特許第6046864号(P6046864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60468642つの異なるバッテリセルの2つのセル電流の差分を測定する装置を備えた、複数の電気化学的なバッテリセルを有するバッテリパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6046864
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】2つの異なるバッテリセルの2つのセル電流の差分を測定する装置を備えた、複数の電気化学的なバッテリセルを有するバッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20161212BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01M10/48 A
   H01M2/10 E
   H01M10/04 W
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-524565(P2016-524565)
(86)(22)【出願日】2014年12月30日
(86)【国際出願番号】EP2014079406
(87)【国際公開番号】WO2015104196
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2016年4月19日
(31)【優先権主張番号】102014200304.0
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ライツル、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホーレ、サーミマラ
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−113965(JP,A)
【文献】 特開2003−242956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 − 10/48
H01M 2/10
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気化学的なバッテリセルを有するバッテリパック(1)であって、2つの異なるバッテリセル(2、3)の2つのセル電流の差分を測定する装置を備え、
−第1のバッテリセル(2)は、第1の電極層と第2の電極層とからなる第1の巻回要素(4)を有し、前記第1の巻回要素(4)は、前記セル電流のうちの第1のセル電流(Iz1)により第1の磁場(6)を生じさせ、
−第2のバッテリセル(3)は、第3の電極層と第4の電極層とからなる第2の巻回要素(5)を有し、前記第2の巻回要素(5)は、前記セル電流のうちの第2のセル電流(Iz2)により第2の磁場(7)を生じさせ、
前記第1の巻回要素(4)および前記第2の巻回要素(5)は、第1のセル電流(Iz1)および第2のセル電流(Iz2)が同じ向きに方向付けられる際に前記第1の磁場(6)が前記第2の磁場(7)に反作用するように、互いに配置され、
前記バッテリパック(1)は、
−前記第1の磁場(6)と前記第2の磁場(7)とからの重畳磁場を測定するよう構成された磁場センサ(8)と、
−測定された前記重畳磁場から、前記第1のセル電流(Iz1)と前記第2のセル電流(Iz2)との差分を定めるよう構成された評価ユニットと、
をさらに備える、バッテリパック(1)。
【請求項2】
前記第1の電極層および前記第3の電極層は、前記第1の巻回要素(4)および前記第2の巻回要素(5)それぞれの内側の部分で接触されており、
前記第2の電極層および前記第4の電極層は、前記第1の巻回要素(4)および前記第2の巻回要素(5)それぞれの外側の部分で接触されており、
前記内側の部分は、前記外側の部分よりも遥かに、前記第1の巻回要素(4)および前記第2の巻回要素(5)それぞれの内部に存在することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリパック(1)。
【請求項3】
前記第1のバッテリセル(2)は、前記第2のバッテリセル(3)と並列に接続されることを特徴とする、請求項1、または2に記載のバッテリパック(1)。
【請求項4】
前記第1の巻回要素(4)の第1の仮想巻軸は、前記第2の巻回要素(5)の第2の仮想巻軸に対して平行に、かつ当該第2の仮想巻軸と隣り合って配置され、
前記第1の巻回要素(4)は、隣り合う前記配置において、前記第2の巻回要素(5)とは反対方向に巻回されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項5】
前記磁場センサ(8)は、同じ大きさの第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる際に前記第1の磁場と前記第2の磁場とが相殺される箇所に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項6】
