(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被搬送体が上流側から下流側に向かって搬送されるとともに、当該上流側から当該下流側に向かう回転軸を中心として当該被搬送体が回転しながら当該被搬送体が搬送される搬送経路と、
前記上流側から前記下流側に向かうように設けられ、且つ、前記被搬送体の予め定められた部位に対向するように配置されるとともに当該部位が通過していく通過経路に倣うように配置され、搬送される当該被搬送体の案内を行う案内部材と、
を備え、
前記案内部材は、被搬送体の搬送方向における位置が互いに異なる複数の案内部材により構成され、
前記複数の案内部材の各々は、前記通過経路に向かう方向および当該通過経路から離れる方向に移動可能に設けられるとともに、隣接する案内部材に接続された状態で設けられ、
前記案内部材と、当該案内部材に隣接する案内部材とは、一方の案内部材に形成された長穴と、他方の案内部材に形成され当該長穴に挿入される挿入部と、によって接続されている搬送装置。
前記案内部材、および、当該案内部材に隣接する案内部材の一方の案内部材には、他方の案内部材の長手方向における端部が押し当てられ当該他方の案内部材の位置決めを行う位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
前記複数の案内部材の各々に対応するように複数設けられ、前記通過経路に向かう方向および当該通過経路から離れる方向に当該案内部材を移動させる移動機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
前記移動機構は、前記通過経路に向かう方向および当該通過経路から離れる方向にスライド移動可能に設けられたスライド部材をスライド移動させることで、前記案内部材を当該通過経路に向かう方向および当該通過経路から離れる方向に移動させ、
前記スライド部材は、当該スライド部材のスライド方向に沿った回転軸を中心として回転可能に設けられていることを特徴とする請求項3記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、缶体の製造工程の一部を示した図である。
本実施形態のおける缶体の製造工程には、缶体10の検査を行う検査装置100、ベルトコンベアにより構成され検査装置100から順次排出されてくる缶体10を下流側へ搬送する搬送装置500が設けられている。ここで、本実施形態の缶体10は、円筒状に形成されるとともに、一方端に開口部が形成され他方端が塞がれ、また、この他方端が底部として機能するようになっている。なお、缶体10の搬送方向において、検査装置100よりも上流側には、金属板から缶体10を製造する製造装置(不図示)、この製造装置により製造された缶体10の外周面に画像を形成する印刷装置(不図示)が設けられている。
【0010】
ここで、検査装置100は、印刷装置によって缶体10の外周面に形成された画像の検査を行う。より具体的には、缶体10の外周面に形成された画像に不良が発生しているか否かを検査する。なお、検査装置100には、円盤状に形成されるとともに外周面に溝が複数形成され、溝内に投入された缶体10を保持しながら図中時計回り方向に回転する回転部材110が設けられている。また、回転部材110により保持されている缶体10の各々を周方向に回転させる回転機構(不図示)が設けられている。
【0011】
さらに、本実施形態では、回転機構により回転している缶体10の外周面を撮影するデジタルカメラ120が設けられている。ここで、本実施形態では、デジタルカメラ120により取得された画像データに基づき、缶体10の外周面に形成された画像に不良が発生しているか否かを判断する。そして、不良が発生していると判断された缶体10は、不図示の排出機構によって、缶体10の搬送経路の外部に排出される。
【0012】
また、本実施形態では、検査装置100の上流側に、被搬送体の一例としての缶体10をこの検査装置100へ搬送する第1搬送機構210が設けられている。ここで、本実施形態では、第1搬送機構210によって、検査装置100に対し、寝た状態(缶体10の軸が水平方向に沿うように配置された状態)の缶体10が供給される。これにより、検査装置100の回転部材110では、寝た状態の缶体10が保持されるようになる。
