(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、基材25に接着剤組成物10が塗布された、物品20の実施形態の斜視図である。
図2は、基材25に塗布された接着剤組成物10の拡大側面図である。接着剤組成物10は、疎水性接着剤マトリックス12全体に分散された複数の吸水性繊維14を含み、この吸水性繊維14の一部は皮膚に面した表面26に露出している。開示されている接着剤はとりわけ、皮膚への塗布に適している。それ故、物品20は医療用テープ、絆創膏、又は創傷包帯であってもよく、それらに利用される素材には、例えば、フィルム、布地、紙、不織布、接着剤、発泡体、又はそれら1つ以上の組み合わせといったようなさまざまな種類がある。
【0016】
接着剤組成物10は、接着剤マトリックス12と、接着剤マトリックス全体に分散された複数の吸水性繊維14と、を含む。接着剤マトリックス12は疎水性接着剤である。皮膚に塗布する目的では、疎水性接着剤は粘着力を提供し得るが、皮膚を浸軟させる可能性は親水性接着剤に比べてはるかに低い。接着剤マトリックス12は、皮膚をはじめとする多様な表面への粘着力を提供できると共に、表面を傷つけることなく接着剤を取り除ける疎水性接着剤であれば、いかなる種類のものであってもよい。例えば、接着剤マトリックスは、疎水性シリコーン接着剤、無極性アクリル接着剤、疎水性ウレタン接着剤、ポリオレフィン接着剤、天然ゴム接着剤、及び疎水性合成ゴム接着剤、又はそれら1つ以上の組み合わせであり得る。これら疎水性接着剤のいずれにおいても、必要に応じ、例えば、触媒の存在下又は非存在下にて水分、熱、又は放射線を用いるといったような周知の各種架橋技術を介して架橋が遂行され得る。
【0017】
接着剤組成物を親水性接着剤の一部に混入させて接着剤組成物の吸水性特性を操作しても、吸水性増大には特に効果がないばかりか、疎水性接着剤の接着特性に悪影響を与える可能性もある。親水性部分を疎水性部分に完全にブレンドした場合、疎水性接着剤の接着特性が悪影響を受ける。ブレンドされた接着剤が2つの層を形成する場合には、親水性部分は疎水性部分のマトリックス内に閉じ込められるため、水を吸収する効果が低下する。更に、親水性接着剤を混入させると、皮膚が浸軟する可能性が高まり得る。それ故、一実施形態においては、接着剤組成物が親水性接着剤セグメントを実質的に含むことのないように、疎水性接着剤からなる接着剤マトリックスを接着剤組成物に含める。
【0018】
皮膚に接着する医療品に関しては、粘着付与剤を混入させるか、又は架橋密度(架橋どうしの間のポリマーの鎖長)を制御するかのいずれかによって、接着特性を制御できることが所望される。触媒された熱硬化済接着剤を介して架橋どうしの間の鎖長を操作することは、非常に難しい。更に、触媒された熱硬化システムは一般に、製造に時間がかかるためコストが高くつく。それ故、疎水性接着剤は、触媒された熱硬化技術では硬化されないものを利用することが望ましい。
【0019】
一実施形態において、放射線プロセスに必要されるスペース及び資本設備は、触媒された熱硬化と比較して少なくて済むので、放射線硬化は特に好適な技術である。また、放射線硬化は、熱硬化と比較して相対的に迅速であるため、製造にかかるコストが大幅に削減される。この理由から、一実施形態において接着剤組成物は、その開示内容が本明細書中に参照により組み込まれているPCT刊行物、国際公開第2010/056544号に開示されているような放射線架橋疎水性接着剤を含む。
【0020】
放射線硬化は特に、疎水性接着剤(とりわけ、例えば、PCT出版物、国際公開第2010/056544号に規定されているような架橋性官能基のないシリコーンなど)の電子線又はガンマ線照射などの高エネルギー放射線を介して達成される。シリコーンは、素材が不活性で生体適合性を有することから、特に医療用途によく適している。軽度に架橋されたシリコーンゲル接着剤は、軟らかい、粘着性の弾性材料であり、従来の粘着力の強いシリコーンPSAと比較すると、穏やかな接着強度を有する。これらのゲル接着剤は、生来のガラス転移温度及び表面エネルギーが共に低く、かつ貯蔵弾性率も相対的に低いことから、湿潤特性に優れる。シリコーン素材は、不活性でしかも反応性に欠けることから、シリコーンジェルは皮膚に穏やかな接着用途に好適なものとなっている。加えて、架橋ゲルの伸縮自在の性質、及び毛髪面との相互作用の欠如から、延伸分離力を介して皮膚から接着剤の結合が解除されるため、除去中に疼痛が生ずる回数が更に減少する。
【0021】
一般的にシリコーン物質は、油、流体、粘性物質、エラストマー、又は樹脂、例えば、砕けやすい固体樹脂であってよい。一般的に、より低分子量、より低粘度の物質は、流体又は油と称される一方、より高分子量、より高粘度の物質は粘性物質と称されるが、これらの用語の間に厳格な区別はない。エラストマーは、ゴムよりも更に分子量が大きく、典型的には室温では流動しない。本明細書で使用するとき、用語「流体」及び「油」は、25℃において1,000,000mPa・秒以下(例えば600,000mPa・秒未満)の動的粘度を有する物質を指し、一方、25℃において1,000,000mPa・秒を超える動的粘度(例えば少なくとも10,000,000mPa・秒)を有する材料は「ゴム」と呼ばれる。
【0022】
