(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、使用後の安全性を確保することができる液体投与具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(
8)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 筒状をなし、その内側に液体が充填された筒体と、
前記筒体の先端側に、該筒体と連通して、もしくは連通可能に設けられた、先端に鋭利な針先を有する針管と、
前記筒体内で摺動し得るガスケットと、
前記ガスケットの基端側に配置され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して前記液体を前記針管から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、
前記針管の少なくとも前記針先を覆う第1の位置と、該第1の位置から基端方向に移動して、前記針先が露出する第2の位置と、該第2の位置から先端方向に移動して再度少なくとも前記針先を覆う第3の位置とに移動可能なカバー部材と、
前記カバー部材の移動を規制可能な規制部材とを備え、
前記規制部材には、第1の係合部と第2の係合部とが互いに異なる位置に設けられ、
前記カバー部材には、前記第1の係合部が係合可能な第1のカバー側係合部と、該第1のカバー側係合部よりも基端側に前記第1の係合部が前記第1のカバー側係合部と異なるタイミングで係合可能な第2のカバー側係合部とが設けられ、
前記操作部材には、前記第2の係合部が係合可能な操作部側係合部が設けられており、
前記カバー部材が前記第1の位置にあるときに、前記規制部材は、前記第1の係合部が前記第1のカバー側係合部と係合する第1の状態となり、
前記カバー部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動して、前記操作部材による前記押圧操作が完了した際に、前記規制部材は、前記第1の係合部が前記第1のカバー側係合部と係合したまま前記カバー部材とともに移動して、前記第2の係合部が前記操作部側係合部と係合する第2の状態となり、
前記カバー部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動した際に、前記規制部材は、前記第2の係合部が前記操作部側係合部と係合したまま、前記第1の係合部が前記第1のカバー側係合部から外れて前記第2のカバー側係合部と係合し、これにより、前記カバー部材の前記第2の位置への再移動を規制する第3の状態となることを特徴とする液体投与具。
【0009】
(2) 前記操作部材は、筒状をなし、その外周部が前記押圧操作を行なうときに把持される把持部を有し、
前記カバー部材および前記規制部材は、それぞれ、筒状をなす部材で構成されており、
前記カバー部材と前記規制部材と前記把持部とは、内側から順に同心的に配置されている
上記(1)に記載の液体投与具。
【0010】
(3) 前記カバー部材と前記規制部材と前記把持部とは、相対的な回転が規制されている
上記(2)に記載の液体投与具。
【0011】
(4) 前記第1の係合部と前記第2の係合部とは、前記規制部材の中心軸に沿って異なり、前記規制部材の中心軸回りにも異なる位置に配置されている
上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の液体投与具。
【0012】
(5) 前記第1の係合部および前記第2の係合部は、それぞれ、弾性的に変形する
上記(2)ないし(4)のいずれか1項に記載の液体投与具。
【0013】
(6) 前記針管を前記筒体に対しその中心軸方向に沿って移動可能に支持する支持部材を備え、
前記筒体は、有底筒状をなし、その底部に前記液体が通過する口部を有する筒体本体と、前記口部を液密に封止する弾性材料で構成された封止部とを有し、
前記針管は、基端に鋭利な基端側針先をさらに有する両頭針で構成され、前記基端側針先が前記封止部を刺通することにより、前記筒体と連通するものであり、
前記基端側針先は、前記カバー部材が前記第1の位置にあるときには、前記封止部から離間しており、前記カバー部材が前記第2の位置に来た際には、前記カバー部材が前記支持部材ごと前記針管を基端方向に向かって移動させて、前記封止部を刺通する
上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の液体投与具。
【0014】
(7) 前記カバー部材を先端方向に向かって付勢する付勢部材を備える
上記(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の液体投与具。
(8) 筒状をなし、その内側に液体が充填された筒体と、
前記筒体の先端側に、該筒体と連通して、もしくは連通可能に設けられた、先端に鋭利な針先を有する針管と、
前記筒体内で摺動し得るガスケットと、
前記ガスケットの基端側に配置され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して前記液体を前記針管から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、
前記針管の少なくとも前記針先を覆う第1の位置と、該第1の位置から基端方向に移動して、前記針先が露出する第2の位置と、該第2の位置から先端方向に移動して再度少なくとも前記針先を覆う第3の位置とに移動可能なカバー部材と、
