(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光量調整部と前記ロッドインテグレータとの間に配置された集光レンズを更に含み、前記光量調整部の前記反射面と前記ロッドインテグレータの光入射面とが前記集光レンズに対して共役な位置に配置されている
請求項6に記載の露光描画装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施形態に係る露光描画装置について添付図面を用いて詳細に説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、本実施形態では、表面にレジスト膜等の感材が形成されたフィルム、プリント配線基板及びフラットパネルディスプレイ用ガラス基板等の平板基板を被露光基板Cとして、被露光基板Cに対して露光描画を行う露光描画装置を例として説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る露光描画装置1の構成を示す斜視図である。なお、以下では、ステージ10が移動する方向をY方向と定め、このY方向に対して水平面で直交する方向をX方向と定め、Y方向に鉛直面で直交する方向をZ方向と定め、さらにZ軸を中心とする回転方向をθ方向と定める。
【0031】
図1に示すように、露光描画装置1は、被露光基板Cを固定するための平板状のステージ10を備えている。ステージ10の上面には、被露光基板Cが載置される領域に、空気を吸引する吸着孔を複数有する吸着機構(図示省略)が設けられている。当該吸着機構は、被露光基板Cがステージ10の上面に固定された際に、被露光面Cとステージ10との間の空気を吸着孔から吸引することにより被露光基板Cをステージ10の上面に真空吸着させて被露光基板Cをステージ10に吸着保持する。
【0032】
また、ステージ10は移動可能に構成されていて、ステージ10に固定された被露光基板Cは、ステージ10の移動に伴って露光位置まで移動し、露光部16から光ビームが照射されて被露光面に回路パターン等の画像が描画される。
【0033】
ステージ10は、卓状の基体11の上面に移動可能に設けられた平板状の基台12に支持されている。また、基台12とステージ10との間にモータ等により構成された移動駆動機構を有する移動機構部(図示せず)が設けられていて、ステージ10は、移動機構部により、ステージ10の厚さ方向(Z方向)に平行移動可能である。
【0034】
基体11の上面には、1本または複数本(本実施形態では、2本)のガイドレール14が設けられている。基台12は、ガードレール14上を移動可能に支持されていて、モータ等により構成されたステージ駆動部(後述するステージ駆動部46)により移動する。そして、ステージ10は、この移動可能な基台12の上面に支持されることにより、ガイドレール14に沿って移動する。
【0035】
基体11の上面には、ガイドレール14を跨ぐように門型のゲート15が立設されており、このゲート15には、露光部16が取り付けられている。露光部16は、複数の露光ヘッド16aを有し、ステージ10の移動経路上に固定配置されている。本実施形態では、露光部16は、2行8列のマトリックス状に配列された16個の露光ヘッド16aを有する。露光部16には、光源ユニット17から引き出された光ファイバ18と、画像処理ユニット19から引き出された信号ケーブル20とがそれぞれ接続されている。
【0036】
また、基体11の上面には、ガイドレール14を跨ぐように、門型のゲート22が設けられている。ゲート22には、ステージ10に載置された被露光基板Cのアライメントマークを撮影するための1個または複数個(本実施形態では、2個)の撮像部23が取り付けられている。撮影部23は、1回の発光時間が極めて短いストロボを内蔵したCCDカメラ等である。撮影部23の各々は、ステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)に移動可能に設置されている。露光描画装置1は、被露光基板Cに描画パターンを描画する際、撮影部23により撮影されたアライメントマークの位置を計測し、計測したアライメントマークの位置に基づいて描画位置を調整する。
【0037】
図2は、本実施形態に係る露光描画装置1における露光描画時の状態を示す要部の概略の斜視図である。なお、
図2においては、理解を容易にするために、露光部16に設けられた一部の露光ヘッド16aのみが示されている。
【0038】
露光ヘッド16aによる露光エリアR1は、例えば露光ヘッド16aの走査方向(ステージ10の移動方向であるY方向)を短辺とする矩形状に形成される。被露光基板Cには、そのステージ10のY方向の移動に伴って露光ヘッド16a毎に帯状の露光済みエリアR2が形成される。
【0039】
また、
図2に示すように、X方向に配列された露光ヘッド16aの各々は、Y方向において隣接する露光ヘッド16aの各々とX方向における位置がずれるように配置されている。これにより、例えばX方向において互いに隣接する露光ヘッド16aでは露光できない領域は、Y方向において隣接する露光ヘッド16aによって露光される。
【0040】
図3は、本実施形態に係る露光描画装置1における露光描画時の状態を示す要部の斜視図である。
図3に示すように、ステージ10の端部には、スリット板24が設けられている。スリット板24は、その上面がステージ10の上面と同一面内に延在するように設けられている。スリット板24は、ステージ10の幅(X方向の長さ)と等しい長さを持つ矩形長板状の石英ガラス板と、この石英ガラス板を被覆する薄いクロム膜(クロムマスク、エマルジョンマスク)からなる遮光膜と、遮光膜を部分的に除去することにより形成された複数の検出用スリット25と、を含んで構成されている。検出用スリット25は、露光ヘッド16aから出射された光ビームをスリット板24の下面側(被露光基板Cが載置される側と反対側の面)に透過させる。
【0041】
検出用スリット25は、2本の線分がX軸方向に向かって開くように直交する鉤型の形状を有している。検出用スリット25は、例えば、遮光膜上にレジストマスクを形成した後、このレジストマスクに検出用スリット25のパターンに対応したパターニングを施し、レジストマスクの開口部において露出した遮光膜をエッチングにより除去することにより形成される。なお、スリット板24の基材として石英ガラスを用いることにより温度変化による変形を小さくすることができる。また、遮光膜として薄いクロム膜を利用することにより、高精度に光ビームの露光位置を検出することができる。
