【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名 第22回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (平成26年11月26日〜平成26年11月28日開催)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記区分パターン抽出部の処理対象の画像は、区分パターンで区分された複数領域の全部又は一部に画像が表示されている表示装置の画像であり、該表示装置に表示される画像には動画が含まれる
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.システム構成>
<2.ユーザ端末の構成>
<3.データベース>
<4.システム処理例>
<5.まとめ及び変形例>
<6.プログラム及び記憶媒体>
【0015】
<1.システム構成>
図1Aに実施の形態のシステム構成の一例を示す。当該システムは、ネットワーク1により通信可能とされた情報サーバ2、表示装置3、ユーザ端末5を有する。また情報サーバ2はデータベース部4として示した各種データベースにアクセス可能とされている。なお、以下では「データベース」を「DB」と表記する。
本実施の形態では、このシステムにおいてユーザ端末5が本発明請求項にいう情報処理装置に相当する装置とする例で説明する。
【0016】
ネットワーク1の構成は多様な例が想定される。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が想定される。
またネットワーク1の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0017】
本実施の形態は、いわゆるデジタルサイネージとして、屋外・店頭・広場・交通機関などの公共空間に設置した、ネットワーク接続したディスプレイを用いて情報を発信するシステムを想定している。
即ち表示装置3は、デジタルサイネージに用いるように公共空間等に設置された表示装置である。例えば大型の平面ディスプレイやプロジェクタなどが用いられることが多い。
情報サーバ2は、デジタルサイネージとしてのシステム動作の管理サーバとされる。
情報サーバ2は、各表示装置3に対して表示コンテンツのタイムスケジュール管理や、表示コンテンツ供給などを行い、実際に表示装置3を用いた情報発信を実行させる。
【0018】
情報サーバ2が用いるDB部4としては、例えば表示装置管理DB51、スケジュールDB52、コンテンツDB53等がある。
表示装置管理DB51には、各表示装置3の属性や表示スケジュールを指定する情報などが登録されている。
スケジュールDB52は、各種の表示スケジュールの設定情報が管理される。
表示装置管理DB51、スケジュールDB52の具体例は後述する。
【0019】
コンテンツDB53には、デジタルサイネージにより表示する各種コンテンツ(動画、静止画、テキストデータ)が登録されている。
デジタルサイネージで発信される情報内容は、例えば各種の広告、案内、天気予報、ニュース、時刻、イメージ映像など多岐にわたる。情報サーバ2は、例えばコンテンツDB53に登録されたコンテンツを表示装置3で表示させることができる。
なお表示装置3で表示される内容は、コンテンツDB53に登録されたコンテンツに限らず、例えば所定のURL(Uniform Resource Locator)で指定されるウェブページの画像、動画リンク、放送画像なども選択可能である。
【0020】
通常のデジタルサイネージでは、表示装置3は、単に情報発信を行うものであるが、本実施の形態のシステムでは、一般ユーザは、自己の端末(ユーザ端末5)を用い、当該システムから、より積極的に情報取得を行うことができる。
一般ユーザが用いるユーザ端末5は、主に携帯型の情報端末が想定される。例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、携帯可能なパーソナルコンピュータなどである。さらに、めがね型、ヘッドマウント型、ウォッチ型などのウェアラブル情報端末もユーザ端末5として想定される。
また本実施の形態の場合、ユーザ端末5は、ハードウエア的には撮像機能が備えられた情報処理装置であることが望ましいが、少なくとも撮像画像データが取り込めるものであればよい。例えば別体の撮像装置(カメラ)で撮像した撮像画像データを取り込むことができるものでもよい。
詳しくは後述するが、ユーザは、ユーザ端末5を用いて表示装置3を撮像する。そして撮像画像上で表示装置3に表示されている情報(コンテンツ等)を選択することで、情報サーバ2からその選択した情報の関連情報もしくは関連情報を取得するための情報を取得できる。
またユーザ端末5と表示装置3との間は、近距離無線通信、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)や赤外線通信等の通信方式で通信可能とされる場合もある。
【0021】
なお
図1Aでは、情報サーバ2が複数の表示装置3を管理する例としてシステム構成を示したが、
図1Bのように、1つの情報サーバが1つの表示装置3を管理する形態でもよい。この場合、表示装置3と情報サーバ2は公共ネットワークを介して接続されていてもよいし、ローカル接続されていてもよい。
【0022】
本システムにおける表示装置3の表示態様を
図2で説明する。
図2A、
図2Bは、表示装置3の表示画面の領域レイアウトの例を示している。
情報サーバ2はデジタルサイネージとして表示させる各種の表示内容を、例えば
図2A、
図2Bのような領域レイアウトで表示装置3の画面に表示させる。
例えば
図2Aの領域レイアウトでは、画面領域を枠10として設定した区分パターンにより11個の領域11を分割設定している。
また
図2Bの領域レイアウトでは、画面領域を枠10として設定した区分パターンにより9個の領域11を分割設定している。
なおこれらの例は、特に枠10は直線の線分のみを用いて構成している。
情報サーバ2は、例えばこれらのような各種の領域レイアウトについて、それぞれレイアウトID(identification)を付して管理する。
図2A、
図2BのレイアウトIDを、それぞれ説明上、“LID1”“LID2”とする。
なお、このような領域レイアウトについては、情報サーバ2は少なくとも1つを管理すれば良いが、説明上、情報サーバ2は、複数の領域レイアウトをレイアウトIDで区別できる状態で管理するものとする。
【0023】
情報サーバ2は、1又は複数の表示装置3に対し、それぞれ指定した領域レイアウトに基づく情報表示を実行させる。
図2Cには、公共の場所に設置された或る表示装置3に、レイアウトID=LID1の領域レイアウトで情報表示が行われている例を示している。