前記カバー部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するのを許可する状態と、前記カバー部材が前記第2の位置から前記第3の位置に移動してから再度前記第2の位置へ移動するのを規制する状態とを取り得る規制部材とを備え、
前記規制部材は、第1の係合部を有し、
前記カバー部材は、前記第3の位置に移動すると前記第1の係合部に係合するカバー側係合部を有し、
前記操作部材は、筒状をなし、その外周部が前記押圧操作を行なうときに把持される把持部を有し、
前記カバー部材および前記規制部材は、それぞれ、筒状をなす部材で構成されており、
前記カバー部材と前記規制部材と前記把持部とは、内側から順に同心的に配置されていることを特徴とする液体投与具。
【0015】
また、本発明の液体投与具では、前記第1の係合部は、前記規制部材の内周部に設けられ、内側に向かって突出した第1の突出部を有し、前記第2の係合部は、前記規制部材の外周部に設けられ、外側に向かって突出した第2の突出部を有するのが好ましい。
【0016】
また、本発明の液体投与具では、前記第1の突出部および前記第2の突出部には、それぞれ、その基端部に前記規制部材の中心軸に対して傾斜した傾斜部が形成されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の液体投与具では、前記第1のカバー側係合部および前記第2のカバー側係合部は、それぞれ、前記カバー部材の外周部に設けられた凹部で構成されているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の液体投与具では、前記操作部側係合部は、前記把持部の内周部に設けられた凹部で構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カバー部材が第3の位置に移動した際に、当該第3の位置にあるカバー部材の移動を規制部材が規制することができる。これにより、第3の位置にあるカバー部材で針管の針先を覆った状態が確実に維持され、よって、液体投与具の使用後に、針先による誤穿刺を確実に防止することができ、安全性を確実に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の液体投与具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図3は、それぞれ、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す縦断面図、
図4〜
図6は、それぞれ、
図1〜
図3に示す状態の液体投与具をその軸回りに90度変えて見たときの縦断面図、
図7は、本発明の液体投与具が備える操作部材とカバー部材と規制部材との位置関係を示す分解斜視図、
図8は、
図7に示す操作部材を先端側から見た図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1〜
図7中の上側を「基端」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」と言う。
【0022】
図1〜
図6に示す液体投与具10は、液体Qを生体Bに投与する(注入する)際に用いられる医療器具である。なお、液体Qとしては、その使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、造血剤、ワクチン、ホルモン製剤、抗リウマチ剤、抗ガン剤、麻酔剤、血液凝固防止剤等、主に皮下注射される薬液が挙げられる。
【0023】
液体投与具10は、内筒1と外筒4とで構成された筒体40と、両頭針2と支持部材9とで構成された穿刺針50と、内筒1(筒体40)内で摺動し得るガスケット3と、ガスケット3の基端側に配置(連結)された操作部材11と、操作部材11の作動を規制可能な操作部材規制用規制手段(以下単に「規制手段」という)30と、外筒4(筒体40)の外周側に配置されたカバー部材6と、カバー部材6の移動を規制可能なカバー部材規制用規制部材(以下単に「規制部材」という)5と、カバー部材6を付勢する付勢部材としてのコイルバネ60とを備えている。
【0024】
図1〜
図6に示すように、内筒1は、先端部に底部12と、当該底部12の縁部から立設した側壁13とを有する部材、すなわち、有底筒状をなす部材で構成された内筒本体14を有している。そして、内筒1の内部には、液体Qが充填可能である。底部12は、形状がすり鉢状をなし、その中心部に液体Qが通過する口部121が貫通して形成されている。
【0025】
側壁13は、形状が円筒状をなしている。側壁13の基端内周部には、その内径が先端方向に向かって漸減する内筒側テーパ部131が形成されている。
【0026】
また、内筒1は、内筒本体14の口部121を液密に封止する封止部材(封止部)15と、封止部材15をその先端側から固定する固定部材16とを有している。
【0027】
封止部材15は、円板状をなす弾性片で構成され、その基端面にリング状の凹部151が形成されている。この凹部151に、内筒本体14の口部121に突出形成されたリング状の凸部122が液密に嵌合することができる。これにより、封止部材15が内筒本体14の口部121に装着されるとともに、当該口部121を液密に封止することができる。
【0028】
固定部材16は、リング状をなす部材である。そして、この固定部材16は、封止部材15にその外周側から嵌合して、凸部122との間で封止部材15を挟持することにより、当該封止部材15を内筒本体14に対して確実に固定することができる。これにより、封止部材15の内筒本体14からの離脱が確実に防止される。
【0029】
