する)ためには、先ず中間層用スラリーを調製する。中間層用スラリーは、基材30と同材質の、所望の粒径の(例えば、平均粒径3.2μmの)、アルミナ、ムライト、チタニア、コージェライト等のセラミックス原料100質量部に、400質量部の水を加えて調製することができる。
【0059】
また、この中間層スラリーには、焼結後の膜強度を上げるために無機結合材を添加する。無機結合材として、チタニアを用いる。焼成前のチタニアの粒径は0.1〜1μmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5μmである。0.1μm以上であると、成膜時に中間層に十分残り、1μm以下であると結合材として機能しやすい。なお、粒径は、光学散乱粒度測定の値である。このような骨材と無機結合材のチタニアゾルを含む中間層用スラリーを(例えば特開昭61−238315号公報において開示されている装置を用いて)、分離セル4aの内壁面に付着させた後、乾燥させ、1250℃以上で12時間以上焼成させることで中間層31を形成する。焼成温度は、1500℃以下であることが好ましい。焼成温度が、1250〜1500℃であると、十分に焼結させることが可能であり、さらに焼結が進みすぎて細孔が閉塞することを防止することができる。
【0060】
中間層31は、平均粒径を変えた複数の種類のスラリーを用いて複数層に分けて成膜することもできる。第1の中間層の上に第2の中間層を配設することによって、多孔質体9の表面の凹凸の影響を減少させることができる。その結果、分離層33を薄膜としても、分離膜構造体1としての欠陥を少なくすることが可能である。即ち、高フラックス、低コスト、高分離能を有する分離層33が配設された分離膜構造体1を得ることができる。
【0061】
(アルミナ表面層)
次に中間層31の上に、アルミナ表面層32を形成する。アルミナ表面層32を形成する(成膜する)ためには、先ずアルミナ表面層用スラリーを調製する。アルミナ表面層用スラリーは、アルミナ微粒子を水などの分散溶媒中に分散し、必要に応じ、焼結助剤、有機バインダ、pH調整剤、界面活性剤等を添加することにより調製することができる。そして膜形成工程において、このアルミナ表面層用スラリーを自重により多孔質体9の表面上で流下させることでアルミナ表面層32を形成することができる。あるいは、セル4内にアルミナ表面層用スラリーを流通させ、ポンプ等で多孔質体9の外側から吸引することでアルミナ表面層32を形成することができる。次に、このアルミナ表面層32を乾燥機にて乾燥させる。あるいは、通風乾燥を行なう。特にマグネシウム系化合物を添加したアルミナ表面層用スラリーを用いた場合、通風乾燥工程を含むことが好ましい。アルミナ表面層用スラリーの付着した多孔質体9の表面に通風することにより、多孔質体9の表面の乾燥速度が上がり、液体が蒸発するときの液体の動きと共にマグネシウムイオンが移動し表面に集まりやすくすることができる。次に、アルミナ表面層32を焼成する。アルミナ表面層32は、1150〜1450℃で焼成して形成することが好ましい。1150℃以上で焼成することにより、アルミナを焼結させて強度を十分なものとすることができる。また、1450℃以下とすることにより、アルミナの細孔を閉塞させずにガス透過量を十分なものとすることができる。アルミナ表面層32がMg成分を含むようにするときには、例えば、MgCl、MgCO3、Mg(CHCOO)2、MgSO4、Mg(NO2、Mg(OH)などを添加することができる。
【0062】
(分離層)
次に中間層31の上に(アルミナ表面層32を形成した場合は、アルミナ表面層32上に)、分離層33を形成する。分離層33としてゼオライト膜を配設する場合について説明する。ゼオライト膜の製造方法は、種となるゼオライト粒子を分散させたスラリーを自重により多孔質体9の表面上を流下させることでゼオライト粒子を多孔質体9に付着させる粒子付着工程と、ゼオライト粒子を付着させた多孔質体9をゾル中に浸漬して水熱合成し、多孔質体9上にゼオライト膜を形成する膜形成工程と、を含む。粒子付着工程における流下とは、スラリーを多孔質体9上にて自重によって自由落下させることにより、スラリーが多孔質体9の表面上を流れることをいう。流下法では、例えば、円筒状に穴の開いた多孔質体9のその穴の中にスラリーを流し込むことにより、面に対して平行に多量の液を流す。このようにすると、流下されたスラリーは自重によって多孔質体9の表面を流れる。このため多孔質体9の中への染込みが少ない。一方、従来知られている滴下法は、例えば、平板の上から垂直に少量のスラリーを滴下する方法であり、滴下されたスラリーは自重によって平板の中へ染込む。このため膜厚が厚くなる。
