特許第6046954号(P6046954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6046954鍛造部品を修復するための固相システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046954
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】鍛造部品を修復するための固相システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20161212BHJP
   C23C 24/04 20060101ALI20161212BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161212BHJP
   B05B 7/16 20060101ALI20161212BHJP
   B23P 6/04 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F02C7/00 D
   C23C24/04
   F01D25/00 X
   B05B7/16
   B23P6/04
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-186122(P2012-186122)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2013-47514(P2013-47514A)
(43)【公開日】2013年3月7日
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】13/219,929
(32)【優先日】2011年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ローラント・クレテニー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・トーマス・カーター
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・アジェデルシュタイン
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0166020(US,A1)
【文献】 特開2007−47158(JP,A)
【文献】 特開2006−176882(JP,A)
【文献】 特開2006−161160(JP,A)
【文献】 特開2010−162602(JP,A)
【文献】 特開2011−122213(JP,A)
【文献】 特表2011−521787(JP,A)
【文献】 特開2011−80463(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0066770(US,A1)
【文献】 特表2007−516827(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0187525(US,A1)
【文献】 特表2008−542027(JP,A)
【文献】 特開2000−345313(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0166585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
B05B 7/16
B23P 6/04
C23C 24/04 − 24/08
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造部品(50)の修復システム(100)であって、当該システム(100)が、
修復のための鍛造部品を識別する識別サブシステム(110)と、
鍛造部品の一部分(52)を除去する除去サブシステム(120)と、
鍛造部品を復元するための復元サブシステム(130)であって、鍛造部品に非溶融材料を鍛造部品に添加するためのアセンブリを含む復元サブシステム(130)と
を備えており、前記アセンブリがパルスコールドスプレーアセンブリを含んでいて、パルスコールドスプレーアセンブリが、
高加圧ガスを導入するためのガス加熱器(232)と、
粉末を導入するための加熱ホッパ(240、241)と、
高加圧ガス及び粉末を鍛造部品に移送するためのノズル(246)と
を備える、システム(100)。
【請求項2】
前記ノズルが屈曲している、請求項記載のシステム。
【請求項3】
前記識別サブシステムが非破壊評価アセンブリを含む、請求項1又は請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記非破壊評価アセンブリが渦電流センサを含む、請求項記載のシステム。
【請求項5】
前記除去サブシステムが、フライス盤、研削盤、研磨放電加工アセンブリ、研磨電解加工アセンブリ、研磨電解放電加工アセンブリ及び研磨ウォータジェット機アセンブリからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
