特許第6046831号(P6046831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キュン−イン シンセティック カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6046831トリアリールメタン染料高分子化合物、それを含むカラーフィルター用青色樹脂組成物及びそれを利用したカラーフィルター
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046831
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】トリアリールメタン染料高分子化合物、それを含むカラーフィルター用青色樹脂組成物及びそれを利用したカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/34 20060101AFI20161212BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20161212BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20161212BHJP
   C09B 11/14 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
   C08F20/34
   C09B69/10 B
   G02B5/20 101
   !C09B11/14
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-543947(P2015-543947)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2016-505655(P2016-505655A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】KR2013002302
(87)【国際公開番号】WO2014088159
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0139155
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514244158
【氏名又は名称】キュン−イン シンセティック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KYUNG−IN SYNTHETIC CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク・スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジョンノク
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジョンギ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ヒョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ドギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ユナ
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−162429(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/123071(WO,A1)
【文献】 特表2009−541555(JP,A)
【文献】 特開2012−173399(JP,A)
【文献】 特開2011−021155(JP,A)
【文献】 特表2010−520508(JP,A)
【文献】 特開2010−204132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/00−20/70
C09B 69/00−69/10
11/00−11/28
G02B 5/00−5/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物内に下記[化学式1]で表される構造を含むトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化1】
前記[化学式1]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R、R、及びRは、それぞれ独立して水素またはメチルである。
【請求項2】
前記トリアリールメタン染料高分子化合物は、下記[化学式2]ないし[化学式5]で表される構造のうちから選択された何れか1つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
前記[化学式2]ないし[化学式5]で、
前記Rは、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記Rは、水素またはメチルである。
【請求項3】
前記[化学式1]に対応する単量体は、下記[化学式6]で表される単位化合物であることを特徴とする請求項1に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化6】
前記[化学式6]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して水素またはメチルである。
【請求項4】
前記[化学式2]に対応する単量体は、下記[化学式7]で表される単位化合物であることを特徴とする請求項2に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化7】
前記[化学式7]で、
前記R17は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R18は、水素またはメチルである。
