(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形板状のベッド,該ベッドに幅方向に隔置して取り付けた一対の直動案内ユニットを介して往復移動自在な矩形板状のテーブル,及び前記ベッドと前記テーブルとの間で且つ前記直動案内ユニットの間に界磁マグネットと該界磁マグネットに対向する電機子組立体とから成る可動マグネット型リニアモータを内蔵した上下面が実質的に平らな形状のスライド装置において,
前記ベッドには,前記テーブルの移動方向に沿って形成された溝状の凹部にコイル基板を下面にした前記電機子組立体が埋設され,前記電機子組立体の両端側になる前記凹部の両端部にエンドブロックがそれぞれ嵌入して対向して配設されており,前記エンドブロックは,ブロック体に構成されて両側部に形成された取付け用孔にねじを通して前記コイル基板と共に前記ベッドに固着されており,前記テーブルが前記ベッドから飛び出すのを防止するために前記ベッド上から突出して前記テーブルの上面よりも低く構成されて前記テーブルの端面が当接する当接面を有しており,
前記スライド装置の全体を上部から被せて覆う防塵で防護のためのカバーが前記エンドブロックの前記ブロック体に嵌入しており,前記ブロック体には,前記カバーを位置決め固着する上面,両側面,及び外端面になる背面に形成されていると共に,前記背面に係止凹部が設けられており,
前記カバーは,前記テーブルの上面に対向する部分が開口された窓部に形成されると共に前記窓部の周囲が前記スライド装置の上部を覆う天井部に形成され且つ前記天井部から垂下して前記スライド装置の両側部及び両端部の周辺を覆う周辺部に形成されており,前記カバーの両端部は,前記スライド装置をベース等の機台に取り付けるために前記ベッドの四隅に形成された取付け用孔を覆うこと無く,各々の前記取付け用孔を露出させた形状に前記端部の両側が段凹部に形成されており,前記段凹部間が突出して前記エンドブロックにそれぞれ嵌入する係着部に形成されており,
前記カバーの前記係着部の内面である裏面は,前記エンドブロックの前記上面に当接して前記カバーの上下の位置決めをする底面,前記エンドブロックの前記両側面にそれぞれ近接して前記カバーの側部方向の位置決めをする両側面,及びそれぞれの前記エンドブロックの前記外端面に近接して前記カバーの端部方向の位置決めをする両端面に形成されており,前記カバーの前記両端面には突出した一対の係止凸部がそれぞれ形成されており,前記カバーは,それぞれの前記係止凸部がそれぞれの前記エンドブロックの前記係止凹部に係着して前記スライド装置に装着されており,
前記テーブルには,前記カバーの前記窓部を通して位置決め駆動するワーク等の部材を取り付けるためにサブテーブルが固着されていることを特徴とするカバーを装着したスライド装置。
一方の前記エンドブロックは,前記電機子組立体に電源線が結線されモールドされたコネクター側に配設されて前記コネクターを嵌入する凹欠部が形成されると共に下面には前記コイル基板上に配置可能に平面に形成されており,他方の前記エンドブロックは,下面には前記コネクター側に対向する側の前記コイル基板の端部を嵌入できる段凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバーを装着したスライド装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の可動マグネット型リニアモータを内蔵したスライド装置は,高性能を有し,使い勝手が良好なものに成っていた。しかしながら,近年,更に,スライド装置の断面高さ,即ち総高さが低く,スライド装置の大きさを極めて小さくした極小形になる可動マグネット型リニアモータを内蔵したスライド装置が求められている。また,スライド装置が極小形の構造に構成されれば,それに伴ってどうしても装置自体の推力が小さくなってしまい,外部環境の塵等による外力の悪影響を受け易くなってしまうので,外部環境の必要性により,装置自体の安全性の意味からも防塵で防護のためのカバーを装着可能にすることが求められている。
