特許第6046840号(P6046840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046840映像予測単位についてのイントラ予測モード符号化方法及び装置、並びに映像予測単位についてのイントラ予測モード復号化方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046840
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】映像予測単位についてのイントラ予測モード符号化方法及び装置、並びに映像予測単位についてのイントラ予測モード復号化方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/11 20140101AFI20161212BHJP
   H04N 19/159 20140101ALI20161212BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20161212BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20161212BHJP
   H04N 19/70 20140101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04N19/11
   H04N19/159
   H04N19/176
   H04N19/593
   H04N19/70
【請求項の数】1
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2016-3029(P2016-3029)
(22)【出願日】2016年1月8日
(62)【分割の表示】特願2013-546039(P2013-546039)の分割
【原出願日】2011年12月23日
(65)【公開番号】特開2016-105619(P2016-105619A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】61/426,684
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】セレギン,ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジアンル
(72)【発明者】
【氏名】リ,ソン−イル
(72)【発明者】
【氏名】リ,タミー
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−283739(JP,A)
【文献】 特開2008−172599(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/008125(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/001864(WO,A1)
【文献】 Jianle Chen and Vadim Seregin,Chroma intra prediction by reconstructed luma samples,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,3rd Meeting: Guangzhou, CN,2010年10月,JCTVC-C206,pp.1-7
【文献】 Mei Guo et al.,Improved Intra Mode Coding,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,4th Meeting: Daegu, Korea,2011年 1月,JCTVC-D166,pp.1-7
【文献】 L. Dong et al.,Improved Chroma Intra Mode Signaling,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,4th Meeting: Daegu, KR,2011年 1月,JCTVC-D255,pp.1-4
【文献】 Jingjing Dai et al.,Improved Signaling and Binarization of Chroma Intra Prediction Mode,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,4th Meeting: Daegu, KR,2011年 1月,JCTVC-D278_r2,pp.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像の復号化方法において、
ビットストリームから獲得された輝度予測単位のイントラ予測モード情報に基づいて、前記輝度予測単位のイントラ予測モードを決定するステップと、
前記ビットストリームから前記輝度予測単位に対応する色差予測単位のイントラ予測モード情報を獲得するステップと、
前記輝度予測単位のイントラ予測モードと同じイントラ予測モードを含む前記色差予測単位のイントラ予測モード候補グループを獲得するステップと、
前記色差予測単位のイントラ予測モード情報に基づいて、前記色差予測単位のイントラ予測モード候補グループに含まれたイントラ予測モードのうち前記色差予測単位のイントラ予測モードを決定するステップと、
前記決定されたイントラ予測モードによって前記色差予測単位に対するイントラ予測を行うステップを含み、
前記色差予測単位のイントラ予測モード情報は、前記色差予測単位のイントラ予測
モード候補グループに含まれたイントラ予測モードのうち一つを指すインデックス情報であり、
前記輝度予測単位のイントラ予測モードが前記色差予測単位のイントラ予測モード候補グループに含まれた所定のイントラ予測モードと同一である場合、前記輝度予測
単位と同じイントラ予測モードを指していた前記インデックス情報は前記輝度予測単位のイントラ予測モードとは異なるイントラ予測モードを指し、
前記所定のイントラ予測モードは、DCモード、水平モード及び垂直モードのうち一つであることを特徴とする映像の復号化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像の符号化及び復号化に係り、より詳しくは、輝度成分の映像予測単位に対して決定されたイントラ予測モードと、色差成分のイントラ予測モードとの相関関係に基づいて、色差成分のイントラ予測モードを効率的に符号化する映像予測単位についてのイントラ予測モード符号化方法及び装置、並びに映像予測単位についてのイントラ予測モード復号化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4、H.264/MPEG−4 AVC(Advanced Video Coding)のような映像圧縮方式では、映像を符号化するために、一つのピクチャをマクロブロックに分ける。そして、インター予測及びイントラ予測で利用可能な全ての符号化モードで、それぞれのマクロブロックを符号化した後、マクロブロックの符号化に所要するビット率、及び元来のマクロブロックと、復号化されたマクロブロックとの歪曲程度によって、符号化モードを一つ選択して、マクロブロックを符号化する。
【0003】
高解像度または高画質のビデオコンテンツを再生及び保存の可能なハードウェアの開発及び普及によって、高解像度または高画質のビデオコンテンツを効果的に符号化または復号化するビデオコーデックの必要性が高くなっている。既存のビデオコーデックによれば、ビデオは、所定のサイズのマクロブロックに基づいて、制限された予測モードによって符号化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、輝度映像成分予測単位に対して決定されたイントラ予測モードに基づいて、輝度映像成分予測単位と対応する色差映像成分予測単位のイントラ予測モードを効率的に符号化及び復号化する方法並びに装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、輝度成分のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モードと同一であるか否かによって、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループを再構成して、色差成分の予測単位のイントラ予測モードを効率的に符号化及び復号化する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、輝度映像成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差映像成分の予測単位のイントラ予測モードとの重複性を除去し、輝度映像成分の予測単位のイントラ予測モードに基づいて、色差映像成分の予測単位のイントラ予測モードを効率的に表現することができる。また、本発明によれば、色差映像成分の予測単位のイントラ予測モードをシグナリングするのに利用されるビット数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態によるビデオ符号化装置を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるビデオ復号化装置を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による符号化単位の概念を示す図面である。
図4】本発明の一実施形態による符号化単位に基づいた映像符号化部を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態による符号化単位に基づいた映像復号化部を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態による深度別の符号化単位及びパーティションを示す図面である。
図7】本発明の一実施形態による符号化単位と変換単位の関係を示す図面である。
図8】本発明の一実施形態による深度別の符号化情報を示す図面である。
図9】本発明の一実施形態による深度別の符号化単位を示す図面である。
図10】本発明の一実施形態による符号化単位、予測単位及び周波数変換単位の関係を示す図面である。
図11】本発明の一実施形態による符号化単位、予測単位及び周波数変換単位の関係を示す図面である。
図12】本発明の一実施形態による符号化単位、予測単位及び周波数変換単位の関係を示す図面である。
図13】表1の符号化モード情報による符号化単位、予測単位及び変換単位の関係を示す図面である。
図14A】本発明の一実施形態による輝度成分及び色差成分の予測単位のフォーマットを示す図面である。
図14B】本発明の一実施形態による輝度成分及び色差成分の予測単位のフォーマットを示す図面である。
図14C】本発明の一実施形態による輝度成分及び色差成分の予測単位のフォーマットを示す図面である。
図15】本発明の一実施形態による輝度成分予測単位のサイズによるイントラ予測モードの個数を示す図面である。
図16A】本発明の一実施形態による所定のサイズの輝度成分予測単位に適用可能なイントラ予測モードの一例を説明するための図面である。
図16B図16Aのイントラ予測モードの方向を示す図面である。
図16C図16Aに示した輝度成分予測単位についてのイントラ予測方法を示す図面である。
図17】本発明の一実施形態による所定のサイズの輝度成分予測単位に適用可能なイントラ予測モードの他の例を説明するための図面である。
図18A】本発明の一実施形態による多様な方向性を有するイントラ予測モードを説明するための参照図である。
図18B】本発明の一実施形態による多様な方向性を有するイントラ予測モードを説明するための参照図である。
図18C】本発明の一実施形態による多様な方向性を有するイントラ予測モードを説明するための参照図である。
図19】本発明の一実施形態による双線形モードを説明するための参照図である。
図20】本発明の一実施形態によって、(dx,dy)の方向性を有する延長線上に位置した周辺ピクセルと現在のピクセルの関係を説明するための図面である。
図21】本発明の一実施形態によって、現在のピクセルの位置によって、(dx,dy)の方向性を有する延長線上に位置した周辺ピクセルの変化を説明するための図面である。
図22】本発明の他の実施形態によって、イントラ予測モード方向を決定する方法を説明するための図面である。
図23】本発明の他の実施形態によって、イントラ予測モード方向を決定する方法を説明するための図面である。
図24】本発明のさらに他の実施形態によって、利用可能なイントラ予測モードの一例を説明するための参照図である。
図25A】本発明のさらに他の実施形態によるイントラ予測モードを説明するための参照図である。
図25B】本発明のさらに他の実施形態によるイントラ予測モードを説明するための参照図である。
図26】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化装置を示すブロック図である。
図27】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化方法を示すフローチャートである。
図28】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化過程を具体的に示すフローチャートである。
図29】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化装置を示すブロック図である。
図30】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化方法を示すフローチャートである。
図31】本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化過程を具体的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化方法は、複数個の第1イントラ予測モード候補グループを適用して、前記映像を構成する第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードを決定するステップと、複数個の第2イントラ予測モード候補グループを適用して、前記第1映像成分の予測単位に対応する第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを決定するステップと、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードが、前記第2イントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる第2イントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、前記第2イントラ予測モード候補グループを再構成するステップと、前記再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、前記決定された第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを符号化するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化装置は、複数個の第1イントラ予測モード候補グループを適用して、前記映像を構成する第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードを決定する第1イントラ予測モード決定部と、複数個の第2イントラ予測モード候補グループを適用して、前記第1映像成分の予測単位に対応する第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを決定する第2イントラ予測モード決定部と、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードが、前記第2イントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる第2イントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、前記第2イントラ予測モード候補グループを再構成し、前記再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、前記決定された第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを符号化するイントラ予測モード符号化部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化方法は、ビットストリームから、映像を構成する第1映像成分の予測単位のイントラ予測モード情報を獲得するステップと、前記第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードが、前記第2映像成分の予測単位に利用可能な第2イントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる第2イントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、前記第2イントラ予測モード候補グループを再構成するステップと、前記再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、前記第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを復号化するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化装置は、ビットストリームから、映像を構成する第1映像成分の予測単位のイントラ予測モード情報を獲得し、前記第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードが、前記第2映像成分の予測単位に利用可能な第2イントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一であると判断された場合、前記決定された第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる第2イントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、前記第2イントラ予測モード候補グループを再構成し、前記再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、前記第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードを決定するイントラ予測モード獲得部と、前記ビットストリームから獲得された前記第1映像成分の予測単位のイントラ予測モードに基づいて、前記第1映像成分の予測単位についてのイントラ予測を行う第1イントラ予測実行部と、前記決定された第2映像成分の予測単位のイントラ予測モードに基づいて、前記第2映像成分の予測単位についてのイントラ予測を行う第2イントラ予測実行部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態について具体的に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるビデオ符号化装置を示すブロック図である。