前記第1の電極層は、第1の導電体(L1)を介して第1の電圧タップと電導的に接続され、
前記第2の電極層は、第2の導電体(L2)を介して第2の電圧タップと電導的に接続され、
前記第3の電極層は、第3の導電体(L3)を介して第3の電圧タップと電導的に接続され、
前記第4の電極層は、第4の導電体(L4)を介して第4の電圧タップと電導的に接続され、
前記第1の導電体(L1)および前記第2の導電体(L2)は、少なくとも部分的に、前記第3の導電体(L3)および前記第4の導電体(L4)に対して対称的に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項7】
前記バッテリパック(1)は、複数の第1のバッテリセル(2)および第2のバッテリセル(3)を含み、
前記第1の巻回要素(4)および前記第2の巻回要素(5)は、第1のセル電流(Iz1)および第2のセル電流(Iz2)が同じ向きに方向付けられる際に各第1の磁場(6)が各第2の磁場(7)と逆に方向付けられ、かつ、前記第1の巻回要素と前記第2の巻回要素とは磁場方向が互い違いになった状態で一列に配置されるように、互いに配置され、
前記磁場センサ(8)は、前記第1の巻回要素の第1の磁場(6)と、隣り合う前記第2の巻回要素の第2の磁場(7)とからの重畳磁場を測定するよう構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項8】
前記第1のバッテリセル(2)と前記第2のバッテリセル(3)とは、共通のバッテリセルハウジング(9)の中に配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項9】
前記第1のバッテリセル(2)と前記第2のバッテリセル(3)とは、異なるバッテリセルハウジング(9)の中に配置されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のバッテリパック(1)。
【請求項10】
前記磁場センサ(8)は、2つの隣り合うバッテリセルハウジング(9)の間に配置されることを特徴とする、請求項7に記載のバッテリパック(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なるバッテリセルの2つのセル電流の差分を測定する装置を備えた、複数の電気化学的なバッテリセルを有するバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
将来的に、例えば風力発電所および緊急電源などの定置型の適用において、さらに、例えばハイブリッド自動車または電気自動車のような車両において、例えばリチウムイオンバッテリのような新しいバッテリシステムがますます使用されるようになることが明らかである。リチウムイオンバッテリの場合、トラクション(traction)二次バッテリが関わっている。このようなバッテリシステムでは、利用可能なエネルギー含量、充電/放電効率、メモリ効果が無いこと、寿命、および信頼性に関する要求が高い。
【0003】
適切なシステム総電圧、電力、またはエネルギーに対する要求を満たすために、このようなバッテリシステムでは、バッテリセルが直列または並列に接続される。バッテリ全体は、パッテリパックと呼ばれる。バッテリ全体は、例えば、バッテリセル、バッテリモジュール、下位ユニット、冷却システム、脱ガスシステム、センサ、ならびに、例えばセル監視回路(CSC:Cell Supervision Circuit)、バッテリ制御ユニット(BCU:Battery Control Unit)、バッテリ切断ユニット(BDU:Battery Disconnect Unit)、電流遮断ユニット(CID:Current Interrupt Device)、およびバッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)等の、電子制御装置に分けられる。
【0004】
エンドユーザによる適用のためには、主に、円筒形状のリチウムイオンバッテリセルが期待されている。高出力のトラクション二次バッテリのためには、アルミニウムまたはステンレス鋼からなる金属製のハウジングの中に入った、好適に角柱形状のリチウムイオンバッテリセルが利用される。その際に、1つのセルハウジングの中に並列接続された2つのゼリーロール(Jelly−Roll)が設けられる実現も得られる。ゼリーロールは、アノード層とカソード層とからなる巻回要素である。
【0005】