また、内筒本体14、固定部材16、外筒4、規制部材5、カバー部材6、支持部材9、操作部材11の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
【0030】
また、封止部材15、ガスケット3を構成する弾性材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0031】
内筒1の外周側には、外筒4が内筒1と同心的に配置されている。外筒4は、両端がそれぞれ開口した筒状をなす部材で構成されており、その長さが内筒1よりも長いものである。そして、この外筒4の内側に内筒1が固定されて(連結されて)いる。
【0032】
外筒4の外周部には、第1のフランジ部46と第2のフランジ部47とが突出形成されている。第1のフランジ部46は、外筒4の先端部に、その周方向に沿ってリング状に形成されている。第2のフランジ部47は、外筒4の長手方向の途中に、その周方向に沿ってリング状に形成されている。この第2のフランジ部47外径は、第1のフランジ部46の外径よりも大きい。
【0033】
また、外筒4の基端内周部には、その内径が先端方向に向かって漸減する外筒側テーパ部48が形成されている。この外筒側テーパ部48のテーパ角度は、内筒1の内筒側テーパ部131のテーパ角度と同じである。また、外筒側テーパ部48は、内筒側テーパ部131よりも基端側に位置し、当該内筒側テーパ部131と連続した傾斜面を構成している。すなわち、当該内筒側テーパ部131と同一の傾斜面上に位置している。
【0034】
筒体40の先端側には、穿刺針50が配置されている。穿刺針50は、両頭針2と支持部材9とで構成されている。
【0035】
両頭針2は、中空の針管であり、先端に鋭利な先端側針先(針先)21を有し、基端にも鋭利な基端側針先23を有する。この両頭針2は、先端側針先21で生体Bを穿刺することができ、基端側針先23で内筒1の封止部材15を刺通することができる。また、両頭針2は、先端側針先21側の部分と、基端側針先23側の部分とで、外径が異なる異径針である。本実施形態では、先端側針先21側の部分は、基端側針先23側の部分よりも細い。
【0036】
両頭針2の内腔部(中空部)は、基端側針先23が内筒1の封止部材15を刺通した状態で、内筒1と連通しており、内筒1からの液体Qが通過する流路22として機能する。そして、さらに先端側針先21で生体Bを皮膚から所定の深さまで穿刺した状態で、当該生体Bに流路22を介して液体Qが注入される。
【0037】
なお、両頭針2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。
【0038】
このような構成の両頭針2は、支持部材9を介して外筒4(筒体40)に装着されている。支持部材9は、両頭針2を外筒4に対しその中心軸方向に沿って移動可能に支持するものである。この支持部材9は、円板状をなす固定部(支持部)91と、固定部91の縁部から基端方向に向かって立設した壁部92とで構成されている。
【0039】
固定部91は、その中心部で両頭針2を支持、固定することができる。なお、両頭針2の固定部91で支持される箇所は、両頭針2の長手方向の途中、すなわち、本実施形態では両頭針2の外径が急峻に変化する段差部24付近である。
【0040】
壁部92は、固定部91の縁部に沿ったリング状をなし、その内径が外筒4の第1のフランジ部46とほぼ同等かまたは若干大きい部分である。また、
図1〜
図3に示すように、壁部92の基端内周部には、内側に向かって突出し、第1のフランジ部46に係合する複数の係合部921が形成されている。各係合部921は、それぞれ、壁部92の周方向に沿って等間隔に配置されている。そして、各係合部921が第1のフランジ部46に係合することにより、穿刺針50が筒体40の先端部から離脱するのが防止される。
【0041】
前述したように、穿刺針50は、支持部材9を介して外筒4に対しその中心軸方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、穿刺針50は、基端側針先23が筒体40の封止部材15から離間した
図1、
図4に示す離間状態と、基端側針先23が封止部材15を刺通した
図2、
図3、
図5、
図6に示す刺通状態とを取り得る。よって、刺通状態となるまで両頭針2からの液体Qの不本意な漏出が防止される。
【0042】
カバー部材6は、筒体40の外周側に配置され、穿刺針50と同様に、外筒4(筒体40)に対しその軸方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、カバー部材6は、第1の位置(
図1、
図4参照)と、第2の位置(
図2、
図5参照)と、第3の位置(
図3、
図6参照)とに移動することができる。
【0043】
第1の位置は、カバー部材6が両頭針2の少なくとも先端側針先21を覆う位置である。カバー部材6が第1の位置に位置することにより、先端側針先21による誤穿刺や、先端側針先21が損傷を受けるのを確実に防止することができる。
【0044】
第2の位置は、カバー部材6が第1の位置から基端方向に移動し(退避し)、これにより、先端側針先21が露出する位置である。カバー部材6が第2の位置に位置することにより、液体投与具10の使用前に、先端側針先21で生体Bを確実に穿刺することができる。
【0045】
第3の位置は、カバー部材6が第2の位置から先端方向に移動して、再度少なくとも先端側針先21を覆う位置である。カバー部材6が第3の位置に位置することにより、液体投与具10の使用後に、先端側針先21による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0046】