ユーザは、表示装置3の画面により、例えば11個に区分された各領域11において表示されている情報内容を見ることができる。
そして本実施の形態の場合、ユーザは図示のようなスマートフォンや眼鏡型情報端末等のユーザ端末5を利用して、この表示装置3で表示される情報だけでなく、より多様な関連情報を取得できる。
【0024】
続いて
図1に示した情報サーバ2や表示装置3を実現する情報処理装置のハードウエア構成を
図3に示す。情報サーバ2や表示装置3は情報処理および情報通信が可能な
図3に示すようなコンピュータ装置として実現できる。
【0025】
図3において、コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM( Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM( Random Access Memory )103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インターフェース105も接続されている。
入出力インターフェース105には、キーボード、マウス、タッチパネルなどよりなる入力部106、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイやスピーカなどよりなる出力部107、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などより構成される記憶部108、ネットワーク1を介しての通信処理や機器間通信、近距離無線通信等を行う通信部109が接続されている。
入出力インターフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書込や読出が行われる。
【0026】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロードが行われたり、リムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しをしたりすることが可能である。
CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、情報サーバ2や表示装置3としての必要な情報処理や通信が実行される。
なお、情報サーバ2や表示装置3を構成する情報処理装置は、
図3のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。
【0027】
<2.ユーザ端末の構成>
図4Aにユーザ端末5の構成例を示す。ユーザ端末5は制御部31、撮像部32、画像処理部33、通信部34、記憶部35、表示部36、入力部37、位置検出部38、音声出力部39が設けられる。
【0028】
制御部31はユーザ端末5としての中央制御機能部位を示している。制御部31は例えばCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータにより形成され、OS(Operating System)やアプリケーションプログラムに応じた各部の制御や必要な演算処理を行う。
【0029】
撮像部32は図示しないレンズ系を介して入射された被写体光をCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等で形成されるイメージャにより受光し、受光信号を出力する。そして受光信号に対してCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行ってデジタルデータとしての撮像信号を、画像処理部33に出力する。
画像処理部33では、例えばホワイトバランスやガンマ処理などの映像処理、画質補正処理、解像度変換処理、表示信号生成処理、記録用/通信用の符号化処理(コーデック)等を行い、画像データ(動画又は静止画)を出力する。
画像処理部から出力された画像データは、表示部36においていわゆるスルー画(被写体のモニタリング画像としての動画)として表示されたり、静止画又は動画として記憶部35に記憶されたりする。静止画又は動画として記憶部35に記憶された画像データが再生されて表示部36に表示される場合もある。
【0030】
通信部34は、外部機器との間で各種通信を行う。例えばネットワーク1を介した情報サーバ2との通信を行うネットワークインターフェース部とされる。また上述の近距離無線通信機能を備える場合、通信部34には近距離無線通信用の送受信部としての機能も設けられる。
記憶部35は例えば各種情報が記憶される揮発性又は不揮発性のメモリである。いわゆるD−RAM(Dynamic Random Access Memory)、S−RAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリを用いた記憶再生部とされたり、或いはHDDでもよい。さらにはメモリカードや光ディスク等の可搬性記憶媒体に対する記憶再生部とされてもよい。
記憶部35には、例えばアプリケーションプログラム、ダウンロードデータ、キャッシュデータ、撮像した画像データ、その他ユーザ端末5で用いる各種のデータが制御部20の制御により記憶され、また読み出される。
【0031】
表示部36はユーザ端末5におけるディスプレイであり、LCDや有機ELパネルなどにより構成される。表示部36にはユーザ操作に応じて制御部31の制御により各種の情報が表示される。
入力部37は、ユーザの操作入力に用いる部位を示している。例えば操作スイッチ、キーボード、或いは表示部26上に設けられたタッチパネルなどである。ユーザは入力部37により各種の操作を行うことができる。
なお撮像部32で撮像された画像データを解析して検出できるユーザのジェスチャ等を、ユーザの操作として認識するようにしてもよい。
【0032】
位置検出部38はユーザ端末5の自己位置を検出する。位置検出部38は例えばGPS(Global Positioning System)受信器及び受信した位置情報のデコーダとして構成できる。位置検出部38からの情報により制御部31は現在位置を認識できる。
音声出力部39は、各種コンテンツの音声、通話音声等の音声を出力するための音声処理回路、音声信号増幅回路、スピーカ又はイヤホン端子部等を有する。
【0033】
このようなユーザ端末5において
図1のデジタルサイネージを利用するアプリケーションプログラムが起動される場合、制御部31は、当該アプリケーションプログラムに基づいて
図4Bの機能を有するものとなる。
即ち基本情報取得部40、撮像画像受付部41、区分パターン抽出部42、対象認識部43、選択操作認識部44、要求送信部45、情報出力制御部46である。
なお、ここでは以上の各機能は、制御部31においてソフトウエア(アプリケーションプログラム)に応じて実行される処理により実現される機能とするが、これらの機能の全部又は一部の処理をハードウエアにより実現してもよい。
