【実施例】
【0026】
実施例1(12−HMS/2−エチル−1−ヘキサノール/塩化オクタノイル)
1日目:164.75グラム(g)の2−エチル−1−ヘキサノールを1000ミリリットル(mL)の三つ口丸底フラスコへ量り入れる。凝縮装置、ディーン・スターク・トラップ(Dean Stark Trap)、サーモウォッチ(thermowatch)温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機、栓およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。ナトリウム(Na)金属のキューブの半分(〜0.102g、平板化し、小片に切り分ける)をフラスコに加える。温度を60℃まで上げる。45分後Naは溶解する。100.23gの12−HMSをフラスコに加える。断熱材をフラスコに巻き付ける。温度を160℃まで上げる。メタノール塔頂留出物を回収する。反応を、6時間混合し、一晩継続させる。
【0027】
2日目:7時間後、GCで反応が完了したことを確認し、加熱を停止する。反応混合物が室温に戻ったら、100mLのトルエンを加える。試料を分液漏斗に入れ、各50mLの1N HClで3回洗い、Naを中和する。水層を捨てる。有機層は濁っており、500mLの三角フラスコに入れる。硫酸マグネシウム(MgSO
4)無水粉末を、三角フラスコに、MgSO
4がフラスコ内で凝集しなくなるまで加える。この時、溶液は透明である。三角フラスコに取り付けた、穴が開けられたプレートが付いたブフナー漏斗(Buchner funnel)を用いて、MgSO
4をろ過して除去する。トルエンおよび過剰の2−エチル−1−ヘキサノール(2−ethy−1−hexanol)を除去するために、ポンプに固定したロータリーエバポレーター(「ロタバップ(rotavap)」)を用いて試料を蒸発させる。水浴を、初め40℃に設定してトルエンを除去し、次いで90℃に上げて2−エチル−1−ヘキサノールを除去する。GCで過剰の2−エチル−1−ヘキサノールがまだあることが確認されたら、下記条件を用いて、試料をWFEへ通す。
【表2】
【0028】
3日目:塩化オクタノイル(1.1モル過剰)の追加を、初めに107.00gの生成物を500mLの三つ口丸底フラスコに量り入れることにより実施する。凝縮装置、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機、栓およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。100mLのトルエンを加える。追加の漏斗を用いて、44.87gの塩化オクタノイルを加える。1時間後、GCで反応が完了していることを確認する。
【0029】
試料に100mLのメタノールを加える。試料をロタバップに置き、トルエンおよびメタノールを除去する。GCで試料中に幾らかの溶媒がまだ存在することを確認する。次いで、先に述べたのと同じ条件を用いて、試料をWFEに流し落とす。塔頂留出物を捨てる。
【0030】
試料を冷凍庫に一晩入れ、朝に凍結していないことが分かる。酸価は、0.45mg KOH/gである。
【0031】
実施例2 12−HMS/ME−810*(*オクタン酸メチルエステルとデカン酸メチルエステルとのおおよそ50:50wt%のブレンド物)
1日目:301.41gの12−HMSを、1000mLの三つ口、丸底フラスコへ量り入れる。凝縮装置、ディーン・スターク・トラップ、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。410.90gのME−810酸を加える。反応を170℃に加熱し、GPCで反応の進行を完了まで監視する。反応を、連続流および下記条件を用いてWFEに通す。底部(生成物)を回収し、塔頂留出物は捨てる。
【表3】
生成物は、主として固形物で一部液体であり、変圧器流体用途のためには許容されないと考えられる。
【0032】
実施例3 12−HMS/2−エチルヘキサン酸
1日目:101.6gの12−HMSを、500mLの三つ口、丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、ディーン・スターク・トラップ、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機、栓およびN
2注入口を付け足す。132.9gの2−エチルヘキサン酸を加えて撹拌した反応を170℃に加熱する。3時間後に熱を切る。反応の進行をGPCで監視する。完了したら、下記条件を用いて生成物をWFEに通す。塔頂留出物を捨てる。溶液は透明で、金黄色である。
【表4】
【0033】
実施例4 12−HMS/2−エチル−1−ヘキサノール/塩化デカノイル
1日目:400.66gの2−エチル−1−ヘキサノールを、2000mLの三つ口、丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、副生成物(bi−product)を回収するためのディーン・スターク・トラップ、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機およびN
2注入口を付け足す。撹拌した反応にNa金属(0.411g、平板化し、小片に切り分ける)を加え、60℃に加熱する。1時間後ナトリウムは溶解する。300.54gの12−HMSをフラスコに加え、160℃に加熱する。反応を一晩混合する。2日目、3日目を通して反応が続く。
【0034】
4日目:GCで反応が完了したことを確認し、2mLの12N HClで室温で反応を中和する。2000mLの枝付き三角フラスコおよびろ紙を付けた150−gのブフナー漏斗を用いて試料をろ過する。試料は、非常に明るい橙色である。過剰の2−エチル−1−ヘキサノールを除去するために、試料を真空で蒸発させる。GCで過剰の2−エチル−1−ヘキサノールがまだあることが確認されたら、下記条件を用いて試料をWFEに通す。
【表5】
【0035】
GPC分析により二量体種の存在が判明し、その生成物を下記の条件下でWFEによって除去する。
