特許第6046891号(P6046891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046891
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20161212BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20161212BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/24 M
   !H01M8/12
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-278654(P2011-278654)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-131331(P2013-131331A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 州央
(72)【発明者】
【氏名】桑葉 孝一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉口 仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 光博
(72)【発明者】
【氏名】小野 孝
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−228605(JP,A)
【文献】 特開2008−066127(JP,A)
【文献】 特開2002−164023(JP,A)
【文献】 特開2011−173751(JP,A)
【文献】 特開2007−240948(JP,A)
【文献】 特開2004−017682(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114811(WO,A1)
【文献】 特開平04−056076(JP,A)
【文献】 特表2010−517230(JP,A)
【文献】 特開昭53−047013(JP,A)
【文献】 特開2008−034205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/24
H05K 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、前記スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスを前記スタックに供給させるカソードガス流路と、前記スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、前記断熱層を介して前記スタックに対向すると共に、前記スタック、前記断熱層、前記カソードガス流路および前記排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、
前記筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、
前記筐体を構成する側壁および底壁は、当該壁における中央領域が当該壁における両端よりも前記スタックから離れるように、外方に向けて湾曲形状とされ、
前記断面において、前記側壁のうち一端領域の内壁面および他端領域の内壁面をほぼ鉛直方向に沿って仮想的に結ぶ仮想直線に対して、前記側壁の中央領域の外方への最大湾曲突出量をδとし、前記側壁の高さをHAとするとき、δ/HA=1×10-5〜1×10-1の範囲内とされている燃料電池装置。
【請求項2】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、前記外基板および前記内基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、
前記外基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方の基板に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する燃料電池装置。
【請求項3】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、前記外基板および前記内基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、
前記外基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する燃料電池装置。
【請求項4】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、前記外基板および前記内基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、
前記外基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する燃料電池装置。
【請求項5】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、前記外基板および前記中間基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、前記内基板および前記中間基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、
前記外基板、前記中間基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方の基板に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する燃料電池装置。
【請求項6】
請求項2または5において、前記断面において、前記曲成爪の断面形状は、Lの字形状、コの字形状、Oの字形状、Cの字形状、Mの字形状、Nの字形状、Pの字形状、Wの字形状、Vの字形状、くの字形状、これらの逆字形状、および、これらの酷似形状のうちの少なくとも一つとされている燃料電池装置。
【請求項7】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、前記外基板および前記中間基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、
前記外基板、前記中間基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する燃料電池装置。
【請求項8】
請求項1において、前記断面において、前記筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、前記外基板および前記中間基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、前記内基板および前記中間基板は、前記カソードガス流路および前記排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、
前記外基板、前記中間基板および前記内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する燃料電池装置。
【請求項9】