ゼリーロールが並列接続されているバッテリが、欧州特許第2325932号明細書に開示されている。ここでは、ゼリーロールは、互いに逆方向に巻回された状態でセルハウジングに組み込まれている。このように巻回方向を互いに逆にすることによって、電磁放射線が低減される。上記明細書で記載される原則は、トラクション二次バッテリの場合でも公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リチウムイオンバッテリを効率良く制御し、監視するためには、このような2つのゼリーロールの電流の管理が必要である。全てのセルへの均等な負荷を可能とするためまたは個別セルへの過負荷を防止するためには、特に、2つの異なるゼリーロールの2つのセル電流の差分を把握することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の電気化学的なバッテリセルを有する本発明に係るバッテリパックは、2つの異なるバッテリセルの2つのセル電流の差分を測定する装置を備え、第1のバッテリセルは、第1の電極層と第2の電極層とからなる第1の巻回要素を有し、第1の巻回要素は、セル電流のうちの第1のセル電流により第1の磁場を生じさせ、第2のバッテリセルは、第3の電極層と第4の電極層とからなる第2の巻回要素を有し、第2の巻回要素は、セル電流のうちの第2のセル電流により第2の磁場を生じさせ、第1の巻回要素と第2の巻回要素とは、第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる際に第1の磁場が第2の磁場に反作用するように、互いに配置され、バッテリパックは、第1の磁場と第2の磁場とからの重畳磁場を測定するよう構成された磁場センサと、測定された重畳磁場から、第1のセル電流と第2のセル電流との差分を定めるよう構成された評価ユニットと、をさらに備える。第1のセル電流が第1のバッテリセルの充電電流であり、かつ、第2のセル電流が第2のバッテリセルの充電電流である場合、または、第1のセル電流が第1のバッテリセルの放電電流であり、かつ、第2のセル電流が第2のバッテリセルの放電電流である場合には、第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる。差分電流を検出するために、セル電流を案内する構成要素を直接電気的に接触させる必要がないため、このようなバッテリパックは有利である。したがって、測定損失が最小に抑えられ、接触のためのコストが回避される。特に、セル電流および/または電圧が大きい際に、セル電流の差分を測定する装置を、コストを掛けて絶縁させる必要がない。
【0008】
従属請求項によって、本発明の好適な発展形態が示される。
【0009】
特に、第1の電極層および第3の電極層は、各巻回要素の内側の部分で接触されており、第2の電極層および第4の電極層は、各巻回要素の外側の部分で接触されており、上記内側の部分は、上記外側の部分よりも遥かに、各巻回要素の内部に存在する。これにより、セル電流が少なくともほぼ完全に巻回要素の巻線(Wicklung)を通って流れ、したがって強い第1の磁場および第2の磁場が生成されることが保証される。強い磁場は、低コストで、すなわち安価な磁場センサによって検出可能であり、このようにして得られた測定結果は、漂遊磁界による誤りがより少ない。
【0010】
第1のバッテリセルが、第2のバッテリセルと並列に接続される場合には有利である。2つのバッテリセルがこのように接続される際には、並列接続されたバッテリセルに対して負荷が均等に掛かるため、発生した差分電流を介して、バッテリセルの健康状態または劣化状態または様々な充電状態も比較することが可能である。
【0011】
さらに、第1の巻回要素の第1の仮想巻軸は、第2の巻回要素の第2の仮想巻軸に対して平行に、かつ当該第2の仮想巻軸と隣り合って配置され、第1の巻回要素は、本配置において、第2の巻回要素とは反対方向に巻回される場合には有利である。このような実施形態における対称的な電流の流れによって、このようなバッテリパックに起因する電磁的な干渉は特に小さい。
【0012】
磁場センサが、同じ大きさの第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる際に第1の磁場と第2の磁場とが相殺される箇所に配置される場合には有利である。したがって、特に簡単な手段によって、セル電流のうちの第1のセル電流と第2のセル電流との間の不均衡、すなわち差分が生じているかを検出することが可能である。この場合、重畳磁場が0(ゼロ)と等しくない磁場強度を有する場合には常に差分が生じる。この場合、評価装置の校正を行わなくてもよい。
【0013】
さらに、第1の電極層は、第1の導電体を介して第1の電圧タップと電導的に接続され、第2の電極層は、第2の導電体を介して第2の電圧タップと電導的に接続され、第3の電極層は、第3の導電体を介して第3の電圧タップと電導的に接続され、第4の電極層は、第4の導電体を介して第4の電圧タップと電導的に接続され、第1の導電体および第2の導電体は、少なくとも部分的に、第3の導電体および第4の導電体に対して対称的に配置される場合には有利である。これにより、対称的な電流案内が実現される。これにより、測定のために必要な磁場に対して、補正されぬまま重畳するかもしれない磁場が、有利に少なくとも部分的に補正されることになる。特に、第1の導電体および第2の導電体を、第3の導電体および第4の導電体に対して、少なくとも部分的に面対称に配置することが可能であり、その際に、導電体は、仮想対称面に対して対称的であり、この仮想対称面は、互いに面対称な第1の仮想巻軸と第2の仮想巻軸との間の面対称を定義する。
【0014】