一般的に、本開示で有用なシリコーン材料は、ポリジオルガノシロキサンであり、即ち材料はポリシロキサン主鎖を含む。いくつかの実施形態では、非官能化シリコーン材料は、脂肪族及び/又は芳香族置換基を持つシロキサン主鎖を示す次式で表すことができる:
【0023】
【化1】
式中、R1、R2、R3、及びR4は、アルキル基及びアリール基からなる群から独立して選択され、それぞれのR5はアルキル基であり、n及びmは整数であり、少なくとも1つのm又はnは0ではない。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルキル基又はアリール基はハロゲン置換基、例えばフッ素を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、アルキル基のうちの1種以上は−CH
2CH
2C
4F
9であってもよい。
【0024】
一部の実施形態では、R5はメチル基であり、即ち非官能化ポリジオルガノシロキサン材料はトリメチルシロキシ基末端化されている。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、nはゼロであり、即ち、この物質は、ポリ(ジアルキルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、このアルキル基はメチル基、即ち、ポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」)である。いくつかの実施形態では、R1はアルキル基であり、R2はアリール基であり、nはゼロであり、即ち、この物質はポリ(アルキルアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1はメチル基であり、R2はフェニル基であり、即ち、この物質はポリ(メチルフェニルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、R3及びR4はアリール基であり、即ち、この物質はポリ(ジアルキルジアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1及びR2はメチル基であり、R3及びR4はフェニル基であり、即ち、この物質はポリ(ジメチルジフェニルシロキサン)である。
【0025】
一部の実施形態では、非官能化ポリジオルガノシロキサン材料は分枝状であり得る。例えば、1つ以上のR1、R2、R3、及び/又はR4基はアルキル又はアリール置換基(ハロゲン化されたアルキル又はアリールを含む)及び終端のR5基を持つ線状状又は分枝状シロキサンであってよい。
【0026】
本明細書において用いられる場合、「非官能性基」とは、炭素、水素、及び一部の実施形態では、ハロゲン(例えば、フッ素)原子よりなるアルキル基又はアリール基のいずれかである。本明細書で使用するとき、「非官能化ポリジオルガノシロキサン材料」は、R1、R2、R3、R4及びR5基のうちの1つが非官能基である。
【0027】
一般的に、官能性シリコーン系は、出発物質のポリシロキサン主鎖に結合した固有の反応基(例えば水素、ヒドロキシル、ビニル、アリル又はアクリル基)を含む。本明細書で使用するとき、「官能化ポリジオルガノシロキサン材料」は式2のR基のうちの少なくとも1つが官能基であるものである。
【0029】
一部の実施形態では、官能性ポリジオルガノシロキサン材料は、少なくとも2つのR基が官能基であるものである。一般的に、式2のR基は独立して選択され得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの官能基は水素化物基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ビニル基、エポキシ基、及びアクリレート基からなる群から選択される。
【0030】
官能性R基に加えて、R基は非官能性基、例えば、ハロゲン化された(例えば、フッ素化された)アルキル基及びアリール基を含むアルキル基又はアリール基であってよい。一部の実施形態では、官能化ポリジオルガノシロキサン材料は分枝状であり得る。例えば、1つ以上のR基が官能性及び/又は非官能性置換基を持つ線状状又は分枝状シロキサンであってよい。
【0031】
本開示の皮膚に穏やかな接着剤は、1つ以上のポリジオルガノシロキサン材料(例えばシリコーンオイル又は流体)と所望により好適な粘着付与樹脂とを組み合わせることと、得られる混合物をコーティングすることと、電子線(Eビーム)又はガンマ線照射を使用して硬化させることとにより調製することができる。一般的に、接着剤の配合に有用な任意の既知の添加剤も含めることができる。
【0032】
含める場合には、一般的には任意の既知の粘着付与樹脂を使用でき、例えば一部の実施形態では、粘着付与シリケート樹脂を使用できる。一部の例示的接着剤組成物では、複数のケイ酸塩粘着付与樹脂を使用して、望ましい性能を得ることができる。
【0033】
好適なケイ酸塩粘着付与樹脂には、以下の構造単位M(即ち、1価のR’
3SiO
1/2単位)、D(即ち、2価のR’
2SiO
2/2単位)、T(即ち、3価のR’SiO
3/2単位)、及びQ(即ち、4級のSiO
