特許第6046746号(P6046746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046746
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】感光性樹脂積層体ロール
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20161212BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20161212BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20161212BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20161212BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20161212BHJP
   B65D 81/30 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
   B65D85/672
   G03F7/004 512
   G03F7/027 502
   G03F7/031
   G03F7/033
   !B65D81/30 C
【請求項の数】27
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-554556(P2014-554556)
(86)(22)【出願日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2013084946
(87)【国際公開番号】WO2014104217
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-285697(P2012-285697)
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小谷 雄三
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−255633(JP,A)
【文献】 特開2005−153939(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/057149(WO,A1)
【文献】 特開2011−065171(JP,A)
【文献】 特開2007−171610(JP,A)
【文献】 特開2004−203430(JP,A)
【文献】 特開2003−160175(JP,A)
【文献】 特開2008−094461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/672
G03F 7/004
G03F 7/027
G03F 7/031
G03F 7/033
B65D 81/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂積層体が巻芯にロール状に巻き取られており、
ロール端面保護部材が、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように配された感光性樹脂積層体ロールであって、以下の要件:
前記巻芯の長さが前記感光性樹脂積層体の幅よりも長い;
前記ロール端面保護部材は、ロール端面と接触する側に粘着剤組成物を有するリング状シートであり、前記巻芯の張り出し部を挿通して具備される;
前記感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層に積層される感光性樹脂層とを含む
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06以上である;及び
前記端面保護部材と低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchである;
を満たす、前記感光性樹脂積層体ロール。
【請求項2】
感光性樹脂積層体が巻芯にロール状に巻き取られており、
ロール端面保護部材が、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように配された感光性樹脂積層体ロールであって、以下の要件:
前記巻芯の長さが前記感光性樹脂積層体の幅よりも長い;
前記ロール端面保護部材は、ロール端面と接触する側に粘着剤組成物を有するリング状シートであり、前記巻芯の張り出し部を挿通して具備される;
前記感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層に積層される感光性樹脂層とを含む;及び
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.59以下である;
を満たす、前記感光性樹脂積層体ロール。
【請求項3】
前記端面保護部材と低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchであることを特徴とする、請求項2に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項4】
遮光シートによって覆われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項5】
前記遮光シートが筒状であることを特徴とする請求項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項6】
前記リング状シートの内径が巻芯の外径の1〜1.1倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項7】
前記ロール端面保護部材の基材が、無発塵紙、低発塵紙、合成紙、または紙と樹脂基材とを貼り合せてなるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項8】
前記感光性樹脂層が、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、付加重合性モノマー、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物よりなる層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項9】
前記カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子が、スチレンまたはその誘導体を共重合したものであることを特徴とする請求項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項10】
前記付加重合性モノマーが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項11】
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項12】
前記粘着剤組成物が、アクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項13】
前記粘着剤組成物が、粘着剤と粒子とを含有し、該粒子の50質量%以上は、該粘着剤組成物の塗布厚みの80〜120%の直径を有するものであり、且つ該粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
【請求項14】
感光性樹脂積層体を巻芯にロール状に巻き取り、ロール端面保護部材を、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように、前記巻芯の張り出し部を挿通して具備する感光性樹脂積層体ロールの製造方法であって、以下の要件:
当該巻芯の長さが当該感光性樹脂積層体の幅よりも長い;
当該感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層に積層される感光性樹脂層とを含む;
当該ロール端面保護部材は、ロール端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に一体または複数の部分に分割された状態で具備され、ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に具備された後は内径が巻芯の外径の1〜1.1倍のリング状シートである
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06〜0.59である;及び
前記リング状シートと低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchである;
