【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例および参考例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用され得る参考例としてのオーナメント10を有する車両用ドアトリム12の上端のショルダー部分(窓の下端部分)を示す概略図で、車両右側のドアの意匠面側すなわち室内側から見た正面図である。
図2は、
図1のオーナメント10を単独で示す図で、表層部材16の裏面に設けられた多数の微小突起20(
図6等参照)を意匠面側から透過して示した図であり、
図3は、オーナメント10の表層部材16を取り除いて基材14を示した図である。また、
図4は
図1におけるIV−IV矢視部分に相当するオーナメント10の断面図、
図5は
図1におけるV−V矢視部分に相当するオーナメント10の断面図である。
【0034】
上記オーナメント10は、板状の基材14と、その基材14の表面22に沿って略平行に重ね合わされるように配置された表層部材16とから成る重ね合わせ複合内装部品で、板状パネル
部品に相当し、基材14の表面22は合わせ面に相当する。また、表層部材16は第2部材で、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料にて一体成形されており、上記表面22と略平行な板状部18を有するとともに、その板状部18の裏面には基材14の表面22に向かって突き出す多数の微小突起20が一体に設けられている。そして、これ等の微小突起20により板状部18と表面22との間に空間24が形成されるとともに、微小突起20の先端が表面22に密着する状態で、板状部18の外周端末部26が基材14の外周縁部に巻き付けられることにより、表層部材16が基材14に一体的に取り付けられている。微小突起20は突起に相当する。
【0035】
基材14は第1部材に相当し、上記表層部材16よりも硬質のポリプロピレン等の合成樹脂材料にて一体成形されており、裏面の外周縁部に設けられた複数の掛止突起28に前記端末部26が掛け止められるようになっている。基材14の裏面にはまた、複数の取付係合部30が一体に設けられており、この取付係合部30を介して車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられる。このように取付係合部30を介してオーナメント10が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、車両用ドアトリム12に設けられた複数の押え部32により、前記端末部26が基材14の外周縁部に押圧され、その外周縁部に巻き付けられた状態に保持される。なお、端末部26を接着剤等の他の固定手段により基材14の周縁部に固定するようにしても良い。
【0036】
図6は、上記表層部材16の裏面に設けられた多数の微小突起20を説明する図で、(a) は実際の大きさに近い状態(直径φ=50mm)で示した平面図、(b) は(a) における VIb部を拡大して示した平面図である。これ等の平面図は、何れも前記板状部18に対して垂直方向から見た状態である。また、
図7は
図6の(b) におけるVII −VII 矢視部分の拡大縦断面図、すなわち微小突起20の板厚方向の断面図であり、
図8は
図6の(b) におけるVIII−VIII矢視部分の縦断面図、すなわち微小突起20の板幅方向の断面図である。これ等の図から明らかなように、多数の微小突起20は同一形状で、板状部18に対して略垂直(法線方向)に突設されており、微小突起20の軸心Sは、板状部18に対して垂直な軸(垂直軸)Oと略一致する。また、その垂直方向から見た平面視の形状、すなわち板状部18と平行な横断面が、長手形状である。そして、多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様34を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置にその辺と横断面の長手方向とが略平行になる姿勢で設けられている。本参考例では、微小突起20の横断面形状は、4隅が丸められた長方形で、その長手方向が多角形の各辺と一致する姿勢で配置されている。また、格子模様34は、多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様で、微小突起20は、その正六角形の各辺の中央部分に一つずつ設けられている。
【0037】
この微小突起20は、横断面が略長方形の板形状を成しているとともに、先端側へ向かうに従って断面積が小さくなる緩やかな先細形状を成している。
