【文献】
MASAFUMI YOSHIDA et al.,High-Efficiency Carrier Injection Characteristics of Dixanthene Derivatives in Organic Light-Emitting Diodes,JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,2005年,Vol.44/No.1A,p.410-p.411
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記特許文献1〜5に記載される有機電界発光素子には、発光効率になお改善の余地があることが明らかになった。また、これらの有機電界発光素子の青色純度も十分とは言えず、さらに高い青色純度を実現する必要があることも明らかになった。さらに、これらの有機電界発光素子を長時間使用し続けると、発光強度が低下する駆動劣化に伴って色度が変化してしまうこと(以下、駆動色度変化とも言う)も明らかになった。また、特許文献6に具体的な構造が開示されているのは縮合多環芳香環に対してさらに2ヶ所で縮環した化合物であり、その2ヶ所の縮環構造を形成する環員が炭素原子である化合物であるところ、このような化合物は上記の発光効率、青色純度、駆動色度変化に改善が求められることがわかった。
本発明は以上の問題を解決することを目的とするものである。本発明が解決しようとする課題は、発光効率が高くて、青色純度が優れており、駆動劣化に伴う色度変化が小さい有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、発光効率が高くて、青色純度が優れており、駆動劣化に伴う色度変化が小さい有機電界発光素子を提供することを目的として鋭意検討を進めた。その結果、縮環多環芳香環に対して、少なくとも2種の特定のドナー置換基とアクセプター置換基を導入した化合物を用いると上記の課題を解決することができることを見出して、以下に記載される本発明を提供するに至った。
【0007】
[1] 基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層が下記一般式(1)で表される化合物を含む有機電界発光素子。
【化1】
(式中、Cyは構成環が3環以上の縮合芳香環構造を表し、Dn
1とAc
1を異なる構成環に有し、各構成環はいずれも炭化水素環である。Dn
1はNR
11、O原子またはS原子を表し、u1が0の場合はさらに置換基を有する。R
11は置換基を表し、R
11はCyと結合して芳香環以外の環を形成してもよい。Ac
1は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
1は更に置換基を有していてもよい。環Z
1はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
11は環Z
1を構成する炭素原子を表し、A
12は環Z
1を構成する炭素原子または窒素原子を表す。L
1、L
2およびL
3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
12R
13またはSiR
14R
15を表し、R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u1は0または1を表し、u1が1の場合にCy、Dn
1および環Z
1によって形成される環は芳香環ではない。m1は0または1を表し、m1が0かつu1が1のときCyと環Z
1は直接結合する。n1およびq1は0または1を表し、n1およびq1のいずれか一方は0であり、n1またはq1が1の場合にCy、Ac
1およびL
2またはL
3によって形成される環はいずれも芳香環ではない。但し、Ac
1がピリジン環であるときn1およびq1のうち少なくとも一方は1である。)
[2] [1]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)中、前記Cyが置換基を有していてもよいピレン、クリセン、フルオランテン、フェナントレンで表されることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)中、前記Cyが置換基を有していてもよいピレンで表され、該ピレンの1位または3位に前記Dn
1または前記Ac
1のいずれか一方を有し、該ピレンの6位または8位に前記Dn
1または前記Ac
1のうち残りの一方を有することが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)〜一般式(5)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【化2】
(式中、Dn
2はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
2がO原子またはS原子を表す場合はu21とt24の和は0または1である。Dn
2がN原子を表す場合にu21とt24の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
2がO原子またはS原子を表す場合にu21とt24がともに0のときは、Dn
2はさらに置換基を有する。Ac
2は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2は更に置換基を有していてもよい。環Z
21および環Z
24はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
27は環Z
24を構成する炭素原子を表し、A
28は環Z
24を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
108およびR
109はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21、L
22、L
23およびL
24はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2は結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2および環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。t24は0または1を表し、t24が0の場合にピレン環の#位とDn
2は結合せず、t24が1の場合にピレン環、Dn
2および環Z
24によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。s24は0または1を表し、s24が0かつu24が1のときピレン環の#位と環Z
24は直接結合する。n22およびq23は0または1を表し、n22およびq23のいずれか一方は0であり、n22またはq23が1の場合にピレン環、Ac
2およびL
22またはL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n22またはq23が0の場合にピレン環の*位とAc
2は結合しない。但し、Ac
2がピリジン環であるときn22およびq23のうち少なくとも一方は1である。)
【化3】
(式中、Dn
3はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
3がO原子またはS原子を表す場合はu31とt34の和は0または1である。Dn
3がN原子を表す場合にu31とt34の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
3がO原子またはS原子を表す場合にu31とt34がともに0のときは、Dn
3はさらに置換基を有する。Ac
3は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3は更に置換基を有していてもよい。環Z
31および環Z
34はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
37は環Z
34を構成する炭素原子を表し、A
38は環Z
34を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115およびR
116はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31、L
32、L
33およびL
34はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3は結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3および環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。t34は0または1を表し、t34が0の場合にピレン環の#位とDn
3は結合せず、t34が1の場合にピレン環、Dn
3および環Z
34によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。m34は0または1を表し、m34が0かつt34が1のときピレン環の#位と環Z
34は直接結合する。n32およびq33は0または1を表し、n32およびq33のいずれか一方は0であり、n32またはq33が1の場合にピレン環、Ac
3およびL
32またはL
33によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32またはq33が0の場合にピレン環の*位とAc
3は結合しない。但し、Ac
3がピリジン環であるときn32およびq33のうち少なくとも一方は1である。)
【化4】
(式中、Dn
4はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
4がO原子またはS原子を表す場合はu41とt44の和は0または1である。Dn
4がN原子を表す場合にu41とt44の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
4がO原子またはS原子を表す場合にu41とt44がともに0のときは、Dn
4はさらに置換基を有する。Ac
4は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
4は更に置換基を有していてもよい。環Z
41および環Z
44はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
41は環Z
41を構成する炭素原子を表し、A
42は環Z
41を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
47は環Z
44を構成する炭素原子を表し、A
48は環Z
44を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
2、R
3、R
7およびR
8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
41、L
42、L
43およびL
44はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
42R
43またはSiR
44R
45を表し、R
42、R
43、R
44およびR
45はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u41は0または1を表し、u41が0の場合にピレン環の#位とDn
4は結合せず、u41が1の場合にピレン環、Dn
4および環Z
41によって形成される環は芳香環ではない。t44は0または1を表し、t44が0の場合にピレン環の#位とDn
4は結合せず、t44が1の場合にピレン環、Dn
4および環Z
44によって形成される環は芳香環ではない。m41は0または1を表し、m41が0かつu41が1のときピレン環の#位と環Z
41は直接結合する。m44は0または1を表し、m44が0かつt44が1のときピレン環の#位と環Z
44は直接結合する。n42およびq43は0または1を表し、n42およびq43のいずれか一方は0であり、n42またはq43が1の場合にピレン環、Ac
4およびL
42またはL
43によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n42またはq43が0の場合にピレン環の*位とAc
4は結合しない。但し、Ac
4がピリジン環であるときn42およびq43のうち少なくとも一方は1である。)
【化5】
(式中、Dn
5はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
5がO原子またはS原子を表す場合はu51とt54の和は0または1である。Dn
5がN原子を表す場合にu51とt54の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
5がO原子またはS原子を表す場合にu51とt54がともに0のときは、Dn
5はさらに置換基を有する。Ac
5は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
5は更に置換基を有していてもよい。環Z
51および環Z
54はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
51は環Z
51を構成する炭素原子を表し、A
52は環Z
51を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
57は環Z
54を構成する炭素原子を表し、A
58は環Z
54を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
2、R
6、R
7およびR
8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
51、L
52、L
53およびL
54はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
52R
53またはSiR
54R
55を表し、R
52、R
53、R
54およびR
55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u51は0または1を表し、u51が0の場合にピレン環の#位とDn
5は結合せず、u51が1の場合にピレン環、Dn
5および環Z
51によって形成される環は芳香環ではない。t54は0または1を表し、t54が0の場合にピレン環の#位とDn
5は結合せず、t54が1の場合にピレン環、Dn
5および環Z
54によって形成される環は芳香環ではない。m51は0または1を表し、m51が0かつu51が1のときピレン環の#位と環Z
51は直接結合する。m54は0または1を表し、m54が0かつt54が1のときピレン環の#位と環Z
54は直接結合する。n52およびq53は0または1を表し、n52およびq53のいずれか一方は0であり、n52またはq53が1の場合にピレン環、Ac
5およびL
52またはL
53によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n52またはq53が0の場合にピレン環の*位とAc
5は結合しない。但し、Ac
5がピリジン環であるときn52およびq53のうち少なくとも一方は1である。)
[5] [4]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
[6] [5]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
【化6】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、u21が0を表すときは、Dn
2Aはさらに置換基を有する。R
11Aは置換基を表す。Ac
2は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2は更に置換基を有していてもよい。環Z
21はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21、L
22およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2Aは結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2Aおよび環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。n22およびq23は0または1を表し、n22およびq23のいずれか一方は0であり、n22またはq23が1の場合にピレン環、Ac
2およびL
22またはL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n22またはq23が0の場合にピレン環の*位とAc
2は結合しない。但し、Ac
2がピリジン環であるときn22およびq23のうち少なくとも一方は1である。)
[7] [6]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(6)で表される化合物が下記一般式(8)で表される化合物であることが好ましい。
【化7】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、u21が0を表すときは、Dn
2Aはさらに置換基を有する。R
11Aは置換基を表す。Ac
2Aは電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2Aは更に置換基を有していてもよい。環Z
21はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2Aは結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2Aおよび環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が1の場合にピレン環、Ac
2AおよびL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。q23が0の場合にピレン環の*位とAc
2Aは結合しない。但し、Ac
2Aがピリジン環であるときq23は1である。)
[8] [7]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(8)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物であることが好ましい。
【化8】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、R
11Aは置換基を表す。A
22、A
23、A
24、A
25、A
26、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65がいずれもN原子ではない場合は、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の表すCRzのうち少なくとも1つのRzが電子吸引性置換基を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m21は0または1を表し、m21が0のときピレン環の#位とA
22は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が0の場合にピレン環の*位とA
65は結合しない。但し、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち1つのみがN原子である場合、q23は1を表す。)
[9] [8]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(10)で表される化合物が下記一般式(12)で表される化合物であることが好ましい。
【化9】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、R
11Aは置換基を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65がいずれもN原子ではない場合は、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の表すCRzのうち少なくとも1つのRzが電子吸引性置換基を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109、R
110、R
201、R
202、R
203およびR
204はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m21は0または1を表し、m21が0のとき**位とピレン環の#位は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が0の場合にピレン環の*位とA
65は結合しない。但し、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち1つのみがN原子である場合、q23は1を表す。)
[10] [5]〜[9]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(2)で表される化合物の前記q23が1であることが好ましい。
[11] [4]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
[12] [11]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(7)で表される化合物であることが好ましい。
【化10】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、u31が0を表すときは、Dn
3Aはさらに置換基を有する。R
11Bは置換基を表す。Ac
3は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3は更に置換基を有していてもよい。環Z
31はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115、R
116およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31、L
32およびL
33はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3Aは結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3Aおよび環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。n32およびq33は0または1を表し、n32およびq33のいずれか一方は0であり、n32またはq33が1の場合にピレン環、Ac
3およびL
32またはL
33によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32またはq33が0の場合にピレン環の*位とAc
3は結合しない。但し、Ac
3がピリジン環であるときn32およびq33のうち少なくとも一方は1である。)
[13] [12]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(7)で表される化合物が下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
【化11】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、u31が0を表すときは、Dn
3Aはさらに置換基を有する。R
11Bは置換基を表す。Ac
3Aは電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3Aは更に置換基を有していてもよい。環Z
31はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3Aは結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3Aおよび環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が1の場合にピレン環、Ac
3AおよびL
32によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32が0の場合にピレン環の*位とAc
3Aは結合しない。但し、Ac
3Aがピリジン環であるときn32は1である。)
[14] [13]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(9)で表される化合物が下記一般式(11)で表される化合物であることが好ましい。
【化12】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、R
11Bは置換基を表す。A
32、A
33、A
34、A
35、A
36、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75はそれぞれ独立にCRz’(隣り合う2つCRz’は共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75がいずれもN原子ではない場合は、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75の表すCRz’のうち少なくとも1つのRz’が電子吸引性置換基を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m31は0または1を表し、m31が0のときピレン環の#位とA
32は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が1の場合にピレン環、Ac
3AおよびL
32によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32が0の場合にピレン環の*位とA
75は結合しない。但し、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75のうち1つのみがN原子である場合、n32は1を表す。)
[15] [14]に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(11)で表される化合物が下記一般式(13)で表される化合物であることが好ましい。
【化13】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、R
11Bは置換基を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75はそれぞれ独立にCRz’(隣り合う2つCRz’は共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75がいずれもN原子ではない場合は、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75の表すCRz’のうち少なくとも1つのRz’が電子吸引性置換基を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119、R
120、R
211、R
212、R
213およびR
214はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m31は0または1を表し、m31が0のとき**位とピレン環の#位は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が0の場合にピレン環の*位とA
75は結合しない。但し、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75のうち1つのみがN原子である場合、n32は1を表す。)
[16] [1]〜[15]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(3)で表される化合物の前記n32が1であることが好ましい。
[17] [1]〜[16]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物の分子量が800以下であることが好ましい。
[18] [1]〜[17]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物を含む少なくとも一層の有機層が、前記発光層であることが好ましい。
[19] [1]〜[18]のいずれかに記載の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が発光材料であることが好ましい。
[20] [1]〜[19]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記発光層に、アントラセン系ホスト材料を含むことが好ましい。
[21] [1]〜[20]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が真空蒸着プロセスにて形成されてなることが好ましい。
[22] [1]〜[20]に記載の有機電界発光素子は、前記発光層が湿式プロセスにて形成されてなることが好ましい。
[23] [1]〜[22]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
[24] [1]〜[23]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
[25] [1]〜[24]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
[26] 下記一般式(1)で表されることを特徴とする有機電界発光素子用材料。
【化14】
(式中、Cyは構成環が3環以上の縮合芳香環構造を表し、Dn
1とAc
1を異なる構成環に有し、各構成環はいずれも炭化水素環である。Dn
1はNR
11、O原子またはS原子を表し、u1が0の場合はさらに置換基を有する。R
11は置換基を表し、R
11はCyと結合して芳香環以外の環を形成してもよい。Ac
1は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
1は更に置換基を有していてもよい。環Z
1はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
11は環Z
1を構成する炭素原子を表し、A
12は環Z
1を構成する炭素原子または窒素原子を表す。L
1、L
2およびL
3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
12R
13またはSiR
14R
15を表し、R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u1は0または1を表し、u1が1の場合にCy、Dn
1および環Z
1によって形成される環は芳香環ではない。m1は0または1を表し、m1が0かつu1が1のときCyと環Z
1は直接結合する。n1およびq1は0または1を表し、n1およびq1のいずれか一方は0であり、n1またはq1が1の場合にCy、Ac
1およびL
2またはL
3によって形成される環はいずれも芳香環ではない。但し、Ac
1がピリジン環であるときn1およびq1のうち少なくとも一方は1である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の有機電界発光素子は、発光効率が高くて、青色純度が優れており、駆動劣化に伴う色度変化が小さいという有利な効果を有する。また、本発明の化合物を用いれば、このような優れた有機電界発光素子を容易に製造することができる。さらに、本発明の発光装置、表示装置及び照明装置は、消費電力が小さく、青色純度が優れており、長時間使用しても色度が変わりにくいという有利な効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0011】
[一般式(1)で表される有機電界発光素子用材料]
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層が下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
【化15】
(式中、Cyは構成環が3環以上の縮合芳香環構造を表し、Dn
1とAc
1を異なる構成環に有し、各構成環はいずれも炭化水素環である。Dn
1はNR
11、O原子またはS原子を表し、u1が0の場合はさらに置換基を有する。R
11は置換基を表し、R
11はCyと結合して芳香環以外の環を形成してもよい。Ac
1は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
1は更に置換基を有していてもよい。環Z
1はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
11は環Z
1を構成する炭素原子を表し、A
12は環Z
1を構成する炭素原子または窒素原子を表す。L
1、L
2およびL
3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
12R
13またはSiR
14R
15を表し、R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u1は0または1を表し、u1が1の場合にCy、Dn
1および環Z
1によって形成される環は芳香環ではない。m1は0または1を表し、m1が0かつu1が1のときCyと環Z
1は直接結合する。n1およびq1は0または1を表し、n1およびq1のいずれか一方は0であり、n1またはq1が1の場合にCy、Ac
1およびL
2またはL
3によって形成される環はいずれも芳香環ではない。但し、Ac
1がピリジン環であるときn1およびq1のうち少なくとも一方は1である。)
【0012】
本発明の有機電界発光素子は、有機層に前記一般式(1)で表される化合物を含有することにより、発光スペクトルがシャープ化して青色純度が良好になるという特徴を有する。本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物を含む少なくとも一層の有機層が、前記発光層であることが好ましい。青色純度を良好にするためには、発光波長を短くすることも有用であることが知られている。しかしながら、発光材料の発光波長を短くすると、発光材料のS
1(最低励起一重項エネルギー準位)が大きくなるため、発光材料のS
1とホスト材料のS
1との差が小さくなるか、あるいは発光材料のS
1よりもホスト材料のS
1が大きくなってしまう。このため発光効率が低下するとともに、ホスト材料の副発光が混じって青色純度が低下するという問題も生じる。これに対して、本発明にしたがって一般式(1)で表される化合物を用いれば、高い発光効率を実現させながら、スペクトルをシャープ化させることができて、青色純度を向上させることができる。
【0013】
このような一般式(1)で表される化合物の発光スペクトルのシャープ化は、いかなる理論にも拘泥するものでもないが、まず、構成環が3環以上の縮合芳香環構造であり、各構成環がいずれも炭化水素環である骨格に対して、NR
11、O原子またはS原子であるドナー置換基と、電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基であるアクセプター置換基を、特定の態様で導入することにより、分子内の電荷の偏りにより基底状態と励起状態間の構造変化が小さくなり、従来知られていた化合物よりも発光スペクトルをシャープ化させることができる。このような化合物に類似する化合物として特開2011−79822号公報にはピリジン環がピレン環に導入された化合物13〜15が記載されているが、このようなピリジン環を導入しても分子内の電荷分布の偏りに寄与するアクセプター基としては不十分であり、実際に発光スペクトルのシャープ化などの本発明の効果は不十分であった。
【0014】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、ホール(酸化)や電子(還元)に対して安定であり、電荷の注入・輸送性が高く、ピレン環同士の会合形成が起こりにくく、素子駆動による化学反応劣化も起こりにくい。このため、駆動劣化に伴う色度変化も起こりにくい。
【0015】
以下において、一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
本発明において、前記一般式(1)の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、またさらに置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、「置換基」というとき、その置換基はさらに置換されていてもよい。例えば、本発明で「アルキル基」と言う時、フッ素原子で置換されたアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)やアリール基で置換されたアルキル基(例えばトリフェニルメチル基)なども含むが、「炭素数1〜6のアルキル基」と言うとき、置換されたものも含めた全ての基として炭素数が1〜6であることを示す。
【0016】
一般式(1)で表される化合物は、Cyは構成環が3環以上の縮合芳香環構造を表し、Dn
1とAc
1を異なる構成環に有し、各構成環はいずれも炭化水素環である。前記構成環が3環以上の縮合芳香環構造としては特に制限は無いが、本発明の有機電荷発光素子は、前記一般式(1)中、前記Cyが置換基を有していてもよいピレン、クリセン、フルオランテン、フェナントレンで表されることが好ましく、置換基を有していてもよいピレンであることがより好ましい。
前記一般式(1)中、前記Cyが置換基を有していてもよいピレンで表され、該ピレン骨格の2位、7位以外の位置にドナー基やアクセプター基を有することが好ましい。いかなる理論に拘泥するものでもないが、HOMO、LUMOが存在しやすいピレン骨格の2位、7位以外の位置にDn
1とAc
1を有することが、本発明の効果に影響が大きい。本発明の有機電荷発光素子は、特にピレン骨格の1位または3位に前記Dn
1または前記Ac
1のいずれか一方を有し、該ピレンの6位または8位に前記Dn
1または前記Ac
1のうち残りの一方を有することが特に好ましい。
【0017】
一般式(1)で表される化合物は、CyがDn
1とAc
1以外のその他の置換基を有していてもよい。
前記Cyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基としては、以下の置換基群Aが挙げられる。
《置換基群A》
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0018】
本発明の有機電界発光素子用材料は、前記一般式(1)におけるCyがピレン環であり、該ピレン環の2位、3位、4位、5位、7位、9位および10位のうち少なくとも1つが置換基であることが好ましい。置換基をピレン環のこれらの位置に有することにより、前記一般式(1)で表される化合物同士の会合が発光層内で生じにくくなり、青色純度を高めることができる。
【0019】
本発明の一般式(1)で表される有機電界発光素子用材料として用いられる化合物は、さらに会合抑制効果も有していることが、色純度改善の観点から好ましい。但し、このような会合抑制効果の大きさによって、本発明は限定されるものではない。前記一般式(1)で表される化合物がピレン系化合物である場合、ピレン系化合物はモノマー発光より長波長な会合発光(エキシマー発光)を生じやすいという性質を有しているため、会合発光により色純度の低下を招くこともある。本発明の一般式(1)で表される化合物がピレン系化合物である場合、会合抑制効果を有する置換基を有することで、ピレン環同士の会合を効果的に抑制するものと考えられる。
【0020】
本発明の有機電界発光素子用材料は、2位、3位、4位、5位、7位、9位および10位が、アルキル基、シリル基、アミノ基、フッ素原子、これらの基の少なくとも1つによって置換されたフェニル基またはピリジル基、あるいは、水素原子であることが好ましい。これらの特定の構造の置換基のみがピレン環のこれらの位置に置換していることにより、例えば無置換のフェニル基がこれらの位置に置換しているその他のピレン環化合物などよりも、会合を形成しにくくなり、駆動色度変化を小さくすることができる。
本発明の有機電界発光素子用材料は、2位、3位、4位、5位、7位、9位および10位のうち少なくとも1つが、アルキル基、シリル基、アミノ基、フッ素原子、および、これらの基の少なくとも1つによって置換されたフェニル基またはピリジル基のいずれかの置換基であることがより好ましい。
さらに、4位、5位、9位および10位のうち少なくとも1つが、アルキル基、シリル基、アミノ基、フッ素原子、および、これらの基の少なくとも1つによって置換されたフェニル基またはピリジル基のいずれかの置換基であることが特に好ましい。
【0021】
