特許第6046841号(P6046841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046841スイッチ、及びこのスイッチを備える鍵盤楽器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046841
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】スイッチ、及びこのスイッチを備える鍵盤楽器
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20161212BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20161212BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01H36/00 F
   H01H13/02 A
   H01H36/00 L
   H05B37/02 E
   H05B37/02 F
   H05B37/02 L
   H05B37/02 U
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-10677(P2016-10677)
(22)【出願日】2016年1月22日
(62)【分割の表示】特願2012-69602(P2012-69602)の分割
【原出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-54167(P2016-54167A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2016年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 健二
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−092738(JP,A)
【文献】 特開2010−113977(JP,A)
【文献】 特開2010−102906(JP,A)
【文献】 特開2006−321336(JP,A)
【文献】 特開2006−128020(JP,A)
【文献】 特開2008−053050(JP,A)
【文献】 特開2009−245754(JP,A)
【文献】 特開2004−164893(JP,A)
【文献】 特開平09−293900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0164825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H01H 13/02
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の筐体に設置され、タッチ操作により前記機器を操作するためのスイッチであって、
基板と、
該基板上に実装され、操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンタ上に積層され、模様を形成する削部が設けられるとともに、周囲側面が面取りされた導光板と、
前記基板上に実装されるとともに前記導光板の周囲側面に対向する位置に配置され、前記導光板を照らす発光手段と、
前記導光板の上面に対向する位置に配置されるとともに前記筐体の表面に対し面一に配置され、前記筐体と同色の透光性表面板と、
前記タッチセンサにより操作者のタッチ操作を検出した検出結果に従って、前記発光手段の発光を制御する制御手段と、
電圧印加点と接地点との間に直列に接続された2つの前記発光手段と、
前記電圧印加点と前記接地点との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段から電力の供給を受けて動作するとともに、第1の前記発光手段と第
2の前記発光手段との中点に出力端子が接続された制御素子と、
を備え、
前記制御手段は、
前記制御素子の入力端子と接続され、前記入力端子を介して前記制御素子を制御し、
前記電圧印加手段は、
一つの前記発光手段であれば発光させることができる単発光電位の電圧を印加し、
前記制御素子は、
前記制御手段による制御により、前記中点の電位を、前記単発光電位、接地電位、及び、前記各発光手段の間の中間電位に切り替え、
前記発光手段で前記導光板を照らすと前記削部で光が乱反射し、前記透光性表面板上に発光した前記模様が表示されることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチであって、
前記導光板の側面は、
