(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定空間に前記測定対象物が存在しない場合における前記第1および第2のイメージセンサによる基準の受光量分布をそれぞれ示す第1および第2の基準データを予め記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記測定対象物の測定時に、前記記憶部に記憶された前記第1および第2の基準データに基づいて、前記第1および第2のイメージセンサの出力信号により示される受光量分布のうち前記測定対象物を除く前記測定空間の部分に対応する受光量分布が基準の受光量分布に等しくなるように前記第1および第2のイメージセンサの出力信号を補正し、補正された前記第1のイメージセンサの出力信号に基づいて前記第2の方向における前記測定対象物の寸法および位置を算出し、補正された前記第1および第2のイメージセンサの出力信号に基づいて前記第1および第2の値を算出する、請求項1記載の光学測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の光学測定装置においては、第1のレンズからCCDイメージセンサの受光面までの受光部の光学系の焦点が、投光部の投光レンズと受光部の第1のレンズとの間に位置する。測定対象物のエッジが受光部の光学系の焦点位置(以下、合焦点位置と呼ぶ。)にある場合、受光量データにより示される受光量分布において、測定対象物のエッジ位置に対応する部分で受光量が急峻に変化する。それにより、測定対象物のエッジ位置を容易かつ正確に検出することができる。
【0007】
一方、測定対象物のエッジが合焦位置からずれていると、受光量データにより示される受光量分布において、測定対象物のエッジ位置に対応する部分で受光量がなだらかに変化する。この場合、測定対象物のエッジ位置を正確に検出できない可能性がある。したがって、測定対象物のエッジ位置を検出する場合には、測定対象物をできる限り合焦点位置に配置することが好ましい。
【0008】
測定対象物のエッジが合焦点位置にあるか否かは、受光量データにより示される受光量分布において、測定対象物のエッジ位置に対応する部分の受光量の変化率に基づいて判定することができる。しかしながら、測定対象物が合焦点位置よりも投光部に近い側にあるか、測定対象物が合焦点位置よりも投光部から遠い側にあるかを判定することはできない。この場合、測定対象物を合焦点位置へ移動させることが難しい。そのため、測定対象物のエッジ位置の測定精度を向上させることは容易でない。
【0009】
本発明の目的は、測定対象物の測定精度を容易に向上させることを可能にする光学測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る光学測定装置は、測定対象物が配置されるべき測定空間へ第1の方向に
帯状の平行光を投射する投光部と、
第1および第2のイメージセンサと、測定空間内に第1の焦点を有し、測定空間を通過する投光部からの光を第1の
イメージセンサに導く第1の光学系と、測定空間内で第1の方向における第1の焦点の位置と異なる位置に第2の焦点を有し、測定空間を通過する投光部からの光を第2の
イメージセンサに導く第2の光学系
と、制御部とを備え、第1のイメージセンサは、第1の光学系により導かれた平行光の幅方向に並ぶ複数の画素を有し、平行光の幅方向における受光量分布を示す信号を出力し、第2のイメージセンサは、第2の光学系により導かれた平行光の幅方向に並ぶ複数の画素を有し、平行光の幅方向における受光量分布を示す信号を出力し、制御部は、第1のイメージセンサの出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の寸法および位置を算出するとともに、第1のイメージセンサの出力信号の演算により第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第1の値を算出し、第2のイメージセンサの出力信号の演算により第1の方向における第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第2の値を算出し、第1および第2の値に基づいて、第1の方向における測定対象物の位置を算出し、算出された第1の方向における測定対象物の位置および第2の方向における測定対象物の位置に基づいて、第1および第2の方向に平行な平面内における測定対象物の位置を示す画像データを生成するものである。
【0011】
その光学測定装置においては、投光部から測定空間へ第1の方向に
帯状の平行光が投射される。測定空間を通過する光が第1の光学系を通して第1の
イメージセンサに導かれる。第1の
イメージセンサは受光量
分布を示す信号を出力する。また、測定空間を通過する光が第2の光学系を通して第2の
イメージセンサに導かれる。第2の
イメージセンサは受光量
分布を示す信号を出力する。
【0012】
測定空間内で第1の方向における第1の焦点の位置と第1の方向における第2の焦点の位置とが互いに異なる
。
【0013】
第1の
イメージセンサの出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の
寸法および位置が算出され
る。
【0016】
第1の
イメージセンサの出力信号の演算により第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第1の値
が算出
される。第2の
イメージセンサの出力信号の演算により第1の方向における第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第2の値
が算出
される。算出された第1および第2の
値に基づいて第1の方向におけ
る測定対象物の位置
が算出される。
算出された第1の方向における測定対象物の位置および第2の方向における測定対象物の位置に基づいて、第1および第2の方向に平行な平面内における測定対象物の位置を示す画像データが生成される。
この場合、画像データに基づいて第1の方向および第2の方向における測定対象物の位置を示す画像を表示することが可能になる。それにより、使用者は、画像データに基づく画像を視認することにより、第1の方向および第2の方向における測定対象物の位置を容易かつ即座に認識することができる。
【0023】
(
2)光学測定装置は、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の
イメージセンサによる基準の受光量分布をそれぞれ示す第1および第2の基準データを予め記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、測定対象物の測定時に、記憶部に記憶された第1および第2の基準データに基づいて、第1および第2の
イメージセンサの出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物を除く測定空間の部分に対応する受光量分布が基準の受光量分布に等しくなるように第1および第2の
イメージセンサの出力信号を補正し、補正された第1の
イメージセンサの出力信号に基づいて
第2の方向における測定対象物の寸法および位置を算出し、補正された第1および第2の
イメージセンサの出力信号に基づいて
第1および第2の値を算出してもよい。
【0024】
第1および第2の光学系にくもりが発生すること、または第1および第2の光学系に汚れが付着することにより、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の
イメージセンサによる受光量分布が、基準の受光量分布から変化する場合がある。
【0025】
本発明においては、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の
イメージセンサによる基準の受光量分布をそれぞれ示す第1および第2の基準データが予め記憶部に記憶される。測定対象物の測定時には、記憶部に記憶された第1および第2の基準データに基づいて、第1および第2の
イメージセンサの出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物を除く測定空間の部分に対応する受光量分布が基準の受光量分布に等しくなるように第1および第2の
イメージセンサの出力信号が補正される。
【0026】
それにより、第1の
イメージセンサの補正された出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の位置が高い精度で算出される。ま
た、第1の
イメージセンサの補正された出力信号および第2の
イメージセンサの補正された出力信
号に基づいて、
第1および第2の値が算出される。
【0029】
(3)第1の値は、測定対象物が予め定められた有効測定領域内に位置する場合にしきい値以上になり、測定対象物が予め定められた有効測定領域
外に位置する場合にしきい値よりも小さくなり、制御部は、第1の値がしきい値よりも小さいか否かを判定し、第1の値がしきい値よりも小さい場合に、測定対象物が有効測定領域から外れたことを示す報知信号を生成してもよい。
【0030】
この場
合、測定対象物が有効測定領域内に位置しない場合に、報知信号により測定対象物が有効測定領域から外れたことが示される。それにより、測定対象物の位置が有効測定領域から外れた場合でも、報知信号に基づいて測定対象物を有効測定領域内へ移動させることができる。
【0035】
(
4)第2のイメージセンサは、第2の光学系により導かれた平行光の幅方向および厚み方向に二次元的に並ぶ複数の画素を有し、制御部は、第2のイメージセンサの出力信号に基づいて平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを検出し、検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置を補正するように構成されてもよい。
【0036】
この場合、測定空間を通過した平行光が、第2の光学系により第2の
イメージセンサに導かれ、第2のイメージセンサの二次元的に並ぶ複数の画素に入射する。それにより、第2のイメージセンサからの出力信号に基づいて、第2の