4/2単位)、並びにこれらの組み合わせからなる樹脂が挙げられる。典型的な例示のケイ酸塩樹脂としては、MQケイ酸塩粘着付与樹脂、MQDケイ酸塩粘着付与樹脂、及びMQTケイ酸塩粘着付与樹脂が挙げられる。これらのケイ酸塩粘着付与樹脂は、通常、100〜50,000gm/モル、例えば、500〜15,000gm/モルの範囲の数平均分子量を有し、一般にR’基はメチル基である。
【0034】
MQケイ酸塩粘着付与樹脂は、コポリマー樹脂であり、ここで、各M単位はQ単位に結合し、各Q単位は少なくとも1つの他のQ単位に結合する。一部のQ単位は、他のQ単位だけに結合される。しかしながら、一部のQ単位は、ヒドロキシルラジカルに結合されてHOSiO
3/2単位(即ち、「T
OH」単位)を生じ、それがケイ酸塩粘着付与樹脂中に或る程度のケイ素結合ヒドロキシルが含量される原因となる。
【0035】
MQ樹脂上のケイ素結合ヒドロキシル基(即ち、シラノール)の濃度は、シリケート粘着付与樹脂の重量に基づいて、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.0重量%以下、又は0.8重量%以下まで減らすことができる。これは、例えばヘキサメチルジシラザンをケイ酸塩粘着付与樹脂と反応させることによって実現することができる。このような反応は、例えばトリフルオロ酢酸によって触媒してもよい。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをシリケート粘着付与樹脂と反応させてもよく、この場合、触媒は必要ではない。
【0036】
MQDシリコーン粘着付与樹脂は、M、Q及びD単位を有するターポリマーである。一部の実施形態では、D単位の一部のメチルR’基は、ビニル(CH2=CH−)基(「D
Vi」単位)で置換できる。MQTケイ酸塩粘着付与樹脂は、M、Q及びT単位を有するターポリマーである。
【0037】
好適な粘着付与シリケート樹脂は、Dow Corning(例えばDC 2−7066)、Momentive Performance Materials(例えばSR545及びSR1000)、及びWacker Chemie AG(例えばBELSIL TMS−803)などの供給元から市販されている。
【0038】
ポリシロキサン材料、存在する場合は粘着付与樹脂、任意の追加の添加剤を、コーティング及び硬化の前に、さまざまな既知の手段のいずれかによって組み合わせることができる。例えば、一部の実施形態では、ミキサー、ブレンダー、ミル、押出成形機などの一般的な装置を使用することにより、さまざまな構成成分を予混合できる。
【0039】
一部の実施形態では、材料を溶媒に溶解させてコーティングすることができ、硬化させる前に乾燥させることができる。一部の実施形態では、無溶媒の化合とコーティングプロセスを使用できる。一部の実施形態では、無溶媒のコーティングはおおよそ室温において生じる。例えば、一部の実施形態では、材料は100,000センチストークス(cSt)(0.1平方m/秒)以下の、例えば50,000cSt(0.05平方m/秒)以下の動粘度を有し得る。しかしながら、一部の実施形態では、押出成形などのホット・メルト・コーティングプロセスを使用することができ、例えば分子量がより大きい材料の粘度が、コーティングのためにより好適な値へと低減される。押出成形機の1つ以上の別個の引き込み口を介して、さまざまな組み合わせであるいは個別に、さまざまな構成成分を共に加え、押出成形機でブレンドし(例えば溶融混合し)、押出成形してホット・メルト・コーティングされた構成体を形成できる。
【0040】
どのように形成されたかには関わらず、コーティングされた構成体は放射線硬化される。一部の実施形態では、コーティングは、電子線照射に曝露することにより硬化できる。一部の実施形態では、コーティングは、ガンマ線照射に曝露することにより硬化できる。一部の実施形態では、電子線硬化とガンマ線硬化の組み合わせが使用できる。例えば、一部の実施形態では、コーティングは電子線照射に曝露することにより部分的に硬化できる。続いてこのコーティングをガンマ線照射により更に硬化することができる。
【0041】
電子線及びガンマ線硬化の各種手順は周知である。硬化は専用の装置の使用に基づき、かつ当業者は、専用の装置、形状、及びライン速度、並びに他のよく知られているプロセスパラメータに関して、線量の較正モデルを定義することができる。
【0042】
市販の電子線生成装置が容易に調達できる。本明細書に記載の例については、放射線加工はCB−300型の電子線生成装置(Energy Sciences,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能)で実施された。一般的に、支持フィルム(例えばポリエステルテレフタレート支持フィルム)はチャンバを通って延びる。一部の実施形態では、両面にライナー(例えばフルオロシリコーン製剥離ライナー)を備える未硬化の材料(「閉鎖面」)のサンプルを支持フィルムに取り付け、約6.1メートル/分(20フィート/分)の固定速度で搬送することができる。一部の実施形態では、未硬化材料のサンプルには1つのライナーを適用することができ、この材料は反対面にはライナーを備えない(「開放面」)。一般的に、チャンバを不活化させた状態で(例えば、酸素を含有している室内空気を不活性ガス(例えば窒素)で置き換える)、試料を電子線硬化(特に開放面を硬化する場合)する。
【0043】