なお、本発明の有機電界発光素子用材料は、前記Cyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基どうしは共同して環を形成していないことが好ましい。但し、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、前記Cyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基のうち隣り合う2つは共同して5または6員環を形成していてもよい。形成される5または6員環は、シクロアルケニル環、ベンゼン環、ヘテロアリール環のいずれであってもよい。ヘテロアリール環としては、環を構成する原子の中に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含むものを挙げることができる。具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などを例示することができる。形成される5または6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては上記の置換基群Aが挙げられ、窒素原子上の置換基については上記の置換基群Bが挙げられる。
【0022】
前記一般式(1)で表される化合物は、Cyがピレン環であり、該ピレン環がDn
1とAc
1以外にアルキル基、シリル基、アミノ基、フッ素原子、これらの基の少なくとも1つによって置換されたアリール基または含窒素ヘテロ環基によって、少なくとも1箇所(すなわち、Dn
1とAc
1を含めると少なくとも3箇所)が置換された化合物であることが、ピレン系化合物同士の会合を抑制できる観点から好ましい。該アリール基や該含窒素ヘテロ環基の環員数に制限はないが、会合抑制の観点からは環員数がある程度小さい方が好ましく、環員数5〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
さらに、前記一般式(1)で表される化合物は、Cyがピレン環であり、該ピレン環がDn
1とAc
1以外にアルキル基、シリル基、アミノ基、フッ素原子、これらの基の少なくとも1つによって置換されたフェニル基またはピリジル基によってピレン環のうち少なくとも1箇所が置換された化合物であることがピレン系化合物同士の会合を抑制できる観点から好ましく、これらの置換基のいずれかによって1〜3箇所(すなわち、Dn
1とAc
1を含めると3〜5箇所)が置換された化合物であることがより好ましく、これらの置換基のいずれかによって1または2箇所(すなわち、Dn
1とAc
1を含めると3または4箇所)が置換された化合物であることが特に好ましく、これらの置換基のいずれかによって2箇所(すなわち、Dn
1とAc
1を含めると4箇所)が置換された化合物であることがより特に好ましい。
この中でも、前記一般式(1)で表される化合物は、Cyがピレン環であり、該ピレン環がDn
1とAc
1以外に少なくとも1つのオルトアルキル置換フェニル基を有することが、色純度を低下させることなく、化学的に安定で、会合抑制効果が高い観点から、さらに好ましい。前記オルトアルキル置換フェニル基がo−トリル基、2,6−キシリル基およびメシチル基のいずれかであることがよりさらに好ましい。
【0023】
前記一般式(1)中、Dn
1はNR
11、O原子またはS原子を表し、u1が0の場合はさらに置換基を有する。該置換基としては、後述の置換基群Bをあげることができる。
R
11は置換基を表し、R
11はCyと結合して芳香環以外の環を形成してもよい。前記R
11(窒素原子上の置換基)として、以下の置換基群Bを挙げることができる。
《置換基群B》
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、前記置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。
前記R
11は、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖、分枝または環状のアルキル基;炭素数6〜50のアリール基;炭素数5〜20であり、ヘテロ原子としてN、OおよびSのいずれかを少なくとも1つ含むヘテロアリール基;のいずれかであることがより好ましい。前記R
11は炭素数6〜14のアリール基であることが特に好ましく、炭素数6〜14のアリール基であって該アリール基が炭素数1〜10の直鎖または分枝のアルキル基で置換されていることがより特に好ましく、炭素数6のアルキル基であって該アリール基が炭素数1〜10の直鎖または分枝のアルキル基で置換されていることがさらにより特に好ましい。素数6〜14のアリール基が有していてもよい炭素数1〜10の直鎖または分枝のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシルなどが好ましく、メチル、イソプロピル、t−ブチルがより好ましい。
【0024】
Ac
1は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
1は更に置換基を有していてもよい。ここで本明細書中、前記電子吸引性置換基とは、「Hammett則のσp値が0.05よりも大きい置換基」のことを言う。
前記電子欠損性ヘテロアリール基とは、
「ヘテロ環化合物の化学」(講談社サイエンティフィク)第3頁〜4頁に記載されている様に、ヘテロアリール環内にある炭素原子のπ電子密度が1.00以下になるもの」のことを言う。
【0025】
前記Ac
1としての前記電子吸引性置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)、シアノ基、トリフルオロメチル基などを挙げることができ、その中でもシアノ基が好ましい。
【0026】
前記Ac
1としての前記電子吸引性置換基を有するアリール基としては、炭素数6〜10のアリール基に電子吸引性置換基が置換した基であることが好ましく、炭素数6のアリール基に電子吸引性置換基が置換した基であることが好ましい。前記電子吸引性置換基を有するアリール基の電子気吸引性置換基としては、前記Ac
1としての前記電子吸引性置換基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0027】
前記Ac
1としての前記電子欠損性ヘテロアリール基としては、環員数6〜14のN原子含有へテロアリール基であることが好ましく、環員数6〜14のN原子含有へテロアリール基であることがより好ましく、環員数6のN原子含有ヘテロアリール基であることが特に好ましい。
また、前記電子欠損性ヘテロアリール基は、アルキル基(さらにフッ素原子で置換されていてもよい)またはシリル基(さらにアルキル基で置換されていてもよく、好ましい範囲は前記)で置換されていることが好ましい。アルキル基またはシリル基を有することにより、色純度を低下させることなく化合物の化学的安定性が向上し、駆動色度変化が起こりにくくなる。このときのアルキル基としてはR
11がアリール基であるときに有していてもよいアルキル基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0028】
前記Ac
1は電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基であることが好ましい。
【0029】
環Z
1はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
11は環Z
1を構成する炭素原子を表し、A
12は環Z
1を構成する炭素原子または窒素原子を表す。
【0030】
L
1、L
2およびL
3はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
12R
13またはSiR
14R
15を表し、R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
CR
12R
13は、その炭素原子が一般式(1)で表される化合物の環の構成原子となり、R
12とR
13はその炭素原子に結合する水素原子または置換基を表す。R
12とR
13は同一であっても異なっていてもよい。また、R
12とR
13は共同して5または6員環を形成していてもよい。
SiR
14R
15はその珪素原子が一般式(1)で表される化合物の環の構成原子となり、R
14R
15はその珪素原子に結合する水素原子または置換基を表す。R
14R
15は同一であっても異なっていてもよい。また、R
14R
15は共同して5または6員環を形成していてもよい。
【0031】
R
12、R
13、R
14およびR
15(炭素原子上の置換基および珪素原子上の置換基)として、前記の置換基群Aを挙げることができる。
R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ペルフルオロアルキル基、アルコキシ基、フッ素原子であり、より好ましくはアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基である。R
12、R
13、R
14およびR
15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖、分枝または環状のアルキル基;炭素数6〜14のアリール基;炭素数5〜20であり、ヘテロ原子としてN、OおよびSのいずれかを少なくとも1つ含むヘテロアリール基;のいずれかであることが特に好ましく、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基であることがより特に好ましい。また、合成容易性の観点からは、R
12およびR
13が同じ置換基であることが好ましい。また、同様の観点からR
14およびR
15が同じ置換基であることが好ましい。
【0032】
R
12、R
13、R
14およびR
15は共同して5または6員環を形成していてもよい。形成される5または6員環は、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、ヘテロ環のいずれであってもよい。ヘテロ環としては、環を構成する原子の中に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含むものを挙げることができる。形成される5または6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前述の置換基群A、窒素原子上の置換基については前述の置換基群Bが挙げられる。
【0033】
本発明では、前記一般式(1)において、L
1、L
2およびL
3はそれぞれ独立にCR
12R
13およびOのいずれかであることが好ましく、CR
12R
13であることが発光色の観点からより好ましい。
【0034】
前記一般式(1)において、u1は0または1を表し、u1が1の場合にCy、Dn
1および環Z
1によって形成される環は芳香環ではない。u1は1であることが好ましい。
【0035】
前記一般式(1)において、m1は0または1を表し、m1が0かつu1が1のときCyと環Z
1は直接結合する。m1は、前記Dn
1がNR
11であるときは0であることが好ましく、前記Dn
1がO原子またはS原子であるときは1であることが好ましい。その中でも、前記Dn
1がNR
11であって、前記m1が0である組み合わせがより好ましい。
【0036】
前記一般式(1)において、n1およびq1は0または1を表し、n1およびq1のいずれか一方は0であり、n1またはq1が1の場合にCy、Ac
1およびL
2またはL
3によって形成される環はいずれも芳香環ではない。但し、Ac
1がピリジン環であるときn1およびq1のうち少なくとも一方は1である。
【0037】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)〜一般式(5)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。以下、一般式(2)〜一般式(5)の各一般式について説明する。
【化16】
(式中、Dn
2はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
2がO原子またはS原子を表す場合はu21とt24の和は0または1である。Dn
2がN原子を表す場合にu21とt24の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
2がO原子またはS原子を表す場合にu21とt24がともに0のときは、Dn
2はさらに置換基を有する。Ac
2は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2は更に置換基を有していてもよい。環Z
21および環Z
24はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
27は環Z
24を構成する炭素原子を表し、A
28は環Z
24を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
108およびR
109はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21、L
22、L
23およびL
24はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2は結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2および環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。t24は0または1を表し、t24が0の場合にピレン環の#位とDn
2は結合せず、t24が1の場合にピレン環、Dn
2および環Z
24によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。s24は0または1を表し、s24が0かつu24が1のときピレン環の#位と環Z
24は直接結合する。n22およびq23は0または1を表し、n22およびq23のいずれか一方は0であり、n22またはq23が1の場合にピレン環、Ac
2およびL
22またはL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n22またはq23が0の場合にピレン環の*位とAc
2は結合しない。但し、Ac
2がピリジン環であるときn22およびq23のうち少なくとも一方は1である。)
【0038】
【化17】
(式中、Dn
3はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
3がO原子またはS原子を表す場合はu31とt34の和は0または1である。Dn
3がN原子を表す場合にu31とt34の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
3がO原子またはS原子を表す場合にu31とt34がともに0のときは、Dn
3はさらに置換基を有する。Ac
3は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3は更に置換基を有していてもよい。環Z
31および環Z
34はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
37は環Z
34を構成する炭素原子を表し、A
38は環Z
34を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115およびR
116はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31、L
32、L
33およびL
34はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3は結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3および環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。t34は0または1を表し、t34が0の場合にピレン環の#位とDn
3は結合せず、t34が1の場合にピレン環、Dn
3および環Z
34によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。m34は0または1を表し、m34が0かつt34が1のときピレン環の#位と環Z
34は直接結合する。n32およびq33は0または1を表し、n32およびq33のいずれか一方は0であり、n32またはq33が1の場合にピレン環、Ac
3およびL
32またはL
33によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32またはq33が0の場合にピレン環の*位とAc
3は結合しない。但し、Ac
3がピリジン環であるときn32およびq33のうち少なくとも一方は1である。)
【化18】
(式中、Dn
4はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
4がO原子またはS原子を表す場合はu41とt44の和は0または1である。Dn
4がN原子を表す場合にu41とt44の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
4がO原子またはS原子を表す場合にu41とt44がともに0のときは、Dn
4はさらに置換基を有する。Ac
4は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
4は更に置換基を有していてもよい。環Z
41および環Z
44はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
41は環Z
41を構成する炭素原子を表し、A
42は環Z
41を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
47は環Z
44を構成する炭素原子を表し、A
48は環Z
44を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
2、R
3、R
7およびR
8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
41、L
42、L
43およびL
44はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
42R
43またはSiR
44R
45を表し、R
42、R
43、R
44およびR
45はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u41は0または1を表し、u41が0の場合にピレン環の#位とDn
4は結合せず、u41が1の場合にピレン環、Dn
4および環Z
41によって形成される環は芳香環ではない。t44は0または1を表し、t44が0の場合にピレン環の#位とDn
4は結合せず、t44が1の場合にピレン環、Dn
4および環Z
44によって形成される環は芳香環ではない。m41は0または1を表し、m41が0かつu41が1のときピレン環の#位と環Z
41は直接結合する。m44は0または1を表し、m44が0かつt44が1のときピレン環の#位と環Z
44は直接結合する。n42およびq43は0または1を表し、n42およびq43のいずれか一方は0であり、n42またはq43が1の場合にピレン環、Ac
4およびL
42またはL
43によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n42またはq43が0の場合にピレン環の*位とAc
4は結合しない。但し、Ac
4がピリジン環であるときn42およびq43のうち少なくとも一方は1である。)
【化19】
(式中、Dn
5はN原子、O原子またはS原子を表し、Dn
5がO原子またはS原子を表す場合はu51とt54の和は0または1である。Dn
5がN原子を表す場合にu51とt54の少なくとも一方が0を表すとき、あるいは、Dn
5がO原子またはS原子を表す場合にu51とt54がともに0のときは、Dn
5はさらに置換基を有する。Ac
5は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
5は更に置換基を有していてもよい。環Z
51および環Z
54はそれぞれ独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
51は環Z
51を構成する炭素原子を表し、A
52は環Z
51を構成する炭素原子または窒素原子を表し、A
57は環Z
54を構成する炭素原子を表し、A
58は環Z
54を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
2、R
6、R
7およびR
8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
51、L
52、L
53およびL
54はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
52R
53またはSiR
54R
55を表し、R
52、R
53、R
54およびR
55はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u51は0または1を表し、u51が0の場合にピレン環の#位とDn
5は結合せず、u51が1の場合にピレン環、Dn
5および環Z
51によって形成される環は芳香環ではない。t54は0または1を表し、t54が0の場合にピレン環の#位とDn
5は結合せず、t54が1の場合にピレン環、Dn
5および環Z
54によって形成される環は芳香環ではない。m51は0または1を表し、m51が0かつu51が1のときピレン環の#位と環Z
51は直接結合する。m54は0または1を表し、m54が0かつt54が1のときピレン環の#位と環Z
54は直接結合する。n52およびq53は0または1を表し、n52およびq53のいずれか一方は0であり、n52またはq53が1の場合にピレン環、Ac
5およびL
52またはL
53によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n52またはq53が0の場合にピレン環の*位とAc
5は結合しない。但し、Ac
5がピリジン環であるときn52およびq53のうち少なくとも一方は1である。)
【0039】
一般式(2)におけるDn
2、Ac
2の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1、Ac
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)における環Z
21、環Z
24、A
21、A
22、A
27、A
28の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)における環Z
1、A
11、A
12の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)におけるL
21、L
24の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるL
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)におけるu21、t24の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるu1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)におけるm21、s24の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるm1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)におけるL
22、L
23、n22、q23の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるL
2、L
3、n1、q1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(2)におけるR
103、R
104、R
108およびR
109がそれぞれ置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、その中でも、R
103、R
104、R
108およびR
109がピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0040】
一般式(3)におけるDn
3、Ac
3の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1、Ac
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)における環Z
31、環Z
34、A
31、A
32、A
37、A
38の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)における環Z
1、A
11、A
12の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)におけるL
31、L
34の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるL
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)におけるu31、t34の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるu1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)におけるm31、s34の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるm1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)におけるL
32、L
33、n32、q33の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるL
2、L
3、n1、q1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(3)におけるR
113、R
114、R
115およびR
116がそれぞれ置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、その中でも、R
113、R
114、R
115およびR
116がピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0041】
一般式(4)におけるDn
4、Ac
4の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1、Ac
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)における環Z
41、環Z
44、A
41、A
42、A
47、A
48の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)における環Z
1、A
11、A
12の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)におけるL
41、L
44の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるL
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)におけるu41、t44の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるu1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)におけるm41、s44の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるm1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)におけるL
42、L
43、n42、q43の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるL
2、L
3、n1、q1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(4)におけるR
122、R
123、R
127およびR
128がそれぞれ置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、その中でも、R
122、R
123、R
127およびR
128がピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0042】
一般式(5)におけるDn
5、Ac
5の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1、Ac
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)における環Z
51、環Z
54、A
51、A
52、A
57、A
58の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)における環Z
1、A
11、A
12の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)におけるL
51、L
54の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるL
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)におけるu51、t54の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるu1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)におけるm51、s54の説明と好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるm1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)におけるL
52、L
53、n52、q53の説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるL
2、L
3、n1、q1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(5)におけるR
132、R
136、R
137およびR
138がそれぞれ置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、その中でも、R
132、R
136、R
137およびR
138がピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0043】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(2)〜一般式(5)の中でも前記一般式(2)または一般式(3)で表される化合物であることがより好ましい。以下、前記一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物のさらに好ましい構造について説明する。
【0044】
(一般式(2)で表される化合物)
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(2)において、前記q23が1であることが好ましい。なお、この場合、n22は0となる。
【0045】
前記一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
【化20】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、u21が0を表すときは、Dn
2Aはさらに置換基を有する。R
11Aは置換基を表す。Ac
2は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2は更に置換基を有していてもよい。環Z
21はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21、L
22およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2Aは結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2Aおよび環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。n22およびq23は0または1を表し、n22およびq23のいずれか一方は0であり、n22またはq23が1の場合にピレン環、Ac
2およびL
22またはL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n22またはq23が0の場合にピレン環の*位とAc
2は結合しない。但し、Ac
2がピリジン環であるときn22およびq23のうち少なくとも一方は1である。)
【0046】
一般式(6)において、一般式(2)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(2)における好ましい範囲と同様である。
一般式(6)におけるDn
2Aの説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(6)におけるDn
2Aがさらに有していてもよい置換基としては、後述の一般式(10)におけるA
22、A
23、A
24、A
25およびA
26が形成する環であり、後述する。
一般式(6)におけるR
110が置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、ピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0047】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(6)で表される化合物が下記一般式(8)で表される化合物であることが好ましい。
【化21】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、u21が0を表すときは、Dn
2Aはさらに置換基を有する。R
11Aは置換基を表す。Ac
2Aは電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
2Aは更に置換基を有していてもよい。環Z
21はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
21は環Z
21を構成する炭素原子を表し、A
22は環Z
21を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u21は0または1を表し、u21が0の場合にピレン環の#位とDn
2Aは結合せず、u21が1の場合にピレン環、Dn
2Aおよび環Z
21によって形成される環は芳香環ではない。m21は0または1を表し、m21が0かつu21が1のときピレン環の#位と環Z
21は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が1の場合にピレン環、Ac
2AおよびL
23によって形成される環はいずれも芳香環ではない。q23が0の場合にピレン環の*位とAc
2Aは結合しない。但し、Ac
2Aがピリジン環であるときq23は1である。)
【0048】
一般式(8)において、一般式(6)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(6)における好ましい範囲と同様である。
一般式(8)におけるAc
2Aの説明と好ましい範囲は、前記一般式(6)におけるAc
2の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(8)におけるAc
2Aがさらに有していてもよい置換基としては、後述の一般式(10)および(12)におけるA
61、A
62、A
63、A
64、A
65が形成する環がさらに有していてもよい置換基の範囲と同様であり、後述する。
一般式(8)におけるR
105が置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、ピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0049】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(8)で表される化合物が下記一般式(10)で表される化合物であることが好ましい。
【化22】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、R
11Aは置換基を表す。A
22、A
23、A
24、A
25、A
26、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65がいずれもN原子ではない場合は、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の表すCRzのうち少なくとも1つのRzが電子吸引性置換基を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109およびR
110はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m21は0または1を表し、m21が0のときピレン環の#位とA
22は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が0の場合にピレン環の*位とA
65は結合しない。但し、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち1つのみがN原子である場合、q23は1を表す。)
【0050】
一般式(10)において、一般式(8)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(8)における好ましい範囲と同様である。
【0051】
一般式(10)におけるA
22、A
23、A
24、A
25およびA
26はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。
一般式(10)におけるA
22、A
23、A
24、A
25、A
26に含まれる窒素原子は1個以下であることが好ましく、0個であることがより好ましい。その場合におけるA
22、A
23、A
24、A
25、A
26のうち、窒素原子の好ましい位置は特に限定されない。
【0052】
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26のうちの2つ以上がCRzを表すとき、そのうちの隣り合う2つの炭素原子の有する各置換基(対応するRzどうし)は共同して5または6員環を形成しないことが本発明では好ましいが、共同して5または6員環を形成していてもよい。形成される5または6員環は、シクロアルケニル環、ベンゼン環、ヘテロアリール環のいずれであってもよい。ヘテロアリール環としては、環を構成する原子の中に、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含むものを挙げることができる。具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などを例示することができる。形成される5または6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては上記の置換基群Aが挙げられ、窒素原子上の置換基については上記の置換基群Bが挙げられる。形成される5または6員環はベンゼン環であることが好ましく、無置換のベンゼン環であることがより好ましい。
【0053】
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzは、水素原子または置換基を表す。
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzの置換基としては、上記の置換基群Aを挙げることができる。A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzは、フッ素原子、アルキル基、シリル基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アミノ基のいずれかを有する置換基であることが好ましい。具体的には、フッ素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、トリアルキルシリル基、フェニル基、フェノキシ基、ジアリールアミノ基を挙げることができる。
前記A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzは水素原子、アルキル基、シリル基、アリール基、アリールオキシ基を表すことが好ましく、水素原子、アルキル基またはシリル基を表すことがより好ましく、水素原子またはアルキル基を表すことが特に好ましい。
