(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予測手段が、気象予報に基づいて発電量及び消費電力量を予測し、前記制御手段が、前記推測手段の推測結果に基づいて、前記予測手段による予測を行う際に用いた前記気象予報を補正することにより前記予測手段の予測結果を補正する請求項1に記載の電力供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、気象予報に基づいて、消費電力や余剰電力量を求めることが記載されているが、気象予報は実際の気象状況とは必ずしも一致しないため、適正な電力配分を決定する上で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、実際の気象状況に応じた適正な電力配分を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、それぞれ複数の住戸を含む複数の地域の発電量及び消費電力量を地域毎に予測する予測手段と、前記複数の地域における発電量及び消費電力量の少なくとも一方、または気象状況によって変化する予め定めた物理量を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、気象状況の現状の推移を推測する推測手段と、前記推測手段の推測結果に基づいて前記予測手段の予測結果を補正すると共に、補正した前記予測結果に基づいて各地域への電力配分を決定し、決定結果に従って電力配分を制御する制御手段と、を備え
、前記制御手段は、気象状況の移り変わりが途切れる予め定めた地形を跨ぐ地域については、前記推測手段の推測結果を用いずに、前記予測手段の予測結果に基づいて各地域の電力配分を決定する。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、予測手段では、それぞれ複数の住戸を含む複数の地域の発電量(例えば、太陽光発電装置や、風力発電装置、水力発電装置、燃料電池等の各種発電装置の発電量)及び消費電力量(各地域に含まれる住戸や事業所の消費電力量)が地域毎に予測される。例えば、日時や季節、或いは気象予報等に基づいて、各地域の発電量及び消費電力量が予測される。
【0008】
検出手段では、複数の地域における発電量及び消費電力量の少なくとも一方、または気象状況によって変化する予め定めた物理量が検出され、推測手段では、検出手段の検出結果に基づいて、気象状況の現状の推移が推測される。例えば、気象状況によって、太陽光発電装置の発電量や空調装置の稼働状況(消費電力)、設定温度等が変化するので、これらを検出手段によって検出することによって、気象状況の現状の推移を推測手段によって推測することができる。すなわち、請求項
3に記載の発明のように、検出手段が、発電量として太陽光発電装置の発電量を検出する場合に、推測手段は、太陽光発電装置の発電量に基づいて気象状況を推測するようにしてもよい。また、請求項
4に記載の発明のように、検出手段が、物理量を検出する場合には、各住戸における外気温及び空調装置の設定温度を物理量として検出するようにしてもよいし、請求項
5に記載の発明のように、物理量を検出する場合には、各住戸における蓄温水器の温水使用状況を物理量として検出するようにしてもよい。
【0009】
そして、制御手段では、推測手段の推測結果に基づいて予測手段の予測結果が補正されると共に、補正した予測結果に基づいて各地域への電力配分が決定されて、決定結果に従って電力配分が制御される。
【0010】
すなわち、推測手段によって気象状況の推移を推測して、発電量及び消費電力量の予測結果を補正することにより、現状の気象に合わせた電力配分を決定することができるので、実際の気象状況に応じた適正な電力配分を行うことができる。
【0011】
なお、請求項2に記載の発明のように、予測手段が、気象予報に基づいて発電量及び消費電力量を予測し、制御手段が、推測手段の推測結果に基づいて、予測手段による予測を行う際に用いた気象予報を補正することにより予測手段の予測結果を補正するようにしてもよい。
【0012】
また、制御手段は
、気象状況の移り変わりが途切れる予め定めた地形を跨ぐ地域については、推測手段の推測結果を用いずに、予測手段の予測結果に基づいて各地域の電力配分を決定す