【0013】
また、本実施形態では、検査装置100の下流側に、検査装置100から順次排出されてくる缶体10を搬送装置500へ搬送する第2搬送機構220が設けられている。ここで、第2搬送機構220内の缶体搬送経路は、螺旋を描くように捩じられた状態となっており、第2搬送機構220により缶体10が搬送されると、缶体10は、缶体10の移動方向上流側から移動方向下流側に向かう回転軸を中心に回転を行う。これにより、本実施形態では、
図1に示すように、寝ていた状態の缶体10が起立するようになる(缶体10の軸が鉛直方向に沿うように缶体10が変位するようになる)。
【0014】
ここで、缶体10は、第2搬送機構220を通過していく際、自身の重さ(自重)を利用して下方に向かって移動していく。なお、第2搬送機構220の上流側に、缶体10を第2搬送機構220に向けて押し出す押し出し機構を設け、押し出し機構から缶体10に付与された力を利用して缶体10を移動させることもできる。
また、本実施形態では、内容物が充填される前の缶体10を搬送する場合を一例に説明するが、本実施形態の各構成は、内容物が充填された缶体10の搬送にも用いることができる。なお、内容物が充填された缶体10が第2搬送機構220により搬送される場合は、第2搬送機構220の入口側と出口側との高低差を、空の缶体10が搬送されるときに比べ小さくできる。
【0015】
図2は、
図1の矢印II方向から第2搬送機構220を眺めた場合の図である。
図2の符号2Aに示すように、また、上記にて説明したように、本実施形態では、第2搬送機構220に対して缶体10が寝た状態で供給(投入)される。また、本実施形態では、上記にて説明したとおり、缶体搬送経路が捩じられた状態(90°捩じられた状態)となっており、同図の符号2Bに示すように、第2搬送機構220から缶体10が排出される際には缶体10が起立した状態となる。
【0016】
付言すると、本実施形態における第2搬送機構220では、缶体10が寝た状態で供給されると、この缶体10は、回転を伴いながら缶体搬送経路に沿って進行する。付言すると、缶体10は、缶体10の径方向に沿う回転軸を中心に回転を行いながら缶体搬送経路に沿って進行する。さらに説明すると、缶体10は、缶体10の移動方向上流側から移動方向下流側に向かうように配置される回転軸を中心に回転を行いながら、缶体搬送経路に沿って進行する。これにより、缶体10は、符号2Bに示すように、第2搬送機構220の外部に出るときには起立した状態となる。
【0017】
ここで、本実施形態では、棒状に形成されるとともに缶体10の移動方向上流側から移動方向下流側に向かうように配置され、缶体10の案内を行う案内部材が複数設けられている。
具体的には、まず、缶体10の底部に対抗するように配置されるとともにこの底部が通過していく通過予定経路(螺旋状の通過予定経路)に倣うように曲率を有した状態で形成され、この底部を介して缶体10の案内を行う底部側案内部材231が設けられている。また、缶体10の開口部側に対抗するように配置されるとともにこの開口部が通過していく通過予定経路(螺旋状の通過予定経路)に倣うように曲率を有した状態で形成され、缶体10の開口部側に位置する部位を介して缶体10の案内を行う開口部側案内部材232が設けられている。
【0018】
また、缶体搬送経路の一方の脇に配置されるとともに、缶体10の外周面が通過していく通過予定経路(螺旋状の通過予定経路)に倣うように曲率を有した状態で形成され、缶体10の外周面に接触し、この外周面を介して缶体10の案内を行う第1外周面側案内部材241、第2外周面側案内部材242が設けられている。
また、缶体搬送経路の他方の脇に配置されるとともに、缶体10の外周面が通過していく通過予定経路(螺旋状の通過予定経路)に倣うように曲率を有した状態で形成され、缶体10の外周面に接触し、この外周面を介して缶体10の案内を行う第3外周面側案内部材243、第4外周面側案内部材244が設けられている。
なお、第2外周面側案内部材242は、第1外周面側案内部材241よりも缶体10の開口部側に設けられ、第4外周面側案内部材244は、第3外周面側案内部材243よりも缶体10の開口部側に設けられている。
【0019】