前記導光板の底面の縁部が前記導光板の上面の縁部の内側に配置され、かつ、同心状に配置される形状に直線状に斜めに面取りされていることを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
請求項1,2のいずれか1項に記載のスイッチであって、
前記透光性表面板の裏面には、
前記導光板と対向する部分を除く部分を覆うシートが積層されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のスイッチであって、
前記タッチセンサは、
前記透光性表面板に触れていない距離であって、当該タッチセンサから予め定められた位置に操作者の手がかざされたことを検出する第1検出、及び、前記透光性表面板を操作者がタッチしたことを検出する第2検出が可能なセンサであり、
前記制御手段は、
前記タッチセンサにより前記第1検出がなされると、前記発光手段に第1の発光を行わせ、前記第2検出がなされると第2の発光を行わせることを特徴とするスイッチ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスイッチであって、
異なる色に発光する複数の前記発光手段を備え、
前記制御手段は、前記検出結果に従って、異なる色の前記発光手段が発光するよう制御することを特徴とするスイッチ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のスイッチは、
前記タッチセンサが、操作者の操作を検出しなくなってから一定時間経過すると前記発光手段の発光を停止することを特徴とするスイッチ。
【請求項7】
前記機器であって、請求項1〜6のいずれか記載のスイッチを備えることを特徴とする鍵盤楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤楽器その他の機器を操作するためのスイッチ及びこのスイッチを用いた鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者のタッチ操作により操作可能なスイッチは、このタッチ操作を検出するタッチセンサと、このタッチセンサに積層される導光板と、この導光板の側面からバックライト用の光を発光するLEDとを備える構成となっている(特許文献1)。
【0003】
このスイッチでは、スイッチが操作されたときなどにLEDを点灯させることによって、スイッチの操作の有無などを操作者に知らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−234584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したスイッチでは、スイッチの種類等を表示するため、導光板の下面にそのスイッチの種類を示す模様(文字、図形、記号など)が刻まれることがある。
このように導光板に模様を刻んでおくと、LEDで導光板を照らしたとき、模様となる削部で光が乱反射し、削部がその周囲よりも強く光るため、操作者には模様が光って見える。
【0006】
しかし、上述した構造のスイッチでは、導光板の側面からLEDの光を当てているため、削部のうち、LEDに近い部分と、LEDから離れた部分とで光の強さにムラができるという問題があった。
【0007】
そこで本発明では、模様が均一に光るスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、機器の筐体に設置され、タッチ操作により前記機器を操作するためのスイッチであって、基板と、該基板上に実装され、操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチセン上に積層され、模様を形成する削部が設けられるとともに、周囲側面が面取りされた導光板と、前記基板上に実装されるとともに前記導光板の周囲側面に対向する位置に配置され、前記導光板を照らす発光手段と、前記導光板の上面に対向する位置に配置されるとともに前記筐体の表面に対し面一に配置され、前記筐体と同色の透光性表面板と、前記タッチセンサにより操作者のタッチ操作を検出した検出結果に従って、前記発光手段の発光を制御する制御手段と、電圧印加点と接地点との間に直列に接続された2つの前記発光手段と、前記電圧印加点と前記接地点との間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段から電力の供給を受けて動作するとともに、第1の前記発光手段と第2の前記発光手段との中点に出力端子が接続された制御素子と、を備え、前記制御手段は、前記制御素子の入力端子と接続され、前記入力端子を介して前記制御素子を制御し、前記電圧印加手段は、一つの前記発光手段であれば発光させることができる単発光電位の電圧を印加し、前記制御素子は、前記制御手段による制御により、前記中点の電位を、前記単発光電位、接地電位、及び、前記各発光手段の間の中間電位に切り替え、前記発光手段で前記導光板を照らすと前記削部で光が乱反射し、前記透光性表面板上に発光した前記模様が表示されることを特徴とする。