【0042】
また、スリット板24の下面には、検査用スリット25の各々に対応する複数のフォトセンサ26が設けられている。露光ヘッド16aから出射され検査用スリット25を通過した光ビームはフォトセンサ26に照射される。フォトセンサ26は、検査用スリット25を透過した光ビームを検出すると検知信号を出力する。露光ヘッド16aから出射された光ビームの照射位置は、フォトセンサ26の検知信号により検出することができる。
【0043】
本実施形態に係る露光描画装置1は、被露光基板Cの被露光面に照射される光ビームの照射位置をフォトセンサ26を用いて画素毎に検出し、検出された光ビームの照射位置から被露光面に描画される実際の描画パターンの設計描画パターンに対する歪み量を導出し、導出した歪み量に基づいて設計描画パターンを補正することにより、光ビームの照射位置を補正する照射位置補正機能を有している。
【0044】
各露光ヘッド16aは、反射型の空間光変調素子としての後述するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)27を有し、画像処理ユニット19から入力される画像データに基づいてDMD27を制御して光源ユニット17からの光ビームを空間変調し、空間変調された光ビームを被露光基板Cに照射する。これにより、被露光基板Cに当該画像データに応じた画像の露光描画が行われる。
【0045】
図4は、露光ヘッド16aの構成を示す光路に沿った断面図である。なお、
図4においてステージ10、光源ユニット17、露光描画装置1の制御系の構成要素が露光ヘッド16aとともに示されている。
【0046】
光源ユニット17は、レーザ光源30とレーザ駆動部41とを含んで構成されている。レーザ駆動部41は、システム制御部40から供給される制御信号に応じた大きさの駆動電流を生成し、これをレーザ光源30に供給する。レーザ光源30は、例えば半導体レーザによって構成され、レーザ駆動部41から供給される駆動電流に応じた光量(強度)のレーザ光を出射する。レーザ光源30から出射されたレーザ光は、光ファイバ18によって光源ユニット17の外部に導出される。レーザ光源30から出射されたレーザ光は、導光路としての光ファイバ18内において反射を繰り返し、光ファイバ18の出射端部からランダム偏光となって出射される。光ファイバ18から出射されたレーザ光は、露光ヘッド16a内に導入され、後述する光量調整部50の光反射面に照射される。なお、光ファイバ18によってレーザ光をランダム偏光とすることで、後述する光量調整部50の反射面における反射率のばらつきを抑えることができる。
【0047】
露光ヘッド16aは、光量調整部50、集光レンズ70、ロッドインテグレータ31、第1のレンズ系32、反射鏡33、DMD27、第2のレンズ系34、フォーカシング機構35を含んで構成されている。
【0048】
光量調整部50は、互いに反射率の異なる2つの反射面(
図5に示す第1の反射面52と第2の反射面53)を有し、光ファイバ18の出射端部から出射される光ビームを、いずれかの反射面において反射させ、当該反射面における反射率に応じた光量の光ビーム(反射光)を出射する。光量調整部50は、この2つの反射面のいずれか一方を選択的に光路中に配置することにより、露光ヘッド16aから出射される光ビームの光量を変化させる。なお、光量調整部50は、光ファイバ18から供給される光ビームの入射方向とは異なる方向に反射光を出射するように、反射面の向きがレーザ光の入射方向に対して傾けられて配置されている。
【0049】
図5は、本実施形態に係る光量調整部50の反射面側から眺めた平面図である。光量調整部50は、例えばガラス等の光透過性部材からなる矩形形状の基材51を含んでいる。基材51の主面上には互いに反射率の異なる第1の反射面52と第2の反射面53とが並置された状態で設けられている。
【0050】
第1の反射面52は、基材51の主面をアルミニウムやAgなどからなる高反射率部材54で被覆することにより形成される。これにより、第1の反射面52は、比較的高い反射率(例えば95%以上)を有することになり、第1の反射面52で反射された光ビームは、殆ど減衰されることなくロッドインテグレータ31に導入される。なお、高反射率部材54として、誘電体多層膜を用いることとしてもよい。誘電体多層膜は、入射する光の1/4波長に相当する厚みを有する屈折率が比較的高い誘電体膜と屈折率が比較的低い誘電体膜とを交互に積層したものである。このような誘電体多層膜を高反射率部材54に用いることにより第1の反射面52においてより高い反射率を得ることができる。
【0051】
第2の反射面53は、基材51の主面にコーティングを施していないノンコート面で構成されている。これにより、第2の反射面53は、第1の反射面52よりも低い反射率を有することになる。本実施形態において、基材51として屈折率1.5程度の石英ガラスが使用されており、第2の反射面53に入射した入射光の4%程度が反射光としてロッドインテグレータ31に導入され、残りの96%が基材51を透過する。このように、第2の反射面53を基材51のノンコート面(すなわちガラス面)で構成することにより、第2の反射面における反射率(反射光の入射光に対する相対強度)は、下記の式(1)および(2)に示されるように、基材51の屈折率、光の入射角度、入射光の偏光状態のみに依存することとなる。これにより、入射光を大きく減衰させて極めて低い光量の光を取り出す場合において、透過型のアッテネータよりも光量のばらつきを大幅に小さくすることができる。例えば、第2の反射面53にランダム偏光を照射した場合には、反射光の強度ばらつきを±5%程度に抑えることができる。なお、下記の式(1)および(2)においてrsは、s偏光成分に対する反射率、rpは、p偏光成分に対する反射率、θ
iは第2の反射面53に対する光の入射角、θ
tは基材51を透過する光の屈折角である。
【0052】
rs={sin(θ
i−θ
t)/sin(θ
i+θ
t)}
2 ・・・(1)
rp={tan(θ
i−θ
t)/tan(θ
i+θ
t)}
2 ・・・(2)
図4に示す光吸収部80は、例えば、黒色に表面処理された金属からなり、第2の反射面53を透過した光ビームを吸収して熱に変換する。これにより、第2の反射面53を透過した光ビームが迷光となることを防止することができる。なお、光吸収部80が発する熱が露光系に影響を与えることのない位置に配置されることが好ましい。