未硬化材料は、剥離ライナーを通して片面から電子線照射に曝露することができる。単層の接着剤積層型のテープを製造するためには、電子線を1回透過させれば十分な場合がある。より厚いサンプルは、接着剤断面にわたって硬化の勾配を呈する可能性があることから、未硬化材料は両面からの電子線照射に曝露することが望ましい場合がある。
【0044】
市販のガンマ線照射装置としては、多くの場合、医療用途の製品をガンマ線照射で殺菌するために使用する装置が挙げられる。一部の実施形態では、かかる装置を、本開示の、皮膚に穏やかな接着剤を硬化あるいは部分的に硬化させるために使用することができる。一部の実施形態では、このような硬化は、例えばテープ又は創傷包帯などの半完成品又は最終製品のための滅菌プロセスと同時に生じ得る。
【0045】
接着剤組成物10は、疎水性接着剤マトリックス12全体に分散された複数の吸水性繊維14を含む。吸水性の助けとなるように、少なくとも一部の繊維は接着剤組成物の外表面に露出している。更に、吸水性繊維14の少なくとも一部が、相互の接触点で互いに接触するか、又は接着剤マトリックス12全体にわたって1つの繊維もまたそれ自体に接触し得る。
【0046】
吸水性繊維14は、親水性又は親水性改質繊維で、水を吸収できるものであれば、いかなる種類のものでもあってもよい。吸水性繊維14は、接着剤組成物の外表面にて水分を除去し、吸水性繊維14の網状組織に水分を運び入れる。例えば、接着剤組成物10が皮膚に塗布されると、物品20において皮膚に面した表面26に露出している吸水性繊維14の一部が、皮膚又は創傷からの水分を吸収する。皮膚接触面26における流体に対処することによって、接着剤組成物10は、より長い期間にわたって皮膚又は創傷への固着を維持できる。
【0047】
吸水性繊維は、吸水性粒子と比較して水分の吸収に極めて有用であることが見出されてきた。吸水性粒子は、疎水性接着剤の内部に閉じ込められ、吸水性能力が非常に制限されてしまう。これは、流体が、閉じ込められた粒子にまで入り込めず、無用になるためと考えられる。この問題を克服するためには、吸水性粒子の荷重が相対的に大きくなければならない。このように吸水性粒子の荷重が大きいと、疎水性接着剤の接着特性に悪影響が及ぶ。
【0048】
吸水性繊維14は、接着剤組成物10の皮膚接触表面26から接着剤のマトリックスへの流体導孔を提供する。吸水性繊維14は典型的に、互いに接触し、幾分絡み合って相互接続するため、流体経路を皮膚接触表面26から離して接着剤マトリックスに入り込むように更に拡張する。一部の実施形態において、吸水性繊維14の少なくとも一部は基材25に接触するため、吸収された流体が物品10から排出されるための出口となる。一部の実施形態において吸水性繊維14は、接着剤の吸光度を増大させて、接着剤組成物10又は被覆物品20のMVTRを増強する。
【0049】
吸水性繊維14は、天然親水性繊維、合成親水性繊維、官能化された親水性繊維、又はこれらの組み合わせであり得る。天然親水性繊維の例としては、セルロース含有繊維、綿、ウール、亜麻布、カカオ繊維が挙げられる。合成親水性繊維の例としては、ナイロン、カルボキシメチルセルロース(CMC)若しくは架橋ポリオキシエチレン、ポリオキソプロピレン、ポリオキシ(エチレン−プロピレン)、架橋ポリアクリレート、ポリアクリレート酸、アルギネート、キトサン、再生セルロース、多糖、及びそれらの誘導体又は混合物が挙げられる。
【0050】
官能化された親水性繊維は、親水性官能基が結合された天然繊維又は合成繊維であり得る。親水性官能基をポリマーに結合するための技術は、多岐に及び得る。モノマー、ポリマー又はコポリマーを繊維表面に放射線グラフト化する工程は、高エネルギー放射線(例えば、ガンマ線又は電子線)を使用して遂行できる。紫外線及び光重合開始剤の存在下での繊維の照射はまた、繊維の親水性を高めるように繊維を処理するプロセスとして開示されてきた(米国特許第7,858,157B2号)。別法として、好適な溶媒中の繊維の化学構造は、従来の化学反応を介して修飾され得る。例えば、米国特許第6,075,177号には、強アルカリ及びモノクロル酢酸を用いたセルロースフィラメントの修飾が開示されている。
【0051】
親水性官能基の例としては、アニオン基(例えば、カルボン酸、スルホン酸)及びそれらの塩(例えば、ナトリウム、カリウム及びこれらに類するもの)、カチオン基(例えば、四級アンモニウム塩)、グリコール若しくはアクリレートなどの電荷を持たない中性官能基、又はそれら1つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0052】
例えば、「Monomer−Grafted Fibers and Uses Thereof」と題する米国特許出願第61/524,417号は、同日付けで出願されたもので、その開示内容が本明細書中に参照により組み込まれている。この特許出願には、好適なグラフト化親水性繊維、及び本明細書中の吸水性繊維14に利用できる製法が開示されている。その特許出願において開示されているように、高エネルギー照射(例えば、電子ビーム照射、ガンマ照射)を使用してグラフト化反応を開始すれば、一般に使用されるさまざまな開始剤が不要になる。このため、結果として得られるグラフト化繊維(そして最終的には創傷包帯)は、例えば、紫外線放射又は熱プロセスを用いて開始されたグラフト化反応で使用される開始剤が含まれないものになる。更に、複数の繊維を高エネルギー照射で照射して、親水性モノマーと反応させてもよいし、残留の親水性モノマー(存在する場合)を洗浄プロセスで除去してもよく、そうすることにより、複数の照射済繊維は、グラフト化ペンダント親水性基を有し、かつ創傷包帯物品の製造において一般に所望されるような純度が高レベルのものになる。