【0006】
近年,半導体製造装置,各種組立装置,測定装置等の各種装置に使用されるスライド装置は,ますます小形化が要望され,更に,高精度な位置決め,高速性,高応答性を有すると共に,防塵・防護などの安全性が要望されている。そこで,本願発明のスライド装置は,その要望に応えるものとして如何に構成するかの課題があった。
【0007】
この発明の目的は,上記課題を解決することであり,スライド装置に可動マグネット型リニアモータを内蔵すると共に,スライド装置そのものを極小形に構成すると共に,防塵で防護のためのカバーを簡単に装着可能にするスライド装置,又は該カバーを装着したスライド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は,矩形板状のベッド,該ベッドに幅方向に隔置して取り付けた一対の直動案内ユニットを介して往復移動自在な矩形板状のテーブル,及び前記ベッドと前記テーブルとの間で且つ前記直動案内ユニットの間に界磁マグネットと該界磁マグネットに対向する電機子組立体とから成る可動マグネット型リニアモータを内蔵した上下面が実質的に平らな形状のスライド装置において,
前記ベッドには,前記テーブルの移動方向に沿って形成された溝状の凹部にコイル基板を下面にした前記電機子組立体が埋設され,前記電機子組立体の両端側になる前記凹部の両端部にエンドブロックがそれぞれ嵌入して対向して配設されており,前記エンドブロックは,ブロック体に構成されて両側部に形成された取付け用孔にねじを通して前記コイル基板と共に前記ベッドに固着されており,前記テーブルが前記ベッドから飛び出すのを防止するために前記ベッド上から突出して前記テーブルの上面よりも低く構成されて前記テーブルの端面が当接する当接面を有しており,
前記スライド装置の全体を上部から被せて覆う防塵で防護のためのカバーが前記エンドブロックの前記ブロック体に嵌入しており,前記ブロック体には,前記カバーを位置決め固着する上面,両側面,及び外端面になる背面に形成されていると共に,前記背面に係止凹部が設けられており,
前記カバーは,前記テーブルの上面に対向する部分が開口された窓部に形成されると共に前記窓部の周囲が前記スライド装置の上部を覆う天井部に形成され
且つ前記天井部から垂下して前記スライド装置の両側部及び両端部の周辺を覆う周辺部に形成されており,
前記カバーの両端部は,前記スライド装置をベース等の機台に取り付けるために前記ベッドの四隅に形成された取付け用孔を覆うこと無く,各々の前記取付け用孔を露出させた形状に前記端部の両側が段凹部に形成されており,前記段凹部間が突出して前記エンドブロックにそれぞれ嵌入する係着部に形成されており,
前記カバーの前記係着部の内面である裏面は,前記エンドブロックの前記上面に当接して前記カバーの上下の位置決めをする底面,前記エンドブロックの前記両側面にそれぞれ近接して前記カバーの側部方向の位置決めをする両側面,及びそれぞれの前記エンドブロックの前記外端面に近接して前記カバーの端部方向の位置決めをする両端面に形成されており,前記カバーの前記両端面には突出した一対の係止凸部がそれぞれ形成されており,前記カバーは,それぞれの前記係止凸部がそれぞれの前記エンドブロックの前記係止凹部に係着して前記スライド装置に装着されており,
前記テーブルには,前記カバーの前記窓部を通して位置決め駆動するワーク等の部材を取り付けるため
にサブテーブルが固着され
ていることを特徴とするカバー
を装着したスライド装置に関する。
【0009】
また,前記エンドブロックは,合成樹脂製で形成され,前記当接面が断面山形で上下に延びる凸部
で幅方向に多数並設し
た弾性変形可能な緩衝部に構成されてい
る。
【0010】
また,一方の前記エンドブロックは,前記電機子組立体に電源線が結線されモールドされたコネクター側に配設されて前記コネクターを嵌入する凹欠部が形成されると共に下面には前記コイル基板上に配置可能に平面に形成されており,他方の前記エンドブロックは,下面には
前記コネクター側に対向する側の前記コイル基板の端部を嵌入できる段凹部が形成されている