を満たす、感光性樹脂積層体ロールの製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法で感光性樹脂積層体ロールを製造し、さらに筒状の遮光シートによって覆うことを特徴とする感光性樹脂積層体ロールの梱包方法。
【請求項16】
フィルムが巻芯にロール状に巻き取られているフィルムロール用のリング状シートであって、以下の要件:
前記巻芯の長さは、前記フィルムの幅よりも長い;
前記リング状シートの内径が巻芯の外径の1〜1.1倍である;
前記リング状シートは、前記巻き取られたフィルムの端面に接触し、この端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、前記巻芯の張り出し部を挿通してフィルムロールに具備される
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06以上である;及び
低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchである;
を満たす、前記リング状シート。
【請求項17】
フィルムが巻芯にロール状に巻き取られているフィルムロール用のリング状シートであって、以下の要件:
前記巻芯の長さは、前記フィルムの幅よりも長い;
前記リング状シートの内径が巻芯の外径の1〜1.1倍である;
前記リング状シートは、前記巻き取られたフィルムの端面に接触し、この端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、前記巻芯の張り出し部を挿通してフィルムロールに具備される;
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.59以下である;
を満たす、前記リング状シート。
【請求項18】
低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchであることを特徴とする、請求項17に記載のリング状シート。
【請求項19】
前記フィルムは、感光性樹脂積層体である請求項16〜18のいずれか1項に記載のリング状シート。
【請求項20】
無発塵紙、低発塵紙、合成紙、または紙と樹脂基材とを貼り合せてなるものである基材を有することを特徴とする、請求項16〜19のいずれか1項に記載のリング状シート。
【請求項21】
前記感光性樹脂積層体が支持層と感光性樹脂層を含み、かつ前記感光性樹脂層が、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、付加重合性モノマー、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物よりなる層であることを特徴とする、請求項19に記載のリング状シート。
【請求項22】
前記カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子が、スチレンまたはその誘導体を共重合したものであることを特徴とする、請求項21に記載のリング状シート。
【請求項23】
前記付加重合性モノマーが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、請求項21又は22に記載のリング状シート。
【請求項24】
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする、請求項21〜23のいずれか1項に記載のリング状シート。
【請求項25】
前記粘着剤組成物が、アクリル系樹脂を含むことを特徴とする、請求項16〜24のいずれか1項に記載のリング状シート。
【請求項26】
前記粘着剤組成物が、粘着剤と粒子とを含有し、該粒子の50質量%以上は、該粘着剤組成物の塗布厚みの80〜120%の直径を有するものであり、且つ該粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部であることを特徴とする、請求項16〜25のいずれか1項に記載のリング状シート。
【請求項27】
遮光シートによって覆われた、請求項16〜26のいずれか1項に記載のリング状シートを備えたフィルムロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂積層体ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光性エレメントの梱包としてはいくつかの態様が開示されている。例えばロール端面を保護するために端面保護部材が配された梱包が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−41537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、開梱時に感光性樹脂積層体ロール端面から簡単に異物が除去できる感光性樹脂積層体ロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明の以下の構成によって解決することができる。すなわち、本発明は以下の通りである:
[1]
感光性樹脂積層体が巻芯にロール状に巻き取られており、
ロール端面保護部材が、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように配された感光性樹脂積層体ロールであって、
前記ロール端面保護部材は、ロール端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、
前記感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層に積層される感光性樹脂層とを含む、
感光性樹脂積層体ロール。
[2]
遮光シートによって覆われることを特徴とする[1]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[3]
前記遮光シートが筒状であることを特徴とする[2]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[4]
前記巻芯の長さが前記感光性樹脂積層体の幅よりも長く、
前記ロール端面保護部材はロール状にまきとられた感光性樹脂積層体の端面に具備されるリング状シートであり、当該リング状シートが前記巻芯の張り出し部を挿通して具備される請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[5]
前記リング状シートの内径が巻芯の外径の1〜1.1倍であることを特徴とする[4]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[6]
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06〜0.59であることを特徴とする、[4]または[5]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[7]
前記端面保護部材と低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchであることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[8]
前記ロール端面保護部材の基材が、無発塵紙、低発塵紙、合成紙、または紙と樹脂基材とを貼り合せてなるものであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[9]
前記感光性樹脂層が、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、付加重合性モノマー、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物よりなる層であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[10]
前記カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子が、スチレンまたはその誘導体を共重合したものであることを特徴とする[9]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[11]
前記付加重合性モノマーが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする[9]又は[10]に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[12]