【請求項5】
前記[化学式3]に対応する単量体は、下記[化学式8]で表される単位化合物であることを特徴とする請求項2に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化8】
前記[化学式8]で、
前記R19は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【請求項6】
前記[化学式4]に対応する単量体は、下記[化学式9]で表される単位化合物であることを特徴とする請求項2に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化9】
前記[化学式9]で、
前記R20は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【請求項7】
前記[化学式5]に対応する単量体は、下記[化学式10]で表される単位化合物であることを特徴とする請求項2に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物:
【化10】
前記[化学式10]で、
前記R21は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【請求項8】
前記高分子化合物は、重量平均分子量(Mw)が2,000〜150,000であることを特徴とする請求項1に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物。
【請求項9】
青色着色剤;バインダー樹脂;反応性不飽和化合物;重合開始剤;有機溶剤;及び添加剤を含み、
前記青色着色剤は、請求項1に記載のトリアリールメタン染料高分子化合物であることを特徴とするカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項10】
前記青色着色剤には、キサンテン染料、シアニン染料、及びアザポルフィリン染料のうちから選択された何れか1つ以上の染料をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項11】
前記青色樹脂組成物は、青色顔料または紫色顔料をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項12】
前記青色着色剤は、青色樹脂組成物総重量に対して0.01重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項13】
前記反応性不飽和化合物は、熱硬化性単量体やオリゴマー;光硬化性単量体やオリゴマー;及びこれらの組合わせのうちから選択された何れか1つであることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項14】
前記重合開始剤は、熱重合開始剤;光重合開始剤;及びこれらの組合わせからなる群のうちから選択された何れか1つ以上であることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物。
【請求項15】
請求項9に記載のカラーフィルター用青色樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアリールメタン染料高分子化合物、それを含むカラーフィルター用青色樹脂組成物及びそれを利用したカラーフィルターに係り、より具体的には、耐熱性及び耐化学性などに優れたトリアリールメタン染料高分子化合物などに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶物質の光学的・電気的性質を用いてイメージを表示する。液晶表示装置は、CRT、プラズマディスプレイパネルなどと比較して、軽量、低電力、低駆動電圧などの長所を有する。液晶表示装置は、ガラス基板の間に位置した液晶層を含む。光源から発生した光は、前記液晶層を通過し、液晶層は、光の透過率を調節する。液晶を通過した光は、カラーフィルター層を通過し、カラーフィルター層を通過した光を用いて加法混色によってフルカラー画面を具現する。
【0003】
一般的に、液晶表示素子に使われるカラーフィルターの製造方法として、染色法、印刷法、電着法、及び顔料分散法が知られており、従来から染料を使う方法について検討はしてきたが、染料を使った場合、耐熱性、耐光性、耐化学性などが顔料に比べて落ちるという問題があって、適用し難いだけではなく、染色法の場合、複雑な工程で経済性がなく、現在は顔料分散法が一般的に適用されている実情である。顔料は、染料に比べて透過率は劣るが、顔料の微細化及び分散技術の進歩によって克服された。顔料分散法で製作されたカラーフィルターは、顔料を使うために、光、熱、溶剤などに対して安定しており、フォトリソグラフィー法によってパターニングする場合、大画面及び高精度のカラーディスプレイ用カラーフィルターを製作しやすくて、現在最も広範囲に使われている。但し、前記顔料分散法に使われる顔料は、安定した分散状態及び顔料粉末の微細化を果たすために、多様な添加剤が必要であり、非常に難しくて、煩わしい工程を経なければならないという問題点がある。
【0004】
その代案として、顔料と染料とを混合して物性を改善する着色剤を利用した。しかし、これを通じて一定レベルの輝度及び明暗比の改善を果たしたが、これも、顔料に染料を添加することであるために、前述した顔料の問題点によって、改善の効果があまり大きくなかった。
【0005】
これにより、最近、高輝度、高明暗比及び高解像度を果たすために、新たな染料化合物についての研究が盛んに行われている。染料を用いてカラーレジストを製造する場合、顔料よりも工程が単純であり、顔料分散時に発生する分散力の低下や凝集の問題を解決することができる。
【0006】