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzが表すアルキル基としては、無置換の直鎖アルキル基、無置換の分枝アルキル基、無置換のシクロアルキル基およびペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、炭素数1〜6の分枝アルキル基および炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、ネオペンチル基およびトリフルオロメチル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基およびt−ブチル基がより特に好ましい。
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzが表すシリル基としては、アルキルシリル基が好ましく、トリアルキルシリル基がより好ましい。前記トリアルキルシリル基のアルキル基は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基およびイソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。A
22、A
23、A
24、A
25、A
26がCRzを表すときのRzのうち少なくとも1つが表すシリル基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0054】
一般式(10)におけるA
61、A
62、A
63、A
64およびA
65はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65がいずれもN原子ではない場合は、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の表すCRzのうち少なくとも1つのRzが電子吸引性置換基を表す。
一般式(10)におけるA
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち少なくとも1つは窒素原子であることが好ましく、その場合におけるA
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち、窒素原子の好ましい位置は特に限定されない。
A
22、A
23、A
24、A
25、A
26のうち、窒素原子の数は1〜3であることが化合物の化学的安定性の観点から好ましく、2または3であることが青色純度をより高める観点からより好ましい。
【0055】
含窒素芳香族ヘテロ環は、ヘテロ環を構成するN原子の隣の炭素原子が反応活性位であり、N原子の隣の炭素原子が置換基を有すると酸化還元および励起状態における化学的安定性が向上し、好ましい。N原子の両隣の炭素原子に置換基を有するとより好ましい。特にN原子の両隣の炭素原子にアルキル基(フッ化アルキル基も含む)またはシリル基を導入することで、色純度を低下させることなく酸化還元および励起状態における化学的安定性が向上し、駆動色度変化を小さくすることができ、さらに、アルキル基だとより安定する。このような観点から、前記一般式(10)においてA
61、A
63およびA
65のうち少なくとも1つは窒素原子であり、かつ、A
62およびA
64がそれぞれ独立してCRzである場合が好ましい。この場合、A
62およびA
64の有する置換基Rzの少なくとも一方(好ましくはA
62およびA
64のうちN原子に隣接する方)がアルキル基またはシリル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。なお、前記一般式(10)においてA
61、A
63およびA
65がCRzである場合、好ましいRzの範囲はA
62およびA
64の有する置換基Rzの好ましい範囲と同様である。
【0056】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(10)で表される化合物が下記一般式(12)で表される化合物であることが好ましい。
【化23】
(式中、Dn
2AはNR
11A、O原子またはS原子を表し、R
11Aは置換基を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65はそれぞれ独立にCRz(Rzは水素原子または置換基を表し、隣り合う2つCRzは共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65がいずれもN原子ではない場合は、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の表すCRzのうち少なくとも1つのRzが電子吸引性置換基を表す。R
103、R
104、R
105、R
108、R
109、R
110、R
201、R
202、R
203およびR
204はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
21およびL
23はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
22R
23またはSiR
24R
25を表し、R
22、R
23、R
24およびR
25はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m21は0または1を表し、m21が0のとき**位とピレン環の#位は直接結合する。q23は0または1を表し、q23が0の場合にピレン環の*位とA
65は結合しない。但し、A
61、A
62、A
63、A
64およびA
65のうち1つのみがN原子である場合、q23は1を表す。)
【0057】
一般式(12)において、一般式(10)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(10)における好ましい範囲と同様である。
【0058】
一般式(12)におけるR
201、R
202、R
203およびR
204はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R
201、R
202、R
203およびR
204が置換基を表す場合における該置換基としては、前記一般式(10)におけるA
22、A
23、A
24、A
25およびA
26がCRzを表す場合のRzの説明と同様である。一般式(12)におけるR
201、R
202、R
203およびR
204のうち、置換基は0または1個であることが好ましい。
【0059】
(一般式(3)で表される化合物)
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(3)で表される化合物であることも好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物の前記n32が1であることが好ましい。
【0060】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(7)で表される化合物であることが好ましい。
【化24】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、u31が0を表すときは、Dn
3Aはさらに置換基を有する。R
11Bは置換基を表す。Ac
3は電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3は更に置換基を有していてもよい。環Z
31はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115、R
116およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31、L
32およびL
33はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3Aは結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3Aおよび環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。n32およびq33は0または1を表し、n32およびq33のいずれか一方は0であり、n32またはq33が1の場合にピレン環、Ac
3およびL
32またはL
33によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32またはq33が0の場合にピレン環の*位とAc
3は結合しない。但し、Ac
3がピリジン環であるときn32およびq33のうち少なくとも一方は1である。)
【0061】
一般式(7)において、一般式(3)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(3)における好ましい範囲と同様である。
一般式(7)におけるDn
3Aの説明と好ましい範囲は、それぞれ前記一般式(1)におけるDn
1の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(7)におけるDn
3Aがさらに有していてもよい置換基としては、後述の一般式(11)におけるA
32、A
33、A
34、A
35およびA
36が形成する環であり、後述する。
一般式(7)におけるR
120が置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、ピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0062】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(7)で表される化合物が下記一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
【化25】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、u31が0を表すときは、Dn
3Aはさらに置換基を有する。R
11Bは置換基を表す。Ac
3Aは電子吸引性置換基、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子欠損性ヘテロアリール基を表し、Ac
3Aは更に置換基を有していてもよい。環Z
31はアリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、A
31は環Z
31を構成する炭素原子を表し、A
32は環Z
31を構成する炭素原子または窒素原子を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。u31は0または1を表し、u31が0の場合にピレン環の#位とDn
3Aは結合せず、u31が1の場合にピレン環、Dn
3Aおよび環Z
31によって形成される環は芳香環ではない。m31は0または1を表し、m31が0かつu31が1のときピレン環の#位と環Z
31は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が1の場合にピレン環、Ac
3AおよびL
32によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32が0の場合にピレン環の*位とAc
3Aは結合しない。但し、Ac
3Aがピリジン環であるときn32は1である。)
【0063】
一般式(9)において、一般式(7)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(7)における好ましい範囲と同様である。
一般式(9)におけるAc
3Aの説明と好ましい範囲は、前記一般式(7)におけるAc
3の説明と好ましい範囲と同じである。一般式(9)におけるAc
3Aがさらに有していてもよい置換基としては、後述の一般式(11)および(13)におけるA
61、A
62、A
63、A
64、A
65が形成する環がさらに有していてもよい置換基の範囲と同様であり、後述する。
一般式(9)におけるR
119が置換基を表す場合における該置換基の範囲は、前記一般式(1)におけるCyが有していてもよいDn
1とAc
1以外のその他の置換基の範囲と同様であり、ピレン骨格を含まないことが好ましい。
【0064】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(9)で表される化合物が下記一般式(11)で表される化合物であることが好ましい。
【化26】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、R
11Bは置換基を表す。A
32、A
33、A
34、A
35、A
36、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75はそれぞれ独立にCRz’(隣り合う2つCRz’は共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75がいずれもN原子ではない場合は、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75の表すCRz’のうち少なくとも1つのRz’が電子吸引性置換基を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119およびR
120はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m31は0または1を表し、m31が0のときピレン環の#位とA
32は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が1の場合にピレン環、Ac
3AおよびL
32によって形成される環はいずれも芳香環ではない。n32が0の場合にピレン環の*位とA
75は結合しない。但し、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75のうち1つのみがN原子である場合、n32は1を表す。)
【0065】
一般式(11)において、一般式(9)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(9)における好ましい範囲と同様である。
【0066】
一般式(11)におけるA
32、A
33、A
34、A
35およびA
36の好ましい範囲は、前記一般式(10)におけるA
22、A
23、A
24、A
25およびA
26の好ましい範囲と同様である。
一般式(11)におけるA
71、A
72、A
73、A
74およびA
75の好ましい範囲は、前記一般式(10)におけるA
61、A
62、A
63、A
64およびA
65の好ましい範囲と同様である。
【0067】
本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(11)で表される化合物が下記一般式(13)で表される化合物であることが好ましい。
【化27】
(式中、Dn
3AはNR
11B、O原子またはS原子を表し、R
11Bは置換基を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75はそれぞれ独立にCRz’(隣り合う2つCRz’は共同して5または6員環を形成していてもよい)またはN原子を表す。A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75がいずれもN原子ではない場合は、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75の表すCRz’のうち少なくとも1つのRz’が電子吸引性置換基を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
119、R
120、R
211、R
212、R
213およびR
214はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。L
31およびL
32はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、CR
32R
33またはSiR
34R
35を表し、R
32、R
33、R
34およびR
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m31は0または1を表し、m31が0のとき**位とピレン環の#位は直接結合する。n32は0または1を表し、n32が0の場合にピレン環の*位とA
75は結合しない。但し、A
71、A
72、A
73、A
74およびA
75のうち1つのみがN原子である場合、n32は1を表す。)
【0068】
一般式(13)において、一般式(11)と同様の名称の基が表す範囲は、その基の一般式(11)における好ましい範囲と同様である。
【0069】
一般式(13)におけるR
211、R
212、R
213およびR
214の好ましい範囲は、前記一般式(12)におけるR
201、R
202、R
203およびR
204の好ましい範囲と同様である。
【0070】
前記一般式(1)で表される化合物を発光材料として用いるとき、有機電界発光素子の極大発光波長は通常455nm未満となる。好ましくは400nm以上455nm未満であり、より好ましくは420nm以上455nm未満であり、さらに好ましくは430nm以上455nm未満であり、色純度の高い青色発光が得られる観点から最も好ましくは440nm以上455nm未満である。
【0071】
前記一般式(1)で表される化合物は、分子量が1000以下であることが好ましく、900以下であることがより好ましく、850以下であることが特に好ましく、800以下であることがさらに好ましい。分子量を低くすることによって、昇華温度を低くすることができるため、蒸着時における化合物の熱分解を防ぐことができる。また、蒸着時間を短縮して、蒸着に必要なエネルギーを抑えることもできる。ここで、昇華温度の高い材料では長時間蒸着時に熱分解が起こり得るため、蒸着適性の観点では昇華温度は高過ぎない方がよい。前記一般式(1)で表される化合物の昇華温度(本明細書中、10質量%減少温度を意味する)は好ましくは300℃であり、より好ましくは285℃以下であり、さらに好ましくは270℃以下である。
【0072】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(1)で表される化合物は、これらの具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0076】
前記一般式(1)で表される化合物は、特開2010−111620号公報、韓国特許公報2011−0041726号等に記載の方法や、その他公知の反応を組み合わせて合成することができる。また、例えば以下のスキームを組み合わせることにより合成することが可能である。
【0077】
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
【0078】
前記一般式(1)で表される化合物を用いる発光材料として用いる場合、その極大発光波長は、455nm未満であることが好ましく、400nm以上455nm未満であることがより好ましく、420nm以上455nm未満であることが特に好ましく、430nm以上455nm未満であることがさらに好ましく、440nm以上455nm未満であることが最も好ましい。
【0079】
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有し、前記有機層が前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子の構成は、特に制限されることはない。
図1に、本発明の有機電界発光素子の構成の一例を示す。
図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に有機層を有する。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様について、基板、電極、有機層、保護層、封止容器、駆動方法、発光波長、用途の順で詳細に説明する。
【0080】
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板を有する。
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0081】
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、前記基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極を有する。
発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
【0082】
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0083】