同様に、バッテリパックは、複数の第1のバッテリセルおよび第2のバッテリセルを含み、第1の巻回要素および第2の巻回要素は、第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる際に各第1の磁場が各第2の磁場と逆に方向付けられ第1の巻回要素と第2の巻回要素とは磁場方向が互い違いになった状態で一列に配置されるように、互いに配置され、磁場センサは、第1の巻回要素の第1の磁場と、隣り合う第2の巻回要素の第2の磁場とからの重畳磁場を測定するよう構成される場合には有利である。このようにして、1つのバッテリパック内の複数の電流差が測定され、その際に、関与するバッテリセルの測定では、磁場による測定への相互作用が最小にしか発生せずまたは全く発生しない。
【0015】
他の変形例において、第1のバッテリセルと第2のバッテリセルとは、共通のバッテリセルハウジングの中に配置される。共通のバッテリセルハウジングに第1のバッテリセルと第2のバッテリセルとが配置されることによって、最小の漂遊磁界を生じさせる構成要素が創出される。
【0016】
特に、第1のバッテリセルと第2のバッテリセルとは、異なるバッテリセルハウジングの中に配置される。その場合に磁場センサは、バッテリセルハウジングの間に配置されうる。したがって、個別交換が可能なユニットが創出され、この個別交換が可能なユニットでは、ユニットのうちの1つが故障していて交換する必要があるかどうかを、2つのセル電流の測定された差分を用いて判定することが可能である。
【0017】
磁場センサが、2つの隣り合うバッテリセルハウジングの間に配置される場合には有利である。これにより、磁場センサを含まないバッテリセルを、本発明に係るバッテリパックの中で利用することが可能である。少なくともバッテリセルハウジングと共に行われるバッテリセルの交換の際に、磁場センサは存置される。追加コスト、および追加的な校正費用が回避されうる。
【0018】
磁場センサがホールセンサである場合には有利である。なぜならば、ホールセンサは、安価な標準構成要素として入手できるからである。さらに、ホールセンサによって、重畳磁場の特に正確な測定を行うことが可能である。
【0019】
本発明に係るバッテリパックは、有利に車両のバッテリであり、特にトラクションバッテリである。頻繁な充電過程および放電過程、ならびに、このようなバッテリへの特に高い要求によって、差分電流測定装置の信頼性の高い構造形態は特に有利である。簡素であり、低コストで実現できることも、同様に利点である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下では、本発明の実施例が、添付の図面を参照して詳細に記載される。
図1】第1の実施形態における本発明に係るバッテリパック1の概略図を示す。
図2】第2の実施形態における本発明に係るバッテリパック1の概略図を示す。
図3】第2の実施形態に係る、本発明に基づき配置された複数の第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1の実施形態における本発明に係るバッテリパック1の概略図を示している。
【0022】
バッテリパック1は、第1の電極層と第2の電極層とからなる第1の巻回要素4を有する第1のバッテリセル2を含む。第1のバッテリセル2は、電気化学的なバッテリセルである。本実施形態では、第1の電極層が、放電時に、第1のバッテリセル2のカソードを形成し、第2の電極層が、第1のバッテリセル2の第1のアノードを形成する。このような第1の巻回要素4は、典型的に、電極層と共に巻回される1つ以上のセパレータ層をさらに含み、このセパレータ層によってアノードとカソードとの間の短絡が防止される。充電時には、アノードとカソードの役割が交換される。以下では、放電が考察される。
【0023】
第1の巻回要素4は、第1の仮想巻軸を有する。第1の仮想巻軸は、第1の巻回要素4の巻層の巻回中心に存在する軸である。ここで示される本発明の第1の実施形態では、第1の仮想巻軸は、第1の巻回要素4の中心の仮想平面であって、電極層がその周りに巻回される上記仮想平面上に存在する。その際に、第1の仮想巻軸は、第1の磁場6に対して平行である。
【0024】
第1のアノードは、第1の巻回要素4の内側の部分で接触されている。このために、本実施例では接触のために、第1のアノード接触点P1が選択され、この第1のアノード接触点P1は、第1の巻回要素4の第1のアノードの、最も内側の部分に存在する。好適に、第1のアノード接触点P1は、同時に、第1の巻回要素4の表面からも接触可能である。第1のカソードは、第1の巻回要素4の外側の部分で接触されている。このために、本実施例では接触のために、第1のカソード接触点P2が選択され、この第1のカソード接触点P2は、第1のカソードおよび第1のアノードの巻回経路を辿った場合に、第1の巻回要素4の第1のカソードの、第1の巻回要素4の仮想巻芯から可能な限り遠くに離れて存在する。したがって、内側の部分は、外側の部分よりも遥かに、第1の巻回要素4の内部に存在する。
【0025】
第1のセル電流IZ1が、第1のアノード接触点P1と、第1の巻回要素4と、カソード接触点P2とを介して流れる。その際に、第1のセル電流IZ1は、完全にまたは部分的に、電気化学的な第1のバッテリセル2によって生じされうる。第1のセル電流IZ1が、第1のカソードおよび第2のアノードにより形成される巻回された導電経路を流れることによって、コイルと同じように、第1の磁場6が生成する。