ものである。
【0011】
また,前記カバーの前記窓部は,矩形板状に形成された前記サブテーブルが前記テーブルの可動範囲に可動しても前記テーブルの端面が露出しない大きさに矩形形状に形成されて
おり,前記サブテーブルは,前記テーブルの中央位置に固着され,且つ前記テーブルの移動方向に沿った長さが前記テーブルの長さから2倍の前記テーブルのストローク距離を引いた長さよりも小さく形成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
このスライド装置は,上記のように構成されており,可動マグネット型のリニアモータを内蔵した平らな形状のスライド装置であって,一対のエンドブロックにスライド装置の全体を上部から被せて覆う防塵で防護のためのカバーをワンタッチで取付け可能に係止部が形成され,しかもテーブルの上面にはサブテーブルを取り付けるための複数の取付け用ねじ孔が形成された構造に構成されているので,容易にカバーがスライド装置に装着可能に構成されている。また,エンドブロックは,テーブルの端面が当接する当接面が緩衝部に形成された単一のブロック体に構成されているので,ベッドの両端に容易に配置可能になっている。また,一対のエンドブロックは,電機子組立体のコネクター側のエンドブロックと対向側のエンドブロックとでそれぞれに機能性を有して形成されており,それによって,スライド装置自体がコンパクトに構成されている。また,スライド装置に装着されるカバーは,最小に開口した窓部を除きスライド装置全体を覆うように構成されており,可動ケーブルが無い可動マグネット型リニアモータであり,機械的接触部分が直動案内機器のみで構成されてカバーを設けたので,高いクリーン度を発揮でき,極小形のスライド装置であっても,安心で安全なものに構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明によるスライド装置は,従来の可動マグネット型リニアモータを内蔵したスライド装置(例えば,特開2007−300759号公報)に比較して,全体の大きさ(総高さH,総幅W及び総長さL)を極めて小さく構成した極小形になる可動マグネット型リニアモータを内蔵したスライド装置(例えば,H=11mm,W=38mm,L=62mm)であり,且つ防塵・防護のためのカバーを取付け可能な構造に構成したことを特徴としている。
【0015】
以下,図面を参照して,この発明によるスライド装置の実施例について説明する。この発明によるスライド装置10は,矩形板状のベッド1,ベッド1に幅方向に隔置して取り付けた一対の直動案内ユニット9を介して往復移動自在な矩形板状のテーブル1,及びベッド2とテーブル1との間で且つ直動案内ユニット9の間に界磁マグネット7と該界磁マグネット7に対向する電機子組立体8とから成る可動マグネット型リニアモータ6を内蔵した上下面が実質的に平らな形状に構成されている。即ち,可動マグネット型リニアモータ6を内蔵したスライド装置10は,
図1〜
図5に示すように,従来のスライド装置の形態を踏襲したものであり,矩形板状のベッド2,ベッド2に対して幅方向に隔置して配設された一対の直動案内ユニット9を介して往復移動自在な矩形板状のテーブル1,及びベッド2とテーブル1との間で且つ直動案内ユニット9の間に内蔵したリニアモータ6から構成されており,全体が断面四角形状の上下面が実質的にフラットな(平らな)形状を持つスライド装置10に構成されている。スライド装置10は,特に,ベッド2とテーブル1との間に配設された直動案内ユニット9を高さが極めて低く小形のタイプに構成したことによって,総高さを低断面の構造に構成されていることを特徴としている。
【0016】
このスライド装置10において,内蔵されたリニアモータ6の一方側の界磁マグネット7は,
図3及び
図5に示されるように,直動案内ユニット9の間であるテーブル1の下面にテーブル1の移動方向に沿って極性が交互に異にして並設された多数のマグネット7Mが固着して構成されている。マグネット7Mは,矩形平板状でなり,実施例では,6極になる6個のマグネット7Mで構成されている。また,界磁マグネット7に対向するリニアモータ6の他方側の電機子組立体8は,