図7に示す長手方向と直角な幅方向(板厚方向)の縦断面形状は、板状部18に対して垂直な中立面(軸心Sを含む紙面に垂直な面)に対して先端部を除いて対称形状を成しており、先端周縁部(断面形状の両端部)には丸みが設けられている。
図8に示す長手方向(板幅方向)の縦断面形状は、板状部18に対して垂直な中立面(軸心Sを含む紙面に垂直な面)に対して対称形状を成しており、先端周縁部(断面形状の両端部)には丸みが設けられている。また、微小突起20の板厚方向の両側の一対の側壁35、36のうちの何れか一方、本参考例では
図7における左側の側壁35には、先端側が小断面になるように単一の段差38が設けられている。この段差38は、微小突起20の先端部分の板厚方向の左側半分を切り欠いた形状を成しており、微小突起20の断面積が略不連続に変化している部分であり、断面積が略半分に小さくされた先端凸部39が側壁36側に偏った状態で残されている。先端凸部39は断面積が小さい分だけ剛性が低くなり、弾性変形し易くなる。また、板形状の微小突起20は、板幅方向に比較して板厚方向の曲げ剛性が低いため、その板厚方向すなわち
図7における左右方向へ撓み変形し易いが、基材14の表面22に押圧されて軸方向に圧縮荷重が加えられると、先端凸部39が片当たりして偏荷重が加えられることにより、その先端凸部39側(
図7における右方向)へ撓み変形させられる。
図9は、単一の微小突起20を示す斜視図で、白抜き矢印は圧縮荷重が加えられた場合の撓み方向を表している。
図10は微小突起20の三面図で、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。これ等の
図9、
図10では比較的大きな段差38が設けられているが、この段差38の大きさは、所定のクッション性能が得られるように適宜定められる。
【0038】
上記微小突起20について更に具体的に説明すると、格子模様34の正六角形の互いに平行な2辺の間隔であるピッチP、すなわちその2辺に設けられる微小突起20の中心距離は、4mm≦P≦7mmの範囲内で、本参考例では約5mmである。また、微小突起20の高さ寸法Hは、2mm≦H≦3.5mmの範囲内で、本参考例では約2.5mmである。微小突起20の板厚寸法dは、1mm≦d≦2mmの範囲内で、本参考例では約1.2mmである。微小突起20の板幅寸法Lは、1.5mm≦L≦2.5mmの範囲内で板厚寸法dよりも大きく、本参考例では約1.8mmである。微小突起20の板厚方向両側の側壁35、36の傾斜角度αは、2°≦α≦5°の範囲内で、本参考例では約3°である。微小突起20の板幅方向の両端縁の傾斜角度βは、10°〜15°の範囲内で、本参考例では約13°である。板状部18の板厚tは1mm≦t≦2mmの範囲内で、本参考例では約1.5mmである。これ等の寸法や角度は、表層部材16の材質などを考慮して、所定の触感(ソフト感や剛性感など)や強度等が得られるように適宜定められる。
【0039】
そして、このようなオーナメント10においては、表層部材16の板状部18が指や手で押圧された場合、微小突起20の先端が基材14の表面22に押圧されて弾性変形させられることによりクッション性が付与され、所定の触感が得られる。その場合に、本参考例の微小突起20には、それぞれ先端側が小断面となるように段差38が設けられているため、先端部分(先端凸部39)の剛性が低下して弾性変形し易くなり、初期荷重の低減によりソフト感が一層向上する。また、この段差38は、板厚方向の一対の側壁35、36のうちの一方の側壁35のみに設けられているため、その段差38が設けられた側と反対の一定方向へ撓み変形し易くなる。
【0040】
一方、上記多数の微小突起20は、格子模様34を構成している多角形すなわち正六角形の中心線まわりにおいて、撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。具体的には、正六角形を形成するように各辺に設けられる6つの微小突起20のうち、周方向において一つ置きに位置する3つの微小突起20は正六角形の内側へ撓み変形する姿勢(段差38が外側)で配置され、それ等の間に位置する残りの3つの微小突起20は正六角形の外側へ撓み変形する姿勢(段差38が内側)で配置されている。すなわち、正六角形の各辺に設けられる6つの微小突起20は、横断面の長手方向が各辺と平行で且つ交互に逆向きになる姿勢で配置されているのであり、結果的に隣接する微小突起20は軸心S(垂直軸O)まわりに120°ずつ回転させられた姿勢になり、その撓み方向が120°ずつ相違させられる。このような微小突起20の配置姿勢は、格子模様34の全域で共通しており、正六角形を形成する6つの微小突起20が同じ変形態様で撓み変形させられる。
図11は、
図6(b)の平面図に対して各微小突起20の撓み方向を白抜き矢印で加筆した図で、
