特許第6046853号(P6046853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6046853-食材調理用溝切りカッター 図000002
  • 特許6046853-食材調理用溝切りカッター 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6046853
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】食材調理用溝切りカッター
(51)【国際特許分類】
   A47J 17/02 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A47J17/02
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-142799(P2016-142799)
(22)【出願日】2016年7月1日
【審査請求日】2016年8月5日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510033169
【氏名又は名称】遣水 範子
(72)【発明者】
【氏名】遣水 範子
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−314316(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3066807(JP,U)
【文献】 特開平11−113763(JP,A)
【文献】 特表平10−506828(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3028110(JP,U)
【文献】 特許第5891338(JP,B1)
【文献】 特開2008−132291(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3105520(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0085249(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第2164839(GB,A)
【文献】 仏国特許発明第2326169(FR,A)
【文献】 米国特許第3328877(US,A)
【文献】 米国特許第3956825(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手の先に溝切り刃を設けたピーラー型カッターであって、
取っ手の把持部から先が二股に分かれた刃体取付け枠部を成し、
刃体取付け枠部の左右先端部に橋渡しされた形で、円弧状に膨らむ枠、即ち深切り防止ガードが設けてあり、
取っ手側から見て、深切り防止ガードの円弧内側面に膨らんだ側を上として、その下、即ち深切り防止ガードの円弧内側面に対面し、中央部において鋭く略V谷を成し、
谷の左右が刃体取付け枠部先端へ伸びて、刃先を把持部側方向へ向けた溝切り刃が、刃体取付け枠部先端において、深切り防止ガードと共に固定されている事を特徴とする食材調理用溝切りカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大根やレンコン等の食材の表面に、略V字型の溝を刻んで、飾り花形食材を調理するための調理用カッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、大根やレンコン等を輪切りして、飾り切り花形食材を作る時に、抜型や包丁を用いる方法が一般的であった。
皮むきピーラーの刃の位置に、花弁の輪郭片を模った刃型を設けた野菜の形引き具も知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実用新案登録第3066807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(イ) 従来の抜型は、具材を同じ大きさの花形に揃える際には便利だが、大小様々な花形を作りたい時は、抜型をいくつも用意する必要があった。
(ロ) 抜型は食材を潜り通さねばならないので、抜型より細い具材には不都合であり、抜型より長い具材は予め短くカットしておく必要があった。
(ハ) 食材が太すぎる場合には、抜き取った後の切れ端が多く残ってしまった。また、特許文献1に示される先行技術の場合、刃形の固定した花弁形を、食材の様相に関係なく必ず全部喰い込ませ、そっくり削り取らない限り、輪切りした時の花弁形が作れない。それによる切れ端の量は、大変な無駄になってしまうことになる。
(ニ) レンコンのように内腔を持つ食材には不都合であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