イメージセンサに導かれた平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布が得られる。得られた受光量分布に基づいて、平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを正確に検出することが可能になる。
【0037】
検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置が補正される。それにより、平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布を得るための新たな構成を必要とすることなく、低コストで測定対象物のエッジの位置の測定精度をより向上させることが可能になる。
【0038】
(
5)光学測定装置は、受光量を示す信号を出力する第3の
イメージセンサと、測定空間を通過した平行光を第3の
イメージセンサに導く第3の光学系とをさらに備え、第3の
イメージセンサは、第3の光学系により導かれた平行光の幅方向および厚み方向に二次元的に並ぶ複数の画素を
有し、制御部は、第3のイメージセンサの出力信号に基づいて平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを検出し、検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置を補正するように構成されてもよい。
【0039】
この場合、測定空間を通過した平行光が、第3の光学系により第3の
イメージセンサに導かれ、第3のイメージセンサの二次元的に並ぶ複数の画素に入射する。それにより、第3のイメージセンサからの出力信号に基づいて、第3の
イメージセンサに導かれた平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布が得られる。得られた受光量分布に基づいて、平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを正確に検出することが可能になる。検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置が補正される。それにより、簡単な構成で測定対象物のエッジの位置の測定精度をより向上させることが可能になる。
(6)光学測定装置は、制御部により生成される画像データに基づいて測定対象物の位置を示す画像を表示する表示部をさらに備え、制御部は、現時点よりも前の時点で算出された測定対象物の位置を示す画像を、現時点で算出される測定対象物の位置を示す画像とは異なる態様で表示部に表示させてもよい。
(7)光学測定装置は、制御部により生成される画像データに基づいて測定対象物の位置を示す画像を表示する表示部をさらに備え、制御部は、測定対象物の位置を示す画像とともに、測定対象物が位置すべき領域を示す画像を表示部に表示させてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、測定対象物の測定精度を容易に向上させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[1]第1の実施の形態
(1)光学測定装置の構成
以下、第1の実施の形態に係る光学測定装置について図面を参照しながら説明する。
図1は第1の実施の形態に係る光学測定装置の外観斜視図であり、
図2は第1の実施の形態に係る光学測定装置の構成を示すブロック図である。
【0043】
第1の実施の形態に係る光学測定装置1は、投光部10、受光部20およびコントローラ30を備える。
図1に示すように、投光部10と受光部20とがケーブルCA1により互いに接続される。また、受光部20とコントローラ30とがケーブルCA2により互いに接続される。投光部10、受光部20およびコントローラ30の間では、ケーブルCA1,CA2を通して種々の信号が伝送される。さらに、コントローラ30には、ケーブルCA3により表示装置40が接続され、ケーブルCA4によりプログラマブルコントローラ50が接続される。コントローラ30と表示装置40との間でケーブルCA3を通して種々の信号が伝送され、コントローラ30とプログラマブルコントローラ50との間でケーブルCA4を通して種々の信号が伝送される。
【0044】
図2に示すように、投光部10は、発光ダイオード等からなる光源11、拡散部12および投光レンズ13を含む。光源11、拡散部12および投光レンズ13は、それぞれ投光部10の筐体10a内に収容される。
【0045】
受光部20は、第1のレンズ21、絞り22、第2のレンズ23、第1のイメージセンサ24、ビームスプリッタ25、ハーフミラー26、第2のイメージセンサ27および第3のイメージセンサ28を含む。第1のレンズ21、絞り22、第2のレンズ23、第1のイメージセンサ24、ビームスプリッタ25、ハーフミラー26、第2のイメージセンサ27および第3のイメージセンサ28は、それぞれ筐体20aに収容される。
【0046】
本実施の形態においては、第1および第2のイメージセンサ24,27として一次元CCD(電荷結合素子)イメージセンサが用いられる。一次元CCDイメージセンサは一方向に配列された複数の画素を有する。また、第3のイメージセンサ28として二次元CCDイメージセンサが用いられる。二次元CCDイメージセンサは、二次元的に配列された複数の画素を有する。
【0047】
図2に示すように、コントローラ30は、3つのA/D(アナログ/デジタル)変換器31a,31b,31cおよび信号処理部32を含む。3つのA/D変換器31a,31b,31cおよび信号処理部32は、それぞれ筐体30aに収容される。信号処理部32は、CPU(中央演算処理装置)321、データ用メモリ322、プログラム用メモリ323、表示部324、操作部325および出力回路326を含む。
【0048】
投光部10の光源11から出射された光は、拡散部12により一方向に拡散され、投光レンズ13により帯状の平行光に変換される。その平行光は、一定幅および一定厚みを有し、受光部20に向かって投射される。
【0049】
以下の説明では、平行光が通過する投光部10と受光部20との間の空間を測定空間MSと呼ぶ。また、以下の説明では、測定空間MSにおいて互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向は測定空間MSを通過する平行光の光軸に平行な方向であり、Y方向は測定空間MSを通過する平行光の厚み方向に平行な方向であり、Z方向は測定空間MSを通過する平行光の幅方向に平行な方向である。
【0050】
投光部10から投射された平行光は、受光部20の第1のレンズ21により集光され、絞り22の開口部を通過し、第2のレンズ23により再び平行な光に戻される。第2のレンズ23を透過した平行光の一部がビームスプリッタ25およびハーフミラー26を透過して第1のイメージセンサ24に導かれる。第1のイメージセンサ24は、第1のイメージセンサ24の複数の画素が第2のレンズ23から導かれる平行光の幅方向に並ぶように配置される。
【0051】
第2のレンズ23を透過した平行光のさらに一部がビームスプリッタ25により反射され、第2のイメージセンサ27に導かれる。第2のイメージセンサ27は、第2のイメージセンサ27の複数の画素が第2のレンズ23およびビームスプリッタ25から導かれる平行光の幅方向に並ぶように配置される。
【0052】
第2のレンズ23を透過した平行光の残りがビームスプリッタ25を透過し、ハーフミラー26により反射され、第3のイメージセンサ28に導かれる。第3のイメージセンサ28は、第3のイメージセンサ28の複数の画素が第2のレンズ23およびハーフミラー26から導かれる平行光の幅方向および厚み方向に二次元的に並ぶように配置される。
【0053】
本実施の形態においては、受光部20における第1のレンズ21から第1のイメージセンサ24までの光の経路が、第1のイメージセンサ24に対応する第1の光学系201を構成する。また、受光部20における第1のレンズ21から第2のイメージセンサ27までの光の経路が、第2のイメージセンサ27に対応する第2の光学系202を構成する。第1の光学系201および第2の光学系202のうち互いに共通する第1のレンズ21、絞り22および第2のレンズ23が、両側テレセントリック光学系を構成する。
【0054】
図3は
図2の第1のイメージセンサ24に対応する第1の光学系201の焦点を示す模式図である。
図3に示すように、本例では、第1の光学系201の焦点面が測定空間MS内に位置する。測定空間MS内の第1の光学系201の焦点面を第1の焦点FP1と呼ぶ。
【0055】
本実施の形態では、第1の光学系201について測定対象物500の測定を行うための好適な焦点深度の範囲としてX方向に有効測定領域MAが定められている。
図3の例では、有効測定領域MAは、第1の焦点FP1よりも受光部20側に距離sp分離れた位置から、第1の焦点FP1よりも投光部10側に距離sp分離れた位置までの範囲である。
【0056】
図4は
図2の第2のイメージセンサ27に対応する第2の光学系202の焦点を示す模式図である。
図4に示すように、本例では、第2の光学系202の焦点面が測定空間MS内に位置する。測定空間MS内の第2の光学系202の焦点面を第2の焦点FP2と呼ぶ。
【0057】
受光部20においては、第1の焦点FP1の位置および第2の焦点FP2の位置が測定空間MS内のX方向において互いに離間するようにかつ第2の焦点FP2が第1の焦点FP1よりも投光部10側に距離sp分離れて位置するように、第1および第2のイメージセンサ24,27が筐体20a内に設けられる。
【0058】
図2に示すように、第1および第2のイメージセンサ24,27は、それぞれ受光した平行光の幅方向における受光量分布を示すアナログの信号CD1,CD2を出力する。また、第3のイメージセンサ28は、受光した平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布を示すアナログの信号CD3を出力する。
【0059】
コントローラ30のA/D変換器31aは、第1のイメージセンサ24から出力される信号CD1をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を受光量分布を示すデータとしてデータ用メモリ322に書き込む。