復元した鍛造部品に後処理を行うための後処理サブシステムを含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記後処理サブシステムが、ショットピーニングアセンブリ、熱間静水圧成形アセンブリ、熱処理アセンブリ、レーザショックピーニングアセンブリ、低塑性バニシ仕上げアセンブリ、制御塑性バニシ仕上げアセンブリ、摩擦攪拌処理アセンブリ、及び超音波アセンブリからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造部品の修復のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、鍛造部品を修復するための固相システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鍛造部品は、無数の様々な産業用途で使用される。鍛造部品の一例は、ガスタービンホイールである。鍛造部品のもう一つの例はロータである。繰返し使用により、ガスタービンホイール及びロータのような鍛造部品は、摩耗、損傷、亀裂、腐食その他の変化を受ける。
【0003】
ガスタービンホイール及びロータは多数の損傷モードを受け、早期又は計画的廃棄に至る。これら損傷モードを幾つか挙げると、機械加工ミス、腐食及び疲労亀裂がある。さらに、ガスタービンホイール及びロータは、設計慣行に従って適宜決定される寿命末期に供用から外される場合がある。鍛造部品を交換することが決まると、極めて高価な交換鍛造部品の購入につながる。ガスタービンホイール及びロータのような鍛造部品の交換費用は50万ドル以上になるおそれがある。さらに、かかる交換鍛造部品は直ちに利用することができない場合があり、交換は12〜18か月間の付随リードタイムを有することがある。このリードタイムは、サービス及び新規のユニット製造関連機関を含む関連する全ての当事者に対して多大な負担となる。
【0004】
鍛造部品の寿命を延ばす手法を策定することにより、有意なコスト節減がもたらされる。使用される鍛造部品を交換ではなく修復することによって、交換費用と修復費用の差だけ節約される。また、鍛造部品の寿命を延ばすことは、修復のためのリードタイムが交換に必要なリードタイムよりも大幅に少ないという点でサプライチェーンに対して所望の柔軟性をもたらす。結局、販売及びマーケティング部門は、これらの部門が顧客に対する販売の選択肢を増やすという点でこの手法から利益が得られる。
【0005】
殆どの従来の材料の堆積及び/又は添加プロセスは、鍛造部品で使用するには不適当である。溶射のような慣用プロセスは、過度のポロシティのような固有の欠陥を有する。基本的に、溶射は、コーティングを形成するためにスプレーされる粒子の融解又は部分的融解を必要とする。コーティングは、層状組織として段階的に形成される。
【0006】
溶射は、1〜25%のポロシティを有する可能性がある。ポロシティは、腐食、機械加工仕上げ、強度、マクロ硬度並びに摩耗特性に関してコーティングに有害となる恐れがある。他の従来プロセスは、鍛造品の厳しい機械的特性要件を満たしていない。溶融プロセスのようなさらに別の従来のプロセスは、基材の結晶粒及び強化相組織を変えるような過剰量の熱を鍛造部品の基材に与える。これにより、かかる構成部品の疲労寿命が大幅に低減される。プラズマ蒸着(PVD)及び化学蒸着(CVD)プロセスもまた、堆積制御及び速度に関しての固有限度がある。
【0007】
摩擦攪拌溶接(FSW)及び超音波スポット溶接(USW)のような従来の固相接合プロセスもまた適用可能ではない。FSWツールの途方もなく大きな寸法により鍛造部品の最も開いた領域にのみツールのアクセスが厳しく制限され、これを用いて例えばダブテールの底部のような鍛造部品の複雑で到達するのが困難な領域に材料を堆積させることはできない。さらに、FSW及びUSWは、2つの部品を一体的に接合するよう設計された技術である。特に、これらの何れも材料の肉盛りには適用することができない。FSW及びUSWは、摩擦を利用して2つの部品を一体的に接合するので、これらの技術を用いて遊離した材料(粉末など)を基材に強固に結合させることはできない。ロウ付け材料を用いたロウ付け及びコールドスプレーを含む他の試みも成功していない。
【発明の概要】
【0008】
以上の問題に鑑みれば、鍛造部品の修復及び/又は補修の改善されたシステム及び方法が当技術分野において望ましい。
【0009】
本発明の実施形態は、鍛造部品を修復するためのシステムを含む。本システムは、修復するための鍛造部品を識別する識別サブシステムと、鍛造部品の一部分を除去する除去サブシステムと、鍛造部品を復元する復元サブシステムと、を含む。復元サブシステムは、非溶融材料を鍛造部品に添加するためのアセンブリを含む。
【0010】
本発明の実施形態は、鍛造部品を修復するための方法を含む。本方法は、修復するための鍛造部品を識別するステップと、鍛造部品の一部分を除去するステップと、非溶融材料を添加することにより鍛造部品を復元するステップと、を含む。
【0011】