このように開発が盛んである染料化合物のうち、トリアリールメタン染料を利用しようとする試みが多く行われた。但し、前記トリアリールメタン染料は、420nm〜450nmに透過度が高くて、輝度、明暗比の改善には効果的であるが、カラーフィルター用着色組成物に使われる溶剤に対する溶解度が落ち、耐熱性が多く落ちるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、溶剤との溶解度に優れ、一般的なトリアリールメタン染料が有している低耐熱性、耐化学性を改善して、顔料と同等レベルのトリアリールメタン染料高分子化合物を提供することである。それを利用したカラーフィルター用着色樹脂組成物を使うことによって、現在の顔料よりも高輝度、高明暗比のカラーフィルターの製作が可能な組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一特徴によるトリアリールメタン染料高分子化合物は、下記[化学式1]で表される化合物構造、及び下記[化学式2]ないし[化学式5]からなる群のうちから選択された何れか1つ以上の化合物構造を含むか、または下記[化学式1]で表される化合物構造のみを含む高分子化合物であることを特徴とする。
【0009】
【化1】
【0010】
前記[化学式1]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R、R、及びRは、それぞれ独立して水素またはメチルである。
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
前記[化学式2]ないし[化学式5]で、
前記Rは、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記Rは、水素またはメチルである。
【0016】
また、前記高分子化合物を成すものであって、前記[化学式1]に対応する単量体は、下記[化学式6]で表される単位化合物であり得る。
【0017】
【化6】
【0018】
前記[化学式6]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R14、R15、及びR16は、水素またはメチルである。
【0019】
また、前記高分子化合物を成すものであって、前記[化学式2]に対応する単量体は、下記[化学式7]で表される単位化合物であり得る。
【0020】
【化7】
【0021】
前記[化学式7]で、
前記R17は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R18は、水素またはメチルである。
【0022】
また、前記高分子化合物を成すものであって、前記[化学式3]に対応する単量体は、下記[化学式8]で表される単位化合物であり得る。
【0023】
【化8】
【0024】
前記[化学式8]で、
前記R19は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0025】
また、前記高分子化合物を成すものであって、前記[化学式4]に対応する単量体は、下記[化学式9]で表される単位化合物であり得る。
【0026】
【化9】
【0027】
前記[化学式9]で、
前記R20は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0028】
また、前記高分子化合物を成すものであって、前記[化学式5]に対応する単量体は、下記[化学式10]で表される単位化合物であり得る。
【0029】
【化10】
【0030】
前記[化学式10]で、
前記R21は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0031】
また、本発明の一実施例によれば、前記高分子化合物は、重量平均分子量(Mw)が2,000〜150,000であり得る。
【0032】
本発明のさらに他の特徴によるカラーフィルター用青色樹脂組成物は、青色着色剤;バインダー樹脂;反応性不飽和化合物;重合開始剤;有機溶剤;及び添加剤を含み、前記青色着色剤は、本発明によるトリアリールメタン染料高分子化合物であることを特徴とする。
【0033】
また、前記青色着色剤は、キサンテン染料、シアニン染料、及びアザポルフィリン染料からなる群のうちから選択された何れか1つ以上の染料をさらに含むことを特徴とする。
【0034】
また、前記青色着色剤は、青色顔料または紫色顔料からなる群のうちから選択された何れか1つ以上の顔料をさらに含むことを特徴とする。
【0035】
また、前記青色着色剤は、青色樹脂組成物総重量に対して0.01重量%〜50重量%であることを特徴とする。
【0036】
また、前記反応性不飽和化合物は、熱硬化性単量体やオリゴマー;光硬化性単量体やオリゴマー;及びこれらの組合わせからなる群のうちから選択された何れか1つ以上であることを特徴とする。
【0037】
また、前記重合開始剤は、熱重合開始剤、光重合開始剤、及びこれらの組合わせからなる群のうちから選択された何れか1つ以上であることを特徴とする。
【0038】
本発明のさらに他の特徴によるカラーフィルターは、本発明による前記カラーフィルター用青色樹脂組成物を用いて製造されたものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明によるトリアリールメタン染料高分子化合物を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造する場合、高輝度、高明暗比、耐熱性、及び耐化学性に優れた効果がある組成物の提供が可能である。特に、前記トリアリールメタン染料高分子化合物を含むカラーフィルター用青色樹脂組成物は、既存の顔料を使った場合よりは、高輝度及び高明暗比を発揮し、また、既存のトリアリールメタン染料を使った場合よりも、耐熱性及び耐化学性が大きく改善された組成物の製造が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の発明者は、多様な実験を進行してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような有機溶剤に溶解度に優れながらも、耐熱性及び耐化学性に優れたトリアリールメタン染料高分子化合物を合成した。