【0009】
このようにすると、発光手段で導光板を照らしたとき、面取りされた周囲側面で発光手段から照射された光が散乱しながら導光板内に取り込まれて導光板全体に拡散し、その拡散した光が、導光板の内部で導光板の周囲側面に当たって反射及び散乱を繰り替えすため、導光板に設けられた削部に光が均等に当たる。
【0010】
従って、本発明のスイッチを用いると、スイッチに対応する模様を均一に光らせることができる。
また、請求項1に記載のスイッチのように制御すると、制御素子一つだけで2つの発光手段の発光を制御することができるので、制御手段の構成を簡単にすることができ、また、スイッチの小型化を図ることができる。
尚、削部を設ける場所はどこでも良いが、例えば、導光板の底面を削って設けても良いし、レーザー光を用いて導光板の内部に設けても良い。
【0011】
また、導光板の側面の面取りの方法はどのような方法でもよいが、例えば、請求項2に記載したように、導光板を上から見たとき(透光性表面板を通してみたとき)、導光板の底面の縁部が導光板の上面の縁部の内側に配置され、かつ、同心状に配置される形状に直線状に斜めに面取りしてもよい。
【0012】
このようにすると、発光手段で導光板を照らした場合、模様だけでなく面取りがされた部分が四角の枠状に光り、いわゆるアイコンのように、スイッチとして機能する場所を正確に表示することができる。
【0013】
次に、請求項3に記載したように、請求項1,2のいずれか1項に記載のスイッチであって、透光性表面板の裏面には、導光板と対向する部分を除く部分を覆うシートが積層されていることが好ましい。
【0014】
このようにすると、発光手段の光りが透光性表面板を通じて直接外部に漏れないので、発光手段を点灯したとき、発光手段からの直接光に邪魔されることなく、透光性表面板上に模様をはっきり表示することができる。
【0015】
次に、請求項4に記載したように、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスイッチであって、タッチセンサを、透光性表面板に触れていない距離であって、タッチセンサから予め定められた位置に操作者の手がかざされた第1検出、及び、透光性表面板へのタッチ操作を検出する第2検出が可能なセンサとして構成し、制御手段には、タッチセンサにより第1検出がなされると、発光手段に第1の発光を行わせ、第2検出がなされると第2の発光を行わせるようにしてもよい。
【0016】
このようにすると、スイッチに手を近づけるまでは、透光性表面板が周りの筐体の色と同じ色で着色され、かつ筐体の表面と面一に構成されているので筐体上で目立たないが、スイッチに手を近づけると第1の発光がなされるのでスイッチの位置を操作者にわかりやすく表示することができ、さらにタッチ操作が行われると第2の発光がなされるのでスイッチが操作されたことを操作者にわかりやすく表示することができる。
【0017】
尚、第1の発光と第2の発光は、発光の違いが分かればよく、例えば、請求項5に記載したスイッチのように、異なる色に発光する複数の発光手段を備え、制御手段により検出結果に従って、異なる色の発光手段が発光するよう制御するようにしてもよい。
【0018】
また、色だけでなく、明るさを変えても良いし、点灯方法(点滅、継続点灯、輝度の強さなど)を変えても良いし、いずれかを組み合わせて変えてもよいことはもちろんである。
【0019】
次に、請求項6に記載したように、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスイッチは、タッチセンサが、操作者の操作を検出しなくなってから一定時間経過すると発光手段の発光を停止するようにしてもよい。省エネ対策として、このような制御を行うとよい。
【0022】
尚、上述したスイッチは、請求項7に記載したように鍵盤楽器に用いるとよく、特に、これらスイッチが複数集まったタッチパネル部分のスイッチとして用いるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の鍵盤楽器の正面図である。
図2】本実施形態の拍子木の平面図である。
図3】本実施形態のスイッチの説明図で、(a)は拍子木の平面図であって、図2の符号αで囲まれた部分を拡大した拡大図であり、スイッチを構成する導光版及びLEDを透過図で示したものであり、(b)は(a)のβ−β’断面図である。
図4】本実施形態の各スイッチの発光を制御する発光制御回路の回路図である。
