特許第6046859号(P6046859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046859
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】逆入力遮断クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/06 20060101AFI20161212BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20161212BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20161212BHJP
   F16D 67/02 20060101ALI20161212BHJP
   F16D 127/10 20120101ALN20161212BHJP
【FI】
   F16D41/06 Z
   F16D63/00 R
   F16D65/16
   F16D67/02 A
   F16D67/02 K
   F16D127:10
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-506446(P2016-506446)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】JP2015055596
(87)【国際公開番号】WO2015133359
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-41845(P2014-41845)
(32)【優先日】2014年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】オリジン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊一
(72)【発明者】
【氏名】森本 勇
(72)【発明者】
【氏名】井内 晴日
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−032634(JP,A)
【文献】 特開2008−283754(JP,A)
【文献】 実開昭57−190923(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/06
F16D 63/00
F16D 65/16
F16D 67/02
F16D 127/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転力が入力される入力軸と、回転力を出力する出力軸と、前記入力軸に回転力が与えられると前記出力軸の回転を許可し前記出力軸に回転力が与えられると前記入力軸の回転を阻止する伝達機構部と、前記伝達機構部を収納した外輪とを備えた逆入力遮断クラッチであって、
前記入力軸と前記出力軸には対向する平面部がそれぞれ形成され、前記平面部は、グリース等の油分とともに前記外輪に収納されており、さらに、
一方の前記平面部には、前記入力軸又は前記出力軸の中心軸の周りに全周に亘って連続する突起部が形成され、前記突起部は、その先端が他方の前記平面部に当接していることを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
【請求項2】
前記突起部は、断面が円弧状である請求項1に記載の逆入力遮断クラッチ
【請求項3】
前記突起部は、断面が台形状である請求項1に記載の逆入力遮断クラッチ
【請求項4】
前記伝達機構部は、前記出力軸に設けられた出力係合部により押し上げられる転動部材を有しており、
前記出力軸に回転力が与えられたときは、前記転動部材が前記出力係合部と前記外輪との間に食い込んで前記入力軸の回転を阻止する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の逆入力遮断クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力側からの双方向の回転力は出力側に伝達されるが、出力側からの回転力は入力側に伝達されない逆入力遮断クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
逆入力遮断クラッチは、入力側からの双方向の駆動力は出力側に伝達するが、出力側からの回転力は入力側への伝達を阻止するものである(例えば、特許文献1参照)。図3は、従来の逆入力遮断クラッチ11の一例を示す説明図であり、図3(a)は構成図、図3(b)は入力軸12の斜視図、図3(c)は出力軸13の斜視図である。図3(a)では上半分を断面図で示している。
【0003】
逆入力遮断クラッチ11は、入力軸12に入力される正転方向及び逆転方向の双方向の回転力を出力軸13に伝達するものであり、入力軸12からの双方向の回転力は出力軸13に伝達するが、出力軸13からの回転力は入力軸12に伝達しない。外輪14には、この機能を達成するための伝達機構部が収納され、外輪14の入力軸12には蓋部15が設けられ、外輪14の出力軸13側には側壁部16が形成されている。伝達機構部は、入力軸12に係合する入力部材12Aと、出力軸13に設けられた出力部材13Aと、外輪14の内面と当接する転動部材17とを有する。