(陰極)
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0084】
<有機層>
本発明の有機電界発光素子は、前記電極間に配置され、発光層を含む少なくとも一層の有機層を有し、前記有機層が前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。本発明の有機電界発光素子は、前記一般式(1)で表される化合物を含む少なくとも一層の有機層が、前記発光層であることが好ましい。
前記有機層は、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の全面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子における、有機層の構成、有機層の形成方法、有機層を構成する各層の好ましい態様および各層に使用される材料について順に説明する。
【0085】
(有機層の構成)
本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が発光層を含む。前記有機層が、電荷輸送層を含むことが好ましい。前記電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。前記電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。
【0086】
前記一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子の前記電極間に配置される有機層のうち、少なくとも一層に含有され、前記電極間に配置される有機層中の発光層に含有されることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は本発明の有機電界発光素子のその他の有機層に含有されていてもよい。前記一般式(1)で表される化合物を含有してもよい発光層以外の有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層など)などを挙げることができ、好ましくは、励起子ブロック層、電荷ブロック層、電子輸送層、電子注入層のいずれかであり、より好ましくは励起子ブロック層、電荷ブロック層、又は電子輸送層である。
【0087】
前記一般式(1)で表される化合物が発光層に含有される場合、一般式(1)で表される化合物は発光層の全質量に対して0.1〜100質量%含まれることが好ましく、1〜50質量%含まれることがより好ましく、2〜20質量%含まれることがより好ましい。
【0088】
前記一般式(1)で表される化合物が発光層以外の有機層に含有される場合、一般式(1)で表される化合物はその有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、80〜100質量%含まれることがより好ましく、90〜100質量%含まれることがさらに好ましい。
【0089】
(有機層の形成方法)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の湿式製膜法(溶液塗布法)のいずれによっても好適に形成することができる。
本発明の有機電界発光素子は、前記一対の電極間に配置された発光層が、前記発光層が真空蒸着プロセスまたは湿式プロセスにて形成されてなることが好ましく、前記発光層が少なくとも一層の前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の蒸着により形成されていることがより好ましい。
【0090】
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。但し、本発明における前記発光層は、このようなメカニズムによる発光に必ずしも限定されるものではない。
【0091】
本発明の有機電界発光素子における前記発光層は、前記発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と前記発光材料の混合層とした構成でもよい。前記発光材料の種類は一種であっても二種以上であってもよい。前記ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。前記ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、前記発光層は、電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
【0092】
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0093】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0094】
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有し、前記発光層の発光材料として前記一般式(1)で表される化合物を用いることがより好ましい態様である。ここで、本明細書中、ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。前記一般式(1)で表される化合物は、発光層のホスト材料として用いてもよい。
【0095】
(発光材料)
本発明の有機電界発光素子では、前記一般式(1)で表される化合物を発光材料とすることが好ましいが、その場合であっても前記一般式(1)で表される化合物とは別の発光材料を組み合わせて用いることが可能である。また、本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として使用する場合や、発光層以外の有機層に用いる場合にも、前記一般式(1)で表される化合物とは別の発光材料を発光層に用いる。
本発明において用いることができる発光材料は、燐光発光材料、蛍光発光材料等のいずれであってもよい。また、本発明における発光層は、色純度を向上させたり、発光波長領域を広げたりするために、2種類以上の発光材料を含有することができる。
【0096】
本発明の有機電界発光素子に用いることができる蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、米国特許第6303238号明細書、米国特許第6097147号明細書、WO00/57676号公報、WO00/70655号公報、WO01/08230号公報、WO01/39234号公報、WO01/41512号公報、WO02/02714号公報、WO02/15645号公報、WO02/44189号公報、WO05/19373号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−117978号公報、特開2003−133074号公報、特開2002−235076号公報、特開2003−123982号公報、特開2002−170684号公報、欧州特許公開第1211257号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報、特開2004−357791号公報、特開2006−256999号公報、特開2007−19462号公報、特開2007−84635号公報、特開2007−96259号公報等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、Ir錯体、Pt錯体が特に好ましく、Ir錯体が最も好ましい。
【0097】
本発明に使用できる蛍光発光材料の種類は特に限定されるものではないが、前記一般式(1)で表される化合物の他、例えば、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
【0098】
その他に、特開2010−111620号公報の[0082]に記載される化合物を発光材料として用いることもできる。
本発明の有機電界発光素子における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料の種類は一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0099】
(ホスト材料)
ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
【0100】
本発明の有機電界発光素子に用いることのできるホスト材料としては、前記一般式(1)で表される化合物の他、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、縮環芳香族炭化水素化合物(フルオレン、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレン等)、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。その他に、特開2010−111620の[0081]や[0083]に記載される化合物を用いることもできる。
これらのうち、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アリールアミン、縮環芳香族炭化水素化合物、金属錯体が好ましく、縮環芳香族炭化水素化合物が安定であるために特に好ましい。縮環芳香族炭化水素化合物としてはナフタレン系化合物、アントラセン系化合物、フェナントレン系化合物、トリフェニレン系化合物、ピレン系化合物が好ましく、アントラセン系化合物、ピレン系化合物がより好ましく、アントラセン系化合物が特に好ましい。アントラセン系化合物としては、WO2010/134350号公報の[0033]〜[0064]に記載のものが特に好ましく、例えば後掲の化合物H−1やH−2を挙げることができる。
【0101】
本発明の有機電界発光素子における発光層において用いることができるホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよい。
【0102】
発光層において、前記ホスト材料の膜状態での一重項最低励起エネルギー(S
1エネルギー)が、前記発光材料のS
1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。ホスト材料のS
1が発光材料のS
1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
ホスト材料の膜状態でのS
1が発光材料のS
1より小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には発光材料より大きなS
1が求められる。また、ホスト材料のS
1が発光材料より大きい場合でも、両者のS
1差が小さい場合には一部、発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や色純度低下、耐久性低下の原因となる。従って、S
1が十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められる。
【0103】
また、本発明の有機電界発光素子における発光層におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15〜95質量%であることが好ましい。発光層に、一般式(1)で表される化合物を含む複数種類のホスト化合物を含む場合、一般式(1)で表される化合物は全ホスト化合物中50〜99質量%以下であることが好ましい。
【0104】
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層以外のその他の層を有していてもよい。
前記有機層が有していてもよい前記発光層以外のその他の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層などが挙げられる。前記具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ブロック層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
本発明の有機電界発光素子は、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層を少なくとも一層含むことが好ましい。前記(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層を挙げることができる。
本発明の有機電界発光素子は、(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層少なくとも一層含むことが好ましい。前記(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陰極側から電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層を挙げることができる。
具体的には、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様の一例は、
図1に記載される態様であり、前記有機層として、陽極3側から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている態様である。
以下、これら本発明の有機電界発光素子が有していてもよい前記発光層以外のその他の層について、説明する。
【0105】
(A)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
まず、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
【0106】
(A−1)正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
【0107】
本発明の発光素子は、発光層と陽極の間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に、下記一般式(Sa−1)、一般式(Sb−1)、一般式(Sc−1)で表される化合物の内、少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
【0108】
【化31】
(式中、Xは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、置換または無置換の炭素数2〜30のアルケニレン基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレン基、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリーレン基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環を表す。R
S1、R
S2、R
S3は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S1、R
S2、R
S3同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Ar
S1、Ar
S2は、各々独立に、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。)
【化32】
(式中、R
S4、R
S5、R
S6およびR
S7は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S4、R
S5、R
S6およびR
S7同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Ar
S3は、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。)
【化33】
(式中、R
S8およびR
S9は各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S10は置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S11およびR
S12は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S11およびR
S12同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Ar
S4は、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基または置換、あるいは、無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。Y
S1、Y
S2は各々独立に、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、あるいは、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレン基を表す。nおよびmは各々独立に0〜5の整数を表す。)
【0109】
前記一般式(Sa−1)について説明する。
前記一般式(Sa−1)中、Xは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキレン基、置換または無置換の炭素数2〜30のアルケニレン基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレン基、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリーレン基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環を表す。Xとして好ましくは、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレン基であり、より好ましくは、置換または無置換のフェニレン、置換または無置換のビフェニレン、および、置換または無置換のナフチレンであり、さらに好ましくは置換または無置換のビフェニレンである。
R
S1、R
S2、R
S3は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S1、R
S2、R
S3同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。前記飽和炭素環または当該不飽和炭素環の例としては、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フルオレン、フェナレンなどがある。R
S1、R
S2、R
S3として好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、および、シアノ基であり、より好ましくは水素原子である。
Ar
S1、Ar
S2は、各々独立に、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。Ar
S1、Ar
S2として好ましくは、置換または無置換のフェニル基である。
【0110】
次に前記一般式(Sb−1)について説明する。
前記一般式(Sb−1)中、R
S4、R
S5、R
S6およびR
S7は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、または置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S4、R
S5、R
S6およびR
S7同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。前記飽和炭素環または当該不飽和炭素環の例としては、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フルオレン、フェナレンなどがある。R
S4、R
S5、R
S6およびR
S7として好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、および、シアノ基であり、より好ましくは水素原子である。
Ar
S3は、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。Ar
S3として好ましくは、置換または無置換のフェニル基である。
【0111】
次に前記一般式(Sc−1)について説明する。
前記一般式(Sc−1)中、R
S8およびR
S9は各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S8およびR
S9として好ましくは、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、メチル基およびフェニル基である。R
S10は置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S10として好ましくは置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。R