【0026】
バッテリパック1はさらに、第2の電気化学的なバッテリセル3を含み、このバッテリセル3は、第3の電極層と第4の電極層とからなる第2の巻回要素5を有する。その際に、本実施形態では、第3の電極層が、第2のバッテリセル3の第2のカソードを形成し、第4の電極層が、第2のバッテリセル3の第2のアノードを形成する。このような第2の巻回要素5は、典型的に、電極層と共に巻回される1つ以上のセパレータ層をさらに含み、このセパレータ層によって、第2のカソードと第2のアノードとの間の短絡が防止される。第1の巻回要素4または第2の巻回要素5は、ゼリーロール(Jelly−Roll)とも呼ばれる。
【0027】
第2の巻回要素5は、第2の仮想巻軸を有する。第2の仮想巻軸は、第2の巻回要素5の巻層の巻回中心に存在する軸である。ここで示される本発明の実施形態では、第2の仮想巻軸は、第2の巻回要素の中心の仮想平面であって、電極層がその周りに巻回される仮想平面上に存在する。
【0028】
第2のアノードは、第2の巻回要素5の内側の部分で接触されている。このために、本実施例では接触のために、第2のアノード接触点P3が選択され、この第2のアノード接触点P3は、第2のアノード層の、第2の巻回要素5の最も内側の部分にある箇所に存在する。好適に、第2のアノード接触点P3は、同時に、第2の巻回要素5の表面からも接触可能である。第2のカソードは、第2の巻回要素5の外側の部分で接触されている。このために、本実施例では接触のために、第2のカソード接触点P4が選択され、この第2のカソード接触点P4は、第2のカソードとおよび第2のアノードの巻回経路を辿った場合に、第2のカソードの、第2の巻回要素5の仮想巻芯よりも可能な限り遠くに離れた箇所に存在する。したがって、内側の部分は、外側の部分よりも遥かに、第2の巻回要素5の内部に存在する。
【0029】
第2のセル電流IZ2が、第2のアノード接触点P3と、第2の巻回要素5と、第2のカソード接触点P4とを介して流れる。その際に、第2のセル電流IZ2は、完全にまたは部分的に、電気化学的な第2のバッテリセル3によって生じされうる。第2のセル電流IZ2が、第1のカソードおよび第2のアノードにより形成される巻回された導電経路を流れることによって、コイルと同じように、第2の磁場7が生成する。
【0030】
本発明の第1の実施形態では、第1の巻回要素4と第2の巻回要素5とは、その電極層の平面、その巻密度、その外形寸法について同一の寸法に定められる。第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3は、共通のバッテリセルハウジング9の中に配置される。その際に、第1の仮想巻軸は、第2の仮想巻軸に対して平行に、かつ第2の仮想巻軸と隣り合って配置される。第1の巻回要素4は、本構成では、第2の巻回要素5とは反対方向に巻回される。図1から分かるように、第1の巻回要素4は、示される図では時計回りに巻回され、第2の巻回要素5は、示される同じ図では、反時計回りに巻回される。その際に、共通のバッテリセルハウジング9は、破裂弁28を備えたバッテリセルハウジングカバー29を含む。
【0031】
バッテリセルハウジング9の中の接続線は、第1の巻回要素4および第2の巻回要素5について、互いに対称的に敷設されるべきであろう。これにより、当該接続線の電流の流れによって生成される磁場は、互いに相殺し合うように構築される。これにより、放射されるノイズが最小限に抑えられる。第1のアノード接触点P1は、第1の導電体L1を介して、バッテリセルハウジング9に配置された第1のマイナス極端子A1と電導的に接続される。第1のカソード接触点P2は、第2の導電体L2を介して、バッテリセルハウジング9に配置された第1のプラス極端子A2と電導的に接続される。第2の負の接触点P3は、第3の導電体L3を介して、バッテリセルハウジング9に配置された第2のマイナス極端子A3と電導的に接続される。第2の正の接触点P4は、第4の導電体L4を介して、バッテリセルハウジング9に配置された第2のプラス極端子A4と電導的に接続される。第1の導電体L1は、好適に第4の導電体L4と対称的に、バッテリセルハウジング9内で配置される。その際に、第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3についての対称面も形成する平面が、対称面を形成する。さらに、第1のプラス端子A2および第2のプラス端子A4が、バッテリパックのカソード端子またはプラス極と電導的に接続されうる。さらに、第1のマイナス極端子A1および第3のマイナス極端子A3が、バッテリパックのアノード端子またはマイナス極と接続されうる。
【0032】
