【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タッチパネルと他の部材との層間を充填するために用いられるタッチパネル用層間充填材料であって、可塑化ポリビニルアセタールを含有し、20℃での貯蔵弾性率G’(20)が2×10
5Pa以上であり、85℃での貯蔵弾性率G’(85)が1×10
6Pa以下であり、−20〜100℃における、tanδが極大値となる温度Tgが5〜85℃であるタッチパネル用層間充填材料である。
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明者は、タッチパネルと他の部材との層間を充填するために用いられるタッチパネル用層間充填材料において、従来多用されてきたアクリル系粘着剤に代わる材料として、可塑化ポリビニルアセタールが有効であることを見出した。
本発明者は、可塑化ポリビニルアセタールを含有し、更に、20℃での貯蔵弾性率G’(20)、85℃での貯蔵弾性率G’(85)及び−20〜100℃における、tanδが極大値となる温度Tgが特定範囲に調整されたタッチパネル用層間充填材料は、アクリル系粘着剤に比べて常温(20℃付近)での貯蔵弾性率及び損失弾性率が高く、携帯情報端末が破損した場合であっても凝集破壊を生じず、ガラス等の破片の飛散を抑制することができる一方、層間の充填時(貼合時)には加熱(85℃付近)することで貯蔵弾性率及び損失弾性率が大きく低下し、たとえ薄い充填材料であっても加飾印刷部段差又は配線段差に充分に追従して、段差の境界部に残存する気泡を除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、タッチパネルと他の部材との層間を充填するために用いられるものである。
上記他の部材は特に限定されないが、表面保護パネル(例えば、ガラス板、ポリカーボネート板、アクリル板)、偏光フィルムが好ましい。即ち、本発明のタッチパネル用層間充填材料は、表面保護パネルとタッチパネルとの層間、及び/又は、タッチパネルと偏光フィルムとの層間を充填するために用いられることが好ましい。
【0010】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、可塑化ポリビニルアセタールを含有する。本明細書中、可塑化ポリビニルアセタールとは、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含有する樹脂を意味する。
【0011】
上記ポリビニルアセタールは、例えば、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られたポリビニルアルコールを、触媒存在下でアルデヒドによりアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアルコールの鹸化度は特に限定されないが、一般に70〜99.9モル%の範囲内にあり、鹸化度70〜99.8モル%が好ましく、80〜99.8モル%がより好ましい。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は特に限定されないが、より優れた飛散防止性を得る観点からは分子量の大きなポリビニルアセタールが好適であるため、平均重合度の高いポリビニルアルコールを用いることが好ましい。上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は4000である。上記平均重合度が200未満であると、上記可塑化ポリビニルアセタールの機械的強度が低下し、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制できないことがある。上記平均重合度が4000を超えると、上記ポリビニルアルコールをアセタール化する際に溶液粘度が異常に高くなってアセタール化が困難になることがあり、また、タッチパネル用層間充填材料の成形が困難になることがある。上記平均重合度のより好ましい下限は600、より好ましい上限は3800であり、更に好ましい下限は800、更に好ましい上限は3600である。
【0012】
上記ポリビニルアルコールを触媒存在下でアルデヒドによりアセタール化する際には、上記ポリビニルアルコールを含む溶液を用いてもよい。上記ポリビニルアルコールを含む溶液に用いられる溶媒として、例えば、水等が挙げられる。
【0013】
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般的には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。
上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよく、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
即ち、上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラール(上記アルデヒドがn−ブチルアルデヒドである場合、上記ポリビニルアセタールをポリビニルブチラールという)であることが好ましい。上記ポリビニルブチラールを用いることにより、タッチパネル用層間充填材料のガラスに対する接着力が適切に発現し、耐光性、耐候性等が向上する。また、必要に応じて2種以上のポリビニルアセタールを併用してもよい。
【0014】
段差追従性及び脱泡性に優れることから、上記ポリビニルアセタールは、分子間架橋が少ないことが好ましい。上記ポリビニルアセタールの分子間架橋が少なければ、上記ポリビニルアセタールの分子量、アセチル基量、アセタール化度等が同じであっても、より段差追従性に優れたタッチパネル用層間充填材料を得ることができる。更に上記ポリビニルアセタールの分子量が大きければ、より優れた飛散防止性を得ることができる。