【0060】
コントローラ30のA/D変換器31bは、第2のイメージセンサ27から出力される信号CD2をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を受光量分布を示すデータとしてデータ用メモリ322に書き込む。
【0061】
コントローラ30のA/D変換器31cは、第3のイメージセンサ28から出力される信号CD3をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を受光量分布を示すデータとしてデータ用メモリ322に書き込む。
【0062】
プログラム用メモリ323には制御プログラムが記憶される。操作部325は、筐体30aに取り付けられる複数のスイッチ325s(
図1)を含み、光学測定装置1における種々の設定等を行うために用いられる。
【0063】
CPU321は、プログラム用メモリ323に記憶された制御プログラムに従って投光部10の光源11を制御するとともに、受光部20に内蔵された図示しないタイミング発生回路等を制御する。また、CPU321は、制御プログラムに従って測定対象物500の測定を行う。光学測定装置1による測定対象物500の測定方法についての詳細は後述する。
【0064】
さらに、CPU321は、例えば測定対象物500の測定結果を出力回路326に与える。また、CPU321は、例えば測定対象物500の測定結果に基づく画像データを出力回路326に与える。出力回路326は、CPU321から与えられた測定結果および画像データ等を出力信号OT1として光学測定装置1の外部(
図1および
図2の表示装置40およびプログラマブルコントローラ50等)に出力する。
【0065】
表示部324は、例えば操作部325による光学測定装置1の種々の設定内容ならびに測定対象物500の測定結果等を表示する。また、表示部324は、CPU321から後述する測定不可信号が与えられることにより、測定対象物500が有効測定領域MAから外れたことを示す画像または文字を表示する。
【0066】
(2)測定対象物の測定方法
図5および
図6は、第1の実施の形態に係る光学測定装置1による測定対象物500の測定方法を説明するための図である。本例では、測定対象物500は断面円形の線状部材である。以下に説明する測定方法によれば、Z方向における測定対象物500の一方のエッジE1と他方のエッジE2との間の距離が算出される。また、Z方向における測定対象物500の一方のエッジE1および他方のエッジE2の位置が算出される。また、X方向における測定対象物500の位置(測定対象物500の中心部500cの位置)が算出される。
【0067】
図5(a)に主として投光部10および受光部20を示す模式的側面図が示される。
図5(a)に示すように、まず投光部10と受光部20との間の測定空間MS内に測定対象物500が配置される。
【0068】
投光部10から受光部20に向かって平行光が照射される。それにより、第1および第2のイメージセンサ24,27から平行光の幅方向における受光量分布を示すアナログの信号CD1,CD2(
図2)がそれぞれ出力される。コントローラ30においては、アナログの信号CD1,CD2がデジタルの信号に変換される。
【0069】
図5(b)に第1のイメージセンサ24の出力信号に基づく受光量分布RLaが示される。
図5(b)の縦軸は第1のイメージセンサ24の各画素に入射する光の受光量を示し、
図5(b)の横軸は第1のイメージセンサ24における複数の画素の位置を示す。
【0070】
図5(b)に示すように、本例ではZ方向において測定対象物500が存在する部分に対応する第1のイメージセンサ24の複数の画素上の受光量がほぼ0になる。一方、Z方向において測定対象物500が存在しない部分に対応する第1のイメージセンサ24の複数画素上の受光量は0よりも大きい。それにより、Z方向における測定対象物500の一方のエッジE1および他方のエッジE2にそれぞれ対応する第1のイメージセンサ24の画素およびその近傍の画素上で受光量分布が大きく変化する。
【0071】
図5(b)の受光量分布RLaが
図2のデータ用メモリ322に記憶される。同様に、第2のイメージセンサ27の出力信号に基づく受光量分布が
図2のデータ用メモリ322に記憶される。
【0072】
光源11により発生される光の強さが一定である場合に、拡散部12(
図2)、投光レンズ13(
図2)、第1の光学系201および第2の光学系202のいずれかにくもりまたは汚れが生じると、第1のイメージセンサ24および第2のイメージセンサ27における受光量の大きさが低下する。このように、受光量の大きさが本来得られるべき大きさよりも小さくなると、測定対象物500の測定精度が低下する。
【0073】
そこで、本実施の形態では、第1および第2のイメージセンサ24,27の出力信号にそれぞれ対応する受光量分布が、それぞれ拡散部12、投光レンズ13、第1の光学系201および第2の光学系202にくもりおよび汚れが生じていない状態で得られる受光量分布と等しくなるように補正される。
【0074】
図5(b)の受光量分布RLaの補正について説明する。受光量分布RLaの補正を行うために、拡散部12、投光レンズ13、第1の光学系201および第2の光学系202にくもりおよび汚れが生じておらず、測定空間MSに測定対象物500が存在しない状態で、第1のイメージセンサ24により得られるべき受光量分布を示す第1の基準データが予めデータ用メモリ322に記憶されている。
図5(b)に、第1の基準データの受光量分布ILaが太い一点鎖線で示される。
【0075】
まず、CPU321は、受光量分布RLaを微分することにより第1のイメージセンサ24の受光量分布RLaに対応する微分波形DLaを生成する。
【0076】
図5(c)に、
図5(b)の受光量分布RLaに対応する微分波形DLaが示される。
図5(c)の縦軸は微分値を示し、
図5(c)の横軸は第1のイメージセンサ24における複数の画素の位置を示す。
【0077】
図5(c)に示すように、微分波形DLaにおいては、受光量分布RLaにおける受光量の変化の大きい部分で微分値が極大または極小となる。
【0078】
本例では、微分波形DLaにおいて微分値が極大となるときの画素位置が符号p1で示され、微分値が極小となるときの画素位置が符号p2で示される。この場合、画素位置p1がZ方向における測定対象物500の一方のエッジE1に対応する画素位置を表す。また、画素位置p2がZ方向における測定対象物500の他方のエッジE2に対応する画素位置を表す。
【0079】
受光量分布RLaを補正する場合、Z方向において測定対象物500が存在する部分に対応する部分の受光量分布を用いても、画素ごとの正確な補正量を得ることは難しい。そこで、本例では、測定対象物500の一方のエッジE1に対応する画素位置p1から他方のエッジE2に対応する画素位置p2の反対側に一定画素cn分離間した位置を受光量分布RLaの補正用画素位置pc1として決定する。同様に、測定対象物500の他方のエッジE2に対応する画素位置p2から一方のエッジE1に対応する画素位置p1の反対側に一定画素cn分離間した位置を受光量分布RLaの補正用画素位置pc2として決定する。
【0080】
その後、CPU321は、
図6(a)に示すように、決定された2つの補正用画素位置pc1,pc2における受光量i1,i2に基づいて、測定空間MSに測定対象物500が存在しない状態で得られる受光量分布NLを推定する。
【0081】
続いて、CPU321は、推定された受光量分布NLを第1の基準データの受光量分布ILaに等しくするための画素ごとの補正量を算出する。CPU321は、算出された画素ごとの補正量に基づいて受光量分布RLaを補正する。
図6(b)に、補正前の受光量分布RLaが太い点線で示され、補正後の受光量分布RLbが太い実線で示される。補正後の受光量分布RLbはデータ用メモリ322に記憶される。
【0082】
第1のイメージセンサ24の出力信号に基づく受光量分布RLaの補正と同様に、第2のイメージセンサ27の出力信号に基づく受光量分布が補正される。この場合、第1のイメージセンサ24の出力信号に基づく受光量分布RLaの補正時と同様に、拡散部12、投光レンズ13、第1の光学系201および第2の光学系202にくもりおよび汚れが生じておらず、測定空間MSに測定対象物500が存在しない状態で、第2のイメージセンサ27により得られるべき受光量分布を示す第2の基準データが予めデータ用メモリ322に記憶されている。
【0083】
CPU321は、第2のイメージセンサ27に対応する受光量分布を微分することにより2つの補正用画素位置を決定し、決定された2つの補正用画素位置で得られる受光量に基づいて、測定空間MSに測定対象物500が存在しない状態で得られる受光量分布を推定する。
【0084】
続いて、CPU321は、推定された受光量分布を第2の基準データの受光量分布に等しくするための画素ごとの補正量を算出する。CPU321は、算出された画素ごとの補正量に基づいて受光量分布を補正する。補正後の受光量分布はデータ用メモリ322に記憶される。
【0085】
その後、CPU321は、補正後の2つの受光量分布をそれぞれ微分することにより、2つの受光量分布にそれぞれ対応する2つの微分波形を生成する。
図6(c)に、
図6(b)の補正後の受光量分布RLbを微分することにより生成される微分波形DLbが示される。
図6(c)の縦軸は微分値を示し、
図6(c)の横軸は第1のイメージセンサ24における複数の画素の位置を示す。
【0086】
図6(c)に示すように、微分波形DLbにおいては、
図6(b)の受光量分布RLbにおける受光量の変化の大きい部分で微分値が極大または極小となる。
【0087】
CPU321は、生成された微分波形DLbにおける極大値d1および極小値d2をそれぞれ第1の極大値および第1の極小値としてデータ用メモリ322に記憶する。また、CPU321は、微分波形DLbにおいて極大値d1および極小値d2を示すときの画素位置を、それぞれ第1の極大画素位置pp1および第1の極小画素位置pp2としてデータ用メモリ322に記憶する。
【0088】