本発明の実施形態は、鍛造部品を修復するための方法を含む。本方法は、修復するための鍛造部品を識別するステップと、鍛造部品の一部分を除去するステップと、非溶融材料を添加することにより鍛造部品を修復するステップと、を含み、修復ステップは、コールドスプレーを行うステップと、修復鍛造部品に後処理を行うステップとを含む。
【0012】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態によって鍛造部品を修復するための固相システムの概略図。
図2】本発明の実施形態に係るコールドスプレーアセンブリの概略図。
図3】本発明の実施形態に係るパルスコールドスプレーアセンブリの概略図。
図4】本発明の実施形態に係る後処理サブシステムの概略図。
図5】本発明の実施形態に係る合金金属試料における深さ当たりの冷間加工量のパーセンテージを示すグラフ。
図6A】本発明の実施形態によって材料をコールドスプレーした後の合金金属試料のミクロ組織を示す図。
図6B】本発明の実施形態によって熱間静水圧成形の後処理ステップを行った後の図6(A)のミクロ組織を示す図。
図6C】本発明の実施形態によって後処理熱処理を行った後の図6(B)のミクロ組織を示す図。
図7A】本発明の実施形態によって張力によって破断された後にコールドスプレーによって形成された引張棒のミクロ組織を示す図。
図7B】本発明の実施形態によって張力によって破断された後にコールドスプレーによって形成された引張棒のミクロ組織を示す図。
図8】本発明の実施形態によって鍛造部品を補修するための処理ステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書には、本発明の実施形態及び態様をより良好に定義し、且つその製造の実施において当業者を導くために特定の定義及び方法を示している。特定の用語又は表現の定義が規定されていること、又は規定されていないことは、何らかの特定の重要性又は非重要性を示唆することを意味するものではなく、むしろ、特に断らない限り、用語は、関連技術における当業者による従来の用法に従って理解すべきである。
【0015】
本明細書で用いる技術用語及び科学用語は、別途定義しない限り、本発明の属する技術分野の技術者によって通常理解されている意味をもつ。本明細書において「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量又は重要性も意味するものではなく、ある構成要素を他の構成要素から区別するために用いる。単数形で記載したものであっても、数を限定するものではなく、そのものが少なくとも1つ存在することを意味するものであり、「前」、「後」、「下」及び/又は「上」の用語は、特記しない限り、記載上の便宜のために用いるものにすぎず、位置又は空間的配向を限定するものではない。
【0016】
数量に用いられる「約」という修飾語は、標記の数値を含み、文脈毎に決まる意味をもつ(例えば、特定の数量の測定に付随する誤差範囲を含む)。本明細書を通して、「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」などという場合、その実施形態に関して記載された特定の構成要素(特徴、構造及び/又は特性など)が、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味し、他の実施形態には存在していても、存在していなくてもよい。さらに、本発明の複数の特徴的構成要素は、様々な実施形態において適当に結合させることができる。
【0017】
摩耗、損傷、亀裂、腐食その他の変質を生じた鍛造部品の修復及び/又は修復は、取り囲む基材の材料を変えることなく近親の金属特性を回復させるような特定の処理ステップを必要とする。処理ステップは、修復の準備ができた特定の鍛造部品の識別、損傷を受けた又は単に摩耗した除去材料であるかかる識別鍛造部品からの材料の除去、周囲の材料を変えないようにした新規材料の堆積、及び任意選択的な添加材料の後処理を含む。
【0018】
図1を具体的に参照すると、修復システム100が示されている。修復システム100は、識別サブシステム110、材料除去サブシステム120、復元サブシステム130、及び任意選択的な後処理サブシステム150を含む。
【0019】
識別サブシステム110は、作業在庫内で鍛造部品50として図1に示すどの鍛造部品が修復及び/又は補修する準備が整ったか、又はその必要があるかを確認するための識別機能を実行する。「準備が整っている」とは、その作動寿命の長さに起因して、特定の鍛造部品が修復を行うようスケジューリングされていることを意味している。さらに、「準備が整っている」とはまた、修復の正当な理由となるのに十分な摩耗、腐食、摩滅などを顕示した特定の鍛造部品の目視検査を含むことができる。「必要がある」とは、特定の鍛造部品の検査により、該鍛造部品が補修を必要とする損傷(例えば亀裂)を顕示していることを意味している。
【0020】
識別サブシステム110は、多くの形態をとることができる。例えば、識別サブシステム110は、あらゆる特定の鍛造部品又はその一部分の状態を視覚的に記憶するために、1つ以上の静止画写真又はビデオカメラ又は同様のものを含むことができる。代替として、識別サブシステム110は、ルーペ又は光学顕微鏡を用いた検査、顕微鏡により後で分析されるレプリカを用いた検査、流体浸透検査(FPI)、渦電流、及び/又は超音波のような非破壊評価技術を含むことができる。