このような分子間架橋の少ないポリビニルアセタールを得る方法として、例えば、隣接するポリビニルアルコールの主鎖を架橋させないように、上記アルデヒドによるアセタール化反応の前又は途中で上記アルデヒドを過剰に投入しないようにする方法が好ましい。アセタール化に必要な量を超えて上記アルデヒドを投入すると、架橋の度合いが高くなる。
【0015】
上記ポリビニルアセタールの水酸基の含有率(水酸基量)の好ましい下限は16モル%、好ましい上限は45モル%である。上記水酸基量が16モル%以上であれば、タッチパネル用層間充填材料のガラスに対する接着力が向上する。上記水酸基量が45モル%以下であれば、上記ポリビニルアセタールの柔軟性が高くなって取扱い性が向上し、また、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性が高くなり、タッチパネル用層間充填材料の段差追従性が向上する。上記水酸基量のより好ましい下限は18モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は22モル%であり、より好ましい上限は40モル%、更に好ましい上限は38モル%、更により好ましい上限は36モル%、特に好ましい上限は35モル%である。
なお、ポリビニルアセタールの水酸基量は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により求めることができる。
【0016】
上記ポリビニルアセタールのアセチル化度(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は30モル%である。上記アセチル基量が0.1モル%以上であれば、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性が高くなり、タッチパネル用層間充填材料の段差追従性が向上する。上記アセチル基量が30モル%以下であれば、上記ポリビニルアセタールの耐湿性が向上する。また、上記アセチル基量が30モル%を超えると、上記ポリビニルアセタールを製造する際の反応効率が低下することがある。上記アセチル基量のより好ましい下限は0.2モル%、更に好ましい下限は0.3モル%であり、より好ましい上限は24モル%、更に好ましい上限は20モル%、更により好ましい上限は19.5モル%、特に好ましい上限は15モル%である。
なお、ポリビニルアセタールのアセチル基量は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0017】
上記ポリビニルアセタールのアセチル基量を上記範囲に調整する方法として、例えば、上記ポリビニルアルコールの鹸化度を調整する方法が挙げられる。即ち、上記ポリビニルアセタールのアセチル基量は、上記ポリビニルアルコールの鹸化度に依存するものであり、鹸化度が低いポリビニルアルコールを用いれば上記ポリビニルアセタールのアセチル基量は大きくなり、鹸化度が高いポリビニルアルコールを用いれば上記ポリビニルアセタールのアセチル基量は小さくなる。
【0018】
上記ポリビニルアセタールのアセタール化度の好ましい下限は50モル%、好ましい上限は85モル%である。上記アセタール化度が50モル%以上であれば、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が85モル%以下であれば、上記ポリビニルアセタールを製造するために必要な反応時間を短縮できる。上記アセタール化度のより好ましい下限は54モル%、更に好ましい下限は58モル%、特に好ましい下限は60モル%である。上記アセタール化度のより好ましい上限は82モル%、更に好ましい上限は79モル%、特に好ましい上限は77モル%である。
なお、ポリビニルアセタールのアセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量(水酸基の含有率)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出されうる。
【0019】
上記ポリビニルアセタールのアセタール化度を調整する方法として、例えば、上記アルデヒドの添加量を調整する方法が挙げられる。上記アルデヒドの添加量を少なくすれば上記ポリビニルアセタールのアセタール化度は低くなり、上記アルデヒドの添加量を多くすれば上記ポリビニルアセタールのアセタール化度は高くなる。
【0020】
上記可塑剤は特に限定されず、従来公知の可塑剤を用いることができ、単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。上記可塑剤として、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機酸エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機酸エステル可塑剤が好ましい。
上記可塑剤は、液状可塑剤であることが好ましい。
【0021】
上記一塩基性有機酸エステルは特に限定されず、例えば、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸と、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールとの反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルは特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとの反応によって得られたエステル化合物等が挙げられる。