【0004】
入力軸12は、図3(b)に示すように、入力部材12Aに結合し、この入力部材12Aには複数の入力係合部12Bが設けられている。出力軸13は、図3(c)に示すように、出力部材13Aを有し、この出力部材13Aには複数の出力係合部13Bが設けられている。入力軸12と出力軸13とは、複数の入力係合部12Bと複数の出力係合部13Bとが互い違いに嵌合し、入力部材12Aの平面部と出力部材13Aの平面部とがフラット面接触状態で当接する。以下の説明では、入力部材12Aの平面部と出力部材13Aの平面部との当接部を、入力軸12と出力軸13との当接部ということにする。
【0005】
図4は、従来の逆入力遮断クラッチ11の動作説明図である。図4(a)は入力軸12にも出力軸13にも回転力が加わっていない静止状態のときの転動部材17、入力係合部12B、出力係合部13Bの位置関係の説明図、図4(b)は出力軸13に反時計方向の回転力が加わった状態のときの転動部材17、入力係合部12B、出力係合部13Bの位置関係の説明図、図4(c)は入力軸12に反時計方向の回転力が加わった状態のときの転動部材17、入力係合部12B、出力係合部13Bの位置関係の説明図である。
【0006】
図4(a)に示すように、入力軸12にも出力軸13にも回転力が加わっていない静止状態のときは、転動部材17は出力係合部13Bのほぼ中央に位置する。また、出力係合部13Bには転動部材17が僅かな距離を保って対面し、転動部材17は外輪14の内壁面18に僅かな間隔を保って対面している。
【0007】
いま、図4(a)の静止状態から出力軸13に反時計方向の回転力が加わったとすると、図4(b)に示すように、出力係合部13Bには左矢印方向に回転力がかかり、出力係合部13Bは左矢印方向に動く。出力係合部13Bは一定回転範囲(隣り合う入力係合部12Bの間隔)では自由かつ円滑に独立動作するので、入力係合部12Bは動作しない。従って、出力係合部13Bが左矢印方向に動くのに伴い、転動部材17は出力係合部13Bにより上方に押し上げられるようになる。これにより、出力係合部13Bと外輪14の内壁面18との間隙が狭くなり、転動部材17は出力係合部13Bと外輪14の内壁面18との間に食い込みロック状態となる。このようにして、出力軸13に加えられた回転力は阻止され、入力軸12に伝達されないようにしている。
【0008】
一方、図4(a)の静止状態から入力軸12に反時計方向の回転力が加わったとすると、図4(c)に示すように、入力係合部12Bが左矢印方向に回動して、まず、入力係合部12Bの側面が出力係合部13Bの側面または転動部材17の側面に当接する。さらに、入力係合部12Bが左矢印方向に回動すると、入力係合部12Bの側面は、出力係合部13B及び転動部材17の側面の双方に当接し、入力係合部12Bは、転動部材17を出力係合部13Bと外輪14の内壁面18との間に食い込ませることなく、出力係合部13B及び転動部材17を、左矢印方向に押し出す。つまり、入力軸12が反時計方向に回転すれば、出力軸13は入力軸12と一緒に回転し、入力軸12に加わる回転力は出力軸13に伝達される。入力軸12が時計方向に回転する場合にも、方向が異なるだけであり、入力係合部12Bは出力係合部13B及び転動部材17に当接し、同様に、出力軸13は入力軸12と一緒に回転し、入力軸12に加わる回転力は出力軸13に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−32634公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、逆入力遮断クラッチの動作の繰り返しにより、出力軸13に加えられた回転力が阻止されない場合があることが判明した。これは、グリース等の油分と摩擦粉で形成した粘着物質が発生し、入力係合部12Bと出力係合部13Bとが当接した状態で入力軸12と出力軸13との当接部が粘着して一体化されたときに発生する。特に、入力軸12と出力軸13との当接部はフラット面接触状態となっていることから、小型の逆入力遮断クラッチの場合には、その粘着物質によって入力軸12と出力軸13との当接部が粘着して一体化され易い。もし、入力軸12と出力軸13との当接部が入力係合部12Bと出力係合部13Bとが当接した状態で一体化すると、出力軸13に加えられた回転力を阻止できない。
【0011】
図5は、入力軸12と出力軸13との当接部が一体化し出力軸13の回転力を阻止できない場合の動作説明図であり、図5(a)は入力係合部12Bと出力係合部13Bとが当接した状態で入力軸12と出力軸13との当接部が一体化している場合の転動部材17、入力係合部12B、出力係合部13Bの位置関係の説明図、図5(b)は図5(a)の状態で出力軸13に反時計方向の回転力が加わった場合の転動部材17、入力係合部12B、出力係合部13Bの位置関係の説明図である。
【0012】