図12は、
図11において互いに近接して配置される3つの微小突起20の斜視図であり、相互の撓み方向を白抜き矢印で示した図である。この
図11、
図12から明らかなように、多数の微小突起20は互いに干渉しないように撓み変形させられる。
図11では、前記段差38および先端凸部39に影が付けてあり、
図12では段差38に影が付けてある。
【0041】
このように、本参考例では、多数の微小突起20が板状部18に点在形成されているとともに、各微小突起20の圧縮荷重に対する曲げ剛性が垂直軸Oまわりにおいて異方性を有するため、その異方性によって定まる特定方向へ撓み変形し易くなってソフト感が向上する。すなわち、本参考例の微小突起20は横断面の形状が長手形状を成しているため、その長手方向と直角な幅方向(板厚方向)へ撓み変形し易くなり、ソフト感が向上する。特に、微小突起20の一方の側壁35には段差38が設けられているため、先端部分(先端凸部39)の剛性が低下して弾性変形し易くなり、初期荷重の低減によりソフト感が一層向上する。
【0042】
また、各微小突起20は段差38と反対側へ撓み変形させられるため、その軸心S(垂直軸O)まわりの姿勢で撓み(倒れ)方向をコントロールできるとともに、微小突起20が弾性変形させられる際の変形態様(撓み方向など)が安定するため、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。
【0043】
また、多数の多角形が連続して隣り合う格子模様34を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置に微小突起20が設けられるため、多数の微小突起20が一定の配置パターンで設けられるようになり、指や手で押圧した時の触感のばらつきが抑制される。
【0044】
また、多数の微小突起20は同一形状で、垂直軸Oまわりの一定方向へ撓み変形させられるとともに、格子模様34の各辺に対応して微小突起20の姿勢が所定角度(参考例では120°)ずつ変化しており、それに伴って各微小突起20の撓み方向が変化するため、互いに支え合うことによって適度な剛性感(柔らか過ぎない感じ)が得られるようになり、その微小突起20の弾性変形によって得られるソフト感と相まって一層優れた触感を設定することができる。
【0045】
また、上記格子模様34は、多角形として同じ大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様であり、横断面が長手形状(長方形)の微小突起20の姿勢が120°ずつ変化しているため、全体として押圧荷重に対する弾性変形の異方性が抑制され、斜め方向から加えられる押圧荷重に対しても比較的均質な触感が得られるようになる。
【0046】
また、多数の微小突起20は、格子模様34を構成している正六角形の各辺に一つずつ配置されるとともに、その正六角形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられているため、一定方向への撓み変形に拘らず正六角形を単位とした微小突起20の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られる。
【0047】
また、本参考例では基材14に表層部材16のみを重ね合わせて一体的に取り付けた2層構造であるため、オーナメント10の構造が簡単で安価に製造できる。
【0048】
また、本参考例では多数の微小突起20の横断面が単純な長方形であるため、その微小突起20を有する表層部材16を成形する成形金型の構造が単純になるなど、製造コストが低減されて安価に構成できる。
【0049】
図40は、表層部材16を成形する成形金型300の成形面302に、微小突起20を成形するための成形凹所304をエンドミル306を用いて切削加工する際の加工方法の一例である。エンドミル306は、微小突起20の側壁35、36の傾斜角度αと等しい傾斜のテーパ形状を成しており、先ず、(a)〜(b)に示すように、段差38が無い側壁36側にエンドミル306を前進(下降)させて切削加工を行う。この時、微小突起20の板幅寸法Lに対応する寸法だけエンドミル306を紙面の表裏方向へ平行移動させながら、徐々に下降させる。その後、段差38に相当する寸法だけエンドミル306を後退(上昇)させる。(c)はその状態で、その後、板幅寸法Lに対応する寸法だけエンドミル306を紙面の表裏方向へ平行移動させながら、徐々に左方向へ移動させることにより、段差38に相当する部分を加工する。(d)はその状態である。そして、その後エンドミル306を後退させて引き抜くことにより、目的とする成形凹所304が形成される。