【0041】
具体的に、本発明によるトリアリールメタン染料高分子化合物は、下記[化学式1]で表されるトリアリールメタン染料化合物構造を必ず含むものであって、下記[化学式1]で表される化合物構造、及び下記[化学式2]ないし[化学式5]からなる群のうちから選択された何れか1つ以上の化合物構造を含むか、または下記[化学式1]で表される化合物構造のみを含む高分子化合物であり得る。
【0042】
【化11】
【0043】
前記[化学式1]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R、R、及びRは、水素またはメチルである。
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
前記[化学式2]ないし[化学式5]で、
前記Rは、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記Rは、水素またはメチルである。
【0049】
前記トリアリールメタン染料高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、望ましくは、2,000〜150,000であり、分子量が2,000未満である場合には、耐化学性が落ち、分子量が150,000を超過する場合には、溶剤との溶解性を低下させることができる。また、前記トリアリールメタン染料高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、さらに望ましくは、2,000〜30,000であり、これを満足する場合、優れた溶解度、輝度、明暗比、耐熱性、及び耐化学性を見せる。
【0050】
前記[化学式1]で表されるトリアリールメタン染料化合物構造に対応する単量体単位化合物は、下記[化学式6]で表される。
【0051】
【化16】
【0052】
前記[化学式6]で、
前記Xは、トリフルオロメタンスルホン酸またはビストリフルオロメタンスルホンイミド陰イオンであり、
前記R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R14、R15、及びR16は、水素またはメチルである。
【0053】
重合性化合物構造として、前記[化学式2]に対応する単量体単位化合物は、下記[化学式7]で表される。
【0054】
【化17】
【0055】
前記[化学式7]で、
前記R17は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択され、
前記R18は、水素またはメチルである。
【0056】
また、前記[化学式7]の化合物は、望ましくは、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソブチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、シンナミルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及びシンナミルメタクリレートからなる群のうちから選択された何れか1つであり得る。
【0057】
重合性化合物構造として、前記[化学式3]に対応する単量体単位化合物は、下記[化学式8]で表される。
【0058】
【化18】
【0059】
前記[化学式8]で、
前記R19は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0060】
また、前記[化学式8]の化合物は、望ましくは、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミドからなる群のうちから選択された何れか1つであり得る。
【0061】
重合性化合物構造として、前記[化学式4]に対応する単量体単位化合物は、下記[化学式9]で表される。
【0062】
【化19】
【0063】
前記[化学式9]で、
前記R20は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0064】
また、前記[化学式9]の化合物は、望ましくは、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、及びジ(エチレングリコール)ビニルエーテルからなる群のうちから選択された何れか1つであり得る。
【0065】
重合性化合物構造として、前記[化学式5]に対応する単量体単位化合物は、下記[化学式10]で表される。
【0066】
【化20】
【0067】
前記[化学式10]で、
前記R21は、水素、置換または非置換の炭素数1〜18のアルキル基、及び置換または非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素のうちから選択される。
【0068】
また、前記[化学式10]の化合物は、望ましくは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル樹脂、ビニルブチレート、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ビニルメタクリレート、ケイ皮酸ビニル、安息香酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、及び2−エチルヘキサン酸ビニルからなる群のうちから選択された何れか1つであり得る。
【0069】
本発明のさらに他の特徴によるカラーフィルター用青色樹脂組成物は、青色着色剤として本発明で提示したトリアリールメタン染料高分子化合物を使い、バインダー樹脂、反応性不飽和化合物、重合開始剤、有機溶剤、及び添加剤を含み、必要に応じては、青色着色剤として他の染料または顔料をさらに含みうる。
【0070】
前記青色着色剤として本発明で提示したトリアリールメタン染料高分子化合物と共に選択的に1種以上の他の染料または顔料を含む青色染料化合物は、青色樹脂組成物総重量に対して、望ましくは、0.01重量%〜50重量%で含まれ、前記青色染料化合物が、前記組成範囲に含まれれば、溶剤に対する溶解性、輝度、耐熱性、耐化学性に優れて望ましい。