【表6】
【0036】
GC分析により、所望の物質のみが蒸留物または塔頂留出物画分中に分離されていることが分かり、この生成物350.12gを、2000mLの三つ口、丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機およびN
2注入口を付け足す。撹拌した反応に、反応の温度が50℃以下に維持されるような速度で177.32gの塩化デカノイル(1.1モル過剰)を滴下して加える。反応は、加熱せずに撹拌を一晩継続させる。GC分析で反応が完了したことを確認する。
【0037】
35gのメタノールを加えて過剰の酸塩化物を失活させ、試料をロタバップに置いてメタノールを除去する。試料は、透明で、暗い橙色である。試料をWFEに通して残ったあらゆる酸を除去することを決める。WFEは、最初のWFE蒸留と同じ条件を用いてセットする。塔頂留出物を捨てる。
【表7】
378.12gの試料を、1000mLの三つ口、丸底フラスコに入れる。サーモウォッチ温度調節器付き温度計およびオーバーヘッド機械式撹拌機を付け足す。42gのケイ酸マグネシウムを撹拌した反応に加え、次いで反応を1時間70℃に加熱する。次いで試料を冷却し、細孔径1マイクロメートル(um)のろ紙を付けた90ミリメートル(mm)精密ろ過装置を用いてろ過する。最終生成物の酸価は、0.05mg KOH/1gとなることが分かる。
【0038】
実施例5(12−HMS/2−エチル−1−ヘキサノール/塩化2−エチルヘキサノイル)
1日目:514gの2−エチル−1−ヘキサノールを、2000mLの三つ口丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、ディーン・スターク・トラップ、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機、栓およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。Na金属(平板化し、小片に切り分ける)のキューブ1つの量をフラスコに加える。温度を60℃に上げる。45分後Naは溶解する。300gの12−HMSをフラスコに加える。断熱材をフラスコに巻き付ける。温度を160℃に上げる。反応を6時間混合し、一晩継続させる。2日目、3日目を通して反応が続く。
【0039】
4日目、4時間後、GCで反応が完了していることを確認する。12mLのメタノールが回収される。反応を冷却する時に、100mLの脱イオン(DI)水(H
2O)を加え、150mLの1N HClで中和する。水洗浄を3回行い、分液漏斗を用いて分離する。水層を捨てる。有機層を、2000mLの三角フラスコに入れる。三角フラスコにMgSO
4無水粉末を、MgSO
4がフラスコ内で凝集しなくなるまで加える。溶液は、まだ非常に濁っている。セライト(Celite)を用いて用意したカラムをセットし、溶液にトルエンを加え、溶液をセライトカラムに流し込む。この時、溶液は透明である。トルエンおよび過剰の2−エチル−1−ヘキサノールを除去するために、試料をロタバップを用いて真空中で蒸発させる。水浴を、初め40℃に設定してトルエンを除去し、次いで温度を90℃に上げて2−エチル−1−ヘキサノールを除去する。326.81gが回収される。GCで過剰の2−エチル−1−ヘキサノールが残っていることが確認されたら、下記条件を用いて試料をWFEに通す。
【表8】
【0040】
塩化2−エチルヘキサノイル(1.2モル過剰)の追加を、以下に述べるようにバッチ式で実施する。
【0041】
バッチ1:80.77gの生成物を、500mLの三つ口丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機、栓およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。130mLのトルエンを加える。追加の漏斗を用いて、36.72gの塩化2−エチルヘキサノイルを加える。1時間後、塩化2−エチルヘキサノイルを加え、熱を120℃に上げる。1時間後、GCで反応が完了していることを確認する。反応を停止し、とっておく。
【0042】
バッチ2:80.04gの生成物を、500mLの三つ口、丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。130mLのトルエンを加える。追加の漏斗を用いて、39.9gの塩化2−エチルヘキサノイルを加える。1時間後、塩化2−エチルヘキサノイルを加え、熱を120℃に上げる。1時間後、GCで反応が完了していることを確認する。反応を停止し、とっておく。
【0043】
バッチ3:132.12gの生成物を、500mLの三つ口、丸底フラスコに量り入れる。凝縮装置、サーモウォッチ温度調節器付き温度計、オーバーヘッド機械式撹拌機およびN
2注入口を付け足す。撹拌機のスイッチを入れる。150mLのトルエンを加える。追加の漏斗を用いて、69.93gの塩化2−エチルヘキサノイルを加える。1時間後、塩化2−エチルヘキサノイルを加える。反応は、一晩加熱せずに撹拌を継続させる。翌日、GCで反応が完了していることを確認する。
【0044】
3つのバッチ全てを、2000mLの三つ口、丸底フラスコ内で混合する。温度計およびオーバーヘッド機械式撹拌機を付け足す。試料に300mLのメタノールを加える。撹拌機を開始する。試料を30分間混合させる。試料をロタバップに置き、トルエンおよびメタノールを除去する。431.04gが回収される。酸価を試験し、5.39mg KOH/gになることが分かる。フラスコおよび撹拌機に、50.65gの水酸化ナトリウム(NaOH)ペレットを加えて、試料を一晩撹拌する。翌日、500mLのヘキサンを加え、シリカゲル60(silica 60 gel)で4分の1を満たしたカラムに試料を流し込む。試料が通り抜けたら、各100mLのヘキサンの2分取分でカラムをすすぐ。ロタバップ後、357.78gが回収される。任意の過剰な溶媒を除去するための先の条件と同じ条件を用いて、試料をWFEに流し落とす。塔頂留出物を捨てる。