また各機能をソフトウエアで実現する場合に、各機能がそれぞれ独立したプログラムで実現される必要はない。1つのプログラムにより複数の機能の処理が実行されてもよいし、1つの機能が複数のプログラムモジュールの連携で実現されてもよい。
【0034】
基本情報取得部40は、デジタルサイネージシステムを利用する際の基本情報を逐次情報サーバ2から取得し、記憶部35に格納する処理を行う。具体的には、情報サーバ2から、各種の領域レイアウトと各表示装置3の基本情報を取得する。
この基本情報としては例えば表示装置ID、設置位置等の情報や、その表示装置3の画面表示を実行させる際の領域レイアウトの情報(レイアウトID)を含む。
また基本情報には、各レイアウトIDに対応した、実際の区分パターンの情報も含む。区分パターンの情報とは、例えば
図2A,
図2Bに例示したような枠10の形状(つまり領域レイアウトの形状)の情報や、各領域11の識別子としてのセクションIDなどである。
【0035】
撮像画像受付部41は、撮像画像の入力を受け付ける処理を行う。具体的には、ユーザの操作に応じて撮像部32及び画像処理部33で得られた撮像画像を、区分パターン抽出対象の画像データとして特定する。例えばユーザが静止画撮像を行った場合、その静止画データを区分パターン抽出対象の画像データとする。或いはユーザが静止画撮像(シャッタ操作に応じた静止画データの取り込み)を行わなくとも、スルー画の状態、即ちイメージャから画像(動画としての連続フレーム)が得られている状態で、1又は複数のフレーム画像データを区分パターン抽出対象の画像データとする。
【0036】
区分パターン抽出部42は、撮像画像受付部41の機能として受け付けた撮像画像において複数領域を区分する区分パターンを抽出する処理を行う。これは例えば
図2A、
図2Bに示した枠10の形状を判定する処理といえる。
例えば具体的には、撮像画像を解析して直線状の部分を抽出する。これは、同一輝度の画素が或る線幅をもって直線状に連続している部分を抽出することで可能である。これにより区分パターン(枠10)の形状を抽出する。
【0037】
対象認識部43は、1又は複数の区分パターンを処理対象に対応づけた情報を参照して、撮像画像から抽出した区分パターンに対応する処理対象を認識する処理を行う。
記憶部35には、情報サーバ2から供給された上述の基本情報が記憶されており、その基本情報には実際の区分パターンの情報が含まれている。区分パターンの情報とは、本デジタルサイネージシステムで表示装置3における表示に実際に使用されている(または使用される可能性がある)区分パターンの形状(領域レイアウト)の情報である。例えば
図2A、
図2Bに示した枠10の形状の情報を1又は複数含んでいる。
対象認識部43は、この記憶部35に予め記憶された区分パターンの情報と、撮像画像から抽出した区分パターンの情報を照合する。そして抽出した区分パターンが、記憶された区分パターンの1つに一致すると判定した場合、撮像画像は、本サイネージシステムにおける表示装置3の撮像画像であると認識する。つまり、撮像画像は、デジタルサイネージを利用するアプリケーションプログラムによる処理対象となる表示装置2の画像と認識する。
【0038】
選択操作認識部44は、対象認識部43が特定した処理対象、つまり表示装置2の画像において、区分パターンである枠10で区切られた複数の領域11のうちでユーザの選択操作の対象とされた選択領域を認識する処理を行う。
表示装置2の撮像画像には、当然、表示装置2の各領域11に表示されている内容(動画、静止画、テキスト等)が含まれており、ユーザは、ユーザ端末5の表示部36においてそれらの内容を見ることができる。具体的には商品や店舗の広告、ニュース、各種案内などの内容が撮像画像に現れている。
本システムでは、ユーザはそれらのうち任意の情報を選択することで、その内容に関連した情報を当該ユーザ端末5で見ることができる。例えば、表示装置3の或る領域11にコーヒーショップの広告が表示されていた場合、ユーザがユーザ端末5に表示された表示装置2の撮像画像上で、当該コーヒーショップの広告となっている部分を選択操作すると、そのコーヒーショップの広告の関連情報、例えばコーヒーショップの店舗写真、地図、メニューなどの詳しい情報が閲覧できるようなサービスである。
選択操作認識部44は、このようなサービスを実現するため、表示部36に表示された撮像画像に対するユーザの選択操作を認識する処理を行う。
【0039】
要求送信部45は、少なくとも選択操作認識部44が認識した選択領域を示す選択操作情報を含めた情報取得要求を情報サーバ2に送信する処理を行う。これは上記のサービスにおいてユーザが欲する関連情報を要求する送信である。ユーザが選択した表示内容の関連情報を要求するものであるため、情報サーバ2が選択内容を認識できるように、選択した領域11を識別する情報を含む。具体的には、各領域11に対して設定されたセクションIDである。本実施の形態では、さらに処理対象としている表示装置3の表示装置ID、その撮像画像で認識した区分パターンに対応する領域レイアウトのレイアウトID、およびタイムスタンプも含む情報取得要求を送信する。
【0040】
情報出力制御部46は、要求送信部45による情報取得要求に応じて、情報サーバ2から送信されてくる情報を取得し、当該取得した情報に基づく情報出力制御を行う。例えば情報サーバ2からは、関連情報が直接又は間接的に送信される。例えば情報サーバ2が関連情報自体を送信してきた場合、情報出力制御部46はその情報を表示部36において表示させたり、音声出力部39から音声出力させたり、或いは記憶部35に記憶させる処理を行う。また情報サーバ2は、関連情報を表示するための間接的な情報として、例えばウェブページを指定するURL(Uniform Resource Locator)等を送信してくることも考えられる。その場合、情報出力制御部46は、ブラウザを起動し、表示部36に当該URLのウェブページを表示させたり、そのウェブページの音声出力や必要な情報記憶を実行させる。
【0041】
<3.データベース>
次に情報サーバ2がアクセスするDB部4における表示装置管理DB51とスケジュールDB52の例を説明する。
図5Aは表示装置管理DB51のデータ構造の例である。表示装置管理DB51には、1つの表示装置3毎に図のように表示装置ID、設置場所情報、適用スケジュール、装置属性情報等が登録されている。
表示装置IDは表示装置3の個々を識別するIDであり、表示装置3毎にユニークなコードで構成される。
設置場所情報としては、その表示装置3が設置された場所の緯度・経度、住所、施設種別、場所の管理者などが登録される。
装置属性情報としては、その表示装置3の属性、例えば機種名、型番、製造者名、製造年月日、画面サイズ、解像度、通信情報その他、本デジタルサイネージシステムの運用に必要な表示装置3の情報が登録される。