【0071】
前記青色樹脂組成物は、青色着色剤としてトリアリールメタン染料高分子化合物と共にキサンテン染料、シアニン染料、及びアザポルフィリン染料からなる群のうちから選択された何れか1つ以上のものをさらに含みうる。
【0072】
前記青色樹脂組成物は、必要に応じて、青色着色剤として青色または紫色顔料をさらに含み、前記青色顔料は、既存のカラーフィルター用着色樹脂組成物に一般的に使われる青色顔料に該当するものであれば、特別な制限なしに使われるものであるが、望ましくは、銅フタロシアニン系青色顔料であり、さらに望ましくは、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物であって、C.I.青色顔料(Color Index Pigment Blue)1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60であり、前記紫色顔料は、紫色顔料(Color Index Pigment Violet)23であり得る。
【0073】
前記カラーフィルター用青色樹脂組成物は、前記本発明による染料を使うことによって、420nm〜450nmで透過度に優れて、高輝度を発現することができる。
【0074】
前記バインダー樹脂は、結着力を表わすことができる樹脂であれば、特に制限されず、特に、公知されているフィルム形成樹脂が有用である。
【0075】
例えば、セルロース樹脂、特に、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリアミド−イミン、ポリイミドなどのバインダーなどが有用である。
【0076】
また、有用なバインダーには、光重合性不飽和結合を有する樹脂が含まれ、例えば、アクリル酸樹脂であり得る。特に、重合性単量体の単独重合体及び共重合体、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン及びスチレン誘導体、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルのようなカルボキシ基を含有した重合性単量体、及びメタクリル酸、スチレン及びスチレン誘導体のような重合性単量体間の共重合体が有用である。
【0077】
そのような例としては、オキシラン環とエチレン系不飽和化合物とをそれぞれ含有する化合物、例えば、グリシジルメタクリレート、アクリロイルグリシジルエーテル及びイタコン酸モノアルキルグリシジルなどとカルボキシル−含有重合化合物の反応生成物、また、ヒドロキシル基とエチレン系不飽和化合物(不飽和アルコール)とをそれぞれ含有する化合物、例えば、アリルアルコール、2−ブテン−4−オール、オレイルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミドなどとカルボキシル−含有重合化合物の反応生成物があり、このようなバインダーは、イソシアネート基のない不飽和化合物を含有することもできる。
【0078】
前記バインダーの不飽和度の当量(不飽和化合物当たりバインダーの分子量)は、適当な光重合性だけではなく、フィルム硬度を提供するために、一般的に200〜3,000であり、特に、230〜1,000範囲であり得る。フィルム露光後、十分なアルカリ現像性を提供するために、酸価は、一般的に20〜300であり、特に、40〜200であり得る。バインダーの平均分子量は、1,500〜200,000、特に、10,000〜50,000g/molが望ましい。
【0079】
前記反応性不飽和化合物は、熱硬化性単量体やオリゴマー、光硬化性単量体やオリゴマー、及びこれらの組合わせからなる群から選択されるものであり、望ましくは、前記光硬化性単量体であり、分子内に1つ以上の反応性二重結合及び追加反応性基を含有することができる。
【0080】
それと関連して、有用な光硬化性単量体は、特に、反応性溶媒または反応性希釈剤、例えば、モノ−、ジ−、トリ−、及び多官能性アクリレート及びメタクリレート、ビニルエーテル、グリシジルエーテルなどである。追加反応性基には、アリール、ヒドロキシル、ホスフェート、ウレタン、2次アミン、N−アルコキシメチル基などが含まれる。
【0081】
このような種類の単量体は、当業者に公知されており、例えば、文献[Roempp,Lexikon,Lacke und Druckfarben,Dr.Ulrich Zorll,Thimem Verlag Stuttgart−New York,1998,p491/492]に言及されている。単量体の選択は、特に、使われる照射の種類及び強度、光開始剤による目的反応及びフィルム特性に左右される。これら光硬化性単量体は、単独で、または単量体の組合わせで使うことも可能である。
【0082】
前記重合開始剤は、熱硬化開始剤、光硬化開始剤、またはこれらの組合わせであり、望ましくは、光硬化開始剤であり、このような光硬化開始剤は、可視光線または紫外線の吸収結果、例えば、前記単量体及び/またはバインダーの重合反応を誘導することができる反応中間体を形成する化合物である。光硬化開始剤または当業者に公知されており、例えば、文献[Roempp,Lexikon,Lacke und Druckfarben,Dr.Ulrich Zorll,Thimem Verlag Stuttgart−New York,1998,p445/446]から分かる。
【0083】