ここで、底部側案内部材231、開口部側案内部材232、第1外周面側案内部材241〜第4外周面側案内部材244の各々は、回転を行いながら移動する(次第に起立する)缶体10の案内が可能なように、直線状ではなく曲率を有した状態で形成されている。付言すると、これらの案内部材の各々は、回転を行いながら移動する缶体10の案内が可能なように、螺旋状に形成され曲率を有した状態で形成されている。
【0020】
これにより、本実施形態では、缶体10がどの状態にあっても、缶体10の底部に底部側案内部材231が対向し、缶体10の開口部に開口部側案内部材232が対向するようになる。また、缶体10がどの状態にあっても、缶体10の一方の脇に、第1外周面側案内部材241、第2外周面側案内部材242が位置し、缶体10の他方の脇に、第3外周面側案内部材243、第4外周面側案内部材244が位置するようになる。
【0021】
なお、本実施形態では、底部側案内部材231と開口部側案内部材232との離間距離が、缶体10の軸方向における長さ(缶体10の高さ寸法)よりも2mm〜4mm大きくなるように、底部側案内部材231および開口部側案内部材232は配置されている。付言すると、本実施形態では、底部側案内部材231に缶体10が押し当てられた状態において、缶体10と開口部側案内部材232との離間距離が2mm〜4mmとなるように、底部側案内部材231および開口部側案内部材232が配置されている。
【0022】
また、本実施形態では、底部側案内部材231、開口部側案内部材232、第1外周面側案内部材241〜第4外周面側案内部材244を支持する支持フレーム250が設けられている。ここで、この支持フレーム250は、複数設けられるとともに、缶体10の移動方向において互いにずらされた状態で配置されている。
【0023】
また、支持フレーム250の各々は、寝た状態の缶体10が次第に起立するのに対応するように、下流側に位置する支持フレーム250ほど直立するようになっている。また、支持フレーム250の各々は、矩形状に形成されるとともに矩形状の貫通孔を有し、本実施形態では、この貫通孔内に、底部側案内部材231、開口部側案内部材232、第1外周面側案内部材241〜第4外周面側案内部材244が収められた状態となっている。
【0024】
図3は、缶体10の搬送方向における下流側から第2搬送機構220を眺めた場合の斜視図である。
上記にて説明したように、また、
図3に示すように、本実施形態では、底部側案内部材231、開口部側案内部材232、第1外周面側案内部材241〜第4外周面側案内部材244の6つの案内部材が設けられている。また、上記にて説明したとおり、これらの案内部材を支持する支持フレーム250が設けられている。なお、上記では説明を省略したが、支持フレーム250の各々は、第2搬送機構220に設けられた筐体(不図示)に固定され、動かないようになっている。
【0025】
さらに、本実施形態の第2搬送機構220では、缶体10の搬送方向における最も下流側に、缶体10の案内を行う第1案内板261および第2案内板262が設けられている。ここで、上記では、説明を省略したが、開口部側案内部材232は、缶体搬送経路の途中まで設けられおり、開口部側案内部材232よりも下流側には、第1案内板261および第2案内板262が設けられている。
【0026】
第1案内板261および第2案内板262は、缶体搬送経路の上方に配置されており、この缶体搬送経路上を移動する缶体10の開口部側にて、缶体10の案内を行う。なお、底部側案内部材231も、缶体搬送経路の途中まで設けられており、本実施形態では、底部側案内部材231の下流側に、缶体10の底部に接触して缶体10の案内を行う第3案内板263が設けられている。
なお、第1案内板261および第2案内板262を省略し、第1案内板261および第2案内板262が設けられている箇所まで、開口部側案内部材232を延長するようにしてもよいし、別の開口部側案内部材を設置してもよい。また、第3案内板263を省略し、第3案内板263が設けられている箇所まで、底部側案内部材231を延長するようにしてもよいし、別の底部側案内部材を設置してもよい。
【0027】
また、本実施形態では、第1案内板261および第2案内板262を、缶体搬送経路に対して進退させる第1エアシリンダ271、第2エアシリンダ272が設けられている。また、缶体搬送経路に対して開口部側案内部材232を進退させる第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が設けられている。さらに、図示は省略するが、第1エアシリンダ271〜第5エアシリンダ275に対して圧縮空気を供給する供給機構が設けられている。