【0014】
一実施形態によるビデオ符号化装置100は、最大符号化単位分割部110、符号化単位決定部120、及び出力部130を備える。
【0015】
最大符号化単位分割部110は、映像の現在のピクチャのための最大サイズの符号化単位である最大符号化単位に基づいて、現在のピクチャを区画する。現在のピクチャが最大符号化単位よりも大きければ、現在のピクチャの映像データは、少なくとも一つの最大符号化単位に分割される。一実施形態による最大符号化単位は、サイズ32×32、64×64、128×128、256×256などのデータ単位であって、横及び縦のサイズが8よりも大きい2の二乗である正方形のデータ単位である。映像データは、少なくとも一つの最大符号化単位別に、符号化単位決定部120に出力される。
【0016】
一実施形態による符号化単位は、最大サイズ及び深度によって特徴づけられる。深度とは、最大符号化単位から、符号化単位が空間的に分割された回数を表し、深度が深くなるほど、深度別の符号化単位は、最大符号化単位から最小符号化単位まで分割される。最大符号化単位の深度が最上位深度であり、最小符号化単位が最下位符号化単位であると定義される。最大符号化単位は、深度が深くなるにつれて、深度別の符号化単位のサイズは減少するので、上位深度の符号化単位は、複数個の下位深度の符号化単位を含む。
【0017】
前述したように、符号化単位の最大サイズによって、現在のピクチャの映像データを、最大符号化単位に分割し、それぞれの最大符号化単位は、深度別に分割される符号化単位を含む。一実施形態による最大符号化単位は、深度別に分割されるので、最大符号化単位に含まれた空間領域の映像データが、深度によって階層的に分類される。
【0018】
最大符号化単位の高さ及び幅を階層的に分割可能な総回数を制限する最大深度及び符号化単位の最大サイズは、予め設定されていてもよい。
【0019】
符号化単位決定部120は、深度ごとに最大符号化単位の領域が分割された少なくとも一つの分割領域を符号化して、少なくとも一つの分割領域別に、最終の符号化結果が出力される深度を決定する。すなわち、符号化単位決定部120は、現在のピクチャの最大符号化単位ごとに、深度別の符号化単位に映像データを符号化して、最小の符号化誤差が発生する深度を選択して、符号化深度として決定する。決定された符号化深度及び最大符号化単位別の映像データは、出力部130に出力される。
【0020】
最大符号化単位内の映像データは、最大深度以下の少なくとも一つの深度によって、深度別の符号化単位に基づいて符号化され、それぞれの深度別の符号化単位に基づいた符号化結果が比較される。深度別の符号化単位の符号化誤差の比較結果、符号化誤差の最も小さい深度が選択される。それぞれの最大符号化単位ごとに、少なくとも一つの符号化深度が決定される。
【0021】
最大符号化単位のサイズは、深度が深くなるにつれて、符号化単位が階層的に分割され、符号化単位の個数は増加する。また、一つの最大符号化単位に含まれる同一な深度の符号化単位であるとしても、それぞれのデータについての符号化誤差を測定し、下位深度への分割如何が決定される。したがって、一つの最大符号化単位に含まれるデータであるとしても、位置によって、深度別の符号化誤差が異なるので、位置によって、符号化深度が異なって決定される。したがって、一つの最大符号化単位に対して、符号化深度が一つ以上設定され、最大符号化単位のデータは、一つ以上の符号化深度の符号化単位によって区画される。
【0022】
したがって、一実施形態による符号化単位決定部120は、現在の最大符号化単位に含まれるツリー構造による符号化単位が決定される。一実施形態による‘ツリー構造による符号化単位’は、現在の最大符号化単位に含まれる全ての深度別の符号化単位のうち、符号化深度として決定された深度の符号化単位を含む。符号化深度の符号化単位は、最大符号化単位内で、同一領域では深度によって階層的に決定され、他の領域では独立して決定される。同様に、現在の領域についての符号化深度は、他の領域についての符号化深度と独立して決定される。
【0023】
一実施形態による最大深度は、最大符号化単位から最小符号化単位までの分割回数に係る指標である。一実施形態による第1最大深度は、最大符号化単位から最小符号化単位までの総分割回数を表す。一実施形態による第2最大深度は、最大符号化単位から最小符号化単位までの深度レベルの総個数を表す。例えば、最大符号化単位の深度が0であるとする時、最大符号化単位が1回分割された符号化単位の深度は、1に設定され、2回分割された符号化単位の深度は、2に設定される。その場合、最大符号化単位から4回分割された符号化単位が最小符号化単位であれば、深度0、1、2、3及び4の深度レベルが存在するので、第1最大深度は4、第2最大深度は5に設定される。
【0024】
最大符号化単位の予測符号化及び周波数変換が行われる。予測符号化及び周波数変換も同様に、最大符号化単位ごとに、最大深度以下の深度ごとに、深度別の符号化単位に基づいて行われる。
【0025】
最大符号化単位が深度別に分割される度に、深度別の符号化単位の個数が増加するので、深度が深くなるにつれて生成される全ての深度別の符号化単位に対して、予測符号化及び周波数変換を含む符号化が行われなければならない。以下、説明の便宜上、少なくとも一つの最大符号化単位のうち、現在の深度の符号化単位に基づいて、予測符号化及び周波数変換を説明する。
【0026】
一実施形態によるビデオ符号化装置100は、映像データの符号化のためのデータ単位のサイズまたは形態を多様に選択可能である。映像データの符号化のためには、予測符号化、周波数変換、エントロピー符号化などのステップを経るが、全てのステップにわたって、同一なデータ単位が使われてもよく、ステップ別にデータ単位が変更されてもよい。
【0027】
例えば、ビデオ符号化装置100は、映像データの符号化のための符号化単位だけでなく、符号化単位の映像データの予測符号化を行うために、符号化単位と異なるデータ単位を選択する。
【0028】
最大符号化単位の予測符号化のためには、一実施形態による符号化深度の符号化単位、すなわち、それ以上分割されない符号化単位に基づいて、予測符号化が行われる。以下、予測符号化の基本となるそれ以上分割されない符号化単位を、‘予測単位’とする。予測単位が分割されたパーティションは、予測単位と、予測単位の高さ及び幅のうち少なくとも一つが分割されたデータ単位とを含む。
【0029】
例えば、サイズ2N×2N(ただし、Nは、正の整数)の符号化単位がそれ以上分割されない場合、サイズ2N×2Nの予測単位となり、パーティションのサイズは、2N×2N、2N×N、N×2N、N×Nなどである。一実施形態によるパーティションタイプは、予測単位の高さまたは幅が対称的な割合で分割された対称的なパーティションだけでなく、1:nまたはn:1のように非対称的な割合で分割されたパーティション、幾何学的な形態に分割されたパーティション、任意の形態のパーティションなどを選択的に含んでもよい。
【0030】
予測単位の予測モードは、イントラモード、インターモード及びスキップモードのうち少なくとも一つである。例えば、イントラモード及びインターモードは、2N×2N、2N×N、N×2N、N×Nサイズのパーティションに対して行われる。また、スキップモードは、2N×2Nサイズのパーティションのみに対して行われる。符号化単位以内の一つの予測単位ごとに、独立して符号化が行われて、符号化誤差の最も小さい予測モードが選択される。
【0031】
また、一実施形態によるビデオ符号化装置100は、映像データの符号化のための符号化単位だけでなく、符号化単位と異なるデータ単位に基づいて、符号化単位の映像データの周波数変換を行う。
【0032】
符号化単位の周波数変換のためには、符号化単位よりも小さいか、またはそれと同じサイズのデータ単位に基づいて、周波数変換が行われる。例えば、周波数変換のためのデータ単位は、イントラモードのためのデータ単位と、インターモードのためのデータ単位とを含む。
【0033】
以下、周波数変換の基本となるデータ単位を、‘変換単位’とする。符号化単位と類似した方式によって、符号化単位内の変換単位も、再帰的にさらに小さいサイズの変換単位に分割されつつ、符号化単位のレジデュアルデータが、変換深度によって、ツリー構造による変換単位によって区画される。
【0034】
一実施形態による変換単位に対しても、符号化単位の高さ及び幅が分割され、変換単位に達するまでの分割回数を表す変換深度が設定される。例えば、サイズ2N×2Nの現在の符号化単位の変換単位のサイズが2N×2Nであれば、変換深度は0、変換単位のサイズがN×Nであれば、変換深度は1、変換単位のサイズがN/2×N/2であれば、変換深度は2に設定される。すなわち、変換単位に対しても、変換深度によって、ツリー構造による変換単位が設定される。
【0035】
符号化深度別の符号化情報は、符号化深度だけでなく、予測関連情報及び周波数変換関連情報が必要である。したがって、符号化単位決定部120は、最小符号化誤差を発生させた符号化深度だけでなく、予測単位をパーティションに分割したパーティションタイプ、予測単位別の予測モード、周波数変換のための変換単位のサイズなどを決定する。
【0036】
一実施形態による最大符号化単位のツリー構造による符号化単位及びパーティションの決定方式については、図3ないし図12を参照して詳細に後述する。
【0037】
符号化単位決定部120は、深度別の符号化単位の符号化誤差を、ラグランジュ乗数に基づいた率−歪曲最適化技法を利用して測定する。
【0038】
出力部130は、符号化単位決定部120で決定された少なくとも一つの符号化深度に基づいて符号化された最大符号化単位の映像データ、及び深度別の符号化モードに係る情報を、ビットストリームの形態で出力する。
【0039】
符号化された映像データは、映像のレジデュアルデータの符号化結果である。
【0040】
深度別の符号化モードに係る情報は、符号化深度情報、予測単位のパーティションタイプ情報、予測モード情報、変換単位のサイズ情報などを含む。
【0041】
符号化深度情報は、現在の深度で符号化せず、下位深度の符号化単位で符号化するか否かを表す深度別の分割情報を利用して定義される。現在の符号化単位の現在の深度が符号化深度であれば、現在の符号化単位は、現在の深度の符号化単位で符号化されるので、現在の深度の分割情報は、それ以上下位深度に分割されないように定義される。逆に、現在の符号化単位の現在の深度が符号化深度でなければ、下位深度の符号化単位を利用した符号化を試みなければならないので、現在の深度の分割情報は、下位深度の符号化単位に分割されるように定義される。
【0042】
現在の深度が符号化深度でなければ、下位深度の符号化単位に分割された符号化単位に対して、符号化が行われる。現在の深度の符号化単位内に、下位深度の符号化単位が一つ以上存在するので、それぞれの下位深度の符号化単位ごとに、反復的に符号化が行われて、同一な深度の符号化単位ごとに、再帰的に符号化が行われる。
【0043】
一つの最大符号化単位内に、ツリー構造の符号化単位が決定され、符号化深度の符号化単位ごとに、少なくとも一つの符号化モードに係る情報が決定されなければならないので、一つの最大符号化単位に対しては、少なくとも一つの符号化モードに係る情報が決定される。また、最大符号化単位のデータは、深度によって階層的に区画されて、位置別に符号化深度が異なるので、データに対して、符号化深度及び符号化モードに係る情報が設定される。
【0044】
したがって、一実施形態による出力部130は、最大符号化単位に含まれている符号化単位、予測単位及び最小単位のうち少なくとも一つに対して、当該符号化深度及び符号化モードに係る符号化情報を割り当てる。
【0045】
一実施形態による最小単位は、最下位符号化深度である最小符号化単位が4分割されたサイズの正方形のデータ単位であり、最大符号化単位に含まれる全ての符号化単位、予測単位及び変換単位内に含まれる最大サイズの正方形のデータ単位である。
【0046】
例えば、出力部130を通じて出力される符号化情報は、深度別の符号化単位別の符号化情報と、予測単位別の符号化情報とに分けられる。深度別の符号化単位別の符号化情報は、予測モード情報及びパーティションサイズ情報を含む。予測単位別に伝送される符号化情報は、インターモードの推定方向に係る情報、インターモードの参照映像インデックスに係る情報、動きベクトルに係る情報、イントラモードのクロマ成分に係る情報、イントラモードの補間方式に係る情報などを含む。また、ピクチャ、スライスまたはGOP別に定義される符号化単位の最大サイズに係る情報、及び最大深度に係る情報は、ビットストリームのヘッダに挿入される。
【0047】
ビデオ符号化装置100の最も簡単な実施形態によれば、深度別の符号化単位は、一階層上位深度の符号化単位の高さ及び幅を半分にしたサイズの符号化単位である。すなわち、現在の深度の符号化単位のサイズが2N×2Nであれば、下位深度の符号化単位のサイズは、N×Nである。また、2N×2Nサイズの現在の符号化単位は、N×Nサイズの下位深度の符号化単位を最大四つ含む。
【0048】
したがって、一実施形態によるビデオ符号化装置100は、現在のピクチャの特性を考慮して決定された最大符号化単位のサイズ及び最大深度に基づいて、それぞれの最大符号化単位ごとに最適の形態及びサイズの符号化単位を決定して、ツリー構造による符号化単位を構成する。また、それぞれの最大符号化単位ごとに、多様な予測モード、周波数変換方式などにより符号化するので、多様な映像サイズの符号化単位の映像特性を考慮して、最適の符号化モードが決定される。
【0049】
したがって、映像の解像度が高すぎるか、またはデータ量が多すぎる映像を既存のマクロブロック単位で符号化すれば、ピクチャ当たりマクロブロックの数が過度に多くなる。それによって、マクロブロックごとに生成される圧縮情報も多くなるので、圧縮情報の伝送負担が大きくなり、データ圧縮効率が低下する傾向がある。したがって、一実施形態によるビデオ符号化装置は、映像のサイズを考慮して、符号化単位の最大サイズを増大させつつ、映像特性を考慮して、符号化単位を調節できるので、映像圧縮効率が向上する。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態によるビデオ復号化装置を示すブロック図である。
【0051】
一実施形態によるビデオ復号化装置200は、受信部210、映像データ及び符号化情報抽出部220、及び映像データ復号化部230を備える。一実施形態によるビデオ復号化装置200の各種のプロセッシングのための符号化単位、深度、予測単位、変換単位、各種の符号化モードに係る情報などの各種の用語の定義は、図1及びビデオ符号化装置100を参照して説明した通りである。
【0052】
受信部210は、符号化されたビデオについてのビットストリームを受信して、パージングする。映像データ及び符号化情報抽出部220は、パージングされたビットストリームから、最大符号化単位別にツリー構造による符号化単位によって、符号化単位ごとに、符号化された映像データを抽出して、映像データ復号化部230に出力する。映像データ及び符号化情報抽出部220は、現在のピクチャについてのヘッダから、現在のピクチャの符号化単位の最大サイズに係る情報を抽出する。
【0053】
また、映像データ及び符号化情報抽出部220は、パージングされたビットストリームから、最大符号化単位別に、ツリー構造による符号化単位についての符号化深度及び符号化モードに係る情報を抽出する。抽出された符号化深度及び符号化モードに係る情報は、映像データ復号化部230に出力される。すなわち、ビット列の映像データを最大符号化単位に分割して、映像データ復号化部230が最大符号化単位ごとに映像データを復号化する。
【0054】
最大符号化単位別の符号化深度及び符号化モードに係る情報は、一つ以上の符号化深度情報について設定され、符号化深度別の符号化モードに係る情報は、当該符号化単位のパーティションタイプ情報、予測モード情報、及び変換単位のサイズ情報などを含む。また、符号化深度情報として、深度別の分割情報が抽出されることも可能である。
【0055】
映像データ及び符号化情報抽出部220が抽出した最大符号化単位別の符号化深度及び符号化モードに係る情報は、一実施形態によるビデオ符号化装置100のように符号化端で、最大符号化単位別の深度別の符号化単位ごとに、反復的に符号化を行って、最小符号化誤差を発生させることによって決定された符号化深度及び符号化モードに係る情報である。したがって、ビデオ復号化装置200は、最小符号化誤差を発生させる符号化方式によって、データを復号化して、映像を復元する。