【0022】
上記有機酸エステル可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。上記ジエステル可塑剤を用いることにより、タッチパネル用層間充填材料の成形性が向上する。
R
1−CO−(−R
3−O−)
p−CO−R
2 (1)
式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ炭素数5〜10(好ましくは炭素数6〜10)の有機基を表し、R
3はエチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。
上記有機酸エステル可塑剤は、具体的には例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、炭素数4〜9のアルキルアルコール及び炭素数4〜9の環状アルコールから作製された混合型アジピン酸エステル等が挙げられる。
【0023】
上記有機リン酸可塑剤は特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0024】
上記可塑剤のなかでも、ジヘキシルアジペート(DHA)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(4G7)及びトリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(3G7)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)がより好ましく、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートが更に好ましい。
【0025】
上記ポリビニルアセタールに対する上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限は5重量部、好ましい上限は75重量部である。上記含有量が上記範囲であれば、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制することと、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存することを抑制することとを両立しやすくなる。
上記含有量が5重量部未満であると、タッチパネル用層間充填材料の成形性が低下することがある。上記含有量が75重量部を超えると、タッチパネル用層間充填材料の透明性が低下したり、上記可塑剤がブリードアウトしたりすることがある。上記可塑剤のより好ましい下限は10重量部、更に好ましい下限は15重量部、特に好ましい下限は20重量部であり、より好ましい上限は65重量部、更に好ましい上限は55重量部、特に好ましい上限は45重量部である。
【0026】
なお、上記ポリビニルアセタールによって凝集力を発生させているため、上記可塑剤の含有量は少ないほうが好ましい。即ち、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性を高めて、上記可塑剤の含有量を低下させることが好ましい。これにより、飛散防止性を向上させることができる。
上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性を高める方法として、例えば、上記ポリビニルアセタールのアセタール化度を大きくする方法、アセチル基量を高くする方法が好ましい。また、上記ポリビニルアセタールの水酸基のブロック性を落とす方法も好ましい。水酸基のブロック化を抑制する方法として、熟成温度を下げる方法が好ましい。
【0027】
本発明のタッチパネル用層間充填材料中、上記可塑化ポリビニルアセタールの含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記含有量が50重量%未満であると、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制できなかったり、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存したりすることがある。上記含有量のより好ましい下限は60重量%、更に好ましい下限は70重量%、更により好ましい下限は80重量%、特に好ましい下限は90重量%である。
上記可塑化ポリビニルアセタールの含有量の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
【0028】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、必要に応じて、透明性を損なわない範囲内で、接着力調整剤、粘着付与樹脂、可塑剤、乳化剤、軟化剤、微粒子、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0029】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、20℃での貯蔵弾性率G’(20)が2×10
5Pa以上であり、85℃での貯蔵弾性率G’(85)が1×10
6Pa以下であり、−20〜100℃における、tanδが極大値となる温度Tgが5〜85℃である。
このような本発明のタッチパネル用層間充填材料は、アクリル系粘着剤に比べて常温(20℃付近)での貯蔵弾性率及び損失弾性率が高いため、取扱い性及び打ち抜き加工性が良好であり、更に、携帯情報端末が破損した場合であっても凝集破壊を生じず、ガラス等の破片の飛散を抑制することができる。一方、層間の充填時(貼合時)には加熱(85℃付近)することで貯蔵弾性率及び損失弾性率が大きく低下し、たとえ薄い充填材料であっても加飾印刷部段差又は配線段差に充分に追従して、段差の境界部に残存する気泡を除去することができる。