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする[9]〜[11]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[13]
前記粘着剤組成物が、アクリル系樹脂を含むことを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[14]
前記粘着剤組成物が、粘着剤と粒子とを含有し、該粒子の50質量%以上は、該粘着剤組成物の塗布厚みの80〜120%の直径を有するものであり、且つ該粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロール。
[15]
感光性樹脂積層体を巻芯にロール状に巻き取り、ロール端面保護部材を、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように具備する感光性樹脂積層体ロールの製造方法であって、
当該巻芯の長さが当該感光性樹脂積層体の幅よりも長く、
当該感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層に積層される感光性樹脂層とを含み、
当該ロール端面保護部材は、
ロール端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、
ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に一体または複数の部分に分割された状態で具備され、ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に具備された後は内径が巻芯の外径の1〜1.1倍のリング状シートであることを特徴とする、
感光性樹脂積層体ロールの製造方法。
[16]
前記リング状シートの内径が前記巻芯の外径の1.001〜1.1倍であり、前記巻芯の張り出し部を挿通して具備されていることを特徴とする、[15]に記載の感光性樹脂積層体ロールの製造方法。
[17]
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06〜0.59であることを特徴とする、[15]または[16]に記載の感光性樹脂積層体ロールの製造方法。
[18]
前記リング状シートと低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchであることを特徴とする、[15]〜[17]のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体ロールの製造方法。
[19]
[15]〜[18]のいずれか1項に記載の方法で感光性樹脂積層体ロールを製造し、さらに筒状の遮光シートによって覆うことを特徴とする感光性樹脂積層体ロールの梱包方法。
[20]
フィルムが巻芯にロール状に巻き取られているフィルムロール用のリング状シートであって、
前記巻芯の長さは、前記フィルムの幅よりも長く、
前記リング状シートの内径が巻芯の外径の1〜1.1倍であり、かつ
前記リング状シートは、前記巻き取られたフィルムの端面に接触し、この端面と接触する側に粘着剤組成物を有しており、前記巻芯の張り出し部を挿通してフィルムロールに具備される、
リング状シート。
[21]
前記フィルムは、感光性樹脂積層体である[20]に記載のリング状シート。
[22]
水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06〜0.59であることを特徴とする、[20]または[21]に記載のリング状シート。
[23]
低密度ポリエチレンフィルムとの接着力が、5gf/inch〜250gf/inchであることを特徴とする、[20]〜[22]のいずれか1項に記載のリング状シート。
[24]
無発塵紙、低発塵紙、または紙と樹脂基材とを貼り合せてなるものである基材を有することを特徴とする、[20]〜[23]のいずれか1項に記載のリング状シート。
[25]
前記感光性樹脂層が、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、付加重合性モノマー、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物よりなる層であることを特徴とする、請求項21〜24のいずれか1項に記載のリング状シート。
[26]
前記カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子が、スチレンまたはその誘導体を共重合したものであることを特徴とする、[25]に記載のリング状シート。
[27]
前記付加重合性モノマーが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、[25]または[26]に記載のリング状シート。
[28]
前記光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする、[25]〜[27]のいずれか1項に記載のリング状シート。
[29]
前記粘着剤組成物が、アクリル系樹脂を含むことを特徴とする、[20]〜[28]のいずれか1項に記載のリング状シート。
[30]
前記粘着剤組成物が、粘着剤と粒子とを含有し、該粒子の50質量%以上は、該粘着剤組成物の塗布厚みの80〜120%の直径を有するものであり、且つ該粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部であることを特徴とする、[20]〜[29]のいずれか1項に記載のリング状シート。
[31]
遮光シートによって覆われた、[20]〜[30]に記載のリング状シートを備えたフィルムロール。
【発明の効果】
【0006】
本発明の感光性樹脂積層体ロールを使用すれば、開梱時に感光性樹脂積層体ロール端面から簡単に異物が除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】感光性樹脂積層体が巻芯にロール状に巻き取られており、ロール端面保護部材が、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように配されている感光性樹脂積層体ロールの一態様の概略図である。
図2】折れ曲り距離Hと、リング状シートの外径の半分Rとを表す図である。
図3】筒状の遮光シートによって覆われている感光性樹脂積層体ロールの一態様の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
感光性樹脂積層体ロールは、長尺状(帯状)の感光性樹脂積層体がその長手方向に巻芯に巻き取られており、ロール端面保護部材が、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面(前記帯状の感光性樹脂積層体の幅方向端部側)に接触するように配された感光性樹脂積層体ロールである。
【0009】
図1は、このような感光性樹脂積層体ロール10の一態様の概略図を示している。ここでは、感光性樹脂積層体1は、支持層4、当該支持層に積層される感光性樹脂層5、及び随意の保護層6を含み、この積層体1が巻芯2に巻き取られている。そして、この巻き取られた感光性樹脂積層体の両方の端面に接触してロール端面保護部材3が配されている。ここでは、ロール端面保護部材3は、リング状シートとして表されている。
【0010】
(感光性樹脂積層体)
感光性樹脂積層体は、少なくとも支持層と、当該支持層上に積層される感光性樹脂層とを含み、好ましくは更に、感光性樹脂層上に積層される保護層を含む。ドライフィルムレジスト、ドライフィルムフォトレジストと呼ばれる感光性フィルムも感光性樹脂積層体に含まれる。
【0011】
支持層は、感光性樹脂層を支持するものであればよい。用いられる支持層としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。このような支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。解像度の観点からヘーズ値が5以下のフィルムが好ましい。ヘーズ値3以下がより好ましく、ヘーズ値2.5以下がさらに好ましく、ヘーズ値1以下がよりさらに好ましい。支持層の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、感光性樹脂組成物層の塗工時の熱収縮を維持する必要等から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製GR19、GR16、三菱樹脂(株)製R310−16、R340G16、東レポリエステルフィルム(株)製FB40(16μm膜厚)、FB60(16μm膜厚)などを挙げる事ができる。
【0012】