【0053】
一実施形態において、負に帯電したアニオン性モノマーは、フリーラジカル重合を経ることができる少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、追加的なアニオン性官能基と、を有する。いくつかの実施形態では、エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基である。アニオン性モノマーは、弱酸、強酸、弱酸の塩、強酸の塩、又はこれらの組み合わせであり得る。親水性繊維を調製するために用いられるアニオン性モノマーが弱酸の塩又は強酸の塩を含む場合、これらの塩の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、又はテトラアルキルアンモニウムイオンであり得るが、これらに限定されない。
【0054】
好適なアニオン性モノマーとしては、アクリル酸及びメタアクリル酸;ビニルスルホン酸及び4−スチレンスルホン酸などのスルホン酸類;(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸類(例えば、2−アクリルアミドエチルホスホン酸及び3−メタクリルアミドプロピルホスホン酸)などの(メタ)アクリルアミドホスホン酸類;並びに2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−カルボキシプロピルアクリレート及び3−カルボキシプロピルメタクリレートなどのカルボキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。更に他の好適な酸性モノマーとしては、(メタ)アクリロイルアミノ酸(例えば、N−アクリロイルグリシン、N−アクリロイルアスパラギン酸、N−アクリロイル−β−アラニン、2−アクリルアミドグリコール酸、3−アクリルアミド−3−メチル酪酸、及び本明細書において参照により援用されている米国特許第4,157,418号(Heilmann)に記載されているもの)が挙げられる。これらの酸性モノマーのうちのいずれかの塩を用いることもできる。
【0055】
他の好適なアニオン性モノマーは、以下の一般式(I)を有し得る。
【0056】
【化3】
式中、
R
1は、H又はCH
3であり、
Xは、−O−又は−NR
1−であり、
Yは、線状又は分枝鎖アルキレンであり、一般的には1〜10の炭素原子であり、
Zはアニオン性基であり、これは、スルホン酸基、ホスホン酸基、及びカルボン酸基、並びにこれらの塩から選択され得る。
【0057】
いくつかの代表的なアニオン性モノマーとしては、式(II)の(メタ)アクリルアミドスルホン酸又はその塩が挙げられる。
【0058】
【化4】
式中、R
1は、H又はCH
3であり、Yは、1〜10個の炭素原子を有する線状又は分枝鎖アルキレンである。
【0059】
式(II)に従う代表的なイオン性モノマーとしては、N−アクリルアミドメタンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及び2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸性モノマーの塩がまた使用されてもよく、例は、(3−スルホプロピル)−メタクリル酸カリウム塩及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルスルホン酸ナトリウム塩である。
【0060】
グラフト化ポリマーは、任意に、ポリ(アルキレンオキシド)基を有する一官能性エチレン系不飽和グラフト化モノマー単位を含む。これらモノマーは、グラフト化アニオン性モノマーと共重合して、基材の表面上にグラフト化コポリマー鎖を形成する。存在する場合、これらモノマーは、全モノマーの重量に対して、2〜20重量%、より望ましくは5〜10重量%の量で用いられる。
【0061】
ポリ(アルキレンオキシド)基を有するモノマー単位は、次の式のものである。
Z−Q−(CH(R
1)−CH
2−Q)
m−R
4, III
式中、Zは、重合可能なエチレン性不飽和部分であり、R
1は、H又はCH
3であり、R
4は、H、C
1〜C
4アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせであり、mは2〜100、好ましくは5〜20であり、Qは−O−、−NR
1−、−CO
2−、及び−CONR
1から選択される二価結合基である。一実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)基は、ポリ(エチレンオキシド)(コ)ポリマーである。
【0062】
別の実施形態では、ペンダントポリ(アルキレンオキシド)基は、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)コポリマーである。かかるコポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、又はグラジエントコポリマーであってよい。