【0028】
ここで、上記では説明を省略したが、
図2、
図3では、350mlの容量の缶体10が搬送される際の第2搬送機構220の状態を図示した。一方で、本実施形態の第2搬送機構220では、500mlの容量を有し350mlの缶体10よりも長い缶体10を搬送することができるようになっている。そして、この長い缶体10が搬送される際には、第1エアシリンダ271〜第5エアシリンダ275が駆動される。これにより、第1案内板261、第2案内板262、および、開口部側案内部材232が、缶体搬送経路から離れる方向に移動し、長い缶体10も搬送できるようになる。
【0029】
付言すると、本実施形態では、長い缶体10が搬送される際には、缶体10の開口部が通過していく通過予定経路から離れる方向へ、第1案内板261、第2案内板262、および、開口部側案内部材232を移動させる。これにより、長い缶体10が搬送される場合でも、この缶体10の開口部と第1案内板261等との干渉が避けられるようになり、長い缶体10も搬送できるようになる。
【0030】
図4、
図5は、底部側案内部材231、開口部側案内部材232、および、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275を説明するための図である。付言すると、
図4、
図5は、
図1における矢印IV方向から第2搬送機構220を眺めた場合における底部側案内部材231等の状態を示した図である。
【0031】
なお、上記にて説明した
図2では、図中右側が缶体10の移動方向上流側となり図中左側が缶体10の移動方向下流側となっていたが、
図4、
図5では、
図2とは左右が逆となっており、図中左側が缶体10の移動方向上流側となり図中右側が缶体10の移動方向下流側となっている。また、
図4では、350mlの短い缶体10が搬送される際の状態を示し、
図5では、500mlの長い缶体10が搬送される際の状態を示している。
【0032】
上記では説明を省略したが、開口部側案内部材232は、一つの部材でなく、
図4に示すように、第1開口部側案内部材281〜第3開口部側案内部材283の3つの部材により構成されている。なお、本実施形態では、このように3つの部材により構成された場合を一例に説明するが、4つ以上の部材や2つの部材により構成するようにしてもよい。
【0033】
第1開口部側案内部材281は、缶体10の搬送方向において最も上流側に配置されている。また、第1開口部側案内部材281は、棒状に形成され缶体搬送経路に沿うように配置された案内部材本体281A、長穴LHが形成され案内部材本体281Aに取り付けられた取り付け部材281Bとから構成されている。
【0034】
ここで、取り付け部材281Bに形成された長穴LHは、缶体10の移動方向に沿うように形成されている。また、取り付け部材281Bは、案内部材本体281Aの下流側の端部に取り付けられている。また、取り付け部材281Bは、缶体搬送方向に直交する面における断面の形状が直角三角形になっている。さらに、取り付け部材281Bは、上面UF、この上面UFに直交する背面SF、直角三角形の斜辺に相当する箇所に位置し上面UFと背面SFと接続する斜面Sを有している。
【0035】
なお、本実施形態では、斜面Sの上面UFに対する角度(斜面Sと上面UFとのなす角度)が、39.4°となっている。なお、斜面Sの上面UFに対するこの角度は、38°〜41°とすることが好ましい。なお、より好ましくは39°〜40°である。また、本実施形態では、斜面Sの長さ(上面UFと斜面Sとの接続部から背面SFと斜面Sとの接続部に向かう方向における長さ)が44mmとなっている。
また、本実施形態では、第1開口部側案内部材281の案内部材本体281Aの外径が12mmとなっている。また、案内部材本体281Aの全長は、420mmとなっている。
【0036】
また、本実施形態では、長穴LHの長手方向における長さが41mmとなっている。なお、長穴LHの長さは、38mm〜44mmとすることが好ましく、39mm〜43mmがより好ましい。また、長穴LHの幅は7mmとなっている。なお、長穴LHの幅は、後述する突出部282Cの直径よりも大きければよいが、大きすぎると、位置決めの際のガタつきが生じやすくなる。