【0056】
一実施形態による符号化深度及び符号化モードに係る符号化情報は、当該符号化単位、予測単位及び最小単位のうち、所定のデータ単位に対して割り当てられているので、映像データ及び符号化情報抽出部220は、所定のデータ単位別に、符号化深度及び符号化モードに係る情報を抽出する。所定のデータ単位別に、当該最大符号化単位の符号化深度及び符号化モードに係る情報が記録されていれば、同一な符号化深度及び符号化モードに係る情報を有している所定のデータ単位は、同一な最大符号化単位に含まれるデータ単位として類推される。
【0057】
映像データ復号化部230は、最大符号化単位別の符号化深度及び符号化モードに係る情報に基づいて、それぞれの最大符号化単位の映像データを復号化して、現在のピクチャを復元する。すなわち、映像データ復号化部230は、最大符号化単位に含まれるツリー構造による符号化単位のうち、それぞれの符号化単位ごとに、読み取られたパーティションタイプ、予測モード及び変換単位に基づいて、符号化された映像データを復号化する。復号化過程は、イントラ予測及び動き補償を含む予測過程と、周波数逆変換過程とを含む。
【0058】
映像データ復号化部230は、符号化深度別の符号化単位の予測単位のパーティションタイプ情報及び予測モード情報に基づいて、符号化単位ごとに、それぞれのパーティション及び予測モードによって、イントラ予測または動き補償を行う。
【0059】
また、映像データ復号化部230は、最大符号化単位別の周波数逆変換のために、符号化深度別の符号化単位の変換単位のサイズ情報に基づいて、符号化単位ごとに、それぞれの変換単位によって、周波数逆変換を行う。
【0060】
映像データ復号化部230は、深度別の分割情報を利用して、現在の最大符号化単位の符号化深度を決定する。若し、分割情報が現在の深度でそれ以上分割されないことを表していれば、現在の深度が符号化深度である。したがって、映像データ復号化部230は、現在の最大符号化単位の映像データに対して、現在の深度の符号化単位を、予測単位のパーティションタイプ、予測モード及び変換単位サイズ情報を利用して復号化する。
【0061】
すなわち、符号化単位、予測単位及び最小単位のうち、所定のデータ単位に対して設定されている符号化情報を観察して、同一な分割情報を含む符号化情報を保有しているデータ単位が集まって、映像データ復号化部230によって、同一な符号化モードに復号化する一つのデータ単位であると見なされる。
【0062】
一実施形態によるビデオ復号化装置200は、符号化過程で最大符号化単位ごとに再帰的に符号化を行って、最小符号化誤差を発生させた符号化単位に係る情報を獲得して、現在のピクチャについての復号化に利用する。すなわち、最大符号化単位ごとに、最適符号化単位に決定されたツリー構造による符号化単位の符号化された映像データの復号化が可能になる。
【0063】
したがって、高い解像度の映像、またはデータ量が多すぎる映像であるとしても、符号化端から伝送された最適符号化モードに係る情報を利用して、映像の特性に適応的に決定された符号化単位のサイズ及び符号化モードによって、効率的に映像データを復号化して復元する。
【0064】
以下、図3ないし図13を参照して、本発明の一実施形態によるツリー構造による符号化単位、予測単位及び変換単位の決定方式を詳細に説明する。
【0065】
図3は、階層的な符号化単位の概念を示す図面である。
【0066】
符号化単位の例は、符号化単位のサイズが幅×高さで表現され、サイズ64×64の符号化単位から32×32,16×16,8×8を含む。サイズ64×64の符号化単位は、サイズ64×64,64×32,32×64,32×32のパーティションに分割され、サイズ32×32の符号化単位は、サイズ32×32,32×16,16×32,16×16のパーティションに分割され、サイズ16×16の符号化単位は、サイズ16×16,16×8,8×16,8×8のパーティションに分割され、サイズ8×8の符号化単位は、サイズ8×8,8×4,4×8,4×4のパーティションに分割される。
【0067】
ビデオデータ310については、解像度が1920×1080、符号化単位の最大サイズが64、最大深度が2に設定されている。ビデオデータ320については、解像度が1920×1080、符号化単位の最大サイズが64、最大深度が3に設定されている。ビデオデータ330については、解像度が352×288、符号化単位の最大サイズが16、最大深度が1に設定されている。図3に示した最大深度は、最大符号化単位から最小符号化単位までの総分割回数を表す。
【0068】
解像度が高いか、またはデータ量が多い場合、符号化効率の向上だけでなく、映像特性を正確に反映するために、符号化サイズの最大サイズが相対的に大きいことが望ましい。したがって、ビデオデータ330よりも解像度が高いビデオデータ310,320は、符号化サイズの最大サイズが64に選択される。
【0069】
ビデオデータ310の最大深度は2であるので、ビデオデータ310の符号化単位315は、長軸サイズが64である最大符号化単位から、2回分割して深度が二階層深くなって、長軸サイズが32、16である符号化単位まで含む。一方、ビデオデータ330の最大深度は1であるので、ビデオデータ330の符号化単位335は、長軸サイズが16である符号化単位から、1回分割して深度が一階層深くなって、長軸サイズが8である符号化単位まで含む。
【0070】
ビデオデータ320の最大深度は3であるので、ビデオデータ320の符号化単位325は、長軸サイズが64である最大符号化単位から、3回分割して深度が三階層深くなって、長軸サイズが32、16、8である符号化単位まで含む。深度が深くなるほど、詳細情報の表現能力が向上する。
【0071】
図4は、本発明の一実施形態による符号化単位に基づいた映像符号化部を示すブロック図である。
【0072】
一実施形態による映像符号化部400は、ビデオ符号化装置100の符号化単位決定部120で、映像データを符号化するのに経る作業を含む。すなわち、イントラ予測部410は、現在のフレーム405のうち、イントラモードの符号化単位に対して、イントラ予測を行い、動き推定部420及び動き補償部425は、インターモードの現在のフレーム405及び参照フレーム495を利用して、インター推定及び動き補償を行う。
【0073】
イントラ予測部410、動き推定部420及び動き補償部425から出力されたデータは、周波数変換部430及び量子化部440を経て、量子化された変換係数として出力される。量子化された変換係数は、逆量子化部460及び周波数逆変換部470を通じて、空間領域のデータに復元され、復元された空間領域のデータは、デブロッキング部480及びループフィルタリング部490を経て後処理されて、参照フレーム495として出力される。量子化された変換係数は、エントロピー符号化部450を経て、ビットストリーム455として出力される。
【0074】
一実施形態によるビデオ符号化装置100に適用されるためには、映像符号化部400の構成要素であるイントラ予測部410、動き推定部420、動き補償部425、周波数変換部430、量子化部440、エントロピー符号化部450、逆量子化部460、周波数逆変換部470、デブロッキング部480及びループフィルタリング部490がいずれも、最大符号化単位ごとに、最大深度を考慮して、ツリー構造による符号化単位のうち、それぞれの符号化単位に基づいた作業を行わなければならない。
【0075】
特に、イントラ予測部410、動き推定部420及び動き補償部425は、現在の最大符号化単位の最大サイズ及び最大深度を考慮して、ツリー構造による符号化単位のうち、それぞれの符号化単位のパーティション及び予測モードを決定し、周波数変換部430は、ツリー構造による符号化単位のうち、それぞれの符号化単位内の変換単位のサイズを決定しなければならない。
【0076】
図5は、本発明の一実施形態による符号化単位に基づいた映像復号化部を示すブロック図である。
【0077】
ビットストリーム505から、パージング部510を経て、復号化対象である符号化された映像データ、及び復号化のために必要な符号化に係る情報がパージングされる。符号化された映像データは、エントロピー復号化部520及び逆量子化部530を経て、逆量子化されたデータとして出力され、周波数逆変換部540を経て、空間領域の映像データが復元される。
【0078】
空間領域の映像データに対して、イントラ予測部550は、イントラモードの符号化単位に対してイントラ予測を行い、動き補償部560は、参照フレーム585を共に利用して、インターモードの符号化単位に対して動き補償を行う。
【0079】
イントラ予測部550及び動き補償部560を経た空間領域のデータは、デブロッキング部570及びループフィルタリング部580を経て後処理されて、復元フレーム595として出力される。また、デブロッキング部570及びループフィルタリング部580を経て後処理されたデータは、参照フレーム585として出力される。
【0080】
ビデオ復号化装置200の映像データ復号化部230で、映像データを復号化するために、一実施形態による映像復号化部500のパージング部510以後のステップ別の作業が行われる。
【0081】
一実施形態によるビデオ復号化装置200に適用されるためには、映像復号化部500の構成要素であるパージング部510、エントロピー復号化部520、逆量子化部530、周波数逆変換部540、イントラ予測部550、動き補償部560、デブロッキング部570及びループフィルタリング部580がいずれも、最大符号化単位ごとに、ツリー構造による符号化単位に基づいて、作業を行わなければならない。
【0082】
特に、イントラ予測部550及び動き補償部560は、ツリー構造による符号化単位ごとに、パーティション及び予測モードを決定し、周波数逆変換部540は、符号化単位ごとに、変換単位のサイズを決定しなければならない。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態による深度別の符号化単位及びパーティションを示す図面である。
【0084】
一実施形態によるビデオ符号化装置100、及び一実施形態によるビデオ復号化装置200は、映像の特性を考慮するために、階層的な符号化単位を使用する。符号化単位の最大高さ及び幅、最大深度は、映像の特性によって適応的に決定されてもよく、ユーザの要求に応じて多様に設定されてもよい。既定の符号化単位の最大サイズによって、深度別の符号化単位のサイズが決定される。
【0085】
一実施形態による符号化単位の階層構造600は、符号化単位の最大高さ及び幅が64であり、最大深度が4である場合を示している。一実施形態による符号化単位の階層構造600の縦軸に沿って、深度が深くなるので、深度別の符号化単位の高さ及び幅がそれぞれ分割される。また、符号化単位の階層構造600の横軸に沿って、それぞれの深度別の符号化単位の予測符号化の基本となる予測単位及びパーティションが示されている。
【0086】
すなわち、符号化単位610は、符号化単位の階層構造600で最大符号化単位であって、深度が0であり、符号化単位のサイズ、すなわち、高さ及び幅が64×64である。縦軸に沿って深度が深くなり、サイズ32×32である深度1の符号化単位620、サイズ16×16である深度2の符号化単位630、サイズ8×8である深度3の符号化単位640、及びサイズ4×4である深度4の符号化単位650が存在する。サイズ4×4である深度4の符号化単位650は、最小符号化単位である。
【0087】
それぞれの深度別に横軸に沿って、符号化単位の予測単位及びパーティションが配列される。すなわち、深度0のサイズ64×64の符号化単位610が予測単位であれば、予測単位は、サイズ64×64の符号化単位610に含まれるサイズ64×64のパーティション610、サイズ64×32のパーティション612、サイズ32×64のパーティション614、及びサイズ32×32のパーティション616に分割される。
【0088】
同様に、深度1のサイズ32×32の符号化単位620の予測単位は、サイズ32×32の符号化単位620に含まれるサイズ32×32のパーティション620、サイズ32×16のパーティション622、サイズ16×32のパーティション624、及びサイズ16×16のパーティション626に分割される。
【0089】
同様に、深度2のサイズ16×16の符号化単位630の予測単位は、サイズ16×16の符号化単位630に含まれるサイズ16×16のパーティション630、サイズ16×8のパーティション632、サイズ8×16のパーティション634、及びサイズ8×8のパーティション636に分割される。
【0090】
同様に、深度3のサイズ8×8の符号化単位640の予測単位は、サイズ8×8の符号化単位640に含まれるサイズ8×8のパーティション640、サイズ8×4のパーティション642、サイズ4×8のパーティション644、及びサイズ4×4のパーティション646に分割される。
【0091】
最後に、深度4のサイズ4×4の符号化単位650は、最小符号化単位であり、かつ最下位深度の符号化単位であり、当該予測単位も、サイズ4×4のパーティション650のみに設定される。
【0092】
一実施形態によるビデオ符号化装置100の符号化単位決定部120は、最大符号化単位610の符号化深度を決定するために、最大符号化単位610に含まれるそれぞれの深度の符号化単位ごとに、符号化を行わなければならない。
【0093】
同一な範囲及びサイズのデータを含むための深度別の符号化単位の個数は、深度が深くなるほど増加する。例えば、深度1の符号化単位が一つ含まれるデータに対して、深度2の符号化単位は四つ必要である。したがって、同一なデータの符号化結果を深度別に比較するために、一つの深度1の符号化単位、及び四つの深度2の符号化単位を利用して、それぞれ符号化されなければならない。
【0094】
それぞれの深度別の符号化のためには、符号化単位の階層構造600の横軸に沿って、深度別の符号化単位の予測単位ごとに符号化を行って、当該深度で最小符号化誤差である代表符号化誤差が選択される。また、符号化単位の階層構造600の縦軸に沿って、深度が深くなり、それぞれの深度ごとに符号化を行って、深度別の代表符号化誤差を比較して、最小符号化誤差が検索される。最大符号化単位610のうち、最小符号化誤差が発生する深度及びパーティションが、最大符号化単位610の符号化深度及びパーティションタイプとして選択される。
【0095】
図7は、本発明の一実施形態による符号化単位と変換単位の関係を示す図面である。
【0096】
一実施形態によるビデオ符号化装置100、または一実施形態によるビデオ復号化装置200は、最大符号化単位ごとに、最大符号化単位よりも小さいか、またはそれと同じサイズの符号化単位の映像を符号化または復号化する。符号化過程で周波数変換のための変換単位のサイズは、それぞれの符号化単位よりも大きくないデータ単位に基づいて選択される。
【0097】
例えば、一実施形態によるビデオ符号化装置100、または一実施形態によるビデオ復号化装置200において、現在の符号化単位710が64×64サイズである時、32×32サイズの変換単位720を利用して、周波数変換が行われる。
【0098】
また、64×64サイズの符号化単位710のデータを、64×64サイズ以下の32×32,16×16,8×8,4×4サイズの変換単位にそれぞれ周波数変換を行って符号化した後、原本との誤差が最も小さい変換単位が選択される。
【0099】
図8は、本発明の一実施形態による深度別の符号化情報を示す図面である。
【0100】
一実施形態によるビデオ符号化装置100の出力部130は、符号化モードに係る情報として、それぞれの符号化深度の符号化単位ごとに、パーティションタイプに係る情報800、予測モードに係る情報810、及び変換単位サイズに係る情報820を符号化して伝送する。
【0101】
パーティションタイプに係る情報800は、現在の符号化単位の予測符号化のためのデータ単位として、現在の符号化単位の予測単位が分割されたパーティションの形態に係る情報を表す。例えば、サイズ2N×2Nの現在の符号化単位CU_0は、サイズ2N×2Nのパーティション802、サイズ2N×Nのパーティション804、サイズN×2Nのパーティション806、及びサイズN×Nのパーティション808のうちいずれか一つのタイプに分割されて利用される。この場合、現在の符号化単位のパーティションタイプに係る情報800は、サイズ2N×2Nのパーティション802、サイズ2N×Nのパーティション804、サイズN×2Nのパーティション806、及びサイズN×Nのパーティション808のうち一つを表すように設定される。
【0102】
予測モードに係る情報810は、それぞれのパーティションの予測モードを表す。例えば、予測モードに係る情報810を通じて、パーティションタイプに係る情報800が表すパーティションが、イントラモード812、インターモード814及びスキップモード816のうち一つで予測符号化が行われるかが設定される。
【0103】
また、変換単位サイズに係る情報820は、現在の符号化単位を、どの変換単位に基づいて、周波数変換を行うか否かを表す。例えば、変換単位は、第1イントラ変換単位サイズ822、第2イントラ変換単位サイズ824、第1インター変換単位サイズ826、及び第2イントラ変換単位サイズ828のうち一つである。
【0104】
一実施形態によるビデオ復号化装置200の映像データ及び符号化情報抽出部220は、それぞれの深度別の符号化単位ごとに、パーティションタイプに係る情報800、予測モードに係る情報810、及び変換単位サイズに係る情報820を抽出して、復号化に利用可能である。
【0105】
図9は、本発明の一実施形態による深度別の符号化単位を示す図面である。
【0106】
深度の変化を表すために、分割情報が利用される。分割情報は、現在の深度の符号化単位が、下位深度の符号化単位に分割されるか否かを表す。
【0107】