この場合、第1の極大画素位置pp1はZ方向における測定対象物500のエッジE1の位置に対応し、第1の極小画素位置pp2はZ方向における測定対象物500のエッジE2の位置に対応する。そこで、CPU321は、データ用メモリ322に記憶された第1の極大画素位置pp1および第1の極小画素位置pp2に基づいて、Z方向における測定対象物500の一方のエッジE1および他方のエッジE2の位置を算出する。また、CPU321は、Z方向における測定対象物500の一方のエッジE1と他方のエッジE2との間の距離を算出する。Z方向におけるエッジE1,E2の位置およびエッジE1,E2間の距離の算出結果はデータ用メモリ322に記憶される。
【0089】
CPU321は、データ用メモリ322に記憶されたエッジE1,E2の位置およびエッジE1,E2間の距離の算出結果に基づく画像データまたはテキストデータを生成し、表示部324に与える。それにより、エッジE1,E2の位置およびエッジE1,E2間の距離の算出結果が表示部324に表示される。
【0090】
第2のイメージセンサ27に対応して生成される微分波形においても、補正後の受光量分布の変化の大きい部分で微分値が極大または極小となる。それにより、CPU321は、生成された微分波形における極大値および極小値をそれぞれ第2の極大値および第2の極小値としてデータ用メモリ322に記憶する。また、CPU321は、第2のイメージセンサ27に対応する微分波形において極大値および極小値を示すときの画素位置を、それぞれ第2の極大画素位置および第2の極小画素位置としてデータ用メモリ322に記憶する。
【0091】
ここで、第1のイメージセンサ24に対応して生成される微分波形DLbの第1の極大値d1および第1の極小値d2の絶対値は、X方向において測定対象物500が第1の焦点FP1に近づくほど大きくなり、X方向において測定対象物500が第1の焦点FP1から遠ざかるほど小さくなる。そこで、本実施の形態では、第1の極大値の絶対値および第1の極小値の絶対値の和の平均値が、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量に対応する第1の評価値としてCPU321により算出される。
【0092】
また、第2のイメージセンサ27に対応して生成される微分波形の第2の極大値および第2の極小値の絶対値は、X方向において測定対象物500が第2の焦点FP2に近づくほど大きくなり、X方向において測定対象物500が第2の焦点FP2から遠ざかるほど小さくなる。そこで、本実施の形態では、第2の極大値の絶対値および第2の極小値の絶対値の和の平均値が、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量に対応する第2の評価値としてCPU321により算出される。
【0093】
さらに、本実施の形態においては、X方向における測定対象物500の位置と第1の評価値との間の予め定められた関係が第1の関係として
図2のデータ用メモリ322に記憶され、X方向における測定対象物500の位置と第2の評価値との間の予め定められた関係が第2の関係として
図2のデータ用メモリ322に記憶される。
【0094】
第1の関係は、例えば測定空間MS内で測定対象物500をX方向に沿って移動させつつX方向における複数の位置で上記の第1の評価値を算出することにより生成することができる。同様に、第2の関係は、例えば測定空間MS内で測定対象物500をX方向に沿って移動させつつX方向における複数の位置で上記の第2の評価値を算出することにより生成することができる。
【0095】
第1の関係においては、第1の評価値の大きさが、第1の焦点FP1の位置で最大となり、第1の焦点FP1の位置から遠ざかるにつれて指数関数的に低下する。第2の関係においては、例えば第2の評価値の大きさが、第2の焦点FP2の位置で最大となり、第2の焦点FP2の位置から遠ざかるにつれて指数関数的に低下する。
【0096】
図7および
図8は、X方向における測定対象物500の位置の算出手順を示すフローチャートである。CPU321は、以下のようにしてX方向における測定対象物500の位置を算出する。
【0097】
まず、CPU321は、上記のように、第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいて第1の評価値を算出するとともに、第2のイメージセンサ27の出力信号に基づいて第2の評価値を算出する(ステップS11)。
【0098】
次に、CPU321は、算出された第2の評価値およびデータ用メモリ322に記憶されている第2の関係に基づいて第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2を算出する(ステップS12)。
【0099】
上記のステップS12の処理では、測定対象物500が、第2の焦点FP2に関して投光部10に近い側に位置するか、または第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側に位置するかが不明である。
【0100】
上記のように、第1の関係においては、第1の評価値が第1の焦点FP1の位置で最大となり、第1の焦点FP1の位置から遠ざかるにつれて指数関数的に低下する。そのため、測定対象物500が上記の有効測定領域MA内に位置する場合には、第1の評価値が所定のしきい値以上になる。また、本例では、第1の焦点FP1と第2の焦点FP2との間の距離spが既知であり、第2の焦点FP2は有効測定領域MAの一端に位置する。そのため、測定対象物500が第2の焦点FP2に位置する場合には第1の評価値が所定のしきい値に等しくなる。
【0101】
そこで、本実施の形態では、第1の評価値についての上記のしきい値THが、予めデータ用メモリ322に記憶される。それにより、CPU321は、ステップS12の処理後、第1の評価値がしきい値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0102】
第1の評価値がしきい値TH以上である場合には、測定対象物500が有効測定領域MA内に位置すること、すなわち測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側に位置することまたは測定対象物500が第2の焦点FP2に位置することがわかる。一方、第1の評価値がしきい値THよりも小さい場合には、測定対象物500が有効測定領域MA外に位置すること、すなわち測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10に近い側に位置することがわかる。
【0103】
これにより、CPU321は、第1の評価値がしきい値TH以上である場合に、第1の焦点FP1と第2の焦点FP2との間の距離spおよび位置ずれ量ΔL2に基づいて、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1を算出する(ステップS14)。
【0104】
第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量、および第1の焦点FP1と第2の焦点FP2との間の距離をそれぞれΔL1、ΔL2およびspで表した場合に、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1は下記式(1)で算出される。
【0105】
ΔL1=sp−ΔL2 …(1)
続いて、CPU321は、算出された第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が0であるか否かを判定する(ステップS15)。
【0106】
位置ずれ量ΔL1が0である場合、CPU321は、測定対象物500が第1の焦点FP1に位置すると判定し(ステップS16)、判定結果をデータ用メモリ322に記憶する(ステップS17)。
【0107】
位置ずれ量ΔL1が0でない場合、CPU321は、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS18)。
【0108】
位置ずれ量ΔL1が0よりも大きい場合、CPU321は、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10に近い側に位置すると判定し(ステップS19)、判定結果を位置ずれ量ΔL1とともにデータ用メモリ322に記憶する(ステップS17)。
【0109】
一方、位置ずれ量ΔL1が0よりも小さい場合、CPU321は、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10から遠い側に位置すると判定し(ステップS20)、判定結果を位置ずれ量ΔL1とともにデータ用メモリ322に記憶する(ステップS17)。
【0110】
このようにして、測定対象物500が有効測定領域MA内に位置する場合に、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が算出される。また、測定対象物500が第1の焦点FP1に位置するか、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10に近い側に位置するか、または測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10から遠い側に位置するかが判定される。
【0111】
CPU321は、データ用メモリ322に記憶された位置ずれ量ΔL1および第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置の判定結果に基づく画像データまたはテキストデータを生成し、表示部324に与える。それにより、位置ずれ量ΔL1および第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置の判定結果が表示部324に表示される。
【0112】
上記のステップS13において、第1の評価値がしきい値THよりも小さい場合には、測定対象物500が有効測定領域MAから外れる。それにより、CPU321は、測定対象物500が有効測定領域MAから外れたことを示す測定不可信号を生成する(ステップS21)。CPU321は、生成された測定不可信号を表示部324に与える。それにより、表示部324に、測定対象物500が有効測定領域MAから外れたことを示す画像または文字が表示される。
【0113】
図9(a)は
図7および