S11およびR
S12は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S11およびR
S12同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。前記飽和炭素環または当該不飽和炭素環の例としては、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フルオレン、フェナレンなどがある。R
S11およびR
S12として好ましくは、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、および、シアノ基であり、より好ましくは水素原子である。Ar
S4は、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、あるいは、置換または無置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基を表す。Y
S1、Y
S2は置換または無置換の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレンを表す。Y
S1、Y
S2として好ましくは、置換または無置換の炭素数6〜30のアリーレンであり、より好ましくは置換または無置換のフェニレンである。nは0〜5の整数であり、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは0である。mは0〜5の整数であり、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは1である。
【0112】
前記一般式(Sa−1)は、好ましくは下記一般式(Sa−2)で表される化合物である。
【0113】
【化34】
(式中、R
S1、R
S2、R
S3は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S1、R
S2、R
S3同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Q
Saは各々独立に、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、あるいは、置換または非置換のアミノ基を表す。)
【0114】
前記一般式(Sa−2)について説明する。R
S1、R
S2、R
S3は一般式(Sa−1)中のそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Q
Saは各々独立に、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、あるいは、置換または非置換のアミノ基を表す。Q
Saとして好ましくは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、および、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは水素原子、および、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
【0115】
前記一般式(Sb−1)は、好ましくは下記一般式(Sb−2)で表される化合物である。
【0116】
【化35】
(式中、R
S4、R
S5、R
S6およびR
S7は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S4、R
S5、R
S6およびR
S7同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Q
Sbは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、あるいは、置換または非置換のアミノ基を表す。)
【0117】
前記一般式(Sb−2)について説明する。R
S4、R
S5、R
S6およびR
S7は一般式(Sb−1)中のそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Q
Saは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、あるいは、置換または非置換のアミノ基を表す。Q
Saとして好ましくは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、および、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは水素原子、および、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
【0118】
前記一般式(Sc−1)は、好ましくは下記一般式(Sc−2)で表される化合物である。
【0119】
【化36】
(式中、R
S8およびR
S9は各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S10は置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環基、あるいは、置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基を表す。R
S11およびR
S12は、各々独立に水素原子、置換または無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または無置換の炭素数2〜30の複素環、または置換または無置換の炭素数5〜30の縮合多環基、ヒドロキシ基、シアノ基、あるいは、置換または無置換のアミノ基を表す。隣接するR
S11およびR
S12同士が互いに結合し、飽和炭素環または不飽和炭素環を形成してもよい。Q
Scは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、あるいは、置換または非置換のアミノ基を表す。)
【0120】
前記一般式(Sc−2)について説明する。R
S8、R
S9、R
S10、R
S11およびR
S12は一般式(Sc−1)中のそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Q
Scは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30の複素環、または置換または非置換のアミノ基を表す。Q
Scとして好ましくは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、置換または非置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは水素原子、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0121】
前記一般式(Sa−1)、(Sb−1)および(Sc−1)で表される化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0132】
前記一般式(Sa−1)、(Sb−1)または(Sc−1)で表される化合物は、特開2007−318101号公報に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0133】
本発明の発光素子において、前記一般式(Sa−1)、(Sb−1)または(Sc−1)で表される化合物は、前記発光層と前記陽極との間の有機層に含有されることが好ましく、その中でも発光層に隣接する陽極側の層に含有されることがより好ましく、正孔輸送層に含有される正孔輸送材料であることが特に好ましい。
前記一般式(Sa−1)、(Sb−1)または(Sc−1)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0134】
その他、正孔注入層および正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することもできる。
【0135】
前記正孔注入層には電子受容性ドーパントを含有することが好ましい。正孔注入層に電子受容性ドーパントを含有することにより、正孔注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子受容性ドーパントとは、ドープされる材料から電子を引き抜き、ラジカルカチオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、
例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F
4−TCNQ)などのTCNQ化合物、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT−CN)などのヘキサアザトリフェニレン化合物、酸化モリブデンなどが挙げられる。
【0136】
前記正孔注入層中の電子受容性ドーパントは、正孔注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01〜50質量%含有されることが好ましく、0.1〜40質量%含有されることがより好ましく、0.2〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0137】
(A−2)電子ブロック層
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層に用いる材料は、前記発光材料のS
1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。電子ブロック層に用いる材料の膜状態でのS
1が発光材料のS
1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0138】
(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
次に、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
【0139】
(B−1)電子注入層、電子輸送層
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子輸送材料としては、例えば前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。その他の電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の縮環炭化水素化合物等をから選ばれることが好ましく、ピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、金属錯体、縮環炭化水素化合物のいずれかであることがより好ましい。
【0140】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0141】
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
【0142】
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0143】
(B−2)正孔ブロック層
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのS
1エネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のS
1エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(1)で表される化合物以外の、正孔ブロック層を構成するその他の有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層に用いる材料は、前記発光材料のS
1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。正孔ブロック層に用いる材料の膜状態でのS
1が発光材料のS
1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0144】
(B−3)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料
本発明の有機電界発光素子は、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層の材料に特に好ましく用いられる材料として、前記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(P−1)で表される化合物および下記一般式(O−1)で表される化合物を挙げることができる。
以下、前記一般式(O−1)で表される化合物と、前記一般式(P−1)で表される化合物について説明する。
【0145】
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(O−1)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(O−1)について説明する。
【0147】
(一般式(O−1)中、R
O1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。A
O1〜A
O4はそれぞれ独立に、C−R
A又は窒素原子を表す。R
Aは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のR
Aは同じでも異なっていても良い。L
O1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価〜六価の連結基を表す。n
O1は2〜6の整数を表す。)
【0148】
R
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。R
O1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。R
O1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基又はシアノ基が挙げられ、アルキル基又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。R
O1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していても良い。R
O1のアリール基は、好ましくは置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良いフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
【0149】
A
O1〜A
O4はそれぞれ独立に、C−R
A又は窒素原子を表す。A
O1〜A
O4のうち、0〜2つが窒素原子であるのが好ましく、0又は1つが窒素原子であるのがより好ましい。A
O1〜A
O4の全てがC−R
Aであるか、又はA
O1が窒素原子で、A
O2〜A
O4がC−R
Aであるのが好ましく、A
O1が窒素原子で、A
O2〜A
O4がC−R
Aであるのがより好ましく、A
O1が窒素原子で、A
O2〜A
O4がC−R
Aであり、R
Aが全て水素原子であるのが更に好ましい。
【0150】
R
Aは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。また複数のR
Aは同じでも異なっていても良い。R
Aとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0151】
L
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。L
O1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。L
O1は前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良く、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。L
O1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0153】
n
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。n
O1は、素子効率の観点では最も好ましくは3であり、素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
【0154】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、高温保存時の安定性、高温駆動時、駆動時の発熱に対して安定して動作させる観点から、ガラス転移温度(Tg)は100℃〜300℃であることが好ましく、120℃〜300℃であることがより好ましく、120℃〜300℃であることが更に好ましく、140℃〜300℃であることが更により好ましい。
【0155】
一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(O−1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはない。
【0158】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、特開2001−335776号に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0159】
本発明の有機電界発光素子において、一般式(O−1)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、発光層に隣接する陰極側の層に含有されることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0160】
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(P)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(P)について説明する。
【0162】
(一般式(P)中、R
Pは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。nPは1〜10の整数を表し、R
Pが複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。R
Pのうち少なくとも一つは、下記一般式(P−1)〜(P−3)で表される置換基である。
【0164】
(一般式(P−1)〜(P−3)中、R
P1〜R
P3、R’
P1〜R’
P3はそれぞれアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。n
P1及びn
P2は0〜4の整数を表し、R
P1〜R
P3、R’
P1〜R’
P3が複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。L
P1〜L
P3は、単結合、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価の連結基のいずれかを表す。*は一般式(P)のアントラセン環との結合位を表す。)
【0165】
R
Pとして、(P−1)〜(P−3)で表される置換基以外の好ましい置換基はアリール基であり、より好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、更に好ましくはナフチル基である。
R
P1〜R
P3、R’
P1〜R’
P3として、好ましくはアリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、より好ましくはアリール基であり、更に好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、最も好ましくはフェニル基である。
L
P1〜L
P3として、好ましくは単結合、アリール環からなる二価の連結基のいずれかであり、より好ましくは単結合、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンのいずれかであり、更に好ましくは単結合、フェニレン、ナフチレンのいずれかである。
【0166】
一般式(P)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる一般式(P)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはない。