第1の巻回要素4と第2の巻回要素5とは、第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2が同じ向きに方向付けられる際に第1の磁場6が第2の磁場7に反作用するように、互いに配置されている。第1のセル電流Iz1が第1のバッテリセル2の充電電流であり、かつ、第2のセル電流Iz2が第2のバッテリセル3の充電電流である場合、または、第1のセル電流Iz1が第1のバッテリセル2の放電電流であり、かつ、第2のセル電流Iz2が第2のバッテリセル3の放電電流である場合に、第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2が同じ向きに方向付けられる。すなわち、第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3によって、放電電流が、第1のセル電流Iz1または第2のセル電流Iz2として放出される場合には、少なくとも、第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3の周辺に、第1の磁場6の成分と第2の磁場7の成分とが互いに反作用する平面領域が形成される。この平面領域において、第1の磁場6は、第2の磁場7と共に重畳磁場を形成する。ここで記載する第1の実施形態では、このような平面領域は、バッテリセルハウジング9の中の、第1の巻回要素4の巻回中心と第2の巻回要素5の巻回中心との間の中央に存在する。この平面領域には磁場センサが配置される。磁場センサは、ホールセンサ8によって形成される。この場合に、ホールセンサ8は、第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2が同じ向きに方向付けられる際に第1の磁場6と第2の磁場7とが相殺される箇所に配置される。ホールセンサ8は、第1の巻回要素4の仮想巻軸までの間隔と、第2の巻回要素5の仮想巻軸までの間隔とが、好適に同じである。したがって、同じ大きさの第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2が同じ向きに方向付けられる際に互いに逆向きに方向付けられた2つの磁場が、同じ強さでホールセンサ8を通過する。第1の磁場6と第2の磁場7とが同じ大きさである限りにおいて、その結果得られる、ホールセンサ8を通る磁束は0(ゼロ)に等しい。
【0033】
第1の巻回要素4および第2の巻回要素5を通って流れる第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2によって、互いに逆向きの磁場が構築され、この逆向きの磁場は、巻回数が同じであり、巻密度が同じであり、電流が同じである(Iz1=Iz2)際には相殺される。生成された磁場、すなわち第1の磁場6および第2の磁場7は、巻回要素4および5を通って流れるセル電流Iz1、Iz2に比例する。
【0034】
ホールセンサ8を通ってセンサ電流IHSが流れる。このセンサ電流IHSは、例えば、バッテリ制御部を介して提供されうる。ホールセンサ8によって重畳磁場が検知された場合には、ホールセンサ8によってホール電圧UHSが出力される。このホール電圧UHSは、図示されない評価ユニットに供給される。第1の巻回要素4および第2の巻回要素5を通る充電電流および放電電流が同じ大きさであるため、好適に、その電気抵抗も同じ大きさである。磁場のバランスが取れていない際、すなわち、第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2が異なる際には、ホールセンサ8の電力タップでは、0(ゼロ)Vと等しくないホール電圧UHSが測定される。すなわち、ホールセンサ8は、ゼロ電位での(potentialfrei)電流測定のために使用される。
【0035】
評価ユニットは、ホール電圧UHSおよび測定された重畳磁場に基づいて、第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2との間の差分を定める。第1の巻回要素4と第2の巻回要素5とが同じ寸法をしており、ホールセンサ8が中央に配置されていることによって、第1のセル電流Iz1が第2のセル電流Iz2と等しい場合(第1のセル電流Iz1が第2のセル電流Iz2とが同じ向きに方向付けられる際)について、その値が0(ゼロ)であり、したがってホール電圧UHSが0Vである重畳磁場が獲得される。したがって、第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2との差分は0(ゼロ)Aである。
【0036】
第1のセル電流Iz1が第2のセル電流Iz2よりも大きい場合、重畳磁場では第1の磁場6が優勢となり、重畳磁場の磁束の方向が、ホールセンサ8によって予め設定される。ホールセンサの方向付けに従って、正または負の符号のホール電圧UHSがホールセンサによって出力される。第1のセル電流Iz1が第2のセル電流Iz2よりも小さい場合、重畳磁場では第2の磁場7が優勢となり、重畳磁場の磁束の方向が、ホールセンサ8によって予め設定される。第1の磁場6が優勢な場合のホール電圧UHSと比較して逆の符号を有するホール電圧UHSが、ホールセンサ8によって出力される。
【0037】
出力されたホール電圧UHSは、例えば所定のテーブルを介して、第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2との間の差分をアンペアまたは他の電流単位で記述する差分値へと変換することが可能である。このようなテーブルは、試験的に定められた値から作成できるであろう。
【0038】
2つのバッテリセル2、3による以下の電流の差分を測定することが可能である。すなわち、