図8のフローチャートに基づく測定対象物500の位置の一算出例を説明するためのグラフであり、
図9(b)は
図7および
図8のフローチャートに基づく測定対象物500の位置の他の算出例を説明するためのグラフである。
図9(a),(b)の各々においては、縦軸は評価値を示し、横軸は測定空間MSにおけるX方向の位置を示す。また、曲線CL1はデータ用メモリ322に記憶された第1の関係を示し、曲線CL2はデータ用メモリ322に記憶された第2の関係を示す。さらに、
図9(a),(b)の各々においては、有効測定領域MAの中心部に第1の焦点FP1が示され、有効測定領域MAの一端部に第2の焦点FP2が示される。また、有効測定領域MAの他端部には符号UPが付されている。
【0114】
図9(a)に示すように、例えば算出された第2の評価値がしきい値THよりも大きく曲線CL2の最大値よりも小さい値V21である場合を想定する。この場合、CPU321は、算出された値V21および曲線CL2に基づいて、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2を算出する。
【0115】
次に、CPU321は、測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側、すなわち有効測定領域MA側にあるか否かを判定するために、算出された第1の評価値がしきい値TH以上であるか否かを判定する。
【0116】
第1の評価値がしきい値THよりも大きい値V1aである場合、CPU321は、測定対象物500が有効測定領域MA内に位置する、すなわち測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側に位置すると判定する。
【0117】
そこで、CPU321は、上式(1)により第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1を算出する。
図9(a)の例では、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が0よりも大きくなる。その結果、第2の評価値が値V21でありかつ第1の評価値がしきい値THよりも大きい値V1aである場合には、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10に近い側にΔL1分ずれていることがわかる。
【0118】
一方、
図9(a)の例においては、第1の評価値がしきい値THよりも小さい値V1bである場合に、測定対象物500が有効測定領域MA外に位置することがわかる。
【0119】
図9(b)に示すように、例えば算出された第2の評価値がしきい値THよりも小さい値V22である場合を想定する。この場合、CPU321は、算出された値V22および曲線CL2に基づいて、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2を算出する。
【0120】
次に、CPU321は、測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側、すなわち有効測定領域MA側にあるか否かを判定するために、算出された第1の評価値がしきい値TH以上であるか否かを判定する。
【0121】
第1の評価値がしきい値THよりも大きい値V1cである場合、CPU321は、測定対象物500が有効測定領域MA内に位置する、すなわち測定対象物500が第2の焦点FP2に関して投光部10から遠い側に位置すると判定する。
【0122】
そこで、CPU321は、上式(1)により第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1を算出する。
図9(b)の例では、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が0よりも小さくなる。その結果、第2の評価値が値V22でありかつ第1の評価値がしきい値THよりも大きい値V1cである場合には、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10から遠い側にΔL1分ずれていることがわかる。
【0123】
なお、
図9(b)の例においても、第1の評価値がしきい値THよりも小さい値である場合には、測定対象物500が有効測定領域MA外に位置することがわかる。
【0124】
(3)測定対象物の位置の表示例
上記のように、
図1および
図2の表示部324には、測定対象物500の測定により算出されたZ方向のエッジE1,E2の位置、エッジE1,E2間の距離、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1および第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置の判定結果等が表示される。さらに、表示部324には、
図2の第3のイメージセンサ28からの出力信号により示される受光量分布が表示される。
【0125】
図10は、測定対象物500の測定時における
図1および
図2の表示部324の一表示例を示す図である。
図10の例では、表示部324の画面324d上に2つの表示領域DR1,DR2が表示される。
【0126】
一方の表示領域DR1には、例えば測定対象物500のエッジE1,E2間の距離、Z方向におけるエッジE1,E2の位置、X方向における測定対象物500の位置および第1の焦点FP1の位置が表示される。また、他方の表示領域DR2には、例えば、第3のイメージセンサ28からの出力信号により示される受光量分布が表示される。
図10の例では、測定対象物500に対応する受光量分布の部分500sにハッチングが施される。
【0127】
CPU321は、例えばZ方向におけるエッジE1,E2の位置およびX方向における測定対象物500の位置の算出結果に基づいて、X方向およびZ方向における測定対象物500の位置を表示するための画像データを生成する。また、CPU321は、例えば生成された画像データを出力回路326から表示装置40に与える。
【0128】
図11は、
図2のCPU321により生成された画像データに基づいて表示装置40の画面上に表示される一画像例である。
図11の例では、表示装置40の画面40sの略中央部分にX方向およびZ方向における測定対象物500の位置を示すXZ平面画像401が表示される。XZ平面画像401においては、測定対象物500の現在の位置が黒丸印で示され、測定対象物500の位置の履歴が白丸印で示される。また、XZ平面画像401においては、測定対象物500が位置すべき領域を示す目標円404が示される。
【0129】
表示装置40がキーボード等の操作部を含む場合、
図11に示すように、目標円404の直径および位置をそれぞれ設定するための入力スペース402,403が画面40s上に表示されてもよい。また、XZ平面画像401をX方向に沿う軸に対して反転させるため、またはXZ平面画像401をZ方向に沿う軸に対して反転させるための反転ボタン405,406が画面40s上に表示されてもよい。
【0130】
(4)光学測定装置の一適用例
本実施の形態に係る光学測定装置1は、例えば光ファイバの線引き装置に適用することができる。
図12は、第1の実施の形態に係る光学測定装置1の一適用例を示す模式図である。
【0131】
図12に示すように、光ファイバの線引き装置においては、光ファイバの母材611を加熱炉610内で加熱し、溶融したガラスを連続的に巻き取ることにより光ファイバ612が作製される。光ファイバ612の巻き取り工程においては、光ファイバ612の外径が測定される。
【0132】
そこで、本例では、光ファイバの母材611の下方に光学測定装置1の投光部10および受光部20が配置される。このとき、光ファイバ612の外径を高い精度で測定するためには、母材611から下方に延びる光ファイバ612が、投光部10と受光部20との間の有効測定領域MA内に正確に導かれる必要がある。
【0133】
この場合、例えばコントローラ30からプログラマブルコントローラ50に、Z方向における光ファイバ612のエッジE1,E2の位置およびX方向における光ファイバ612の位置の算出結果が与えられてもよい。
【0134】
それにより、プログラマブルコントローラ50は、与えられた算出結果に基づいて移動装置60を制御することにより、光ファイバ612が常に有効測定領域MA内へ導かれるように加熱炉610または母材611を移動させてもよい。なお、
図12の例では、移動装置60が加熱炉610または母材611を移動させるが、移動装置60は、加熱炉610または母材611を移動させる代わりに図示しない光ファイバ612の巻き取り装置を移動させてもよい。
【0135】
(5)傾き補正
図13(a)は断面円形の線状部材である測定対象物500の測定時に受光部20の位置から測定空間MSを見た場合の一例を示す図であり、
図13(b)は断面円形の線状部材である測定対象物500の測定時に受光部20の位置から測定空間MSを見た場合の他の例を示す図である。
【0136】
図13(a),(b)の各々においては、矢印により測定空間MSにおけるY方向およびZ方向が示される。また、第1および第2のイメージセンサ24,27において一列に並ぶ複数の画素位置に対応する部分に一点鎖線MLが示される。さらに、測定対象物500にハッチングが施される。
【0137】
図13(a)に示すように、例えば測定対象物500の軸心がY方向に平行な状態で、測定対象物500が測定空間MSに配置される。それにより、第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいて、一点鎖線ML上に位置する測定対象物500の一方のエッジE1と他方のエッジE2との間の距離Waが算出される。この場合、測定対象物500の軸心がY方向に平行であるので、2つのエッジE1,E2間の距離Waは測定対象物500の外径を表す。
【0138】
一方、
図13(b)に示すように、例えば測定対象物500の軸心がY方向に平行な軸に対して所定角度θ傾斜した状態で、測定対象物500が測定空間MSに配置される。それにより、第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいて、一点鎖線ML上に位置する測定対象物500の一方のエッジE1と他方のエッジE2との間の距離Wbが算出される。この場合、測定対象物500の軸心がY方向に平行な軸に対して傾斜しているので、2つのエッジE1,E2間の距離Wbは測定対象物500の外径よりも大きくなる。