また、本発明のタッチパネル用層間充填材料は、このような弾性率特性を有するため、層間の充填時(貼合時)には層間に挟んでから85℃付近に加熱すれば容易に層間を充填することができ、取扱い性にも優れる。加熱時に加圧すれば更に容易に層間を充填することができる。
【0030】
上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)が2×10
5Pa未満であると、常温での弾性率が低下し、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制できなくなる。上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)は1×10
6Pa以上がより好ましく、5×10
6Pa以上が更に好ましく、1×10
7以上が更により好ましく、3×10
7以上が特に好ましい。
上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)の上限は特に限定されないが、好ましい上限は1×10
10Paである。上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)が1×10
10Paを超えると、タッチパネル用層間充填材料が硬くなりすぎて、密着性又は取扱い性が低下することがある。上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)のより好ましい上限は1×10
9Paである。
【0031】
上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)が1×10
6Paを超えると、層間の充填時(貼合時)に加熱してもタッチパネル用層間充填材料が変形応力に追随できず、層間の段差に気泡が残存しやすくなる。上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)は9×10
5Pa以下がより好ましく、8×10
5Pa以下が更に好ましく、7×10
5Pa以下が更により好ましく、6×10
5Pa以下が特に好ましい。
上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)の好ましい下限は4×10
3Paである。上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)が4×10
3Pa未満であると、タッチパネル用層間充填材料としての耐熱機械強度を保持できないことがある。上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)のより好ましい下限は1×10
4Pa、更に好ましい下限は5×10
4Pa、更により好ましい下限は8×10
4Pa、特に好ましい下限は1.5×10
5Paである。
【0032】
上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)を上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)で割った比率G’(20)/G’(85)は、10以上であることが好ましい。上記G’(20)/G’(85)が上記範囲であれば、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制することと、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存することを抑制することとを両立しやすくなる。上記G’(20)/G’(85)のより好ましい下限は20、更に好ましい下限は50、更により好ましい下限は100、特に好ましい下限は200である。
上記G’(20)/G’(85)の上限は特に限定されないが、好ましい上限は2000である。上記G’(20)/G’(85)が2000を超えると、タッチパネル用層間充填材料が硬くなりすぎて、密着性又は取扱い性が低下することがある。
【0033】
上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)を85℃での損失弾性率G”(85)で割った比率G’(20)/G”(85)は、15以上であることが好ましい。上記G’(20)/G”(85)が上記範囲であれば、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制することと、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存することを抑制することとを両立しやすくなる。上記G’(20)/G”(85)のより好ましい下限は50、更に好ましい下限は100、更により好ましい下限は150、特に好ましい下限は200である。
上記G’(20)/G”(85)の上限は特に限定されないが、好ましい上限は2000である。上記G’(20)/G”(85)が2000を超えると、タッチパネル用層間充填材料が硬くなりすぎて、密着性又は取扱い性が低下することがある。
【0034】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、85℃での損失弾性率G”(85)が1×10
5Pa以下であることが好ましい。上記G”(85)が1×10
5Pa以下であれば、特に加熱時において、小さな応力の印加により層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存することを抑制することができる。上記G”(85)のより好ましい上限は8×10
4Pa、更に好ましい上限は7×10