【0037】
さらに、本実施形態では、第5エアシリンダ275が水平方向に沿った状態(寝た状態)で配置されている。そして、この第5エアシリンダ275には、円柱状に形成されるとともに水平方向に沿って配置され、缶体10の移動方向と直交する方向に沿ってスライド移動する(進退する)スライド部材275Aが設けられている。また、第5エアシリンダ275には、スライド部材275Aをスライド移動させるシリンダ本体275Bが設けられている。なお、本実施形態では、案内部材本体281Aの上流側の端部に対してスライド部材275Aが固定された構成となっている。
【0038】
一方、第4エアシリンダ274は、水平方向に沿った状態で配置されておらず、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。付言すると、第4エアシリンダ274は、第5エアシリンダ275よりも起立した状態で設けられている。
より具体的には、
図4における矢印4A方向から第4エアシリンダ274を眺めた場合に(缶体10の搬送方向における上流側から第4エアシリンダ274を眺めた場合に)、第4エアシリンダ274は、水平方向に対し45°傾いた状態で設けられている。また、第4エアシリンダ274は、缶体10の搬送方向における下流側に倒れるように傾いた状態で配置されている。付言すると、
図4における矢印4B方向からを眺めた場合(缶体搬送経路の側方から眺めた場合)、第4エアシリンダ274は、図中右側に倒れるように傾斜している。
【0039】
また、第3エアシリンダ273は、
図4における矢印4A方向から第3エアシリンダ273を眺めた場合に、起立した状態で設けられている。付言すると、本実施形態では、
図4における矢印4A方向から第3エアシリンダ273、第5エアシリンダ275を眺めた場合に、第3エアシリンダ273と第5エアシリンダ275とが直交するように、第3エアシリンダ273および第5エアシリンダ275は設けられている。また、第3エアシリンダ273は、第4エアシリンダ274と同様、缶体10の搬送方向における下流側に倒れるように傾いた状態で配置されている。
【0040】
次に、第2開口部側案内部材282について説明すると、第2開口部側案内部材282には、第1開口部側案内部材281と同様、棒状に形成され缶体搬送経路に沿うように配置された案内部材本体282A、長穴LHが形成され案内部材本体282Aに取り付けられた取り付け部材282Bが設けられている。
【0041】
ここで、案内部材本体282Aは、第1開口部側案内部材281の案内部材本体281Aと交差する関係で配置されている。また、長穴LHは、缶体10の移動方向に沿うように形成されている。また、取り付け部材282Bは、案内部材本体282Aの下流側の端部に取り付けられている。さらに、取り付け部材282Bは、第1開口部側案内部材281の取り付け部材281Bと同様、上面UF、背面SF、斜面Sを有している。
【0042】
また、第2開口部側案内部材282には、案内部材本体282Aの上流側の端部に、丸棒状に形成され、案内部材本体282Aの外表面から突出するように設けられた突出部282Cが設けられている。この突出部282Cは、案内部材本体282Aと直交する関係で配置されるとともに上方に向かって延びるように設けられている。また、挿入部として機能するこの突出部282Cは、第1開口部側案内部材281の取り付け部材281Bに形成された長穴LHに挿入されている。
【0043】
次に、第3開口部側案内部材283について説明する。
第3開口部側案内部材283には、第2開口部側案内部材282と同様に、棒状に形成され缶体搬送経路に沿うように配置された案内部材本体283A、案内部材本体283Aの上流側の端部に位置し案内部材本体283Aの外表面から突出する突出部283Cが設けられている。
【0044】
ここで、案内部材本体283Aは、第2開口部側案内部材282の案内部材本体282Aと交差する関係で配置されている。また、突出部283Cは、断面が円形に形成され丸棒状に形成されている。また、突出部283Cは、案内部材本体283Aと直交する関係で配置されるとともに上方に向かって延びるように設けられている。また、突出部283Cは、第2開口部側案内部材282の取り付け部材282Bに形成された長穴LHに挿入されている。