【0139】
そのため、測定対象物500の軸心がY方向に平行な軸に対して傾斜していると、測定対象物500の外径を正確に測定することができない。そこで、測定空間MS内に測定対象物500が傾斜して配置される場合に発生する測定誤差を補正するために、CPU321は第3のイメージセンサ28の出力信号が示す受光量分布に基づいて以下の傾き補正を行う。
【0140】
図14は、傾き補正を説明するための模式図である。
図14では、測定対象物500の軸心がY方向に平行な軸に対して所定角度θ傾斜した状態で、測定対象物500が測定空間MSに配置された場合の第3のイメージセンサ28上の受光量分布の一例が示される。
【0141】
図14においては、測定空間MSにおけるY方向およびZ方向にそれぞれ対応するy方向およびz方向の矢印が示される。また、測定対象物500に対応する受光量分布の部分500sにハッチングが施される。
【0142】
この場合、CPU321は、まず第3のイメージセンサ28のz方向に平行な一側辺上で受光量分布が大きく変化する部分の画素位置m1,m2を検出し、2つの画素位置m1,m2の中心位置m3を算出する。
【0143】
同様に、CPU321は、第3のイメージセンサ28のz方向に平行な他側辺上で受光量分布が大きく変化する部分の画素位置n1,n2を検出し、2つの画素位置n1,n2の中心位置n3を算出する。
【0144】
なお、z方向に平行な一側辺および他側辺上で第3のイメージセンサ28上の受光量分布が大きく変化する部分は、Z方向における測定対象物500のエッジの部分をに対応する。それにより、算出された2つの中心位置m3,n3を結ぶ直線VLは、Y方向およびZ方向に平行な面上の測定対象物500の軸心に対応する。
【0145】
第3のイメージセンサ28においては、y方向の画素数ysが既知である。そこで、CPU321は、z方向における2つの中心位置m3,n3間の画素数zsを算出し、第3のイメージセンサ28のy方向の画素数ysと算出された画素数zsとに基づいて、y方向に平行な軸に対する直線VLの傾き角度θを算出する。本例では、傾き角度θは、下記式(2)により求めることができる。
【0146】
θ=tan
−1(zs/ys) …(2)
算出された傾き角度θは、Y方向に平行な軸に対する測定対象物500の軸心の傾斜角度を表す。CPU321は、算出された傾き角度θに基づいて、第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいて算出された2つのエッジE1,E2間の距離の値を補正する。
【0147】
第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいて算出された2つのエッジE1,E2間の距離、算出された傾き角度、および補正後の2つのエッジE1,E2の間の距離をそれぞれW1、θおよびW2で表した場合に、補正後の2つのエッジE1,E2の間の距離W2は下記式(3)で算出される。
【0148】
W2=W1×cosθ …(3)
このように、傾き補正によれば、測定対象物500の測定精度をより向上させることができる。なお、CPU321は、算出された傾き角度θに基づいて、Z方向における測定対象物500のエッジE1,E2の位置の算出結果を補正してもよい。
【0149】
コントローラ30の操作部325には、CPU321に傾き補正を指令するためのスイッチ325sが設けられてもよい。この場合、使用者は、傾き補正用のスイッチ325sを操作することにより、CPU321に上記の傾き補正を実行させることができる。
【0150】
(6)効果
(6−1)本実施の形態に係る光学測定装置1においては、測定空間MS内で、X方向における第1の光学系201の第1の焦点FP1の位置と、X方向における第2の光学系202の第2の焦点FP2の位置とが互いに異なる。それにより、第1のイメージセンサ24および第2のイメージセンサ27の出力信号に基づいて、測定対象物500が第1の焦点FP1に位置するか、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10に近い側に位置するか、または測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10から遠い側に位置するかが容易かつ正確に判定される。また、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が算出される。
【0151】
第1のイメージセンサ24の出力信号に基づいてZ方向における測定対象物500のエッジE1,E2の位置およびエッジE1,E2間の距離が算出される。この場合、第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置の判定結果、および第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1に基づいて、測定対象物500を第1の焦点FP1へ移動させることにより、測定対象物500のエッジE1,E2の位置の測定精度を容易に向上させることができる。
【0152】
(6−2)測定対象物500がX方向における第1の焦点FP1の位置の近傍にある場合には、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2が、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1よりも大きくなる。
【0153】
それにより、第1の評価値を用いた演算により第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1を算出する場合に比べて、第2の評価値を用いた演算により第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2を高い精度で算出することが可能になる。
【0154】
その結果、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2および第1の焦点FP1と第2の焦点FP2との間の距離spに基づいて、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1を高い精度で算出することができる。また、算出された第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1および第1の評価値に基づいて、第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置が高い精度で判定される。
【0155】
なお、第1のイメージセンサ24は、測定対象物500のエッジE1,E2の位置を検出するために用いられ、第2のイメージセンサ27は第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置を判定するために用いられる。そのため、第2のイメージセンサ27は、第1のイメージセンサ24に比べて、必ずしも高い分解能を有する必要がない。したがって、第2のイメージセンサ27としては、第1のイメージセンサ24に比べて低廉でかつ小型の一次元CCDイメージセンサを用いることができる。
【0156】
(6−3)本実施の形態においては、第1のイメージセンサ24の出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物500を除く測定空間MSの部分に対応する受光量分布が、第1の基準データに基づいて第1の光学系201にくもりおよび汚れが生じていない状態で得られる受光量分布と等しくなるように補正される。
【0157】
同様に、第2のイメージセンサ27の出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物500を除く測定空間MSの部分に対応する受光量分布が、第2の基準データに基づいて第2の光学系202にくもりおよび汚れが生じていない状態で得られる受光量分布と等しくなるように補正される。
【0158】
それにより、第1の光学系201および第2の光学系202にくもりおよび汚れが生じている場合でも、測定対象物500を高い精度で測定することができる。
【0159】
(6−4)上記のように、CPU321は、X方向およびZ方向における測定対象物500の位置を表示するための画像データを生成する。生成された画像データに基づいて、
図11に示すように、X方向およびZ方向における測定対象物500の位置を示すXZ平面画像401を得ることができる。この場合、使用者はXZ平面画像401を視認することにより、X方向およびZ方向における測定対象物500の位置を用意かつ即座に認識することができる。
【0160】
(6−5)上記のように、表示部324は、CPU321から後述する測定不可信号が与えられることにより、測定対象物500が有効測定領域MAから外れたことを示す画像または文字を表示する。それにより、測定対象物500が有効測定領域MAから外れた場合でも、表示部324の表示に基づいて測定対象物500を有効測定領域MA内へ移動させることができる。
【0161】
[2]第2の実施の形態
図15は、第2の実施の形態に係る光学測定装置1の構成を示すブロック図である。
図15に示すように、本実施の形態に係る光学測定装置1においては、受光部20に
図2のビームスプリッタ25および第2のイメージセンサ27が設けられず、コントローラ30に
図2のA/D変換器31bが設けられない。
【0162】
第3のイメージセンサ28においては、二次元的に配列された複数の画素のうち第2のレンズ23およびハーフミラー26から導かれる平行光の幅方向に並ぶように配置された一部の画素が、第1の実施の形態における第2のイメージセンサ27として機能する。それにより、測定空間MSにおいては、第1の焦点FP1からずれた位置に、第2の焦点FP2として第3のイメージセンサ28に対応する第3の光学系203の焦点が位置する。本実施の形態では、受光部20における第1のレンズ21から第3のイメージセンサ28までの光の経路が第3の光学系203を構成する。
【0163】