【0063】
[1]種付け用スラリー液の作製・種付け(粒子付着工程)
DDR型ゼオライト結晶粉末を製造し、これをそのまま、または必要に応じて粉砕して種結晶として使用する。DDR型ゼオライト粉末(これが種結晶となる)を溶媒に分散させ、スラリー64(種付け用スラリー液)とする。種付け用スラリー液は、これに含まれる固形分濃度が1質量%以下になるように溶媒で希釈することが好ましい。希釈用の溶媒には水またはエタノール、もしくはエタノール水溶液が好ましい。希釈に使用する溶媒には、水やエタノール以外にも、アセトン、IPA等の有機溶剤、または有機溶剤水溶液を使用することもできる。揮発性の高い有機溶剤を使用することで、乾燥時間を短縮することができ、同時に種付け用のスラリー64の染込み量も少なくすることができるため、より薄いゼオライト膜を形成することが可能になる。スラリー液にDDR型ゼオライト粉末を分散させる方法としては、一般的な攪拌方法を採用すればよいが、超音波処理等の方法を採用してもよい。
【0064】
図6に、流下法による種付け(粒子付着工程)の一実施形態を示す。広口ロート62の下端に多孔質体9を固着し、コック63を開けることにより多孔質体9上部から種付けスラリー64を流し込み、セル4内を通過させて粒子付着工程を行うことができる。
【0065】
種付け(粒子付着工程)のスラリー64中の固形分濃度は、0.00001〜1質量%の範囲であることが好ましく、0.0001〜0.5質量%の範囲であることがより好ましく、0.0005〜0.2質量%の範囲であることが更に好ましい。濃度範囲の下限値よりも濃度が薄い場合は工程数が増えて高コストの原因となる。また、1質量%を超えると、多孔質体9の表面に厚いゼオライト粒子層が形成し、厚膜になることから低フラックスとなる。
【0066】
粒子付着工程におけるスラリー64には、ゼオライト粒子を分散させる溶媒として、水を使用することができる。また、有機溶剤、有機溶剤水溶液を使用することもできる。さらに、エタノール、エタノール水溶液等を使用することもでき、特に溶媒を揮発性の高いエタノールとする場合には、流下直後に、揮発したエタノールにより多孔質体9の内部が加圧されるため、流下液が多孔質体9の表面へ押し出され、より種付け用スラリーの染込み量を少なくする事ができる。
【0067】
粒子付着工程において、種となるゼオライト粒子を含むスラリー64を流下させる工程(図6)を複数回行うことが好ましい。複数回とは、2〜10回程度である。複数回行うことにより、多孔質体9の表面に、ゼオライト粒子をむらなく全面に付着させることができる。
【0068】
ゼオライト膜の製造方法は、種となるゼオライト粒子を含むスラリー64を流下させた後、通風乾燥工程を含むことが好ましい。通風乾燥とは、ゼオライト粒子を含むスラリー64の付着した多孔質体9の表面に通風することにより、スラリー64を乾燥させることである。通風乾燥を行うことにより、乾燥速度が上がり、液体が蒸発するときの液体の動きと共にゼオライト粒子が移動し表面に集まりやすくすることができる。
【0069】
また、通風乾燥は加湿した風で行うことが好ましい。通風乾燥を加湿した風で行うことにより、多孔質体9上に種をより強く固着することができる。多孔質体9上に種を強く固着することにより、その後の水熱合成時におけるゼオライト粒子の脱離を防ぐことができ、より欠陥の少ないゼオライト膜を安定して作製することができる。なお、スラリー64の流下種付け後、加湿しない風にて通風乾燥を行った多孔質体9を通風乾燥後に水蒸気中に暴露する暴露工程を含むことでも、同様の効果が得られる。
【0070】
[2]原料溶液(ゾル)の調製
次に、エチレンジアミンに溶解させた1−アダマンタンアミンを含む、所定の組成を有する原料溶液を調製する。
【0071】