なお、前述した穿刺針50は、カバー部材6が第1の位置にあるときには、離間状態にあり、カバー部材6が第2の位置に来た際には、当該カバー部材6が穿刺針50を(両頭針2を支持部材9ごと)基端方向に向かって押圧移動させて、刺通状態となる。
【0047】
カバー部材6は、2つの部品同士を組み立てて固定してなる組立体である。本実施形態では、カバー部材6は、互いに別体で構成された、筒状をなすカバー部材本体61と、カバー部材本体61の内側に同心的に配置されたリング状をなすリング部材62とを有している。
【0048】
カバー部材本体61は、先端部に板状の先端壁部(底部)63と、当該先端壁部63の縁部から立設した側壁64とで構成されている、すなわち、有底筒状をなす部材で構成されている。
【0049】
先端壁部63の中心部には、当該中心部を貫通する開口部631が形成されている。
図2、
図5に示すように、カバー部材6が第2の位置にあるとき、穿刺針50の先端側針先21が開口部631から突出する(露出する)。
【0050】
側壁64は、形状が円筒状をなしている。
図7に示すように、側壁64の基端内周部には、内側に向かって突出した複数(例えば
図7に示す構成では4つ)の係合部641が形成されている。各係合部641は、それぞれ、側壁64の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0051】
リング部材62は、その外周部にフランジ部621が突出形成されている。このフランジ部621とカバー部材本体61の各係合部641とが係合することにより、リング部材62がカバー部材本体61に対し固定される(
図1〜
図3参照)。
【0052】
また、
図1、
図3、
図4、
図6に示すように、カバー部材6が第1の位置または第3の位置にあるとき、リング部材62の先端面622に、その先端側から外筒4の第2のフランジ部47が係合する。この係合により、カバー部材6が外筒4から離脱するのが防止される。
【0053】
また、リング部材62の基端内周部には、その内径が先端方向に向かって漸減するテーパ部で構成された規制解除部623が設けられている。この規制解除部623は、操作部材11に対する規制手段30の規制を解除する部分である。
【0054】
カバー部材本体61の内側には、コイルバネ60が圧縮状態で収納されている。このコイルバネ60は、その先端601がカバー部材本体61の先端壁部63に当接し、基端602が外筒4の第2のフランジ部47に当接している。そして、これらの間で、コイルバネ60は圧縮されている。これにより、カバー部材6を第2の位置から第1の位置(第3の位置)へ向かう方向、すなわち、先端方向に向かってに付勢することができる。このようなコイルバネ60の付勢力により、液体投与具10の使用前後で、カバー部材6で先端側針先21を覆うことができ、よって、当該先端側針先21による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0055】
なお、コイルバネ60の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料を用いることができる。
【0056】
ガスケット3は、内筒1の軸方向に沿って摺動可能に収納されている。なお、このガスケット3と内筒1とで囲まれた空間には、液体Qが予め充填されている。そして、
図2、
図5に示すように、ガスケット3が先端方向に向かって移動することにより、内筒1内の液体Qを、当該内筒1に連通した状態の両頭針2から押し出すことができる。
【0057】
このガスケット3は、外形形状が円柱状をなし、その外周部に2つの突部31、32が突出形成されている。突部31と突部32とは、ガスケット3の軸方向に沿って離間している。また、突部31、32は、それぞれ、ガスケット3の周方向に沿ったリング状をなし、その外径は、外力を付与しない自然状態で、内筒1の内径よりも若干大きい。これにより、突部31、32は、それぞれ、内筒1の側壁13の内周部133に対し密着しつつ摺動することができ、よって、液密性を確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0058】
また、ガスケット3の基端面には、操作部材11の連結部207が挿入されて(嵌合して)連結する凹部33が開口している。
【0059】
操作部材11は、ガスケット3を先端方向に向かって押圧して液体Qを両頭針2から吐出させる押圧操作(吐出操作)を行なう「押し子(プランジャ)」として機能する部材である。操作部材11は、カバー部材6の外周側に配置され、操作部材本体7と、連結部20とを有している。
【0060】
操作部材本体7は、天板71と、天板71の縁部から先端方向に向かって突出した壁部72とで構成されたカップ状をなす部材である。
【0061】
天板71は、円板状をなす部分である。
【0062】
壁部72は、天板71の縁部に沿って形成された円筒状をなす部分である。そして、壁部72の外周部が押圧操作を行なうときに把持される把持部して機能する。
【0063】
また、
図1、
図4に示すように、液体投与具10の未使用状態で、壁部72は、基端側からカバー部材6の基端部までを覆っている。これにより、後述する連結部20に配された規制手段30が使用者(操作者)の手で触れられるのを防止することができ、よって、当該規制手段30の操作部材11に対する規制が不本意に解除されるのを確実に防止することができる。
【0064】
連結部20は、ガスケット3と連結される部分であり、天板71の中心部に先端方向に向かって突出形成されている。この連結部20は、全体として柱状をなし、基端側の第1の部分201と、先端側の第2の部分202とに分けることができる。