深度0及びサイズ2N_0×2N_0の符号化単位900の予測符号化のための予測単位910は、サイズ2N_0×2N_0のパーティションタイプ912、サイズ2N_0×N_0のパーティションタイプ914、サイズN_0×2N_0のパーティションタイプ916、及びサイズN_0×N_0のパーティションタイプ918を含む。予測単位が対称的な割合で分割されたパーティション912,914,916,918のみが例示されているが、前述したように、パーティションタイプは、これらに限定されず、非対称的なパーティション、任意の形態のパーティション、幾何学的な形態のパーティションなどを含む。
【0108】
パーティションタイプごとに、一つのサイズ2N_0×2N_0のパーティション、二つのサイズ2N_0×N_0のパーティション、二つのサイズN_0×2N_0のパーティション、及び四つのサイズN_0×N_0のパーティションごとに、反復的に予測符号化が行わなければならない。サイズ2N_0×2N_0、サイズN_0×2N_0、サイズ2N_0×N_0、及びサイズN_0×N_0のパーティションについては、イントラモード及びインターモードで予測符号化が行われる。スキップモードは、サイズ2N_0×2N_0のパーティションのみに対して、予測符号化が行われる。
【0109】
サイズ2N_0×2N_0、2N_0×N_0及びN_0×2N_0のパーティションタイプ912,914,916のうち一つによる符号化誤差が最も小さければ、それ以上下位深度に分割する必要がない。
【0110】
サイズN_0×N_0のパーティションタイプ918による符号化誤差が最も小さければ、深度0を1に変更して分割し(920)、深度2及びサイズN_0×N_0のパーティションタイプの符号化単位930に対して、反復的に符号化を行って、最小符号化誤差を検索する。
【0111】
深度1及びサイズ2N_1×2N_1(=N_0×N_0)の符号化単位930の予測符号化のための予測単位940は、サイズ2N_1×2N_1のパーティションタイプ942、サイズ2N_1×N_1のパーティションタイプ944、サイズN_1×2N_1のパーティションタイプ946、及びサイズN_1×N_1のパーティションタイプ948を含む。
【0112】
また、サイズN_1×N_1のパーティションタイプ948による符号化誤差が最も小さければ、深度1を2に変更して分割し(950)、深度2及びサイズN_2×N_2の符号化単位960に対して、反復的に符号化を行って、最小符号化誤差を検索する。
【0113】
最大深度がdである場合、深度別の分割情報は、深度がd−1になるまで設定され、分割情報は、深度がd−2になるまで設定される。すなわち、深度d−2から分割されて(970)、深度d−1まで符号化が行われる場合、深度d−1及びサイズ2N_(d−1)×2N_(d−1)の符号化単位980の予測符号化のための予測単位990は、サイズ2N_(d−1)×2N_(d−1)のパーティションタイプ992、サイズ2N_(d−1)×N_(d−1)のパーティションタイプ994、サイズN_(d−1)×2N_(d−1)のパーティションタイプ996、及びサイズN_(d−1)×N_(d−1)のパーティションタイプ998を含む。
【0114】
パーティションタイプのうち、一つのサイズ2N_(d−1)×2N_(d−1)のパーティション、二つのサイズ2N_(d−1)×N_(d−1)のパーティション、二つのサイズN_(d−1)×2N_(d−1)のパーティション、及び四つのサイズN_(d−1)×N_(d−1)のパーティションごとに、反復的に予測符号化を通じた符号化が行われて、最小符号化誤差が発生するパーティションタイプが検索される。
【0115】
サイズN_(d−1)×N_(d−1)のパーティションタイプ998による符号化誤差が最も小さいとしても、最大深度がdであるので、深度d−1の符号化単位CU_(d−1)は、それ以上下位深度への分割過程を経ず、現在の最大符号化単位900についての符号化深度が、深度d−1として決定され、パーティションタイプは、N_(d−1)×N_(d−1)として決定される。また、最大深度がdであるので、深度d−1の符号化単位952に対して、分割情報は設定されていない。
【0116】
データ単位999は、現在の最大符号化単位についての‘最小単位’であると呼ばれる。一実施形態による最小単位は、最下位符号化深度である最小符号化単位が4分割されたサイズの正方形のデータ単位である。かかる反復的な符号化過程を通じて、一実施形態によるビデオ符号化装置100は、符号化単位900の深度別の符号化誤差を比較して、最小符号化誤差が発生する深度を選択して、符号化深度を決定し、当該パーティションタイプ及び予測モードが、符号化深度の符号化モードとして設定される。
【0117】
このように、深度0,1,…,d−1,dの全ての深度別の最小符号化誤差を比較して、誤差が最も小さい深度が選択されて、符号化深度として決定される。符号化深度、予測単位のパーティションタイプ及び予測モードは、符号化モードに係る情報として符号化されて伝送される。また、深度0から符号化深度に達するまで、符号化単位が分割されなければならないので、符号化深度の分割情報のみが‘0’に設定され、符号化深度を除いた深度別の分割情報は、‘1’に設定されなければならない。
一実施形態によるビデオ復号化装置200の映像データ及び符号化情報抽出部220は、符号化単位900についての符号化深度及び予測単位に係る情報を抽出して、符号化単位912を復号化するのに利用する。一実施形態によるビデオ復号化装置200は、深度別の分割情報を利用して、分割情報が‘0’である深度を符号化深度として把握し、当該深度についての符号化モードに係る情報を利用して復号化する。
【0118】
図10図11及び図12は、本発明の一実施形態による符号化単位、予測単位及び周波数変換単位の関係を示す図面である。
【0119】
符号化単位1010は、最大符号化単位に対して、一実施形態によるビデオ符号化装置100が決定した符号化深度別の符号化単位である。予測単位1060は、符号化単位1010のうち、それぞれの符号化深度別の符号化単位の予測単位のパーティションであり、変換単位1070は、それぞれの符号化深度別の符号化単位の変換単位である。
【0120】
深度別の符号化単位1010は、最大符号化単位の深度が0であるとすれば、符号化単位1012,1054の深度が1、符号化単位1014,1016,1018,1028,1050,1052の深度が2、符号化単位1020,1022,1024,1026,1030,1032,1048の深度が3、符号化単位1040,1042,1044,1046の深度が4である。
【0121】
予測単位1060のうち、一部のパーティション1014,1016,1022,1032,1048,1050,1052,1054は、符号化単位が分割された形態である。すなわち、パーティション1014,1022,1050,1054は、2N×Nのパーティションタイプであり、パーティション1016,1048,1052は、N×2Nのパーティションタイプであり、パーティション1032は、N×Nのパーティションタイプである。深度別の符号化単位1010の予測単位及びパーティションは、それぞれの符号化単位よりも小さいか、またはそれと同じである。
【0122】
変換単位1070のうち、一部の符号化単位1052の映像データについては、符号化単位に比べて小さいサイズのデータ単位で、周波数変換または周波数逆変換が行われる。また、変換単位1014,1016,1022,1032,1048,1050,1052,1054は、予測単位1060のうち、当該予測単位及びパーティションと比較すれば、異なるサイズまたは形態のデータ単位である。すなわち、一実施形態によるビデオ符号化装置100、及び一実施形態によるビデオ復号化装置200は、同一な符号化単位についてのイントラ予測/動き推定/動き補償作業、及び周波数変換/逆変換作業であるとしても、それぞれ別途のデータ単位に基づいて行う。
【0123】
これによって、最大符号化単位ごとに、領域別に階層的な構造の符号化単位ごとに、再帰的に符号化が行われて、最適符号化単位が決定されることによって、再帰的なツリー構造による符号化単位が構成される。符号化情報は、符号化単位に係る分割情報、パーティションタイプ情報、予測モード情報、及び変換単位サイズ情報を含む。以下、表1は、一実施形態によるビデオ符号化装置100、及び一実施形態によるビデオ復号化装置200で設定可能な一例を表す。
【0124】
【表1】
一実施形態によるビデオ符号化装置100の出力部130は、ツリー構造による符号化単位についての符号化情報を出力し、一実施形態によるビデオ復号化装置200の符号化情報抽出部220は、受信されたビットストリームから、ツリー構造による符号化単位についての符号化情報を抽出する。
【0125】
分割情報は、現在の符号化単位が下位深度の符号化単位に分割されるか否かを表す。現在の深度dの分割情報が0であれば、現在の符号化単位が下位符号化単位にそれ以上分割されない深度が符号化深度であるので、符号化深度に対して、パーティションタイプ情報、予測モード及び変換単位サイズ情報が定義される。分割情報によってさらに分割されなければならない場合には、分割された四つの下位深度の符号化単位ごとに独立して符号化が行わなければならない。
【0126】
予測モードは、イントラモード、インターモード及びスキップモードのうち一つで表す。イントラモード及びインターモードは、全てのパーティションタイプで定義され、スキップモードは、パーティションタイプ2N×2Nのみで定義される。
【0127】
パーティションタイプ情報は、予測単位の高さまたは幅が対称的な割合で分割された対称的なパーティションタイプ2N×2N、2N×N、N×2N、N×N、及び非対称的な割合で分割された非対称的なパーティションタイプ2N×nU、2N×nD、nL×2N、nR×2Nを表す。非対称的なパーティションタイプ2N×nU及び2N×nDは、それぞれ高さが1:3及び3:1に分割された形態であり、非対称的なパーティションタイプnL×2N及びnR×2Nは、それぞれ幅が1:3及び3:1に分割された形態である。
【0128】
変換単位サイズは、イントラモードで二種類のサイズに、インターモードで二種類のサイズに設定される。すなわち、変換単位分割情報が0であれば、変換単位サイズが、現在の符号化単位のサイズ2N×2Nに設定される。変換単位分割情報が1であれば、現在の符号化単位が分割されたサイズの変換単位が設定される。また、サイズ2N×2Nである現在の符号化単位についてのパーティションタイプが、対称的なパーティションタイプであれば、変換単位サイズは、N×N、非対称的なパーティションタイプであれば、変換単位サイズは、N/2×N/2に設定される。
【0129】
一実施形態によるツリー構造による符号化単位の符号化情報は、符号化深度の符号化単位、予測単位及び最小単位のうち少なくとも一つに対して割り当てられる。符号化深度の符号化単位は、同一な符号化情報を保有している予測単位及び最小単位を一つ以上含む。
【0130】
したがって、隣接したデータ単位同士それぞれ保有している符号化情報を確認すれば、同一な符号化深度の符号化単位に含まれるか否かが確認される。また、データ単位が保有している符号化情報を利用すれば、当該符号化深度の符号化単位を確認できるので、最大符号化単位内の符号化深度の分布が類推される。
【0131】
したがって、その場合、現在の符号化単位が、周辺データ単位を参照して予測する場合、現在の符号化単位に隣接する深度別の符号化単位内のデータ単位の符号化情報が直接参照されて利用される。
【0132】
他の実施形態として、現在の符号化単位が、周辺符号化単位を参照して予測符号化が行われる場合、隣接する深度別の符号化単位の符号化情報を利用して、深度別の符号化単位内で、現在の符号化単位に隣接するデータが検索されることによって、周辺符号化単位が参照されることも可能である。
【0133】
図13は、表1の符号化モード情報による符号化単位、予測単位及び変換単位の関係を示す図面である。
【0134】
最大符号化単位1300は、符号化深度の符号化単位1302,1304,1306,1312,1314,1316,1318を含む。そのうち一つの符号化単位1318は、符号化深度の符号化単位であるので、分割情報が0に設定される。サイズ2N×2Nの符号化単位1318のパーティションタイプ情報は、パーティションタイプ2N×2N 1322、2N×N 1324、N×2N 1326、N×N 1328、2N×nU 1332、2N×nD 1334、nL×2N 1336及びnR×2N 1338のうち一つに設定される。
【0135】
パーティションタイプ情報が、対称的なパーティションタイプ2N×2N 1322、2N×N 1324、N×2N 1326及びN×N 1328のうち一つに設定されている場合、変換単位分割情報(TU size flag)が0であれば、サイズ2N×2Nの変換単位1342が設定され、変換単位分割情報が1であれば、サイズN×Nの変換単位1344が設定される。
【0136】
パーティションタイプ情報が、非対称的なパーティションタイプ2N×nU 1332、2N×nD 1334、nL×2N 1336及びnR×2N 1338のうち一つに設定されている場合、変換単位分割情報(TU size flag)が0であれば、サイズ2N×2Nの変換単位1352が設定され、変換単位分割情報が1であれば、サイズN/2×N/2の変換単位1354が設定される。
【0137】
以下、図4の本発明の一実施形態による映像符号化装置100のイントラ予測部410、及び図5の映像復号化装置200のイントラ予測部550で、予測単位に対して行われるイントラ予測について具体的に説明する。
【0138】
図14Aないし図14Cは、本発明の一実施形態による輝度成分及び色差成分の予測単位のフォーマットを示す図面である。
【0139】
一フレームを構成する各符号化単位は、Y、Cb及びCrからなる三つの成分を利用して表現される。Yは、輝度情報を有する輝度データであり、Cb及びCrは、色相情報を有する色差データである。
【0140】
一般的に、人間の目は、色相情報よりは輝度情報にさらに敏感であるという事実に基づいて、色差データは、輝度データに比べて少量のデータで表現されることも可能である。図14Aを参照すれば、一つの符号化単位は、4:2:0フォーマットによる場合、H×W(H及びWは、正の整数)輝度データY 1410と、色差成分Cb,Crを1/4にサンプリングした二つの(H/2)×(W/2)サイズの色差データCb,Cr 1420,1430とから構成される。図14Bを参照すれば、一つの符号化単位は、4:2:2フォーマットによる場合、H×W(H及びWは、正の整数)輝度データY 1440と、色差成分Cb,Crを水平方向に1/2サンプリングした二つのH×(W/2)サイズの色差データCb,Cr 1450,1460とから構成される。また、図14Cを参照すれば、色差成分映像をより精密に表現するために、一つの符号化単位は、4:4:4フォーマットによる場合、色差成分についてのサンプリング過程なしに、輝度データY 1470と色差データCb,Cr 1480,1490は、いずれもH×Wサイズの映像データから構成される。
【0141】
以下の説明において、イントラ予測される輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位は、YCbCr(またはYUV)色空間で定義される4:2:0、4:2:2及び4:4:4のカラーフォーマットの映像信号のうちいずれか一つであると仮定する。ただし、当業者ならば、本発明の実施形態が、輝度成分及び色差成分から構成された映像以外に、映像が複数個の異なる映像成分から構成された場合にも適用されることを理解できるであろう。
【0142】
図15は、本発明の一実施形態による輝度成分予測単位のサイズによるイントラ予測モードの個数を示す図面である。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、輝度成分予測単位のサイズによって、輝度成分予測単位に適用するイントラ予測モードの個数を多様に設定可能である。一例として、図15を参照すれば、イントラ予測される輝度成分予測単位のサイズをN×Nであるとする時、2×2,4×4,8×8,16×16,32×32,64×64,128×128サイズの輝度成分予測単位それぞれに対して実際に行われるイントラ予測モードの個数は、それぞれ5,9,9,17,33,5,5(Example 2の場合)に設定される。このように、輝度成分予測単位のサイズによって、実際に行われるイントラ予測モードの個数を差別化する理由は、輝度成分予測単位のサイズによって、予測モード情報を符号化するためのオーバーヘッドが異なるためである。言い換えれば、小さいサイズの輝度成分予測単位の場合、全体の映像で占める部分が小さいにもかかわらず、かかる小さい輝度成分の符号化単位の予測モードなどの付加情報を伝送するためのオーバーヘッドが増加する。したがって、小さいサイズの輝度成分予測単位を、過度に多くの予測モードに符号化する場合、ビット量が増加して、圧縮効率が低下する。また、大きいサイズの輝度成分予測単位、例えば、64×64以上のサイズを有する輝度成分予測単位は、一般的に、映像の平坦な領域についての予測単位として選択される場合が多いので、かかる平坦な領域を符号化するのに多く選択される大きいサイズの予測単位を、過度に多くの予測モードに符号化することも、圧縮効率の側面で非効率的である。したがって、予測単位のサイズが、所定のサイズよりも大きすぎるか、または小さすぎる場合には、相対的に少ない個数のイントラ予測モードのみを適用する。かかる予測単位のサイズによって適用されるイントラ予測モードの個数は、図15に限定されず、多様に設定可能である。図15に示した各予測単位のサイズによって適用される予測モードの個数は、一実施形態に過ぎず、各予測単位のサイズによる予測モードの個数は変更可能である。
【0144】
図16Aは、本発明の一実施形態による所定のサイズの輝度成分予測単位に適用可能なイントラ予測モードの一例を説明するための図面である。
【0145】