【0021】
特定の鍛造部品が、修復の準備が整っている又は修復の必要があるものとして識別サブシステム110によって又は標準的な修復スケジュールによって識別されると、該鍛造部品50は、材料除去サブシステム120に移送される。図1に示すように、鍛造部品50は、除去を必要とするものとして識別された材料の一部分52を有することができる。材料除去サブシステム120は、鍛造部品50からその一部分52を除去する役割を果たし、材料が取り除かれた鍛造部品50’を残す。
【0022】
材料除去サブシステム120は、多数の形態をとることができる。材料除去サブシステム120は、材料52を除去するための研削及び/又はフライス機器を含むことができる。除去処理において、例えば亀裂のような、基材50内で過剰な変形を与えることのないように、或いは不連続部を形成することのないように注意を払う必要がある。除去領域へのアクセスが困難である事例、又は除去材料に費やされる仕事量を最小限にすべき事例が存在することがある。かかる事例では、材料除去サブシステム120は、放電(EDM)又は電解加工(ECM)機器を含むことができる。かかる機器は、研削及び/又はフライス機器と組み合わせることができ、又はこの研削及び/又はフライス機器の代わりとすることができる。一実施形態では、材料除去サブシステム120は、材料52及びあらゆる改鋳層を同時に除去するのに使用する電動研削ホイールを有する電気化学研削(ECG)機器を含む。改鋳層は、従来のEDM処理後の後に残される薄層(約0.001〜0.002インチ厚み)である。EDM処理により、金属は実際に局所的に溶融して再固化し、(溶融中に空気に曝されることによって)多くの酸化物を含有する薄い改鋳層が後に残される。これは、何らかの良質な接合処理に有用でない表面状態である。
【0023】
ECG機器に加えて、又はECG機器の代わりに、材料除去サブシステム120は、材料52を除去するための研磨放電加工機、研磨電解加工機、及び/又は研磨ウォータジェット機を含むことができる。
【0024】
材料52が除去されると、材料が取り除かれた鍛造部品50’は、復元サブシステム130に移送することができる。復元サブシステム130は、鍛造部品50’上に固相材料復元を実行することができる機器を含む。固相材料の復元は、非溶融材料の添加を含む。さらに、固相材料の復元は、材料添加部位を囲む鍛造部品50’におけるあらゆる材料を溶融などの変質状態にすることはない。
【0025】
復元サブシステム130は、図2に示すようなコールドスプレーアセンブリを含むことができる。図2の復元サブシステム130では、加圧ガス132が、粉末供給装置134及びガス予熱器136に導入される。ガス予熱器136に流入した加圧ガスは、通常300〜800°Cの温度まで加熱される。次いで、加熱された加圧ガスは、粉末予熱チャンバ138に導入される。粉末供給装置134に流入した加圧ガス132は、粉末供給装置内部の粉末を取り込み、これを粉末予熱チャンバ138に搬送して、ここで加熱された加圧ガス132によって加熱される。典型的な金属粉末(アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タンタル、ニオブ、又は同様のものの合金のような純粋金属)は、直径が約50ミクロンである。加熱粉末は次に、縮小拡大ノズル140を介して移送され、材料が除去された状態の鍛造部品50’にて新規材料55として配向される。この新規材料55は非溶融材料である。このアセンブリにより、堆積される材料の高堆積速度、鍛造部品基材への低入熱、及び化学的性質の優れた制御が可能になる。これらの属性により、高密度で大部分が欠陥のない最終ミクロ組織がもたらされる。
【0026】
縮小拡大ノズル140及び高温ガス132を使用して、粉末粒子を超音速の速度まで加速させることにより、この粒子に対し大量の運動エネルギーが与えられる。このことにより、粒子及び鍛造部品基材50’間において、溶接、クラッディング、及び溶射のような従来の材料付添加法よりも低い温度で高い結合親和性が可能になる。
【0027】
代替として、復元サブシステム130は、図3に示すパルスコールドスプレーアセンブリのようなパルスコールドスプレーアセンブリを含むことができる。高加圧ガス132は、ガス加熱器232を介して復元サブシステム130に導入される。次いで、加熱ガスは、第1の弁234を通って駆動セクション236に伝送され、次いで第2の弁238を通って従動セクション244に伝送される。また、高圧ガス132もホッパ240からの粉末と共に粉末予熱器241に導入される。加熱された粉末−ガス混合物は、第3の弁242を通って従動セクション244に導入される。第2の弁238を通って従動セクション244に流入する高圧ガス132は、加熱粉末−ガス混合物が従動セクションに流入する場所から上流側で衝撃波245を形成する。衝撃波245は、加熱粉末を従動セクション244を通って、及びノズル246を通って新規材料55を形成する材料が取り除かれた状態の鍛造部品まで進ませるのを助ける。パルスコールドスプレーアセンブリにより、堆積される材料の高堆積速度、鍛造部品基材への低入熱、及び化学的性質の優れた制御が可能となる。これらの属性により、高密度で大部分が欠陥のない最終ミクロ組織がもたらされる。さらに、パルスコールドスプレーアセンブリは、屈曲ノズル246を使用して、加圧ガス132と加熱粉末との組合せにより修復のため構成部品の近づき難い領域に到達することができる。