【0042】
適用スケジュールは、その表示装置3の表示に用いるスケジュールを期間毎に示したものであり、少なくとも1つのスケジュールがアサインされる。
1つのスケジュールについては、スケジュールナンバ、レイアウトID、期間情報が登録される。スケジュールナンバは、後述のスケジュールDB52に登録されているスケジュールのナンバである。このスケジュールナンバで1つの特定のスケジュールが、その表示装置3に適用されたことが示される。
レイアウトIDは、そのスケジュールが用いている領域レイアウト(区分パターン)の識別情報である。
なお、レイアウトIDは、後述のようにスケジュールDB52においてスケジュールナンバに対応して登録されるものとすれば、この適用スケジュールの内容としては必ずしも登録する必要はない。
期間情報は、そのスケジュールがその表示装置3に適用される期間の情報である。或る年月日から或る年月日までという期間設定や、1日のうちの時間帯などとしての期間設定の情報が登録される。
これらの各スケジュールのアサインや適用期間はシステム管理者により任意に設定できる。
なお、1つの表示装置3において、常に1つのスケジュールで表示を行う場合、適用スケジュールの情報としては、そのスケジュールを指定するスケジュールナンバのみが登録されれば良い。
【0043】
図5BはスケジュールDB52のデータ構造の例である。スケジュールDB52には、各表示装置3に適用可能に制作された1又は複数のスケジュールの情報が登録される。
1つのスケジュールに対し、スケジュールナンバ、スケジュールデータ、レイアウトID、情報取得用データ、その他の情報が登録される。
スケジュールナンバは、制作されたスケジュール毎に付けられたユニークなナンバである。
レイアウトIDは、そのスケジュールにおいて使用されている領域レイアウト(区分パターン)の識別情報である。
【0044】
スケジュールデータは、実際のスケジュールの詳細が登録されている。
ここでスケジュール内容およびその制作画面について
図6を用いて説明しておく。
図6は1つのスケジュールを制作・編集する際にシステム管理者が使用する制作・編集ツールの画面例を示している。
この制作・編集画面60では、タイムライン61、表示タイトル62、アサインエリア63、レイアウト編集エリア65、モニタエリア66等が用意されている。
【0045】
レイアウト編集エリア65において、このスケジュールで使用する区分パターンが表示される。ここでは
図2Aに示した区分パターン(レイアウトID=LID1)が用いられる例としている。このレイアウト編集エリア65の表示により、使用する区分パターンの枠10の形状と、枠によって区分された領域10(図中の各領域内の数字“1”〜“11”で示す第1領域から第11領域)が確認できる。システム管理者は、レイアウト編集エリア65に対する操作(枠10のドラッグ操作)などにより、枠10の位置を変更して、各領域11のサイズを調整することなども可能である。
【0046】
この領域レイアウトを採用した場合、第1領域から第11領域として各領域11に対する表示内容のアサインが行われる。この表示内容は、タイムライン61に沿って、コンテンツやリンクを指定することで行われる。
まず第1領域から第11領域のそれぞれに対応して表示タイトル62が設定される。これは各領域の表示内容を大まかに表すもので、システム管理者の便宜のためのものである。
各表示タイトルに対して、アサインエリア63に、表示内容がアサインされていく。この例の場合、タイムライン61は25秒の期間とされ、25秒間の表示が繰り返されるスケジュールの例としているが、このタイムライン61に沿って、表示内容が指定される。
例えば「cafe」というタイトルとされた第1領域については、コンテンツ#11〜#15がアサインされている。これは5秒ごとに静止画であるコンテンツ#11、#12、#13、#14、#15が切り替えられるスライドショウ表示が設定された例である。
「newsA」というタイトルとされた第2領域については、「newsA」というウェブキャストの指定情報がアサインされている。これにより第2領域では、リンクされたウェブキャストの動画映像が表示される状態となる。
これらの例のように、システム管理者が、各領域11について所定のコンテンツや放送、或いは情報ソースを指定することで、1つのスケジュールが制作される。
【0047】
図5BのスケジュールDB52におけるスケジュールデータとしては、以上のように制作されたスケジュールの内容が登録される。例えば使用する領域レイアウト(区分パターン)で設定される各領域の識別情報としてセクションIDが登録される。セクションIDは、上記の第1領域から第11領域の識別情報である。
またスケジュールデータとしては、各セクションID(第1領域から第11領域)に対応してアサイン情報が登録される。アサイン情報とは、
図6のタイムライン61に対応して登録された表示内容としてのコンテンツや情報ソースの情報である。例えば
図6の第1領域についてのアサイン情報を例示すれば、「0:00:00にコンテンツ#11」、「0:00:05にコンテンツ#12」・・・「0:00:20にコンテンツ#15」というような設定を示す情報となる。
その他、スケジュールデータとしては、スケジュールとして設定された各種の内容が登録される。
このようなスケジュールDB52におけるスケジュールデータに基づいて、情報サーバ2は各表示装置3の表示内容を認識してデジタルサイネージとしての表示動作を実行させることになる。
【0048】
スケジュールDB52に登録される情報取得用データは、ユーザ端末5からの情報取得要求に対応する情報が登録されている。
例えば第1領域から第11領域などとしての各領域11のそれぞれにアサインされた情報ソース、コンテンツ等の内容に応じた関連情報のポインタやURLが登録されている。関連情報自体が登録されていても良い。情報サーバ2は、この情報取得用データに基づいて、ユーザ端末5からの情報取得要求に対する情報送信を行うことができる。
なお情報取得用データは、システム管理者が例えば
図6のような制作画面を用いて設定することができるようにしてもよい。
例えば
図6のような制作画面において、アサインエリア63に設定した表示内容について、情報取得用データを登録するエリアを用意したり、或いは表示内容をクリックすると情報取得用データ設定画面が現れるようにするなどして、システム管理者が、各表示内容に応じた情報取得用データを任意に設定できるようにする。
【0049】
以上のスケジュールDB52や、表示装置管理DB51のデータ構造は一例に過ぎない。両DBが1つのDBに統合されるようなデータ構造もあり得るし、データ内容も多様である。少なくとも後述する処理に必要なデータが登録されていればよい。