請求項1において、前記断面において、前記底壁の両端の内壁面同士をほぼ水平方向に沿って仮想的に結ぶ仮想直線に対して、前記底壁の中央領域の外方への最大湾曲突出量をδ2とし、前記底壁の長さ寸法をHA2とするとき、δ2/HA2=1×10−5〜1×10−1の範囲内とされている燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタックを収容する筐体を有する燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池装置は、燃料を改質させることにより水素を含むアノードガスを生成させる改質器と、改質器で生成されたアノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、改質器、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを有する(特許文献1,2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−319462号公報
【特許文献2】特開2005−100942号公報
【特許文献3】特開2008−66127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した燃料電池装置によれば、スタックの運転により筐体の内部が高温になると、筐体の側壁が熱膨張に起因して変形するおそれがある。この場合、側壁がスタック側に突出するように変形すると、側壁が筐体の内部の断熱層を加圧させ、内部部品の一つである断熱層が変形しスタック近傍の流路幅を狭めたり、損傷したりするおそれがある。場合によっては、内部部品の重要部品であるスタックが変形したり、損傷したりするおそれがある。この場合、筐体の変形に起因してカソードガス流路や排ガス流路が歪んで狭くなるおそれがあり、カソードガスや排ガスの流量の目標値が変動するおそれがあった。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、運転時における熱膨張等による筐体の過剰変形を抑え、変形した筐体に起因する筐体内の内部部品の変形および損傷を抑制させるのに有利な燃料電池装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の様相1に係る燃料電池装置は、アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向または水平方向に沿って切断した断面において、筐体を構成する側壁および底壁のうちの少なくとも一方は、当該一方における中央領域が当該一方における両端よりもスタックから離れるように外方に向けて湾曲形状とされている。
【0007】
本様相によれば、筐体はスタックを収容するものであり、少なくとも側壁および底壁を有する。筐体の高さ方向または水平方向に沿って切断した断面において、筐体を構成する側壁および底壁のうちの少なくとも一方の壁は湾曲形状とされている。即ち、当該壁における中央領域は、当該壁における両端よりもスタックから離れるように湾曲されている。このため、燃料電池装置の運転時において、筐体の内部が高温状態となる場合において、熱膨張などに起因して、万一、筐体の側壁および底壁がスタック等の内部部品に近づくように変形したとしても、側壁や底壁がスタック等の内部部品を変形させたり、損傷させたりすることが抑制される。湾曲形状としては、燃料電池装置の組付前において、側壁や底壁に湾曲形状に予め賦形されていても良いし、あるいは、平板状の側壁や底壁を燃料電池装置として組み付けることにより支柱等にあてがって湾曲させることにしても良い。
【0008】
(2)本発明の様相2に係る燃料電池装置によれば、様相1において、前記断面において、側壁のうち一端領域の内壁面および他端領域の内壁面をほぼ鉛直方向に沿って仮想的に結ぶ仮想直線に対して、側壁の中央領域の外方への最大湾曲突出量をδとし、側壁の高さをHAとするとき、δ/HA=1×10-5〜1×10-1の範囲内とされている。δ/HAについて、上限値としては、5×10-2、1×10-2が例示される。下限値としては、5×10-5、1×10-4、5×10-4、更には1×10-3が例示される。但し上限値および下限値はこれらに限定されるものではない。絶対値としては、HAが20〜1000ミリトールの場合には、δは0.2〜100ミリメートル、0.5〜50ミリメートル、0.5〜30ミリメートルが例示される。但しこれらに限定されるものではない。底壁についても同様にできる。
【0009】
(3)本発明の様相3に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方の基板に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する。曲成爪は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの少なくとも一方の流路幅を規定できる。熱膨張で筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0010】
(4)本発明の様相4に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する。ディンプル状の膨出突起は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの少なくとも一方の流路幅を規定できる。熱膨張で筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0011】
(5)本発明の様相5に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する。筐体の熱膨張があったとしても、外基板および内基板の無用な変形を抑制でき、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路幅を規定させるのに有利である。熱膨張で筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0012】
(6)本発明の様相6に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、内基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する。曲成爪は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの少なくとも一方の流路幅を規定でき、熱膨張で筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0013】
(7)本発明の様相7に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、曲成爪の断面形状は、Lの字形状、コの字形状、Oの字形状、Cの字形状、Mの字形状、Nの字形状、Pの字形状、Wの字形状、Vの字形状、くの字形状、これらの逆字形状、および、これらの酷似形状のうちの少なくとも一つとされている。逆字形状は左右逆、上下逆の場合も含む。酷似とは、変形されているが、通常者であれば、その字体であると視認できる範囲をいう。このような曲成爪は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの少なくとも一方の流路幅を規定できる。従って、筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0014】
(8)本発明の様相8に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する。ディンプル状の膨出突起は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの少なくとも一方の流路幅を規定できる。従って、筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【0015】