4Paである。
【0035】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、20℃での損失弾性率G”(20)が2×10
5Pa以上であることが好ましい。上記G”(20)が2×10
5Pa以上であれば、携帯情報端末が破損した場合に充分に衝撃を緩和することができ、破片の飛散を充分に抑制することができる。上記G”(20)のより好ましい下限は1×10
6Pa、更に好ましい下限は3×10
6Pa、更により好ましい下限は7×10
6Pa、特に好ましい下限は1×10
7である。
【0036】
本発明のタッチパネル用層間充填材料の−20〜100℃における、tanδが極大値となる温度Tgが5〜85℃であれば、携帯情報端末が破損した場合に破片の飛散を充分に抑制することと、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存することを抑制することとが両立できる。上記Tgの好ましい下限は10℃、より好ましい下限は15℃、更に好ましい下限は20℃、特に好ましい下限は25℃であり、好ましい上限は75℃、より好ましい上限は65℃、更に好ましい上限は55℃、特に好ましい上限は45℃である。
【0037】
本発明のタッチパネル用層間充填材料は、85℃での損失正接tanδ(85)が2.5以下であることが好ましい。上記tanδ(85)が2.5以下であれば、層間の充填後(貼合後)に、段差の残存応力によりタッチパネル用層間充填材料が段差から剥離して気泡が発生することを抑制することができる。上記tanδ(85)のより好ましい上限は1.5、更に好ましい上限は1.0、更により好ましい上限は0.5、特に好ましい上限は0.35である。
【0038】
なお、上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)、上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)、上記20℃での損失弾性率G”(20)、上記85℃での損失弾性率G”(85)、上記−20〜100℃における、tanδが極大値となる温度Tg及び上記tanδ(85)は、例えばARES−G2(TAINSTRUMENTS社製)、DVA−200(アイティー計測制御社製)等の動的粘弾性測定装置により、3℃/分の降温速度で100℃から−20℃まで温度を低下させる条件かつ周波数1Hz及び歪1%の条件にて測定した値である。
【0039】
上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)、上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)、上記20℃での損失弾性率G”(20)、上記85℃での損失弾性率G”(85)、上記Tg及び上記tanδ(85)を上記範囲に調整する方法としては、上述したような可塑化ポリビニルアセタールを用い、上記ポリビニルアルコールのアセタール化度、水酸基量、アセチル基量、平均重合度及び分子量を調整したり、上記可塑剤の含有量等を調整したりする方法が好ましい。
例えば、上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)は、上記可塑剤の含有量を多くするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を高めると小さくなり、上記可塑化剤の含有量を少なくするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を低くすると大きくなる。また、上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)は、上記ポリビニルアセタールの分子量を増大させることでも大きくなり、分子量を低下させると小さくなる。また、上記20℃での貯蔵弾性率G’(20)は、Tgを高くすると高くなり、Tgが20℃を下回ると低下が大きくなる。
【0040】
例えば、上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)は、上記ポリビニルアセタールの分子量が増大すると大きくなり、上記可塑剤の含有量が多くなると小さくなる。また、上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)は、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤との相溶性を高めると小さくなる。上記可塑剤の含有量が同じであっても、上記ポリビニルアセタールとの相溶性によって上記85℃での貯蔵弾性率G’(85)の数値は異なってくる。
【0041】
例えば、上記G’(20)/G’(85)、及び、上記G’(20)/G”(85)は、上記可塑剤の含有量を少なくするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を低くするか上記ポリビニルアセタールの分子量を増大させると大きくなる。
【0042】
例えば、上記85℃での損失弾性率G”(85)は、上記可塑剤の含有量を多くするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を高めると小さくなる。また、製造時の熟成温度を下げることでも上記85℃での損失弾性率G”(85)は小さくなる。
【0043】
例えば、上記20℃での損失弾性率G”(20)は、上記ポリビニルアセタールの分子量を増大させると大きくなり、上記可塑剤の含有量を多くするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を高めると小さくなる。上記可塑剤の含有量が同じであっても、上記ポリビニルアセタールとの相溶性によって上記20℃での損失弾性率G”(20)の数値は異なってくる。