【0028】
コールドスプレー技術を図示し且つ説明しているが、鍛造部品基材内に低熱を与えながら高品質の堆積を発生させる他の固相材料堆積技術を利用してもよい点は理解されたい。例えば、放電被覆処理(ESD;electro-spark deposition)、粉末マイクロ放電被覆処理(PMSD;powder-micro-spark deposition)、コールドメタルトランスファーその他の同様の技術を使用して、修復される鍛造部品の基材と化学組成が同一である材料を送給することができる。
【0029】
場合によっては、追加の材料を処理することが必要となる場合がある。従って、復元サブシステム130の後に、新規の修復鍛造部品を後処理サブシステム150に移送することができる。後処理サブシステム150は、新規添加材料55に塑性変形を与えるように構成されている。コールドスプレーによって堆積された新規の添加材料55は、ほぼ欠陥がない構造を有している。しかしながら、かかる新規の添加材料55は、細孔を有し、結合がないか、又は粒子間の不充分な結合を有している可能性がある。さらに、新規の添加材料55の当初の鍛造部品基材50’への結合は、本質的に金属結合によるものであるが、その結合力は、原子レベルで発生し、表面の凹凸及び/又は他の表面粗さ特徴による機械的結合に起因したものではなく、当初の鍛造部品基材50’と新規の添加材料55との間に連続的境界がある。この連続的境界部は、変更を必要とする構造内に脆弱性を伝播させる途切れのない一連の粒子境界を含む。
【0030】
従って、後処理サブシステム150は、新規の添加材料55に有意な量の塑性変形を与えるように構成される。好適な後処理サブシステム150の実施例は、ショットピーニングアセンブリ、熱間静水圧成形アセンブリ、熱処理アセンブリ、レーザショックピーニングアセンブリ、低塑性バニシ仕上げアセンブリ、制御塑性バニシ仕上げアセンブリ、摩擦攪拌処理アセンブリ、及び超音波アセンブリを含む。1つの例示的な実施形態は、低塑性バニシ仕上げを利用して、制御された方式で十分な塑性変形を与え、新規の添加材料内の空隙/細孔を十分な深さまで塞ぎ、新規の添加材料55と元の鍛造部品基材50’との間の原子レベルの結合を策定する。
【0031】
図4は、低塑性バニシ仕上げアセンブリを含む後処理サブシステム150を概略的に示している。低塑性バニシ仕上げ(LPB)は、オハイオ州シンシナチ市所在のLambda Technologiesにより開発された技術である。LPBアセンブリは、それを通して支持流体154が流れるチャネルを備えた流体軸受ツール152を含む。球体56が、液圧軸受により流体軸受ツール152に装着される。支持流体154は、その連続的な流れによって軸受を加圧するのに使用されるクーラントとすることができる。加圧軸受は、流体軸受ツール152の機械式軸受シート(点線で示す)に接触しないように球体156を支持する。法線方向の力FNが、流体軸受ツール152は、球体156を貫通し且つ鍛造部品の表面上に延びた流体軸受ツール152に加えられる。所定パターンで鍛造部品の表面に沿った球体156の横方向の動きMLは、法線方向の力FNと相まって新規の添加材料55の表面に沿った残留圧縮を導入できる。新規の添加材料55並びにその上で球体156が転動する鍛造部品の残りの表面は、後処理を行った後に圧縮状態のままにされる。
【0032】
次に、熱処理の後処理技術の一例について説明する。この熱処理に曝される材料は、高強度の耐食性ニッケルクロム材料であるInconel(登録商標)718合金である。当該技術分野において知られるように、材料のタイプ及び望ましい付加的要素などの要因は、後処理技術として最も効果的であるタイプの熱処理に直接的に影響を与える。溶体化アニール及び析出硬化法を使用してInconel(登録商標)718を硬化させる。溶体化アニールは、1700°F〜1850°Fの範囲内の温度で実施される。溶体化アニールの後に急冷(通常は水中で)を行い、さらに、約1325°Fの温度で8時間析出硬化を行う。これに続いて約1150°Fで炉冷され、この温度で18時間の全時効時間の間保持された後に空冷される。この熱処理法は、破壊寿命、ノッチ破壊寿命、及び破断延性の組み合わせが最大の懸念事項であるInconel(登録商標)718合金にとって有用である。
【0033】
或いは、溶体化アニールは、1900°F〜1950°Fの温度範囲で実施され、その後、急冷(通常は水中で)を行い、さらに約1400°Fで10時間析出硬化を行うことができる。次いで1200°Fまで炉冷され、この温度で20時間時効処理された後に空冷される。この熱処理法は、強化された横方向延性、衝撃強度、及び低温切欠引張強さをもたらすので、引張制限のある用途においては好ましい。
【0034】