またスケジュールDB52や表示装置管理DB51は、情報サーバ2がアクセス可能とされていればどのような形態で実現されていてもよい。例えば情報サーバ2と同一システム内の記憶部に各DB(51,52)のすべてが形成されていてもよいし、各DB(51,52)の一部又は全部が別体、遠隔地等のコンピュータシステムに設けられていてもよい。もちろん各DB(51,52)が一つの装置(例えば一つのHDD等)内に形成されている必要はない。また各DB(51,52)のそれぞれが、それぞれ1つのDBとして構成される必要もない。各DB(51,52)は、実施の形態の処理に関連する情報の記憶部を、それぞれ1つのDBの形態で例示したものに過ぎない。
【0050】
<4.システム処理例>
本実施の形態のシステム動作を
図7、
図8で説明する。
図7はユーザ端末5、表示装置3、情報サーバ2の処理動作を示している。
なお、この処理の前提として、情報サーバ2は表示装置3の表示動作に関する領域レイアウトやスケジュールを設定し、そのスケジュールデータに従った表示を実行させているとする。従って表示装置3では、
図2Cのように、選択された領域レイアウト(区分パターン)で分割された各領域11において、各種の内容の情報表示が行われている。
【0051】
またユーザ端末5には、当該デジタルサイネージシステムに対応するアプリケーションプログラムがインストールされており、そのアプリケーションプログラムが起動されることで、以下説明するような、当該デジタルサイネージシステムを用いた拡張的な情報取得が可能となるものとする。
そのアプリケーションプログラムに付随して、ユーザ端末5の記憶部35には各種の基本情報が格納される。上述したように基本情報とは、例えば表示装置ID、設置位置等の情報や、その表示装置3の画面表示を実行させる際のレイアウトの情報(レイアウトID)、各レイアウトIDに対応した実際の区分パターンの情報、各領域レイアウトにおいて区分された各領域11の識別子であるセクションIDなどである。
【0052】
ユーザ端末5では、ステップS101で当該デジタルサイネージシステムに対応するアプリケーションプログラムが起動される。
アプリケーションプログラムが起動されたユーザ端末5は、逐次、必要に応じて上記の基本情報のアップデートを情報サーバ2に要求する。情報サーバ2はステップS301でアップデート要求に応じて更新情報をユーザ端末5にダウンロードする。
アップデートデータとは、例えば新たな表示装置3の設置に応じた表示装置IDや設置場所等の情報や、新たに使用されるレイアウトIDや区分パターンの情報等である。これらはユーザ端末5において記憶部35に基本情報として追加格納されていく。
【0053】
実際の使用機会は、ユーザが
図2Cのように表示装置3を見ているときとなる。表示内容のなかでユーザが興味を持つもの(広告等)があった場合、ユーザは、ユーザ端末5を用いて、その表示装置3の画面を撮像する。ここでいう撮像とは、少なくとも画像がキャプチャできる状況であればよい。ユーザ端末5で実際に静止画として撮像画像データを記録する動作としてもよいし、単に1又は複数フレームの撮像画像データを処理対象として取得するものでもよい。つまりユーザとしては、ユーザ端末5の撮像部32の被写体方向を表示装置3に向ければ良い。
【0054】
以下のユーザ端末5の詳細な処理は
図8に示しており、
図7とともに
図8を参照しながら説明する。
図7のステップS103としてユーザ端末5の制御部31は、表示装置3の画面を含む撮像画像の入力を受け付ける撮像画像受付処理を行う。これはユーザが撮像部32の被写体として表示装置3の画面全体をとらえたときの撮像画像を区分パターン検出処理の対象として取得する処理である。
詳しくは、制御部31は、
図8のステップS1031でユーザの撮像操作に応じた撮像画像データの取得状態が開始されたら、ステップS1032で解析対象とする1又は複数のフレーム画像データを特定する。静止画として取り込んだ撮像画像を解析対象として用いる場合は、そのフレーム画像データを処理対象として受け付ける。撮像画像の動画を用いる場合は、1又は所定数のフレーム画像データを解析処理の対象として受け付ける。
また制御部31はステップS1033で、当該解析対象のフレーム画像データが撮像された日時情報(年月日時分秒)をタイムスタンプとして設定し一時的に記憶する。
【0055】
ステップS103としての以上の撮像画像受付処理に続いて、
図7のステップS104で制御部31は、受け付けた撮像画像において複数領域に区分する区分パターンを抽出する区分パターン抽出処理を行う。これは受け付けたフレーム画像データを解析して、枠10となっている部分を認識し、枠10の形状を判定する処理となる。この処理は、あくまで撮像画像から枠10を構成している部分を抽出するもので、各領域11に表示されている画像内容を解析するものではない。
【0056】
ステップS105で制御部31は、撮像画像から抽出した区分パターンに対応する処理対象を認識する対象認識処理を行う。
記憶部35には、当該デジタルサイネージシステムで使用される1又は複数の領域レイアウトのパターンが記憶されている。このステップS105では、撮像画像から抽出した枠形状と、記憶部35に格納した領域レイアウトの形状とを照合する処理となる。
ユーザが実際に当該システムの表示装置3を撮像した場合、抽出される区分パターンは、ある領域レイアウトの形状と一致(認識誤差を含めた略一致状態も含む)することになる。つまり認識した区分パターンに一致する領域レイアウトが存在した場合、制御部31は、撮像画像データが、本システムの表示装置3の画面の撮像画像であり、続く選択操作対応の画像と認識する。
【0057】
このステップS105の制御部31の処理は、詳しくは
図8のように、まずステップS1051で撮像画像から抽出した枠形状と、記憶部35に格納した領域レイアウトの形状とを照合する。
ステップS1052で、照合OK(一致又は略一致)した領域レイアウトの有無に応じて処理を分岐する。
もし、照合OKとならなかった場合、制御部31はステップS1031に戻る。つまり解析対象に特定したフレーム画像データが、表示装置3の画面の撮像画像ではないと判断し、フレーム画像データの特定からやり直すものとする。
照合OKとなった場合、制御部31はステップS1053に進み、照合OKとなった領域レイアウトのレイアウトIDを記憶部35の基本情報から取得する。
【0058】
なお、上述のステップS1032で解析対象と特定する1又は複数のフレーム画像データは、必ずしも表示装置3の画面全体が含まれるものでなくても良い。ステップS104,S1051での区分パターン抽出、照合の処理が可能であれば、表示装置3の画面の一部を撮像したフレームを用いてもよい。例えば撮像されたフレーム画像データから区分パターンの特徴点がいくつか抽出され、それによって一致する領域レイアウトが特定できれば良いためである。