保護層は、感光性樹脂層との密着力について、支持層よりも保護層の方が充分小さいため容易に剥離できる。例えば、ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム等が保護層として好ましく使用できる。また、特開昭59−202457号公報に開示されている剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は10〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。例えば、タマポリ(株)製GF−18、GF−818、GF−858などを挙げる事が出来る。
【0013】
感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物を支持層に塗布、乾燥して積層することができる。感光性樹脂層の厚みは、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましい上限は50μmである。感光性樹脂層の厚みが5μmに近づくほど、解像度は向上し、100μmに近づくほど、膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
【0014】
感光性樹脂積層体を製造する方法としては、従来知られている方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、溶剤と混合して感光性樹脂組成物調合液として準備しておいて、支持層にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、支持層上に該感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層する。感光性樹脂組成物調合液は25℃で500〜4000mPa・秒となるように溶剤を添加して調合することが好ましい。溶剤には、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、などを感光性樹脂組成物調合液粘度、乾燥性、残存溶媒量、塗工性、発泡性の観点から適宜選択して使用することができる。次いで、該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
【0015】
感光性樹脂積層体は長尺状で巻芯に巻き取られてロール状となり使用される。巻き長は、特に限定されないが、ロールの重量と取扱いやすさの観点から320m以下が好ましい。1本の感光性樹脂積層体ロールでラミネートできる基材が多いと効率が良いので、生産性の観点から巻き長は100m以上が好ましい。
【0016】
(巻芯)
巻芯は、コアとも呼ばれることがある。その形状は特に限定されないが、円筒状であっても、円柱状であっても良い。感光性樹脂積層体はエッチングまたはめっきレジスト、さらには永久パターンとして電子材料に使用されるため、発塵しない処理が施されたものが好ましく、プラスチック樹脂製が好ましい。プラスチック樹脂の素材は、軽く、強度に優れ、発塵しないものが好ましい。ポリプロピレン(PP)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが使用可能であり、ABS樹脂が好ましい。巻芯の直径は特に限定されないが、感光性樹脂積層体ロールがラミネーターに装着される場合に、装置に取り付けられるよう、好ましくは2〜5インチ、より好ましくは3インチの直径である。巻芯の長さ(円筒状、又は円柱状の巻芯を用いる場合にはその軸方向長さ)は、感光性樹脂積層体の幅と対比して同じ、或いは短くとも良いが、感光性樹脂積層体を巻き取った際に両側に適度な張り出し部が確保できるよう、感光性樹脂積層体の幅よりも大きな長さであることが好ましい。この張り出し部に挿通するようにリング状シートが取り付けられるため好ましい。またこの張り出し部にコアホルダーと呼ばれる軸受を嵌合し、感光性樹脂積層体ロールが移動しないよう、宙吊り状態で保管することもできる。
【0017】
(ロール端面保護部材)
ロール端面保護部材は、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように配される。その形状としては特に限定されず、一定の面積で端面に接触してロール端面の少なくとも一部を被覆保護するものであれば差支えないが、中でも、巻き取られた感光性樹脂積層体の端面に接触するように巻芯の張り出し部を挿通して配されるリング状シートであることが好ましい。更に、感光性樹脂積層体ロールの端面のほぼ全体を実質的に覆うことができる大きさの幅をもったリング状であることが好ましい。ロール端面保護部材は、巻き取られた感光性樹脂積層体の一端のみに用いてもよいが、好ましくは両端に用いる。
【0018】
ロール端面保護部材がリング状シートである場合に、そのリング内径は、巻芯に挿通して使用できるよう、巻芯の外径よりわずかに大きいことが好ましい。また、リング状シートの中心と巻芯の中心とがわずかにずれることによって、リング状シートの外周がロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の外周から僅かにはみ出る。このことによってリング状シートの取り外しが容易になることから巻芯の外径よりわずかに大きいことが好ましい。具体的には、リング内径は巻芯の外径の1.001倍以上が取り付け時に巻芯への張り付きが無く好ましい。より好ましくは1.005倍以上であり、さらに好ましくは1.01倍以上である。ロール端面全体を保護し、異物を除去する観点から、リング内径は巻芯の外径の1.1倍以下が好ましく、より好ましくは1.05倍以下であり、さらに好ましくは1.03倍以下である。
【0019】
リング外径は、感光性樹脂積層体ロールの端面を覆うことができるよう、ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の外径の0.99倍以上が好ましく、1倍以上がより好ましい。また、感光性樹脂積層体ロールを覆う遮光性の円筒状チューブなどの梱包材への付着を抑制する観点から、リング外径は感光性樹脂積層体ロールの外径の1.1倍以下が好ましく、より好ましくは1.05倍以下であり、さらにこのましくは1.03倍以下である。
【0020】
ロール端面保護部材の基材は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ナイロン、それぞれ無延伸、延伸、二軸延伸したもの、並びに、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニル、セロハン、アセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、などのプラスチック樹脂、並びに、発塵防止処理された紙、発塵防止処理された上質紙、クリーンペーパー、並びに、紙と前記プラスチック樹脂を貼り合せたもの、合成紙などを挙げる事ができる。感光性樹脂積層体は、エッチングまたはめっきレジスト、さらには永久パターンとして電子材料に使用されるため、発塵しない処理が施されたものが好ましい。静電気の発生が少なく、端面への追従性が良好で異物除去性に優れかつ装着性も優れるという観点から、基材は発塵防止処理された紙、発塵防止処理された上質紙、クリーンペーパー、並びに、紙と前記プラスチック樹脂を貼り合せたもの、合成紙が素材としてこのましい。合成紙はポリプロピレンを主原料としているものが好ましい。
【0021】
基材が発塵防止処理された紙、発塵防止処理された上質紙、クリーンペーパー、並びに、紙と前記プラスチック樹脂を貼り合せたものである場合、基材の厚さは50〜500μmが好ましい。装着性の観点から50μm以上が好ましく、端面への追従性、異物除去性の観点から500μm以下が好ましい。より好ましくは60〜200μm、さらに好ましくは60〜150μmである。
【0022】
ロール端面保護部材は、離形性、防汚性の観点から表面がエンボス加工されていてもよい。ロール端面保護部材は、感光性樹脂積層体ロールの端面と接触する側に粘着剤組成物を有する。ロール端面保護部材は、平面視円形状のリング状シートであることが好ましい。
前記リング状シートは、水平に張り出した平板上に、前記リング状シートをその半分が空中に存在するように設置し、前記リング状シートの空中に存在する部分において平板から最も離れた前記リング状シートの先端と、平板の前記リング状シートと接触している側の面との距離を折れ曲り距離H(mm)とし、前記リング状シートの外径の半分をR(mm)としたとき、H/Rが0.06〜0.59であることが好ましい。リング状シートのロール端面装着性の観点から0.59以下が好ましい。より好ましくは、0.5以下であり、さらに好ましくは0.45以下である。ロール端面への追従性と異物除去性の観点から0.06以上が好ましい。より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上である。