【0053】
また、光量調整部50には反射面駆動部60が設けられている。反射面駆動部60は、システム制御信号40から供給される制御信号に応じて基材51を
図5の矢印で示される方向(第1の反射面52と第2の反射面53が並ぶ方向)に沿って移動させることにより、第1の反射面52および第2の反射面53のいずれか一方を光路上に配置する。すなわち、光ファイバ18から出射された光ビームは、第1の反射面52および第2の反射面53のいずれか一方で反射されて後段のロッドインテグレータ31に導入される。
【0054】
集光レンズ70は、光量調整部50の第1の反射面52または第2の反射面53において反射された光ビームをロッドインテグレータ31に集光するためのレンズである。光路上に配置された光量調整部50の第1の反射面52または第2の反射面53と、ロッドインテグレータ31の光入射面とが集光レンズ70に対して共役な位置関係となるように配置されている。これにより、第1の反射面52および第2の反射面53に対する光ビームの入射角度が多少変動したとしても、反射光をロッドインテグレータ31に導入することができる。
【0055】
ロッドインテグレータ31は、例えば四角柱状に形成された透光性ロッドである。ロッドインテグレータ31に入射した光ビームは、透光性ロッドの内部を全反射しながら進行する。これにより、光ビーム断面における照度分布が均一化される。なお、均一な照度分布を得るための光学部材としてロッドインテグレータに代えてフライアイレンズを用いることとしてもよい。ロッドインテグレータ31により照度分布が均一化された光ビームは、第1のレンズ系32に入射する。
【0056】
第1のレンズ系32は、入射した光ビームを平行光化する1対のレンズからなる組合せレンズ32a、平行光化された光ビームの光量分布が均一になるように補正する1対のレンズからなる組合せレンズ32b、及び光量分布が補正された光ビームを反射鏡33上に集光する集光レンズ32cで構成されている。なお、組合せレンズ32bは、レーザ出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げ且つ光軸から離れた部分は光束を縮め、且つこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザ光を補正する。
【0057】
第1のレンズ系32から出射された光ビームは、反射鏡33で反射されてDMD27に照射される。
【0058】
図6は、本実施形態に係るDMD27の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、DMD27は、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラー(マイクロミラー)29が格子状に配列されたミラーデバイスとして構成されている。矩形状のマイクロミラー29の各々は、描画パターンを示す画像データを一時的に記憶するシリコンゲートのCMOS等からなるSRAMセル(メモリセル)28上にヒンジ及びヨーク(図示省略)を含む支柱により支持されている。マイクロミラー29の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されていて光反射面を形成している。マイクロミラー29の各々によって反射された光ビームによって描画パターンの各画素が構成される。
【0059】
DMD27のSRAMセル28には、描画パターンの画像データに基づいて生成された、各マイクロミラー29のオン状態またはオフ状態を示すデジタル信号が書き込まれる。オン状態とされたマイクロミラー29は、一方の角部がSRAMセル上のランディングパッドに接触するまで対角線を回転軸として反射面が傾けられる。一方、オフ状態とされたマイクロミラー29は、上記一方の角部に対向する角部が他方のランディングパッドに接触するまで対角線を回転軸として反射面が傾けられる。
【0060】
このように描画パターンの画像データにおける各画素に対応するように各々のマイクロミラー29の傾きを制御することによって、DMD27に入射した光ビームは、マイクロミラー29の傾きに応じた方向に反射されて描画パターンの露光描画が行われる。
【0061】
マイクロミラー29のオン/オフ制御は、DMD27に接続された画像処理ユニット19によって行われる。オン状態のマイクロミラー29により反射された光は露光状態に変調され、DMD27の光出射側に設けられた第2のレンズ系34に入射する。またオフ状態のマイクロミラー29により反射された光は非露光状態に変調され、光吸収体(図示省略)に入射する。
【0062】
第2のレンズ系34は、DMD27の光反射側に配置され、オン状態とされたマイクロミラー29で反射された光ビームを被露光基板Cの被露光面上に結像する一対のレンズ34aおよび34bを有している。レンズ34aとレンズ34bは、DMD27の反射面と被露光基板Cの被露光面とが共役な関係となるように配置されている。本実施形態では、DMD27によって形成された描画パターンは、レンズ34aおよびレンズ34bによって約5倍に拡大され、被露光基板Cの被露光面上に結像されるように設定されている。
【0063】
第2のレンズ系34の出射側には、第2のレンズ系34から出射された光ビームの焦点を被露光基板Cの被露光面に結像させるフォーカシング機構35が設けられている。フォーカシング機構35は、一対のペア楔ガラス35a、35bを備えている。フォーカシング機構35において、システム制御部40からの制御信号に応じてアクチュエータ(図示省略)が作動し、アクチュエータによってペア楔ガラス35aがペア楔ガラス35bに対してペア楔ガラス35bの傾面に沿った方向に移動することで光路長が変更され、光ビームのフォーカス位置が変更される。
【0064】
ここで、露光ヘッド16aの説明と併せて、本実施形態に係る露光描画装置1の電気系統について説明する。
【0065】
図7は、本実施形態に係る露光描画装置1の電気系統を示す構成図である。
図4及び
図7に示すように、露光描画装置1には、装置各部にそれぞれ電気的に接続されるシステム制御部40が設けられている。システム制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)を備え、露光描画装置1の各部を統括的に制御する。
【0066】