取っ手の先に溝切り刃を設けたピーラー型カッターであって、取っ手の把持部から先がクワガタの角バサミの様に二股に分かれた刃体取付け枠部を成し、刃体取付け枠部の左右先端部に橋渡しされて円弧状に膨らむ枠、即ち深切り防止ガードを備え、取っ手側から見て、深切り防止ガードの円弧状に膨らんだ側を上として、その下、即ち深切り防止ガードの円弧内側面に対面し、中央部において鋭く略V谷を成し、谷の左右が刃体取付け枠部先端へ伸びて、刃先を把持部側方向へ向けた溝切り刃が、刃体取付け枠部先端において、深切り防止ガードと共に固定されている。
以上を特徴とする食材調理用溝切りカッターである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、抜型の様に刃型通りの固定的な型抜きをする従来のものと違い、溝切り型のカッターなので、対象食材の太細・長短に左右されず、対象に応じて多くあるいは少なく・深くあるいは浅く、溝を刻むことによって、結果として輪切り面が花弁状に調理されることができる。深切り防止ガードが備わっているので、深堀り刻みしてはまずい食材も、安心して使うことができる。略V字状の溝を刻むだけなので、対象食材の体表面を最大限そのまま無傷で残しつつ・輪切り時に結果として花弁模様形になればいいことなので、切れ端も少なく・大いに無駄を省ける。花弁片の大きさも同一の刃で多様な花形を演出できる。対象食材の大小によって幾種類もの刃を用意する必要もない。レンコンのような内腔のある食材でも、隣接し合う内腔相互の間を縫って刻んでいけるので、料理の飾りつけにもこれまでにない楽しさ・華やかさを演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 本発明の斜視図
図2】 本発明において刃体側から見た正面図
図3】 本発明を大根の調理に使用している場合を示すイメージ斜視図
図4】 本発明を内腔型食材のレンコンの調理に使用している場合を示すイメージ斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
取っ手(1)の先に溝切り刃(5)を設けたピーラー型カッターであって、取っ手(1)の把持部(2)から先がクワガタの角バサミの様に二股に分かれた刃体取付け枠部(3)を成し、刃体取付け枠部(3)の左右先端部に橋渡しされて円弧状に膨らむ枠、即ち深切り防止ガード(4)を備え、取っ手(1)側から見て、深切り防止ガード(4)の円弧状に膨らんだ側を上として、その下、即ち深切り防止ガード(4)の円弧内側面に対面し、中央部において鋭く略V谷を成して、谷の左右が刃体取付け枠部(3)先端へ真っ直ぐ・又は深切り防止ガード(4)側へ円弧状に膨らむ形で伸び、把持部(2)側方向へ刃先を向けた溝切り刃(5)が、刃体取付け枠部(3)先端において、深切り防止ガード(4)と共に固定されている。
本発明は、以上の様な構造であり、これを実際に使用する時は、一方の手に食材を持ち、他方の手で溝切りカッターの把持部(2)を握り、溝切り刃(5)を食材の体表面に当てがい、押し当てる強さ加減で切溝の深さを調整しながら手前に引いて刻み切っていく。切取られた食材の切れ端(9)は溝切り刃(5)の略V谷と深切り防止ガード(4)によってできた枠空間をくぐってその場に居残るが、切り終わった条から隣の条に切り作業を移るべく食材を少し回すと、切れ端(9)は自ずとこぼれ落ちて除去されていく。
図3で示される様に食材の大根(7)の体表面に刻まれる切溝条(10)の数によって花弁の数が決まる。一つ一つの花弁片を大きくしたければ切り溝条(10)間の間隔を広くすればよく、切溝の深さに関係なく、大根(7)の体表面を無傷で残した部分があっても、大根(7)それ自体の円み形状がそのまま花弁片の輪郭を成すので、輪切りすれば飾り切り花形具材(6)がきれいに出来上がる。特許文献1の形引き具の様に、花弁形の刃を必ず全部喰い込ませてそっくり削り取るという大いなる無駄もなくなり、食材を大事に使うことができる。
図4で示される様に、レンコン(8)の様な内腔食材を使う場合は、各内腔の大きさ・数・相互の間隔が全てまちまちであるので、刃体の固定的な花弁形を刻み付けることは土台無理な話であるが、本発明は、内腔間の間隔スペースの一つ一つに符合させて略V谷状の切り溝条(10)を刻むのであり、深く掘り刻み過ぎない様に深切り防止ガード(4)が備わっているので、内腔を傷つけることなくきれいに保存したままで花弁形を形成できる。
食材の種類や大きさに対応する別々の何種類ものカッターを用意する必要もなく、これ一つで間に合わせることができる。
【符号の説明】
【0009】
1 取っ手, 2 把持部, 3 刃体取付け枠部,
4 深切り防止ガード, 5 溝切り刃, 6 飾り切り花形具材,
7 大根, 8 レンコン, 9 切れ端, 10 切り溝条
【要約】
【課題】 大根やレンコン等食材の花形飾り切りに際し、刻む花弁数を調整でき、レンコンの様な内腔を持つ食材でもきれいに刻むことのできる溝切りカッターを提供する。
【解決手段】 ピーラー型取っ手の先端二股状の刃体取付け枠部に、左右橋渡しの形で、中央に鋭く略V谷状を成して・その両脇が刃体取付け枠部の先端まで伸びて・取っ手把持部方向に向いた刃先を有する溝切り刃が設けてあり、溝切り刃の上に円弧状の内側に向けて柔らかく膨らんで被さる様に深切り防止ガードが設けられていることを特徴とする食材調理用溝切りカッター。
図1
図2
図3
図4