る。例えば、隣り合う地域でも、川や、谷、丘、山等の予め定めた地形を跨ぐ地域では気象状況の移り変わりが途切れるので、このような地形の場合には、推測手段の推測結果を用いずに、予測手段の予測結果に基づいて各地域の電力配分を決定することにより、実際の気象状況に応じた適切な電力配分を行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、請求項
6に記載の発明のように、制御手段による各地域の電力分配の決定結果に基づいて、各地域内の住戸に対して電気機器の効率的な利用方法を表す効率化情報を提供する提供手段を更に備えるようにしてもよい。この場合には、請求項8に記載の発明のように、効率化情報に基づいて、電気機器の効率的な利用を行った住戸に対して予め定めたポイントを付与する付与手段を更に備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、気象状況の推移を推測して、発電量及び消費電力量の予測結果を補正することにより、現状の気象に合わせた電力配分を決定することができるので、実際の気象状況に応じた適正な電力配分を行うことができる、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる電力供給システムの概略を示す模式図である。なお、
図1では、実線矢印が電力の流れを示し、点線が情報の流れを示す。
【0017】
本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10は、複数の住戸11や事業所13を含む地域毎に、地域内の消費電力や、発電電力、蓄電電力等の各種電力を監視する地域情報センタ12が設けられている。地域情報センタ12は、例えば、
図1に示すように、平野地域の地域A、光源地域の地域B、及び海辺地域の地域Cに設けられ、各地域の住戸11や事業所13の消費電力や、住戸11や事業所13における各種発電装置(例えば、太陽光発電装置や風力発電、水力発電等の自然エネルギ発電装置等)の発電電力、住戸11や事業所13に設けられた蓄電池の蓄電電力等を監視する。
【0018】
また、各地域の地域情報センタ12の監視結果を集約して、監視結果に基づいて各地域への電力供給を制御する中央情報センタ14が設けられている。中央情報センタ14は、各地域の電力の監視結果等に基づいて各地域の消費電力量及び発電量を予測すると共に、各地域への供給電力を決定して電力供給を制御する。
【0019】
また、各地域への基本的な電力供給は、発電会社16から電力供給が行われるが、各地域に余剰電力が存在する場合には、中央情報センタ14の制御によって各地域間で電力融通を行うようになっている。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
中央情報センタ14には、サーバコンピュータ18が設けられ、発電会社16には発電会社コンピュータ26が設けられ、地域情報センタ12には地域情報センタコンピュータ20が設けられている。また、各地域内の事業所13等にはBEMS(Building and Energy Management System)23が設けられ、各地域内の住戸11にはHEMS(Home Energy Management System)22が設けられている。そして、それぞれがネットワーク24を介して接続されており、サーバコンピュータ18がBEMS23やHEMS22、地域情報センタ12、発電会社コンピュータ26等と通信を行うことにより、電力の状況を監視して、各地域への電力の供給(地域間の電力融通等)を制御する。
【0022】
図3は、サーバコンピュータ18、地域情報センタコンピュータ20、BEMS23、HEMS22、及び発電会社コンピュータ26の概略構成を示すブロック図である。なお、サーバコンピュータ18、地域情報センタコンピュータ20、BEMS23、HEMS22、及び発電会社コンピュータ26は、基本的なコンピュータ構成を有するので、まとめて説明する。また、
図3中の点線は、サーバコンピュータ18、地域情報センタコンピュータ20、BEMS23、またはHEMS22に接続可能とされるものを示し、全てが接続されていない場合もある部分を示す。
【0023】
サーバコンピュータ18、地域情報センタコンピュータ20、BEMS23、HEMS22、及び発電会社コンピュータ26は、CPU30、ROM32、RAM34、及び入出力ポート36がバス38に接続された一般的なコンピュータの構成とされており、CPU30は、ROM32等に予め記憶された各種プログラムをRAM34に読み出して展開して実行することにより、電力供給に関する制御を行う。なお、ROM32には、サーバコンピュータ18、BEMS23、HEMS22、及び発電会社コンピュータ26のそれぞれ用のプログラムが記憶されている。
【0024】
入出力ポート36には、表示部40、操作部42、およびメモリ44等が接続されていると共に、ネットワーク24が接続されている。ネットワーク24には、中央情報センタ14のサーバコンピュータ18、事業所のBEMS23、各住戸のHEMS22、及び発電会社16の発電会社コンピュータ26が接続されて、それぞれ情報の授受が可能とされている。これによって、サーバコンピュータ18は、BEMS23やHEMS22等から各住戸11や事業所13の電力の状況を表す電力情報を取得して、取得した電力情報に基づいて地域の電力供給を制御することができる。
【0025】
また、入出力ポート36には、充放電制御装置46や給湯器(蓄温水器)50、エアコン(空調装置)54等の家電機器が接続され、充放電制御装置46や給湯器50、エアコン54の消費電力の検出がCPU30によって行われると共に、それぞれCPU30によって制御が可能とされている。なお、本実施の形態では、エアコン54の設定温度や使用状況等がCPU30によって監視可能とし、必要に応じてネットワーク24を介して監視結果を出力可能としてもよい。
【0026】
充放電制御装置46には、分電盤48が接続されていると共に、各住戸11や事業所13に設けられる蓄電池52、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)やEV(Electric Vehicle)等の車両56に搭載される車両蓄電池、及び各種発電装置58が接続可能とされている。
【0027】
図4は、各住戸11や事業所13の電力供給系の構成例を示すブロック図である。なお、
図4中の実線は電力線を示し、点線は情報線を示す。
【0028】
分電盤48には、
図4に示すように、充放電制御装置46、エアコン54等の家電・設備、及び系統電源64が接続されている。すなわち、系統電源64から得られる電力が分電盤48を介してエアコン54等の家電・設備や、充放電制御装置46へ供給可能とされている。
【0029】
充放電制御装置46には、蓄電池52、車両(車両蓄電池)56、及び各種発電装置58等が接続されており、発電や蓄電の制御が行われる。
【0030】
蓄電池52は、各住戸11や事業所13が所有し、充電する際には系統電源64の深夜電力や、外部からの融通電力が分電盤48及び充放電制御装置46を介して供給、或いは各種発電装置58の発電電力が供給されることによって充電され、使用する際には充放電制御装置46及び分電盤48を介して分電盤48に接続される他の機器や充放電制御装置46に接続される蓄電池等へ供給される。また、他の住戸11や他の地域へ電力を融通する際には、本実施の形態では、分電盤48から系統電源64の電力網を介して供給される。
【0031】
各種発電装置58は、例えば、太陽光発電装置、燃料電池、風力発電装置、及び水力発電装置等の発電装置や、自動車の発電機を含み、発電した電力が分電盤48に接続される他の機器や充放電制御装置46に接続される蓄電池等へ供給されると共に、住戸11や事業所13で余剰となった場合には他の住戸や他の地域へ系統電源64を介して融通可能とされている。
【0032】
充放電制御装置46に接続される車両56としては、走行に使用する電力を蓄電する車両蓄電池を備えたPHVやEV等の車両を適用することができる。車両56に搭載される車両蓄電池は、蓄電池52と同様に、充電する際には系統電源64の深夜電力や、外部からの融通電力を供給、或いは各種発電装置58の発電電力を供給することによって充電される。また、停電等の際には、蓄電した電力を分電盤48に接続される機器や、充放電制御装置46に接続される蓄電池や他の住戸11や他の地域等に供給可能とされている。
【0033】
エアコン54等の家電・設備や給湯器50は、系統電源64や、蓄電池52、車両56の車両蓄電池等から分電盤48を介して電力が供給される。
【0034】
そして、分電盤48は、充放電制御装置46と通信可能に接続されていると共に、分電盤48に接続される機器(エアコン54等の家電・設備や、給湯器50、充放電制御装置46等)の消費電力を検出する機能を備えており、消費電力の検出結果等を充放電制御装置46へ出力するようになっている。
【0035】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10で行われる具体的な電力供給例について説明する。
図5は、中央情報センタ14、地域情報センタ12、各住戸11や事業所13、及び発電会社16のそれぞれにおいて授受される情報の一例を示す図である。
【0036】
各住戸11や事業所13では、消費電力及び発電電力を検出して、電力の需給状況を検出して、電力需給情報を生成する。また、ネットワーク24等を介して気象庁等の機関から気象予報を取得して太陽光発電装置等の発電量を予測すると共に、消費電力量を予測して、発電予測情報及び消費予測情報を生成する。これらの情報の生成は、BEMS23やHEMS22によって行われ、
図5に示すように、生成した電力需給情報、発電予測情報、及び消費情報等を個別電力情報として地域情報センタ12の地域情報センタコンピュータ20へ送信する。
【0037】
地域情報センタ12では、地域情報センタコンピュータ20によって各地域の電力情報を集約して、地域毎の電力需給情報、発電予測情報、及び消費電力予測情報等を中央情報センタ14へ送信する。
【0038】
中央情報センタ14では、サーバコンピュータ18によって各地域の電力需給情報、消費予測情報、及び発電予測情報が発電会社16の発電会社コンピュータ26へ送信される。これによって、発電会社16では、発電電力の需要予測等を算出することが可能となる。
【0039】
発電会社16の発電会社コンピュータ26では、電力発電情報および発電予測情報を生成して中央情報センタ14のサーバコンピュータ18へ送信する。
【0040】
中央情報センタ14のサーバコンピュータ18では、地域情報センタ12から送信された地域単位の電力需給情報、発電予測情報、及び消費電力予測情報、並びに、発電会社16から送信された電力発電情報及び発電予測情報に基づいて、地域への電力供給量(地域間の電力融通量等)を決定して電力供給を制御する。
【0041】
地域情報センタ12では、中央情報センタ14からの電力供給制御を受けて、各地域の住戸11や事業所13に対して、電気機器の効率的な利用方法を表す効率化情報を送信する。本実施の形態では、各住戸11や事業所13に対して省エネ及び電力効率利用に関する最適な節電情報を効率化情報として送信する。例えば、他地域からの電力融通量よりも消費予測の方が多い場合(電力が不足する場合)には、省電力を促すための情報(例えば、地域内の節電目標値を表す節電情報等)を送信したり、機器の使用時間のシフトを促すための情報を送信したりする。さらには、エアコン54の設定温度をHEMS22やBEMS23が制御するようにしてもよい。あるいは、エアコン54等の家電・設備が古い場合には、省電力の機器への買い換えを促すための情報を送信するようにしてもよい。
【0042】
なお、中央情報センタ14または地域情報センタ12は、消費電力量や発電電力量等の情報に基づいて、エネルギの効率利用を行った住戸11や事業所13に対して予め定めたポイント(例えば、電気料金割引や各種クーポン等)を付与するようにしてもよい。例えば、サーバコンピュータ18または地域情報センタコンピュータ20は、各住戸11や事業所13の電力使用状況を監視して、節電情報に対して消費電力の低減等が行われた場合には、その度合に応じて予め定めたポイントをHEMS22やBEMS23等へ付与する処理(例えば、電力料金等に還元する処理等)を行うようにしてもよい。
【0043】
このように、本実施の形態では、地域内及び地域間での電力融通を行うことによって電力の効率利用が可能である。
【0044】
しかしながら、消費電力予測や発電予測等は、気象予報等を利用しているため、気象予測等が外れると、これらの電力予測も外れてしまう。
【0045】
そこで、本実施の形態では、各地域の気象状況の推移を推測して、消費電力量や発電量の予測を補正するようになっている。例えば、
図6に示すように、地域Bから地域Aへ雨や雲が移動して、続いて地域Cへ移動することを推測して、消費電力や発電予測を補正する。補正方法としては、地域Bで雨が降って続いて地域Aで雨が降ると予測される場合には、地域Bの消費電力や発電電力等を用いて補正するようにしてもよいし、予め定めた雨用の補正係数等を用いて消費電力や発電電力を補正するようにしてもよい。
【0046】
また、気象状況の推移の予測方法としては、各地域の発電量及び消費電力量の少なくとも一方の電力量、または気象状況によって変化する予め定めた物理量に基づいて、気象状況の推移を推測する。例えば、電力量に基づいて気象状況の推移を推測する場合には、各地域の消費電力や余剰電力の推移によって気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよいし、各地域の太陽光発電装置等の発電装置58の発電量の推移から気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよい。或いは、気象状況によって変化する物理量に基づいて、気象状況の推移を推測する場合には、各地域に雨滴センサや日射センサ、温度センサ、湿度センサ等を設けて直接気象状況を検出して気象状況の推移を推測するようにしてもよいし、各地域のエアコン54の設定温度を検出することによって気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよいし、各地域の給湯器50の温水の使用状況(温水使用の頻度や設定温度等)を検出して気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよい。
【0047】
また、気象状況の移り変わりを推測する際には、地形条件によって気象状況の移り変わりが途切れる場合があるので、気象条件を考慮するようにしてもよい。例えば、
図7(A)の地域Aと地域Cとの間に川があるような場合や、
図7(B)の地域Bと地域Cとの間に山があるような場合には、山や、川、谷、丘等の地形によって気象状況の移り変わりが途切れるので、このような予め定めた地形を跨ぐ地域の場合には、気象状況の移り変わりの推測を行わないようにしてもよい。
【0048】
続いて、本発明の形態に係わる電力供給システム10におけるBEMS23やHEMS22、地域情報センタコンピュータ20、及びサーバコンピュータ18に記憶されたそれぞれのプログラムを実行することにより行われる具体的な処理の一例について説明する。
【0049】
まず、本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10における各住戸11や事業所13のHMES22やBEMS23で行われる処理の一例について説明する、
図8は、本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10におけるHEMS22やBEMS23で行われる処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図8の処理は、予め定めた時間間隔で行われる。
【0050】
まず、ステップ100では、消費電力量が検出されてステップ102へ移行する。すなわち、分電盤48で検出されたエアコン54等の家電・設備、及び充放電制御装置46への電力の供給量の検出結果を充放電制御装置46からCPU30が取得することによって消費電力量の検出を行う。
【0051】
ステップ102では、蓄電池52があるか否か判定される。該判定は、充放電制御装置46に蓄電池52が接続されているか否かを検出することによって行われる。具体的には、充放電制御装置46が蓄電池52の接続を検出する機能を有して、充放電制御装置46が蓄電池52の接続を検出してその検出結果をCPU30が取得することによって判定される。該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ106へ移行する。
【0052】
ステップ104では、蓄電池52の蓄電量が検出されてステップ106へ移行する。蓄電池52の蓄電量の検出は、充放電制御装置46が蓄電量を検出し、検出結果をCPU30が取得することによって行われる。
【0053】
ステップ106では、車両蓄電池があるか否か判定される。該判定もステップ102と同様に、充放電制御装置46に車両蓄電池(車両56)が接続されているか否かを検出することによって行われ、該判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、否定された場合にはステップ110へ移行する。
【0054】
ステップ108では、車両蓄電池の蓄電量が検出されてステップ110へ移行する。車両蓄電池の蓄電量の検出も、ステップ104と同様に、充放電制御装置46によって検出された蓄電量の検出結果をCPU30が取得することによって行われる。
【0055】
ステップ110では、各種発電装置58があるか否か判定される。該判定は、充放電制御装置46に各種発電装置58が接続されているか否かを検出することによって行われる。具体的には、充放電制御装置46が各種発電装置58の接続を検出する機能を有して、充放電制御装置46が各種発電装置58の接続を検出してその結果をCPU30が取得することによって判定される。該判定が肯定された場合にはステップ112へ移行し、否定された場合にはステップ114へ移行する。
【0056】
ステップ112では、各種発電装置58の発電量が検出されてステップ114へ移行する。各種発電装置58の発電量の検出は、充放電制御装置46によって検出された発電量の検出結果をCPU30が取得することによって行われる。
【0057】
ステップ114では、電力需給情報がCPU30によって生成されてステップ116へ移行する。電力需給情報は、例えば、上記各ステップで検出した、消費電力、蓄電量、及び発電量に基づいて余剰電力等を算出して、余剰電力を表す情報を電力需給情報として生成してもよい。この場合には、発電力及び蓄電量の合計値から消費電力量を差し引いた値を余剰電力として求める。算出した値が負の場合には余剰電力がないので他への供給が不可となる。
【0058】
ステップ116では、発電量及び消費電力量が予測されてステップ118へ移行する。例えば、時間帯毎の発電量や消費電力量の履歴を記憶して、当該履歴から時間帯毎の発電量及び消費電力量を予測するようにしてもよい。あるいは、ネットワーク24を介して気象庁等から当該地域の気象予報等を取得して、気象予報毎に予め定めた発電量や消費電力量を記憶しておいて読み出すことで予測するようにしてもよいし、季節や気象予報毎の発電量や消費電力量を履歴として記憶して、発電量や消費電力量を予測するようにしてもよい。なお、発電量及び消費電力量を予測する際に、気象予報を用いた場合には、中央情報センタ14の処理において、気象状況の推移を推測して予測を補正するため、予測する際の気象予報を考慮する必要があるため、発電量及び消費電力量の予測時の気象予報についても地域情報センタ12経由で中央情報センタ14へ送信する。
【0059】
ステップ118では、各検出結果(蓄電量52の蓄電量や、車両56に搭載された車両蓄電池の蓄電量、各種発電装置58の発電量)、電力需給情報、及び予測結果が地域情報センタ12の地域情報センタコンピュータ20にネットワーク24を介して送信されてステップ120へ移行する。
【0060】
ステップ120では、地域情報センタコンピュータ20から節電情報を受信したか否か判定される。該判定は、地域情報センタ12から後述する節電情報を受信したか否か判定し、該判定が否定された場合にはそのまま当該処理を終了し、否定された場合にはステップ122へ移行する。
【0061】
ステップ122では、地域情報センタ12から受信した節電情報が表示部40に表示されて一連の処理を終了する。例えば、節電情報としては節電目標値等が表示され、節電を促すことができる。
【0062】
次に、地域情報センタ12の地域情報センタコンピュータ20で行われる処理の一例について説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10における地域情報センタコンピュータ20で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップ200では、各住戸11や事業所13から情報を受信したか否か判定される。すなわち、上述のステップ118によって送信された各種情報を受信したか否か判定され、該判定が否定された場合には当該処理を終了して他の処理を行い、判定が肯定された場合にはステップ202へ移行する。
【0064】
ステップ202では、地域の情報が集約されてステップ204へ移行する。すなわち、各住戸11や事業所13から送信される情報が地域毎に集約される。
【0065】
ステップ204では、地域毎の電力需給情報、発電予測情報、及び消費電力予測情報が中央情報センタ14のサーバコンピュータ18へ送信されてステップ206へ移行する。
【0066】
ステップ206では、電力供給情報を受信したか否か判定される。該判定は後述するサーバコンピュータ18より送信される電力供給に関する情報を受信したか否かを判定し、該判定が否定された場合には一連の処理を終了して他の処理を行い、判定が肯定された場合にはステップ208へ移行する。
【0067】
ステップ208では、サーバコンピュータ18より受信した電力供給情報に基づく、地域内の省エネ及び電力効率利用に関する節電情報が生成されてステップ210へ移行する。例えば、本実施の形態では、電気機器の効率的な利用方法を表す効率化情報として、節電目標等を表す節電情報が生成される。具体的には、サーバコンピュータ18より電力供給情報として、電力不足等を表す情報を受信した場合には、地域内の節電目標値を節電情報として生成する。
【0068】
ステップ210では、生成された節電情報が各住戸11や事業所13へ送信されて一連の処理を終了する。すなわち、これによって上述のステップ120が肯定される。
【0069】
次に、中央情報センタ14のサーバコンピュータ18で行われる処理の一例について説明する。
図10は、本発明の実施の形態に係わる電力供給システム10における中央情報センタ14のサーバコンピュータ18で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
ステップ300では、各地域情報センタ12の地域情報センタコンピュータ20から情報を受信したか否か判定される。該判定は、上述のステップ204で送信される情報(地域毎の電力需給情報、発電予測情報、及び消費電力予測情報)を受信したか否か判定し、該判定が否定された場合には当該処理を終了して他の処理を行い、判定が肯定された場合にはステップ302へ移行する。
【0071】
ステップ302では、気象状況の推移が推測されてステップ304へ移行する。本実施の形態では、電力需給情報(太陽光発電装置の発電量や、エアコン54等の消費電力量等)の各地域の推移に基づいて気象状況の推移を推測する。例えば、太陽光発電装置の発電量や機器の消費電力、エアコン54の設定、或いはエアコン54の可動状況等が気象状況によって変化することから、これらの変化を監視することで実際の気象状況(日照や気温変化等)を推測することができる。具体的には、ある地域における太陽光発電装置の発電量の低い住戸の範囲が西から東へ拡大しているとすると、西から東に雲が広がってきていると推測され、さらに東に雲が拡大して東の地域の発電量が低下すると推測できるので、気象状況の推移を推測することができる。また、このとき、地形によっては、
図7(A)、(B)で説明したように、気象状況の移り変わりが途切れるので、地形を考慮して気象状況の推移を推測する必要がある。なお、ここでは、各地域の発電量及び消費電力量の少なくとも一方に基づいて、気象状況の推移を推測するが、上述したように、各地域の気象状況の検出結果(例えば、雨滴センサ、日射センサ、温度センサ、湿度センサ等の検出結果)を取得して、気象状況の推移を推測するようにしてもよいし、各地域のエアコン54の設定温度を検出することによって気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよいし、各地域の給湯器50の温水の使用状況等を監視して気象状況の移り変わりを推測するようにしてもよい。
【0072】
ステップ304では、気象状況の推測結果に基づいて予測発電量(発電予測情報)及び予測消費電力量(消費電力予測情報)が補正されてステップ306へ移行する。すなわち、実際の気象状況に応じて発電予測情報及び消費電力予測情報が補正されるので、発電量及び消費電力量の予測値の精度を向上することができる。なお、予測発電量及び予測消費電力量が気象予報を用いて予測されている場合には、気象状況の推測結果に基づいて予測の際に用いた気象予報を補正することにより、予測発電量及び予測消費電力量を補正するようにしてもよい。
【0073】
ステップ306では、補正結果に基づいて各地域の電力配分が決定されて各地域への電力分配が制御されてステップ308へ移行する。なお、
図7(A)、(B)に示すような気象状況の移り変わりが途切れるような地形の場合には、気象状況の推移の推測結果を用いずに、予測発電量及び予測消費電力量に基づいて各地域の電力配分を決定して、各地域への電力配分を制御する。
【0074】
ステップ308では、ステップ306で決定した電力分配に基づく電力供給情報が地域情報センタ12の地域情報センタコンピュータ20へ送信されて一連の処理を終了する。電力供給情報としては、例えば、ステップ306で決定した電力分配において、他地域からの電力融通を受けても電力が不足する場合には、電力不足及び不足量等を表す情報を対応する地域情報センタコンピュータ20へ送信する。
【0075】
このように電力供給システム10の各処理を行うことにより、実際の気象状況の推移を推測して、消費量及び発電量の予測を補正するので、より正確な余剰電力を算出して電力を分配することが可能となる。
【0076】
なお、上記の実施の形態では、地域情報センタ12を設ける構成としたが、地域情報センタ12を省略して、各地域の住戸11や事業所13と中央情報センタ14とで直接情報の授受を行って、電力分配を制御する構成としてもよい。