【0045】
また、第3開口部側案内部材283には、案内部材本体283Aの下流側の端部に、この案内部材本体283Aの外表面から突出する突出部283Dが設けられている。ここで、この突出部283Dは、突出部283Cと同様に、断面が円形に形成され丸棒状に形成されている。また、突出部283Dは、案内部材本体283Aと直交する関係で配置されるとともに上方に向かって延びるように設けられている。また、突出部283Dは、
図3に示すように、第2案内板262に形成された長穴262Aに通されている。
【0046】
なお、上記では説明を省略したが、第2開口部側案内部材282に設けられた突出部282Cには、外周面にねじ山が形成されている。そして、本実施形態では、長穴LHに突出部282Cが挿入された状態にて、この突出部282Cにナットが取り付けられる。これにより、第1開口部側案内部材281と第2開口部側案内部材282とが互いに固定されるようになる。
【0047】
また、同様に、第3開口部側案内部材283に設けられた突出部283C、突出部283Dにも、外周面にねじ山が形成されている。そして本実施形態では、長穴LHに突出部283Cが挿入された状態にて、この突出部283Cにナットが取り付けられる。これにより、第2開口部側案内部材282と第3開口部側案内部材283とが互いに固定されるようになる。また、突出部283Dにもナットが取り付けられ、第3開口部側案内部材283と第2案内板262(
図3参照)とが互いに固定されるようになる。
【0048】
ここで、搬送される缶体10が短い缶体10から長い缶体10に切り替えられる際には、突出部282C、突出部283C、および、突出部283Dに取り付けられたナットがオペレータにより緩められる。
次いで、移動機構として機能する第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動され(なお、このとき第1エアシリンダ271、第2エアシリンダ272も駆動される)、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275の各々に設けられたスライド部材275Aが、缶体搬送経路から離れる方向に向かって移動する。
【0049】
その後、突出部282C、突出部283C、および、突出部283Dに取り付けられたナットがオペレータにより締められ、第1開口部側案内部材281と第2開口部側案内部材282との固定、第2開口部側案内部材282と第3開口部側案内部材283との固定、第3開口部側案内部材283と第2案内板262との固定が再び行われる。
なお、詳細な説明は省略するが、
図3に示すように、第1案内板261と第2案内板262との接合部にも突出部が設けられており、この突出部に対してもナットが取り付けられる。そして、搬送される缶体10が短い缶体10から長い缶体10に切り替えられる際には、このナットが緩められる。そして、第1エアシリンダ271〜第5エアシリンダ275の駆動がなされた後、ナットが締められる。
【0050】
ここで、突出部282C(
図4参照)に取り付けられたナットがオペレータにより締められると、位置決め部として機能する斜面S(第1開口部側案内部材281に設けられた斜面S)に対して第2開口部側案内部材282の上流側の端部が押しあてられるようになる。付言すると、平面状(平坦状)の部位に対して、案内部材本体282Aの上流側の端部が押し当てられるようになる。これにより、第1開口部側案内部材281に対する第2開口部側案内部材282の位置決めが安定的になされるようになる。
【0051】
なお、同様に、突出部283Cに取り付けられたナットがオペレータにより締められると、第2開口部側案内部材282に設けられた斜面Sに対して第3開口部側案内部材283の上流側の端部が押しあてられるようになる。付言すると、この場合も、平面状(平坦状)の部位に対して、案内部材本体283Aの上流側の端部が押し当てられるようになる。これにより、第2開口部側案内部材282に対する第3開口部側案内部材283の位置決めが安定的になされるようになる。
【0052】
以上の処理が終了すると、本実施形態では、