図40の破線は、目的とする成形凹所304の形状を表している。なお、微小突起20の板幅方向端縁の傾斜角度βは、傾斜角度αよりも大きいため、後加工などで傾斜角度βの傾斜面を形成する。
【0050】
なお、先端凸部39を除いた横断面が大きい部分を先に切削加工し、その後にその底部に先端凸部39に対応する凹所を切削加工するようにしても良いなど、種々の加工態様が可能である。
【0051】
ここで、前記多数の微小突起20による反力−ストローク特性を調べた結果を説明する。
図13は、多数の微小突起20を有する平坦な表層部材16を試験片として用いて、反力とストロークとの関係を調べる際の試験方法を示す図である。表層部材16は、60mm×60mmの大きさで、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)にて構成されており、微小突起20は上記参考例と同様にハニカム状の格子模様34を形成するように多数設けられている。そして、その表層部材16を、微小突起20が下向きになる姿勢でアクリル製の基材上に載置し、先端の球面半径が15mmのアルミニウム製圧子を5mm/secの速度で押圧して、圧子に接続されたロードセルを用いて反力とストロークとの関係を計測した。
【0052】
図14の実線は、本参考例の微小突起20に関して上記押圧試験により得られた反力−ストローク特性を示す図である。
図14の破線は、上記微小突起20の代わりに
図15〜
図17に示す微小突起40が設けられた比較品の反力−ストローク特性で、一点鎖線は
図18〜
図20に示す微小突起42が設けられた比較品の反力−ストローク特性である。
図15は微小突起40の平面図で、
図16および
図17はそれぞれ
図15におけるXVI−XVI矢視部分、XVII−XVII矢視部分の縦断面図であり、この微小突起40は、本参考例の微小突起20に比較して段差38が無い基本形状を有するもので、
図16、
図17の板厚方向縦断面形状、板幅方向縦断面形状が、何れも先端部分まで中立面に対して対称形状を成している。また、
図18は微小突起42の平面図で、
図19および
図20はそれぞれ
図18におけるXIX−XIX矢視部分、XX−XX矢視部分の縦断面図であり、この微小突起42は、上記基本形状の微小突起40に比較して一方の側壁35に傾斜角度が前記傾斜角度αよりも大きい大傾斜面44が先端に達するように設けられている。大傾斜面44が設けられることにより、先端部分の断面積が連続的に小さくなって剛性が低下し、弾性変形し易くなるとともに、その大傾斜面44と反対方向へ撓み変形し易くなる。
【0053】
そして、
図14に示す各特性から明らかなように、大傾斜面44を有する微小突起42は、大傾斜面44や段差38を備えていない基本形状の微小突起40に比較して、ストロークに対する反力の上昇が緩やかでソフト感が向上するが、段差38が設けられた本参考例の微小突起20によれば、その微小突起42よりも更に反力の上昇が緩やかになり、一層優れたソフト感が得られることが分かる。特に、小断面の先端凸部39の存在で、ストロークの初期段階の反力が低くなるため、その影響で反力特性が全体的に低下する。
【0054】
次に、他の参考例および本発明の実施例を説明する。なお、以下の参考例および実施例において前記参考例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
図21のオーナメント50は参考例で、前記オーナメント10に比較して、表層部材16の表面、すなわち板状部18の微小突起20が設けられた側と反対側の面に、表皮材52が一体的に固着されており、板状の基材14と合わせて全体として3層構造を成している場合である。表皮材52は、例えば織布や不織布、編布、塩化ビニル、軟質フィルムなどで構成されており、表層部材16と一体成形することにより、その表層部材16の成形と同時に成形されるとともに、その表層部材16の表面に一体的に固着される。また、表皮材52の外周端末部54が基材14の外周縁部に巻き付けられて、前記掛止突起28に掛け止められるとともに、オーナメント50が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、前記押え部32により端末部54が基材14の外周縁部に押圧されるようになっており、これにより表層部材16が表皮材52と共に基材14に一体的に取り付けられる。
【0056】