レーザ駆動部41は、システム制御部40から供給される制御信号によって示される大きさの駆動電流を生成し、これをレーザ光源30に供給する。レーザ光源30から出射されるレーザ光の光量(エネルギー)は、レーザ駆動部41から供給される駆動電流に応じて変化する。
【0067】
光量調整部50の反射面駆動部60は、システム制御部40から供給される制御信号に応じて第1の反射面52および第2の反射面53のいずれか一方を光路中に配置することによりロッドインテグレータ31に導入する光ビームの光量を調整する。すなわち、第1の反射面52が光路上に配置された場合には、レーザ光源30から出射された光ビームは、殆ど減衰されることなくロッドインテグレータ31に導入される。一方、第2の反射面53が光路上に配置された場合には、レーザ光源30から出射された光ビームの一部のみが(本実施形態では約4%)、ロッドインテグレータ31に導入される。
【0068】
ステージ駆動部46は、システム制御部40から供給される制御信号によって示される移動速度でステージ10をY方向(走査方向)に移動させる。
【0069】
システム制御部40は、露光描画の際に、描画パターンの画像データに対応したデジタル信号を生成して、生成したデジタル信号を画像処理ユニット19に送信する。画像処理ユニット19は、受信したデジタル信号に基づいて各露光ヘッド16aのDMD27のマイクロミラー29を駆動するための駆動信号を生成して、これをDMD27に供給する。システム制御部40がステージ駆動部46に供給する制御信号と画像処理ユニット19に供給する制御信号とを同期させることにより、ステージ10の移動とマイクロミラー29の駆動とが連動した走査露光が行われる。
【0070】
露光描画装置1は、DMD27の温度を検出する温度検出部43を備えている。温度検出部43は、DMD27に接続されたサーミスタ等の温度センサ43aを有しており、この温度センサ43aによって検出された温度を示す温度情報をシステム制御部40に送信する。
【0071】
また、露光描画装置1は、DMD27の温度を調整する温度調整部44を備えている。また、DMD27には、ペルチェ素子等の熱電素子45が設けられている。温度調整部44は、システム制御部40のから供給される制御信号に基づいて熱電素子45によるDMD27の冷却や加熱を制御することによりDMD27の温度を調整する。
【0072】
フォトセンサ26は、スリット板24に設けられた検出用スリット25を介して露光ヘッド16aから出射された光ビームを検出すると、検知信号を生成してこれをシステム制御部40に供給する。システム制御部40は、フォトセンサ26からの検知信号に基づいて露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置を特定する。なお、光ビームの照射位置の特定方法については後述する。
【0073】
入力部47は、操作者が被露光基板Cの基板サイズ、露光対象となるレジストフィルム等の感材の光感度、露光描画する描画パターンを指定するための識別番号などを入力するためのユーザインターフェースであり、キーボードやタッチパネルなどにより構成される。操作者は入力部47を操作することにより上記したような露光描画装置1が露光描画を行う際の処理条件を入力することができる。システム制御部40は、入力部47を介して通知された露光対象である感材の光感度に適合するように、レーザ駆動部41、反射面駆動部60に制御信号を供給して被露光基板Cに照射される光の量(強度)を制御しつつ、ステージ駆動部46に制御信号を供給して走査露光時におけるステージ10の移動速度を制御する。
【0074】
表示部48は、露光描画装置1が露光描画を行う際の処理条件等を操作者が入力するための初期情報入力画面等を表示するためのディスプレイであり、液晶表示デバイスなどを含んで構成されている。
【0075】
撮影部駆動機構49は、システム制御部40からの制御信号に基づいて複数の撮影部23の各々をステージ10の移動方向(Y方向)に対して垂直な方向(X方向)に移動させて撮影部23における撮影位置の位置決めを行う。
【0076】
上述したように、本実施形態に係る露光描画装置1では、被露光面に照射される光ビームの照射位置をフォトセンサ26を用いて画素毎に検出し、検出された照射位置から実際に被露光面に描画される描画パターンの設計描画パターンに対する歪み量を導出し、導出した歪み量に基づいて設計描画パターンを補正する。
【0077】
ここで、本実施形態に係る露光描画装置1において、露光描画を行うドライフィルムレジストの光感度は10〜100mJ/cm
2程度であり、仮に50mJ/cm
2で露光する場合において、走査速度(ステージ10の移動速度)を25mm/secとして、露光幅70mmに1024×512画素を使用した場合、1画素当たりの光量は約1.6μWとなる。1画素分の光量がこの光量であれば、フォトセンサ26を用いて1画素の位置検出が可能である。
【0078】
しかし、感光材料として銀塩感材のような超高感度感材を露光対象にした場合には、感光材料の光感度に適合するように照射する光ビームの光量を小さくする必要がある。しかしながら、この光ビームをそのまま用いて照射位置補正を実施しようとしても、光ビームの光量が足りないために、フォトセンサ26から十分な大きさの検知信号が得られず検知信号のS/Nが低下する。その結果、光ビームの照射位置の検出精度が低下し、照射位置補正を適切に実施することができなくなる。
【0079】
例えば、光感度0.1mJ/cm
2の超高感度感材を露光対象とする場合、1画素当たりの光量は約3.3nWとなる。このような極低光量の光ビームの照射位置をフォトセンサ26用いて検出しようとしてもフォトセンサ26からは十分な大きさの検知信号を得るとはできない。
【0080】
そこで、本実施形態に係る露光描画装置1では、光量調整部50における反射率、レーザ光源30の出力およびステージ10の移動速度を制御することによって被露光基板Cに対して露光描画を行う場合と、光ビームの照射位置補正を行う場合のそれぞれにおいて光ビームの光量(露光量)を最適化する。
【0081】
以下に、本実施形態に係る露光描画装置1の作用について説明する。
【0082】
図8は、システム制御部40によって実行される露光制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはシステム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。システム制御部40は、例えば露光描画装置1の電源が投入されたタイミングで、当該露光制御処理プログラムを実行する。