図15及び図16Aを参照すれば、一例として、4×4サイズを有する輝度成分予測単位のイントラ予測時に、垂直モード(モード0)、水平モード(モード1)、DC(Direct Current)モード(モード2)、対角線左側モード(モード3)、対角線右側モード(モード4)、垂直右側モード(モード5)、水平下側モード(モード6)、垂直左側モード(モード7)、及び水平上側モード(モード8)を利用できる。
【0146】
図16Bは、図16Aのイントラ予測モードの方向を示す図面である。図16Bにおいて、矢印の端にある数字は、その方向に予測を行う場合に当該モード値を表す。ここで、モード2は、方向性のないDC予測モードであって、図示していない。
【0147】
図16Cは、図16Aに示した輝度成分予測単位についてのイントラ予測方法を示す図面である。
【0148】
図16Cを参照すれば、輝度成分予測単位のサイズによって決定された利用可能なイントラ予測モードによって、現在の輝度成分予測単位の周辺ピクセルであるAないしMを利用して、予測値を生成する。例えば、図16Aのモード0、すなわち、垂直モードによって、4×4サイズの現在の予測単位についての予測値を獲得する動作を説明する。まず、4×4サイズの現在の予測単位の上側に隣接した画素AないしDの画素値を、4×4現在の予測単位の画素値として予測する。すなわち、画素Aの値を、4×4現在の予測単位の最初の列に含まれた四つの画素値として、画素Bの値を、4×4現在の予測単位の二列目に含まれた四つの画素値として、画素Cの値を、4×4現在の予測単位の三列目に含まれた四つの画素値として、画素Dの値を、4×4現在の符号化単位の四列目に含まれた四つの画素値として予測する。次いで、前記画素AないしDを利用して予測された4×4現在の予測単位の予測値を、本来の4×4現在の予測単位に含まれた画素値から差し引き、誤差値を獲得し、獲得された誤差値が符号化される。
【0149】
図17は、本発明の一実施形態による所定のサイズの輝度成分予測単位に適用可能なイントラ予測モードの他の例を説明するための図面である。
【0150】
図15及び図17を参照すれば、一例として、2×2サイズを有する符号化単位のイントラ予測時に、垂直モード、水平モード、DCモード、プレーンモード、及び対角線右側モードの総5個のモードが存在する。
【0151】
一方、本発明の一実施形態による輝度成分予測単位についてのイントラ予測モードとして、予測単位内のピクセルを中心に所定の勾配を有するラインを利用して、周辺参照ピクセルを決定し、決定された周辺参照ピクセルを利用するイントラ予測モードが含まれる。かかるラインの勾配は、(dx,dy)パラメータ(dx,dyは、整数)を利用して設定される。一例として、33個の予測モードを、それぞれモードN(Nは、0から32までの整数)であると定義する時、モード0は垂直モード、モード1は水平モード、モード2はDCモード、モード3はプレーンモードに設定し、モード4ないしモード31それぞれは、下記の表2に示したような(1,−1),(1,1),(1,2),(2,1),(1,−2),(2,1),(1,−2),(2,−1),(2,−11),(5,−7),(10,−7),(11,3),(4,3),(1,11),(1,−1),(12,−3),(1,−11),(1,−7),(3,−10),(5,−6),(7,−6),(7,−4),(11,1),(6,1),(8,3),(5,3),(5,7),(2,7),(5,−7),(4,−3)のうち一つの値で表現される(dx,dy)を利用して、tan−1(dy/dx)の方向性を有するラインを利用して、周辺参照ピクセルを決定し、決定された周辺参照ピクセルを予測に利用するイントラ予測モードとして定義する。
【0152】
【表2】
最後のモード32は、図19を利用して後述するように、双線形補間を利用する双線形モードに設定される。
【0153】
図18Aないし図18Cは、本発明の一実施形態による多様な方向性を有するイントラ予測モードを説明するための参照図である。
【0154】
表2を参照して前述したように、本発明の一実施形態によるイントラ予測モードは、複数個の(dx,dy)パラメータを利用して決定されるtan−1(dy/dx)の勾配を有するラインを利用して、周辺参照ピクセルを決定し、決定された周辺参照ピクセルを利用して予測を行う。
【0155】
図18Aを参照すれば、現在の予測単位の内部の予測する現在のピクセルPを中心に、表2に示したモード別の(dx,dy)の値によって決定されるtan−1(dy/dx)の角度を有する延長線180上に位置した周辺ピクセルA,Bを、現在のピクセルPの予測子として利用する。この時、予測子として利用される周辺ピクセルは、以前に符号化されて復元された、現在の予測単位の上側、左側、右上側及び左下側の以前の予測単位のピクセルであることが望ましい。また、延長線180が整数位置の周辺ピクセルでない整数位置の周辺ピクセル間を通過する場合、延長線180に近い周辺ピクセルのうち、現在のピクセルPにさらに近い周辺ピクセルを予測子として利用するか、または延長線180に近い周辺ピクセルと、延長線180の交差点との間の距離を考慮した加重平均値を、現在のピクセルPの予測子として利用する。
【0156】
図18B及び図18Cは、図18Aの延長線180が整数位置の周辺ピクセルでない整数位置の周辺ピクセルの間を通過する場合、予測子を生成する過程を説明するための参照図である。
【0157】
図18Bを参照すれば、モード別の(dx,dy)の値によって決定されるtan−1(dy/dx)の角度を有する延長線180が、整数位置の周辺ピクセルA 181と、周辺ピクセルB 182との間を通過する場合、延長線180に近い周辺ピクセルA 181及び周辺ピクセルB 182と、延長線180の交差点との間の距離を考慮した加重平均値を、現在のピクセルPの予測子として利用する。例えば、tan−1(dy/dx)の角度を有する延長線180の交差点と、周辺ピクセルA 181との間の距離をf、交差点と、周辺ピクセルB 182との間の距離をgとすれば、現在のピクセルPの予測子は、(A*g+B*f)/(f+g)のように獲得される。ここで、f及びgは、整数で正規化された距離であることが望ましい。実際にソフトウェアやハードウェアで具現する時、現在のピクセルPの予測子は、(g*A+f*B+2)>>2のように、シフト演算を通じて具現される。図18Bに示したように、延長線180が、整数位置の周辺ピクセルA 181と、周辺ピクセルB 182との間を4等分した地点のうち、周辺ピクセルA 181に近い1/4位置を通過する場合、現在のピクセルPの予測子は、(3*A+B)/4のように獲得される。かかる演算は、(3*A+B+2)>>2のように、四捨五入過程を考慮したシフト演算を通じて具現される。
【0158】
一方、モード別の(dx,dy)の値によって決定されるtan−1(dy/dx)の角度を有する延長線180が、整数位置の周辺ピクセルA 181と周辺ピクセルB 182との間を通過する場合、周辺ピクセルA 181と周辺ピクセルB 182との区間を、所定の個数に分割し、各分割された領域別に、周辺ピクセルA 181及び周辺ピクセルB 182と交差点との間の距離を考慮した加重平均値を、予測値として利用する。例えば、図18Cを参照すれば、周辺ピクセルA 181と周辺ピクセルB 182との区間を、5個の区間P1ないしP5に分離し、各区間別に、周辺ピクセルA 181及び周辺ピクセルB 182と交差点との間の距離を考慮した代表加重平均値を決定し、かかる代表加重平均値を、現在のピクセルPの予測子として利用する。具体的に、延長線180が区間P1を通過する場合、現在のピクセルPの予測子として、周辺ピクセルAの値を決定する。延長線180が区間P2を通過する場合、区間P2の中間点と、周辺ピクセルA及び周辺ピクセルBとの間の距離を考慮した加重平均値である(3*A+1*B+2)>>2を、現在のピクセルPの予測子として決定する。延長線180が区間P3を通過する場合、区間P3の中間点と、周辺ピクセルA及び周辺ピクセルBとの間の距離を考慮した加重平均値である(2*A+2*B+2)>>2を、現在のピクセルPの予測子として決定する。延長線180が区間P4を通過する場合、区間P4の中間点と、周辺ピクセルA及び周辺ピクセルBとの間の距離を考慮した加重平均値である(1*A+3*B+2)>>2を、現在のピクセルPの予測子として決定する。延長線180が区間P5を通過する場合、現在のピクセルPの予測子として、周辺ピクセルBの値を決定する。
【0159】
また、図示したように、延長線180と出合う上側の周辺ピクセルA及び左側の周辺ピクセルBの二つの周辺ピクセルが存在する場合、上側の周辺ピクセルA及び左側の周辺ピクセルBの平均値を、現在のピクセルPの予測子として利用するか、またはdx*dy値が正数である場合には、上側の周辺ピクセルAを利用し、dx*dy値が負数である場合には、左側の周辺ピクセルBを利用する。
【0160】
表2に示したような多様な方向性を有するイントラ予測モードは、符号化端と復号化端とで予め設定され、各予測単位ごとに設定されたイントラ予測モードのインデックスのみが伝送されることが望ましい。
【0161】
図19は、本発明の一実施形態による双線形モードを説明するための参照図である。図19を参照すれば、双線形モードは、現在の予測単位の内部の予測する現在のピクセルPを中心に、現在のピクセルP、その上下左右境界のピクセル値、及び現在のピクセルPの上下左右境界までの距離を考慮した幾何平均値を計算して、その結果値を、現在のピクセルPの予測子として利用するものである。すなわち、双線形モードでは、現在のピクセルPの予測子として、現在のピクセルPの上下左右境界に位置したピクセルA 161、ピクセルB 162、ピクセルD 166及びピクセルE 167、並びに現在のピクセルPの上下左右境界までの距離の幾何平均値を利用する。この時、双線形モードも、イントラ予測モードのうち一つであるので、予測時の参照ピクセルとして、以前に符号化された後に復元された上側及び左側の周辺ピクセルを利用しなければならない。したがって、ピクセルA 161及びピクセルB 162として、現在の予測単位の内部の当該ピクセル値をそのまま利用するものではなく、上側及び左側の周辺ピクセルを利用して生成された仮想のピクセル値を利用する。具体的に、まず、下記の数式(1)のように、現在の予測単位に隣接した上側の最左側の周辺ピクセル(RightUpPixel)164と、左側の最下側の周辺ピクセル(LeftDownPixel)165との平均値を計算することによって、現在の符号化単位の右側の最下端位置の仮想のピクセルC 163を計算する。
【0162】
【数1】
次いで、現在のピクセルPの左側境界までの距離W1と、右側境界までの距離W2とを考慮して、現在のピクセルPを下端に延ばした時、最下側の境界線に位置する仮想のピクセルA 161の値を、下記の数式(2)のように計算する。
【0163】
【数2】
同様に、現在のピクセルPの上側境界までの距離h1と、下側境界までの距離h2とを考慮して、現在のピクセルPを右側に延ばした時、最右側の境界線に位置する仮想のピクセルB 162の値を、下記の数式(3)のように計算する。
【0164】
【数3】
数式(1)ないし(3)を利用して、現在のピクセルP 160の下側境界線上の仮想のピクセルA 161と、右側境界線上の仮想のピクセルB 162との値が決定されれば、A+B+D+Eの平均値を利用して、現在のピクセルP 160の予測子を決定する。具体的に、現在のピクセルP 160の予測子として、前述したA+B+D+Eの平均値を利用するか、または現在のピクセルP 160と、仮想のピクセルA 161、B 162、D 166、E 167との間の距離を考慮した加重平均値を利用する。例えば、加重平均値を利用する場合、現在のピクセルPの予測子は、{(h1*A+h2*D)/(h1+h2)+(W1*B+W2*E)/(W1+W2)}/2のように獲得される。かかる双線形予測過程は、現在の予測単位の内部の全てのピクセルに対して適用され、双線形予測モードによる現在の予測単位の予測値が生成される。
【0165】
本発明の一実施形態によれば、予測単位のサイズによって多様に設定されたイントラ予測モードによって、予測符号化を行うことによって、映像の特性によって、より効率的な圧縮が可能である。
【0166】
一方、図18Aないし図18Cを参照して説明したように、延長線180に位置するか、または延長線180に近い周辺ピクセルを利用して、現在のピクセルPの予測子を生成する場合、延長線180は、実際にtan−1(dy/dx)の方向性を有するが、かかる延長線180を利用した周辺ピクセルの決定のためには、(dy/dx)の除算が必要であるので、ハードウェアやソフトウェアで具現する時、小数点演算を含むので、演算量を増加させる要因となる。したがって、前述した表2に示したように、参照ピクセルとして利用される周辺ピクセルを選択するための予測方向を、dx,dyパラメータを利用して設定する時、演算量を減少させるようにdx,dyを設定する必要がある。
【0167】
図20は、本発明の一実施形態によって、(dx,dy)の方向性を有する延長線上に位置した周辺ピクセルと現在のピクセルとの関係を説明するための図面である。図20を参照すれば、(j,i)に位置した現在のピクセルをP 2010、現在のピクセルP 2010を通過するtan−1(dy/dx)の方向性、すなわち、勾配を有する延長線上に位置した上側の周辺ピクセルをA 2011、左側の周辺ピクセルをB 2012と定義する。上側の周辺ピクセルの位置が座標平面上のx軸に該当し、左側の周辺ピクセルの位置が座標平面上のy軸に該当すると仮定する。また、現在のピクセルP 2010が含まれた予測単位のサイズは、nS×nS(nSは、正の整数)であり、予測単位の各ピクセルの位置は、(0,0)から(nS−1,nS−1)のうち一つであり、x軸上に位置した上側の周辺ピクセルの位置を(m,−1)(mは、整数)、y軸上に位置した左側の周辺ピクセルの位置を(−1,n)(nは、整数)であると仮定する。現在のピクセルP 2010を通過する延長線と出合う上側の周辺ピクセルA 2011の位置は、(j+i*dx/dy,−1)であり、左側の周辺ピクセルB 2012の位置は、(−1,i+j*dy/dx)である。したがって、現在のピクセルP 2010の予測のために、上側の周辺ピクセルA 2011または左側の周辺ピクセルB 2012を決定するためには、dx/dyまたはdy/dxのような除算が必要である。前述したように、かかる除算は、演算複雑度が高いので、ソフトウェアまたはハードウェアで具現する時、演算速度の低下をもたらす。したがって、本発明の他の実施形態では、周辺ピクセルを決定するための予測モードの方向性を表すdx及びdyのうち少なくとも一つの値を、2の指数乗として決定する。すなわち、n及びmをそれぞれ整数とする時、dx及びdyは、それぞれ2^n及び2^mである。
【0168】
図20を参照すれば、現在のピクセルP 2010の予測子として、左側の周辺ピクセルB 2012が利用され、dxが2^nの値を有する場合、左側の周辺ピクセルB 2012の位置である(−1,i+j*dy/dx)を決定するために必要なj*dy/dx演算は、(i*dy)/(2^n)であり、かかる2の指数乗で除算を行う演算は、(i*dy)>>nのように、シフト演算を通じて具現されるので、演算量が減少する。
【0169】
同様に、現在のピクセルP 2010の予測子として、上側の周辺ピクセルA 2011が利用され、dyが2^mの値を有する場合、上側の周辺ピクセルA 2011の位置である(j+i*dx/dy,−1)を決定するために必要なi*dx/dy演算は、(i*dx)/(2^m)であり、かかる2の指数乗で除算を行う演算は、(i*dx)>>mのように、シフト演算を通じて具現される。
【0170】
図21は、本発明の一実施形態によって、現在のピクセルの位置によって、(dx,dy)の方向性を有する延長線上に位置した周辺ピクセルの変化を説明するための図面である。図21を参照すれば、予測する現在のピクセルがP 2110またはQ 2120のどの位置にあるかによって、イントラ予測モード方向によって参照される周辺ピクセルの位置が変更される。例えば、ピクセルP 2110の予測時、上側ピクセルAが利用され、ピクセルQ 2120の予測時、左側ピクセルBが利用される。もし、予測方向を指す(dx,dy)のうち、y軸方向のdy成分のみが2^m形態の2の指数乗の値を有すれば、図21で、上側ピクセルA 2111は、(j+(i*dx)>>m,−1)のように、除算なしにシフト演算などによって決定されるが、左側ピクセルB 2121は、(−1,a+b*2^m/dx)のように、除算が必要になる。したがって、現在のブロックの全てのピクセルに対して予測子を生成する時に除算を除くために、dx及びdyがいずれも2の指数乗の形態を有する。
【0171】
図22及び図23は、本発明の他の実施形態によって、イントラ予測モード方向を決定する方法を説明するための図面である。
【0172】
一般的に、映像やビデオ信号で表れる直線パターンは、垂直や水平方向である場合が多い。したがって、(dx,dy)のパラメータを利用して、多様な方向性を有するイントラ予測モードを定義する時、下記のようにdx及びdyの値を定義することによって、映像のコーディング効率を向上させる。
【0173】
具体的に、dyが2^mの値に固定された値を有する場合、dxの絶対値は、垂直方向に近い予測方向間の間隔は狭く設定され、水平方向に近い予測方向であるほど、予測モード間の間隔が広くなるように設定される。例えば、図22を参照すれば、dyが2^5、すなわち、32の値を有する場合、dxの値を、2,5,9,13,17,21,26,32,−2,−5,−9,−13,−17,−21,−26,−32のように設定することによって、垂直方向に近い予測方向間の間隔は、相対的に狭く設定され、水平方向に近い予測方向であるほど、予測モード間の間隔が相対的に広くなるように設定される。
【0174】