このようなオーナメント50においても、前記オーナメント10と同様の作用効果が得られる。加えて、表層部材16が表皮材52によって被覆されるため、その表層部材16の板状部18の微小突起20と反対側の面にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無いとともに、表層部材16の傷付きが防止される。このため、その表層部材16の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する微小突起20の形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0057】
図22のオーナメント60は参考例で、板状の基材62の表面に、多数の微小突起64を有するクッション部材66が設けられ、そのクッション部材66の微小突起64側に重ね合わされるように表層部材68が取り付けられている。基材62は、前記基材14と同様に比較的硬質の合成樹脂材料にて構成されているとともに、裏面側には前記掛止突起28や取付係合部30が一体に設けられている。クッション部材66は第2部材に相当し、前記表層部材16と同様に弾性変形可能な合成樹脂材料にて構成されているとともに、基材62の表面に密着するように一体的に固定される板状部70を有し、その板状部70に多数の微小突起64が一体に設けられている。微小突起64は、例えば前記微小突起20と同様に構成されており、表層部材68の裏面72と板状部70との間に空間74が形成されるように、板状部70から表層部材68側へ向かって突き出すように突設され、先端が裏面72に密着させられている。裏面72は合わせ面に相当する。また、表層部材68は第1部材に相当し、本参考例では前記表層部材16と同様に比較的軟質の合成樹脂材料にて構成されている。そして、表層部材68の外周端末部76が基材62の外周縁部に巻き付けられ、図示しない掛止突起28に掛け止められるとともに、オーナメント60が車両用ドアトリム12に一体的に取り付けられた状態で、前記押え部32により端末部76が基材62の外周縁部に押圧されるようになっている。なお、この表層部材68に更に前記表皮材52が設けられても良い。
【0058】
このようなオーナメント60においては、表層部材68を指や手で押した場合に、その表層部材68の裏面72がクッション部材66に設けられた微小突起64の先端に押圧されることにより、その微小突起64の弾性変形で優れた触感が得られるなど、前記オーナメント10と同様の効果が得られる。また、微小突起64が設けられるクッション部材66は表層部材68によって被覆されるとともに、クッション部材66の板状部70は基材62に固定されるため、その板状部70の微小突起64と反対側の面にヒケや艶ムラ等が生じても外部に露出することが無く、クッション部材66の樹脂材料の選択の幅が広くなるとともに、触感に関与する微小突起64の形状等の設計の自由度が高くなり、触感の調整を一層容易に且つ適切に行うことができる。
【0059】
図23〜
図34は、それぞれ微小突起の他の態様を説明する図である。
図23は前記
図7に対応する縦断面図で、
図24は微小突起90を単独で示す斜視図、
図25は三面図である。この微小突起90は参考例で、前記微小突起20に比較して、一方の側壁35に2段の階段状の段差92が設けられ、横断面の面積が段階的に小さくされている点が相違する。階段状の段差92により、先端から基端側へ向かうに従って剛性が徐々に大きくなるため、より滑らかな触感が得られるとともに、それ等の段差92の大きさ等により、ソフト感のチューニングを容易に行うことができる。
図26〜
図28は、それぞれ上記
図23〜
図25に対応する図であり、この微小突起100は本発明の実施例で、一方の側壁35に単一の段差102が設けられている点は前記微小突起20と同じであるが、軸心Sが垂直軸Oから板厚方向、具体的には段差102が設けられた側と反対の側壁36側へ、所定の傾斜角度で傾斜させられている点が相違する。段差102および傾斜姿勢により、側壁36側へ撓み変形し易くなってソフト感が一層向上するとともに、段差102の大きさや傾斜姿勢の傾斜角度によりソフト感のチューニングを容易に行うことができる。
図29〜
図31は、それぞれ上記
図23〜
図25に対応する図であり、この微小突起110は本発明の実施例で、一方の側壁35に2段の階段状の段差112が設けられているとともに、軸心Sが垂直軸Oから段差112が設けられた側と反対の側壁36側へ、所定の傾斜角度で傾斜させられている場合で、前記微小突起90、100と同様の作用効果が得られる。なお、段差92、102、112の大きさは図面毎にばらつきがあるが、所定のクッション性能が得られるように適宜定められる。
【0060】
図32〜
図34は、それぞれ微小突起を単独で示す斜視図で、
図32の微小突起120は参考例で、横断面が長方形の截頭四角錐形状を成しているとともに、先端部の略半分を切り欠いた形状の段差122が設けられている。
図33の微小突起130は、截頭四角錐形状を成しているとともに、先端部の略3/4を鉤型(L字型)に切り欠いた形状の段差132が設けられている。