【0083】
ステップS101において、システム制御部40は、所定の初期情報入力画面を表示部48に表示させる。これにより表示部48には、露光描画の実行または照射位置補正の実行のいずれかの選択を操作者に促すメッセージが表示される。操作者はかかるメッセージに従って入力部47を操作することにより露光描画の実行または照射位置補正の実行を選択する。また、操作者によって露光描画の実行が指示された場合には、表示部48には被露光基板Cの処理数、露光対象となる感材の光感度などの入力を促すメッセージが表示される。操作者はかかるメッセージに従って入力部47を操作することにより被露光基板Cの処理数や感材の光感度などを入力する。
【0084】
ステップS102において、システム制御部40は、初期情報入力画面のメッセージに従って操作者が入力部47から入力した選択結果に基づいて、照射位置補正を実行するか否かを判断する。システム制御部40は、操作者が入力部47を介して照射位置補正の実行を選択した場合には処理をステップS107に移行させる一方、露光描画の実行を指示した場合には処理をステップS103に移行させる。
【0085】
ステップS103においてシステム制御部40は、操作者が入力部47から入力した露光対象となる感材の光感度に基づいてステージ10の移動速度を導出し、導出した移動速度の大きさを示す制御信号をステージ駆動部46に供給する。かかる制御信号を受信したステージ駆動部46は、当該制御信号によって示される移動速度でステージ10をY方向に移動させる。
【0086】
ステップS104においてシステム制御部40は、操作者が入力部47から入力した露光対象となる感材の光感度に基づいて、第1の反射面52または第2の反射面53を選択し、選択した反射面を光路上に配置するべく反射面駆動部60に制御信号を供給する。反射面駆動部60は、この制御信号に基づいて基材51をスライドさせて第1の反射面52または第2の反射面53を光路上に配置する。システム制御部40は、例えば操作者が入力部47から入力した感材の光感度が、所定値(例えば0.5mJ/cm
2)以上である場合には、反射率の高い第1の反射面52を光路上に配置し、上記の所定値未満の場合には、反射率の低い第2の反射面53を光路上に配置するべく制御する。
【0087】
ステップS105においてシステム制御部40は、操作者が入力部47から入力した露光対象となる感材の光感度に基づいて、レーザ光源30に供給すべき駆動電流の大きさを導出し、導出した駆動電流の大きさを示す制御信号をレーザ駆動部41に供給する。かかる制御信号を受信したレーザ駆動部41は、当該制御信号によって示される大きさの駆動電流をレーザ光源30に供給する。
【0088】
このように、本実施形態に係る露光描画装置1では、操作者が入力部47から入力した露光対象となる感材の光感度に基づいて、光量調整部50における反射率、レーザ光源30から出射されるレーザ光の強度、走査露光時におけるステージ10の移動速度が設定される。
【0089】
本実施形態に係る露光描画装置1では、反射率が略100%の第1の反射面52が光路上に配置された場合には最大で50mJ/cm
2の光量で露光を行うことができる。また、レーザ光源30に供給する駆動電流によってレーザ光源30から出射されるレーザ光の光量を10%〜100%の範囲で調整することが可能となっている。従って、駆動電流の調整によって露光時の光量を5mJ/cm
2〜50mJ/cm
2の範囲で調整することができる。さらに、走査露光時におけるステージ10の移動速度を1倍(標準速度)〜10倍の範囲で調整することが可能となっている。従って、レーザ光源30の光量の調整と併せてステージ10の移動速度を調整することによって露光時の光量を0.5mJ/cm
2〜50mJ/cm
2の範囲で調整することができる。
【0090】
一方、反射率が約4%の第2の反射面53が光路上に配置された場合には、最大露光量が2mJ/cm
2となり、レーザ光源30の光量の調整と、ステージ10の移動速度の調整で、露光時の光量を0.02mJ/cm
2〜2mJ/cm
2の範囲で調整することができる。このように、本実施形態の露光描画装置1では、光量調整部50における反射率、レーザ光源30から出射されるレーザ光の強度、走査露光時におけるステージ10の移動速度を調整することにより、露光時の光量を0.02mJ/cm
2〜50mJ/cm
2の範囲で調整することが可能である。
【0091】
システム制御部40は、上記したステップS103〜S105の処理において、露光対象となる感材の光感度に適合する露光量となるように光量調整部50における反射率、レーザ光の光量(強度)、ステージ10の移動速度を設定する。このとき、システム制御部40は、生産性向上の観点からステージ10の移動速度が最も速くなるように上記の3つのパラメータの設定を導出することとしてもよい。システム制御部40が上記3つのパラメータの設定を導出する際、露光対象となる感材の光感度と、上記3つのパラメータの設定を対応付けた参照テーブルを用いることとしてもよい。この場合、上記参照テーブルは、システム制御部40内にROMに予め記憶される。
【0092】
上記のステップS103〜S105において、システム制御部40からステージ駆動部46、光量調整部50、レーザ駆動部41に制御信号が供給されると、当該制御信号に応じた条件でステージ10に載置された被露光基板Cに対する露光描画が開始される。
【0093】
レーザ光源30は、レーザ駆動部41から上記ステップS105において設定された駆動電流の供給を受けてレーザ光を出射する。レーザ光源30から出射されたレーザ光は、導光路としての光ファイバ18を通過する間にランダム偏光となって光量調整部50に入射する。光量調整部50に入射した光ビームは、上記ステップS104において選択された第1の反射面52または第2の反射面53で反射され、反射光がロッドインテグレータ31に導入される。光ビームはロッドインテグレータ31内で照度分布が均一となるように調整された調整光としてロッドインテグレータ31から出射され、第1の光学系32および反射鏡33を経てDMD27に照射される。
【0094】
露光描画装置1では、露光描画を行う際、描画パターンを示す画像データが、画像処理ユニット19に入力されて画像処理ユニット19内のメモリに一旦記憶される。この画像データは、描画パターンを構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0095】