【0169】
前記一般式(P)で表される化合物は、WO2003/060956号公報、WO2004/080975号公報等に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0170】
本発明の有機電界発光素子において、一般式(P)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、陰極に隣接する層に含有されることがより好ましい。
一般式(P)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0171】
<保護層>
本発明において、有機電界素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。なお、保護層の材料は無機物であっても、有機物であってもよい。
【0172】
<封止容器>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0173】
<駆動方法>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0174】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、5%以上が好ましく、6%以上がより好ましく、7%以上が更に好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m
2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0175】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
【0176】
<発光波長>
本発明の有機電界発光素子は、その発光波長に制限はないが、青色または白色の発光に用いるのが好ましい。その中でも、本発明の有機電界発光素子では、前記一般式(1)で表される化合物を発光材料として用いて発光させることが好ましく、特に青色発光させることが好ましい。
【0177】
<本発明の有機電界発光素子の用途>
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、発光装置、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0178】
[発光装置]
本発明の発光装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、
図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0179】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0180】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0181】
[照明装置]
本発明の照明装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、
図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の照明装置の一例を概略的に示した断面図である。本発明の照明装置40は、
図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、
図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【0182】
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
本発明の表示装置としては、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることなどを挙げることができる。
【実施例】
【0183】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0184】
1.合成例
前記一般式(1)で表される化合物は、本明細書中に記載の方法や、その他公知の反応を組み合わせて合成することができる。以下に前記一般式(1)で表される化合物の具体的合成手順の代表例を記載する。なお、各実施例で用いたその他の前記一般式(1)で表される化合物についても、類似の方法によって合成することができる。
【0185】
(化合物2の合成)
下記スキームに従い、化合物2を合成した。
【化55】
【0186】
(2aの合成)
1,8−ジブロモピレン(30g)、2−クロロアニリン(10.6g)、tBuONa(16g)、2−Dicyclohexylphosphino−2’,4’,6’−triisopropylbiphenyl(ALDRICH社製)(4.0g)のトルエン溶液(150ml)に、窒素雰囲気下でPd(dba)
2(2.4g)を添加し、加熱環流下で12時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/食塩水に注加し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製することにより、化合物2a(10.2g)を得た。
【0187】
(2bの合成)
化合物2a(10g)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.7g)、炭酸カリウム(g)のDMAc溶液(100ml)に、窒素雰囲気下でPd(OAc)
2(0.3g)を添加し、加熱環流下で18時間攪拌した。得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマト精製することにより、化合物2b(5.5g)を得た。
【0188】
(2cの合成)
化合物2b(5.4g)、tBuONa(4.2g)、1,3−ジターシャリーブチルブロモベンゼン(東京化成製)(11.8g)、トリターシャリーブチルホスフィン(0.3g)のキシレン溶液(100ml)に、窒素雰囲気下でPd(dba)
2(0.4g)を添加し、加熱環流下で5時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/食塩水に注加し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製することにより、化合物2c(6.1g)を得た。
【0189】
(2dの合成)
化合物2c(6.0g)、ビスピナコラートジボラン(和光純薬製)(3.3g)、PdCl
2(dppf)
2・CH
2Cl
2(0.26g)、酢酸カリウム(2.6g)のトルエン溶液(300ml)を窒素雰囲気下・加熱環流下で12時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/食塩水に注加し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製することにより、化合物2d(5.4g)を得た。
【0190】
(2gの合成)
2−クロロ−6−メチルニコチン酸(10g)、ヨードエタン(5当量)、炭酸セシウム(1.5当量)のアセトニトリル溶液(100ml)を加熱環流下で6時間攪拌した。反応液を濾過し、無機塩を除去した後、減圧にて濃縮した。クロロホルムに溶解し、重曹水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮することで、化合物2g(9.7g)を得た。
【0191】
(2eの合成)
化合物2d(5.2g)、化合物2g(1.9g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd
2(dba)
3)(0.4mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)(0.35mg)、リン酸カリウム( 3.6g)を混合し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、酢酸エチル、純水を添加し、有機層を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、化合物2e(4.7g)を得た。
【0192】
(2fの合成)
化合物2e(4.5g)のTHF溶液(50ml)に−78℃にて3当量のメチルグリニヤ試薬を作用させて、反応をおこなった。反応液を酢酸エチル/食塩水に注加し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧にて濃縮した。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマト精製することにより、化合物2f(3.4g)を得た。
【0193】
(化合物2の合成)
化合物2f(3.2g)のジクロロメタン/メタンスルホン酸=1/1溶液(60ml)を氷冷下で2時間攪拌した。反応液を氷水に注加し、更に水酸化ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチルを加えて、有機層を抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮し、濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、化合物2(1.46g)を得た。なお、得られた化合物の同定は元素分析、NMR及びMASSスペクトルにより行った。
【0194】
2.材料物性評価
(試験例)
(a)発光波長
厚み0.7mm、2.5cm角の石英ガラス基板上に、真空蒸着法により、下記ホスト化合物H−1と下記表1記載の各発光材料を質量比(99:1)となるように膜厚50nmの薄膜を形成し、その上にアルミを100nm蒸着した。得られた膜に350nmのUV光を照射し、発光させたときの発光スペクトルを蛍光分光光度計(FP−6300、日本分光(株)製)を用いて測定し、極大発光波長を以下の基準で、3段階で評価した。
○:440nm以上455nm未満。
△:430nm以上440nm未満、455nm以上465nm未満。
×:430nm未満、465nm以上。
【化56】
【0195】
(b)スペクトル半値幅
上記(a)発光波長で測定した発光スペクトルにおけるスペクトル半値幅FWHM(1%)(エネルギー換算)を以下の基準で、3段階で評価した。
○:0.20eV未満。
△:0.20eV以上0.25eV未満。
×:0.25eV以上。
【0196】
(c)会合副発光抑制
上記ホスト化合物H−1と下記表1記載の各発光材料の質量比を93:7に変える以外は(a)発光波長の測定と同様にして作製した膜において、(b)スペクトル半値幅の測定と同様にスペクトル半値幅FWHM(7%)を測定した。この各発光材料7%ドープ膜と、(b)スペクトル半値幅の測定で測定した1%ドープ膜のスペクトル半値幅比(FWHM(7%)/FWHM(1%))を以下の基準で、3段階で評価した。
○:1.1未満。
△:1.1以上1.2未満。
×:1.2以上。
【0197】
(d)蒸着適性
下記表1に発光材料として記載した各化合物を20mg用いて、真空TG/DTA測定(昇温速度2℃/分、真空度約10
-2Pa)を行い、10質量%減少温度を以下の2段階で評価した。
○:300℃未満。
×:300℃以上。
【0198】
下記表1で比較発光材料として用いた比較化合物1〜4は下記の構造である。
【化57】
(比較発光材料)
【0199】
上記(a)〜(d)で得られた各発光材料の物性試験の結果を下記表1に記載した。
【0200】
【表1】
【0201】
3.有機電界発光素子の作製と評価
有機電界発光素子の作製に用いた材料は全て昇華精製を行い、高速液体クロマトグラフィー(東ソーTSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.9%以上であることを確認した。
【0202】
(実施例1)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
なお、以下の実施例及び比較例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.1nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。また、以下の各層厚みは水晶振動子を用いて測定した。
【0203】
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:HT−2:膜厚30nm
第3層:H−1及び表1中に記載の発光材料(質量比=93:7):膜厚30nm
第4層:ET−1:膜厚30nm
【0204】
この上に、フッ化リチウム1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。このとき、フッ化リチウムの層上に、パターニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウムを蒸着した。
得られた積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、発光部分が2mm×2mmの正方形である有機電界発光素子1−1〜1−10、および比較用の有機電界発光素子1−1〜1−4を得た。各素子とも発光材料に由来する発光が観測された。得られた各有機電界発光素子について、以下の試験を行った。
【0205】
(a)外部量子効率
KEITHLEY社製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加して発光させ、その輝度を輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長はスペクトルアナライザー(PMA−11、浜松ホトニクス(株)製)を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m
2付近の外部量子効率(η)を輝度換算法により算出し、比較化合物3を用いた有機電界発光素子の値を1.0とした相対値で表わした。数字が大きいほど効率が良いことを示しているため、好ましい。
【0206】
(b) 色度
各有機電界発光素子を輝度が1000cd/m
2となるように直流電圧を印加して発光させたときの発光スペクトルから色度(x、y)を求めた。このときのy値から以下の4段階で色度を評価した。
◎: 0.05≦y≦0.10。
○: 0.04≦y<0.05、0.10<y≦0.15。
△: 0.03≦y<0.04、0.15<y≦0.20。
×: y<0.03、0.20<y。
【0207】
(c) 駆動劣化後の色度
各有機電界発光素子を輝度が1000cd/m
2になるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が500cd/m2に低下したときの色度(x’、y’)を発光スペクトルから求めた。駆動劣化前後のy値の変化Δy(=|y’−Δy|)から、以下の3段階で駆動劣化後の色度変化を評価した。
○: Δy≦0.01。
△: 0.01<Δy≦0.02。
×: 0.02<Δy。
【表2】
【0208】
(実施例2)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。なお、表3の外部量子効率は、比較化合物3を用いた有機電界発光素子の外部量子効率を1.0としたときの相対値で表示している。
第1層:HT−4:膜厚50nm
第2層:HT−3:膜厚45nm
第3層:H−2及び表3中に記載の発光材料(質量比=95:5):膜厚25nm
第4層:ET−5:膜厚5nm
第5層:ET−3:膜厚20nm
【表3】
【0209】
(実施例3)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。なお、表4の外部量子効率は、比較化合物3を用いた有機電界発光素子の外部量子効率を1.0としたときの相対値で表示している。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:HT−2:膜厚30nm
第3層:H−1及び表4中に記載の発光材料(質量比=95:5):膜厚30nm
第4層:ET−4:膜厚30nm
【表4】
【0210】
(実施例4)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。なお、表5の外部量子効率は、比較化合物3を用いた有機電界発光素子の外部量子効率を1.0としたときの相対値で表示している。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:HT−1:膜厚30nm
第3層:H−3及び表5中に記載の発光材料(質量比=93:7):膜厚30nm
第4層:ET−4:膜厚30nm
【表5】
【0211】
(実施例5)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。なお、表6の外部量子効率は、比較化合物3を用いた有機電界発光素子の外部量子効率を1.0としたときの相対値で表示している。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:HT−2:膜厚30nm
第3層:H−4及び表6中に記載の発光材料(質量比=93:7):膜厚30nm
第4層:ET−2:膜厚30nm
【表6】
【0212】
【化58】
【0213】
(実施例5)
(有機EL素子評価(塗布))
−発光層形成用塗布液の調製−
発光材料としての化合物2(0.1質量%)、下記ホスト材料PH−1(0.9質量%)に、メチルエチルケトン(98.99質量%)を混合し、発光層形成用塗布液1を得た。
発光層形成用塗布液1において発光材料としての化合物2を発光材料としての化合物9、17に変更した以外は発光層形成用塗布液1と同様にして、発光層形成用塗布液2〜3を調製した。
また、発光層形成用塗布液1〜3において、ホスト材料PH−1をホスト材料H−2に変更した以外は発光層形成用塗布液1〜3と同様にして、発光層形成用塗布液4〜6をそれぞれ調製した。
【化59】
【0214】
また、比較として、発光層形成用塗布液1における発光材料2を比較化合物3に変更した以外は発光層形成用塗布液1と同様にして、比較発光層形成用塗布液1を調整した。
【0215】
(素子作製手順)
−有機電界発光素子P1の作製−
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを150nmの厚みで蒸着し製膜したものを透明支持基板とした。この透明支持基板をエッチング、洗浄した。
このITOガラス基板上に、下記構造式で表されるPTPDES−2(ケミプロ化成製、Tg=205℃)2質量部を電子工業用シクロヘキサノン(関東化学製)98質量部に溶解し、厚みが約40nmとなるようにスピンコート(2,000rpm、20秒間、)した後、120℃で30分間乾燥と160℃で10分間アニール処理することで、正孔注入層を成膜した。
【0216】
【化60】
【0217】
この正孔注入層上に前記発光層形成用塗布液1を厚みが約40nmとなるようにスピンコート(1,300rpm、30秒間)し、発光層とした。
次いで、発光層上に、電子輸送層として、下記構造式で表されるBAlq(ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニル−フェノラト)−アルミニウム(III))を、厚みが40nmとなるように真空蒸着法にて形成した。
電子輸送層上に、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を、厚みが1nmとなるように真空蒸着法にて形成した。更に金属アルミニウムを70nm蒸着し、陰極とした。
以上により作製した積層体を、アルゴンガスで置換したグロ−ブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止することで、有機電界発光素子P1を作製した。
【0218】
有機電界発光素子P1において、発光層形成用塗布液1を発光層形成用塗布液2〜6に変更した以外は、有機電界発光素子P1と同様にして、有機電界発光素子P2〜6を作製した。
また、比較として、有機電界発光素子P1において、発光層形成用塗布液1を比較発光層形成用塗布液1に変更した以外は、有機電界発光素子P1と同様にして、有機電界発光素子P7を作製した。
【0219】
有機電界発光素子P7について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表7に示す。なお、表7の外部量子効率は、比較化合物1を用いた有機電界発光素子の外部量子効率を1.0としたときの相対値で表示している。
【0220】
【表7】
【0221】
表2〜表7より、本発明の有機電界発光素子は、発光効率が高くて、青色純度が優れており、駆動劣化に伴う色度変化が小さいことがわかった。