【0063】
モノマーの有用なエチレン性不飽和部分、Zには、以下のものを挙げることができる。
【0064】
【表1】
式中、R
1は、H又はMe、及びr=1〜10である。
【0065】
ポリ(アルキレンオキシド)基を有するモノマーは、例えば、一官能性又は二官能性アルキレンオキシド(コ)ポリマー(典型的には市販されている)を反応性エチレン性不飽和化合物(例えば、アクリレート)と反応させることにより調製することができる。ポリ(アルキレンオキシド)を終端させる官能基には、ヒドロキシ基、アミン基、及びカルボキシル基を挙げることができる。以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリル酸無水物、及び2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを含むアクリレート誘導体のようなさまざまな反応性エチレン性不飽和化合物を、使用することができる。好ましくは、モノマーは、一官能性又は二官能性アルキレンオキシド(コ)ポリマーを無水(メタ)アクリル酸と反応させることにより調製される。典型的には、化学量論的な量のエチレン性不飽和反応物質を単官能性アルキレンオキシド(コ)ポリマー(モノヒドロキシ末端アルキレンオキシド(コ)ポリマーなど)と合わせると、モノ置換された生成物に100%転換される。
【0066】
好適な一官能性ポリ(アルキレンオキシド)モノマーの例としては、ポリ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレンオキシド)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。このようなモノマーは好ましくは、(C
1〜C
4)アルコキシ、アリルオキシ(例えば、フェノキシ)及び(C
1〜C
4)アルカリルオキシなどの、1つの非反応性末端基を含む。これらの基は、線状又は分枝鎖であり得る。これらのモノマーは、分子量が広範に及ぶものである場合もあり、Sartomer Company,Exton,PA(製品指定「SR550」という商標表記で入手されているメトキシポリエチレンを含む)、Shinnakamura Chemical Co.,Ltd.,Tokyo,Japan、Aldrich,Milwaukee,WI、及びOsaka Organic Chemical Ind.,Ltd.,Osaka,Japanなどの供給元から市販されている。
【0067】
好適な中性の親水性モノマーの付加的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリルアミド、モノ−又はジ−N−アルキル置換アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な中性の親水性モノマーに関するこれらの付加的な例の中でも特に好適な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、メチルアクリルアミド、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
一部の実施形態において、中性の親水性モノマーとしては、ヒドロキシアルキル、メトキシアルキル、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールのいずれか、又はこれらの任意の組み合わせである親水基を挙げることができる。
【0069】
一部の実施形態において、グラフト化親水モノマー総含有量は、グラフト化ペンダント親水基を有する複数の照射済繊維の重量の0.75〜2倍であり得る。グラフト化ペンダント親水基は、ポリマー鎖として繊維表面から延在する。このグラフト法において、繊維の繰り返し単位は、第1のモノマーにグラフト化し、第2のモノマーと反応して、繊維の表面から延在するポリマー鎖を伸ばす。
【0070】
グラフト化ペンダント親水基を有する繊維は、対応する非グラフト化繊維と比較して水を吸収する能力が高い。一部の実施形態において、吸水レベルは10倍を超えて増大され得る。一部の実施形態において、吸水レベルは最高15倍、最高20倍、最高25倍、又は最高30倍にさえ増大され得る。
【0071】
水を吸収する繊維14は、長さが少なくとも1mmであってもよいし、又は長さが300mm未満であってもよい。一実施形態において、繊維の長さは少なくとも10mmかつ100mm未満である。一実施形態において、繊維の長さは少なくとも30mmかつ90mm未満である。例えば、Tencel(商標)ステープルファイバー(Lenzing,Austria)、51mmの1.7dtex、及び60〜90mmの3.3dtextは、水を吸収する繊維として好適である。長い入力繊維に対しては、更に繊維を切断する工程によって、適切な繊維長に達するようにする。
【0072】
一実施形態においては、30重量%未満の接着剤組成物が親水性繊維を含む。一実施形態においては、10重量%未満の接着剤組成物が親水性繊維を含む。一実施形態においては、5%未満の接着剤組成物が親水性繊維を含む。一実施形態において、繊維は0.1重量%〜10重量%の接着剤組成物を含む。