(9)本発明の様相9に係る燃料電池装置によれば、上記様相において、前記断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、内基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する。筐体の熱膨張があったとしても、外基板および内基板の無用な変形を抑制でき、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路幅を規定させる。従って、筐体の変形が発生するとしても、ガスの偏流を抑制させるのに有利である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る燃料電池装置によれば、スタックの運転により筐体の内部が高温になったとしても、側壁および底壁のうちの少なくとも一方の壁が熱膨張などに起因してスタック側に過剰に突出するように湾曲するように変形することが抑制される。従って、側壁および底壁のうちの少なくとも一方の壁が筐体の内部の断熱層を加圧させることが抑制される。ひいては、断熱層やスタック等の内部部品の変形および損傷が抑制される。更に、筐体の変形等に起因してカソードガスや排ガスの流量の変動を抑えるのに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係り、燃料電池装置を高さ方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
図2】実施形態2に係り、燃料電池装置を高さ方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
図3】実施形態2に係り、燃料電池装置の筐体を高さ方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
図4】実施形態2に係り、燃料電池装置の筐体を組み付ける過程を模式的に示す斜視図である。
図5】中間基板の側壁に形成されている曲成爪が曲成される前の状態を示す図である。
図6】中間基板の曲成爪が曲成された後の状態を示す図である。
図7】内基板の側壁に形成されている曲成爪が曲成される前の状態を示す図である。
図8】内基板の曲成爪が曲成された後の状態を示す図である。
図9】実施形態3に係り、外側基板、中間基板、内基板の結合形態を高さ方向に沿って切断した断面図である。
図10】実施形態4に係り、燃料電池装置の筐体を組み付ける過程を模式的に示す斜視図である。
図11】実施形態5に係り、燃料電池装置を高さ方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
図12】実施形態5に係り、燃料電池装置の筐体を組み付ける過程を模式的に示す断面図である。
図13】実施形態6に係り、曲成爪の例示形態を模式的に示す断面図である。
図14】実施形態7に係り、燃料電池装置の筐体を組み付ける過程を模式的に示す断面図である。
図15】実施形態8に係り、燃料電池装置を高さ方向に沿って切断した状態を模式的に示す断面図である。
図16】実施形態9に係り、筐体の外基板の概念を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
高さ方向に沿った断面において、筐体は、外基板および内基板を備えていることが好ましい。また、筐体は、外基板、中間基板および内基板を備えていることが好ましい。外基板、中間基板および内基板は、断面で、上面開口部を備えるU字形状とすることができる。外基板、中間基板および内基板は、断面で、下面開口部を備える逆U字形状とすることができる。また外基板、中間基板および内基板は、平板状でも良い。要するに、筐体の高さ方向に沿った断面において、筐体を構成する側壁および底壁のうちの少なくとも一方は、当該一方における中央領域が当該一方における両端よりもスタックから離れるように外方に向けて湾曲形状とされていれば良い。各基板は溶接で結合させても良いし、ボルトナット等の機械的要素で結合させても良い。基板については、組付前において、歪み除去等のために、必要に応じて焼鈍等の熱処理を施すことも好ましい。
【0019】
(実施形態1)
図1は燃料電装置の概念を模式的に示す。図1は、燃料電池装置をこれの高さ方向(矢印H方向)に沿って切断した断面を示す。図1に示すように、燃料電池装置は固体酸化物形燃料電池(SOFC)であり、燃料を改質させることにより水素を含むアノードガスを生成させる改質器300と、改質器300で生成されたアノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタック400と、スタック400の外側を覆う断熱材料で形成された側断熱層801および底断熱層802を有する断熱層800と、空気であるカソードガス(酸化剤含有ガス)をスタック400のカソード(酸化剤極)に供給させるカソードガス流路(図略)と、スタック400の発電運転に伴い発生する高温の排ガスを外部に排出させる排ガス流路(図略)と、筐体200とを有する。
【0020】
図1に示すように、筐体200は、改質器300、スタック400、断熱層800、カソードガス流路500および排ガス流路600を収容する。筐体200は、側断熱層801を介してスタック400の側面400sに対向する側壁200sと、底断熱層802を介してスタック400の底面400bに対向する底壁200bと、上面を閉鎖する閉鎖蓋201とを有する。図示しないものの、図1の紙面の手前側および奥方には側蓋が取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、側壁200sは、外方(KA方向)に向けて湾曲形状に曲成されている。即ち、基本的には、側壁200sにおける中央領域200cは、両端である上縁200uおよび下縁200dよりもスタック400から離れるように湾曲されている。
【0022】
底壁200bは、外方(KB方向)に向けて湾曲形状に曲成されている。即ち、基本的には、底壁200bにおける中央領域200bcは、底壁200bにおける両端200beよりもスタック400から離れるように湾曲されている。湾曲の程度は、燃料電池装置の種類、スタック400の運転温度などに応じて適宜選択され、ユーザの肉眼で明確に視認できる程度でも良いし、あるいは、肉眼では視認しにくい程度でも良い。
【0023】
燃料電池装置の組付前において、側壁200sや底壁200bは外方(KA,KB方向)に向けて湾曲形状に曲成された構造として、予め賦形されていることが好ましい。賦形は、一般的には、プレス成形型で加圧成形させる賦形処理により実施できる。熱間加工でも良いし、温間加工でも良いし、冷間加工でも良い。このような本実施形態によれば、燃料電池装置の運転時等において、筐体200の内部が高温になる場合であっても、筐体200に熱膨張などが発生するときであっても、万一、筐体200の側壁200sおよび底壁200bがスタック400等の内部部品に過剰に近づくように変形することが抑制される。よって、側壁200sや底壁200bがスタック400等の内部部品を変形させたり、損傷させたりすることが抑制される。
【0024】
断面をあらわす図1に示すように、側壁200sの上縁領域の内壁面および下縁領域の内壁面をほぼ鉛直方向に沿って仮想的に結ぶ仮想直線P1に対して側壁200sの中央領域200cの最大湾曲突出量をδ1とし、側壁200sの高さをHA1とするとき、δ1/HA1=1×10-5〜1×10-1の範囲内が例示される。HA1は200〜1000ミリメートルが例示されるが、但し、δ1/HA1の値、HA1の寸法はこれに限定されるものではない。なお、図1に示す側壁200sおよび底壁200bにおける湾曲の度合は、理解を容易化させるため誇張されている。