同様に、dxが2^nの値に固定された値を有する場合、dyの絶対値は、水平方向に近い予測方向間の間隔は狭く設定され、垂直方向に近い予測方向であるほど、予測モード間の間隔が広くなるように設定される。例えば、図23を参照すれば、dxが2^5、すなわち、32の値を有する場合、dyの値を、2,5,9,13,17,21,26,32,−2,−5,−9,−13,−17,−21,−26,−32のように設定することによって、水平方向に近い予測方向間の間隔は狭く設定され、垂直方向に近い予測方向であるほど、予測モード間の間隔が広くなるように設定される。
【0175】
また、dx及びdyのうちいずれか一つの値が固定された時、固定されていない残りの値は、予測モード別に増加するように設定される。例えば、dyが固定された場合、dx間の間隔が所定の値ほど増加するように設定される。また、かかる増加幅は、水平方向と垂直方向との間の角度を所定の単位に区分し、区分された角度別に設定されることも可能である。例えば、dyが固定された場合、dxの値は、垂直軸との角度が15°以内である区間では、aという増加幅を有し、15°と30°との間では、bという増加幅を有し、30°以上では、cという増加幅を有するように設定される。
【0176】
一例として、(dx,dy)を利用して、tan−1(dy/dx)の方向性を有する予測モードは、下記の表3ないし表5に示した(dx,dy)パラメータを定義する。
【0177】
【表3】
【0178】
【表4】
前述したように、(dx,dy)パラメータを利用する各イントラ予測モードは、(j,i)に位置したピクセルの予測子として、左側の周辺ピクセル(−1,i+j*dy/dx)、または上側の周辺ピクセル(j+i*dx/dy,−1)を利用する。表3のように、dxまたはdyの値のうち少なくとも一つが2の指数乗を有する場合、左側の周辺ピクセル(−1,i+j*dy/dx)、及び上側の周辺ピクセル(j+i*dx/dy,−1)の位置は、除算なしに乗算及びシフト演算のみによって獲得される。前述した表3による(dx,dy)の値のうち、dxが32である場合のように、dxが2^nの値を有する場合、dxを利用した除算は、右側シフト演算に代替されるので、左側の周辺ピクセルの位置は、(i*dy)>>nの値に基づいて、除算なしに獲得される。同様に、表3による(dx,dy)の値のうち、dyが32である場合のように、dyが2^mの値を有する場合、dyを利用した除算は、右側シフト演算に代替されるので、上側の周辺ピクセルの位置は、(i*dx)>>mの値に基づいて、除算なしに獲得される。
【0179】
図24は、本発明のさらに他の実施形態によって、利用可能なイントラ予測モードの一例を説明するための参照図である。図24を参照すれば、現在のピクセルの予測子を獲得するために、現在のピクセルの水平方向の線形補間を通じて獲得された予測子P1と、垂直方向の線形補間を通じて獲得された予測子P2とを生成し、予測子P1,P2の平均値を、現在のピクセルの予測子として利用する。図24のイントラ予測モードを、プラナーモードとして定義する。プラナーモードによれば、予測単位の最上側列に位置した同一予測単位のピクセルのうち、最右側に位置したピクセルT 244を、最右側列のピクセルにそのままコピーすることによって、最右側列のピクセルを生成する。そして、現在のピクセルと同一な行に位置した最左側列及び最右側列のピクセルを利用した水平方向の線形補間を通じて、予測子P1 243を獲得する。図24に示したように、現在のピクセルの水平方向の線形補間を通じた予測子P1 243は、現在のピクセルと同一な行に位置した最左側列の同一予測単位内のピクセルPL 242及びピクセルT 244をコピーすることによって生成された最右側列のピクセルTの線形補間、例えば、平均値や距離を考慮した幾何平均値を利用して獲得される。
【0180】
同様に、プラナーモードによれば、予測単位の最左側列に位置した同一予測単位のピクセルのうち、最下側に位置したピクセルL 248を、最下側列のピクセルにそのままコピーすることによって、最下側列のピクセルを生成する。そして、現在のピクセルと同一な列に位置した最上側行及び最下側行のピクセルを利用した垂直方向の線形補間を通じて、予測子P2 246を獲得する。図24に示したように、現在のピクセルの垂直方向の線形補間を通じた予測子P2 246は、現在のピクセルと同一な列に位置した最上側行の同一予測単位内のピクセルPT 245及びピクセルL 248をコピーすることによって生成された最下側行のピクセルLの線形補間を通じて獲得される。最終的に、プラナーモードでは、水平方向の予測子P1 243と、垂直方向の予測子P2 246との平均値、すなわち、P1+P2>>1を、現在のピクセルの最終の予測子として決定する。
【0181】
図25A及び図25Bは、本発明のさらに他の実施形態によるイントラ予測モードを説明するための参照図である。
【0182】
対応する輝度ピクセルと色差ピクセルとの間には、所定の相関関係、例えば、線形的な相関関係を有する。図25A及び図25Bを参照すれば、以前に復元された輝度ブロック2520の(x,y)位置でのピクセルを、Rec_L′(x,y)とすれば、輝度信号と色差信号との線形関係を利用して、色差ブロック2510の(x,y)位置での予測値Pred_c(x,y)は、下記の数式(4)を利用して獲得する。
【0183】
【数4】
数式(4)において、aは、加重値を表すパラメータ、bは、オフセットを表すパラメータである。a及びbの値は、下記の数式(5)及び(6)のように、色差ブロック2510の周辺ピクセルRec_c(i)(i=0,…,2nS−1)2511,2512、及び輝度ブロック2520の周辺ピクセルRec_L′(i)2521,2522を利用した演算過程を通じて獲得される。
【0184】
【数5】
数式(5)及び(6)において、Iは、色差ブロック2510または輝度ブロック2520の上側及び左側に隣接した周辺ピクセルの個数であって、図25A及び図25Bに示したように、色差ブロック2510及び輝度ブロック2520のサイズがnS×nSである場合、Iは、2nSである。図25A及び図25Bでは、周辺ピクセルとして、上側及び左側に位置したピクセルを利用する場合を示しているが、若し、右側または下側に位置した周辺ピクセルが、現在のブロック以前に処理されて復元された場合ならば、右側または下側に位置した周辺ピクセルも、a及びbの値を獲得するのに利用可能である。また、乗算や除算をシフト演算に代替するために、周辺ピクセルの個数Iは、2の指数乗であることが望ましい。一般的に、ブロックのサイズを定義するnSの値は、2の指数乗であるので、Iも、2の指数乗の値を有する。数式(5)及び(6)を利用して、aまたはbの値を獲得する時、演算複雑度を減少させるために、アップスケーリングまたは四捨五入を通じて変更されたa′及びb′の値を、a及びbの代わりに利用可能である。前述した図25A及び図25Bは、一種の線形モデルイントラ予測モードとして定義され、予測単位のイントラ予測モードのうち一つとして利用される。
【0185】
図18ないし図25Bを通じて説明したように、本発明の実施形態において利用可能なイントラ予測モードの個数は多様であり、必要に応じて、輝度成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード、及び色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モードを選択的に適用する。例えば、輝度成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、表3に示した33個の(dx,dy)パラメータを利用した33個のイントラ予測モード、DC予測モード、及び図24のプラナーモードを含む総35個のイントラ予測モードを含む。色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、一般的に、輝度成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループよりも少ない個数のイントラ予測モードを有するように設定される。例えば、色差成分のイントラ予測モード候補グループは、垂直モード、水平モード、DCモード、45°方向の対角線モード、及び先に処理されて決定された輝度成分のイントラ予測モードの総5個のイントラ予測モードのみを含む。しかし、輝度成分及び色差成分の予測単位にそれぞれ適用されるイントラ予測モードの個数及び種類は、前述した例に限定されるものではない。また、図18ないし図25Bを通じて説明したイントラ予測モード以外に、他の多様なイントラ予測モードが、輝度成分及び色差成分のイントラ予測のためのイントラ予測モード候補に含まれる。
【0186】
以下、本発明の一実施形態による映像の予測単位についてのイントラ予測モード符号化過程について具体的に説明する。
【0187】
図26は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化装置を示すブロック図であり、図27は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化方法を示すフローチャートである。本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化装置2600は、図4の映像符号化装置400のイントラ予測部410として動作する。図26において、イントラ予測モード符号化部2630は、イントラ予測部410の代わりに、図4のエントロピー符号化部450に含まれる。
【0188】
図26及び図27を参照すれば、イントラ予測モード符号化装置2600は、第1イントラ予測モード決定部2610、第2イントラ予測モード決定部2620、及びイントラ予測モード符号化部2630を備える。
【0189】
ステップ2710において、第1イントラ予測モード決定部2610は、輝度成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モードを適用して、複数個のイントラ予測モード候補グループのうち、最小コストを有するイントラ予測モードを、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードとして決定する。例えば、輝度成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、(dx,dy)パラメータを利用した33個のイントラ予測モード、DC予測モード及びプラナーモードを含む総35個のイントラ予測モードを含む場合、第1イントラ予測モード決定部2610は、35個のイントラ予測モードをそれぞれ適用して獲得された誤差値のコストを比較して、現在の輝度成分の予測単位に適用する最適のイントラ予測モードIntraMode_Lumaを決定する。
【0190】
ステップ2720において、第2イントラ予測モード決定部2620は、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モードを適用して、複数個のイントラ予測モード候補グループのうち、最小コストを有するイントラ予測モードを、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとして決定する。例えば、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード、及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含む場合、第2イントラ予測モード決定部2620は、各イントラ予測モードを適用して獲得された誤差値のコストを比較して、現在の色差成分の予測単位に適用する最適のイントラ予測モードIntraMode_Chromaを決定する。
【0191】
色差成分のイントラ予測モード候補グループに、先に処理されて決定された輝度成分のイントラ予測モードが含まれた場合、輝度成分のイントラ予測モードと重なる色差成分のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モード候補グループに存在するか否かによって、比較される色差成分のイントラ予測モードの個数は変更可能である。
【0192】
また、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードを基本的に含み、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当する場合にのみ、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるモードを、対角線モードに代替して、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループを決定することも可能である。かかる場合、第2イントラ予測モード決定部2620は、イントラ予測モード候補グループの各イントラ予測モードを適用して、最適のイントラ予測モードIntraMode_Chromaを決定する。
【0193】
前述したように、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、輝度成分の予測単位に適用されていない特定のイントラ予測モードを別に含む。例えば、輝度成分のイントラ予測モード候補グループには含まれず、色差成分のイントラ予測モード候補グループのみが、LMモードを含む。第2イントラ予測モード決定部2620は、LMモードを含むイントラ予測モード候補グループ内の各イントラ予測モードを、色差成分の予測単位に適用して、最適のイントラ予測モードIntraMode_Chromaを決定する。
【0194】
このように決定された輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位のイントラ予測モードは、復号化側にシグナリングされる必要がある。したがって、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位に適用された最終のイントラ予測モードを符号化する。特に、本発明の一実施形態によれば、ステップ2730において、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループを再構成する。そして、ステップ2740において、イントラ予測モード符号化部2640は、再構成された色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループに基づいて、第2イントラ予測モード決定部2620で決定された色差成分の予測単位についてのイントラ予測モードを符号化する。イントラ予測モード符号化部2640は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードを表すインデックス以外に、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとが同一であるか否か、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一であるか否かによって、色差成分のイントラ予測モード情報を差別化して符号化する。
【0195】
具体的に、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとが同一である場合、イントラ予測モード符号化部2640は、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード情報として、色差成分の予測単位のイントラ予測モードが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと同一であるか否かを表すフラグDM flagのみを符号化する。例えば、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとがいずれも水平モードHである場合、イントラ予測モード符号化部2640は、イントラ予測モード情報として、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードを表すインデックス及びフラグDM flagを符号化する。
【0196】
輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとが同一でなく、かつ色差成分のイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、すなわち、色差成分のイントラ予測モード候補グループが再構成された場合、イントラ予測モード符号化部2640は、再構成されたイントラ予測モード候補グループのうち、当該イントラ予測モードを表すインデックス及びフラグDM flagを符号化する。
【0197】
輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとが同一でなく、かつ輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうちいずれとも同一でない場合、イントラ予測モード符号化部2640は、最初に設定されたイントラ予測モード候補グループのうち、当該イントラ予測モードを表すインデックス及びフラグDM flagを符号化する。
【0198】
色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループに、輝度成分の予測単位に適用されていない特定のイントラ予測モード、例えば、LMモードを色差成分にのみ適用した場合、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード情報として、別途に現在の色差成分の予測単位のイントラ予測モードがLMモードであるか否かを表すフラグLM flagが含まれる。色差成分の予測モードとして、LMモードが含まれ、決定された色差成分の予測単位のイントラ予測モードがLMモードである場合、イントラ予測モード符号化部2640は、DM flag及びLM flagのみを符号化する。