図5】本実施形態の制御装置で実行される発光制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
尚、本実施形態の鍵盤楽器は、演奏者側を前方とするものであるので、以下では、演奏者側を前方または正面として説明する。
[全体構造]
本実施形態の鍵盤楽器1は、図1に示すように、88本の鍵を有する鍵盤2を備える電子ピアノであり、鍵盤2の左方に配置される拍子木3は、この鍵盤楽器1を操作するための操作パネルとして用いられている。
【0025】
この拍子木3は複数のスイッチを備えており、これら各スイッチは、表面が拍子木3の表面と同じ色に着色され、かつ拍子木3と面一に構成されている。そのため、本実施形態の鍵盤楽器1では、通常時、各スイッチが拍子木3のいずれの場所にあるのか分からない。
[スイッチの構造]
次に、拍子木3に備えられた各スイッチについて説明する。
【0026】
本実施形態の拍子木3に備えられた各スイッチ30は、図2に示すように、操作をすると、A〜I、I〜III、1〜3、〒、※、〆をそれぞれの数字や記号などの模様と、それを
囲う枠が光るようにされている。
【0027】
また、拍子木3の裏面側には、各スイッチ30の操作により、操作パネルとしての拍子木3を制御する制御装置7を備えている。
次に、スイッチ30の構造を説明する。
【0028】
スイッチ30は、図3に示すように、基板31と、この基板31上に実装され、操作者のタッチ操作を検出するタッチセンサ32と、このタッチセンタ32上に積層された導光
板33とを備えている。
【0029】
また、スイッチ30は、基板31上に実装されるとともに導光板33の左右の周囲側面に対向する位置にそれぞれ配置されるLED34a、34bと、導光板33の上面に対向する位置に配置されるとともに拍子木3の表面に対し面一に配置され、拍子木3と同色のスモークアクリル35とを備えている。
【0030】
さらに、スイッチ30は、導光板33の上面に対向する部分を除く、スモークアクリル35と拍子木3の表面を形成する部分の裏面には、LED34a、34bから発される光を遮光するシート36が積層されている。このシート36によりLED34a、34bから発される光が、スモークアクリル35を介して直接外部に出光することが防止される。
【0031】
このように構成されたスイッチ30のうち、導光板33の周囲側面33aは、図3(a)に示すように、導光板33の底面の縁部33bが導光板33の上面の縁部33cの内側に配置され、かつ、同心状に配置される形状に直線状に斜めに面取りされている。また、導光板33の裏面には、各スイッチに割り当てられた模様(図3(a)では「A」)を象って削られた削部33dが形成されている。
【0032】
また、LED34aとLED34bは、点灯すると、それぞれ黄色と赤色の光を発光するものが用いられている。
また、タッチセンサ32は、操作者がスモークアクリル35に触れていない距離であって、このタッチセンサ32から予め定められた位置(本実施形態では拍子木3の表面から2cm上方)に操作者の手がかざされたたことと(以下「第1検出」という)、操作者がスモークアクリル35にタッチし、その触れた圧力が導光板33を介して伝達されたことと(以下「第2検出」という)を検出可能なセンサが用いられている(アトメル社製、製品名「QTouch」)。
【0033】
このように構成されたスイッチ30において、タッチセンサ32で第1検出又は第2検出がなされて、LED34a、34bのいずれかが点灯すると、面取りされた導光板33の周囲側面でLED34a又はLED34bから照射された光が散乱しながら導光板33内に取り込まれて導光板33全体に拡散し、その拡散した光が、導光板33の内部で導光板33の周囲側面33aに当たって反射及び散乱を繰り替えすため、導光板33に設けられた削部33dに光が均等に当たって、その光りが削部33dで乱反射する。
【0034】
そのため、本実施形態ではLED34a又はLED34bを点灯させると、削部33dが設けられた部分をその周囲よりも明るく照らすことができ、また、スイッチ30に対応する模様(図3では「A」)を均一に光らせることができる。
【0035】
また、本実施形態のように導光板33の周囲側面を面取りするとLED34a又はLED34bで導光板33を照らした場合、いわゆるアイコンのように、スイッチとして機能する場所を正確に表示することができる。
[発光制御回路]
次に、上記スイッチ30で用いられる発光制御回路について説明する。
【0036】
尚、以下の説明では、一つのスイッチ30に対するものについて説明する。ただし、制御装置7は、図2に示すように、1つ備えられている。