それにより、CPU321は、第1のイメージセンサ24からの出力信号および第3のイメージセンサ28の一部の画素からの出力信号に基づいて、測定対象物500の測定を行う。また、CPU321は、第3のイメージセンサ28の全ての画素からの出力信号に基づいて上記の傾き補正を行う。
【0164】
このように、第2の実施の形態に係る光学測定装置1によれば、
図2の第2のイメージセンサ27を設けることなく、第1のイメージセンサ24および第3のイメージセンサ28の出力信号に基づいて、X方向における測定対象物500の位置を算出し、傾き補正を行うことができる。それにより、低コストで測定対象物500の測定精度を向上させることができる。
【0165】
[3]他の実施の形態
(1)上記の実施の形態では、第1のイメージセンサ24からの出力信号により示される受光量分布が微分される。受光量分布の微分値に基づいて第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量に対応する第1の評価値が算出される。これに限らず、第1の評価値は、他の方法により算出されてもよい。例えば、第1の評価値は、受光量分布の微分値のピーク幅に基づいて算出されてもよい。
【0166】
同様に、第2のイメージセンサ27または第3のイメージセンサ28からの出力信号により示される受光量分布が微分される。受光量分布の微分値に基づいて第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量に対応する第2の評価値が算出される。これに限らず、第2の評価値は、他の方法により算出されてもよい。例えば、第2の評価値は、受光量分布の微分値のピーク幅に基づいて算出されてもよい。
【0167】
(2)上記の実施の形態では、第2の評価値を用いた演算により第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2が算出され、算出された測定対象物500の位置ずれ量ΔL2および第1の焦点FP1と第2の焦点FP2との間の距離spに基づいて、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が算出される。第2の評価値を用いる代わりに、第1の評価値を用いた演算により第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が算出されてもよい。この場合、第2の焦点FP2からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL2を算出することなく、第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が直接的に算出される。したがって、位置ずれ量ΔL1の算出時間が短縮される。
【0168】
(3)上記の実施の形態では、測定空間MSに帯状の平行光が投射されるが、測定空間MSに平行光以外の広がりを有する光が投射されてもよい。この場合においても、受光部20における第1の光学系201の第1の焦点FP1の位置と、受光部20における第2の光学系202または第3の光学系203の第2の焦点FP2の位置とが互いに異なることにより、第1および第2のイメージセンサ24,27の出力信号または第1および第3のイメージセンサ24,28の出力信号に基づいて、X方向における第1の焦点FP1に対する測定対象物500の位置を判定することができる。
【0169】
(4)上記の実施の形態では、第2の評価値を用いた演算により第1の焦点FP1からの測定対象物500の位置ずれ量ΔL1が算出される。そのため、データ用メモリ322に上記のしきい値THが記憶される場合には、X方向における測定対象物500の位置と第1の評価値との間の第1の関係はデータ用メモリ322記憶されなくてもよい。
【0170】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0171】
上記の実施の形態においては、測定対象物500が測定対象物の例であり、測定空間MSが測定空間の例であり、X方向が第1の方向の例であり、投光部10が投光部の例であり、第1のイメージセンサ24が第1の受光部の例であり、第1の実施の形態における第2のイメージセンサ27および第2の実施の形態における第3のイメージセンサ28が第2の受光部の例である。
【0172】
また、第1の焦点FP1が第1の焦点の例であり、第1の光学系201が第1の光学系の例であり、第2の焦点FP2が第2の焦点の例であり、第1の実施の形態における第2の光学系202および第2の実施の形態における第3の光学系203が第2の光学系の例である。
【0173】
また、Z方向が第2の方向の例であり、CPU321が制御部の例であり、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10に近い側に位置する状態が第1の状態の例であり、測定対象物500が第1の焦点FP1に関して投光部10から遠い側に位置する状態が第2の状態の例であり、測定対象物500が第1の焦点FP1に位置する状態が第3の状態の例であり、光学測定装置1が光学測定装置の例である。
【0174】
また、第1の評価値が第1の値の例であり、第2の評価値が第2の値の例であり、第1の基準データが第1の基準データの例であり、第2の基準データが第2の基準データの例であり、データ用メモリ322が記憶部の例であり、有効測定領域MAが有効測定領域の例であり、測定不可信号が報知信号の例である。
【0175】
また、第1のイメージセンサ24が第1のイメージセンサの例であり、第1の実施の形態における第2のイメージセンサ27および第2の実施の形態における第3のイメージセンサ28が第2のイメージセンサの例である。
【0176】
また、第2の実施の形態における第3のイメージセンサ28が第3の受光部および第3のイメージセンサの例であり、第2の実施の形態における第3の光学系203が第3の光学系の例である。
【0177】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[5]参考形態
(1)参考形態に係る光学測定装置は、測定対象物が配置されるべき測定空間へ第1の方向に平行に光を投射する投光部と、受光量を示す信号を出力する第1および第2の受光部と、測定空間内に第1の焦点を有し、測定空間を通過する投光部からの光を第1の受光部に導く第1の光学系と、測定空間内で第1の方向における第1の焦点の位置と異なる位置に第2の焦点を有し、測定空間を通過する投光部からの光を第2の受光部に導く第2の光学系と、第1の受光部の出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の位置を算出する制御部とを備え、制御部は、第1および第2の受光部の出力信号に基づいて、測定対象物が第1の方向において第1の焦点に関して投光部に近い側に位置する第1の状態、第1の焦点に関して投光部から遠い側に位置する第2の状態または第1の焦点に位置する第3の状態のいずれにあるかを判定するものである。
その光学測定装置においては、投光部から測定空間へ第1の方向に平行に光が投射される。測定空間を通過する光が第1の光学系を通して第1の受光部に導かれる。第1の受光部は受光量を示す信号を出力する。また、測定空間を通過する光が第2の光学系を通して第2の受光部に導かれる。第2の受光部は受光量を示す信号を出力する。
測定空間内で第1の方向における第1の焦点の位置と第1の方向における第2の焦点の位置とが互いに異なる。それにより、第1および第2の受光部の出力信号に基づいて、測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかが容易かつ正確に判定される。
第1の受光部の出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の位置が算出される。この場合、測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかの判定結果に基づいて、第1の方向において測定対象物を第1の焦点へ移動させることにより、測定対象物の位置の測定精度を容易に向上させることができる。
(2)制御部は、第1の受光部の出力信号および第2の受光部の出力信号の少なくとも一方に基づいて、第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を算出してもよい。
この場合、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量が算出される。それにより、測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかの判定結果と測定対象物の位置ずれ量の算出結果とに基づいて、測定対象物を第1の焦点の位置へ容易かつ正確に移動させることが可能となる。
(3)制御部は、第1の受光部の出力信号の演算により第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第1の値を算出し、第2の受光部の出力信号の演算により第1の方向における第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に対応する第2の値を算出し、算出された第1および第2の値の少なくとも一方に基づいて第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を算出するとともに、第1および第2の値に基づいて測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかを判定するように構成されてもよい。
この場合、第1の値および第2の値が算出されることにより、算出された第1の値および第2の値の少なくとも一方に基づいて、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量が算出される。また、第1および第2の値に基づいて測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかが判定される。
このように、第1の値および第2の値が算出されることにより、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量の算出および測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかの判定を行うことができる。
(4)制御部は、算出された第2の値を用いた演算により第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を算出するとともに、算出された位置ずれ量および第1の値に基づいて測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかを判定するように構成されてもよい。
測定対象物が第1の方向における第1の焦点の位置の近傍にある場合には、第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量が、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量よりも大きくなる。
それにより、第1の値を用いた演算により第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を算出する場合に比べて、第2の値を用いた演算により第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を高い精度で算出することが可能になる。
その結果、第2の焦点からの測定対象物の位置ずれ量に基づいて、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を高い精度で算出することができる。また、算出された第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量および第1の値に基づいて測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかが高い精度で判定される。
(5)光学測定装置は、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の受光部による基準の受光量分布をそれぞれ示す第1および第2の基準データを予め記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、測定対象物の測定時に、記憶部に記憶された第1および第2の基準データに基づいて、第1および第2の受光部の出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物を除く測定空間の部分に対応する受光量分布が基準の受光量分布に等しくなるように第1および第2の受光部の出力信号を補正し、補正された第1の受光部の出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の位置を算出し、補正された第1および第2の受光部の出力信号に基づいて、測定対象物が第1の状態、第2の状態または第3の状態のいずれにあるかを判定し、補正された第1の受光部の出力信号および補正された第2の受光部の出力信号の少なくとも一方に基づいて、第1の方向における第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量を算出してもよい。
第1および第2の光学系にくもりが発生すること、または第1および第2の光学系に汚れが付着することにより、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の受光部による受光量分布が、基準の受光量分布から変化する場合がある。
本参考形態においては、測定空間に測定対象物が存在しない場合における第1および第2の受光部による基準の受光量分布をそれぞれ示す第1および第2の基準データが予め記憶部に記憶される。測定対象物の測定時には、記憶部に記憶された第1および第2の基準データに基づいて、第1および第2の受光部の出力信号により示される受光量分布のうち測定対象物を除く測定空間の部分に対応する受光量分布が基準の受光量分布に等しくなるように第1および第2の受光部の出力信号が補正される。
それにより、第1の受光部の補正された出力信号に基づいて第1の方向に交差する第2の方向における測定対象物の位置が高い精度で算出される。また、第1および第2の受光部の補正された出力信号に基づいて、測定対象物が第1の状態、第2の状態または第3の状態のいずれにあるかが高い精度で判定される。さらに、第1の受光部の補正された出力信号および第2の受光部の補正された出力信号の少なくとも一方に基づいて、第1の焦点からの測定対象物の位置ずれ量が高い精度で算出される。
(6)制御部は、算出された測定対象物の第2の方向における位置および測定対象物の第1の方向の位置ずれ量に基づいて、第1の方向および第2の方向における測定対象物の位置を示す画像を表示するための画像データを生成してもよい。
この場合、画像データに基づいて第1の方向および第2の方向における測定対象物の位置を示す画像を表示することが可能になる。それにより、使用者は、画像データに基づく画像を視認することにより、第1の方向および第2の方向における測定対象物の位置を容易かつ即座に認識することができる。
(7)制御部は、算出された測定対象物の第2の方向における位置および測定対象物の第1の方向の位置ずれ量に基づいて、測定対象物が予め定められた有効測定領域内に位置するか否かを判定し、測定対象物が有効測定領域内に位置しない場合に、測定対象物が有効測定領域から外れたことを示す報知信号を生成してもよい。
この場合、第1の方向および第2の方向において測定対象物が予め定められた有効測定領域内に位置するか否かが判定される。測定対象物が有効測定領域内に位置しない場合に、報知信号により測定対象物が有効測定領域から外れたことが示される。それにより、測定対象物の位置が有効測定領域から外れた場合でも、報知信号に基づいて測定対象物を有効測定領域内へ移動させることができる。
(8)投光部は、測定空間に一定幅を有する平行光を投射するように構成され、第1の光学系は、測定空間を通過した平行光を第1の受光部に導くように構成され、第2の光学系は、測定空間を通過した平行光を第2の受光部に導くように構成され、第1の受光部は、第1の光学系により導かれた平行光の幅方向に並ぶ複数の画素を有する第1のイメージセンサを含み、第2の受光部は、第2の光学系により導かれた平行光の幅方向に並ぶ複数の画素を有する第2のイメージセンサを含み、制御部は、第1のイメージセンサの出力信号に基づいて第2の方向における測定対象物のエッジの位置を算出するように構成されてもよい。
この場合、投光部から一定幅を有する平行光が投射される。測定空間を通過した平行光が、第1の光学系により第1の受光部に導かれ、第1のイメージセンサの複数の画素に入射する。第1のイメージセンサは受光量を示す信号を出力する。また、測定空間を通過した平行光が、第2の光学系により第2の受光部に導かれ、第2のイメージセンサの複数の画素に入射する。第2のイメージセンサは受光量を示す信号を出力する。
第1のイメージセンサおよび第2のイメージセンサの出力信号に基づいて、測定対象物が第1、第2または第3の状態のいずれにあるかが容易かつ正確に判定される。また、第1のイメージセンサの出力信号に基づいて第2の方向における測定対象物の位置が算出される。
さらに、第1のイメージセンサの出力信号に基づいて、第2の方向における測定対象物のエッジの位置が算出される。この場合、第1の方向において測定対象物を第1の焦点に移動させることにより、測定対象物のエッジの位置の測定精度を容易に向上させることができる。
(9)第2のイメージセンサは、第2の光学系により導かれた平行光の幅方向および厚み方向に二次元的に並ぶ複数の画素を有し、制御部は、第2のイメージセンサの出力信号に基づいて平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを検出し、検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置を補正するように構成されてもよい。
この場合、測定空間を通過した平行光が、第2の光学系により第2の受光部に導かれ、第2のイメージセンサの二次元的に並ぶ複数の画素に入射する。それにより、第2のイメージセンサからの出力信号に基づいて、第2の受光部に導かれた平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布が得られる。得られた受光量分布に基づいて、平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを正確に検出することが可能になる。
検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置が補正される。それにより、平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布を得るための新たな構成を必要とすることなく、低コストで測定対象物のエッジの位置の測定精度をより向上させることが可能になる。
(10)光学測定装置は、受光量を示す信号を出力する第3の受光部と、測定空間を通過した平行光を第3の受光部に導く第3の光学系とをさらに備え、第3の受光部は、第3の光学系により導かれた平行光の幅方向および厚み方向に二次元的に並ぶ複数の画素を有する第3のイメージセンサを含み、制御部は、第3のイメージセンサの出力信号に基づいて平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを検出し、検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置を補正するように構成されてもよい。
この場合、測定空間を通過した平行光が、第3の光学系により第3の受光部に導かれ、第3のイメージセンサの二次元的に並ぶ複数の画素に入射する。それにより、第3のイメージセンサからの出力信号に基づいて、第3の受光部に導かれた平行光の幅方向および厚み方向における受光量分布が得られる。得られた受光量分布に基づいて、平行光の厚み方向に対する測定対象物のエッジの傾きを正確に検出することが可能になる。検出された傾きに基づいて、算出された測定対象物のエッジの位置が補正される。それにより、簡単な構成で測定対象物のエッジの位置の測定精度をより向上させることが可能になる。