【0199】
輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとが同一でなく、かつ色差成分の予測単位のイントラ予測モードがLMモードでない場合、イントラ予測モード符号化部2640は、DM flag、LM flag及び色差成分の予測単位のイントラ予測モードを表すインデックス情報を符号化する。この時、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分のイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードのうち一つと同一である場合、すなわち、色差成分のイントラ予測モード候補グループが再構成された場合、イントラ予測モード符号化部2640は、再構成されたイントラ予測モード候補グループのうち、当該イントラ予測モードを表すインデックス、LM flag及びDM flagを符号化する
以下、図28を参照して、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード符号化過程を具体的に説明する。
【0200】
図28は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード符号化過程を具体的に示すフローチャートである。
【0201】
図26及び図28を参照すれば、ステップ2810において、第1イントラ予測モード決定部2610及び第2イントラ予測モード決定部2620は、利用可能な複数個のイントラ予測モードを適用して、輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位それぞれについてのイントラ予測モードを決定する。前述した例のように、輝度成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、(dx,dy)パラメータを利用した33個のイントラ予測モード、DC予測モード及びプラナーモードを含む総35個のイントラ予測モードを含み、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含むと仮定する。前述したように、その他にも色差成分に適用されるイントラ予測モードは、先に処理されて決定された輝度成分のイントラ予測モード(Derived Mode、以下、“DMモード”という)を含むこともできる。DMモードは、IntraMode_Lumaと同一である。イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位に利用可能な35個のイントラ予測モードそれぞれに、所定のコードワードを割り当て、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaに対応するコードワードを符号化する。コードワードとして、Exp−Golomb(Exponential Goloms)コードを利用する。
【0202】
ステップ2820において、イントラ予測モード符号化部2630は、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaと同一であるか否かを判断する。輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaと同一である場合、ステップ2830において、イントラ予測モード符号化部2630は、色差成分の予測単位のイントラ予測モードとして、色差成分の予測単位のイントラ予測モードが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと同一であるか否かを表すフラグDM flagを0に設定する。フラグDM flagが0である場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分の予測モードと同一であることを意味し、フラグDM flagが1である場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分の予測単位のイントラ予測モードと異なることを意味する。フラグDM flagの値は、逆に設定されてもよい。このように、フラグDM flagが0である場合、すなわち、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分の予測モードと同一である場合には、フラグDM flagのみを符号化して、復号化側へ伝送すれば、復号化側では、0の値を有するフラグDM flagを受信した場合、先に復号化された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードから、対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードを決定する。例えば、輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位のイントラ予測モードが、いずれも水平モードである場合、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モード情報IntraMode_Luma及びフラグDM flagのみを符号化する。
【0203】
ステップ2820の判断結果、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaと同一でない場合、イントラ予測モード符号化部2630は、別途に色差成分の予測単位に適用されたイントラ予測モードを符号化しなければならない。ステップ2840において、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位に利用されるイントラ予測モード候補グループのうち、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれるか否かを判断する。例えば、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含む場合、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、当該5個のイントラ予測モードのうち一つに該当するかを判断する。他の例として、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードを基本的に含み、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modes、例えば、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当する時のみ、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるモードの代わりに、対角線モードを利用する場合、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当するかを判断する。
【0204】
ステップ2840の判断結果、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれない場合、ステップ2850において、イントラ予測モード符号化部2630は、既定の色差成分に適用される第2イントラ予測モード候補グループを利用して、色差成分の予測単位のイントラ予測モードを符号化する。一例として、色差成分に適用される第2イントラ予測モード候補グループに含まれた各イントラ予測モードには、下記の表6のように、所定のインデックスが予め設定されている。
【0205】
【表5】
ステップ2840の判断結果、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれた場合、ステップ2860において、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループを再構成する。例えば、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaは、DCモード、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaは、水平モード、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードである場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードは、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する。その場合、前述した表6において、DCモードは、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードから獲得されるので、別途のコードワードを割り当てることは不要である。したがって、本発明の一実施形態によれば、このように、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位についての所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれた場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なり、かつ色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードを、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesを除いた他のイントラ予測モードに代替するか、または重なるイントラ予測モードは、DM flagを通じてシグナリングされるので、重なる色差成分のイントラ予測モードを除去することによって、第2イントラ予測モード候補グループを再構成し、再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、各イントラ予測モードを表すインデックスを割り当てる。
【0206】
具体的に、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループに含まれた予測モードを、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれない残りのイントラ予測モードに代替する。例えば、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードを基本的に含み、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当する場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるモードは、対角線モードに代替される。色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループのうち、所定のイントラ予測モードCandidate_Modes、すなわち、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードの四つのみに対して、下記の表7のようにコードワードが割り当てられたと仮定する。
【0207】
【表6】
輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードが、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_ModesのうちDCモードと重なる場合、DCモードは、対角線モードに代替されて、表7は、下記の表8のように再構成される。
【0208】
【表7】
また、イントラ予測モード符号化部2630は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位に適用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループで重なるイントラ予測モードを除去する。例えば、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含み、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが対角線モードである場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループを表すインデックスは、表6で対角線モードを除いて、下記の表9のように再構成される。この時、色差成分のイントラ予測モード候補グループに含まれたイントラ予測モードの個数が減少したので、各イントラ予測モードを表すインデックスの値であるコードワードのビット数も減少する。
【0209】
【表8】
符号化モード予測部2630は、総n(nは、整数)個の色差成分のイントラ予測モード候補グループのうち、(n−1)個のイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当て、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるイントラ予測モードを、残りの一つのイントラ予測モードに代替することによって、重なるコードワードを除去して、イントラ予測モードの符号化に必要なビット数を減少させる。
また、符号化モード予測部2630は、既定の色差成分のイントラ予測モード候補グループのうち、輝度成分のイントラ予測モードと重なるイントラ予測モードに対しては、イントラ予測モード候補グループから除いて、別途のインデックシングを行わない。
【0210】
イントラ予測モード符号化部2630は、色差成分のイントラ予測モード候補グループで利用可能なイントラ予測モードの個数を、n(nは、正の整数)とする時、既定の(n−1)個の所定のイントラ予測モードcandidate_Modesのうち、輝度成分のイントラ予測モードと重なる色差成分のイントラ予測モードを、残りの一つのイントラ予測モードに代替することによって、色差成分のイントラ予測モード候補グループを再構成する。
【0211】
一方、本発明の他の実施形態によれば、ステップ2860の色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループを再構成するステップは、輝度成分のイントラ予測モードと重なる色差成分のイントラ予測モードを除いて、残りのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てることによって行われる。例えば、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaは、DCモード、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaは、水平モード、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesは、垂直モード、水平モード、DCモード及びDMモードである場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードは、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する。この場合、前述した表6において、DCモードは、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードから獲得されるにもかかわらず、別途のコードワードを割り当てることは、重なった予測モードに別途のコードワードを割り当てることによって、予測モードの符号化に所要するビット数を増加させるだけであるので、DCモードを除いた残りのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てることが望ましい。すなわち、イントラ予測モード符号化部2630は、前述した表9のように、DCモードを除いた残りの四つのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てることによって、色差成分のイントラ予測モードを符号化する。
【0212】
再び図28を参照すれば、ステップ2870において、イントラ予測モード符号化部2630は、再構成された色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループを利用して、色差成分のイントラ予測モードを符号化する。色差成分のイントラ予測モード候補グループが再構成された場合、イントラ予測モード符号化部2630は、色差成分の予測単位のイントラ予測モードに該当するコードワードを、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード情報として符号化する。
【0213】
以下、本発明の一実施形態による映像の予測単位についてのイントラ予測モード復号化過程について具体的に説明する。
【0214】
図29は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化装置を示すブロック図であり、図30は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化方法を示すフローチャートである。本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化装置2900は、図5の映像復号化装置500のイントラ予測部550として動作する。図29において、イントラ予測モード獲得部2910は、イントラ予測部550の代わりに、図5のパージング部510またはエントロピー復号化部520に含まれる。
【0215】
図29及び図30を参照すれば、イントラ予測モード復号化装置2900は、イントラ予測モード獲得部2910、第1イントラ予測実行部2920、及び第2イントラ予測実行部2930を備える。
【0216】