ステージ駆動部46は、被露光基板Cが載置されたステージ10を上記のステップS103において設定された移動速度でY方向に移動させる。ステージ10が露光位置まで移動すると、画像処理ユニット19は、画像処理ユニット19内のメモリに記憶された画像データを複数ライン分ずつ順次読み出し、各露光ヘッド16a毎にデジタル信号を生成する。各露光ヘッド16aのDMD27のマイクロミラー29は、このデジタル信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。
【0096】
DMD27におけるオン状態となっているマイクロミラー29において反射した光ビームは、描画パターンに対応したパターン光としてDMD27から出力され、第2のレンズ系34およびフォーカシング機構35を経て被露光基板Cの被露光面に結像される。
【0097】
被露光基板Cがステージ10の移動に伴って一定速度で移動することにより、被露光基板Cにおいて各露光ヘッド16a毎に帯状の露光済みエリアR2が形成される。このようにして、本実施形態に係る露光描画装置1によって被露光基板Cに対する露光描画が行われる。ステップS106において、システム制御部40は、操作者が入力部47を介して入力した処理数の被露光基板Cに対して露光描画が完了したか否かを判定し、終了したと判定すると本ルーチンは終了する。
【0098】
一方、システム制御部40がステップS102において照射位置補正を実行すると判断して、処理をステップS107に移行すると、このステップS107においてシステム制御部40は、露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置補正処理を実行する。
図9は、本実施形態に係る照射位置補正処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。このプログラムは、システム制御部40に備えられたROMの所定領域に予め記憶されている。
【0099】
ステップS201においてシステム制御部40は、露光ヘッド16aの直下にスリット板24を位置させるべくステージ駆動部46に制御信号を供給する。
【0100】
ステップS202においてシステム制御部40は、光路上に高反射率の第1の反射面52を配置するべく光量調整部50の反射面駆動部60に制御信号を供給する。
【0101】
ステップS203においてシステム制御部40は、レーザ光源30から出射されるレーザ光の光量(強度)が最大となるようにレーザ駆動部41に制御信号を供給する。
【0102】
このように、露光ヘッド106aから出射される光ビームの照射位置補正処理において、高反射率の第1の反射面52が光路上に配置され、レーザ光源30からのレーザ光の光量(強度)が最大となるように設定される。これにより、フォトセンサ26から出力される検知信号の信号レベルを高めることができS/Nが向上し、光ビームの照射位置の検出精度が向上する。
【0103】
ステップS204において、システム制御部40は、照射位置補正を行うための被測定画素を決定するとともに、当該被測定画素に対応する光ビームの被露光面における基準照射位置を記憶する。なお基準照射位置とは、ディストーションの影響がないとした場合における当該被測定画素に対応する被露光面における光ビームの理想的な照射位置をいう。被測定画素を決定する際には、各露光ヘッド16aによる露光領域において例えば角部の画素から順次選択されるように決定すると良い。
【0104】
ステップS205において、システム制御部40は、ステップS204において決定した被測定画素に基づいて生成した位置補正用の画像データを、画像処理ユニット19に入力することによってDMD27を駆動する。なお、この画像データは、位置補正用の画像データであり、各画素の濃度を2値(被測定画素をドット有、それ以外の画素をドット無)で表したデータである。画像処理ユニット19は、入力された画像データを複数ライン分ずつ順次読み出し、各露光ヘッド16a毎にデジタル信号を生成する。各露光ヘッド16aのDMD27のマイクロミラー29は、このデジタル信号に応じてオン状態またはオフ状態となる。
【0105】
ステップS206において、システム制御部40は、温度検出部43の出力信号を受信することによってDMD27の温度を取得する。
【0106】
ステップS207において、システム制御部40は、ステップS206において取得した温度が予め定められた範囲内であるか否かを判定する。当該予め定められた範囲は、露光描画を行う場合と位置補正を行う場合とで、DMD27の温度差が±0.5℃以下となることが好ましいため、露光描画時のDMD27の温度に対して−0.5℃以上0.5℃以下となるように設定されると良い。なお、露光描画時のDMD27の温度は、露光描画が行われている間に任意のタイミングで複数回検出して、検出した温度の平均値を予め記憶しておくと良い。
【0107】
ステップS207においてDMD27の温度が予め定められた範囲外であると判定された場合は、ステップS208において、システム制御部40は、DMD27の温度が上記予め定められた範囲となるように温度調整部44に調整させ、処理をステップS206に戻す。
【0108】
上記ステップS206乃至S208の処理は、露光描画を行う場合と照射位置補正を行う場合とで光ビームの光量を変更することに伴う熱的な影響を抑えるための処理であり、これらの処理によって照射位置補正時におけるDMD27の温度が露光描画時におけるDMD27の温度と略同一の温度に調整される。
【0109】
ステップS207においてDMD27の温度が予め定められた範囲内であると判定された場合は、ステップS209において、システム制御部40は、被測定画素に対応する光ビームの被露光面における実際の照射位置を取得する。この際、システム制御部40は、複数のフォトセンサ26の各々から出力される検知信号を受信し、受信した検知信号から、被測定画素に対応する光ビームの被露光面における照射位置を取得する。
【0110】
ここで、本実施形態に係る露光描画装置1において、検出用スリット25を利用して被測定画素に対応する光ビームの被露光面における照射位置を検出する方法について説明する。
【0111】
本実施形態に係る露光描画装置1においては、被測定画素Z1に対応するマイクロミラー29をオン状態としたときの被露光面上に照射された光ビームの照射位置を、検出用スリット25を利用して検出する。