いま、図5(a)に示す入力係合部12Bと出力係合部13Bとが当接した状態で入力軸12と出力軸13との当接部が一体化している場合に、出力軸13に反時計方向の回転力が加わったとすると、入力軸12と出力軸13との当接部が一体化していることから、図5(b)に示すように、入力係合部12Bが出力係合部13Bと一体して回転するので、出力係合部13Bが左矢印方向に動くのに伴い、転動部材17も左矢印方向に動き、図4(c)の場合と同様の動作となり、転動部材17は出力係合部13Bにより上方に押し上げられるようにならない。このように、入力軸12と出力軸13との当接部が一体化すると出力軸13に加えられた回転力を阻止できなくなる。
【0013】
本発明の目的は、粘着物質が発生しても入力軸と出力軸との当接部が粘着して一体化されることを防止でき、出力軸に加えられた回転力を阻止できる逆入力遮断クラッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的に鑑み、本発明は、
「回転力が入力される入力軸と、回転力を出力する出力軸と、前記入力軸に回転力が与えられると前記出力軸の回転を許可し前記出力軸に回転力が与えられると前記入力軸の回転を阻止する伝達機構部と、前記伝達機構部を収納した外輪とを備えた逆入力遮断クラッチであって、
前記入力軸と前記出力軸には対向する平面部がそれぞれ形成され、前記平面部は、グリース等の油分とともに前記外輪に収納されており、さらに、
一方の前記平面部には、前記入力軸又は前記出力軸の中心軸の周りに全周に亘って連続する突起部が形成され、前記突起部は、その先端が他方の前記平面部に当接している」
ことを特徴とする逆入力遮断クラッチとなっている。ここで、前記突起部の断面は、円弧状又は台形状とすることができる
【発明の効果】
【0015】
逆入力遮断クラッチでは、上述したように、入力軸と出力軸との当接部はフラット面接触状態となり、グリース等の油分の存在で生じる粘着物質により一体化され易いが、本発明によれば、入力軸と出力軸とが対向する平面部には、その一方の平面部に、入力軸又は出力軸の中心軸の周りに全周に亘って連続する突起部が形成されており、突起部の先端が他方の平面部に当接する。そのため、入力軸と出力軸との当接する個所の接触面積が大幅に低減され、粘着物質が発生しても入力軸と出力軸との当接部が粘着して一体化されることを防止できる。
換言すれば、平面部に形成された突起部は粘着防止部として機能し、これにより、出力軸は一定回転範囲での自由かつ円滑な独立動作が確保できるので、出力軸に加えられた回転力を確実に阻止できる。また、本発明の突起部は、中心軸の周りに全周に亘って連続して形成され、突起部の先端が全周に亘り他方の平面部に当接するので、入力軸及び出力軸が回転中に相対的な傾きを起こし作動が不安定となる事態を防止できる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る逆入力遮断クラッチの各種の例を示す説明図。
図2】本発明に対して参考例となる逆入力遮断クラッチを示す説明図。
図3】従来の逆入力遮断クラッチの一例を示す説明図。
図4】従来の逆入力遮断クラッチの動作説明図。
図5】入力軸と出力軸との当接部が一体化し出力軸の回転力を阻止できない場合の 動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、対向する平面部に、中心軸の周りに全周に亘る突起部を形成して粘着防止部とした、本発明の実施形態に係る逆入力遮断クラッチの各種の例を示す説明図であり、図1(a)は、本発明の実施形態である逆入力遮断クラッチ全体図(上半分を断面図で示す)、図1(b)、(b´)は、それぞれ、図1(a)のX1部分における突起部の一例の拡大図と斜視図、図1(c)(c´)は、それぞれ、図1(a)のX1部分の他の例の拡大図と斜視図である。
なお図1(d)(e)には、本発明の参考となる突起部の例を斜視図で示す。
【0018】
特に、図1(b)(b´)、図1(c)(c´)に示すように、本発明の実施形態に係る逆入力遮断クラッチは、図3に示した従来例に対し、入力軸12と出力軸13との当接部が粘着することを防止する粘着防止部として、中心軸の周りに全周に亘って突起部19を追加して設けたものである。図3と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0019】
逆入力遮断クラッチの伝達機構部は、前述したように、入力軸12に結合する入力部材12Aと(図1の実施形態の逆入力遮断クラッチでは、入力部材12Aには、別体の入力軸12が相対回転不能に挿入される)、出力軸13に設けられた出力部材13Aと、外輪14の内面と当接する転動部材17とを有する。そして、入力部材12Aの平面部と出力部材13Aの平面部とが対向している状態にある。この入力軸12と出力軸13との対向部は、出力軸13からの回転力を阻止するためには、前述したように一定回転範囲での自由かつ円滑な独立動作(入力軸12と出力軸13との相対的な自由回転)が必要である。
【0020】
そこで、本発明の実施形態の逆入力遮断クラッチでは、入力軸12と出力軸13との対向部が、フラット面接触状態で当接し粘着して一体化しないように、入力軸12と出力軸13との対向部に、中心軸の周りに全周に亘って突起部19を設けることとした。