前記の有機溶剤は、例えば、ケトン、アルキレングリコールエーテル、アルコール、及び芳香族化合物である。ケトン群には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどがあり、アルキレングリコールエーテル群には、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールt−ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールt−ブチルエーテルアセテートなどがあり、アルコール群には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどがあり、芳香族溶媒群には、ベンゼン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、エチルN−ヒドロキシメチルピロリドン−2アセテートなどがある。追加の他の溶剤としては、1,2−プロパンジオールジアセテート、3−メチル−3−メチル−3メトキシブチルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロフランなどがある。この溶媒は、単独で、または混合物として使うことができる。
【0084】
前記の追加添加剤は、それぞれの目的に符合するものであれば、制限なしに使用可能である。望ましい例として、表面質感を向上させるために、脂肪酸、脂肪アミン、アルコール類、Bean oil、ワックス、ロジン、レジン類、ベンゾトリアゾール誘導体などが使われる。さらに望ましくは、前記脂肪酸としては、ステアリン酸(Stearic acid)またはベヘン酸(Behenic acid)などが使われ、脂肪アミンとしては、ステアリルアミン(Stearylamine)などが使われる。
【0085】
以下、本発明を望ましい実施例を参照して、当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態で具現され、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0086】
[実施例1:トリアリールメタン高分子化合物の合成]
前記[化学式1]で表されるトリアリールメタン染料構造に対応する単量体単位化合物である前記[化学式6]で表される化合物として、下記[化学式11]、[化学式12]、[化学式13]及び[化学式14]を選定し、これを重合反応を進行して、トリアリールメタン染料ホモ高分子化合物を合成した。
【0087】
また、前記[化学式11]ないし[化学式14]からなる群のうちから選択された何れか1つ以上のトリアリールメタン染料化合物を選定した。そして、重合性化合物構造として、前記[化学式2]ないし[化学式5]のそれぞれに対応する単量体化合物である前記[化学式7]ないし[化学式10]のうちから選択的に1つ以上の化合物を選定して、前記[化学式11]ないし[化学式14]からなる群のうちから選択された何れか1つ以上の化合物と共にトリアリールメタン染料共重合高分子化合物を合成した。
【0088】
この際、[表1]では、[化学式11]をa)と、下記[化学式12]をb)と、下記[化学式13]をc)と、下記[化学式14]をd)とそれぞれ名付け、前記[化学式7]ないし[化学式10]に該当する化合物は、下記e)〜k)と選定した。また、[表1]のe)〜k)も、これら化合物を称する。
【0089】
【化21】
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
前記[化学式7]ないし[化学式10]に該当する化合物
e)2−エチルヘキシルメタクリレート
f)メタクリル酸
g)N−フェニルマレイミド
h)シンナミルメタクリレート
i)ブチルビニルエーテル
j)ケイ皮酸ビニル
k)酢酸ビニル
【0094】
<合成例1>
50mLのフラスコに還流冷却装置を設置し、窒素大気下でメチルエチルケトン16.67g投入後、加熱して還流させた。トリアリールメタン染料化合物(c)3.00g、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル:重合開始剤)0.48gをメチルエチルケトン16.67gに溶解した後、反応フラスコに2時間ドロッピングし、さらに14時間還流して重合反応を終了した。常温に冷却し、減圧濃縮後、真空乾燥して、水平均分子量2210、重量平均分子量3435、分散度1.55であるトリアリールメタン染料高分子化合物を得た。
【0095】
<合成例2>
50mLのフラスコに還流冷却装置を設置し、窒素大気下でメチルエチルケトン16.67g投入後、加熱して還流させた。トリアリールメタン染料化合物(a)3.00g、2−エチルヘキシルメタクリレート(e)0.96g、メタクリル酸(f)0.96g、N−フェニルマレイミド(g)0.60gとAIBN(アゾビスイソブチロニトリル:重合開始剤)0.48gとをメチルエチルケトン16.67gに溶解した後、反応フラスコに2時間ドロッピングし、さらに14時間還流して重合反応を終了した。常温に冷却し、減圧濃縮後、真空乾燥して、水平均分子量3343、重量平均分子量7601、分散度2.27であるトリアリールメタン染料高分子化合物を得た。
【0096】
<合成例3ないし合成例7>
<合成例3>ないし<合成例7>の場合も、<合成例2>と同じ方法で高分子化合物を合成し、但し、[表1]に表示したように、a)〜d)及びe)〜k)をそれぞれ変更して合成した。
【0097】
【表1】
【0098】
[実施例2:カラーフィルター用青色樹脂組成物の製造]
(実施例2−1)
次のような組成で感光性青色樹脂組成物を製造した。
【0099】
バインダー樹脂として、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(質量比60:40)の共重合体(Mw=20000)1.4g、アクリルモノマーとして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート5g、前記合成例1によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9g、光重合開始剤として、BASF社のIrgaeure OXE−01 1g、溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40.7gを使い、これを混合した後、2時間撹拌して、カラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0100】
(実施例2−2)