図3及び
図5に示されるように,直動案内ユニット9の間であるベッド2の上面に固着されている。電機子組立体8は,ベッド2上に配設された長尺の平板状になるコイル基板21,コイル基板21上の長手方向即ちテーブル1の移動方向に沿って並設された矩形状のコアレスでなる扁平の多数(実施例では6個)の電機子コイル20,多数の電機子コイル20の上面である全面を覆う薄膜状の表面保護シート25,及び多数の電機子コイル20に電源を供給するためにコイル基板21の上面の一方の端部に結線された電源線17から構成されている。更に,電機子組立体8は,コイル基板21,多数の電機子コイル20,及び表面保護シート25が接着剤で互いに固着されており,コイル基板21と表面保護シート25との間になる多数の電機子コイル20の周囲が別の接着剤でモールドされたモールド部47に形成され,及び電源線17の結線部分も結線部分が露出しないように,同様にモールドされてコネクター14に形成されて,全体が一体構造に構成されている。多数の電機子コイル20は,三相通電方式で各相(U相,V相,及びW相)の電流が供給される3個の電機子コイル20が一組として構成され,ここでは,二組に成る6個の電機子コイル20で構成されている。
【0017】
この発明におよるスライド装置10では,ベッド2はコイルヨークとして磁性材料から構成され,及びテーブル1はマグネットヨークとして磁性材料から構成されている。特に,スライド装置10は,従来よりも大きさが極めて小さく極小形に構成されている。
図3及び
図4に示すように,スライド装置10の大きさは,スライド装置10の断面高さになる総高さH,スライド装置10の総幅W,及びスライド装置10の総長さLで表わされ,スライド装置10の断面高さになる総高さHを低く形成すると共に,スライド装置10の総幅W・総長さLも小さく形成されている。実施例では,H=11mm,W=38mm,L=62mmに形成されている。
【0018】
また,スライド装置10は,それ自体を極小形に構成するため,各構成部材もスケールダウンして形成されるが,
図3及び
図4に示されるように,ベッド2の上面は,テーブル1の移動方向即ちベッド2の長手方向に沿って中央部が凹溝に成る凹部35に形成されて,凹部35の両側の上面と凹部35の底面になる上面とに形成されており,凹部35の両側の各々の上面には,長手方向に沿って固着された長尺状の軌道レール13及び軌道レール13に転動体(図示せず)を介して摺動自在な2つのスライダ12でなる極小形の直動案内ユニット9が配設され,両直動案内ユニット9の間に有る凹部35の底面である上面には,コイル基板21の下面が当接して凹部35内に埋設される状態で電機子組立体8が配設され構成されている。また,スライド装置10は,コイル基板21の下面には,放熱を促進するために銅箔59が接着されており,コイル基板21が凹部35内に配設されているが,リニアモータ6で発生する熱は篭もることなく,銅箔59の伝導作用で適正な温度に放熱されている。
【0019】
スライド装置10では,高精度な位置決め行うための光学式リニアエンコーダ19は,従来の実績及びコストから,従来と同一のサイズのもので使用されており,
図4及び
図5に示すように,ベッド2の側面に突出して固着されたセンサ取付板24の上面に固着されたセンサ23,及びセンサ23に対向してテーブル1の一方側に延びた側部である庇部26の下面にテーブル1の移動方向に沿って固着されたリニアスケール22から構成されている。即ち,スライダ装置10は,従来と同一の大きさのリニアエンコーダ19を収容可能に構成されている。リニアスケール22を固着した庇部26の上面であるテーブル1の上面は,
図1及び
図4に示すように,ワーク等の部材(図示せず)を取り付けるための平面でなる取付け面に形成されている。しかしながら,テーブル1の上面である庇部26の上面は,テーブル1の上面の取付け面28と同様に部材の取付け面とすると,リニアスケール22に悪影響を及ぼすので,取付け面28とは区別され,区分する境界部分に凹溝になるマーク27が形成されている。テーブル1の取付け面28には,ワーク等の部材を取り付けるための複数の取付け用ねじ孔41が形成されている。