‐自己放電電流:このためには、ホールセンサ8の感度を上げるためにセンサ電流IHSを比較的大きく設定する必要がある。ホール電圧UHSの極性で、巻回要素4、5のどちらが、より大きな自己放電電流を有するのかが分かる。ホール電圧UHSの高さが、自己放電電流の差分がどのくらい大きいのかを表す。
−充電電流および放電電流:このためには、ホールセンサ8のセンサ電流IHSを比較的小さく設定する必要がある。充電電流および放電電流は約16の範囲内にあり、したがって、ホールセンサ8の感度をより低く設定する必要がある。
【0039】
第1の巻回要素4と第2の巻回要素5のちょうど中間にある領域にホールセンサ8を位置決めすることが困難であり、かつ、第1の巻回要素4が不正確な製造のために典型的に第2の巻回要素5と全く同じ寸法ではないことから、ゼロ点校正が必要となる可能性がある。その際には、第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2とが同一の際の、ホールセンサ8のホール電圧UHSが読み出される。この値がゼロ点とみなされる。ホール電圧UHSがこの値を上回りまたは下回る場合には、重畳磁場では第1の磁場6または第2の磁場7が優勢であり、したがって、各第1のセル電流Iz1または各第2のセル電流Iz2が優勢である。ホール電圧UHSがゼロ点と等しい場合には、第1のセル電流Iz1は、第2のセル電流Iz2と等しい。
【0040】
このようなバッテリパック1は、図1で示される構成要素の他に、例えばバッテリ制御線、分離要素、または他の伝導要素等の、図1には示されないさらなる別の構成要素を含んでもよい。
【0041】
図2は、第2の実施形態における本発明に係るバッテリパック1の概略図を示している。この第2の実施形態では、バッテリパック1は、複数のバッテリセルユニット20〜24を含む。バッテリセルユニット20〜24は、同じ構造をしたバッテリセルユニット20、21、22、23、24である。バッテリセルユニット20、21、22、23、24の外形は、各付属するバッテリセルハウジング9a、9b、9c、9d、9eによって形成される。バッテリセルハウジング9a、9b、9c、9d、9eは、実質的に直方体の形状をしている。端子側にはそれぞれ、正の電圧タップA5、および、負の電圧タップA6が配置される。バッテリセルユニット20、21、22、23、24は、各負の電圧タップA6が、隣接するバッテリセルユニットの正の電圧タップA5の隣に配置されるように、相並んで配置される。このために、バッテリセルユニット20、21、22、23、24は互いに180°ずつ回転させられ、その際に、それらの電圧タップA5、A6は、直方体の共通の側面上に存在する。隣接する2つのバッテリセルユニットの間には、熱放出を改善するために、バッテリセルハウジング9a、9b、9c、9d、9eとぴったり重ねて、アルミニウム板26が配置される。このポジションにおいて、バッテリセルユニット20、21、22、23、24、および、アルミニウム板26は、2つの締付ベルト27によって互いに固定される。アルミニウム板26の代わりに冷却チャネルを備えるバッテリパック1の場合には、バッテリセルユニット20、21、22、23、24は、対応するスペーサフレームによって保持され、固定されうる。その際に、スペーサフレームは、ホールセンサ8も収容することが可能である。
【0042】
各正の電圧タップA5は、隣接するバッテリセルユニットのうちの一方の負の電圧タップA6と、電導的なセルバインダ25を介して接続されている。その際に、バッテリセルユニット20、21、22、23、24は、当該バッテリセルユニット20、21、22、23、24の直列接続が得られるように、セルバインダ25を介して接続される。バッテリパック1における、アルミニウムハウジングを備えこのように相並んで直列接続されたバッテリセルユニット20、21、22、23、24の場合、可能な限り短いセルバインダ25を利用できるために、極性が逆の電圧タップA5、A6が常に相並んでいる。
【0043】
磁場センサ8として機能する各ホールセンサ8は、隣り合うバッテリセルユニット20、21、22、23、24の間に配置されている。このために、各アルミニウム板26の中央に、ホールセンサ8の形状に対応する空所が設けられる。ホールセンサ8は、この空所の中に配置される。この空所は、ホールセンサ8の配線を収容するために、アルミニウム板26の縁端領域の方向に拡張されてもよい。このため、アルミニウム板26は、特に、ホールセンサ8の少なくとも1つの厚さに対応する厚さを有する。
【0044】
第2の実施形態におけるバッテリパック1は、複数の第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3を含む。その際に、第1のバッテリセル2および第2のバッテリセル3が1つずつ、1つのバッテリセルユニット20、21、22、23、24の中に配置される。
【0045】