1−アダマンタンアミンは、DDR型ゼオライトの合成におけるSDA(構造規定剤)、即ち、DDR型ゼオライトの結晶構造を形成させるための鋳型となる物質であるため、DDR型ゼオライトの原料であるSiO(シリカ)とのモル比が重要である。1−アダマンタンアミン/SiOモル比は0.002〜0.5の範囲内であることが必要であり、0.002〜0.2の範囲内であることが好ましく、0.002〜0.03の範囲内であることが更に好ましい。1−アダマンタンアミン/SiOモル比がこの範囲未満であると、SDAの1−アダマンタンアミンが不足してDDR型ゼオライトを形成することが困難である。一方、この範囲を超えると高価な1−アダマンタンアミンを必要以上に添加することになり、製造コストの面から好ましくない。
【0072】
1−アダマンタンアミンは、水熱合成の溶媒である水に対して難溶性であるため、エチレンジアミンに溶解させた後、原料溶液の調製に供する。1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに完全に溶解させ、均一な状態の原料溶液を調製することにより、均一な結晶サイズを有するDDR型ゼオライトを形成させることが可能となる。エチレンジアミン/1−アダマンタンアミンのモル比は4〜35の範囲内であることが必要であり、8〜24の範囲内であることが好ましく、10〜20の範囲内であることが更に好ましい。エチレンジアミン/1−アダマンタンアミンモル比がこの範囲未満であると、1−アダマンタンアミンを完全に溶解させるための量としては不充分である一方、この範囲を超えると、エチレンジアミンを必要以上に使用することになり、製造コストの面から好ましくない。
【0073】
本発明の製造方法においては、シリカ源としてコロイダルシリカを用いる。コロイダルシリカは市販のコロイダルシリカを好適に用いることができるが、微粉末状シリカを水に溶解し、或いは、アルコキシドを加水分解することにより調製することもできる。
【0074】
原料溶液中に含まれる水とSiO(シリカ)とのモル比(水/SiOモル比)は10〜500の範囲内であることが必要であり、14〜250の範囲内であることが好ましく、14〜112の範囲内であることが更に好ましい。水/SiOモル比がこの範囲未満であると、原料溶液のSiO濃度が高すぎるために、結晶化しない未反応のSiOが多量に残存する点において好ましくない一方、この範囲を超えると、原料溶液のSiO濃度が低すぎるためにDDR型ゼオライトを形成することができなくなる点において好ましくない。
【0075】
本発明の製造方法によれば、オールシリカ型のDDR型ゼオライトの他、その骨格にアルミニウムと金属カチオンを含むDDR型ゼオライト(以下、「ローシリカ型のDDR型ゼオライト」と記す)を製造することもできる。このローシリカ型のDDR型ゼオライトは、細孔にカチオンを有するために、吸着性能や触媒性能がオールシリカ型のDDR型ゼオライトとは異なる。ローシリカ型のDDR型ゼオライトを製造する場合には、溶媒である水とシリカ源であるコロイダルシリカの他、アルミニウム源、カチオン源を添加して原料溶液を調製する。
【0076】
アルミニウム源としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、金属アルミニウム等を用いることができる。アルミニウムを酸化物として換算した場合におけるSiO/Alモル比は50〜1000の範囲内であることが必要であり、70〜300の範囲内であることが好ましく、90〜200の範囲内であることが更に好ましい。SiO/Alモル比がこの範囲未満であると、DDR型ゼオライト以外のアモルファスSiOの比率が多くなってしまう点において好ましくない。一方、この範囲を超えると、DDR型ゼオライトは製造することができるものの、アルミニウム及びカチオン量が著しく少なくなることに起因して、ローシリカ型のDDR型ゼオライトとしての特性を発揮することができず、オールシリカ型のゼオライトと何ら違いがなくなってしまう点において好ましくない。
【0077】