【0020】
図1〜
図5示すように,極小形に構成されたスライド装置10は,特に,マグネット7M及び電機子コイル20も小さく形成されて推力も小さくなり,外部環境の影響を受け易くなるので,安全性からも外部環境の影響を小さくするために,防塵で防護のためのカバー3をスライド装置10に設けたエンドブロック4,5に簡単に装着可能に構成されていることを特徴としている。また,スライド装置10は,防塵及び防護のためのカバー3をエンドブロック4,5に係止して装着した構造に構成されている。スライド装置10は,特に,ベッド2には,テーブル1の移動方向に沿って形成された溝状の凹部35に電機子組立体8のコイル基板21を下面にして埋設され,電機子組立体8の両端側になる凹部35の両端部63にエンドブロック4,5がそれぞれ嵌入して対向して配設され,エンドブロック4,5には,スライド装置10の全体を上部から被せて覆う防塵で防護のためのカバー3が嵌入することを特徴としている。また,エンドブロック4,5は,ブロック体に構成されて両側部に形成された取付け用孔51にねじを通してコイル基板21と共にベッド2に固着され,テーブル1がベッド2から飛び出すのを防止するために,ベッド2上から突出してテーブル1の上面64よりも低く構成されて,テーブル1の端面65が当接する当接面15を有して形成されている。更に,エンドブロック4,5のブロック体は,カバー3を位置決め固着する取付け可能にする上面50,両側面48,及び外端面になる背面46に形成されると共に,背面46に係止凹部31を設けられている。また,テーブル1の上面64には,カバー3が装着されるときにカバー3に開口して形成された窓部18を通してカバー上面64から僅かに突出した状態に固定されたサブテーブル11を取付け可能にする複数の取付け用ねじ孔42が形成されている。この実施例では,スライド装置10は,最大推力が3.0N,定格推力が0.6Nに構成され,ストロークが,例えば,10〜18mmに構成されている。
【0021】
カバー3が装着されたスライド装置10については,
図1〜
図3に示すように,カバー3は,スライド装置10の全体を上部から被せて覆う態様に形成されると共に,スライド装置10のテーブル1の上面に対向する部分は開口した窓部18に形成されており,窓部18を通して位置決め駆動するテーブル1にワーク等の部材(図示せず)を取り付けるためにテーブル1よりも小さなサブテーブル11が装着されている。サブテーブル11は,テーブル1の取付け面18に設けたねじ孔42に複数のねじ36で固着されて構成される。また,カバー3は,
図2に示すように,スライド装置10をベース等の機台(図示せず)に取り付けるためベッド2に形成した取付け用孔34を覆うこと無く露出する形状に,端部が段凹部60に形成されている。実施例では,スライド装置10の取付け用孔34は,ベッド2の端部の四隅にベース等の機台(図示せず)に取り付けるために形成している。
【0022】
サブテーブル11は,スライド装置10にカバー3が装着されるときに,テーブル1の取付け面28の長手方向の中央位置にねじ36で固着されている。サブテーブル11は,幅Ws ,長さLs,及び板厚t で成る矩形板状に形成されており,上面がワーク等の部材を取り付けるための取付け面29に形成され,取付け面29がカバー3の上面43から僅かに突出した状態に構成される。また,サブテーブル11は,少なくともスライド装置10の負荷能力が発揮可能な剛性を有する大きさ(幅Ws ,及び長さLs)に形成されている。カバー3の窓部18は,テーブル1の可動範囲に矩形板状のサブテーブル11が可動可能な矩形状の大きさに形成されると共に,テーブル1の端面が露出しない大きさに形成されており,特に,窓部18の幅方向長さはテーブル1の幅方向長さの範囲内であることがカバー3としての機能を適正に発揮できて好ましい。また,サブテーブル11は,テーブル1の移動方向の中央位置に固着され,テーブル1の移動方向の長さは,テーブル1の長さから2倍のテーブル1のストローク距離Sを引いた長さよりも小さく形成されているものである。