【0065】
第1の部分201は、天板71と一体的に形成され、大径部203と小径部204とを有し、先端側に向かって外径が段階的に減少している。大径部203と小径部204との境界部には、その周方向に向かってリング状に突出したフランジ部205が形成されている。
【0066】
第2の部分202は、第1の部分201と別体で構成され、基部206と連結部207と複数の(例えば4つ)係合部208とを有している。
【0067】
基部206は、円柱状をなし、その中心部に小径部204が挿入される部分である。そして、この基部206と、第1の部分201のフランジ部205との間で、後述する規制手段30のハウジング80を挟持することができる。
【0068】
基部206の先端面には、ガスケット3の凹部33の形状に対応した連結部207が形成されている。この連結部207がガスケット3の凹部33に挿入されることにより、操作部材11とガスケット3とが連結される。
【0069】
基部206の基端面には、複数の係合部208が基端方向に向かって突出している。これらの係合部208は、基部206の周方向に沿って等間隔に配置されている。各係合部208は、それぞれ、その基端部が鉤状に屈曲しており、第1の部分201のフランジ部205に係合することができる。これにより、基部206と、第1の部分201のフランジ部205との間で規制手段30のハウジング80を挟持した状態を維持することができ、よって、規制手段30が操作部材11に対し確実に固定される。
【0070】
規制手段30は、一対の規制部8と、各規制部8を収納するハウジング80とを有している。
【0071】
各規制部8は、それぞれ、操作部材11の押圧操作を規制する規制位置(
図1、
図4参照)と、規制位置から退避して前述した押圧操作の規制を解除する解除位置(
図2、
図5参照)とに変位する部材である。
【0072】
各規制部8は、それぞれ、操作部材11の連結部20の小径部204の長手方向の途中に、当該小径部204を介して配置された小片で構成されている。そして、一方の規制部8と他方の規制部8とは、接近・離間することができる。なお、これらの規制部8は、規制位置では離間しており、解除位置では前述した規制位置での離間状態よりも接近している。
【0073】
このように配置された各規制部8は、それぞれ、小径部204側の部分が幅と厚さとが拡大した拡大部81となっている。拡大部81がハウジング80に係合することにより、規制部8が規制位置でハウジング80から離脱するのが防止される(例えば
図1参照)。
【0074】
各規制部8の拡大部81と反対側の部分は、規制位置で、ハウジング80から突出しており、外筒4の基端49に係合する係合部82となる。この係合により、操作部材11の押圧操作が確実に規制される。また、解除位置では、係合部82と外筒4の基端49との係合が解除される。この解除により、操作部材11の押圧操作が可能となる。なお、各規制部8の規制位置から解除位置への移動は、第2の位置に移動して来たカバー部材6によりなされる。
【0075】
また、規制部8同士の間には、各規制部8を付勢する付勢部としてのコイルバネ(図示せず)が圧縮状態で配置されている。これにより、各規制部8を規制位置に向かう方向に付勢することができる。これにより、各規制部8を規制位置に留まらせて、操作部材11に対する規制状態を確実に維持することができる。
【0076】
ハウジング80は、中空体(箱体)で構成され、その中空部に各規制部8と前記コイルバネとを収納することができる。このハウジング80は、操作部材11の第1の部分201のフランジ部205と、第2の部分202の基部206との間で挟持されており、その挟持状態が係合部208で維持されている。これにより、ハウジング80(規制手段30)が操作部材11に対し確実に固定されることとなる。
【0077】
ハウジング80は、その天板801から底板802までを操作部材11の連結部20の小径部204が挿通している。また、ハウジング80の側壁803の小径部204を介した2箇所には、各規制部8がそれぞれ突出する開口部804が貫通して形成されている。
【0078】
なお、規制部8、ハウジング80の構成材料としては、特に限定されず、例えば、内筒本体14等の構成材料と同様の材料を用いることができる。
【0079】
図1〜
図6に示すように、カバー部材6の外周側には、円筒状をなす部材で構成された規制部材5が配置されている。なお、
図7に示すように、液体投与具10では、カバー部材6と規制部材5と操作部材本体7の壁部72とは、内側からこの順に同心的に配置されている。
【0080】
規制部材5は、カバー部材6に対しその軸方向に沿って移動可能に設置されている。そして、規制部材5のカバー部材6に対する位置に応じて、カバー部材6が第1の位置から第2の位置への移動するのを許可したり(
図1、
図2、
図4、
図5参照)、カバー部材6が第2の位置から第3の位置に移動してから再度第2の位置へ移動するのを規制したり(
図3、
図6参照)することができる。
【0081】
図1〜
図3、
図7に示すように、規制部材5は、複数(本実施形態では4つ)の第1の係合部51を有している。各第1の係合部51は、それぞれ、カバー部材6のカバー部材本体61と係合する部分である。なお、第1の係合部51の設置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0082】
また、
図4〜
図7に示すように、規制部材5は、各第1の係合部51と異なる位置に、複数(本実施形態では4つ)の第2の係合部52を有している。各第2の係合部52は、ぞれぞれ、操作部材本体7の壁部72と係合する部分である。なお、第2の係合部52の設置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0083】