カチオンとしては、アルカリ金属、即ち、K、Na、Li、Rb、Csの何れかのカチオンが挙げられ、カチオン源としては、Naの例で説明すると、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。アルカリ金属を酸化物として換算した場合におけるXO/Alモル比は1〜25の範囲内であることが必要であり、3〜20の範囲内であることが好ましく、6〜15の範囲内であることが更に好ましい。XO/Alモル比がこの範囲未満であると、目的とするSiO/Alモル比のDDR型ゼオライトが得難くなる点において好ましくない一方、この範囲を超えると、生成物にアモルファスSiOが混入してしまう点において好ましくない。
【0078】
以上に原料溶液の調製について説明したが、特に好ましい態様としては、1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに溶解した溶液、溶媒である水、コロイダルシリカ(ローシリカ型のDDRを合成する場合にあっては、更に、アルミニウム源である硫酸アルミニウム、及びカチオン源である水酸化ナトリウム)を所定の比率で混合し、溶解することにより、原料溶液を調製する方法が挙げられる。
【0079】
[3]膜化(膜形成工程)
原料溶液を入れた容器(例えば、広口瓶)をホモジナイザーにセットし攪拌し、水熱合成に用いるゾル67とする。次に、図7に示すように、流下法により種付けを行った多孔質体9を耐圧容器65内に入れ、さらに調合したゾル67を入れた後、これらを乾燥器68に入れ、110〜200℃にて16〜120時間、加熱処理(水熱合成)を行うことにより、ゼオライト膜を製造する。
【0080】
加熱処理の温度(合成温度)は、110〜200℃の範囲内とすることが好ましく、120〜180℃の範囲内とすることが更に好ましく、120〜170℃の範囲内とすることが特に好ましい。加熱処理の温度がこの範囲未満であると、DDR型ゼオライトを形成することができない点において好ましくない一方、この範囲を超えると、相転移により、目的物ではないDOH型ゼオライトが形成されてしまう点において好ましくない。
【0081】
本発明の製造方法における加熱処理の時間(合成時間)は、数時間〜5日間という極めて短時間で足りる。本発明の製造方法においては、DDR型ゼオライト粉末を流下法により基材に添加しているため、DDR型ゼオライトの結晶化が促進される。
【0082】
本発明の製造方法においては、加熱処理に際し、原料溶液(ゾル67)を常時攪拌する必要はない。原料溶液に含ませる1−アダマンタンアミンをエチレンジアミンに溶解させたため、原料溶液が均一な状態に保持されていることによる。なお、従来の方法では、原料溶液を常時撹拌しないと、DDRとDOHとの混晶が形成されてしまう場合があるが、本発明の製造方法によれば、原料溶液を常時攪拌をしなくとも、DOHは形成されず、DDRの単相結晶を形成させることができる。
【0083】
[4]洗浄・構造規定剤除去
次に、ゼオライト膜が形成された多孔質体9を、水洗または、80〜100℃にて煮沸洗浄し、それを取り出して、80〜100℃にて乾燥する。そして、多孔質体9を電気炉に入れ、大気中で、400〜800℃、1〜200時間加熱することにより、ゼオライト膜の細孔内の1−アダマンタンアミンを燃焼除去する。以上により、従来よりも欠陥が少なく薄く均一な、膜厚10μm以下のゼオライト膜を形成することができる。
【0084】
ゼオライト膜の製造方法は、LTA、MFI、MOR、FER、FAU、DDRといった結晶構造のゼオライトについて適用することができる。
【0085】
なお、分離膜構造体1として、端面2を目封止部材で目封止して目封止部8を形成し、分離セル4a、集水セル4b、排出流路7を設ける実施形態を説明したが、図8に示すように、目封止を施さず、ハニカム形状の多孔質体9のすべてのセル4内に分離層33を設け、集水セル4b、排出流路7を設けないように構成してもよい。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0087】
(基材)
平均粒径50μmのアルミナ粒子(骨材粒子)100質量部に対して無機結合材20質量部を添加し、更に、水、分散剤、及び増粘剤を加えて混合し混練することにより坏土を調製した。得られた坏土を押出成形し、ハニカム形状の未焼成の基材30を作成した。
【0088】