【0023】
実施例では,スライド装置10は,カバー3の窓部18からテーブル1の端面が露出しないためには,
図3に示すように,テーブル1の中央位置にサブテーブル11が固着された状態であり,テーブル1の長さをLt,テーブル1のストロークをS(=2×S1),カバー3の窓18の長さをLm,サブテーブル11の長さをLsとして,テーブル1に固着されたサブテーブル11が一方側にストロークS1したときに,サブテーブル11の端面が窓18の窓枠61に衝突しないためには,サブテーブル11の端面62と窓18の窓枠61との間の距離S2は,S2>S1に形成されている。また,サブテーブル11が上記一方側にストロークS1したストロークエンドのときに,反対側の窓枠61からテーブル1の端面65が露出しないためには,サブテーブル11が初期の中央位置に位置するときの窓枠61とテーブル1の端面65との距離をL3として,L3≧S1の関係にある。これらの関係から,サブテーブル11の長さLsは,Ls=Lt−2×(S2+L3)
から,Ls<Lt−2Sに成る。また,カバー3の窓部18の長さLmは,
Lm=Ls+2×S2からLm>Ls+Sに成る。実施例では,Lt=38mm,
S=13mm,Ls=10mm,Lm=24mmに形成されている。
【0024】
スライド装置10では,カバー3の窓部18の幅Wmは,サブテーブル11の幅Wsよりも若干大きく形成されている。カバー3は,開口した窓部18を含め窓部18の周囲のスライド装置10の上部を覆う天井部37と,天井部37から垂下してスライド装置10の両側部39及び両端部38の周辺を覆う周辺部45とで構成されている。カバー3は,スライド装置10の両端部にそれぞれ備えた一対のエンドブロック4,5に位置決め固着される構造に構成されている。一対のエンドブロック4,5は,スライド装置10のベッド2の両端部63にそれぞれ固着され,テーブル1の飛び出しを防止するため,ベッド2の上面から突出してテーブル1の端面が当接する当接面15を有し,且つテーブル1の上面64よりも低い高さの上面50に形成されている。エンドブロック4,5の当接面15は,テーブル1の端面65が衝突しても弾性変形し易いように,断面山形で上下に延びる凸部が幅方向に多数並設してギザギザに形成された弾性変形可能に構成された緩衝部30に形成されている。また,エンドブロック4,5は,
図6〜
図9にも示すように,カバー3を位置決め固着可能に6面体でなるブロック体に形成されると共に,弾性変形し易く,製作し易い合成樹脂製で形成されている。更に,一対のエンドブロック4,5は,電機子組立体8が配設されるベッド2の凹部35に嵌入して電機子組立体8の両端部にそれぞれ配設され,電機子組立体8のコイル基板21と共にねじによりベッド2に固着される。エンドブロック4,5の両側部には,段凹部66が形成され,その段部に上記ねじを挿入する取付け用孔51が形成されている。また,一対のエンドブロック4,5の一方は,電機子組立体8に電源線17が結線されたコネクター14側に配設されたエンドブロック4に構成されている。コネクター14側のエンドブロック4は,
図6及び
図7にも示すように,電機子組立体8のコネクター14を嵌入する凹欠部52が形成され,下面49はコイル基板11上に配置可能に平面に形成されている。
【0025】
コネクター14側のエンドブロック4に対向する他方のエンドブロック5は,
図8及び
図9にも示すように,上記凹欠部も無く閉塞態様に形成され,下面にはコイル基板21を途中まで嵌入可能に段凹部53が形成され,コイル基板20の端面及びベッド3の凹部35の端部を覆うものに形成されている。コネクター14側のエンドブロック4及び他方のエンドブロック5は,各々の側面間の長さである幅寸法は同一幅に形成されており,各々の背面46には,
図3に示されるように,カバー3の係止部である係止凸部(爪部)33が嵌入して係着可能な係止部である係止凹部31が形成されている。また,コネクター14側のエンドブロック4及び他方のエンドブロック5がベッド2に固着された状態での各々の上面50は,