ステップ3010において、イントラ予測モード獲得部2910は、ビットストリームから、映像を構成する輝度成分の予測単位のイントラ予測モード情報IntraMode_Lumaを獲得する。また、イントラ予測モード獲得部2910は、色差成分の予測単位のイントラ予測モード情報として、輝度成分の予測単位と対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaと同一であるか否かを表すフラグDM flagを獲得する。
【0217】
ステップ3020において、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位に利用可能なイントラ予測モード候補グループに属した所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つと同一であると判断された場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaと重なる色差成分のイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、色差成分のイントラ予測モード候補グループを再構成する。
【0218】
ステップ3030において、イントラ予測モード獲得部2910は、ビットストリームから獲得された再構成された色差成分のイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードのうち一つを表すインデックスを利用して、色差成分の予測単位についてのイントラ予測モードを決定する。
【0219】
イントラ予測モード獲得部2910で、輝度成分の予測単位及び色差成分の予測単位についてのイントラ予測モードが決定されれば、第1イントラ予測実行部2920は、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測を行って、輝度成分の予測単位についての予測値を生成して出力し、第2イントラ予測実行部2930は、色差成分の予測単位についてのイントラ予測を行って、色差成分の予測単位についての予測値を生成して出力する。
【0220】
図31は、本発明の一実施形態による映像のイントラ予測モード復号化過程を具体的に示すフローチャートである。
【0221】
図29及び図31を参照すれば、ステップ3110において、イントラ予測モード獲得部2910は、ビットストリームから、輝度成分の予測単位のイントラ予測モード、及び色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaと同一であるか否かを表すフラグDMを獲得する。
【0222】
ステップ3120において、イントラ予測モード獲得部2910は、フラグDMに基づいて、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaと同一であるか否かを判断する。
【0223】
ステップ3120の判断結果、イントラ予測モード獲得部2910は、フラグDMの値が0である場合、すなわち、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaが、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaと同一であると判断された場合、ステップ3130において、イントラ予測モード獲得部2910は、色差成分の予測単位のイントラ予測モードを、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと同一に設定する。このように、フラグDMが0である場合、すなわち、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、色差成分の予測モードと同一である場合には、フラグDMのみを利用して、色差成分のイントラ予測モードを決定する。
【0224】
ステップ3120の判断結果、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、対応する色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaと同一でない場合、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位に利用可能なイントラ予測モード候補グループのうち、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれるか否かを判断する。例えば、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含む場合、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、当該5個のイントラ予測モードのうち一つに該当するか否かを判断する。他の例として、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードを基本的に含み、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modes、例えば、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当する時のみ、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるモードの代わりに、対角線モードを利用する場合、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当するか否かを判断する。ステップ3140の判断結果、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれない場合、ステップ3150において、イントラ予測モード獲得部2910は、ビットストリームから、インデックスを読み出し、読み出されたインデックスが表す色差成分のイントラ予測モードを決定する。前述したように、色差成分に適用されるイントラ予測モードに対して、表6のように所定のコードワードが予め設定されており、イントラ予測モード獲得部2910は、当該コードワード、すなわち、インデックスの値を、ビットストリームから読み出して、現在の色差成分の予測単位のイントラ予測モードを決定する。
【0225】
ステップ3140の判断結果、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれた場合、ステップ3160において、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なる色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードの重複性を除去するために、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループを再構成する。前述した例のように、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaは、DCモード、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaは、水平モード、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesは、垂直モード、水平モード、DCモード及びDMモードである場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードは、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する。この場合、前述した表6において、DCモードは、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードから獲得されるので、別途のコードワードを割り当てることは不要である。したがって、イントラ予測モード獲得部2910は、このように、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位についての所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれた場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なり、かつ色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループに属したイントラ予測モードを、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesを除いた他のイントラ予測モードに代替するか、または重なる色差成分のイントラ予測モードを除去することによって、第2イントラ予測モード候補グループを再構成し、再構成された第2イントラ予測モード候補グループに基づいて、各イントラ予測モードを表すインデックスを決定する。具体的な色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループの再構成過程は、前述した符号化側で行われる再構成過程と同様に行われる。
【0226】
具体的に、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードが、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループに含まれた予測モードを、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesに含まれない残りのイントラ予測モードに代替する。例えば、色差成分の予測単位に適用されるイントラ予測モード候補グループは、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードを基本的に含み、決定された輝度成分の予測単位のイントラ予測モードが、プラナーモード、垂直モード、水平モード及びDCモードのうち一つに該当する場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるモードは、対角線モードに代替される。色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループのうち、所定のイントラ予測モードCandidate_Modes、すなわち、垂直モード、水平モード、DCモード及びDMモードの四つのみに対して、前述した表7のようにコードワードが割り当てられた場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードが、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち、DCモードと重なる場合、DCモードは、対角線モードに代替されて、前述した表8のように再構成される。イントラ予測モード獲得部2910は、かかる再構成された色差イントラ予測モード候補グループを利用して、ビットストリームに備えられた色差イントラ予測モードのインデックスが、どのイントラ予測モードを表すか決定する。
【0227】
また、イントラ予測モード獲得部2910は、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaが、色差成分の予測単位で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループで重なるイントラ予測モードを除去する。例えば、色差成分の予測単位に適用可能なイントラ予測モード候補グループが、プラナーモード、垂直モード、水平モード、DCモード及び45°方向の対角線モードの総5個のイントラ予測モードを含み、輝度成分の予測単位についてのイントラ予測モードIntraMode_Lumaが対角線モードである場合、色差成分のイントラ予測モード候補グループを表すインデックスは、表6で対角線モードを除いて、前述した表9のように再構成される。イントラ予測モード獲得部2910は、かかる再構成された色差イントラ予測モード候補グループを利用して、ビットストリームに備えられた色差イントラ予測モードのインデックスが、どのイントラ予測モードを表すか決定する。イントラ予測モード獲得部2910は、総n(nは、整数)個の色差成分のイントラ予測モード候補グループのうち、(n−1)個のイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当て、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードと重なるイントラ予測モードを、残りの一つのイントラ予測モードに代替することによって、重なるコードワードを除去して、イントラ予測モードの復号化に必要なビット数を減少させる。前述した例のように、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードが、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち、DCモードと重なる場合、DCモードのコードワードを、対角線モードを表すコードワードとして利用する。このように、イントラ予測モード獲得部2910は、色差成分のイントラ予測モード候補グループで利用可能なイントラ予測モードの個数をn(nは、正の整数)とする時、既定の(n−1)個の所定のイントラ予測モードcandidate_Modesのうち、輝度成分のイントラ予測モードと重なる色差成分のイントラ予測モードを、残りの一つのイントラ予測モードに代替することによって、色差成分のイントラ予測モード候補グループを再構成する。
【0228】
一方、本発明の他の実施形態によれば、ステップ3160の色差成分の予測単位についてのイントラ予測モード候補グループを再構成するステップは、輝度成分のイントラ予測モードと重なる色差成分のイントラ予測モードを除いて、残りのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てることによって行われる。例えば、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Lumaは、DCモード、色差成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_Chromaは、水平モード、所定のイントラ予測モードCandidate_Modesは、垂直モード、水平モード、DCモード及びDMモードである場合、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードIntraMode_LumaであるDCモードは、色差成分で利用可能な所定のイントラ予測モードCandidate_Modesのうち一つに該当する。この場合、前述した表6において、DCモードは、輝度成分の予測単位のイントラ予測モードから獲得されるので、DCモードを除いた残りのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てる。すなわち、イントラ予測モード獲得部2910は、前述した表8のように、DCモードを除いた残りの四つのイントラ予測モードのみに対して、コードワードを割り当てることによって、色差成分のイントラ予測モード候補グループを再構成する。
【0229】
再び図31を参照すれば、ステップ3170において、イントラ予測モード獲得部2910は、ビットストリームから獲得されたインデックス、及び再構成された色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループを利用して、色差成分のイントラ予測モードを復号化する。色差成分のイントラ予測モード候補グループが再構成された場合、インデックスは、エンコーダ側で同一な過程を通じて再構成された色差成分のイントラ予測モード候補グループのうち、現在の色差成分の予測単位に適用されたイントラ予測モードに係る情報(コードワード)を表し、イントラ予測モード獲得部2910は、エンコーダ側と同様に再構成された色差成分の予測単位のイントラ予測モード候補グループから、インデックスが表すイントラ予測モードを選択することによって、色差成分の予測単位のイントラ予測モードを決定する。
【0230】
本発明は、また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に、コンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムにより読み取られるデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などが含まれる。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式によって、コンピュータで読み取り可能なコードに保存されて実行される。
【0231】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に述べた。当業者は、本発明が、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で、変形された形態で具現可能であるということを理解できるであろう。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に表れており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は、本発明に含まれたものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
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図5
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