【0044】
上記Tgを調整する方法として、例えば、上記可塑剤の含有量を調整する方法が挙げられる。上記可塑剤の含有量を多くするとTgは低下し、少なくするとTgは高くなる。
また、上記Tgを調整する方法として、例えば、上記ポリビニルアセタールのアセチル基量又は水酸基量を調整する方法も挙げられる。上記ポリビニルアセタールのアセチル基量を高くすると、上記可塑剤との相溶性が高くなり、Tgが低下し、逆に上記ポリビニルアセタールのアセチル基量を低くすると、上記可塑剤との相溶性が低くなり、Tgが高くなる。また、上記ポリビニルアセタールの水酸基量を多くすると、上記可塑剤との相溶性が低くなり、Tgが高くなり、逆に上記ポリビニルアセタールの水酸基量を低くすると、上記可塑剤との相溶性が高くなり、Tgが低下する。上記可塑剤の含有量が同じであっても、上記ポリビニルアセタールのアセチル基量又は水酸基量が異なるとTgも異なることがあり、逆にTgが同じでも上記可塑剤の含有量が異なることもある。
【0045】
例えば、上記tanδ(85)は、上記可塑剤の含有量を多くするか上記ポリビニルアセタールとの相溶性を高めると大きくなる。また、上記tanδ(85)は、上記ポリビニルアセタールの分子量を大きくすると小さくなり、逆に分子量を小さくすると大きくなる。
【0046】
本発明のタッチパネル用層間充填材料の形状は特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状、液状(分散液状、エマルション状)等が挙げられるが、シート状が好ましい。本発明のタッチパネル用層間充填材料は、たとえ薄い充填材料であっても加飾印刷部段差又は配線段差に充分に追従して、段差の境界部に残存する気泡を除去することができる。
シート状の場合、本発明のタッチパネル用層間充填材料の厚みは特に限定されず、用途によって設定されるが、好ましい下限が5μm、好ましい上限が800μmである。上記厚みが5μm未満であると、層間の充填時(貼合時)に段差に気泡が残存しやすくなることがある。上記厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は400μmであり、更に好ましい下限は25μm、更に好ましい上限は300μmであり、更により好ましい下限は50μm、更により好ましい上限は200μmであり、特に好ましい下限は75μm、特に好ましい上限は100μmである。
【0047】
本発明のタッチパネル用層間充填材料の製造方法は特に限定されず、シート状の場合、例えば、可塑化ポリビニルアセタール及び必要に応じて配合される添加剤を含有する組成物を、押し出し法、途工法、キャスティング法、カレンダー法、プレス法等の通常の製膜法によりシート状に製膜する方法が挙げられる。
【0048】
本発明のタッチパネル用層間充填材料の用途は特に限定されないが、例えば、携帯情報端末(例えば、スマートフォン、タブレット)、LCD、EL、PDP等の画像表示パネルを用いた平面型又はフレキシブル画像表示装置(例えば、電子ペーパー、PDA、TV、ゲーム機)等において、表面保護パネルとタッチパネルとの層間、タッチパネルと偏光フィルムとの層間、及び、タッチパネルを構成する複数の透明導電フィルムの層間からなる群から選択される少なくとも1種の層間に用いられることが好ましい。
本発明のタッチパネル用層間充填材料を層間に挟んでから85℃付近で加熱圧着すれば容易に層間を充填することができる。更に真空ラミネータにて例えば1気圧にて70℃30分の予備加熱圧着を行ってから、加熱と同時に加圧を行うオートクレーブ(ACV)処理を、85℃、0.5MPa以上で30分行うことで、気泡をより容易に除去することができる。
【0049】
図1は、本発明のタッチパネル用層間充填材料の使用方法の一例を模式的に示す断面図である。
図1においては、表面保護パネル3とタッチパネル2との層間、及び、タッチパネル2と偏光フィルム4との層間が、本発明のタッチパネル用層間充填材料1で充填されている。
図1においては、表面保護パネル3の裏側にはマスキング等を目的として周縁部に加飾印刷部5が形成されているが、本発明のタッチパネル用層間充填材料1は、このような加飾印刷部5により形成された段差にも、タッチパネル2に形成されている配線の段差(図示しない)にも充分に追従して、層間の充填時(貼合時)に段差の境界部に残存する気泡を除去することができる。
【0050】
表面保護パネルとタッチパネルとの層間、タッチパネルと偏光フィルムとの層間、及び、タッチパネルを構成する複数の透明導電フィルムの層間からなる群から選択される少なくとも1種の層間が、本発明のタッチパネル用層間充填材料で充填されている積層体もまた、本発明の1つである。
上記表面保護パネルは特に限定されず、例えば、ガラス板、ポリカーボネート板、アクリル板等の、携帯情報端末、平面型又はフレキシブル画像表示装置等に通常使用されるものを用いることができる。
上記タッチパネルは特に限定されず、例えば、ITO膜等の複数の層を有するタッチパネル等の、携帯情報端末、平面型又はフレキシブル画像表示装置等に通常使用されるものを用いることができる。上記タッチパネルの構成は特に限定されず、例えば、アウトセル型、インセル型、オンセル型、カバーガラス一体型、カバーシート一体型等が挙げられる。上記タッチパネルの方式も特に限定されず、例えば、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式等が挙げられる。
上記偏光フィルムとしても特に限定されず、携帯情報端末、平面型又はフレキシブル画像表示装置等に通常使用されるものを用いることができる。