各第1の係合部51は、それぞれ、規制部材5の周方向に沿って等間隔に配置されている。なお、各第1の係合部51の構成は、同じであるため、以下1つの第1の係合部51について代表的に説明する。
【0084】
図7に示すように、円筒状をなす規制部材5の円筒壁(壁部)53には、2本のスリット54が円筒壁53の先端531から中心軸方向の途中まで形成されている。第1の係合部51は、2本のスリット54の間に設けられた小片で構成されている。これにより、第1の係合部51は、弾性的に変形する弾性片となる。
【0085】
図1〜
図3に示すように、第1の係合部51の先端部には、第1の突出部511が突出形成されている。この第1の突出部511は、当該第1の突出部511を構成する円筒壁53の一部の内周部532から内側に向かって突出した部分である。これにより、第1の係合部51は、第1の突出部511で、後述するカバー部材6の第1のカバー側係合部65(
図1、
図2参照)や第2のカバー側係合部66(
図3参照)に確実に係合することができる。
【0086】
また、第1の突出部511の基端部には、円筒壁53(規制部材5)の中心軸に対して傾斜した傾斜部512が形成されている。そして、カバー部材6の第1のカバー側係合部65に係合している第1の突出部511は、当該第1のカバー側係合部65から離脱する際に、傾斜部512で第1のカバー側係合部65を容易に乗り越えることができる。これにより、第1の突出部511が第1のカバー側係合部65から容易に離脱することができる。
【0087】
また、前述したように、第1の係合部51は、弾性的に変形することができる。そして、第1のカバー側係合部65から離脱した第1の突出部511は、第2のカバー側係合部66に係合する位置で、第1の係合部51自身の弾性力により、当該第2のカバー側係合部66に確実に係合することができる。
【0088】
図7に示すように、各第2の係合部52は、それぞれ、規制部材5の周方向に沿って等間隔に配置されている。前述したように各第1の係合部51も規制部材5の周方向に沿って等間隔に配置されているが、第1の係合部51と第2の係合部52とは、規制部材5の中心軸回りに例えば90度異なる位置に配置されている。
【0089】
各第2の係合部52の構成は、同じであるため、以下1つの第2の係合部52について代表的に説明する。
【0090】
図7に示すように、規制部材5の円筒壁53には、2本のスリット55が円筒壁53の基端533から中心軸方向の途中まで形成されている。第2の係合部52は、2本のスリット55の間に設けられた小片で構成されている。これにより、第2の係合部52は、弾性的に変形する弾性片となる。
【0091】
図4〜
図7に示すように、第2の係合部52の基端部には、第2の突出部521が突出形成されている。この第2の突出部521は、当該第2の突出部521を構成する円筒壁53の一部の外周部534から外側に向かって突出した部分である。これにより、第2の係合部52は、第2の突出部521で、後述する操作部材本体7の操作部側係合部73に確実に係合することができる(
図5、
図6参照)。
【0092】
また、第2の突出部521の基端部には、円筒壁53の中心軸に対して傾斜した傾斜部522が形成されている。そして、第2の突出部521が操作部側係合部 に係合する際には、傾斜部522で操作部材本体7の先端721から操作部側係合部73までの部分を容易に乗り越えることができる。これにより、第2の突出部521が操作部側係合部73に容易に係合することができる。
【0093】
また、前述したように、第2の係合部52は、弾性的に変形することができる。そして、操作部材本体7の先端721から操作部側係合部73までの部分を乗り越えた第2の突出部521は、操作部側係合部73に係合する位置で、第2の係合部52自身の弾性力により、当該操作部側係合部73に確実に係合することができる。
【0094】
図1〜
図3、
図7に示すように、カバー部材6のカバー部材本体61は、複数(本実施形態では4つ)の第1のカバー側係合部65を有している。各第1のカバー側係合部65は、それぞれ、規制部材5の各第1の係合部51と係合することができる部分である。
【0095】
また、カバー部材6のカバー部材本体61は、各第1のカバー側係合部65よりも基端側に複数(本実施形態では4つ)の第2のカバー側係合部66を有している。各第2のカバー側係合部66は、それぞれ、第1のカバー側係合部65と異なるタイミングで規制部材5の各第1の係合部51と係合することができる部分である。
【0096】
なお、第1のカバー側係合部65および第2のカバー側係合部66の設置数は、本実施形態では4つであるが、第1の係合部51の設置数と同数であれば、これに限定されない。
【0097】
各第1のカバー側係合部65および各第2のカバー側係合部66は、それぞれ、カバー部材本体61(カバー部材6)の周方向に沿って等間隔に配置されている。そして、これらの係合部のうち、1つ第1のカバー側係合部65と、その直上にある1つの第2のカバー側係合部66とが対をなし、当該対となった係合部に1つの第1の係合部51が異なるタイミングで係合することができる(
図1〜
図3参照)。
【0098】
また、各第1のカバー側係合部65および各第2のカバー側係合部66は、それぞれ、カバー部材本体61(側壁64)の外周部642から内周部643を貫通して形成された貫通孔(凹部)で構成されている。これにより、第1のカバー側係合部65や第2のカバー側係合部66に、第1の係合部51の第1の突出部511が確実に係合することができる。