図5に示すように、第1開口部側案内部材281と底部側案内部材231との離間距離が大きくなる。また、第2開口部側案内部材282と底部側案内部材231との離間距離も大きくなる。また、図示は省略するが、第3開口部側案内部材283と底部側案内部材231との離間距離も大きくなる。これにより、本実施形態では、長い缶体10の搬送が可能になる。なお、搬送される缶体10が長い缶体10から短い缶体10に切り替えられる際には、上記と逆の処理が実行され、第1開口部側案内部材281〜第3開口部側案内部材283が底部側案内部材231に向かって進出する。
【0053】
ここで、
図4を再び参照し、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動された際の各部の動きを説明する。
第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動された場合、第1開口部側案内部材281が水平方向に沿って移動し、これに伴い、案内部材本体281Aの下流側の端部が図中矢印4C方向に移動する。また、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、第2開口部側案内部材282が斜め上方に向かって移動し、これに伴い、案内部材本体282Aの上流側の端部が、図中矢印4D方向に移動する。
【0054】
即ち、本実施形態では、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動された場合、案内部材本体281Aの下流側の端部と、案内部材本体282Aの上流側の端部とが、互いに離れるように移動する。ところで、案内部材本体281Aおよび案内部材本体282Aは、缶体10を案内する機能を有しており、このように、端部同士が離れるようになると、缶体10の案内機能が低下しやすくなる。
【0055】
このため、本実施形態では、上記にて説明したとおり、第2開口部側案内部材282に突出部282Cを設けるとともに、この突出部282Cを、第1開口部側案内部材281に設けられた長穴LHに通すようにしている。付言すると、突出部282Cを長穴LHに通し、第1開口部側案内部材281と第2開口部側案内部材282とを接続するようにしている。これにより、案内部材本体281Aの下流側の端部と案内部材本体282Aの上流側の端部とが互いに離れることが抑制され、缶体10の案内機能が低下することが生じにくくなる。
【0056】
なお、本実施形態のように、長穴LHに対して突出部282Cが通されている構成では、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、案内部材本体281Aが、第5エアシリンダ275に設けられたスライド部材275Aを回転中心として図中矢印4E方向に回転する。付言すると、本実施形態では、スライド部材275Aのスライド方向に沿った回転軸を中心としてスライド部材275Aが周方向に回転可能に設けられており、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、案内部材本体281Aが、スライド部材275Aを回転中心として図中矢印4E方向に回転する。
【0057】
また、第4エアシリンダ274に設けられたスライド部材275Aも回転可能に設けられており、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、第2開口部側案内部材282の案内部材本体282Aが、第4エアシリンダ274に設けられたスライド部材275Aを回転中心として図中矢印4F方向に回転する。
これにより、本実施形態では、上記のとおり、案内部材本体281Aの下流側の端部と案内部材本体282Aの上流側の端部とが互いに離れることが抑制されるようになる。
【0058】
また、本実施形態では、突出部282Cが挿入される穴部を長穴LHとして形成しているため、第1開口部側案内部材281に設けられた取り付け部材281Bに対して突出部282Cが移動できるようになっている。これにより、本実施形態では、第1開口部側案内部材281および第2開口部側案内部材282の相対移動を許容する一方で、第1開口部側案内部材281と第2開口部側案内部材282との間に間隙が生じることを防いでいる。
【0059】