【0021】
図1(b)は図1(a)のX1部分(突起部19部分)の一例の拡大図である。突起部19は、入力部材12Aと出力部材13Aとの間の接触面積を低減できるように構成された接触面積低減部であり、図1(b)に示すものでは、入力部材12Aから突出して設けられた先端部がR形状(断面が円弧状)の突起部となっている。突起部の先端部をR形状とすることによって、入力部材12Aと出力部材13Aとの間の接触は線接触となる。従って、グリース等の油分と摩擦粉で形成した粘着物質が発生したとしても、入力部材12Aと出力部材13Aとが粘着することを防止できる。従って、入力軸12と出力軸13との当接部が粘着して一体化することがなく、出力軸13の一定回転範囲での自由かつ円滑な独立動作が確保できるので、出力軸13からの回転力を阻止できる。
図1(b´)は、図1(b)に示す突起部19を設けた入力部材12Aと、対向する出力部材13A(出力軸13)の全体的な斜視図である。これから分かるように、突起部19は、入力部材12Aの対向面において、入力軸12(又は出力軸13)の中心軸の周りに全周に亘り連続的に形成されている。そのため、突起部19の先端は、全周に亘って出力部材13Aに当接しており、入力軸12と出力軸13とが回転中に相対的に傾くのを防止することができる
【0022】
図1(c)は図1(a)のX1部分(突起部19部分)の他の一例の拡大図である。図1(b)と同様に、突起部19は、入力部材12Aと出力部材13Aとの間の接触面積を低減できるように構成された接触面積低減部である点で同じであるが、図1(b)の突起部の先端部がR形状であるのに対し、図1(c)では、突起部の先端部を台形状としている。突起部の先端部を台形状とすることによって、入力部材12Aと出力部材13Aとの間の接触は面接触となるが、接触面積を低減できるので、グリース等の油分と摩擦粉で形成した粘着物質が発生したとしても、図1(b)の場合と同様に、入力部材12Aと出力部材13Aとが粘着することを防止できる。従って、入力軸12と出力軸13との当接部が粘着して一体化することがなく、出力軸13の一定回転範囲での自由かつ円滑な独立動作が確保できるので、出力軸13からの回転力を阻止できる。
図1(c´)は、図1(c)に示す粘着防止部19を設けた入力部材12Aの全体的な斜視図である。図1(c)の突起部19は、図1(b)のものと同様に、入力部材12Aの対向面において、入力軸12(又は出力軸13)の中心軸の周りに全周に亘り連続的に形成されている。
【0023】
図1(d)、図1(e)は、図1(a)のX1部分(突起部19部分)のその他の例を参考として示す図1(c´)と同様な斜視図である。図1(d)の突起部19´は、図1(c´)のものの数か所を切除して突起部を断続的に形成したもの、また、図1(e)の突起部19´は、半球状の独立した多数の突起を入力部材12Aの対向面に形成したものとなっている。図1(d)及び図1(e)の突起部19´は周方向に連続していないので、突起部を連続的に形成したものと比べると、接触面積をより効果的に低減できるとともに、発生した粘着物質が径方向に流れて排除されやすい特徴がある。
【0024】
図2は、対向する平面部に転がり体を設置して粘着防止部とした、参考例として示す逆入力遮断クラッチの説明図であり、図2(b)は図2(a)のX2部分(粘着防止部となる転がり体の部分)の拡大図である。
【0025】
図2(b)において、粘着防止部は、入力部材12A及び出力部材13Aの対向する平面部に凹部を設け、この凹部に設置した転がり体20として構成される。これにより、入力部材12Aと出力部材13Aとを直接的に接触させずに転がり体を転動させる。転がり体20としては、例えばベアリング用のボールを用いる。入力部材12Aと出力部材13Aとの間の接触は、転がり体20を介しての間接的な接触となり、転がり体20と入力部材12Aまたは出力部材13Aとの接触は点接触となるので、グリース等の油分と摩擦粉で形成した粘着物質が発生したとしても、入力部材12Aと出力部材13Aとが粘着することを防止できる。従って、入力軸12と出力軸13との当接部が粘着して一体化することがなく、出力軸13の一定回転範囲での自由かつ円滑な独立動作が確保できるので、出力軸13からの回転力を阻止できる。
【0026】
本発明の実施形態を参考例とともに説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施される(例えば、入力部材12Aの対向面に形成した突起部19を、出力部材13Aの対向面に形成する等)ことが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
11…逆入力遮断クラッチ、12…入力軸、12A…入力部材、12B…入力係合片、13…出力軸、13A…出力部材、13B…出力係合片、14…外輪、15…蓋部、16…側壁部、17…転動部材、18…内壁面、19、19´…突起部(粘着防止部)、20…転がり体(粘着防止部)
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5