この発光制御回路5は、図4に示すように、鍵盤楽器1の外部から電源から受けた電力を、AC−DC変換して所定の電圧に降圧する電力変換装置50(本発明の「電圧印加手段」に相当する)を備えている。
【0037】
尚、以下、この電力変換装置50から電力の供給を受ける点を電圧印加点、またアースに接続される側を接地点と呼ぶ。
この発光制御回路5は、図4に示すように、スイッチ30毎に、前述した2つのLED34a、34bと調整抵抗51a、51bを備えており、これらは、電圧印加点側から調整抵抗51a、LED34a、LED34b、調整抵抗51bの順に直列に接続され接地点に接続されている。
【0038】
また、この発光制御回路5は、電力変換装置50から電力の供給を受けて動作するスリーステートバッファ52を備えている。
このスリーステートバッファ52は、LED34aとLED34bとの中点に出力端子が接続され、第1入力端子が制御装置7に接続されている。また、イネーブル信号を受ける第2入力端子が制御装置7に接続されている。
【0039】
このスリーステートバッファ52は、第1入力端子を介して制御装置7の制御を受け、出力端子の電位を、電圧印加点と同電位、又は接地電位に調整することができる。また、第2入力端子を介して制御装置7の制御を受け、出力端子をハイインピーダンスの状態に調整することができる。
【0040】
出力端子をハイインピーダンスの状態にすると、スリーステートバッファ52の出力端子の電位を、電圧印加点と接地点との間の電圧を直列に接続した2つのLED34a、34b及び調整抵抗51a、51bでそれぞれ降圧したときのLED34aとLED34bとの中間の中間電位とすることができる。
【0041】
そして、本実施形態の発光制御回路5は、前述した電力変換装置50が、上述したように接続されたLED34a又はLED34bのいずれか一つしか発光させることができない電圧の電力を供給するように構成されているので、制御装置7によりスリーステートバッファ52を制御し、スリーステートバッファ52の出力端子を接地電位にすることによりLED34aのみを発光させ、スリーステートバッファ52の出力端子を電圧印加点と同電位にすることによりLED34bのみを発光させ、スリーステートバッファ52の出力端子をハイインピーダンスにすることにより、いずれのLED34a、34bも点灯しないよう制御することができる。
[発光制御]
次に、制御装置7で行われる発光制御について説明する。
【0042】
この発光制御は、本実施形態の鍵盤楽器1の図示しない電源スイッチがオンされると開始され、その電源スイッチがオフされるまで繰り返し実行される。
この発光制御が開始されると、図5に示すように、S10において、拍子木3上に操作者の手がかざされたか否かが判定される。
【0043】
この判定(S10)は、拍子木3の上方約2cmのところに操作者の手がかざされると、いずれかのスイッチ30のタッチセンサ32から制御装置7にその旨を示す第1信号が送られてくるので、いずれかのタッチセンサ32から第1信号が制御装置7に入力されるか否かによって判定される。
【0044】
この判定(S10)で、拍子木3上に操作者の手がかざされたと判定されていない場合は(S10:NO)待機する処理が実行され、手がかざされたと判定されると(S10:YES)、S11において、LED34aを点灯する処理が実行される。
【0045】
このS11は、具体的には、制御装置7がスリーステートバッファ52の入力端子に、その出力端子の電位を接地電位にするよう指示する信号を出力する処理が行われる。この
処理が行われると、本実施形態では、電圧印加点にはいずれかのLED34a、34bを点灯することができる電圧しか印加されていないが、出力端子側の電位が接地電位になるので、LED34aに印加される電圧が点灯可能な電圧となり、スイッチ30が黄色の光りで点灯する。尚、このS11では、全てのスイッチ30のLED34aを点灯する作業が実行される。
【0046】
次に、S12の処理が実行される。このS12では、いずれかのスイッチ30のスモークアクリル35に操作者の指が触れたか否かが判定される。
この判定(S12)は、操作者の指がいずれかのスイッチ30のスモークアクリル35に触れると、その触れられたスイッチ30のタッチセンサ32から制御装置7にその旨を示す第2信号が送られてくるので、いずれかのタッチセンサ32から第2信号が制御装置7に入力されるか否かによって判定される。
【0047】
この判定(S12)で、いずれのスイッチ30のスモークアクリル35にも操作者の指が触れていないと判定されていない場合は(S12:NO)、後述するS16が実行され、いずれかのスイッチ30に指が触れたと判定されると(S12:YES)、S13において、タッチされたスイッチ30に対応するLED34bを点灯する処理が実行される。