【0023】
折れ曲り距離Hの測定方法は以下の通りである。まず、図2に示すように実質的に水平方向(鉛直方向と直行する方向)に張り出した実質的な平板7上にリング状シート3を設置する。このとき粘着剤を備えた面を上向きとし平板7に貼りつかないようにする。リング状シート3の半分が空中に存在するよう、即ち、平板の端部に存する実質的に直線状の端辺上にリング状シート3の中心が来るよう、リング状シートを固定する。固定する際は、図2に示すような固定部材8で固定してもよい。このとき、リング状シート3が重力以外の影響を受けて、反り返ったり、折れ曲がったりしないようにする。リング状シートの空中に存在する部分(端部からはみ出している部分)で、平板の端辺からもっとも離れたリング状シートの先端と、平板のリング状シートと接する面が形成する仮想面との鉛直方向距離をL字型定規で測定する。測定場所は静岡県富士市とする。
【0024】
(粘着剤組成物)
粘着剤組成物は、ロール端面保護部材を剥離した際に感光性樹脂フィルム端面に糊残りがなく、ロール端面保護部材を剥離した際にロール端面保護部材に感光性樹脂の付着がないよう公知の粘着剤組成物を選択して使用することができる。
中でも、異物除去性と離形性の観点からアクリル系樹脂を含むことが好ましい。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、付加重合性モノマー、光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物であり、粘着剤組成物がアクリル系樹脂を含むである場合、さらに異物除去性と離形性を高度に両立できる観点から好ましい。
【0025】
粘着剤組成物は、粒子を含有することが好ましく、該粒子の50質量%以上は、該粘着剤組成物の塗布厚みの80〜120%の直径を有するものであり、且つ該粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部であるが好ましい。なお、粒子の直径は顕微鏡観察により、任意の100個の粒子についてその最大径を観察し、その平均値として算出した。
粒子の直径は、離形性の観点から80%以上が好ましく、120%以下が粘着性の観点から好ましい。90〜110%がより好ましく、100%がさらに好ましい。
【0026】
粒子は通常、単一の粒度のものは理論的に可能であっても、実際には入手困難であることが多い。できるだけ粒度分布の狭い、即ちシャープな粒度曲線を有するものが好ましい。
粘着剤全量の50質量%以上は該粘着剤の塗布厚みの80〜120%の直径であることが好ましい。離形性と粘着性のバランスの観点から70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
粒子の含有量は、粘着剤100重量部に対して5重量部から30重量部が好ましい。貼り付けた場合に空気の泡の抜け性の観点から5重量部以上が好ましく、接着性の観点から30以下が好ましい。10重量部から25重量部がより好ましい。粒子の材質がガラスの場合15〜30重量部が好適であり、プラスチック製では5〜25重量部が好ましい。
【0027】
粒子の材質は、プラスチック、無機材が好ましい。プラスチックとしては、ポリメタクリレート系、ポリエチレンメタクリレート系、ポリスチレン系、ポリスチレンアクリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレンブタジエン系、ポリスチレンジビニルベンゼン系、ポリウレタン系、ポリベンゾグアナミン系、メラミン系が挙げられる。無機材としては、ガラス、シリカ(ケイ酸塩鉱物)、炭酸カルシウムを挙げる事が出来る。
粘着剤の接着力は、組成物全体の軟化温度を下げることや樹脂成分の極性を上げる事で、上げることができる。
【0028】
端面保護部材と低密度ポリエチレンフィルムとの接着力としては、異物除去性と装着性の観点から、好ましくは5gf/inch〜250gf/inchであり、より好ましくは50gf/inch〜240gf/inchである。
なお、当該接着力は、次のようにして測定される。即ち、端面保護部材の粘着剤組成物の層が形成されている面に低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)シートをハンドローラーで貼り付ける。低密度ポリエチレンフィルムはタマポリ株式会社製GF−858を使用する。幅1inch、長さ15cmの短冊状にカットし、相対湿度50%、摂氏23度で11時間調湿する。株式会社オリエンテック製テンシロンRTM−500、ロードセル1kg、引張速度100mm/minで引張試験する。このとき、サンプルの端面保護部材をテンシロンの下部でチャック(固定)し、低密度ポリエチレンフィルムを引張部でチャック(固定)し、引張試験する。引張試験中、伸び10mmから50mmの区間で荷重の積分平均を取り、試験回数2回の平均を取り、これを接着性の値とする。
【0029】
(感光性樹脂積層体ロールの製造方法)
感光性樹脂積層体ロールは、異物の付着と輸送時の感光を抑制する観点から遮光シートで覆うことが好ましい。遮光シートは遮光性フィルムと呼ぶこともできる。遮光シートは、それを感光性樹脂積層体ロールに巻きつけるようにして覆うことができる。図3に示すように、遮光シート9が筒状である場合、感光性樹脂ロール1を筒内に挿入することで覆うことができるので好ましい。さらに筒の長さが感光性樹脂積層体ロール1の巻芯2より長い場合、図3に示すように、巻芯2より長い部分を巻芯内部へ折込むことにより、さらに異物の付着と感光を抑制することができるので好ましい。
【0030】
遮光シートは、感光性樹脂積層体ロールを例えば軽量の落下物との接触や梱包容器との軽微な接触から保護できるという観点からポリエチレン製が好ましい。膜厚は適度な強度を維持し、ピンホールを抑制する観点から10μm以上が好ましく、取扱い性の観点から300μm以下が好ましい。より好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜130μmである。遮光性を高めるため黒色が好ましい。
【0031】
感光性樹脂積層体ロールは、前記巻芯と嵌合するような凸部が形成されたコアホルダーと呼ばれる一対の部材によって宙吊りに固定することが好ましい。宙吊りで固定することにより、輸送時に感光性樹脂積層体が梱包容器の床面壁面と接触するのを防ぐことができる。コアホルダーとしては、例えば特開2004−42952および特開2003−89477に記載のものを挙げることができる。
遮光シートで感光性樹脂積層体ロールを覆う場合、遮光シートの巻芯より長い部分を巻芯内に折込み、その折込み部分を挟むようにしてさらにコアホルダーを装着すると、異物の付着と感光を抑制することができるので好ましい。
【0032】
(感光性樹脂組成物)
感光性樹脂組成物は、(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子、(b)付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤を含むことが好ましい。
リング状シートをロール端面から剥離する際に、ロール端面の糊残りが少なく、リング状シートへの感光性樹脂組成物の付着もすくなくなる観点から、感光性樹脂組成物が上記(a)〜(c)を含むことが好ましい。
【0033】
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子は、α,β−不飽和カルボキシル基含有単量体を重合成分としており、アルカリ可溶性高分子の酸当量が100〜600、かつ、重量平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液から成る現像液又は剥離液に対して、現像性又は剥離性を有するために必要である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子の質量を言う。酸当量のより好ましい下限は250であり、またより好ましい上限は450である。(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の酸当量は、現像耐性が向上し、解像度及び密着性が向上する点、さらに溶媒又は感光性樹脂組成物中の他の成分、特に後述する(b)付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上が好ましく、現像性及び剥離性が向上する点から600以下が好ましい。酸当量の測定は、平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
【0034】