なお、第2開口部側案内部材282と第3開口部側案内部材283との間でも同様であり、第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、案内部材本体282Aの下流側の端部と、案内部材本体283Aの上流側の端部とが互いに離れる方向に移動しようとする。ところで、本実施形態では、第2開口部側案内部材282に形成された長穴LHに、第3開口部側案内部材283に設けられた突出部283Cが通されており、案内部材本体282Aの下流側の端部と、案内部材本体283Aの上流側の端部との間に間隙が形成されることが抑制されるようになっている。
【0060】
第2開口部側案内部材282、第3開口部側案内部材283の動きをさらに具体的に説明する。第3エアシリンダ273〜第5エアシリンダ275が駆動されると、案内部材本体282Aの下流側の端部は、図中矢印4G方向に向かって移動しようとする。また、案内部材本体283Aの上流側の端部は、図中矢印4H方向(上方、図中紙面の手前側方向)に向かって移動しようとする。即ち、この場合も、案内部材本体282Aの下流側の端部と、案内部材本体283Aの上流側の端部とが互いに離れるように、案内部材本体282Aおよび案内部材本体283Aは移動しようとする。
【0061】
ところで、本実施形態では、上記のとおり、第2開口部側案内部材282に形成された長穴LHに対して第3開口部側案内部材283に設けられた突出部283Cが通されており、これにより、案内部材本体282Aは、図中矢印4Fに示す回転を伴いながら矢印4G方向に移動する。また、案内部材本体283Aは、図中矢印4Kに示す方向への回転を伴いながら紙面手前側方向に向かって移動する。これにより、この場合も、案内部材本体282Aと案内部材本体283Aとの間に間隙が形成されることが抑制される。
【0062】
なお、短い缶体10の搬送に適した第2搬送機構220、および、長い缶体10の搬送に適した第2搬送機構220を別々に設け、缶体10のサイズに応じて、第2搬送機構220の全体を交換することも可能ではある。ところでこの場合、交換作業に手間を要するようになる。また、コストも増大する。さらに、使用しない方の第2搬送機構220を保管しておくためのスペースを確保する必要が生じ、装置の実質的な占有体積が大きくなってしまう。
【0063】
一方で、本実施形態では、第1エアシリンダ271〜第5エアシリンダ275を駆動するだけで、短い缶体10の搬送に適した状態から長い缶体10の搬送に適した状態にすることができ、また、長い缶体10の搬送に適した状態から短い缶体10の搬送に適した状態にすることができる。このため、本実施形態では、オペレータの作業量が減るようになる。また、使用しない方の第2搬送機構220を保管しておくためのスペースが不要となり、装置の占有体積が増大することも抑制されるようになる。
【0064】
なお、上記では、検査装置100の下流側に、第2搬送機構220を設けた場合を説明したが、缶体10の製造工程のうちの缶体10が搬送される箇所であれば何れの箇所であっても、第2搬送機構220と同様の構成を有した搬送機構を設けることができる。付言すると、
図2〜
図5にて説明した構成は、検査装置100の下流側以外の他の箇所に設けることもできる。
【0065】
また、上記では、缶体10を被搬送体の一例として説明したが、
図2〜
図5にて説明した構成では、缶体10以外の他の被搬送体も搬送できる。また、上記では、円筒形の被搬送体を搬送する場合を一例に説明したが、四角柱や三角柱など円筒形以外の形状を有した被搬送体の搬送を行うこともできる。なお、被搬送体の搬送効率を上げるという観点からは、被搬送体を円筒形とし被搬送体が自転できる構成とすることが好ましい。
【0066】
また、上記では、缶体10の開口部側に対向する開口部側案内部材232を移動させる場合を説明したが、底部側案内部材231を移動させるようにしてもよい。また、缶体搬送経路の一方の脇に配置された第1外周面側案内部材241、第2外周面側案内部材242が移動する構成とすることもできるし、缶体搬送経路の他方の脇に配置された第3外周面側案内部材243、第4外周面側案内部材244が移動する構成とすることもできる。なお、第1外周面側案内部材241〜第4外周面側案内部材244が移動する構成の場合は、直径が異なる複数種類の缶体10を搬送することができるようになる。