【0073】
一実施形態においては、最初に吸水性繊維14どうしを互いにブレンドし、不織布ウェブ、編布、織布などの繊維物品を形成でき、その後、この繊維物品が疎水性接着剤マトリックス12で浸漬又はコーティングされる。接着剤は繊維ウェブに直接送達(コーティング)することも、又はライナーに転送することもできる。一実施形態において、吸水性繊維14を接着剤マトリックス12内で混ぜ合わせてから、接着剤組成物10を基材25上にコーティングする。ここで、吸水性繊維14の少なくとも一部を接着剤組成物10の外表面に露出させる。
【0074】
一部の実施形態では、接着剤組成物には、粘着付与剤(例えばMQ樹脂)、充填剤、顔料、接着性を改善するための添加剤、薬剤、化粧剤、天然抽出物、シリコーンワックス、及びレオロジー変性剤が挙げられるが、これらに限定されない、各種既知の充填剤及び添加剤のいずれかを含めることができる。
【0075】
接着層の厚みは、特には制限されない。一部の実施形態では厚みは少なくとも10マイクロメートルであり、一部の実施形態では少なくとも20マイクロメートルである。一部の実施形態では厚みは400マイクロメートル程度であり、一部の実施形態では200マイクロメートル程度である。
【0076】
ヒトの皮膚などの生体基材への剥離接着力は、非常に可変性があることが既知である。皮膚の種類、身体上の位置及び他の要因が結果に影響を与え得る。一般的に、皮膚からの剥離接着力の値の平均は標準偏差が大きくなる傾向がある。一部の実施形態ではヒトの皮膚に関しての平均剥離接着力は200グラム/2.54cm未満であり、一部の実施形態では100グラム/2.54cm未満であり得る。
【0077】
一部の実施形態では、接着剤組成物はテープ類、創傷包帯、外科用ドレープ、IV部位包帯(IV site dressings)、義肢、オストミーパウチ又はストーマパウチ、頬パッチ、又は経皮パッチなどの医療品を形成するのに好適である。一部の実施形態では、接着剤組成物は同様に義歯及びヘアピースを含む他の医療品に関しても有用である。
【0078】
一部の実施形態では、接着剤組成物は、医療用基材を生体基材(例えば、ヒト又は動物)へと接着させるのに好適である。例えば、一部の実施形態では、本開示の、皮膚に穏やかな接着剤は、医療用基材をヒト及び/又は動物の皮膚に接着するために使用できる。例示的な医療用基材としては、高分子材料、プラスチック、天然高分子素材(例えば、コラーゲン、木材、コルク及び皮革)、紙、フィルム、発泡体、ゲル、接着剤、織布及び不織布、金属、ガラス、セラミック、並びにそのような材料の1つ以上の複合体が挙げられる。
【実施例】
【0079】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。特に指示がない限り、部及び百分率は全て重量基準であり、水は全て蒸留水であり、分子量は全て重量平均分子量である。
【0080】
サンプルの調製に利用される材料を表1に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
試験方法
直立MVTR
直立MVTRは、ASTM E96−80に従い、Payne cup法の変法を用いて測定された。直径3.8cmのサンプルを、それぞれ5.1cm
2の楕円形開口部を有する、2枚のホイル接着剤リングの、接着剤含有表面の間に配置した。各リングの穴を注意深く揃えた。指圧を用いて、平坦で、しわがなく、露出したサンプル内にくぼんだ領域がない、ホイル/サンプル/ホイル組立体を形成した。
【0083】
実施例において特に記載しない限り、0.02%(重量/重量)メチレンブルーUSP(ベーシックブルー9,C.I.52015)水溶液を2滴加えたおよそ50gの水道水を120mLのガラス瓶に充填した。この瓶には、直径3.8cm穴が中心にあるネジ付きのふたと、約3.6cmの穴が中心にある直径4.45cmのゴムワッシャとを取り付けた。瓶の縁にゴムワッシャを配置し、ゴムワッシャの下部の裏材側にホイル/サンプル/ホイル組立体を配置した。次いで、瓶の上のふたをゆるく閉めた。
【0084】
組立体を、40℃、相対湿度20%にて4時間チャンバ内に配置した。サンプルがふたと同じ高さになり(サンプルが飛び出さないようにする)、ゴムワッシャが適切な位置に配置されているように、4時間後にチャンバの内側でふたを締めた。
【0085】
ホイルサンプル組立体をチャンバから取り出し、開始乾燥重量W1についてすぐに0.01g単位で計量した。次いで組立体を少なくとも18時間(曝露時間T1)にわたってチャンバに戻した後、取り出し、最終乾燥重量W2についてすぐに0.01g単位で計量した。次いで、MVTR(24時間あたりの、サンプルの面積平方メートルあたりの透過水蒸気のグラム数)を下式を用いて計算することができる。
直立(乾燥時)MVTR=(W1−W2)×(4.74×104)/T1
【0086】
直立MVTR
以下の試験手順を用いて反転MVTRを測定した。直立MVTR手順について記載されるように、最終「乾燥時」重量(W2)を得た後、組立体を更に少なくとも18時間の曝露時間(T2)の間チャンバに戻した。瓶は、水道水が試験サンプルに直接接触するよう逆さにした。次いでサンプルをチャンバから取り出し、最終湿潤重量W3についてすぐに0.01g単位で計量した。反転湿潤MVTR(24時間あたりの、サンプルの面積平方メートルあたりの透過水蒸気のグラム数)を下式を用いて計算することができる。