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましい。重量平均分子量は、感光性樹脂積層体の厚みを均一に維持し現像液に対する耐性を得るという観点、さらにエッジフューズが抑制される点から5,000以上が好ましく、また、現像性を維持するという観点から500,000以下が好ましい。エッジフューズとは、感光性樹脂積層体をロール状に巻き取った場合にロール端面から感光性樹脂組成物が染み出す現象である。染み出した感光性樹脂組成物はロール状態で支持層保護層を介して隣り合う別の層の感光性樹脂層から染み出した感光性樹脂組成物と癒着することがある。癒着した感光性樹脂組成物は、即ちエッジフューズした感光性樹脂組成物は、ロール状の感光性樹脂積層体をほどいてラミネートする際に端面から剥離してレジストチップとなり飛散することがある。レジストチップがラミネート後の基板に付着すると、それが、次に露光用のマスクに付着し、露光されて硬化し、ネガレジストの場合は露光を遮り、パターンの欠損となる。
【0035】
より好ましくは、(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の重量平均分子量の下限は、20,000であり、(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の重量平均分子量の上限は250,000である。本明細書における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)の検量線を用いて測定した重量平均分子量を意味する。
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して、以下の条件で測定することができる:
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−980−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−8025、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF。
【0036】
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子は、後述する第一又は第二の単量体から選択された1種以上の単量体を成分として含む(共)重合体であることが好ましい。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステルが挙げられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0037】
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、解像度の観点からスチレンを用いることは特に好ましい。
【0038】
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子は、上記の単量体を混合し、溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はイソプロパノールで希釈した溶液に、ラジカル重合開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリルを適量添加し、加熱攪拌することにより合成されることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0039】
特に好ましい(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子は、第一の単量体と第二の単量体の共重合割合が、第一の単量体が10〜60質量%、第二の単量体が40〜90質量%であるものであり、さらにより好ましくは第一の単量体が15〜35質量%、第二の単量体が65〜85質量%である。
【0040】
(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子のより具体的な例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸及びスチレンを共重合成分として含む重合体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸及びアクリル酸n−ブチルを共重合成分として含む重合体、並びにメタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルを共重合成分として含む重合体等が挙げられる。
【0041】
感光性樹脂組成物中における(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、20〜90質量%の範囲であり、好ましくは、40〜60質量%である。(a)カルボキシル基を含有するアルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を維持し、露光、現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性を有するという観点から20質量%以上が好ましく、硬化前の感光性樹脂組成物、硬化後レジストパターンが十分な柔軟性を有するという観点から90質量%以下が好ましい。
【0042】
(b)付加重合性モノマー
(b)付加重合性モノマーは、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合は、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。さらに高解像性、エッジフューズ性及びテンティング性の観点から、(b)付加重合性モノマーとして、少なくとも1種のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
【0043】
本明細書では、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基に由来する炭素‐炭素不飽和二重結合とビスフェノールAに由来する−C6H4−C(CH3)2−C6H4−基とを有する化合物をいう。具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−200)又はビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートが挙げられる。
【0044】
(b)付加重合性モノマーとして、上記の化合物以外にも少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する既知の化合物を使用できる。例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学製、商品名OE−A 200)、
4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、
2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物等のウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上併用してもよく、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物と併用することもできる。
【0045】
感光性樹脂組成物中の(b)付加重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、5〜75質量%の範囲であり、より好ましくは、15〜70質量%である。(b)付加重合性モノマーの含有量は、解像性、密着性及び銅ラインの形成性の観点から、5質量%以上であり、硬化膜の柔軟性の観点から、75質量%以下である。
【0046】
(c)光重合開始剤
(c)光重合開始剤としては、感光性樹脂の光重合開始剤として通常使用されるものを適宜使用できるが、特にヘキサアリールビスイミダゾール(以下、トリアリールイミダゾリル二量体ともいう。)が好ましく用いられる。
トリアリールイミダゾリル二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体(以下、「2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビスイミダゾール」ともいう。)、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、
2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、
2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、