【0025】
図1に示すように、底壁200bの両端200beの内壁面同士をほぼ水平方向に沿って仮想的に結ぶ仮想直線P2に対して底壁200bの中央領域200bcの最大湾曲突出量をδ2とし、底壁200bの長さ寸法(側壁200sの高さ寸法に相当)をHA2とするとき、例えば、δ2/HA2=1×10-5〜1×10-1の範囲内とされている。HA2は100〜1000ミリメートルが例示される。但し、δ2/HA2の値、HA2の寸法はこれに限定されるものではない。
【0026】
組付時において、側壁200sおよび底壁200bは湾曲状に賦形加工により賦形されているが、加工に伴い側壁200sおよび底壁200bに発生した残留応力等の応力を燃料電池装置の組付前に緩和させておくことが好ましい。このため組付前に、側壁200sおよび底壁200bを必要に応じて焼鈍させることもできる。この場合、熱処理炉に側壁200sおよび底壁200bに所定時間(温度にもよるが、例えば2分間〜60分間)装入させて焼鈍させることができる。熱処理温度としては250〜600℃が好ましい。側壁200sおよび底壁200bが鉄系である場合には、A1変態点未満が良い。熱処理の雰囲気としては、真空雰囲気、還元性雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の非酸化性雰囲気が好ましい。熱処理温度が低温であれば、大気雰囲気とすることもできる。勿論、必要がなければ、焼鈍を実施せずとも良い。
【0027】
本実施形態によれば、高さ方向(矢印H方向)に沿って切断した断面(図2)において、側壁200sについては、高さ方向(矢印H方向)における中央領域200cが外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状とされている。この場合、燃料電池装置の長手方向(図1の紙面の垂直方向)において、図1と同一形状の断面が連続して規定される形態でも良い。あるいは、長手方向における中央領域も、長手方向における端領域よりも外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状とされていても良い。この場合、高さ方向および長さ方向の双方における中央領域が外方(矢印KA方向)に最も突出することになる。
【0028】
なお、本実施形態では改質器が筐体内に設置されているが、これに限られるものではない。筐体外に設置されていてもよい。またアノードガスは改質器を介さずに水素ガスを直接供給してもよい。
【0029】
(実施形態2)
図2図8は実施形態2を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。図2は、燃料電池装置の筐体200の高さ方向(矢印H方向)に沿って燃料電池装置の筐体200を横断するように切断した断面を示す。図2に示すように、燃料電池装置は、発電室203を有すると共に発電室203の上部を塞ぐ第1閉鎖蓋201および第2閉鎖蓋202を有する金属製の筐体200と、発電室203に設けられ燃料ガスを水蒸気で改質させて水素を主成分(モル比で40%以上)として含むアノードガスを生成させる改質器300と、発電室203に設けられアノードガスおよびカソードガスが供給されて発電するスタック400と、筐体200に設けられカソードガスをスタック400のカソードに供給させるカソードガス流路500と、筐体200に設けられ発電室203から発生した排ガスを外部に排出させる排ガス流路600とを有する。
【0030】
スタック400は固体酸化物形(SOFC)であり、セラミックス系のアノードと、セラミックス系の電解質膜と、セラミックス系のカソードとを有する。炭化水素系の燃料ガスを改質器300に供給させる燃料ガス流路310が設けられている。燃料ガス流路310は、ポンプ321、バルブ322を介してガス源323に繋がれている。改質用の水蒸気を形成させるために液相状の改質水を改質器300の蒸発部に供給させて給水流路320が設けられている。給水流路320には、改質水を溜めるタンク321と、タンク321の改質水を改質器300の蒸発部に供給させるポンプ322とが設けられている。
【0031】
図2に示すように、改質器300は蒸発部を一体的に併有しており、発電室203の上部に位置するようにスタック400の上方に配置されている。発電室203において燃焼部700がスタック400と改質器300との間に設けられている。燃焼部700は、スタック400の上面402から吐出されたアノードオフガスおよび/または燃料ガスからなる可燃ガスの燃焼により、水蒸気による改質反応(一般的には吸熱反応)に適するように改質器300を加熱させる。
【0032】
アノードオフガスはスタック400のアノードから吐出されたガスであり、発電反応において消費されなかった未反応の水素を含むため、可燃性をもつ。図2に示すように、燃焼部700は、改質器300の底壁を加熱させる底加熱空間701と、改質器300の第1側壁を加熱させる側加熱空間703と、改質器300の第2側壁を加熱させる側加熱空間704と、改質器300の上壁を加熱させる上加熱空間705とを有する。燃焼部700は起動時において可燃ガスに着火させる着火部710を有する。改質器300で生成された水素を主要成分とするアノードガスは、流路308,分配タンク309を介して、スタック400のアノードの下部に供給される、発電反応に提供される。図2に示すように、発電室203を区画する高い断熱性をもつ断熱材料で形成された断熱層800が設けられている。断熱層800は、スタック400の側方側に配置された側断熱層801と、スタック400の底側に配置された底断熱層802とを有する。
【0033】
図2に示すように、カソードガス流路500は、外部のポンプ590(搬送源)から搬送された相対的に低温の空気をカソードガスとしてスタック400のカソードに搬送させるものである。カソードガス流路500は、管状の第1カソードガス流路500aと、底に沿った第2カソードガス流路500bと、高さ方向(矢印H方向)に沿った第3カソードガス流路500cと、第2閉鎖蓋202及び第1閉鎖蓋201に沿った第4カソードガス流路500dと、スタック400のカソードの下部に吹出口550を介して吹き出すように高さ方向に延びる第5カソードガス流路500eとを備えている。外部の空気はカソードガスとして第1カソードガス流路500a、第2カソードガス流路500b、第3カソードガス流路500c、第4カソードガス流路500d、第5カソードガス流路500e、連流路550に、この順に流れ(矢印A方向)、スタック400のカソードの下部に供給され、発電反応に提供される。
【0034】
これに対して、排ガス流路600は、運転時において発電室203で発生した相対的に高温の排ガスを外部に排出させる流路である。排ガス流路600は、図2に示すように、筐体200の発電室203内の上加熱空間705に連通する第1排ガス流路600a、下方向に流れる第2排ガス流路600b、底に沿って流れる第3排ガス流路600c、管状の第4排ガス流路600dを有する。発電室203で発生した相対的に高温の排ガスは、この順に流れて(矢印B方向)外部に排出される。排ガスとしては、スタック400のアノードから吐出されたアノードオフガス、スタック400のカソードから吐出されたカソードオフガス、アノードオフガスが燃焼部700で燃焼した後の燃焼排ガスが挙げられる。
【0035】
図2に示すように、カソードガス流路500は、排ガス流路600よりも外側に設けられている。カソードガス流路500および排ガス流路600は互いに隣接されており、互いに熱交換する。カソードガス流路500を流れる相対的に低温のカソードガスは、断面(図2)において互いに反対方向に流れ、熱交換により予熱される。排ガス流路600を流れる相対的に高温の排ガスは熱交換により冷却される。