図5は、ある範囲の処理条件における合金金属試料の深さ当たり冷間加工量のパーセンテージを示している。冷間加工量は、達成される永久塑性変形量に等しい。合金金属試料は、制御塑性バニシ仕上げを受けたInconel(登録商標)706合金である。その結果は、試験で得られた最大値に正規化されている。図示のように、試料は、測定される最大深さの約20%の深さで約65%〜100%の変形量を示した。
【0035】
図6(A)〜図6(C)は、修復プロセスの様々な段での合金金属試料のミクロ組織を示している。図6(A)は、材料のコールドスプレー後の鍛造部品の図を示している。図示のように、材料は、完全に固化しておらず、多数の空隙及び細孔が見えたままである。図6(B)は、熱間静水圧成形の後処理ステップの後の図6(A)の鍛造部品のミクロ組織を示している。図示のように、完全な固化がないことに起因して図6(A)において見えていた空隙及び/又は細孔は閉鎖されている。最後に、図6(C)は、付加的な後処理熱処理後の図6(B)の後処理された鍛造部品のミクロ組織を示している。図6(C)に示すミクロ組織は、その外観が新規に製造された鍛造部品のミクロ組織に類似しており、該鍛造部品のミクロ組織を構成している。
【0036】
図7(A)及び図7(B)は、引張力によって破断された後にコールドスプレーによって形成された引張棒のミクロ組織を示している。引張棒は、コールドスプレーによって形成された後、熱間静水圧成形の後処理を、次いで熱処理を受けた。形成及び後処理後、引張棒は、最終的には棒を破断させる張力を受けた。図7(A)は、破断点における引張棒の破断面(粗い)及び側面(滑らか)を示している。図7(B)は、より大きな倍率による、破断点における引張棒の延性のある(粗い破断)面を示している。かかる延性のある面の存在は、破断を生じさせるために大量のエネルギーが消費されたことを示している。
【0037】
ここで、図8に特に注目し且つより一般的に図1図4に注目して、鍛造部品を修復するプロセスについて説明する。ステップ300において、例えば識別サブシステム110によって鍛造部品内の欠陥を確認する。欠陥の識別は多くの形態をとることができる。例えば、欠陥識別は、1つ以上の静止カメラ又はビデオカメラなどを使用することにより実施して、あらゆる特定の鍛造部品又はその一部分の状態を視覚的に記憶させることができる。或いは、欠陥は、ルーペ又は光学顕微鏡を用いた検査、顕微鏡により後で分析されるレプリカを用いた検査、流体浸透検査(FPI)、渦電流、及び/又は超音波のような非破壊評価技術により識別することができる。
【0038】
次に、ステップ305において、欠陥は、例えば材料除去サブシステム120によって鍛造部品から除去される。欠陥の除去は、研削及び/又はフライス加工によって行うことができる。或いは、欠陥は、放電(EDM)又は電解加工(ECM)によって除去することができる。
【0039】
ステップ310において、付加的な非溶融材料を鍛造部品に添加して復元する。非溶融材料は、図2及び図3に関して説明した溶射アセンブリのような復元サブシステム130によって添加することができる。
【0040】
最後に、ステップ315において、鍛造部品は、後処理サブシステム150によって後処理される。好適な後処理技術の実施例は、ショットピーニング、熱間静水圧成形、熱処理、レーザショックピーニング、低塑性バニシ仕上げ、制御塑性バニシ仕上げ、摩擦攪拌処理、及び超音波を含む。
【0041】
限られた数の実施形態のみに関して本発明を詳細に説明してきたが、本発明はかかる開示された実施形態に限定されないことは理解されたい。むしろ、本発明は、上記で説明されていない多くの変形、改造、置換、又は均等な構成を組み込むように修正することができるが、これらは、本発明の技術的思想及び範囲に相応する。例えば、当初は単数を意味する用語で実施形態を説明してきたが、複数の構成部品を利用してもよい点は了解されたい。さらに、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明の態様は記載された実施形態の一部のみを含むことができる点を理解されたい。従って、本発明は、上述の説明によって限定されると見なすべきではなく、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0042】
50 鍛造部品
50’ 材料が取り除かれた鍛造部品
52 除去される材料
55 添加材料
100 修復システム
110 識別サブシステム
120 除去サブシステム
122 研削ホイール
130 復元サブシステム
132 加圧ガス
134 粉末供給装置
136 ガス予熱器
138 粉末予熱チャンバ
140 縮小拡大ノズル
150 後処理サブシステム
FN 法線方向の力
ML 横方向の動き
152 流体軸受ツール
154 支持流体
156 球体
232 ガス加熱器
234 第1の弁
236 駆動セクション
238 第2の弁
240 ホッパ
241 粉末予熱器
242 第3の弁
244 従動セクション
245 衝撃波伝播
246 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8