【0112】
図10(A)は、本実施形態に係る露光描画装置1において、被測定画素の位置を検出する方法を説明するための図であり、
図10(B)は、本実施形態に係る露光描画装置1において、被測定画素に対するフォトセンサ26の検知信号を
図10(A)に対応させて示した図である。
【0113】
システム制御部40は、
図10(A)に実線で示すように、検出用スリット25が露光エリアR1上の所要位置(例えば原点とすべき位置)となるようにステージ10をY方向に移動させる。このとき、システム制御部40は、鉤型の検出用スリット25における2つの直線部分(ここでは、第1直線部25Aと第2直線部25Bとする。)との交点を(X0,Y0)とし、この座標を一時的に記憶する。
【0114】
次に、
図10(A)に示すように、システム制御部40は、ステージ10をY方向に移動させることにより、検出用スリット25をY方向(正面視右方)へ移動させる。そして、システム制御部40は、正面視右方の二点鎖線で示した位置、すなわち、
図10(B)に示すように、被測定画素Z1に対応する光ビームが第1直線部25Aを透過してフォトセンサ26で検出された位置でステージ10を停止させる。システム制御部40は、このときの第1直線部25Aと、第2直線部25Bとの交点を(X0,Y11)とし、この座標を一時的に記憶する。
【0115】
次に、システム制御部40は、ステージ10をY方向に移動させることにより、検出用スリット25をY方向(正面視左方)へ移動させる。そして、システム制御部40は、正面視左方の二点鎖線で示した位置、すなわち、
図10(B)に示すように、被測定画素Z1の光ビームが第2直線部25Bを透過してフォトセンサ26で検出されたことを検知した位置でステージ10を停止させる。システム制御部40は、このときの第1直線部25Aと、第2直線部25Bとの交点を(X0,Y12)とし、この座標を一時的に記憶する。
【0116】
次に、システム制御部40は、記憶した座標(X0,Y11)及び(X0,Y12)を読み出し、これらの座標から被測定画素Z1に対応する光ビームの照射位置の座標(X1,Y1)を求める。ここで、X1およびY1をX1=X0+(Y11−Y12)/2、Y1=(Y11+Y12)/2と求めることができる。
【0117】
なお、上述のように第1直線部25Aと第1直線部25Aに交差する第2直線部25Bとを有する検出用スリット25と、フォトセンサ26とを組み合わせて用いる場合には、フォトセンサ26が、第1直線部25Aまたは第2直線部25Bを通過する所定範囲の光だけを検出すればよい。よって、この構成において、フォトセンサ26を、第1直線部25Aまたは第2直線部25Bに対応する狭い範囲の光量を検出する微細で特別な構成とすること無く、市販の廉価なフォトセンサを利用できる。
【0118】
ステップS210において、システム制御部40は、ステップS204において記憶した被測定画素の基準照射位置と、ステップS209において取得した当該被測定画素に対応する光ビームの実際の照射位置とを比較し、基準照射位置に対する実際の照射位置のずれ量を導出して記憶する。
【0119】
ステップS211において、システム制御部40は、ずれ量を導出すべき全ての被測定画素についてずれ量の導出が完了したか否かを判断する。システム制御部40は、ずれ量を導出すべき全ての被測定画素についてずれ量の導出が完了していないと判断した場合は、処理をステップS204に戻し、ずれ量を導出すべき全ての被測定画素についてずれ量の導出が完了したと判定した場合は処理をステップS212に移行させる。
【0120】
ステップS212においてシステム制御部40は、ステップS210において導出された被測定画素の各々のずれ量に基づいて設計描画パターンの画像データを補正することにより、露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置を補正する。なお、光ビームの照射位置の補正は、ずれ量に応じた設計描画パターンの変形や設計描画パターンの各画素とDMD27における各マイクロミラー29とのマッピングの変更等によって行うことができる。すなわち、導出したずれ量に基づいて実際に描画される描画パターンの設計描画パターンに対する歪み量を導出し、導出した歪み量が減少するように設計描画パターンの画像データを補正したり、マイクロミラー29と、設計描画パターンの画像データの画素との対応関係を補正する。
【0121】
図11は、本実施形態に係る露光描画装置1における露光描画の歪み補正の一例を示す概略図である。
【0122】
複数の光学系や被露光基板Cに歪みのない状態であれば、DMD27に入力される設計描画パターンの画像データは
図11(B)に示すように、特に補正されなくても、そのまま被露光基板Cに露光描画されることで
図11(A)のように理想的な画像が描画される。
【0123】
しかしながら、露光ヘッド16a内の光学系におけるディストーション等の影響により、描画パターンに歪み等が生じる場合には、
図11(D)に示すように画像を補正せずに設計描画パターンの画像データをそのままDMD27に入力した場合には、
図11(C)に示すように実際に描画される描画パターンにおいて変形が生じてしまう。
【0124】
そこで
図11(F)に示すように、DMD27に入力される設計描画パターンの画像データを補正して各画素に対応する光ビームの照射位置を補正することにより、
図11(E)に示すように、最終的に歪みのない正しい画像が描画される。
【0125】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光描画装置1では、光量調整部50における反射率と、レーザ光源30から出射されるレーザ光の強度と、走査露光時におけるステージ10の移動速度とを調整することにより、露光ヘッド16aから出射される光の量(エネルギー)を広範囲(0.02mJ/cm
2〜50mJ/cm
2)に亘り調整することが可能である。すなわち、露光量を2500倍のワイドレンジにて調整することが可能である。これにより、超高感度感材を含む様々な光感度の感材に対して露光描画を行うことができる。また、フォトセンサ26を用いて露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置補正を行う場合においても、露光ヘッド16aの光量を大きくすることでフォトセンサ26から十分な強度の検知信号を得ることができる。従って光量不足によって照射位置検出精度が低下してしまう問題を回避することができる。すなわち、本実施形態に係る露光描画装置1によれば、超高感度感材に対する露光描画と、露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置補正を両立することができる。