【0048】
このS13は、具体的には、制御装置7が、スモークアクリル35に指が触れたことを示す第2信号を送ってきたスイッチ30のスリーステートバッファ52の入力端子に、その出力端子の電位を電圧印加点と同電位にするよう指示する信号を出力する処理が行われる。
【0049】
このような処理が行われると、本実施形態では、タッチされたスイッチ30のLED34aの入出力端子間には電位差が生じないので消灯し、一方、LED34bには、出力端子側の電位が電圧印加点と同電位になるので、LED34bに印加される電圧が点灯可能な電圧となり、タッチ操作されたスイッチ30が赤色の光りで点灯する。
【0050】
このS13によりLED34bが点灯されると、次にS14の処理が実行され、LED34bの点灯が開始されてから第1の一定時間(本実施形態では0.5秒)が経過したか否かが判定される。
【0051】
この判定(S14)により、第1の一定時間が経過していないと判定された場合は、LED34bの点灯を継続するようS13以下の処理が繰り返される。
一方、この判定(S14)により、第1の一定時間が経過したと判定された場合は、LED34bを消灯し、このLED34bを点灯していたスイッチ30に対応するLED34aを点灯する処理が実行され(S15)、その後、再びS12の処理が実行される。
【0052】
次に、S12において、いずれのスイッチ30のスモークアクリル35にも操作者の指が触れていないと判定されていない場合は(S12:NO)、S16の処理が実行されるが、このS16では、いずれかのスイッチ30の操作が最後になされたとき、あるいはスイッチ30の操作がなされずにS11によりLED34aが点灯されてから、第2の一定時間が経過したか否かが判定される。
【0053】
この判定(S16)において、第2の一定時間が経過したと判定されると、LED34aを消灯する処理が実行される(S17)。
このS17では、具体的には、制御装置7がスリーステートバッファ52にイネーブル信号を出力してスリーステートバッファ52の出力端子をハイインピーダンスにする処理が実行される。
【0054】
このようにすると、スリーステートバッファ52の出力端子の電位は、LED34aとLED34bとの間の中間電位になるので、LED34bを点灯することなく、LED34aを消灯することができる。
【0055】
そして、このS17の処理が終了すると、再びS10以下の処理が繰り返し実行される。
[本実施形態の特徴的な作用効果]
以上説明した鍵盤楽器1においては、拍子木3に手をかざすと、この拍子木3に組み込まれたスイッチ30の全てのLED34aが点灯して、各スイッチ30の位置が明示される。
【0056】
また、このとき各スイッチ30は黄色に点灯するとともに、各スイッチ30に割り当てられた入力文字を示す模様と、その模様を囲む枠が拍子木3上に浮かぶように表示される。
【0057】
そして、いずれかのスイッチ30にタッチすると、そのスイッチ30の模様や枠の発光色が赤に変化する。そのため、いずれのスイッチ30が操作されたかが一目で分かる。
また、拍子木3に手をかざす又はスイッチ30を最後に操作してから一定時間経過すると、LED34a,34bは消灯され、しかも、各スイッチ30を構成するスモークアクリル35は拍子木3の表面色と同じ色に着色されているので、スイッチ30が拍子木3上で目立たなくなり、鍵盤楽器全体としての美しさを保つことができる。
【0058】
また、本実施形態の鍵盤楽器1は、各スイッチ30が点灯するとき、各スイッチ30の模様が均等の明るさで光るので、スイッチ30を美しく表示することができる。
また、本実施形態では、スイッチ30の模様が表示されるとき、これを囲う枠が表示され、その枠が、各スイッチ30が反応する場所を示しているので、操作者はその枠を目印に各スイッチ30を確実に操作することができる。
(対応関係等)
特許請求の範囲に記載された発光手段は、本実施形態のLED34a,34bに相当し、以下同様に、投光正表面板はスモークアクリル35に相当し、制御手段は制御装置7に相当し、制御素子はスリーステートバッファ52に相当し、電圧印加手段は電圧変換装置7に相当する。
【0059】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1… 鍵盤楽器 2… 鍵盤 3… 拍子木 5… 発光制御回路 7… 制御装置
30… スイッチ 31… 基板 32… タッチセンサ 33… 導光板
33a… 周囲側面 33b… 縁部 33c… 縁部 33d… 削部
34a、34b…LED 35… スモークアクリル 36… シート
50… 電力変換装置 51a、51b… 調整抵抗 52… スリーステートバッファ
図1
図2
図3
図4
図5