反転(湿潤時)MVTR=(W2−W3)×(4.74×104)/T2
【0087】
吸水度
吸水度は、水で飽和したサンプルと乾燥した同じサンプルとの間の重量差であった。
【0088】
吸水性速度
Tegaderm(商標)発泡体上に接着剤サンプルを積層させ、着色した水を接着剤表面に滴下して加え、水滴が消えるまでの時間を記録して、吸水性速度試験を行った。
【0089】
グラフト化繊維の調製
窒素雰囲気下で、Tencel(登録商標)繊維(6g)をプラスチック袋に熱封入した。繊維を7MRadの電子線照射に曝露させた。蒸留水85g、SR550モノマー2〜3g、アクリル酸モノマー6g、塩化ナトリウム21g、及び水酸化ナトリウム7g(50%)を含有するモノマー溶液を窒素ガス環境で平衡化したものに、繊維を加えた。窒素雰囲気下にて繊維をこのモノマー溶液と20時間反応させた後、水で洗浄して減圧濾過した。結果として得られたモノマーグラフト化繊維を55℃で乾燥させ、Hergethランダムカードマシン(Aachen,Germany)で加工処理した。
【0090】
(実施例1)
100部のOHX−4070、60部のTMS−803、60部のMQ、及び2重量%のOASIS繊維を結合して、混合物を調製した。この混合物をフルオロシリコーン剥離ライナー上にコーティングして、6MRads、300keVで電子ビーム硬化した。いったん硬化されると、接着剤をTegaderm(商標)フィルムに転送し、試験した。
【0091】
(実施例2〜11)
表2に記載されている実施例1と類似した方法で、付加的な実施例を調製した。
【0092】
比較例
比較用サンプルは、表2に記載されている吸水性繊維を用いずに、付着付与樹脂を単独で使用して、又は吸水性粒子と組み合わせて調製された。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態につき列挙する。
[実施形態1]
放射線架橋疎水性接着剤と、
前記疎水性接着剤全体に分散された複数の水吸収性繊維と、
を含む接着剤組成物であって、前記繊維の少なくとも一部が前記接着剤組成物の外表面に露出し、前記繊維の少なくとも一部が相互の接触点にて互いに接触する、接着剤組成物。
[実施形態2]
疎水性接着剤からなる接着剤マトリックスと、
前記接着剤マトリックス全体に分散された複数の水吸収性繊維と、
を含む接着剤組成物であって、前記繊維の少なくとも一部が前記接着剤組成物の外表面に露出し、前記繊維の少なくとも一部が相互の接触点にて互いに接触する、接着剤組成物。
[実施形態3]
前記疎水性接着剤が疎水性シリコーンである、実施形態1又は2に記載の接着剤組成物。
[実施形態4]
前記シリコーンが架橋ポリジオルガノシロキサンを含む、実施形態3に記載の接着剤組成物。
[実施形態5]
ポリジオルガノシロキサン材料がポリジメチルシロキサンを含む、実施形態4に記載の接着剤組成物。
[実施形態6]
前記ポリジメチルシロキサンが1種以上のシラノール末端ポリジメチルシロキサン、1種以上の非官能性ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態5に記載の接着剤組成物。
[実施形態7]
前記ポリジメチルシロキサンが1種以上の非官能性ポリジメチルシロキサンからなる、実施形態5に記載の接着剤組成物。
[実施形態8]
前記接着剤が更にシリケート樹脂粘着付与剤を含む、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
[実施形態9]
前記接着剤が更にポリ(ジメチルシロキサン−オキサミド)線状コポリマーを含む、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
[実施形態10]
前記吸収性繊維が天然親水性繊維、合成親水性繊維、半合成親水性繊維、グラフト化親水性繊維、高吸水性繊維、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1又は2に記載の接着剤組成物。
[実施形態11]
前記接着剤組成物の30重量%未満が前記吸収性繊維である、実施形態1又は2に記載の接着剤組成物。
[実施形態12]
前記接着剤組成物の0.1%〜10%が前記吸収性繊維である、実施形態1又は2に記載の接着剤組成物。
[実施形態13]
医療用基材に接着した実施形態1〜10のいずれか一項に記載の接着剤の層を含む、医療品。
[実施形態14]
前記層が20〜200マイクロメートルの厚みを有する、実施形態14に記載の物品。
[実施形態15]
前記医療用基材が、紙、高分子フィルム、発泡体、織布、ホイル、接着剤、ゲル、及び不織布のうちの少なくとも1つ、又はそれら1つ以上の組み合わせを含む、実施形態13又は14に記載の物品。
[実施形態16]
前記水吸収性繊維の少なくとも一部が前記基材に接触する、実施形態13、14又は15に記載の物品。
[実施形態17]
前記疎水性接着剤が疎水性シリコーン、非極性アクリル、疎水性ウレタン、ポリオレフィン、天然ゴム、合成ゴム、又はそれら1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態1又は2に記載の接着剤組成物。