【0036】
図3は、改質器300等の内部部品を外した筐体200の高さ方向(矢印H方向)に沿って且つ筐体200を横断する方向に切断した断面を示す。図3に示すように、筐体200の主骨格は、アウター部材となる外基板210と、ミドル部材となる中間基板220と、インナー部材となる内基板230とを組み付けて形成されている。図3に示すように、外基板210は金属製であり、U字形状をなしており、第1上面開口部211と、互いに対向する2個の第1側壁212と、第1側壁212の下部同士を繋ぐ第1底壁213と、第1交差部分214とをもつ。金属は例えば炭素鋼または合金鋼である。第1交差部分214は第1底壁213と第1側壁212とが交差する部分であり、長手方向である矢印L方向(図4参照)に延びる稜線として機能し、外基板210の曲げ剛性を高める補強リブ効果を有する。
【0037】
図3に示すように、中間基板220は金属製であり、U字形状をなしており、第2上面開口部221と、互いに対向する2個の第2側壁222と、第2側壁222の下部同士を繋ぐ第2底壁223と、第2交差部分224とをもつ。第2交差部分224は第2底壁223と第2側壁222とが交差する部分であり、矢印L方向に延びる稜線として機能し、中間基板220の曲げ剛性を高める補強リブ効果を有する。図3に示すように、内基板230は金属製であり、U字形状をなしており、第3上面開口部231と、互いに対向する2個の第3側壁232と、第3側壁232の下部同士を繋ぐ第3底壁233と、第3交差部分234とをもつ。第3交差部分234は第3底壁233と第3側壁232とが交差する部分であり、稜線として機能し、内基板230の曲げ剛性を高める補強リブ効果を有する。
【0038】
図2および図3に示すように、第1上面開口部211、第2上面開口部221および第3上面開口部231が上側となるように、外基板210、中間基板220および内基板230は、これらの厚み方向(図3に示す矢印T方向)に積層された状態で、溶接等で結合されている。これにより筐体200は組み付けられている。
【0039】
図4は、筐体200の主骨格を斜視図として示す。図4は、中間基板220および内基板230を互いに嵌合しつつ、これらの長手方向(矢印L方向)に沿って配置している状態を示す。更に、図4は、内基板230を保持する中間基板220を、外基板210に矢印YA方向に相対的に移動させて挿入させる直前の状態を示す。図4に示すように、外基板210の長手方向(矢印L方向)の両端には、端開口210eが形成されている。中間基板220の長手方向(矢印L方向)の両端には、端開口220eが形成されている。内基板230の長手方向(矢印L方向)の両端には、端開口230eが形成されている。なお、図示しないものの、外基板210の端開口210e側には側蓋が取り付けられて塞がれる。
【0040】
図2図3に示すように、外基板210の上部に第1閉鎖蓋201が溶接部で結合されている。これにより外基板210の第1上面開口部211は、第1閉鎖蓋201で閉じられている。中間基板220の上部に第2閉鎖蓋202が溶接部で結合されている。これにより中間基板220の第2上面開口部221は、第2閉鎖蓋202で閉じられている。図2図3に示すように、第1閉鎖蓋201および第2閉鎖蓋202は、第4カソードガス流路500dを形成する。
【0041】
図2図3に示すように、排ガス流路600の第2排ガス流路600bおよび第3排ガス流路600cは、内基板230と中間基板220とで形成されている。カソードガス流路500の第2カソードガス流路500bおよび第3カソードガス流路500cは、中間基板220と外基板210とで形成されている。
【0042】
本実施形態によれば、図4に示すように、外基板210、中間基板220および内基板230には、相手側に向けて突出することにより流路幅を規定する複数の膨出突起290がスペーサとして形成されている。具体的には、図4に示すように、外基板210および中間基板220には、相手側に向けて突出するディンプル状の複数の膨出突起290がスペーサとして一体的に形成されている。膨出突起290は賦形処理の際にプレス成形により一体的に形成できる。流路幅のばらつきを低減させるため、複数の膨出突起290は分散させて形成されていることが好ましい。
【0043】
図4に示すように、インナー部材である内基板230には、補強用の複数の補強リブ238が筐体200の長手方向(矢印L方向)に沿って延設されている。軽量化のためにU板部材が薄肉化されるときであっても、内基板230の強化を図り得、筐体200の強化に貢献できる。図示しないものの、中間基板220,外基板210についても、同様の補強リブを形成できる。補強リブは補強作用ばかりか、カソードガスおよび排ガスの熱交換面積を増加させる利点を有する。なお、上記した補強リブや膨出突起は、ガスの流れの支障とならないように設けることが好ましいが、加工硬化による強化も期待できることもある。
【0044】
本実施形態によれば、図4に示すように、上記した筐体200のアウター部材となる外基板210は、断面でU形状をなしており、第1上面開口部211をもつ。筐体200のミドル部材となる中間基板220は断面でU形状をなしており、第2上面開口部221をもつ。筐体200のインナー部材となる内基板230は断面でU形状をなしており、第3上面開口部231をもつ。このためスタック400や改質器300等の内部部品を外基板210、中間基板220および内基板230の内部に組み付けるときにおいて、スタック400や改質器300等の内部部品を上側の上面開口部から、または、横側の端開口から組み付けることができる。この場合、外基板210の天壁、中間基板220の天壁、内基板230の天壁に干渉することが解消される。その理由としては、外基板210、中間基板220、内基板230はU字形状をなしており、そもそも天壁を備えていないためである。従って、スタック400や改質器300をU板部材の内部に組み付ける組付性を改善させることができる。なお、本実施形態によれば、図2に示すように、筐体200の中央を鉛直方向に通る中心線PKに対してほぼ左右対称形状とされている。但しこれに限定されるものではない。
【0045】
さて本実施形態によれば、図3(筐体200の高さ方向に沿って切断した断面)において、外基板210の第1側壁212について、これの高さ方向の中央領域212cがこれの上縁212uおよび下縁212dよりもスタック400から離れて外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状に予め賦形されている。同様に、中間基板220の第2側壁222について、これの高さ方向の中央領域222cがこれの上縁222uおよび下縁222dよりもスタックから離れて外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状に予め賦形されている。
【0046】
同様に、内基板230の第3側壁232について、これの高さ方向の中央領域232cが上縁232uおよび下縁232dよりもスタック400から離れて外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状に予め賦形されている。
【0047】
このため、燃料電池装置の使用時において、筐体200の内部は高温に維持されるため、筐体200は熱膨張する。万一、その熱膨張に起因して側壁212,222,232がスタック400等の内部部品に近づくように過剰に変形することがあるとしても、その変形は抑制される。このように側壁212,222,232が過剰な変形したとしても、側壁212,222,232がスタック400等の内部部品を加圧させたり、変形させたり、損傷させたりすることが抑制される。このように側壁212,222,232の過剰な変形が抑制される。このためスタック400等の内部部品の耐久性の向上、長寿命化を図り得る。更に、側壁212,222,232の過剰な変形が抑制されるため、カソードガス流路500,排ガス流路600の流路幅の変形および歪みが抑制され、カソードガスの流れ、排ガスの流れが良好に維持される。