また、ステップS1032で解析対象とした1又は複数のフレーム画像データから区分パターンの照合がとれなかった場合は、ステップS1052からS1031に戻って、再試行すればよい。
従って、ユーザに対し、表示装置3の画面全体を含むように撮像することを強いるものとはならない。
【0059】
さらに制御部31はステップS1054で、表示装置IDを取得する。表示装置IDの取得手法は各種考えられる。
図7では、ユーザ端末5と表示装置3の間の通信を示している。例えば近距離無線通信によりユーザ端末5から識別情報要求の送信を行い、表示装置3が自己の表示装置IDをユーザ端末5に送信する。このように両者間で近距離無線通信を行うことで、制御部31は現在処理対象としている表示装置3を特定する情報を取得できる。
近距離無線通信を用いない手法もある。例えば制御部31は位置検出部38で出される現在位置情報(緯度・経度)を確認する。そして記憶部35に格納している各表示装置3の設置場所の情報と照合し、表示装置3を特定する。そしてその表示装置3の表示装置IDを記憶部35に格納した基本情報から取得する。
また、特定したレイアウトIDと表示装置3が1:1で対応するものであれば、記憶部35に予め格納してあった情報から、表示装置IDを確認することもできる。
また、制御部31は、現在位置情報を情報サーバ2に送信し、情報サーバ2が受信した現在位置情報の近辺に設置されている表示装置3を特定して、その表示装置IDをユーザ端末5に送信するような手法も考えられる。
これらのように、何らかの手法で制御部31は対象としている表示装置3を特定する。
【0060】
なお、表示装置IDの取得は、例えばユーザが或る表示装置3に近接した際に行うようにしてもよい。例えば現在位置情報や近距離無線通信を用いた手法で近くの表示装置3を特定し、表示装置3を特定することに応じて、
図7のステップS101でのアプリケーションプログラムの起動が行われるようにすることも考えられる。
また、ステップS103で撮像を開始した際に、現在位置情報や近距離無線通信を用いた手法で表示装置3を特定してもよい。
【0061】
続いて
図7のステップS106では、制御部31は撮像画像上で検出した区分パターンにより区分された複数領域のうちでユーザの選択操作の対象とされた選択領域を認識する選択操作認識処理を行う。
詳しくは、制御部31は
図8のステップS1061で選択操作の検知を行う。ユーザが選択操作を行うまでの期間はステップS1062からS1061に戻って操作を待機する。
ユーザの選択操作を検知したら、ステップS1063に進み、セクションIDを取得する。セクションIDは、特定したレイアウトIDにおける各領域11のうちで、ユーザが選択した領域のセクションIDを、記憶部35に格納した基本情報から取得する。
【0062】
ユーザの選択操作態様は各種考えられる。
図9Aのようにユーザ端末5では、表示部36の画面上に撮像画像を表示させているため、ユーザはこの表示部36でのタッチ操作や、所定の操作を用いたカーソル移動などで、選択操作を行うことができる。
表示部36に表示される撮像画像には、実際の表示装置3の各領域11の表示内容がそのまま写されているため、ユーザは単に興味を持った画像が表示されている領域を選択すればよい。しかも、そのような選択をユーザ端末5において行うことは、公共の場にある表示装置3上で或る領域11をタッチするようなものではないため、周囲の人に、何を選んだかを知られないですむことにもなる。
また、選択操作を画像認識で検知してもよい。ユーザは表示装置3で或る距離(例えば1〜3m程度)離れた位置に居ることが通常である。眼鏡型、ヘッドマウント型であって、視線方向の撮像画像が得られるユーザ端末5を所有するユーザの場合、例えば少し離れた位置から表示装置3の或る表示内容を指し示すようなジェスチャを行うようにし、制御部31がそれを認識する。例えば
図9Bは、眼鏡型のユーザ端末5において、ユーザの視線方向をとらえた撮像画像であるとする。ユーザがある領域11を指し示した場合に、そのユーザの指先の画像を認識し、指先で示される表示装置3の領域11を検出する。このような画像処理でユーザの選択操作を認識してもよい。
なお、このようなジェスチャによっても、ユーザが少々離れた位置にいて指差しを行うことで、ユーザが何を選択したかは、周囲の人にはわかりにくい。
【0063】
以上のような手法でユーザ操作を認識したら、制御部31は
図7のステップS107で情報サーバ2に対して情報取得要求を送信する。
図8のステップS107に示したように、この情報取得要求には、ステップS1054で取得した表示装置ID、ステップS1053で取得したレイアウトID、ステップS1063で取得したセクションID、及びステップS1033で設定したタイムコードを含むようにする。
【0064】
ユーザ端末5からの情報取得要求を受信した情報サーバ2は、
図7のステップS302,S303,S304の処理を行う。
まずステップS302で情報サーバ2は選択対象の表示内容判定を行う。上記の情報取得要求により、情報サーバ2は、表示装置3(表示装置ID)、領域レイアウト(レイアウトID)、及び日時(タイムスタンプ)が特定でき、さらにユーザが選択した領域11の情報をセクションIDとして取得できる。
表示装置IDを元に、表示装置管理DB51を参照して、その日時において当該表示装置が実行していた表示内容を指定するスケジュールナンバが特定できる。
またスケジュールDB52を参照すると、そのセクションIDの領域に当該時刻に表示されていた情報内容(広告コンテンツやニュース等)を特定できる。
以上により情報サーバ2は、ユーザが選択した表示内容が把握できることになる。
【0065】
続いて情報サーバ2は選択対象の表示内容に対応する関連情報を特定する。例えばスケジュールDB52において、当該選択されたスケジュールデータに対応して登録されている情報取得用データを取得する。例えば関連情報となるウェブページのURL等である。或いは、実際の関連情報コンテンツ自体を取得してもよい。
そしてステップS304で関連情報をユーザ端末5に提供するためのURL、或いは実際の関連情報としてのコンテンツをユーザ端末5に送信する。
関連情報コンテンツとは、例えば領域11に表示された広告についての付加情報などであり、テキストや画像、動画、音データなどである。
【0066】
ユーザ端末5では、制御部31はステップS108で情報サーバ2から送信されてくる情報を取得し、当該取得した情報に基づく情報出力制御を行う。情報出力とは情報の表示出力や記憶媒体への出力(つまり記憶処理)の実行制御である。もちろん音声出力という形態もあり得る。
例えば情報サーバ2からURLが送信されてきた場合、制御部31はウェブブラウザを起動し、当該URLで指定されたウェブページの画像を表示部36に表示させる。