無機結合材としては、SiO(80モル%)、Al(10モル%)、アルカリ土類(8モル%)を含有するガラス原料を、1600℃で溶融して均一化し、これを冷却した後に平均粒径1μmとなるように粉砕したものを用いた。
【0089】
未焼成の基材30に、その外周面6の一の部位から集水セル4bを貫通して他の部位まで連通する排出流路7を形成した。
【0090】
次いで、基材30の両端面2a,2bから、排出流路7に達するまでの空間内に、スラリー状態の目封止部材を充填した。そして、基材30を焼成した。焼成条件は1250℃、1時間とし、昇温ないし降温の速度はいずれも100℃/時間とした。基材の平均細孔径は、20μmであった。
【0091】
(中間層)
次に、基材30のセル4内の壁面に、厚さ150〜250μm、平均細孔径0.5μmの、アルミナ多孔質体からなる中間層31を以下のようにして形成した。平均細孔径は、ASTM F316に記載のエアフロー法により測定された値である。
【0092】
まず、平均粒径31μmのアルミナ粒子(骨材粒子)に無機結合材を添加し、更に、水、分散剤、及び増粘剤を加えて混合することによりスラリーを調製した。
【0093】
実施例1〜6では、スラリーの調整のための無機結合材として、チタニアの純度が99.9質量%以上、チタニアの粒径が0.1〜1μm、チタニアの割合が固形分(アルミナ骨材+チタニア結合材)中に10〜30質量%の原料を用いた。
【0094】
比較例1では、スラリーの調整のための無機結合材として、SiO(77モル%)、ZrO(10モル%)、Li(3.5モル%)、NaO(4モル%)、KO(4モル%)、CaO(0.7モル%)及びMgO(0.8モル%)を含有するガラス原料を、1600℃で溶融して均一化し、これを冷却した後に平均粒径1μmとなるように粉砕したものを用いた。
【0095】
上記のスラリーを、特公昭63−66566号公報に記載の濾過成膜法により、基材30の内周面に付着させた。その後、大気雰囲気下、電気炉にて焼成を行い、中間層31を形成した。焼成条件は、実施例1〜6では、1250℃12時間、比較例1は、1150℃1時間とし、昇温ないし降温の速度はいずれも100℃/時間とした。
【0096】
(アルミナ表面層)
次に、実施例1〜6、及び比較例1の多孔質体9の内周面に、厚さ20μm、平均細孔径0.1μmの、アルミナ多孔体からなるアルミナ表面層32を形成した。平均細孔径は、ASTM F316に記載のエアフロー法により測定された値である。
【0097】
形成された中間層31に含まれるチタニアの割合をEDSで測定した。チタニアの割合、中間層厚み等を表1に示す。
【0098】
多孔質体9は、外形が円柱形であり、その外径が30mm、長さが160mmであった。
【0099】
(ガラスシールの形成)
次に、基材30の両端面2a,2bに、セル4の開口部を塞がない状態でガラスシール35を配設した。
【0100】
(DDR膜の形成)
以下のようにして、分離層33(分離膜)としてDDR膜をアルミナ表面層32上に形成した(図2参照)。
【0101】
(1)種結晶の作製
M. J. den Exter, J. C. Jansen, H. van Bekkum, Studies in Surface Science and Catalysis vol.84, Ed. by J. Weitkamp et al., Elsevier(1994)1159−1166、または特開2004−083375に記載のDDR型ゼオライトを製造する方法を基に、DDR型ゼオライト結晶粉末を製造し、これをそのまま、または必要に応じて粉砕して種結晶として使用した。合成後または粉砕後の種結晶を水に分散させた後、粗い粒子を除去し、種結晶分散液を作製した。
【0102】
(2)種付け(粒子付着工程)
(1)で作製した種結晶分散液をイオン交換水またはエタノールで希釈し、DDR濃度0.001〜0.36質量%(スラリー64中の固形分濃度)になるように調整し、スターラーで300rpmで攪拌し、種付け用スラリー液(スラリー64)とした。広口ロート62の下端に多孔質の多孔質体9を固着し、多孔質体9の上部から160mlの種付け用スラリー液を流し込みセル内を通過させた(図6参照)。このとき多孔質体9の外周面6をテフロン(登録商標)テープでマスキングした後に種付けを行った。スラリー64を流下させた多孔質体9は室温または80℃、風速3〜6m/sの条件で10〜30minセル内を通風乾燥させた。スラリー64の流下、通風乾燥を1〜6回繰り返してサンプルを得た。乾燥させた後、電子顕微鏡による微構造観察を行った。DDR粒子が多孔質体9の表面に付着していることを確認した。