図3は、バッテリパック1の第1のバッテリセルユニット20および第2のバッテリセルユニット21の概略図、または、バッテリパック1における2つの第1のバッテリセル2および2つの第2のバッテリセル3の配置を示している。第1のバッテリセル2、および、第1の巻回要素4、ならびに、第1のアノード接触点P1、および、第1のカソード接触点P2は、上述の第1の実施形態に対応して実現されている。第2のバッテリセル3、および、第2の巻回要素5、ならびに、第3のアノード接触点P3、および、第2のカソード接触点P4は、上述の第1の実施形態に対応して実現されている。各第1のバッテリセルの第1の巻回要素4を通って、各第1のセル電流Iz1が流れる。各第2のバッテリセルの第2の巻回要素5を通って、各第2のセル電流Iz2が流れる。
【0046】
その際に、第1の巻回要素4および第2の巻回要素5は、第1のセル電流Iz1および第2のセル電流Iz2の向きが同一に方向付けられる際に各第1の磁場6が各第2の磁場7と逆向きに方向付けられ、かつ、第1の巻回要素4と第2の巻回要素5とが交互に一列に配置されるように、互いに配置される。このために、第1の巻回要素4の仮想巻軸と、第2の巻回要素5の仮想巻軸とがほぼ一線上に配置される。本実施形態では、第1の巻回要素4と第2の巻回要素5も同じ構造をしているため、各巻回要素4、5は、直接的に隣り合う巻回要素に対して180°ずつ回転させられ、その際、回転軸は仮想巻軸に直交する。第1の巻回要素4の一方と、これに隣接する第2の巻回要素5とが、第1のバッテリセルハウジング9aの中に配置されている。第1の巻回要素4の他方と、これに隣接するさらなる別の第2の巻回要素5とが、第2のバッテリセルハウジング9bの中に配置されている。バッテリパックの全てのバッテリセルが、対になって、1つのバッテリセルハウジングの中に収容される。バッテリセルハウジング9a、9b、9c、9d、9eは特にアルミニウムで製造される。
【0047】
第1の導電体L1は、第1のバッテリセルユニット20または第2のバッテリセルユニット21の中で、それぞれ、第1のアノード接触点P1および負の電圧タップA6と電導的に接続されている。第1の導電体L1は、第1のバッテリセルユニット20または第2のバッテリセルユニット21の中で、それぞれ、第1のアノード接触点P1および負の電圧タップA6と電導的に接続されている。第3の導電体L3は、第1のバッテリセルユニット20または第2のバッテリセルユニット21の中で、それぞれ、第2のカソード接触点P3および負の電圧タップA6と電導的に接続されている。第2の導電体L2は、第1のバッテリセルユニットまたは第2のバッテリセルユニットの中で、それぞれ、第1のカソード接触点P2および正の電圧タップA5と電導的に接続されている。第4の導電体L4は、第1のバッテリセルユニット20または第2のバッテリセルユニット21の中で、それぞれ、第2のカソード接触点P4および正の電圧タップA5と電導的に接続されている。このようにして、各バッテリセルユニットの第1のバッテリセルおよび第2のバッテリセルは互いに並列に接続される。
【0048】
第1のバッテリセルユニット20と第2のバッテリセルユニット21は、互いに境を接しており、アルミニウム板26またはホールセンサ8によってのみ互いに分離されているため、第1のバッテリセルユニット20と第2のバッテリセルユニット21との間には重畳磁場が構築される。この場所に配置されたホールセンサ8によって重畳磁場が測定される。この測定値は、第1の実施形態に対応して、第1のバッテリセルユニットの第1のセル電流Iz1と第2のバッテリセルユニットの第2のセル電流Iz2との間の差分値に変換されうる。
【0049】
対応する測定が、各ホールセンサ8によって実施されうる。したがって、隣り合う2つのバッテリセルごとに第1のセル電流Iz1と第2のセル電流Iz2との間の差分が測定されうる。
【0050】
バッテリセルユニット20、21、22、23、24は、好適に同じ構造をしている。したがって、あるバッテリセルが第1のバッテリセル2とみなされるか、または第2のバッテリセル3とみなされるかは、バッテリセルユニットの向きに依存する。
【0051】
図面に示されない第2の実施形態の任意の変形例では、バッテリパック1内での配置において、第1の巻回要素4の仮想巻軸と第2の巻回要素5の仮想巻軸とが、互いにほぼ平行に配置される。その場合には、2つの隣り合う第1の巻回要素4、第2の巻回要素5の構成は、第1の実施形態に対応する。
【要約】
本発明は、複数の電気化学的なバッテリセルを有するバッテリパックであって、2つの異なるバッテリセルの2つのセル電流の差分を測定する装置を備え、第1のバッテリセルは、第1の電極層と第2の電極層とからなる第1の巻回要素を有し、第1の巻回要素は、セル電流のうちの第1のセル電流により第1の磁場を生じさせ、第2のバッテリセルは、第3の電極層と第4の電極層とからなる第2の巻回要素を有し、第2の巻回要素は、セル電流のうちの第2のセル電流により第2の磁場を生じさせ、第1の巻回要素および第2の巻回要素は、第1のセル電流および第2のセル電流が同じ向きに方向付けられる際に第1の磁場が第2の磁場に反作用するように、互いに配置され、バッテリパックは、第1の磁場と第2の磁場とからの重畳磁場を測定するよう構成された磁場センサと、測定された重畳磁場から第1のセル電流と第2のセル電流との差分を定めるよう構成された評価ユニットと、をさらに備える、上記バッテリパックに関する。
【選択図】図1
図1
図2
図3