【0099】
図4〜
図7に示すように、操作部材11の操作部材本体7は、複数(本実施形態では4つ)の操作部側係合部73を有している。各操作部側係合部73は、それぞれ、規制部材5の各第2の係合部52と係合することができる部分である。なお、操作部側係合部73の設置数は、本実施形態では4つであるが、第2の係合部52の設置数と同数であれば、これに限定されない。
【0100】
各操作部側係合部73は、それぞれ、操作部材本体7(操作部材11)の壁部72の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0101】
また、各操作部側係合部73は、それぞれ、壁部72の内周部722から外周部723を貫通して形成された貫通孔(凹部)で構成されている。これにより、操作部側係合部73に第2の係合部52の第2の突出部521が確実に係合することができる。
【0102】
そして、規制部材5は、カバー部材6の位置に応じて、
図1、
図4に示す第1の状態と、
図2、
図5に示す第2の状態と、
図3、
図6に示す第3の状態とを取り得る。
【0103】
第1の状態は、カバー部材6が第1の位置にあるときに、規制部材5の各第1の係合部51(第1の突出部511)がそれぞれカバー部材6の各第1のカバー側係合部65と係合した状態である。
【0104】
第2の状態は、カバー部材6が第1の位置から第2の位置に移動して、操作部材11による押圧操作が完了した際に、規制部材5の各第1の係合部51がそれぞれカバー部材6の各第1のカバー側係合部65と係合したまま、規制部材5がカバー部材6とともに移動する。そして、移動した先で、規制部材5の各第2の係合部52(第2の突出部521)がそれぞれ操作部材11の各操作部側係合部73と係合した状態である。
【0105】
第3の状態は、カバー部材6が第2の位置から第3の位置に移動した際に、規制部材5の各第2の係合部52がそれぞれ操作部材11の各操作部側係合部73と係合したまま、規制部材5の各第1の係合部51が、それぞれ、カバー部材6の各第1のカバー側係合部65から外れて、カバー部材6の各第2のカバー側係合部66と係合する。そして、これにより、カバー部材6の第2の位置への再移動を規制した状態となる。
【0106】
規制部材5は、このような第1の状態、第2の状態、第3の状態を順に経ることができる。これについての詳細は、下記の液体投与具10の使用方法と、その使用時の作動状態とともに説明する。
【0107】
なお、液体投与具10では、カバー部材6と規制部材5と操作部材11の操作部材本体7(壁部72)とが、液体投与具10の中心軸回りの相対的な回転が規制されるよう構成されている。これにより、規制部材5の各第1の係合部51が、それぞれ、当該第1の係合部51対応するカバー部材6の第1のカバー側係合部65および第2のカバー側係合部66に順に確実に係合することできる。また、規制部材5の各第2の係合部52が、それぞれ、当該第2の係合部52に対応する操作部材11の操作部側係合部73と確実に係合することができる。そして、このような各係合により、規制部材5が第1の状態、第2の状態および第3の状態の各状態を確実に取ることができる。
【0108】
ここでは、この回転規制構成について、説明する。
【0109】
図7に示すように、規制部材5の外周部には、複数本(本実施形態では2本)のリブ56が突出して形成されている。各リブ56は、それぞれ、規制部材5の外周部の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、各リブ56は、それぞれ、規制部材5の中心軸方向に沿って延在している。
【0110】
図8に示すように、操作部材11の操作部材本体7の内周部722には、各リブ56がそれぞれ挿入される溝74が形成されている。そして、溝74にリブ56が挿入されることにより、規制部材5と操作部材11との相対的な回転が確実に規制される。
【0111】
また、
図7に示すように、規制部材5の内周部には、複数本(本実施形態では2本)の溝57が形成されている。各溝57は、それぞれ、規制部材5の内周部の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、各溝57は、それぞれ、規制部材5の中心軸方向に沿って延在している。
【0112】
一方、カバー部材6のカバー部材本体61の外周部642には、各溝57にそれぞれ挿入されるリブ67が突出して形成されている。そして、溝57にリブ67が挿入されることにより、カバー部材6と規制部材5との相対的な回転が確実に規制される。
【0113】
次に、液体投与具10の使用方法と、その使用時の作動状態とについて、
図1〜
図6を参照しつつ説明する。
【0114】
[1]
図1、
図4に示すように、未使用状態(初期状態)の液体投与具10を用意する。この未使用状態の液体投与具10では、カバー部材6は、第1の位置にあり、両頭針2の先端側針先21を覆っている。なお、この未使用状態では、コイルバネ60の付勢力により、カバー部材6で先端側針先21が覆われた状態が維持されている。これにより、先端側針先21による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0115】
また、このとき、規制部材5は、第1の状態にある、すなわち、各第1の係合部51がそれぞれカバー部材6の各第1のカバー側係合部65と係合している。これにより、規制部材5は、カバー部材6とともに移動可能な状態となっている(
図1参照)。
【0116】
また、穿刺針50は、両頭針2の基端側針先23が筒体40の内筒1の封止部材15から離間しており、封止部材15を未だ刺通していない。これにより、液体Qの投与が開始されるまで、液体Qの無菌状態を維持することができる。