また情報サーバ2から関連情報としてのコンテンツ自体が送信されてきた場合、制御部31は当該関連情報コンテンツを表示部36に表示させたり、記憶部35に記憶させたりする。関連情報コンテンツを表示部36に表示させる態様としては、いわゆるAR(augmented reality)のようにテキスト、静止画、動画等を画面内にポップアップさせて重畳表示させるようなことも可能である。例えば
図9Aのような表示装置3の画面を表示させたユーザ端末5の画面上に関連情報を重畳表示するなどである。
【0067】
以上の処理により、ユーザはデジタルサイネージシステムにより、単に表示装置3に表示される情報を知るだけでなく、興味を持った表示内容についての、より詳しい情報などの関連情報を得ることができる。
例えば表示装置3の或る領域11にコーヒーショップの広告が表示されていた場合、ユーザはその表示装置3を撮像して、ユーザ端末5上で当該広告を選択する操作を行う。すると、情報サーバから、そのコーヒーショップのホームページのURLが送られ、ユーザ端末でホームページ閲覧によりコーヒーショップの詳しい情報を知ることができる。
或いはまた、情報サーバ2が、当該コーヒーショップのクーポンやメニューなどの関連情報コンテンツを送信してくれば、ユーザ端末5でそれらが表示され、ユーザが利用することができる。
【0068】
<5.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では、以下のような各種の効果が得られ、また各種の変形例が想定される。
実施の形態のユーザ端末5(情報処理装置)は、撮像画像の入力を受け付ける撮像画像受付部41と、撮像画像受付部41が受け付けた撮像画像において複数領域に区分する区分パターンを抽出する区分パターン抽出部42と、1又は複数の区分パターンを処理対象に対応づけて予め記憶した記憶部35を参照し、撮像画像から抽出した区分パターンに対応する処理対象を認識する対象認識部43とを備える。
撮像した撮像画像上で区分パターンを抽出し、これを記憶した区分パターン(領域レイアウト)と照合することで、撮像対象の全体のコンテクストなどの特徴量を分析しなくても撮像画像に含まれている処理対象を特定できる。従って、撮像画像において、各領域に多様な画像が表示されている場合に、静止画や動画等の画像解析という比較的処理負担の高い処理を行わずに、処理対象を容易に認識できるものとなる。
【0069】
またユーザ端末5は、対象認識部43が特定した処理対象において、区分パターンで区切られた複数領域のうちで選択操作の対象とされた選択領域を認識する選択操作認識部44と、少なくとも選択操作認識部44が認識した選択領域を示す選択操作情報を含めた情報取得要求を外部装置(情報サーバ2)に送信する要求送信部45と、情報取得要求に応じて送信されてくる情報を取得し、当該取得した情報に基づく情報出力制御を行う情報出力制御部46とを備える。
つまり認識した処理対象の画像の各領域11において、ユーザ操作によって或る領域11が選択された場合、選択領域を示すセクションIDとともに情報取得要求を情報サーバ2に送信する。これにより情報サーバ2側では、選択領域に表示されている内容に関連した情報が要求されていると認識することができる。
ここで、ユーザが選択した領域11を認識することは、間接的に、ユーザが興味を持った表示内容を認識するものとなる。従ってユーザが選択した領域11を示す選択操作情報は、ユーザが興味を持った表示内容を示すものともなる。これにより情報サーバ2等の外部装置は、ユーザが取得を望む情報を判別できる。
つまり高度な画像処理で表示内容自体を解析することなく、簡単な領域区分の認識で、ユーザがどの表示内容に興味を持ったかを判定できる。
【0070】
また実施の形態において処理対象となる表示装置3の画像は、区分パターンで区分された複数領域のそれぞれについて表示内容が予め対応づけられて管理されている画像である。そしてユーザ端末5からの情報取得要求は、選択操作情報によって示す領域に対応づけられた表示内容についての関連情報の取得を要求するものである。
つまり処理対象となる表示装置3は、所定の区分パターンで区分された複数の領域11を有する状態で各種の情報を表示している。情報サーバ2側では、表示装置管理DB51やスケジュールDB52により、予め複数領域と表示内容を対応づけて管理しておくことで、選択操作情報を含む情報取得要求に応じて、表示内容を把握し、その表示内容の関連情報を直接的又は間接的に提供できる。つまりユーザが興味をもった表示内容を領域の選択操作情報から判別できるため、これによってユーザが興味をもった表示内容に関連する情報(関連情報コンテンツ)、又は関連情報へのアクセスのための情報(URL等)を提供できる。
従って実施の形態のように公共のデジタルサイネージにおける複数の表示内容について、ユーザが自己のユーザ端末5で興味のある表示を指定すれば、その関連情報が取得できる。
周囲の人には、どの情報に興味を持ったかを知られずに、所望の情報を選択し、関連情報を閲覧できることにもなる。
また領域11に提示する情報(画像コンテンツ等)を提供する側(情報サーバ2)にとっては、新しい情報を表示用としてアサインする度に、その新しい情報の内容や関連情報コンテンツを学習するという作業は省略できる。
【0071】
また処理対象となる表示装置3の画像は、区分パターンで区分された複数領域のそれぞれについて、表示内容が時間情報に対応づけられて管理されている画像である。時間情報はスケジュールDB52で管理される。
ユーザ端末5の要求送信部45は、撮像画像受付部41が撮像画像の入力を受け付けた日時情報(S1033:タイムスタンプ)を含む情報取得要求を情報サーバ2に送信する。
各領域11において時間経過に応じて表示内容を変化させる場合、情報サーバ2側では、予め複数領域と表示内容と時間情報を対応づけて管理しておくことで、領域の選択操作情報と日時情報を含む情報取得要求に応じて、ユーザが操作した日時での表示内容を把握し、その表示内容の関連情報を提供できる。
このような管理により、時間によって異なる広告を表示させておき、表示させた広告に対応する関連情報を提供することが可能となる。
特に、ユーザが表示装置3についての静止画や動画を撮像し、多少時間を経た時点で撮像された表示内容に対して選択操作を行ったとしても、情報サーバ2はその撮像時点の表示内容の関連情報を提供できる。
なお時間情報は、ある始点からの経過時間でも良いし、時刻でも良い。
【0072】
また区分パターンは直線により領域を区画するように予め定められたものとすることができる。即ち、このとき、区分パターン抽出部42は、撮像画像において直線で区画された区分パターンを抽出する。
直線により区画されていることを前提として、直線を対象として区分パターンを認識することで、コンピュータ処理として認識が容易であり、区分パターン認識処理負担が軽減される。