【0103】
(3)膜化(膜形成工程:水熱合成)
フッ素樹脂製の100mlの広口瓶に7.35gのエチレンジアミン(和光純薬工業製
)を入れた後、1.156gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)を加え、1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。別の容器に98.0gの30質量%のコロイダルシリカ(スノーテックスS,日産化学製)と116.55gのイオン交換水を入れ軽く攪拌した後、これをエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンを混ぜておいた広口瓶に加えて強く振り混ぜ、原料溶液を調製した。原料溶液の各成分のモル比は1−アダマンタンアミン/SiO=0.016、水/SiO=21である。その後、原料溶液を入れた広口瓶をホモジナイザーにセットし、1時間攪拌した。内容積300mlのフッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器65内に(2)でDDR粒子を付着させた多孔質体9を配置し、調合した原料溶液(ゾル67)を入れ、138℃にて30時間、加熱処理(水熱合成)を行った(図7参照)。なお、水熱合成時は、原料のコロイダルシリカとエチレンジアミンによって、アルカリ性(pH11)であった。走査型電子顕微鏡で膜化させた多孔質体9の破断面を観察したところ、DDR膜の膜厚は、10μm以下であった。
【0104】
(4)構造規定剤除去
被覆できた膜を電気炉で大気中450℃で50時間加熱し、細孔内の1−アダマンタンアミンを燃焼除去した。X線回折により、結晶相を同定し、DDR型ゼオライトであることを確認した。また膜化後、多孔質体9がDDR型ゼオライトで被覆されていることを確認した。
【0105】
図5Aに示すように、分離膜構造体1を、流体入口52及び流体出口53を有する筒状のハウジング51内に収納し、ハウジング51の流体入口52から水を流入させて水により加圧して、DDR型ゼオライト膜を成膜する前の多孔質体9と、DDR型ゼオライト膜を成膜した後の分離膜構造体1(すなわち、多孔質基体9+分離層33(ゼオライト膜))が破壊される内圧破壊強度を調べた。水が透過して圧力が上がらない場合は、セル4の内面に天然ラテックスゴムをコーティング、乾燥することで、水の透過を防止し、内圧破壊強度を測定した。この結果を、表1中に強度比として表した。強度比が1より大きければ、DDR型ゼオライト膜を成膜した後、強度が強くなったことを意味する。一方、強度比が1より小さければ、DDR型ゼオライト膜を成膜した後、強度が弱くなったことを意味する。
【0106】
【表1】
【0107】
中間層の無機結合材がガラスの比較例1は、水熱合成(ゼオライト膜形成)により強度が低下した。一方、中間層31の無機結合材がチタニアである実施例1〜6は、水熱合成(ゼオライト膜形成)により強度が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の多孔質体、分離膜構造体は、混合流体から一部の成分を分離する手段として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1:(ハニカム形状セラミック)分離膜構造体、2,2a,2b:端面、3:隔壁、4:セル、4a:分離セル、4b:集水セル、6:外周面、7:排出流路、8:目封止部、9:(ハニカム形状セラミック)多孔質体、30:基材、31:中間層、32:アルミナ表面層、33:分離層(分離膜)、35:ガラスシール、40:基材厚み、41:中間層厚み、42:セル径、51:ハウジング、52:流体入口、53,58:流体出口、54:シール材、62:広口ロート、63:コック、65:耐圧容器、67:ゾル、68:乾燥器。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8