【0126】
また、本実施形態に係る露光描画装置1では、レーザ光源30から出射された光ビームの光量を大きく減衰させるために、屈折率1.5程度のガラスからなる基材51のノンコート面(第2の反射面53)で反射された反射光を利用している。第2の反射面53の反射率は、基材51の屈折率、光の入射角度、入射光の偏光状態のみに依存し、ランダム偏光の場合には反射率のばらつきを4%±0.2%程度に抑えることができる。その結果、光量調整部50から出力される光ビームの光量のばらつきを±5%程度に抑えることができる。このように、光ビームの光量を減衰させる手段として低反射率の反射面で反射された反射光を出力する光量調整部50を用いることにより、透過型のアッテネータを使用する場合と比較して、光量のばらつきを低減することができる。特に、光ビームの光量を大きく減衰させる場合にその効果が顕著となる。
【0127】
また、本実施形態に係る露光装置1では、光ビームのビーム断面における照度分布を均一化させるロッドインテグレータ31を光量調整部50の後段に配置しているので、これらの配置を入れ替えた場合と比較して、光ビームの照度分布の均一性を高めることが可能となる。
【0128】
なお、本実施形態に係る露光描画装置1では、高反射率の第1の反射面52と低反射率の第2の反射面53のいずれか一方を光路上に配置する構成としたが、更にこれらの中間の反射率を有する1つまたは複数の反射面を設けることとしてもよい。この場合、基材51を被覆する反射膜を適宜選択することにより所望の反射率を得ることができる。
【0129】
また、本実施形態に係る露光描画装置1では、光量調整部50において、単一の基材51上に第1の反射面52および第2の反射面53を形成する場合を例示したが、これらの反射面は分離した別々の基材上に形成されていてもよい。
【0130】
また、本実施形態に係る露光描画装置1では、温調部材45としてペルチェ素子を用いているが、これに限定されず、冷却を行うファン等であっても良い。
【0131】
また、本実施の形態に係る露光描画装置1では、露光ヘッド16aに用いる空間光変調素子としてDMD27を用いたが、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Special Light Modulator)や、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)や液晶光シャッタ(FLC)等、MEMSタイプ以外の空間光変調素子をDMD27に代えて用いても良い。
【0132】
なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施形態に係る露光描画装置について詳細に説明する。第2の実施形態に係る露光描画装置は、上記した第1の実施形態に係る光量調整部50とは異なる構成を有する光量調整部を有する。光量調整部以外の構成は、上記した第1の実施形態と同様であるので、それらの説明について省略する。
【0133】
第1の実施形態に係る光量調整部50においては、高反射率の第1の反射面52と低反射率の第2の反射面53のいずれか一方を選択的に光路上に配置することにより露光ヘッド16aから出射される光ビームの光量を調整するものであった。これに対して、本実施形態に係る光量調整部50aは、単一の光反射面を有し、この光反射面に入射する光ビームの入射角を変化させることにより反射率を変化させ、これによって反射光の光量を調整するものである。
【0134】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る光量調整部50aの構成示す光ビームの光路に沿った断面図である。本実施形態に係る光量調整部50aは、例えば屈折率1.5程度のガラス等の光透過性部材からなる基材51と、基材51を支持する支持板54と、支持板54に接続された回転軸部55と、システム制御部40から供給される制御信号に基づいて回転軸部55をその軸周りに回転させる図示しない回転駆動機構を含んでいる。
【0135】
基材51の表面全体は、コーティングが施されていないガラス面となっており、基材51の表面が反射面56となっている。回転軸部55がその軸周りに回転することにより、
図12(A)〜
図12(C)に示すように、反射面56の向きが変化し、レーザ光源30から出射された光ビームの反射面56に対する入射角θ
iが変化するようになっている。
【0136】
反射面56における反射率は、光ビームの入射角θ
iに応じて変化する。
図13は、入射角θ
iと反射面56の反射率との関係をp偏光面とs偏光面のそれぞれについて示したグラフである。
図13に示すように、基材51として屈折率1.5程度のガラスを使用した場合、反射面56における反射率は、入射角θ
iに応じて約4%から100%の範囲で変化する。すなわち、
図12(A)〜
図12(C)に示すように、回転軸部55の回転角度を制御して反射面56の向きを変化させることにより反射面56の反射率を約4%〜100%の範囲で変化させることができる。このように、本実施形態に係る光量調整部50aは、反射面56に対する光ビームの入射角θ
iの制御によって光ビームの光量を調整することができる。
【0137】
なお、反射面56に対する光ビームの入射角θ
iが変化することによって、反射光の進行方向が変化することとなるが、反射面56と、ロッドインテグレータ31の光入射面とが集光レンズ70に対して共役な位置関係となるように配置されることにより、反射光の進行方向が変動したとしても、反射光をロッドインテグレータ31に導入することができる。
【0138】
このように、本実施形態に係る露光描画装置によれば、第1の実施形態に係る露光描画装置と同様、超高感度感材に対する露光描画と、露光ヘッド16aから出射される光ビームの照射位置補正を両立することができる。また、極低光量の光で露光描画を行う場合でも光量のばらつきを小さくすることできる。更に、本実施形態に係る光量調整部50aによれば、反射面56に対する光ビームの入射角θiを変更することによって反射面56における反射率を連続的に変化させることができるので、露光量の調整をより柔軟に行うことが可能となる。