【0048】
なお、本実施形態によれば、側壁212,222,232が湾曲形状に賦形されているが、但し、ミドル部材に相当する側壁222については湾曲形状に賦形されておらず、直立壁状でも良い。側壁222を厚み方向に挟む側壁212,232が賦形されている限り、組付状態において側壁222も同様に湾曲されるためである。
【0049】
更に本実施形態によれば、図4に示すように、中間基板220の側壁222(側壁212よりも高さが低い)の上縁222uには、複数の曲成爪226がLの字形状に外向きに曲成されている。曲成爪226は、アウター部材である外基板210の第1側壁212に当接または接近する。これにより基板210,220で形成されるカソードガス流路500の熱変形を抑え、カソードガス流路500の流路幅La(図4参照)を規定する。
【0050】
更に、図4に示すように、内基板230の側壁232(側壁222よりも高さが低い)の上縁232uには、曲成爪236がLの字形状に外向きに曲成されている。曲成爪236は、ミドル部材である中間基板220の第2側壁222に当接または接近する。これにより基板220,230で形成される排ガス流路600の流路幅Lb(図4参照)を規定する。従って、万一、筐体200の熱変形が発生したとしても、カソードガス流路500および排ガス流路600の変形が抑制され、ひいてはカソードガス流路500の流路幅La、および、排ガス流路600の流路幅Lbは良好に維持され、カソードガスおよび排ガスの流量が所望に得られる利点が得られる。なお、曲成片226,236は長手方向(矢印L方向の)において断続的に設けられているため、ガス流れの支障とならない。
【0051】
図5は、中間基板220の側壁222の上縁222uに形成されている曲成爪226が曲成される前の状態を示す。図6は、中間基板220の曲成爪226がLの字形状に曲成された後の状態を示す。図7は、内基板230の側壁232の上縁232u(上縁)に形成されている曲成爪236が曲成される前の状態を示す。図8は、内基板230の曲成爪236が曲成された後の状態を示す。曲成爪226,236は基板湾曲方向(矢印KA方向,図6図8参照)に突出しているが、場合によっては逆方向としても良い。
【0052】
上記した上縁232u,222uについては、基板の側壁232,222の端縁であるが故に、面積が制限されており、ディンプル状の膨出突起やリブを形成させにくい事情がある。しかし曲成爪226,236は上縁232u,222uであっても形成され易い。なお、曲成爪226,236は側壁232,222の上縁232u,222uに限定されず、側壁232,222の矢印L方向の端である側縁に形成させることもできる。基板210,20,230については、組付前において、歪み取り等のために、必要に応じて焼鈍することも好ましい。
【0053】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、底壁213,223,233のうちの少なくとも一方を下方に突出するように湾曲させても良い。本実施形態によれば、高さ方向(矢印H方向)に沿って切断した断面(図2)において、外基板210の側壁212,中間基板220の側壁222,内基板230の側壁232については、高さ方向(矢印H方向)における中央領域212c,222c,232cが外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状とされている。この場合、燃料電池装置の長手方向(図4に示す矢印L方向)において、図2と同一形状の断面が連続して規定される形態でも良い。あるいは、燃料電池装置の長手方向(図4に示す矢印L方向)における中央領域も、長手方向における端領域よりも外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状とされていても良い。この場合、高さ方向および長さ方向の双方における中央領域が外方(矢印KA方向)に最も突出することになる。他の実施形態についても同様である。
【0054】
なお、本実施形態では改質器が筐体内に設置されているが、これに限られるものではない。筐体外に設置されていてもよい。またアノードガスは改質器を介さずに水素ガスを直接供給してもよい。
【0055】
(実施形態3)
図9は実施形態3を示す。本実施形態は前記した実施形態2と基本的には同様の構成、作用および効果を果たすため、図2図8を準用できる。本実施形態によれば、図9に示すように、外基板210、中間基板220,内基板230が外側から発電室203に向けて順に積層されている。内基板230に形成されているディンプル状の膨出突起290の頂面が中間基板220の第2側壁222に当接され、その状態でスポット溶接によりナゲット状の溶接部290rが形成され、基板230,220が互いに接合されている。レーザビーム溶接としても良い。更に、図9に示すように、基板230,220が接合されている関係で、内基板230の底壁233の下側には溶接電極が進入できない。そこで、外基板210はこれを貫通する接合穴219を有する。中間基板220には補強リブ228が形成されている。接合穴219に向けて突出する補強リブ228が接合穴219に当接された状態で、溶接具219mにより接合穴219の周囲に溶接部219rがリング状に形成され、外基板210と中間基板220とが接合されている。なお、図示しないものの、ディンプル状の膨出突起の頂面を接合穴219に当接された状態で、溶接具219mにより接合穴219の周囲に溶接部219rがリング状に形成され、外基板210と中間基板220とが接合されていることにしても良い。他の実施形態についても、本実施形態の取付構造を採用しても良い。
【0056】
(実施形態4)
図10は実施形態4を示す。本実施形態は前記した実施形態2,3と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。但し、組付け前において、中間基板210の第2側壁222は湾曲されておらず、鉛直方向(高さ方向,矢印H方向)に沿って直立状に立設されている。但し、外基板210の第1側壁212について、これの高さ方向の中央領域212cが上縁212uおよび下縁212dよりもスタックから離れて外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状に賦形されている。同様に、内基板230の第3側壁232について、これの高さ方向の中央領域232cが上縁232uおよび下縁232dよりもスタックから離れて外方(矢印KA方向)に突出するように湾曲形状に賦形されている。
【0057】
燃料電池装置の使用時において、筐体200の内部は高温に維持されるため、熱膨張する。万一、その熱膨張に起因して側壁212,222,232がスタック等の内部部品に近づくように変形したとしても、側壁212,222,232がスタック等の内部部品を加圧させたり、変形させたり、損傷させたりすることが抑制される。このため、スタック等の内部部品の耐久性の向上、長寿命化を図り得る。
【0058】
なお、本実施形態においても、底壁213,223,233のうちの少なくとも一方を下方に突出するように湾曲させても良い。
【0059】
(実施形態5)