2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、
2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体が挙げられる。
特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体は解像性又は硬化レジスト膜の強度に対して高い効果を有する光重合開始剤であり、好ましく用いられる。これらは単独で用いてもよいし又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、下記のアクリジン化合物、ピラゾリン化合物などと合わせて使用することもできる。
【0047】
好ましい実施形態では、(c)光重合開始剤としてアクリジン化合物又はピラゾリン化合物が使用される。アクリジン化合物としては、アクリジン、9−フェニルアクリジン、9−(4−トリル)アクリジン、9−(4−メトキシフェニル)アクリジン、9−(4−ヒドロキシフェニル)アクリジン、9−エチルアクリジン、9−クロロエチルアクリジン、9−メトキシアクリジン、9−エトキシアクリジン、
9−(4−メチルフェニル)アクリジン、9−(4−エチルフェニル)アクリジン、9−(4−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(4−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−エトキシフェニル)アクリジン、9−(4−アセチルフェニル)アクリジン、9−(4−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(4−クロロフェニル)アクリジン、
9−(4−ブロモフェニル)アクリジン、9−(3−メチルフェニル)アクリジン、9−(3−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(3−アセチルフェニル)アクリジン、9−(3−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−クロロフェニル)アクリジン、9−(3−ブロモフェニル)アクリジン、9−(2−ピリジル)アクリジン、9−(3−ピリジル)アクリジン、9−(4−ピリジル)アクリジンが挙げられる。中でも、9−フェニルアクリジンが望ましい。
ピラゾリン化合物としては、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
【0048】
上記以外の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン類、
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾインエーテル類、
ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。
【0049】
なお、上述のチオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせとしては、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、及びイソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせが挙げられる。また、N−アリールアミノ酸を用いてもよい。N−アリールアミノ酸の例としては、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。中でも、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
【0050】
感光性樹脂組成物中の(c)光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜30質量%の範囲であり、より好ましい下限は0.05質量%、さらに好ましい下限は0.1質量%、より好ましい上限は15質量%、さらに好ましい上限は10質量%である。(c)光重合開始剤の含有量は、露光による光重合時に十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上であり、光重合時に感光性樹脂組成物の底面(すなわち光源から遠い部分)にまで光を充分に透過させ、良好な解像性及び密着性を得るという観点から、30質量%以下である。
【0051】
(e)その他の添加剤
感光性樹脂組成物には、上記(a)〜(c)の成分の他に各種の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば染料、顔料等の着色物質が含まれる。このような着色物質としては、例えば、フタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン等が挙げられる。
【0052】
上記着色物質を含有する場合には、着色物質の添加量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.001〜1質量%であることが好ましい。着色物質の添加量が、0.001質量%以上であるときは、取り扱い性向上という効果があり、1質量%以下であるときは、保存安定性を維持するという効果がある。
【0053】
また、露光により可視像を与えることができるように、感光性樹脂組成物中に発色剤を含有させてもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料、又はフルオラン染料とハロゲン化合物との組み合わせが挙げられる。
例えば、ロイコ染料としては、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリ−ン]、及びフルオラン染料が挙げられる。中でも、ロイコクリスタルバイオレットを用いた場合、コントラストが良好であり好ましい。
前記ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、クロル化トリアジン化合物等が挙げられる。
これらの染料を含有する場合、感光性樹脂組成物中の染料の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、それぞれ0.1〜10質量%が好ましい。
【0054】
さらに、感光性樹脂組成物の熱安定性及び保存安定性を向上させるために、ラジカル重合禁止剤、又はベンゾトリアゾール類及びカルボキシベンゾトリアゾール類から成る群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を感光性樹脂組成物に含有させることが好ましい。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミンが挙げられる。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾールが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、(N,N−ジブチルアミノ)カルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及び/又はカルボキシベンゾトリアゾール類の合計添加量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましい下限は0.05質量%、より好ましい上限は1質量%である。この合計添加量は、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から0.001質量%以上が好ましく、感度を維持するという観点から3質量%以下が好ましい。
【0055】
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、その他の可塑剤を含有させてもよい。このような可塑剤としては、例えば、ビスフェノールAをポリアルキレンオキシド変性した化合物を挙げることができる。
【0056】
その他に、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエートなどのソルビタン誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルフォン酸アミド、p−トルエンスルフォン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチルなどの可塑剤を用いることができる。特にソルビタン誘導体及びポリアルキレングリコール類を用いることが好ましい。
【0057】