図34の微小突起140は、截頭四角錐形状を成しているとともに、先端部の対角位置の2箇所の角部を切り欠いた形状の段差142が設けられている。これ等の微小突起120、130、140についても、突起先端部分の断面積が小さくなって剛性が低下するため、初期荷重が低減されてソフト感が向上するなど、前記参考例と同様の作用効果が得られる。
【0061】
図35の表層部材80は参考例で、前記表層部材16に比較して、板状部18に設けられる微小突起20の配置姿勢が相違する。すなわち、本参考例では格子模様34の正六角形の辺に対して所定角度(例えば10°〜30°程度の範囲内で参考例では約20°)だけ傾斜している。前記
図6のように正六角形の辺と平行に微小突起20を配置した場合、押圧荷重によって微小突起20が撓み変形させられると、
図36の(a)に細かい斜線で示すように正六角形の中心に向かって倒れるため、干渉を避けるためにその高さ寸法Hが制約される。これに対し、
図35に示すように傾斜させると、微小突起20の倒れ方向が、
図36の(b)に細かい斜線で示すように互いにずれるため、互いに干渉し難くなり、その分だけ高さ寸法Hを大きくしてソフト感を向上させることができる。
【0062】
図37は、前記
図6に比較して微小突起20の配置パターンが異なる参考例で、多数の微小突起20を正方形の格子模様200を構成するように配置した場合である。微小突起20は、格子模様200を構成している正方形の各辺に一つずつ長手方向が各辺と平行になる姿勢で配置されるとともに、その正方形の中心線まわりにおいて撓み方向が交互に逆向きになる姿勢で設けられている。これにより、一定方向への撓み変形に拘らず正方形を単位とした微小突起20の変形態様が全域で略同じになり、均質な触感が得られるなど、
図6の参考例と同様の効果が得られる。なお、前記微小突起90等の他の微小突起についても、このように正方形の格子模様200を構成するように配置することができ、微小突起100または110を用いた場合は本発明の実施例である。また、この参考例では、正方形の格子模様200について説明したが、菱形や長方形、平行四辺形の格子模様となるように微小突起20を配置することもできる。
【0063】
図38は、前記
図6に比較して微小突起20の配置が異なる参考例で、多数の微小突起20を正三角形の格子模様210を構成するように配置した場合である。微小突起20は、格子模様210を構成している正三角形の各辺に一つずつ長手方向が各辺と平行になる姿勢で配置される。この場合も、格子模様210を構成するように設けられる多数の微小突起20は、その長手方向の向きが所定角度ずつ変化しているため、互いに支え合うことによって適度な剛性感が得られるようになり、その微小突起20の弾性変形によるソフト感と相まって優れた触感を設定することができるなど、前記
図6の参考例と同様の作用効果が得られる。なお、前記微小突起90等の他の微小突起についても、このように正三角形の格子模様210を構成するように配置することができ、微小突起100または110を用いた場合は本発明の実施例である。
【0064】
上記
図38の格子模様210は、正六角形212が連続して繰り返す格子模様に書き換えることができる。その場合は、正六角形212の各辺に対して長手方向が直交になる姿勢で微小突起20が配置されることになる。前記
図6(b)の格子模様34についても、正三角形が連続して繰り返す格子模様に書き換えることができる。また、前記
図37の格子模様200についても、
正方形の格子のピッチをそれぞれ半ピッチずらすことにより、
正方形の各辺に長手方向が各辺と直交になる姿勢で微小突起20が配置される
正方形の格子模様に書き換えることができる。
【0065】
図39の格子模様220は、四角形(図面では正方形)222、六角形(図面では正六角形)224、および八角形226の3種類の多角形を組み合わせた参考例である。この格子模様220は、3種類の多角形が同じパターンで規則的に繰り返しているが、複数種類の多角形が不規則に組み合わされる格子模様を構成するように微小突起20を設けることもできる。なお、微小突起20の代わりに前記微小突起90等の他の微小突起を用いることもでき、微小突起100または110を用いた場合は本発明の実施例である。
【0066】
なお、
図23〜
図39の各実施例および参考例では、
図6に示す表層部材16の微小突起20の変形例として説明したが、
図22のクッション部材66の微小突起64についても同様の変形態様が可能である。
【0067】
以上、本発明の実施例および参考例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる