(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以降、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図等を参照しながら、電気自動車の例を用いて説明する。しかしながら、本発明は、電気自動車を含む自動車一般に適用可能である。つまり、ガソリン等の化石燃料を燃料とする自動車、液体水素を燃料とする自動車等、有限の「燃料」を自身に蓄積して自走する自動車全般に対して適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態の環境を説明する図である。路上を電気自動車G1が走行している。電気自動車G1は、車両端末装置3(
図3)を搭載している。歩行者G2は、携帯端末装置G3(
図3では符号4)を使用している。歩行者G2は、電気自動車G1の運転手であってもかまわない。車両端末装置3及び携帯端末装置G2は、無線基地局G6を介してネットワークG7(
図3では符号7)と接続されている。車両端末装置3及び携帯端末装置G3は、GPS(Global Positioning System)衛星G4から、現在時刻における自身の位置情報(緯度及び経度)を取得することができる。
処理センタG5には、移動支援装置2(
図3)が存在する。移動支援装置2は、ネットワークG7と接続されている。
【0011】
(用語等)
図2は、本実施形態の用語等を説明する図である。「出発地」とは、ユーザ(運転手)が電気自動車G1を運転して出発する起点である。ユーザは、出発地を出発した後、「目的地」を経由して出発地に戻るものとする。「目的地」とは、ユーザが用事を済ませる地点である。ユーザが全行程について電気自動車G1を使用できれば問題はない。しかしながら、常にそれが可能であるとは限らない。この可否を確認するために、ユーザは、出発地において、車両端末装置3を介して移動支援装置2にアクセスする。そして、不可能であることが判明すると、ユーザは、電気自動車G1を離れて、他の交通機関等を乗り継いで目的地に到達する。その目的地までの経路において、ユーザは、携帯端末装置G3を介して移動支援装置2にアクセスし、ナビゲーション情報等を取得する。
【0012】
いま、ユーザが電気自動車G1を離れて、他の交通手段に乗り換える場合を想定する。このとき、他の交通手段に初めて乗り換える場所を「第2出発地」と呼ぶ。第2出発地は、出発地から電気自動車G1が充電を受けずに(蓄電池残量で)到達することが可能な「駐車場」から徒歩で到達できる、「駅」、「バス停」若しくは「レンタルサイクルスポット」である。又は、第2出発地は、出発地から電気自動車G1が充電を受けずに到達することが可能な「カーシェアスポット」である。
【0013】
「駅」とは、鉄道が旅客の取扱いをする施設である。「バス停」とは、路線バスが旅客の取扱いをする施設である。「カーシェアスポット」とは、レンタルカーがユーザに対して貸し出される施設である。ユーザは借りたレンタルカーをカーシェアスポットにおいて返却しなければならない。「レンタルサイクルスポット」とは、レンタル自転車がユーザに対して貸し出される施設である。ユーザは借りたレンタル自転車をレンタルサイクルスポットにおいて返却しなければならない。ユーザは、鉄道、路線バス又はレンタル自転車を利用する場合は、その前に、電気自動車G1をどこかに寄託しておかなければならない。「駐車場」とは、ユーザが電気自動車G1を寄託しておける施設である。カーシェアスポットは、駐車スペースを有しているものとする。
【0014】
なお、「公共交通手段」は、鉄道及び路線バスを含む概念である。「交通手段」は、公共交通手段、レンタルカー、レンタル自転車及び徒歩を含む概念である。ユーザは、「レンタルカー」で有料道路を走行することもあり得る。「有料道路出入口」もまた、ユーザが通過する施設である。しかしながら、ユーザが有料道路出入口を通過しても交通手段は変わらないという点で、有料道路出入口は、他の「駅」等の施設とは異なる。
【0015】
目的地に到達する直前の施設が存在する地点を第2目的地と呼ぶ。「駅」、「バス停」、「駐車場」、「カーシェアスポット」及び「レンタルサイクルスポット」のいずれもが、第2目的地となり得る。目的地を中心にして「徒歩圏内」、「自転車圏内」及び「レンタルカー圏内」が定義される。目的地を中心として、ユーザが所定の時間内に徒歩で目的地に到達できる範囲を目的地の徒歩圏内という。目的地を中心として、ユーザが所定の時間内に自転車で目的地に到達できる範囲を目的地の自転車圏内という。目的地を中心として、ユーザが所定の時間内にレンタルカーで目的地に到達できる範囲を目的地のレンタルカー圏内という。
図2には、目的地の徒歩圏内、自転車圏内及びレンタルカー圏内が、3つの同心円として表現されている。
【0016】
本実施形態の移動支援装置2の大まかな機能は、電気自動車G1のみを使用して、充電することなく出発地から目的地までを往復することができない場合、電気自動車G1から他の交通手段に乗り継いで移動できるような、「出発地→第2出発地→第2目的地→目的地」の経路を決定することである。
【0017】
(移動支援システム)
図3及び
図4は、移動支援システム1を説明する図である。移動支援システム1(
図3)は、移動支援装置2、車両端末装置3及び携帯端末装置4(
図1では符号G3)を有する。これらは、ネットワーク7(
図1では符号G7)及び無線基地局5、6(
図1では符号G6)を介して接続されている。移動支援装置2は、一般的なコンピュータである。移動支援装置2は、中央制御装置(制御部)11、キーボード、マウス等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を有する。これらはシステムバスによって相互に接続されている。
【0018】
主記憶装置14における、ユーザ条件設定部21、経路検索部22、経路表示部23及びナビゲーション部24は、プログラムである。以降、「○○部は」と主体を記した場合は、中央制御装置11が、補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで、各プログラムの機能(詳細後記)を実現するものとする(このことは、後記する車両端末装置3及び携帯端末装置4についても同様である)。補助記憶装置15は、施設情報31、公共交通手段情報32、有料道路情報33、カーシェアスポット施設情報34、レンタルサイクルスポット施設情報35、駐車場情報36、設定条件情報37、地図データ38及び経路情報39を記憶する。
【0019】
図4は、
図3の車両端末装置3及び携帯端末装置4等を詳しく記した図である。車両端末装置3は、一般的な車載コンピュータである。車両端末装置3は、中央制御装置51、キーボード、タッチパネル等の入力装置52、ディスプレイ等の出力装置53、主記憶装置54、補助記憶装置55及び通信装置56を有する。これらはシステムバスによって相互に接続されている。入力装置52及び出力装置53は、一体化した入出力装置であってもよい。主記憶装置54における、GPS処理部61、蓄電池残量検知部62及び積算距離算出部63は、プログラムである。補助記憶装置55は、走行情報71を記憶する。
【0020】
携帯端末装置4は、一般的な携帯用のコンピュータである。携帯端末装置4は、中央制御装置81、タッチパネル等の入力装置82、ディスプレイ等の出力装置83、主記憶装置84、補助記憶装置85及び通信装置86を有する。入力装置82及び出力装置83は、一体化した入出力装置であってもよい。これらはシステムバスによって相互に接続されている。主記憶装置84における、GPS処理部91は、プログラムである。
交通情報提供装置8(
図3)は、公共交通手段の運行情報、道路の混雑情報、道路における事故情報、災害情報、気象情報等を収集・記憶し、これらの情報を、ネットワーク7を介して広く一般に提供するコンピュータである。交通情報提供装置8の運営主体は、移動支援装置2の運営主体と同じであってもよいし、別であってもよい。
【0021】
(施設情報)
図5は、施設情報31の一例を示す図である。施設情報31においては、施設ID欄101に記憶された施設IDに関連付けて、緯度欄102には緯度が、経度欄103には経度が、施設名欄104には施設名が、施設タイプ欄105には施設タイプが、路線名/運営主体名欄106には、路線名/運営主体名が記憶されている。
【0022】
施設ID欄101の施設IDは、施設を一意に特定する識別子である。施設とは、駅、バス停、有料道路出入口、カーシェアスポット、レンタルサイクルスポット及び駐車場を総称する語である。
緯度欄102の緯度は、施設が所在する地点の緯度である。
経度欄103の経度は、施設が所在する地点の経度である。
施設名欄104の施設名は、施設の名称である。
施設タイプ欄105の施設タイプは、駅、バス停、有料道路出入口、カーシェアスポット、レンタルサイクルスポット及び駐車場のうちのいずれかである。
路線名/運営主体名欄106の路線名/運営主体名は、施設タイプが駅である場合は路線の名称であり、施設タイプがバス停である場合はそのバス停に停車する路線バスの系統の名称であり、施設タイプが有料道路出入口である場合はその有料道路の名称であり、施設タイプがそれ以外である場合はその施設の運営主体の名称である。
【0023】
(公共交通手段情報)
図6は、公共交通手段情報32の一例を示す図である。公共交通手段情報32は、公共交通手段の路線ごと又は系統ごとに作成されている。公共交通手段情報32は、施設タイプ欄111、路線名欄112、運行情報113及び運賃表114を有する。
【0024】
施設タイプ欄111には、施設タイプが記憶される。ここでの施設タイプは駅又はバス停のうちの何れかである。
路線名欄112には、路線の名称又は系統の名称が記憶される。
運行情報113においては、施設ID欄113aに記憶された施設IDに関連付けて、施設名欄113bには施設名が、運行時刻欄113cには運行時刻が記憶されている。
施設ID欄113aの施設IDは、
図5の施設IDと同じである。
施設名欄113bの施設名は、
図5の施設名と同じである。
運行時刻欄113cの運行時刻は、駅においては列車が、バス停においては路線バスが発車する時刻(終着駅、終着バス停においては到着する時刻)である。運行時刻欄113cは、さらに列車(路線バス)ごとに、複数の小欄に区分されている。見出しの「011レ」等は、列車及び路線バスを一意に特定する識別子である。運行情報113は、全体としていわゆる時刻表となっている。
【0025】
運賃表114は、縦軸にユーザが乗車する施設の名称を有し、横軸にユーザが降車する施設の名称を有するマトリクスである。マトリクスの交点のセルには運賃(単位:円)が記憶されている。公共交通手段情報32は、路線(系統)の数だけ存在する。
【0026】
(有料道路情報)
図7は、有料道路情報33の一例を示す図である。有料道路情報33は、レンタルカーが通行し得る有料道路ごとに作成されている。有料道路情報33は、施設タイプ欄121、路線名欄122及び通行料金表123を有する。
施設タイプ欄121には、施設タイプが記憶される。ここでの施設タイプは有料道路出入口である。
路線名欄122には、有料道路の名称が記憶される。
通行料金表123は、縦軸にユーザがレンタルカーを走行させる有料道路の区間の起点である施設(入口)の名称を有し、横軸に終点である施設(出口)の名称を有するマトリクスである。マトリクスの交点のセルには通行料金(単位:円)が記憶されている。有料道路情報32は、有料道路の数だけ存在する。
【0027】
(カーシェアスポット施設情報)
図8は、カーシェアスポット施設情報34の一例を示す図である。カーシェアスポット施設情報34は、カーシェアスポットごとに作成されている。カーシェアスポット施設情報34は、施設タイプ欄131、施設名欄132、施設ID欄133、運営主体名欄134及び車両情報135を有する。
施設タイプ欄131には、施設タイプが記憶される。ここでの施設タイプはカーシェアスポットである。
施設名欄132には、施設の名称が記憶される。
施設ID欄133には、施設IDが記憶される。
運営主体名欄134には、施設の運営主体の名称が記憶される。
【0028】
車両情報135においては、車両ID欄135aに記憶された車両IDに関連付けて、カテゴリ欄135bにはカテゴリが、料金欄135cには料金が、燃費欄135dには燃費が、利用状況欄135eには利用状況が記憶されている。
車両ID欄135aの車両IDは、レンタルカーを一意に特定する識別子(例えばプレートナンバーでもよい)である。
カテゴリ欄135bのカテゴリは、レンタルカーの種類である。ここでは、「小型車」、「中型車」、「ワゴン」及び「単車」のうちの何れかである。
料金欄135cの料金は、レンタルカーを借りるユーザが運営主体に支払う料金であり、単位時間当たりの金額(単位:円/時)で示される。
燃費欄135dの燃費は、レンタルカーが単位あたりの燃料でどれだけの距離を走行できるかを示す数値(単位:km/l)である。レンタルカーを借りるユーザは、レンタルカーを返却する際に消費した燃料分の燃料代金を運営主体に支払う。
利用状況欄135eの利用状況は、レンタルカーの空き状態である。「可」はレンタルカーが、現在そのレンタルカースポットにおいて待機中であり利用可能であることを示す。「不可」は、それ以外であることを示す。
【0029】
(レンタルサイクルスポット施設情報)
図9は、レンタルサイクルスポット施設情報35の一例を示す図である。レンタルサイクルスポット施設情報35は、レンタルサイクルスポットごとに作成されている。レンタルサイクルスポット施設情報35は、施設タイプ欄141、施設名欄142、施設ID欄143、運営主体名欄144及び自転車情報145を有する。
【0030】
施設タイプ欄141には、施設のタイプが記憶される。ここでの施設タイプはレンタルサイクルスポットである。
施設名欄142には、施設の名称が記憶される。
施設ID欄143には、施設IDが記憶される。
運営主体名欄144には、施設の運営主体の名称が記憶される。
自転車情報145においては、自転車ID欄145aに記憶された自転車IDに関連付けて、カテゴリ欄145bにはカテゴリが、料金欄145cには料金が、車輪サイズ欄145dには車輪サイズが、利用状況欄145eには利用状況が記憶されている。
【0031】
自転車ID欄145aの自転車IDは、レンタル自転車を一意に特定する識別子である。
カテゴリ欄145bのカテゴリは、レンタル自転車の種類である。ここでは、「スポーツ」(10段以上の変速機付)、「ショッピング」(買い物籠付)、「親子」(チャイルドシート付)及び「荷物」(大型荷台付)のうちの何れかである。
料金欄145cの料金は、レンタル自転車を借りるユーザが運営主体に支払う料金であり、単位時間当たりの金額(単位:円/時)で示される。
車輪サイズ欄145dの車輪サイズは、レンタル自転車の車輪の大きさである。
利用状況欄145eの利用状況は、レンタル自転車の空き状態である。「可」はレンタル自転車が、現在そのレンタルサイクルスポットにおいて待機中であり利用可能であることを示す。「不可」は、それ以外であることを示す。
【0032】
(駐車場情報)
図10は、駐車場情報36の一例を示す図である。駐車場情報36は、駐車場ごとに作成されている。駐車場情報36は、施設タイプ欄151、施設名欄152、施設ID欄153、運営主体名欄154及び駐車料金情報155を有する。
施設タイプ欄151には、施設タイプが記憶される。ここでの施設タイプは駐車場である。
施設名欄152には、施設の名称が記憶される。
施設ID欄153には、施設IDが記憶される。
運営主体名欄154には、施設の運営主体の名称が記憶される。
自転車情報155においては、カテゴリ欄155aに記憶されたカテゴリに関連付けて、料金欄155bには料金が、利用状況欄155cには利用状況が記憶されている。
【0033】
カテゴリ欄155aのカテゴリは、ユーザが運営主体に一時寄託する対象の種類であり、ここでは、「自動車」(小型車、中型車及びワゴンの総称である)、「単車」及び「自転車」のうちの何れかである。
料金欄155bの料金は、自動車等を寄託するユーザが運営主体に支払う料金であり、単位時間当たりの金額(単位:円/時)で示される。
利用状況欄155cの利用状況は、寄託スペースの空き状態である。「空き」は、自動車等が寄託されるスペースが現在その駐車場において存在することを示す。「満車」は、それ以外であることを示す。
【0034】
図11は、設定条件情報37の一例を示す図である。設定条件情報37は、想定内設定条件情報37a(
図11(a))及び想定外設定条件情報37b(
図11(b))を有する。想定内設定条件情報37aは、ユーザによって設定される。一方、想定外設定条件情報37bは、交通情報提供装置8によって設定される。
【0035】
想定内設定条件情報37aは、縦軸にユーザIDを有し、横軸に条件を示す符号(A、B、C、・・・、I)を有するマトリクスである。
ユーザIDは、ユーザ(電気自動車G1の運転手)を一意に特定する識別子である。
条件を示す符号には条件そのもの(「有料道路は使わない」等の文字列)が付されている。AからEまでの条件の意味は、その文字列の意味そのものであるので詳しい説明は省略する。FからIまでの条件は、複数の経路の候補が存在する場合において以下のことがらを意味する。
【0036】
F「時間優先」:出発地を出発して目的地を経由して出発地に戻るまでの時間が短い経路ほど、ユーザにとって優先順位が高い。
G「料金優先」:出発地を出発して目的地を経由して出発地に戻るまでの間にユーザが支出する金額が少ない経路ほど、ユーザにとって優先順位が高い。
H「快適性優先」:ユーザ自身がレンタルカー又はレンタル自転車を運転する時間が短い経路ほど、ユーザにとって優先順位が高い。なお、例えば、通勤時間帯においては公共交通手段が混雑し、座席に着席できないことが多い。この場合、むしろ、ユーザが公共交通手段を使用する時間が短い経路ほど、ユーザにとって優先順位が高いともいえる。したがって、「快適性優先」をどのように定義するかはユーザの設定次第であり、さらに、時間帯、季節に応じて定義を変化させてもよい。
I「荷物運びがらく」:乗り換え回数が少ない、すなわち、交通手段を変更する回数が少ない経路ほど、ユーザにとって優先順位が高い。
【0037】
二重線の左側(欄A〜E)においては、縦軸と横軸との交点のセルには、該当フラグ「○」、非該当フラグ「−」及び数値のうちのいずれかが記憶されている。ユーザは、これらの条件を、例えば携帯端末装置4を介して移動支援装置2にアクセスすることによって事前に設定しておく。二重線の右側(欄F〜I)においては、縦軸と横軸との交点のセルには、F欄〜I欄の相互間における優先順位を示す数字1、2、・・・(数字が小さいほど優先順位が高い)又は非該当フラグ「−」が記憶されている。ユーザは、これらの条件を、車両端末装置3介して移動支援装置2にアクセスすることによって、経路をシミュレーションする都度設定する。
【0038】
二重線の左側の条件は、複数のシミュレーション機会において固定することが好ましい条件であるので、「静的条件」と呼ばれる。二重線の右側の条件は、個別のシミュレーション機会においてその都度変化させることが好ましい条件であるので、「動的条件」と呼ばれる。当然のことながら、ここに掲げた静的条件及び動的条件は一例に過ぎない。さらに、ある条件を静的条件とするかそれとも動的条件とするかについても、ユーザの設定次第である。
【0039】
想定外設定条件情報37bは、条件を示す符号(J、K、L)に関連付けて条件に該当する路線名、地域等(行156)を記憶している。条件を示す符号には条件そのものが付されている。JからLまでの条件の意味は、その文字列の意味そのものであるので詳しい説明は省略する。交通情報提供装置8(
図3)は、例えば、公共交通手段の運行情報のように、人が交通手段を使用して移動する際に必要となる情報を収集・記憶している。移動支援装置2は、交通情報提供装置8から、例えば、「○○線が遅延しています」のような情報を受信すると、その情報を想定外設定条件情報37bに記憶する(欄J)。そして、後記する経路検索処理手順において、移動支援装置2は、「○○線」の駅を通過するような経路以外の経路の候補を取得する。これらの条件は、ユーザにとって予想することが困難な条件であるので「想定外」と呼ばれる。さらに、想定外設定条件情報37bは、刻々とその内容が変化するという意味で、常に「動的条件」であるといえる。
【0040】
(走行情報)
図12は、走行情報71の一例を示す図である。走行情報71は、電気自動車G1ごとに作成される。走行情報71においては、時刻欄161に記憶された時刻に関連付けて、蓄電池残量欄162には蓄電池残量が、累積走行距離欄163には累積走行距離が記憶されている。
時刻欄161の現在時刻は、そのレコードの蓄電池残量及び累積走行距離が取得された時点の時刻(年月日時分秒)である。
蓄電池残量欄162の蓄電池残量は、その時刻において、蓄電池に残存している電力の量(単位:kw時)である。
なお、電気自動車以外の自動車の場合、蓄電池残量に替えて、燃料タンクに残存している燃料の容積又は重量が記憶されてもよい。
累積走行距離欄163の累積走行距離は、出発地を出発してからその時刻までに電気自動車G1が走行した距離(単位:km)である。
図12の個々のレコードに注目すると、「20120505 12:00:00」から「20120505 12:30:00」までの期間において、累積走行距離が増加し、蓄電池残量が減少していることがわかる。つまり、この期間において、電気自動車G1が運転されている。
【0041】
(経路検索モデル及び仮想運転手)
図13は、経路検索モデルを説明する図である。出発地から目的地までの行程を経路という。本実施形態では、経路検索部22がシミュレーション用の「経路検索モデル」を使用して経路の候補を取得する。本実施形態の経路検索モデルでは、「仮想運転手」が、自身に与えられた条件を満たすような経路を探索する。仮想運転手は、条件を満たす限りは、次々にある施設から次の施設へ無作為的に進む。仮想運転手は以下のような特徴を有する。
【0042】
・仮想運転手は、出発地において、様々な「経路検索条件」を与えられる。経路検索条件とは、施設情報31等のレコード等を検索し、一連の施設(経路)を取得する際に、検索キーとして使用することができるあらゆる情報をいう。例えば、出発地の緯度及び経度は、出発地から所定の距離内に所在する施設を検索する際の「経路検索条件」となり得る。「経路検索条件」は、当然のことながら、
図11の設定条件情報37を含む。しかしながら、
図11に記載されている条件以外の条件を「経路検索条件」とすることもできる(詳細後記)。
【0043】
・仮想運転手は、出発地から進み得るすべての施設に進む。進み得る施設が複数ある場合は、その施設の数だけ自らの分身を作成して分岐する。
・仮想運転手及びその分身は、その施設に進むことによって目的地までの距離が所定の閾値を超えて増加する(目的地から遠ざかる)場合は、当該施設には進まない。
・仮想運転手及びその分身は、最初に列車又は路線バスに乗る前に、駐車場を探し、電気自動車G1を寄託する。また、最初にレンタルサイクルスポットに行く前に、駐車場を探し、電気自動車G1を寄託する。なお、カーシェアスポット及び目的地には駐車スペースが付属しているものとする。
【0044】
・仮想運転手及びその分身は、進んだ先の各施設において、次に進みうる施設が複数ある場合は、さらに分身を作成して分岐する。このとき、進んだ先の各施設の緯度・経度が次の施設を検索するための検索キーとなり得る。その意味で、仮想運転手及びその分身は、最初に「経路検索条件」を与えられるだけでなく、経路の途中でも「経路検索条件」を取得する。以降、最初の仮想運転手、分身及び分身から派生した分身のすべてを代表して「仮想運転手」と呼ぶ。
・仮想運転手は、選択しうるレンタル自転車又はレンタルカーが複数ある場合は、料金が最も安く、燃費が最もよいものを選択する。
【0045】
・仮想運転手は、目的地に到達した後は、同じ経路を辿って出発地に戻る。
・仮想運転手は、途中の施設において、公共交通手段情報32の運賃表114に基づいて運賃を算出する。また、仮想運転手は、有料道路情報33の通行料金表123に基づいて通行料金を算出する。仮想運転手は、カーシェアスポット施設情報34の車両情報135に基づいて料金及び燃料代金を算出する。仮想運転手は、レンタルサイクルスポット施設情報35の自転車情報145に基づいて料金を算出する。仮想運転手は、駐車場情報36の駐車料金情報155に基づいて料金を算出する。そして、仮想運転手は、算出した金額を、与えられた予算額から支払う。
【0046】
・仮想運転手は、自身を一意に特定する仮想運転手IDを割り当てられる。
・仮想運転手は、通過した施設を、その施設を通過した時刻に関連付けて記憶する。
・仮想運転手は、支払った金額を、支払いが生じた施設に関連付けて記憶する。
・仮想運転手は、予算額を使い切る前に、出発地に戻った場合は活動を停止する。
・仮想運転手は、出発地を出発した後所定の時間内に出発地に戻らない場合は消滅する。
・仮想運転手は、予算残高が負数になった時点においても消滅する。
【0047】
図13を参照すると、複数の仮想運転手が、出発地から目的地に向かっている。仮想運転手は、目的地に到達した後、同じ経路を辿って出発地に戻る。経路検索部22は、出発地に戻ったすべての仮想運転手が記憶している情報を取得する。取得された情報を経路情報39(
図3、
図14)という。移動支援装置2の経路検索部22は、後記する経路検索処理手順のステップS315a、S321a及びS328aにおいて、経路検索モデルを使用する。
【0048】
図14は、経路情報39の一例を示す図である。経路情報39においては、仮想運転手ID欄171に記憶された仮想運転手IDに関連付けて、施設名欄172には施設名が、時刻欄173には時刻が、予算残高欄174には予算残高が記憶されている。
仮想運転手ID欄171の仮想運転手IDは、仮想運転手を一意に特定する識別子である。
施設名欄172の施設名は、
図5の施設名と同じである。但し、ここでは、仮想運転手が通過した施設の名称である。
時刻欄173の時刻は、仮想運転手がその施設を通過した時刻(年月日時分秒)である。ここでは、仮想運転手が「12:00:00」に出発地を出発したことになっている(レコード175a)。当該時刻は、経路検索処理手順(
図16)において、例えばステップS315aにおいて、仮想運転手に与えられる現在時刻である。
予算残高欄174の予算残高は、仮想運転手がその時刻において保有している予算額の残額(単位:円)である。
【0049】
経路情報39のレコード175a〜175iは、仮想運転手IDが「VD001」である仮想運転手が記憶していた情報に由来する。これらのレコード、及び、これらのレコードに含まれる情報を検索キーとして施設情報31等から取得される情報によって、仮想運転手「VD001」はシミュレーションにおいて以下の行動を取ったことがわかる。
・時刻「12:00:00」に、出発地において、「10000円」の予算額を与えられた(レコード175a)。なお、時刻のうち「20120505」は、各レコードに共通であるのでここでは記載を省略する。
・時刻「12:05:00」に、駐車場「◎◎パーク」において、電気自動車G1を寄託した(レコード175b)。
・時刻「12:07:00」に、駅「新宿」において、丸の内線に乗車した。そして、運賃「160円(=10000円−9840円)」を支払った(レコード175c)。
・時刻「12:30:00」に、駅「後楽園」において、丸の内線から降車した(レコード175d)。
【0050】
・時刻「12:32:00」に、目的地に到着した(レコード175e)。
・時刻「13:34:00」に、駅「後楽園」において、丸の内線に乗車した。そして、運賃「160円(=9840円−9680円)」を支払った(レコード175f)。
・時刻「13:57:00」に、駅「新宿」において、丸の内線から降車した(レコード175g)。
・時刻「13:59:00」に、駐車場「◎◎パーク」において、寄託していた電気自動車G1に乗車した。そして、料金「1600円(=9680円−8080円)」を支払った(レコード175h)。
・時刻「14:04:00」に、出発地に戻った(レコード175i)。
【0051】
同様に、経路情報39のレコード176a〜176iを参照すると、仮想運転手「VD002」がシミュレーションにおいて取った行動がわかる。各レコードを逐次説明することは省略するが、仮想運転手「VD002」は、「50号系統」の路線バスに乗車して目的地に到着している(
図5参照)。仮想運転手「VD001」との比較において、仮想運転手「VD002」は、出発地に戻った時刻が遅く、戻った時刻における予算残高も少ない。
【0052】
仮想運転手は、施設において分身を繰り返す。したがって、消滅することなく目的地に戻った仮想運転手の数、すなわち、候補となる経路の数は、通常は膨大な数になる。そこで、経路検索部22は、例えば以下の条件で、経路情報39を、順位を付けたうえで適当な数に絞り込むことができる(詳細後記)。
・出発地へ戻った時刻が最も早い。
・予算残高が最大である。
・レンタルカー又はレンタルサイクルを自身で運転した時間が最も短い(快適である)。
・乗り換え回数、すなわち交通手段を変更した回数が最も少ない(荷物運びがらく)。
経路表示部23は、このようにして絞り込まれた経路を出力装置53に画面表示することができる。
【0053】
図15は、絞り込まれた経路の例である。目的地181に到達する経路が13本ある。これらの経路は、経路情報39(
図14)の、仮想運転手IDに対応している。経路182a、182b、182c及び182dは、第2出発地である駅から目的地181までの経路を示している。経路183a、183b、183c及び183dは、第2出発地であるバス停から目的地181までの経路を示している。経路184a、184b、184c及び184dは、ユーザが最初に立ち寄る駐車場から目的地までの経路を示している。経路185は、第2出発地であるレンタルサイクルスポットから目的地181までの経路を示している。
【0054】
(処理手順)
以降で、本実施形態の処理手順を説明する。処理手順には、経路検索処理手順及びナビゲーション処理手順が存在する。経路検索処理手順において、移動支援装置2は、出発地から目的地までの経路の候補をユーザに提示する。ナビゲーション処理手順において、移動支援装置2は、候補の中からユーザが選択した経路をユーザが実際に進む行程において、必要な情報をユーザに提示する。
【0055】
(経路検索処理手順)
図16及び
図17は、経路検索処理手順のフローチャートである。当該フローチャートの説明に沿って、適宜、
図19〜21の表示画面例等を参照する。
【0056】
ステップS301において、移動支援装置2のユーザ条件設定部21は、想定内設定条件情報(静的条件)を取得する。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、携帯端末装置4の出力装置83に、条件設定画面221の静的条件ページ222(
図20(a))を表示する。条件設定画面221は、静的条件ページ222及び動的条件ページ223(
図20(b))を有している。動的条件ページ223については後記(ステップS308)する。
【0057】
第2に、ユーザ条件設定部21は、想定内設定条件情報(静的条件)についてのユーザの入力を受け付ける。ユーザは、まず、「使用してもよい交通手段」欄222aの4つの正方形のボックスのうち、使用してもよいと考える少なくとも1つの交通手段のボックスに指で触れる。ユーザ条件設定部21は、触れられたボックスにチェックマークを表示する。
続いて、ユーザは、「1回あたりの徒歩移動時間」欄222bの4つの長方形のボックスのうちのいずれかを指で触れる。ユーザ条件設定部21は、触れられたボックスを強調表示する。
【0058】
続いて、ユーザは、「有料道路は使わない?」欄222cの2つの円形のボックスのいずれか1つに指で触れる。ユーザ条件設定部21は、触れられたボックスに「●」を表示する。
続いて、ユーザは、「予算」欄222dの長方形のボックスを指で1又は複数回触れる。「1回触れるごとに2000円」のように予め触れる回数と金額との関係を決めておくものとする。ユーザ条件設定部21は、触れられた回数に応じた予算をボックスに表示する。
図20(a)の例では、ユーザは、5回触れたことになる。
【0059】
第3に、ユーザ条件設定部21は、想定内設定条件情報37aの新たなレコードを作成する。
第4に、ユーザ条件設定部21は、ステップS301の「第2」において受け付けたユーザの入力に従って、新たなレコードのA欄〜E欄に、「○」、「−」及び数値のうちのいずれかを記憶する。そして、ユーザIDを採番して、ユーザID欄に記憶する。因みに、ユーザの入力が、
図20(a)の通りである場合、そのユーザの入力に従って作成されるレコードは、
図11(a)の1行目のレコードとなる。なお、ユーザ条件設定部21は、新たなレコードのF欄〜I欄については、空欄のままとしておく。
ステップS301の処理は、ユーザが複数回のシミュレーションを行う前に1回だけ実行される。これに対して、ユーザは、目的地が決まり次第、電気自動車G1に乗り込んで経路のシミュレーションを実行することになる。当該目的地ごとの個別のシミュレーションに対応する処理が、以下のステップS302以降の処理である。
【0060】
ステップS302において、ユーザ条件設定部21は、走行情報71、出発地及び目的地を取得する。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、車両端末装置3から走行情報71(
図12)を受信する。なお、車両端末装置3の蓄電池残量検知部62は、電気自動車G1の蓄電池のセンサ等から所定の時間周期で蓄電池残量を取得するものとする。車両端末装置3の積算距離算出部63は、電気自動車G1の積算走行距離メータ等から所定の時間周期で累積走行距離を取得するものとする。その結果、走行情報71が、補助記憶装置55において、常に
図12のように最新の状態で維持されているものとする。
第2に、ユーザ条件設定部21は、GPS処理部61が取得した電気自動車G1の出発地(電気自動車G1が現在位置する地点)の緯度及び経度を、車両端末装置3から受信する。
【0061】
第3に、ユーザ条件設定部21は、車両端末装置3の出力装置53に目的地設定画面201(
図19(a))を表示する。目的地設定画面201は、電気自動車G1の現在地周辺に所在する、道路、施設等の人工物、及び、河川、山岳等の自然物を示す図形を、それらの名称とともに表示する。表示される情報は、移動支援装置2の地図データ38から送信されてもよいし、車両端末装置3自身が、地図データ38と同じものを記憶していてもよい。
第4に、ユーザ条件設定部21は、ユーザが目的地設定画面201に表示されている目的地の図形202に指で触れ、さらに「目的地設定(往復可能)」ボタン203に指で触れるのを受け付ける。なお、図形204は、電気自動車G1自身の位置を示している。
【0062】
ステップS303において、ユーザ条件設定部21は、走行予定距離及び継続走行可能距離を算出する。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、ステップS302の「第2」において受信した電気自動車G1の出発地の緯度及び経度と、ステップS302の「第4」において受け付けた目的地の緯度及び経度とに基づいて、出発地から目的地までの距離を算出する。当該距離は、直線距離である必要はない。むしろ、公知の技術によって、電気自動車G1が走行し得る道路上の最短距離を算出するのが望ましい。そして、ユーザ条件設定部21は、算出した距離の2倍の距離を走行予定距離とする。
【0063】
第2に、ユーザ条件設定部21は、ステップS302の「第1」において受信した走行情報71から、累積走行距離が連続して増加している複数のレコードの群を取得する(
図12の例ではレコード164a〜164g)。さらに、取得した群のなかから、最初のレコード(164a)及び最新のレコード(164g)を取得する。
そして、蓄電池消費量を、式「蓄電池消費量=最初のレコードの蓄電池残量−最新のレコードの蓄電池残量」を使用して算出する。
また、燃費実績を、式「燃費実績=蓄電池消費量/(最新のレコードの累積走行距離−最初のレコードの累積走行距離)」を使用して算出する。
さらに、継続走行可能距離を、式「継続走行可能距離=最新のレコードの蓄電池残量/燃費実績」を使用して算出する。
なお、通常「燃費」という場合、単位燃料消費量あたりの走行距離を使用する。しかしながら、ここでは、単位走行距離あたりの蓄電池消費量を「燃費実績」としている。このように定義した理由は、下り坂等で電力を回生することに起因して燃料消費量が偶然に「0」になる場合、除算が定義できなくなることを防ぐためである。
【0064】
ステップS304において、ユーザ条件設定部21は、目的地まで蓄電池残量で往復できるか否かを判断する。具体的には、ユーザ条件設定部21は、ステップS303の「第1」及び「第2」においてそれぞれ算出した走行予定距離及び継続走行可能距離の大小関係を比較し、継続走行可能距離が走行予定距離以上である場合(ステップS304“YES”)、ステップS305に進み、それ以外の場合(ステップS304“NO”)、ステップS306に進む。
なお、ユーザ条件設定部21は、当該判断の結果を、車両端末装置3の出力装置53に、往復可能判定画面205(
図19(b))として表示する。
【0065】
往復可能判定画面205において、図形206は、目的地を示し、実線の矢印207a及び207bは、電気自動車G1が走行可能な経路を示す。破線208は、復路の経路のうち、蓄電池容量が不足していることに起因して、電気自動車G1が走行不能である部分を示す。つまり、復路の点209において、電気自動車G1は停止する。往復可能判定画面205の左側に表示されている往路バーチャート210aは、すべての部分が網掛け状態になっている。これは、往路では蓄電池残量がなくなることはないことを示している。右側に表示されている復路バーチャート210bは、一部が網掛け状態になっている。これは、復路の途中で蓄電池残量がなくなることを示している。
【0066】
ステップS305において、移動支援装置2の経路検索部22は、経路検索を行う。ここでの経路検索は、通常の道路ナビゲーションのように、電気自動車G1で目的地まで行く前提で行われるので、その処理の詳細説明は省略する。その後、経路検索処理手順を終了する。
【0067】
ステップS306において、ユーザ条件設定部21は、充電を行うか否かを判断する。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、車両端末装置3の出力装置53に、パークandライド選択画面211(
図19(c))を表示する。
第2に、ユーザ条件設定部21は、ユーザが、パークandライド選択画面211の「充電スポット検索」ボタン213に指で触れるのを受け付けた場合(ステップS306“YES”)、ステップS307に進み、「パークandライドで目的地まで行く」ボタン212に指で触れるのを受け付けた場合(ステップS306“NO”)、ステップS308に進む。
【0068】
ステップS307において、経路検索部22は、充電スポットを検索する。ここでの検索は、通常の道路ナビゲーションのように、電気自動車G1で最寄の充電スポットまで行く前提で行われるので、その処理の詳細説明は省略する。その後、経路検索処理手順を終了する。
【0069】
ステップS308において、ユーザ条件設定部21は、想定内設定条件情報(動的条件)及び想定外設定条件情報を取得する。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、車両端末装置3の出力装置53に、条件設定画面221の動的条件ページ223(
図20(b))を表示する。
【0070】
第2に、ユーザ条件設定部21は、想定内設定条件情報(動的条件)についてのユーザの入力を受け付ける。ユーザは、まず、「優先」欄223aの4つの円形のボックスのうち少なくとも1つに指で触れる。このとき、ユーザは、自身が考える優先順位に従って触れるものとする。ユーザ条件設定部21は、触れられたボックスに対して、触れられた順序「1」、「2」、・・を表示する。
【0071】
続いて、ユーザは、「目的地に到達する手段及び時間」欄223bの円形のボックスのうちの少なくとも1つに指で触れる。このとき、ユーザは、自身が考える選好順位に従って触れるものとする。ユーザ条件設定部21は、触れられたボックスに対して、触れられた順序「1」、「2」、・・を表示する。ユーザは、当然のことながら、当初は、電気自動車G1で目的地に到達する予定でいた。しかしながら、それが不可能である場合、考え直して、どのような手段で目的地に到達するかを選択できれば便宜である。
【0072】
例えば、目的地が山の中腹にあるような場合、ユーザは、レンタルカーで目的地に到達することを望む。目的地が住宅街にある場合、ユーザは、レンタルサイクルで目的地に到達することを望む。目的地が都心にあり、目的地のオフィスを訪問する直前に目的地の近辺のカフェ等で準備をしたい場合、ユーザは、徒歩で目的地に到達することを望む。「目的地に到達する手段及び時間」欄223bの円形のボックスに表示される「1」、「2」、・・・は、このようなユーザの選好を反映している。なお、この順序を「選好順位」という。
【0073】
最後に、ユーザは、「目的地に到達する手段及び時間」欄223bの、それぞれの交通手段に対応する3つの長方形のボックスのそれぞれを指で1又は複数回触れる。「1回触れるごとに5分」のように予め触れる回数と時間との関係を決めておくものとする。ユーザ条件設定部21は、触れた回数に応じた時間をボックスに表示する。
図20(b)の例では、ユーザは、それぞれのボックスに2回ずつ触れたことになる。
【0074】
図20(b)の「目的地に到達する手段及び時間」欄223bの例は、以下のことを示している。
・ユーザは、徒歩で目的地に到達することを第1に希望している。その場合、第2目的地から目的地まで徒歩で移動する時間の上限は10分である。
・ユーザは、レンタル自転車で目的地に到達することを第2に希望している。その場合、第2目的地から目的地までレンタル自転車で移動する時間の上限は10分である。
・ユーザは、レンタルカーで目的地に到達することを第3に希望している。その場合、第2目的地から目的地までレンタルカーで移動する時間の上限は10分である。
これらの上限時間を、以降、交通手段ごとの「アプローチ上限時間」と呼ぶことがある。
【0075】
第3に、ユーザ条件設定部21は、交通情報提供装置8にアクセスし、想定外設定条件情報を取得する。このときに取得された情報が「○○線が遅延しています」であったとする。ユーザ条件設定部21は、車両端末装置3の出力装置53に交通情報受信画面231(
図21(a))を表示してユーザに注意を喚起する。ユーザ条件設定部21は、電気自動車G1のフロントウインドウ又は透明スクリーン上に、「○○線が遅延している」旨のメッセージをAR(Augmented Reality)表示してもよい(
図21(b))。
なお、ユーザ条件設定部21は、ユーザが交通情報受信画面231の「再設定」ボタン232に指で触れるのを受け付けた場合は、出力装置53に目的地設定画面201(
図19(a))を表示する。そして、ユーザが、別の目的地を入力するのを受け付ける。さらに、出力装置53に条件設定画面221の動的条件ページ223(
図20(b))を表示する。そして、ユーザが、別の動的条件を入力するのを受け付ける。
【0076】
ステップS309において、ユーザ条件設定部21は、設定条件情報37(
図11)を完成させる。具体的には、第1に、ユーザ条件設定部21は、ユーザが入力装置52を介してユーザIDを入力するのを受け付け、受け付けたユーザIDを検索キーとして、想定内設定条件情報37aを検索し、該当したレコードを取得する。
第2に、ユーザ条件設定部21は、ステップS308の「第2」において受け付けた(又は「第3」において再設定された)ユーザの入力に従って、新たなレコードのF欄〜I欄に、優先順位又は「−」のいずれかを記憶する。ステップS308の「第2」又は「第3」において受け付けたユーザの入力のなかには、(例えば、選好順位、アプローチ上限時間のように)、想定内設定条件37aに記憶されない情報もある。しかしながら、ユーザ条件設定部21は、これらの情報も、ユーザIDに関連付けて、移動支援装置2の補助記憶装置15に一時的に記憶する。
【0077】
第3に、ユーザ条件設定部21は、ステップS308の「第3」において取得した想定外設定条件情報を、想定外設定情報37bとして、補助記憶装置15に一時的に記憶する。ステップS308の「第3」において想定外設定条件情報を取得できなかった場合は、行156のすべての欄に「−」を記憶する。
このように完成された設定条件情報37を、当該ユーザについての「設定条件レコード」と呼ぶ。設定条件レコードは、想定内設定条件情報37aのうち当該ユーザのユーザIDを有するレコードと、想定外設定条件情報37b(すべてのユーザに共通)とからなる。
【0078】
以降の説明では、ユーザが指定した「選好順位」は、「徒歩で」については「1」であり、「レンタル自転車で」については「2」であり、「レンタルカーで」については「3」であるとして説明を続ける。選好順位は、経路検索処理手順の処理の順序に関わってくる。経路検索処理手順のすべてのステップの説明の後に、このことを説明する。
【0079】
ステップS310において、経路検索部22は、出発地付近の、駅、バス停、カーシェアスポット及びレンタルカースポットを検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件1」及び「条件2」を満たす施設を検索する。
条件1:「出発地からその施設までの距離×2≦継続走行可能距離」が成り立つ。
条件2:その施設は、駐車場又はカーシェアスポットである。さらに、その施設が駐車場である場合、「その駐車場から最寄の駅、バス停又はレンタルサイクルスポットまでの距離/徒歩速度≦設定条件レコードのB欄の時間」が成り立つ。徒歩速度とは、人間が歩行する際の一般的な速度(例えば、4km/時)である。
【0080】
ステップS311において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS310の検索の結果、該当する施設が存在する場合(ステップS311“YES”)、ステップS313に進み、それ以外の場合(ステップS311“NO”)、ステップS312に進む。
【0081】
ステップS312において、経路検索部22は、メッセージを表示する。具体的には、経路検索部22は、車両端末装置3の出力装置53に、「目的地まで行ける交通手段がありません」、「充電して下さい」等のメッセージを表示する。
【0082】
ステップS313において、経路検索部22は、目的地の徒歩圏内において、駅、バス停及び駐車場を検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件3」及び「条件4」を満たす施設を検索する。
条件3:「目的地からその施設までの距離/徒歩速度≦徒歩についてのアプローチ上限時間」が成り立つ。
条件4:その施設は、駅、バス停及び駐車場のうちの何れかである。
【0083】
ステップS314において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS313の検索の結果、該当する施設が存在する場合(ステップS314“YES”)、目的地からの距離が最も短い施設を特定したうえでステップS315aに進み、それ以外の場合(ステップS314“NO”)、ステップS316に進む。
【0084】
ステップS315aにおいて、経路検索部22は、鉄道、路線バス及びレンタルカーの経路を検索する。具体的には、第1に、経路検索部22は、経路検索モデルの仮想運転手に対し、設定条件レコードの条件(但し想定内設定条件情報37aのF欄〜I欄の条件を除く)、以下の「条件5」及び現在時刻を与える。
条件5:出発地の次に最初に立ち寄る施設は、ステップS310において検索した施設(第2出発地)である。さらに、目的地の直前の施設(第2目的地)は、ステップS314において特定された施設である。
第2に、経路検索部22は、経路検索モデルを稼動し、シミュレーションを行う。
【0085】
ステップS315bにおいて、経路検索部22は、経路を取得する。具体的には、第1に、経路検索部22は、目的地に戻ったすべての仮想運転手から、それらが記憶している情報を取得し、経路情報39(
図14)を作成する。
第2に、経路検索部22は、設定条件レコードの想定内設定条件情報37aのF欄〜I欄のうち、優先順位が「1」である条件を使用して、経路情報39のレコードを、仮想運転手単位で並び替える。「仮想運転手単位で」とは、例えば175a〜175iのレコードをひとまとめにして、という意味である。
【0086】
例えば、優先順位が「1」である条件が「時間優先」である場合は、目的地に到達する時刻が早い順に、経路情報39のレコードを、仮想運転手単位で並び替える。
優先順位が「1」である条件が「料金優先」である場合は、目的地に到達した時刻における予算残高が大きい順に、経路情報39のレコードを、仮想運転手単位で並び替える。
優先順位が「1」である条件が「快適性優先」である場合は、仮想運転手がレンタルカー又はレンタルサイクルを使用している時間が短い順に、経路情報39のレコードを、仮想運転手単位で並び替える。
【0087】
優先順位が「1」である条件が「荷物運びがらく」である場合は、仮想運転手が交通手段を変更した回数が少ない順に、経路情報39のレコードを、仮想運転手単位で並び替える。交通手段を変更するとは、例えば、仮想運転手が以下のように移動することを言う。
・駅からバス停に移動する(又はその逆)。
・ある路線の駅から他の路線の駅に移動する。
・ある系統のバス停から他の系統のバス停に移動する。
なお、並び替えられた仮想運転手単位の複数のレコードを「表示対象レコード群」と呼ぶ。
【0088】
第3に、経路検索部22は、優先順位が「1」である条件によっては差がつかない複数の「表示対象レコード群」を、設定条件レコードのF欄〜I欄のうち、優先順位が「2」である条件を使用して、さらに並び替える。処理の方法は、「第2」と同様である。同様に、経路検索部22は、優先順位が「3」である条件及び優先順位が「4」である条件を使用して、並べ変えの処理を繰り返す。
【0089】
ステップS315cにおいて、経路表示部23は、経路を表示する。具体的には、第1に、経路表示部23は、ステップS315bにおいて並び替えた表示対象レコード群を、検索結果表示画面214(
図19(d))のように、車両端末装置3の出力装置53に表示する。例えば、レコードを並び替えた結果、経路情報39の表示対象レコード群175a〜175iが最初に位置するようになったとする。すると、経路表示部23は、
図19(d)のように、表示対象レコード群175a〜175iを表示する。
【0090】
第2に、経路表示部23は、表示対象レコード群175a〜175iの最後のレコードの時刻から最初のレコードの時刻を減算した値を、所要時間として摘要欄215に表示する。さらに、最初のレコードの予算残高から最後のレコードの予算残高を減算した値を、支払い金額として摘要欄215に表示する。
第3に、経路表示部23は、表示対象レコード群175a〜175iにおいて仮想運転手が交通手段を変更した回数をカウントし、カウントした結果を乗り換え回数として摘要欄215に表示する。さらに、表示対象レコード群175a〜175iにおいて仮想運転手が、レンタルカー又はレンタル自転車を運転した時間を合計し、合計した値を、運転時間として摘要欄215に表示する。
経路表示部23は、ユーザの指示(例えば画面を指で触れる)を受け付けると、2番目の表示対象レコード群を同様に表示する。さらに、ユーザの指示を受け付けると、3番目の表示対象レコード群を同様に表示する(以下同様)。
【0091】
第4に、経路表示部23は、ユーザが、表示されたすべての経路の候補のうちから、任意の1つを選択するのを受け付ける。ユーザは、例えば、最も望ましいと考える経路が表示されている画面をダブルタップ(2回連続で指で触れる)することによって、経路を選択するものとする。そして、経路表示部23は、選択された経路についての表示対象レコード群を、ユーザIDに関連付けて補助記憶装置15に記憶する。
【0092】
ステップS316において、経路検索部22は、目的地の自転車圏内において、レンタルサイクルスポットを検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件6」を満たすレンタルサイクルスポットを検索する。
条件6:「目的地からそのレンタルサイクルスポットまでの距離/自転車速度≦レンタル自転車についてのアプローチ上限時間」が成り立つ。自転車速度とは、人間が運転する自転車の一般的な速度(例えば、20km/時)である。
【0093】
ステップS317において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS316の検索の結果、該当するレンタルサイクルスポットが存在する場合(ステップS317“YES”)、目的地からの距離が最も短いレンタルサイクルスポットを特定したうえでステップS318に進み、それ以外の場合(ステップS317“NO”)、ステップS322に進む。
【0094】
ステップS318において、経路検索部22は、レンタルサイクルスポットの徒歩圏内において、駅、バス停及び駐車場を検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件7」及び「条件8」を満たす施設を検索する。
条件7:「レンタルサイクルスポットからその施設までの距離/徒歩速度≦設定条件レコードのB欄の時間」が成り立つ。なお、ここでのレンタルサイクルスポットは、ステップS317において特定されたレンタルサイクルスポットである。
条件8:その施設は、駅、バス停及び駐車場のうちの何れかである。
【0095】
ステップS319において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS318の検索の結果、該当する施設が存在する場合(ステップS319“YES”)、ステップS321aに進み、それ以外の場合(ステップS319“NO”)、ステップS320に進む。
【0096】
ステップS320において、経路検索部22は、メッセージを表示する。具体的には、経路検索部22は、車両端末装置3の出力装置53に、「徒歩圏内に存在しません」等のメッセージを表示する。経路検索部22は、ステップS318の条件7を満たさないまでも、「レンタルサイクルスポットからその施設までの距離」が最も短い施設を取得してもよい。そして、その距離を徒歩速度で除算した値を「延長提案時間」として、「1回あたりの徒歩移動時間を××分に変更しますか?」のようなメッセージを表示してもよい。ここで「××」は、延長提案時間である。経路検索部22は、ユーザが当該メッセージに賛成する旨を入力する(画面のメッセージ部分を指で触れる等)のを受け付けた場合は、
図11(a)のB欄の値を延長提案時間に更新したうえで、ステップS321aに進むこととする(
図17において当該パスは記載を省略した)。
【0097】
ステップS321aにおいて、経路検索部22は、鉄道、路線バス及びレンタルカーの経路を検索する。具体的には、第1に、経路検索部22は、経路検索モデルの仮想運転手に対し、設定条件レコードの条件(但し想定内設定条件情報37aのF欄〜I欄の条件を除く)、以下の「条件9」及び現在時刻を与える。
条件9:出発地の次に最初に立ち寄る施設は、ステップS310において検索した施設(第2出発地)である。さらに、目的地の直前の施設(第2目的地)は、ステップS317において特定されたレンタルサイクルスポットである。
第2に、経路検索部22は、経路検索モデルを稼動し、シミュレーションを行う。但し、設定条件レコードのC欄に「○」が記憶されている場合は、ステップS320に進む(
図17において当該パスは記載を省略した)。
【0098】
ステップS321bにおいて、経路検索部22は、経路を取得する。ステップS321bの処理は、ステップS315bの処理と同様である。
ステップS321cにおいて、経路表示部23は、経路を表示する。ステップS321cの処理は、ステップS315cの処理と同様である。
【0099】
ステップS322において、経路検索部22は、目的地のレンタルカー圏内において、カーシェアスポットを検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件10」を満たすカーシェアスポットを検索する。
条件10:「目的地からそのカーシェアスポットまでの距離/自動車速度≦レンタルカーについてのアプローチ上限時間」が成り立つ。自動車速度とは、自動車の一般的な速度(例えば、40km/時)である。
【0100】
ステップS323において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS322の検索の結果、該当するカーシェアスポットが存在する場合(ステップS323“YES”)、目的地からの距離が最も短いカーシェアスポットを特定したうえでステップS325に進み、それ以外の場合(ステップS323“NO”)、ステップS324に進む。
【0101】
ステップS324において、経路検索部22は、メッセージを表示する。具体的には、経路検索部22は、車両端末装置3の出力装置53に、「目的地まで行ける交通手段がありません」、「充電して下さい」等のメッセージを表示する。
【0102】
ステップS325において、経路検索部22は、カーシェアスポットの徒歩圏内において、駅及びバス停を検索する。具体的には、経路検索部22は、施設情報31から以下の「条件11」及び「条件12」を満たす施設を検索する。
条件11:「カーシェアスポットからその施設までの距離/徒歩速度≦設定条件レコードのB欄の時間」が成り立つ。なお、ここでのカーシェアスポットは、ステップS323において特定されたカーシェアスポットである。
条件12:その施設は、駅又はバス停である。
【0103】
ステップS326において、経路検索部22は、該当する施設があるか否かを判断する。具体的には、経路検索部22は、ステップS325の検索の結果、該当する施設が存在する場合(ステップS326“YES”)、ステップS328aに進み、それ以外の場合(ステップS326“NO”)、ステップS327に進む。
【0104】
ステップS327において、経路検索部22は、メッセージを表示する。具体的には、経路検索部22は、車両端末装置3の出力装置53に、「徒歩圏内に存在しません」等のメッセージを表示する。経路検索部22は、ステップS325の条件11を満たさないまでも、「カーシェアスポットからその施設までの距離」が最も短い施設を取得してもよい。そして、その距離を徒歩速度で除算した値を「延長提案時間」として、「1回あたりの徒歩移動時間を××分に変更しますか?」のようなメッセージを表示してもよい。ここで「××」は、延長提案時間である。経路検索部22は、ユーザが当該メッセージに賛成する旨を入力する(画面を指で触れる)のを受け付けた場合は、
図11(a)のB欄の値を延長提案時間に更新したうえで、ステップS328aに進むこととする(
図17において当該パスは記載を省略した)。
【0105】
ステップS328aにおいて、経路検索部22は、鉄道及び路線バスの経路を検索する。具体的には、第1に、経路検索部22は、経路検索モデルの仮想運転手に対し、設定条件レコードの条件(但し想定内設定条件情報37aのF欄〜I欄の条件を除く)、以下の「条件13」及び現在時刻を与える。
条件13:出発地の次に最初に立ち寄る施設は、ステップS310において検索した施設(第2出発地)である。さらに、目的地の直前の施設(第2目的地)は、ステップS323において特定されたカーシェアスポットである。
第2に、経路検索部22は、経路検索モデルを稼動し、シミュレーションを行う。但し、設定条件レコードのD欄に「○」が記憶されている場合は、ステップS327に進む(
図16において当該パスは記載を省略した)。
【0106】
ステップS328bにおいて、経路検索部22は、経路を取得する。ステップS328bの処理は、ステップS315bの処理と同様である。
ステップS328cにおいて、経路表示部23は、経路を表示する。ステップS328cの処理は、ステップS315cの処理と同様である。
その後、経路検索処理手順を終了する。
【0107】
(ステップS303の変形例)
ステップS303の「第2」において、ユーザ条件設定部21は、過去の特殊な走行例に基づいて、燃費実績を算出してしまうことがある。具体的には、ユーザ条件設定部21は、累積走行距離が連続して増加している複数のレコードの群(
図12の例ではレコード164a〜164g)を取得する。電気自動車は、15.0kmを走行するのに、2.0kw時の蓄電池容量を消費している。この15.0kmの区間が、平坦な行程である場合は問題ない。ところが、当該区間の大部分が上り坂(又は下り坂)である場合は、算出された燃費実績は、大きめ(小さめ)に評価されていることになる。とくに、下り坂等で電力回生が有効に行われる場合に過小評価の度合いが大きい。そこで、この過大(過小)評価を補正するために、ユーザ条件設定部21は、以下の処理を実行してもよい。
【0108】
(1)前提として、走行情報71は、現在時刻に関連付けて、現在時刻における電気自動車G1の所在地の緯度及び経度を記憶しているものとする。また、地図データ38は、緯度及び経度の組み合わせに関連付けて、その組合せの地点の標高を記憶しているものとする。さらに、ユーザ条件設定部21は、緯度及び経度を検索キーとして、地図データ38から、その地点の標高を取得できるものとする。
(2)ユーザ条件設定部21は、以下の式を使用して、継続走行可能距離を算出する。
補正係数=(1+(h
g−h
s)/(d
g−d
s))
補正済燃費実績=燃費実績/補正係数
継続走行可能距離=最新のレコードの蓄電池残量/補正済燃費実績
ここで、「h
g」は、最新のレコードの緯度及び経度の地点の標高であり、「h
S」は、最初のレコードの緯度及び経度の地点の標高である。「d
g」は、最新のレコードの累積走行距離であり、「d
S」は、最初のレコードの累積走行距離である。
【0109】
ユーザ条件設定部21は、燃費実績を走行情報71に基づいて算出するのではなく、例えば、燃費実績の既定値が記憶されたテーブルから燃費実績を取得してもよい。当該テーブルにおいて、季節及び時間帯ごとに燃料実績の規定値を記憶しておき、ユーザ条件設定部21は、現在時刻の季節及び時間帯を検索キーとして燃料実績を取得することとしてもよい。
【0110】
(選好順位)
前記したステップS313においては、経路検索部22が「目的地の徒歩圏内において、駅、バス停及び駐車場を検索する」こととした。ステップS316においては、経路検索部22が「目的地の自転車圏内において、レンタルサイクルスポットを検索する」こととした。ステップS322において、経路検索部22が「目的地のレンタルカー圏内において、カーシェアスポットを検索する」こととした。このことは、ユーザが指定した「選好順位」が、「徒歩で」については「1」であり、「レンタル自転車で」については「2」であり、「レンタルカーで」については「3」であったことに対応している。
【0111】
他の例として、「選好順位」が、「レンタルカーで」については「1」であり、「レンタル自転車で」については「2」であり、「徒歩で」については「3」であったとする。この場合は、ステップS313以降の処理の順序が以下のように変化する。
ステップS311“YES”のパスの後、まず、経路検索部22は、目的地のレンタルカー圏内において、カーシェアスポットを検索する。すなわち、前記したステップS322〜S328cの処理を行う。続いて、経路検索部22は、目的地の自転車圏内において、レンタルサイクルスポットを検索する。すなわち、前記したステップS316〜S321cの処理を行う。最後に、経路検索部22は、目的地の徒歩圏内において、駅バス停及び駐車場を検索する。すなわち、前記したステップS313〜S315cの処理を行う。
【0112】
(ナビゲーション処理手順)
図18は、ナビゲーション処理手順のフローチャートである。当該フローチャートの説明に沿って、適宜、
図22の表示画面例等を参照する。
ステップS401において、移動支援装置2のナビゲーション部24は、経路を取得し送信する。具体的には、第1に、ナビゲーション部24は、携帯端末装置4から、通信開始要求を受信する。このとき、携帯端末装置4は、通信開始要求とともに、携帯端末装置4を使用するユーザのユーザIDを、移動支援装置2に送信するものとする。
第2に、ナビゲーション部24は、受信したユーザIDを検索キーとして、経路検索処理手順のステップS315c(S321c、S328c)の「第4」において記憶された表示対象レコード群を取得する。このとき取得された表示対象レコード群が、
図14の175a〜175iであったとして以下の説明を続ける。そして、ナビゲーション部24は、取得した表示対象レコード群を検索結果表示画面214(
図19(d))として、携帯端末装置4の出力装置83に表示する。
【0113】
ステップS402において、ナビゲーション部24は、ナビゲーション要求を受信する。具体的には、ナビゲーション部24は、ユーザが携帯端末装置4の入力装置82を介して、ナビゲーション(行き先案内)を送信して欲しい旨の要求を入力するのを受け付ける。このとき、携帯端末装置4は、当該ナビゲーション要求とともに、携帯端末装置4の位置情報(緯度及び経路)を、移動支援装置2に送信するものとする。携帯端末装置4のGPS処理部91は、携帯端末装置4が現在所在する地点の経度及び緯度をGPS衛星G4から取得できるものとする。
【0114】
ステップS403において、ナビゲーション部24は、ナビゲーション情報を作成し送信する。具体的には、第1に、ナビゲーション部24は、ステップS402において受信した位置情報に基づいて、ステップS401において取得した表示対象レコード群のうちのどのレコードの施設の間にユーザが位置するかを特定する。ナビゲーション部24は、
図14のレコード175a〜175iの各レコードの施設名の施設の緯度及び経度を、施設情報31(
図5)を参照することによって取得する。なお、ユーザ条件設定部21は、ステップS302の「第2」及び「第4」において、それぞれ、出発地及び目的地の位置情報を既に取得している。そして、これらの取得した位置情報とステップS402において受信した位置情報をマッチングさせる。いま、例えば、
図14のレコード175bについての緯度及び経度が示す地点と、レコード175cについての緯度及び経度が示す地点とを結ぶ直線を想定する。そして、その直線を1つの対角線とする長方形の範囲内に、ステップS402において受信した位置情報(緯度及び経度)が位置するとする。この場合、携帯端末装置4を保持したユーザは、現在、駐車場「◎◎パーク」と駅「新宿」との間にいることが特定できる。
【0115】
第2に、ナビゲーション部24は、以下の情報を以下の方法で取得する。
次の施設の名称:ナビゲーション部24は、
図14のレコード175cの施設名「新宿」を取得する。
次の施設までの距離及び次の施設の方角:ナビゲーション部24は、ステップS402において受信した位置情報と、「新宿」の位置情報とに基づいて取得する。
次の施設までの所要時間:ナビゲーション部24は、次の施設までの距離を徒歩速度で除算することによって取得する。
次の列車が発車するまでの時間:ナビゲーション部24は、「丸の内線」における駅「新宿」において、現在時刻以降最も早い時刻に出発する列車の発車時刻を、公共交通手段情報32の運行情報113(
図6)から取得する。
【0116】
第3に、ナビゲーション部24は、ステップS403の「第2」において取得した情報を、ナビゲーション画面241(
図22(a))として、携帯端末装置4の出力装置83に表示する。ナビゲーション画面241においては、次の施設の名称が欄245に、次の施設までの距離が欄244に、次の施設の方角が欄243に、次の施設までの所要時間が欄242に、次の列車が発車するまでの時間が欄246に表示されている。
【0117】
ユーザが目的地に到達するまでには、ユーザが、目的地に到達する手段及び時間(
図20(b)符号223b)を変更する必要が生じる場合もある。ユーザは、例えば、地下鉄の駅を出て路上を走行する車両が少ないことに気づいた場合は、「レンタルカーで」の選好順位を上げたい。雨が降っていることに気づいた場合は、「徒歩で」の選好順位を下げたい。目的地の訪問時刻が10分延期になった場合は、目的地に到達する手段の「徒歩で」の選好順位を「1」としたまま、「徒歩で」の「アプローチ上限時間」時間を「10分」から「20分」に変更し、カフェで10分余分に準備をしたい。このような事情の変更があった場合、携帯端末装置4は、「変更要求」を移動支援装置2に送信する。
【0118】
ステップS404において、ナビゲーション部24は、目的地に到達する条件の変更があったか否かを判断する。具体的には、ナビゲーション部24は、携帯端末装置4から「変更要求」を受信した場合(ステップS404“YES”)は、ステップS405に進み、それ以外の場合(ステップS404“NO”)は、ステップS407に進む。
【0119】
ステップS405において、ナビゲーション部24は、変更後の設定条件情報を送信する。具体的には、第1に、ナビゲーション部24は、ナビゲーション画面261(
図22(c))を、携帯帯端末装置4の出力装置83に表示する。そして、ユーザが、選考順位及び/又は交通手段ごとの「アプローチ上限時間」を再度入力するのを受け付ける。
第2に、ナビゲーション部24は、受け付けた選好順位及び/又は交通手段ごとの「アプローチ上限時間」を、携帯端末装置4の現在位置とともに、移動支援装置2に送信する。
【0120】
ステップS406において、ナビゲーション部24は、経路検索処理手順と同様の処理を実行する。ただし、前記した経路検索処理手順の処理に対して、以下の変更を行う。
(1)ナビゲーション部24は、ステップS405において受信した、携帯端末装置4の現在位置」を「出発地」として扱う。
(2)ナビゲーション部24は、ステップS301〜S309の処理を省略する。
(3)ナビゲーション部24は、各種画面を(車両端末装置3の出力装置53ではなく)携帯端末装置4の出力装置83に表示する。
その後、ステップS402に戻る
【0121】
ユーザが目的地に到達した後、ユーザは目的地において用件を済ませる時間を調整することができる場合がある。このとき、ユーザは、駐車料金を知ることができれば、用件を早めに済ませ、駐車場に早めに戻ることによって駐車料金を節約できて便宜である。携帯端末装置4は、「駐車料金試算要求」を、「入庫時刻」とともに、移動支援装置2に送信する。入庫時刻は、ユーザが駐車場において電気自動車G1を寄託した時刻である。携帯端末装置4はユーザの任意の操作により、入庫時刻を記憶しておくものとする。
【0122】
ステップS407において、ナビゲーション部24は、目的地に到達したか否かを判断する。具体的には、ナビゲーション部24は、携帯端末装置4から「駐車料金試算要求」を受信した場合(ステップS407“YES”)は、ステップS408に進み、それ以外の場合(ステップS407“NO”)は、ステップS402に戻る。
【0123】
ステップS408において、ナビゲーション部24は、駐車料金を算出し送信する。具体的には、第1に、ナビゲーション部24は、電気自動車G1が寄託されている駐車場を特定する。すなわち、ナビゲーション部24は、ステップS401において取得した表示対象レコード群から、駐車場の名称を取得する。そして、取得した名称を有する駐車場情報36の駐車料金情報155(
図10)を取得し、取得した駐車料金情報155のカテゴリ「自動車」を有するレコードの料金(時間あたり単価)を取得する。さらに、取得した料金に対して、入庫時刻から現在時刻までの経過時間を乗算した値を試算する。
第2に、ナビゲーション部24は、試算した値及び経過時間を携帯端末装置4の出力装置83に表示する。ナビゲーション画面251(
図22(b))においては、試算した値が欄252に、経過時間が欄253に表示されている。
【0124】
ナビゲーション画面251には、「今すぐ帰る」ボタン254及び「帰る時刻指定」ボタン255も表示されている。ユーザは、直ちに用件を済ませて駐車場に戻る場合は、「今すぐ帰る」ボタン254を指で触れるものとする。ユーザは、しばらくしてから目的地を出発する場合は、「帰る時刻指定」ボタン255を指で触れたうえで、目的地を出発する「予定出発時刻」を、入力装置82を介して入力する。
【0125】
ステップS409において、ナビゲーション部24は、「今すぐ帰る」又は「帰る時刻指定」が押下されたか否かを判断する。具体的には、ナビゲーション部24は、ユーザが「今すぐ帰る」ボタン254又は「帰る時刻指定」ボタン255を触れるのを受け付けた場合(ステップS409“YES”)は、ステップS410に進み、それ以外の場合(ステップS409“NO”)は、ナビゲーション処理手順を終了する。
【0126】
ステップS410において、ナビゲーション部24は、駐車料金を再度算出し送信する。具体的には、第1に、ナビゲーション部24は、見直し後経過時間を算出する。「今すぐ帰る」ボタン254が押下された場合、「見直し後経過時間」は、入庫時刻から「目的地到達時刻」までの時間の2倍に対して、「目的地到達時刻」から現在時刻までの時間を加算した時間である。目的地到達時刻は、ユーザが目的地に到達した時刻である。携帯端末装置4はユーザの任意の操作により、目的地到達時刻を記憶しておくものとする。「帰る時刻指定」ボタン255が押下された場合、「見直し後経過時間」は、入庫時刻から「目的地到達時刻」までの時間の2倍に対して、「目的地到達時刻」から「予定出発時刻」までの時間を加算した時間である。
第2に、ナビゲーション部24は、ステップS408の「第1」において取得した料金(時間あたり単価)に対して、見直し後経過時間を乗算した値を試算する。
第3に、ナビゲーション部24は、試算した値及び見直し後経過時間を携帯端末装置4の出力装置83に表示する。
その後、ナビゲーション処理手順を終了する。
【0127】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、充電せずに目的地を経由して出発地に戻るのに充分な電気自動車G1の蓄電池残量がない場合に、他の交通機関を使用する経路を取得することができる。
さらに、公共交通機関だけではなく、レンタルカー及びレンタル自転車を利用する場合も含む経路を取得することができる。
さらに、徒歩、レンタルカー及び徒歩のうちユーザがどのような交通手段で目的地に到達したいかという選好条件を反映させた経路の取得が可能になる。
さらに、所要時間、予算、乗り換え回数、及び、レンタル自転車又はレンタルカーを使用する時間の間の優先順位を反映させた経路の取得が可能になる。
【0128】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。