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分を基準として、1〜50質量%であることが好ましく、より好ましい下限は3質量%、より好ましい上限は30質量%である。現像時間の遅延を抑え、硬化膜に柔軟性を付与する観点から1質量%以上が好ましく、また硬化不足又はコールドフローを抑える観点から50質量%以下が好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例においてさらに具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
最初に実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明し、次いで、得られたサンプルについての評価方法及びその評価結果を示す。ここでは、ロール端面保護部材としてリング状シートを用いた。
【0059】
(実施例1〜12、比較例1)
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における評価用サンプルは次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
下記表1に示す組成物1(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す。表1中の略号は表2に従う。)及び溶媒を十分に攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液とし、支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製R310)を準備して、このポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に感光性樹脂組成物調合液をダイコーターを用いて均一に塗布、乾燥し、感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは15μmであった。次いで、感光性樹脂層の、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として33μm厚のポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製GF−858)を貼り合わせて感光性樹脂積層体1を得た。
また、上記感光性樹脂積層体1において、組成物1を組成物2〜6とした以外は、感光性樹脂積層体1と同様に作成し、感光性樹脂積層体2〜6を得た。上記感光性樹脂積層体1において、組成物1を組成物7〜10とし、感光性樹脂層の厚みを10μmとした以外は、感光性樹脂積層体1と同様に作成し、感光性樹脂積層体7〜10を得た。
【0060】
<感光性樹脂積層体ロールの作製>
リング状シートは、表3〜表5に示すシートを用いた。リング状シートのアクリル樹脂を含む粘着剤組成物は、特に説明の無い場合、エリエールタック NS80/SBG85S/再剥離(エリエール テクセル株式会社製)の粘着剤組成物をそのまま使用した。
サンプルFおよびGについては粘着剤組成物は以下のようにして調整した。即ち、表2記載のB−1およびM−8を固形分比で45:55および40:60となるように配合し基材に乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布乾燥して調整した。
感光性樹脂積層体1を幅495mmにスリットし、内径77mm、外径88mm、長さ530mmのABS樹脂製巻芯(コア)に300m巻きつけた。ロール状に巻きつけられた感光性樹脂積層体の外径は180mmであった。
他端が固定されて水平に保持できるように設計された棒状のステンレス製ラックホルダーに、コアに巻きつけられロール状になった感光性樹脂積層体を保持させた。
外周500mm、長さ800mm、厚さ80μmの円筒形遮光性ポリエチレンチューブでロール状になった感光性樹脂積層体を覆った。
前記遮光性ポリエチレンチューブで覆われたロール状の感光性樹脂積層体をラックホルダーから取り外し、幅330mm高さ100mm上部が凹状に湾曲してロールが固定できるように設計されたクッションの上にロールを設置した。
遮光性ポリエチレンチューブの一端を折り返し、ロール状感光性樹脂積層体の端面を露出させ、リング状シートを装着した。もう一端も同様にしてリング状シートを装着し、感光性樹脂積層体ロール1を作成した。
遮光性ポリエチレンチューブをコア内に折込み、中心部が凸状でコアと嵌合するように設計されたコアホルダーを装着し、感光性樹脂ロール1を梱包した。
【0061】
2.評価基準
以下の評価項目と評価基準で感光性樹脂積層体ロールを評価しランク付けした。評価結果を表3〜5に示す。
(1)異物除去性
感光性樹脂積層体ロールからリング状シートを剥離し、異物がリング状シートに付着しているか確認した。以下のようにランク付けした。
○:異物がリング状シートに付着していた。ロール端面に別の粘着テープを貼り付け剥離したが異物の付着は確認できなかった。
△:異物がリング状シートに付着していたが、ロール端面に別の粘着テープを貼り付け剥離したところこの粘着テープにも異物の付着が確認された。
×:異物がリング状シートに付着していなかった。ロール端面に別の粘着テープを貼り付け剥離すると異物の付着が確認された。
(2)リング状シート装着性
上記<感光性樹脂積層体ロールの作製>に記載の通りロールを作製し、リング状フィルムをロール端面に装着する際の装着性を以下のようにランク付けした。
○:リング状シートを簡単に装着できた。ロール端面に貼り付ける際しわなく貼り付けできた。
△:ラックホルダーまたは巻芯にリング状シートが貼りつき、装着に時間を要した。ロール端面に貼り付ける際、一部しわが発生するか空気が入った。
×:ラックホルダーまたは巻芯にリング状シートが貼りつき、装着に時間を要した。望まない箇所に貼り付いたリング状シートを剥離して再度貼り付けする際に、リング状シートが伸びて変形してしまうか裂けてしまい、ロール端面への貼付が困難であった。
(3)リング状シートの包装材貼りつき性
上記<感光性樹脂積層体ロールの作製>に記載の通りロールを作製した後、これを開梱した。開梱後も装着時と同様にリング状シートが端面に装着されているか観察し、以下のようにランク付けした。
○:装着時と同様に装着されている。
△:開梱時にリング状シートが遮光性円筒形ポリエチレンシートに貼り付いて、一部端面から剥離している箇所がある。
×:開梱時にリング状シートが遮光性円筒形ポリエチレンシートに貼り付いて、遮光性円筒形ポリエチレンシートとともに剥離してしまっている。
(4)リング状シートの除去性
上記<感光性樹脂積層体ロールの作製>に記載の通りロールを作製した後、これを開梱し、樹脂製手袋をした手でリング状シートを剥離した。剥離時の作業性を以下のようにランク付けした。
○:リング状シートが5秒以内に容易に剥離できる。
△:リング状シートの剥離に5秒以上時間を要する。
(5)異物個数
上記<感光性樹脂積層体ロールの作製>に記載の通りロール状の感光性樹脂積層体を14本作製した。全てのロールの端面から異物を除去し、この14本の中からランダムにロール端面へ合計4か所異物を付着させた。その後、全てのロールにリング状シート装着して剥離し、ロール端面に付着している異物をカウントした。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
感光性樹脂積層体1を感光性樹脂積層体2〜6とし、リング状シートにサンプルBを使用した以外は、感光性樹脂積層体ロール1と同様に感光性樹脂積層体ロールを作製し、これを感光性樹脂積層体ロール2〜6とした。感光性樹脂ロール2〜6を用いて(1)〜(5)の評価を行ったところ感光性樹脂積層体ロール1を使用した場合と同様の結果が得られた。
【0068】
感光性樹脂積層体1を感光性樹脂積層体7〜10とし、リング状シートにサンプルBを使用し、外径180mmを外径176mmとした以外は、感光性樹脂積層体ロール1と同様に感光性樹脂積層体ロールを作製し、これを感光性樹脂積層体ロール7〜10とした。ロール状に巻き取られた感光性樹脂積層体の外径は176mmであった。感光性樹脂ロール7〜10を用いて(1)〜(5)の評価を行ったところ感光性樹脂積層体ロール1を使用した場合と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述した感光性樹脂積層体ロールは、開梱時に容易に異物が除去されるので精密機器、電子材料の加工に有用であり、精密機器、電子材料に組み込まれる永久パターンとしても有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 感光性樹脂積層体
2 巻芯
3 ロール端面保護部材(リング状シート)
4 支持層
5 感光性樹脂層
6 保護層
7 平板
8 固定部材
9 遮光シート
10 感光性樹脂積層体ロール
図1
図2
図3