図11および図12は実施形態5を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。以下、相違する部分を中心として説明する。図11は、筐体200の高さ方向(矢印H方向)に沿って筐体200を横断するように切断した断面を示す。図11に示すように、筐体200の主骨格は3重構造ではなく、2重構造であり、金属製の外基板210および内基板220Bを有する。断面を示す図11において、筐体200は外基板210および内基板220Bを互いに対面するように備えている。図11に示すように、外基板210および内基板220Bは、カソードガス流路500を形成する。内基板220Bと側断熱層801,底断熱層802とは排ガス流路600を形成する。
【0060】
図12に示すように、内基板220Bの上縁222uは、カソードガス流路500の流路幅を規定するように曲成された複数の曲成爪226を有する。曲成爪226は外基板210の第1側壁212に向けてつまり矢印KA方向に向けて曲成されている。内基板220Bは、流路幅を規定するように形成ざれたディンプル状の複数の膨出突起290Bを有する。内基板220Bは、膨出成形された複数の補強リブ228Bを有する。なお、本実施形態においても、底壁213,223のうちの少なくとも一方を下方に突出するように湾曲させても良い。
【0061】
(実施形態6)
図13は実施形態6を示す。本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。図13は曲成爪226,236の断面形状の構造例を示す。図13の(a)によれば、曲成爪226,236の断面形状は、上向きLの字形状とされている。(b)によれば、曲成爪226,236の断面形状は鍵形状とされている。(c)によれば、曲成爪226,236の断面形状はコの字形状とされている。(d)によれば、曲成爪226,236の断面形状はカールされて実質的にOの字形状とされている。(e)によれば、曲成爪226,236の断面形状はカールされてCの字形状とされている。(f)によれば、曲成爪226,236の断面形状はMの字形状とされている。(g)によれば、曲成爪226,236の断面形状はNの字形状とされている。(h)によれば、曲成爪226,236の断面形状はPまたはDの字形状とされている。(i)によれば、曲成爪226,236の断面形状はWの字形状とされている。(j)によれば、曲成爪226,236の断面形状はVの字形状とされている。(k)によれば、曲成爪226,236の断面形状は、くの字形状とされている。プレス成形によれば、各形状を成形できる。これらの逆字形状(上下逆、左右逆)、または、これらの酷似形状としても良い。酷似とは、変形されているが、通常者であれば、その字体であると視認できる範囲をいう。
【0062】
(実施形態7)
図14は実施形態7を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。内基板230の第3側壁233において、補強リブ238は高さ方向(矢印H方向)に沿って延設されている。この場合、熱変形が発生したとしても、第3側壁233を上記した湾曲形状に維持させるのに有利である。更に補強リブ238は高さ方向に沿って延設されており、ガス流れ方向に沿っているため、ガス流れを損なわない。第3底壁233についても、内基板230の二つの第3側壁233を繋ぐ方向に沿って補強リブ238が延設されている。なお、外基板210の第1側壁213、中間基板220の第2側壁222についても、高さ方向に沿った補強リブを形成しても良い。なお、本実施形態においても、底壁213,223,233のうちの少なくとも一方を下方に突出するように湾曲させても良い。
【0063】
(実施形態8)
図15は実施形態8を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。図15は、燃料電池装置の筐体200の高さ方向(矢印H方向)に沿って燃料電池装置の筐体200を横断するように切断した断面を示す。図15に示すように、燃料電池装置は、発電室203を有すると共に発電室203の底部を塞ぐ第1閉鎖蓋201および第2閉鎖蓋202を有する金属製の筐体200とをもつ。図15は閉鎖蓋201,202を取り付ける前の状態を示す。図15に示すように、筐体200の主骨格は、アウター部材となる外基板210と、ミドル部材となる中間基板220と、インナー部材となる内基板230とを組み付けて形成されている。図15に示すように、外基板210は金属製であり、U字を上下逆にした逆Uの字形状をなしており、第1下面開口部211dと、互いに対向する2個の第1側壁212と、第1側壁212の上部同士を繋ぐ第1上壁213uと、第1交差部分214Cとをもつ。
【0064】
図15に示すように、中間基板220は金属製であり、逆U字形状をなしており、第2下面開口部221dと、互いに対向する2個の第2側壁222と、第2側壁222の上部同士を繋ぐ第2上壁223uと、第2交差部分224Cとをもつ。図15に示すように、内基板230は金属製であり、逆U字形状をなしており、第3下面開口部231dと、互いに対向する2個の第3側壁232とをもつ。
【0065】
図15に示すように、第1下面開口部211d、第2下面開口部221d等が下側となるように、外基板210、中間基板220および内基板230は、これらの厚み方向に積層された状態で、溶接等で結合されている。これにより筐体200は組み付けられている。第1側壁212,第2側壁222,第3側壁232の高さ方向の中間域212c,222c,232cがスタック100から離間するように外方(矢印KA方向)に突出するように曲成されている。このため、燃料電池装置の使用時において、万一、その熱膨張に起因して側壁212,222,232がスタック400等の内部部品に近づくように過剰に変形することがあるとしても、その変形は抑制される。このように側壁212,222,232が過剰な変形したとしても、側壁212,222,232がスタック400等の内部部品を加圧させたり、変形させたり、損傷させたりすることが抑制される。なお、本実施形態では改質器が筐体内に設置されているが、これに限られるものではない。筐体外に設置されていてもよい。またアノードガスは改質器を介さずに水素ガスを直接供給してもよい。
【0066】
(実施形態9)
図16は実施形態9を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成、作用および効果を果たす。図16は筐体200の斜視図を示す。筐体200の外観を規定する外基板210の第1側壁212については、高さ方向(矢印H方向)における中央領域が外方(矢印KA方向)に突出すると共に、長手方向(矢印L方向)における中央領域が外方(矢印KA方向)に突出するようにプレス成形により賦形されている。従って矢印H方向および矢印L方向の双方における中央領域200ccが外方(矢印KA方向)に最も突出する。従って筐体200の高さ方向に沿って切断した断面で見ると、または、水平方向に沿って切断した断面で見ると、筐体200を構成する側壁210は、側壁210における中央領域200ccが側壁210の両端よりもスタックから離れるように、外方に向けて突出する湾曲形状とされている。但し、外方への突出量としては、肉眼で視認できる程度でも良いし、あるいは、肉眼では視認しにくい程度でも良い。
【0067】
(他の実施形態)