図3に示すように,テーブル1の取付け面28の高さより若干低く,同一高さに構成されており,カバー3の下面である底面が当接してカバー3の上下方向の位置決めに構成されている。ここで,
図1に示すスライド装置10と,
図5に示すスライド装置10とが電源線17及びセンサーケーブル16の引出し方向が左右反対の態様に成っていることに関して,エンドブロック4,5及センサ23のねじを脱着して反対側に組付けるだけで簡単に左右反対の態様変更が可能なものに成っており,ベッド2及びテーブル1は,長手方向を左右に見て,左右対称に構成されている。
【0026】
カバー3は,
図10〜
図15にも示されるように,スライド装置10の全体をスライド装置10の上部から被せて覆う態様に形成され,スライド装置10のテーブル1の上面64に対向する部分が開口された窓部18に形成されると共に,窓部18の周囲がスライド装置10の上部を覆う天井部37に形成され,及び天井部37から垂下してスライド装置10の両側部39及び両端部38の周辺を覆う周辺部45に形成されている。カバー3の両端部38には,スライド装置10の両端部63に固着されたそれぞれのエンドブロック4,5に嵌入する係着部32が形成され,カバー3はエンドブロック4,5に位置決め固着される構造に構成されている。カバー3の係着部32は,
図13に示すように,内面である裏面54がエンドブロック4,5の上面50,両側面48,及び外端面(背面)46のそれぞれに対向した位置決め可能な面(当接面及び近接面)に形成され,カバー3の内面即ち裏面54は,底面55,係着部32の一対の側面57,及び端面56にそれぞれ形成されている。カバー3の底面55は,エンドブロック4,5の上面50に当接してカバー3の上下の位置決めをし,両側面57はエンドブロック4,5のそれぞれの側面48に近接してカバー3の側部方向の位置決めをし,カバー3の端面56は,エンドブロック4,5の背面(外端面)46に近接してカバー3の端部38方向の位置決めをしている。また,カバー3の係着部32の内面である端面には,
図13〜
図15に示されるように,端面から突出した一対の凸部に成る係止
凸部33が形成され,一対の係止凸部33がエンドブロック4,5の背面46に形成された係止部である係止凹部31に係着して,
図3に示されるように,カバー3はエンドブロック4,5に固着される。
【0027】
カバー3は,合成樹脂製で形成され,カバー3の係止
凸部33が形成された係着部32の端部は容易に弾性可能でなり,カバー3とエンドブロック4,5との係止部の凹凸嵌着は容易に行え,エンドブロック4,5即ちスライド装置10にワンタッチで装着可能に成っている。実施例では,カバー3を安定して装着可能にカバー3の係止
凸部33が一対の係止凸部33に形成されているが,カバー3の係止部及びエンドブロック4,5の係止部の凹凸関係及び数量は,適宜に決められる。また,カバー3の端部38は,スライド装置10をベース等の機台(図示せず)に取り付けるために,ベッド2の四隅の端部63に形成された取付け用孔34を覆うこと無く,各々の取付け用孔34を露出させた形状に,端部38の両側が段凹部60に形成されており,所謂,端部38にあって両側の段凹部60の端面から段凹部60間になる係着部32が突出した態様に形成されている。また,カバー3の両側の段凹部60の一方側は,テーブル1の庇部26側に配設されたリニアエンコーダ19を覆うために,他方側よりも幅方向に延びて長く形成されており,その一方側の両端部には,リニアエンコーダ19のセンサ23に結線するセンサケーブル16が通るケーブル用凹部40が形成されている。また,カバー3の両端部38にはベッド2が嵌合するベッド用凹部58が形成されている。また,テーブル1の庇部26に対向するカバー3の天井部37の上面44は,エンドブロック4,5間の天井部37の上面43より僅かに低くなる上面44に形成され,サブテーブル11に取り付けられるワーク等の部材が接触し難く成っている。