【0117】
また、規制手段30は、各規制部8がそれぞれ規制位置に位置して、筒体40の外筒4の基端49に係合している。これにより、ガスケット3を移動させるための基端方向への操作部材11の作動(移動)が禁止され、よって、操作部材11の誤作動を確実に防止することができる。
【0118】
[2] 次に、未使用状態の液体投与具10の操作部材11の操作部材本体7を把持して、
図2、
図5に示すように、カバー部材6の先端壁部63を生体Bに当接させ、この状態で操作部材11を先端方向に向かって押圧する。
【0119】
このとき、カバー部材6は、コイルバネ60の付勢力に抗して、第1の位置から第2の位置へ移動する。これにより、両頭針2の先端側針先21が、カバー部材6の先端壁部63の開口部631から突出して、先端側針先21での生体Bに対する穿刺が行なわれる。
【0120】
また、カバー部材6の移動過程では、カバー部材6の先端壁部63が穿刺針50の支持部材9を基端方向に向かって押圧する。これにより、両頭針2の基端側針先23で、内筒1の封止部材15を刺通することができ、よって、生体Bを穿刺した両頭針2と、内筒1とが連通する。
【0121】
さらに、カバー部材6の移動過程では、カバー部材6の規制解除部623が、規制手段30の各規制部8の係合部82にその先端側から当接して、当該各規制部8を内側に向かって押圧して、解除位置まで移動させることとなる。これにより、操作部材11でガスケット3を押圧して、液体Qを吐出させるための押圧操作に対する規制が解除され、よって、当該押圧操作が可能となる。その後、各規制部8は、それぞれ、外筒4の外筒側テーパ部48、内筒1の内筒側テーパ部131で順に押圧されて、解除位置からさらに内側に向かって移動する。これにより、ガスケット3が先端方向に向かって移動する、すなわち、当該押圧操作が行なわれ、よって、液体Qの投与を行なうことができる。そして、この押圧操作は、ガスケット3が内筒1の底部12に当接するまで継続して行なわれる。これにより、液体Qの投与が完了する。
【0122】
また、操作部材11による押圧操作が完了する際には、規制部材5は、第2の状態にある。すなわち、規制部材5は、各第1の係合部51がそれぞれカバー部材6の各第1のカバー側係合部65と係合したまま、カバー部材6とともに第2の位置に移動する(
図2参照)。そして、この位置で、規制部材5は、各第2の係合部52がそれぞれ操作部材11の各操作部側係合部73と係合する(
図5参照)。
【0123】
[3] 次に、
図3、
図6に示すように、液体投与具10を生体Bから離間させる。
【0124】
このとき、カバー部材6は、コイルバネ60の付勢力によって、第2の位置から第3の位置へ移動する。これにより、両頭針2の先端側針先21がカバー部材6で再度覆われ、よって、先端側針先21による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0125】
また、規制部材5は、第3の状態にある。
【0126】
換言すれば、規制部材5は、各第2の係合部52がそれぞれ操作部材11の各操作部側係合部73と係合したままとなっている(
図6参照)。これにより、規制部材5がカバー部材6とともに第3の位置に移動するのが規制される。また、カバー部材6の移動に伴い、規制部材5の各第1の係合部51は、それぞれ、第1の突出部511の傾斜部512によってカバー部材6の各第1のカバー側係合部65を乗り越えることができ、その結果、当該第1のカバー側係合部65から外れる。そして、この第1のカバー側係合部65から外れた各第1の係合部51は、それぞれ、カバー部材6の各第2のカバー側係合部66と係合する(
図3参照)。これにより、カバー部材6の第2の位置への再移動が確実に規制されて、当該カバー部材6で両頭針2の先端側針先21を覆った状態が維持される。よって、液体投与具10の使用後における、先端側針先21による誤穿刺を確実に防止することができ、安全性を確実に確保することができる。
【0127】
また、液体投与具10では、生体Bに対する穿刺が完了するまで、操作部材11による押圧操作が禁止され、よって、当該操作部材11が誤って作動するのを確実に防止することができる。すなわち、穿刺前や穿刺途中に、操作部材11を誤って操作するのを確実に防止することができる。
【0128】
また、液体投与具10では、操作部材11を把持して、そのまま、当該操作部材11を押圧しきるという、ワンアクションで、穿刺から投与までの一連の操作を正確かつ確実に行なうことができる。
【0129】
以上、本発明の液体投与具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液体投与具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0130】
また、内側でガスケットが摺動する筒体は、前述した実施形態では内筒と外筒との2部材で構成されていたが、これに限定されず、例えば、1部材で構成されていてもよい。
【0131】
また、穿刺針は、前述した実施形態では両頭針である針管を有するものであるが、これに限定されず、基端側針先が省略された針管を有するものであってもよい。この場合、針管は、予め(未使用状態で既に)内筒と連通している。
【0132】
また、カバー部材と規制部材と把持部とは、前述した実施形態ではリブと溝の係合により相対的な回転が規制されるよう構成されていたが、これに限定されず、例えば、カバー部材、規制部材、把持部を楕円筒状あるいは略矩形筒状に形成することで相対的な回転が規制されるよう構成するものであってもよい。