本実施形態は図示されないものの、前記した実施形態と基本的には共通する構成、作用および効果を有する。前記した実施形態によれば、外基板210,中間基板220および内基板230は、組付前に、外向き湾曲状に賦形処理(プレス成形)により賦形されているが、これに限られるものではない。すなわち本実施形態によれば、図示しないものの、組付前では、外基板210,中間基板220および内基板230は平板状とされている。高さ方向に延びる縦支柱に、外方に向けて湾曲する取り付け面が高さ方向に沿って形成されている。この縦支柱の湾曲状態の取付面に外基板210,中間基板220および内基板230を、溶接またはボルトナット等の取付具により張り合わせて、組み付け、筐体200を形成する。これにより本来的には平板状をなす外基板210,中間基板220および内基板230を、外向きに湾曲させることにしても良い。なお、スタック400に最も近い内基板230を外向きに湾曲させるものの、内基板230よりもスタック400から離間する外基板210および中間基板220の少なくとも一方については、湾曲させずに、平板状のままとしても良い。
【0068】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。燃料電池のスタックは、固体酸化物形燃料電池に限定されず、場合によっては、固体高分子電解質形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良い。改質器は蒸発部と一体化されているが、別体とされていても良い。改質器に供給される燃料ガスも特に制限されず、都市ガス、プロパンガス、バイオガス、LPGガス、CNGガス等を例示できる。カソードガス流路500は排ガス流路600よりも外側に設けられているが、逆でも良い。外基板210,中間基板220および内基板230は、断面で、上面開口部をもつUの字形状とされているが、これに限らず、上下方向に反対となる逆Uの字形状とされていても良い。外基板210,中間基板220および内基板230は、平板を溶接や取付具等で箱状に組み付ける構造としても良い。要するに、組付完了状態において、筐体を構成する側壁または底壁が外方に湾曲されていれば良い。
【0069】
外基板210、中間基板220および内基板230には、膨出突起290がスペーサとして形成されているが、膨出突起290が設けられていなくても良いし、あるいは、外基板210、中間基板220および内基板230のうちの一方のみに設けられていることにしても良い。曲成爪226,236が外向きに曲成されているが、内向きとしても良いる。場合によっては、曲成爪226,236を廃止しても良い。この場合、曲成爪226,236に相当する部品を外基板210、中間基板220および内基板230の少なくとも一方に溶接やボルトナットで固定しても良い。曲成爪は、外基板210、中間基板220および内基板230のうちの一方のみに設けることにしても良い。各実施形態については、上記した各様相の特徴を併有することができる。
【0070】
本明細書から次の技術的思想も把握できる。
【0071】
[付記項1]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方の基板に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する燃料電池装置。燃料電池装置の使用時において、筐体が熱変形するときであっても、カソードガス流路および/または排ガス流路の流路幅が規定される。前記断面において、曲成爪の断面形状は、Lの字形状、コの字形状、Oの字形状、Cの字形状、Mの字形状、Nの字形状、Pの字形状、Wの字形状、Vの字形状、くの字形状、これらの逆字形状、および、これらの酷似形状のうちの少なくとも一つが例示される。
【0072】
[付記項2]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する燃料電池装置。基板を補強させつつ、筐体が熱変形するときであっても流路幅が規定される。基板に形成されている膨出突起は、ガスの流れを妨げることなく基板を強化でき、更に、ガスの熱交換面積の増加に有利である。
【0073】
[付記項3]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、前記断面において、筐体は外基板および内基板を互いに対面するように備えており、外基板および内基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する燃料電池装置。基板を補強できる。流路を形成する基板に形成されている補強リブは、基板の強化および熱交換面積の増加に有利である。
【0074】
[付記項4]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し。内基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、当該一方の基板の縁に設けられ流路幅を規定するように当該一方に対して曲成された単数または複数の曲成爪を有する燃料電池装置。曲成爪は流路幅を規定できる。
【0075】
[付記項5]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、流路幅を規定するように当該一方の基板に形成されたディンプル状の単数または複数の膨出突起を有する燃料電池装置。基板を補強させつつ流路幅を規定できる。
【0076】
[付記項6]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスをスタックに供給させるカソードガス流路と、スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、断熱層を介してスタックに対向する側壁を有すると共に、スタック、断熱層、カソードガス流路および排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、筐体の高さ方向に沿って切断した断面において、筐体は外基板、中間基板および内基板を対面するように備えており、外基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの一方の流路を形成し、内基板および中間基板は、カソードガス流路および排ガス流路のうちの他方の流路を形成し、外基板、中間基板および内基板のうちの少なくとも一方の基板は、膨出成形された単数または複数の補強リブを有する燃料電池装置。基板を補強させつつ流路幅を規定できる。
【0077】
[付記項7]アノードガスが供給されると共にカソードガスが供給されて発電する燃料電池のスタックと、前記スタックの外側を覆う断熱層と、カソードガスを前記スタックに供給させるカソードガス流路と、前記スタックの発電運転に伴い発生する排ガスを外部に排出させる排ガス流路と、前記断熱層を介して前記スタックに対向すると共に、前記スタック、前記断熱層、前記カソードガス流路および前記排ガス流路を収容する筐体とを具備しており、
前記筐体の高さ方向または水平方向に沿って切断した断面において、前記筐体を構成する側壁および底壁のうちの少なくとも一方の壁は、当該壁における中央領域が当該壁における両端よりも前記スタックから離れるように、外方に向けて湾曲形状とされている燃料電池装置。
【符号の説明】
【0078】
200は筐体、200sは側壁、200bは底壁、201は第1閉鎖蓋、202は第2閉鎖蓋、203は発電室、206は第1補強リブ、207は第2補強リブ、210は外基板、211は第1上面開口部、212は第1側壁、212c,222c,232cは中央領域、213は第1底壁、219は接合穴、220は中間基板、221は第2上面開口部、222は第2側壁、223は第2底壁、226は曲成片、230は内基板、231は第3上面開口部、232は第3側壁、233は第3底壁、236は曲成片、238は補強リブ、290は膨出突起、300は改質器、400はスタック、500はカソードガス流路、600は排ガス流路、700は燃焼部、800は断熱層、801は側断熱層、802は底断熱層、P1は仮想直線を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図16