但し、領域レイアウトとして曲線を含む区分パターンを用いる例も考えられる。
【0073】
また区分パターン抽出部42の処理対象の画像は、区分パターンで区分された複数領域の全部又は一部に画像が表示されている表示装置3の画像であり、表示装置3に表示される画像には動画が含まれる。もしくは、各領域11の表示内容は全てを動画としてもよい。
従来の画像認識では、動画の場合は、変化する画面の全てのフレームの特徴量を予め取っておいて、リアルタイムに変化する撮像画像の各フレームの特徴量を計算して比較するという負荷が非常に大きな処理を行う。それに対し本実施の形態では、固定された区分パターンの枠10の線を認識することによって、その枠10内の領域に表示されているものが何であるかを特定することが可能となる。つまり、デジタルサイネージシステムとして、動画を表示することを想定した場合、本実施の形態のように区分パターン抽出を行い、さらに選択操作に対応して表示内容を認識できることは、非常に処理負荷を低くできるものとなる。
【0074】
なお、表示装置3の領域11に表示される内容が静止画である場合、その静止画に区分パターンにおける区分(枠10)を示す直線と紛らわしいものが含まれていることも想定される。すると、区分パターン抽出の際の誤認識の原因になることがある。本実施の形態の場合、抽出した区分パターンを、記憶した基本情報における領域レイアウトの区分パターンと照合することで、誤認識も低減できる。例えば抽出した区分パターンにおいて、記憶した領域レイアウトの区分パターンには存在しない線分が含まれていた場合も照合OKとすることが考えられる。つまり完全には一致しなくとも、少なくとも領域レイアウトの区分パターンを構成する全ての線分が、抽出した区分パターンに含まれていれば照合OKとする。このようにすれば、撮像画像から枠10と紛らわしい画像部分が抽出されても、区分パターンが一致しないとする誤認識を避けることができる。
【0075】
本発明は実施の形態の例に限らず、各種の変形例が想定される。
実施の形態ではデジタルサイネージシステムを例に挙げたが、例えば表示装置3に代えて紙媒体のポスター等を対象とするシステムも想定される。即ちポスターが枠によって区分された領域に各種の内容を表示しているものである場合、ユーザ端末5でそのポスターを撮像し、枠による区分パターン認識及び照合、処理対象の認識等を行うことで、ユーザの操作に応じた情報取得要求を情報サーバ2は送信できる。従って情報サーバ2は対応する関連情報をユーザ端末5に提供できる。
【0076】
また実施の形態の例では、情報取得要求として、表示装置ID、レイアウトID、セクションID、タイムコードを送信するものとしたが、必ずしもこれら全てを含む必要はない。
例えば表示装置3において、各領域11には常に同じ情報内容としての静止画や動画、或いはテキスト表示を行っている場合や、ポスター画像などの場合など、公共の場で発信する情報の内容に時間的変化がなければ(つまり取得すべき関連情報が変化しないものであれば)、タイムコードは不要である。
また情報サーバ2と表示装置3が1:1で対応する
図1Bのようなシステムの場合、表示装置IDは不要となる。
さらに1つの情報サーバ2に対して表示装置3が多数存在する場合でも、各表示装置に同一の領域レイアウトが採用される場合、レイアウトIDは不要となる。
また1つの表示装置3とレイアウトIDが1:1で対応する場合、つまり表示装置3毎に領域レイアウトが固有設定される場合、表示装置IDとレイアウトIDは、少なくとも一方が用いられれば良い。
また、全ての領域レイアウトにおける各領域11が、全て固有のセクションIDを設定される場合など、セクションIDのみで表示装置と領域レイアウトが把握できるため、表示装置IDとレイアウトIDは不要となる。
従ってユーザ端末5としては、最低限、ユーザが選択した領域を示すセクションIDを含む情報取得要求を情報サーバ2に送信することが必要で、他の情報はシステム形態に応じて必要となる。
【0077】
また、
図7において情報サーバ2が実行する処理として示したステップS302,S303の処理を、ユーザ端末5側で行うようにすることも考えられる。
例えば情報サーバ2はステップS301においてアップデートデータとして、表示装置管理DB51やスケジュールDB52をユーザ端末5に送信してしまう。するとユーザ端末5におけるアプリケーションプログラムによっては、ユーザの選択操作に応じて、情報サーバと通信を行わなくとも、表示装置管理DB51やスケジュールDB52を参照して選択対象の表示内容判定や、関連情報としてのURL等の取得が可能となる。これによってステップS108の関連情報の表示等が可能となる。
【0078】
<6.プログラム及び記憶媒体>
本発明の実施の形態としてのプログラムは、情報処理装置(CPU等)、例えばユーザ端末5における制御部35等に、
図4Bの各機能の処理を実行させるプログラムである。
実施の形態のプログラムは、撮像画像の入力を受け付ける撮像画像受付手順(S103)と、撮像画像受付手順で受け付けた撮像画像において複数領域に区分する区分パターンを抽出する区分パターン抽出手順(S104)と、1又は複数の区分パターンを処理対象に対応づけて予め記憶した記憶部を参照し、撮像画像から抽出した区分パターンに対応する処理対象を認識する対象認識手順(S105)とを情報処理装置に実行させる。
或いはさらに、対象認識手順で特定した処理対象において、区分パターンで区切られた複数領域のうちで選択操作の対象とされた選択領域を認識する選択操作認識手順(S106)と、少なくとも選択操作認識手順で認識した選択領域を示す選択操作情報(セクションID等)を含めた情報取得要求を外部装置(情報サーバ2等)に送信する要求送信手順(S107)と、情報取得要求に応じて送信されてくる情報を取得し、当該取得した情報に基づく情報出力制御を行う情報出力制御手順(S108)とを情報処理装置に実行させるものである場合もある。
即ちこのプログラムは、情報処理装置に対して
図7,
図8で説明したユーザ端末5の処理を実行させるプログラムである。
【0079】
このようなプログラムにより、上述したユーザ端末5としての情報処理装置を実現できる。例えばユーザ端末5にインストールするアプリケーションプログラムが実施の形態のプログラムとなる。
このようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
例えば複数の領域に分かれて各種内容が表示されている処理対象画像を含む撮像画像の入力を受け付ける。そして受け付けた撮像画像に含まれる処理対象画像を複数領域に区分する区分パターンを抽出する。抽出した区分パターンと、記憶部に予め記憶された1又は複数の区分パターンを照合し、処理対象画像から抽出した区分パターンに対応する区分パターンを特定することで、処理対象を認識する。これにより比較的付加の軽い処理で処理対象認識ができる。