青色染料化合物として、前記合成例2によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0101】
(実施例2−3)
青色染料化合物として、前記合成例3によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0102】
(実施例2−4)
青色染料化合物として、前記合成例4によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0103】
(実施例2−5)
青色染料化合物として、前記合成例5によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0104】
(実施例2−6)
青色染料化合物として、前記合成例6によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0105】
(実施例2−7)
青色染料化合物として、前記合成例7によって製造されたトリアリールメタン染料高分子化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0106】
(比較例)
(比較例1)
前記青色染料化合物として、前記合成例によるトリアリールメタン染料高分子を使わず、C.I.青色顔料15:6 1.36g、C.I.紫色顔料23 0.54gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0107】
(比較例2)
前記青色染料化合物として、前記合成例によるトリアリールメタン染料高分子を使わず、前記[化学式12]で表されるトリアリールメタン染料化合物1.9gを使ったことを除いては、前記実施例2−1と同じ方法を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造した。
【0108】
(実験例)
(実験例1:輝度及び明暗比の測定実験)
前記実施例2−1ないし実施例2−7によって製造された組成物と比較例1及び比較例2によって製造されたそれぞれの組成物とを厚さ0.7mmのガラス基板にスピンコータを用いて塗布した。そして、これを100℃のホットプレートで150秒間プリベーク(pre−bake)を行った後、露光器(300W、365)を用いて10秒間露光した。以後、220℃の熱風高温オーブンで30分間乾燥してポストべーク(postbake)を進行して、実施例2−1ないし実施例2−7、比較例1及び比較例2によって製造されたそれぞれの組成物が塗布された試片を製作した。このようなそれぞれの試片を有し、分光光度計であるOtsuka electronic社のMCPD3700を使って輝度を測定し、ツボサカ社のCT−1を使って明暗比を測定した。その結果は、下記[表2]に表わした。
【0109】
(実験例2:耐熱性の測定)
前記実験例1の方法を有し、同様に製作されたそれぞれの試片を分割した。このように分割された試片を220℃のコンベクションオーブンで1時間さらに熱処理を進行した。次いで、熱処理前と熱処理後との色特性の変化を確認した。その結果は、下記[表2]に表わした。
【0110】
(実験例3:耐化学性の測定)
前記実験例1の方法を有し、同様に製作されたそれぞれの試片を分割した。分割された試片のうち1つをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に80℃で30分間浸漬させた。さらに他の試片は、3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP):エチレングリコールジメチルエステル(DIGLYME)=8:2(体積比)溶媒に常温で30分間浸漬させた。溶媒に浸漬させる前と後との試片を色特性の変化を確認した。その結果は、下記[表2]に表わした。
【0111】
下記[表2]は、前記実験例1ないし実験例3による輝度、明暗比、耐熱性、及び耐化学性の測定結果を表わしたものである。
【0112】
【表2】
【0113】
前記[表2]から確認できるように、前記実施例2−1ないし実施例2−7によって製造された組成物を有し、実験した試片の場合には、顔料を使った前記比較例1を使った試片に比べて、輝度と明暗比とが大きく改善されることを確認することができた。
【0114】
また、前記実施例2−1ないし実施例2−7の場合は、顔料を使った比較例1の場合に比べて、耐熱性及び耐化学性の面で大きく差が出ない結果が得られるということを確認した。
【0115】
また、前記実施例2−1ないし実施例2−7の場合、比較例2に比べて、輝度及び明暗比の面では大きく差がないが、耐熱性及び耐化学性が大きく改善されることを確認することができて、本発明の実施例によるトリアリールメタン染料高分子化合物を使った場合、既存のトリアリールメタン染料単量体を使った場合よりも優れた効果を発揮するものであることを確認した。
【0116】
したがって、前記実施例によるトリアリールメタン染料高分子化合物を青色着色剤として使ってカラーフィルターを製作する場合、既存の顔料化合物に比べて、輝度及び明暗比を大きく改善することができるということを確認した。
【0117】
前記では、本発明の望ましい実施例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の技術思想範囲内でさまざまに変形して実施することが可能であり、これも、添付の特許請求の範囲に属することは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によるトリアリールメタン染料高分子化合物を使ってカラーフィルター用青色樹脂組成物を製造する場合、高輝度、高明暗比、耐熱性、及び耐化学性に優れた効果がある組成物の提供が可能である。特に、前記トリアリールメタン染料高分子化合物を含むカラーフィルター用青色樹脂組成物は、既存の顔料を使った場合よりは、高輝度及び高明暗比を発揮し、また、既存のトリアリールメタン染料を使った場合よりも、耐熱性及び耐化学性が大きく改善された組成物の製造が可能である。