特許第6046968号(P6046968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6046968多数の巡航位置を可能にする、大きなファウラ運動のコンパクトな航空機フラップ機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6046968
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】多数の巡航位置を可能にする、大きなファウラ運動のコンパクトな航空機フラップ機構
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/50 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   B64C3/50
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-208299(P2012-208299)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2013-67376(P2013-67376A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】13/242,296
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】サクライ セイヤ
(72)【発明者】
【氏名】ホイートン, ジェームス エム.
(72)【発明者】
【氏名】フォックス, スティーヴン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チョー, シャーロン シアントン
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 蘭国特許出願公開第08600616(NL,A)
【文献】 米国特許第03853289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の後縁フラップ機構であって、
第1の回転軸および前記第1の回転軸の後方の第4の回転軸(72)を有する後方部分(16)を有する支持ビーム(14)と、
フラップ(12)を支持するフラップキャリアビーム(22)であって、前端に第2の回転軸を有し、前記第2の回転軸の後方の前記フラップのノーズ輪郭(28)内に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビーム(22)と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸を相互連結する第1のリンク(30)と、
前記第3の回転軸と前記第4の回転軸(72)を相互連結する第2のリンク(32)と
を備え、
前記支持ビーム(14)が前記後方部分(16)から前方に延在する前方部分(34)を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸(38)における連結のための第5の回転軸を有し、
前記後縁フラップ機構はさらに、
連結リンク(40)であって、前端に第2の固定ヒンジ軸(44)における連結のための第6の回転軸を有し、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸の中間の前記第1のリンク(30)に連結される第7の回転軸を有する、連結リンク(40)と、
翼(2)の固定部分と前記第1のリンク(30)の間に動作可能に連結されるアクチュエーションシステムと
を備える、後縁フラップ機構であって、
前記後縁フラップ機構が巡航位置及び着陸位置にあるとき、前記第6の回転軸が前記連結リンクの前端にある、後縁フラップ機構
【請求項2】
前記アクチュエーションシステムが、
前記翼の前記固定部分に連結され、クランクアーム(58)を有する、ロータリアクチュエータ(48)と、
前記クランクアーム(58)と前記第1のリンク(30)の間に枢動可能に連結されるドライブリンク50
を備える、請求項1に記載の後縁フラップ機構。
【請求項3】
前記アクチュエーションシステムが、リニアアクチュエータを備える、請求項1に記載の後縁フラップ機構。
【請求項4】
前記フラップキャリアビーム(22)の前方部分と前記第1のリンク(30)との間の相互連結が、球面軸受を含む、請求項1、2または3に記載の後縁フラップ機構。
【請求項5】
前記第3の回転軸における前記第2のリンク(32)の相互連結が、球面軸受を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の後縁フラップ機構。
【請求項6】
前記第4の回転軸(72)における前記第2のリンク(32)の相互連結が、球面軸受を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の後縁フラップ機構。
【請求項7】
航空機の翼であって、
上面(2)と、
下面(6)と、
後桁(8)と、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の後縁フラップ機構と
を備える、航空機の翼。
【請求項8】
航空機のフラップを配置する方法であって、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のフラップ機構を用意するステップと、
翼構造の固定部分と前記第1のリンク(30)との間に連結されるアクチュエーションシステムを動作させ、それによってフラップが展開位置、収容位置またはそれらの間の位置に動かされるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、航空機の空力学的フラップ伸展機構の分野に関し、より詳細には、引込み位置において小さい範囲で実質的に直線運動をするが、大きなファウラ伸展および迅速な垂下を実現する、コンパクトな動作リンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の民間ジェット航空機には、効率を高めるために、離陸および着陸位置において垂下するスポイラとともに働き巡航位置範囲が小さいフラップが必要になってきている。この非常に望ましい機能に必要なフラップ機構は、大きなファウラ運動の必要性と併せて考えると、奥行きがあり幅が広く、大きな空力学的フェアリングを必要とし、このことが過度の巡航抗力の原因になってしまう。
【0003】
近年、「後縁可変キャンバ」(TEVC)として知られる、垂下スポイラ着陸位置と多様巡航位置の組み合わせが民間航空機に導入されてきている。現在のデザインには、ファウラ運動、すなわち翼弦長すなわち平面形状を増大させる後方運動が比較的小さい、比較的小さい後縁フラップが使われている。現在のデザインの一例は、翼が固定されている主要構造に対して静止しているスパン方向ヒンジ軸まわりにフラップが枢動する、簡単なヒンジ連結のフラップである。大きなフラップおよびファウラ運動の増大が必要な場合、フラップヒンジ軸を翼の下のより大きな距離にオフセットされなければならない。その結果、より奥行きがあるヒンジおよびより大きなフラップ支持構造に対応できるようにフェアリングがより大きくなる。より大きなフェアリングにより航空機の空力学的抗力が増大する。そうした簡単なヒンジ連結フラップの一例は、米国特許第7891611号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7891611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ファウラ運動が大きく垂下するスポイラに対応できる離陸および着陸のフラップ配置が良好であり、さらに空力学的にシール可能な幅広い巡航位置を有し、巡航抗力を大幅に改善するために全てがまとめられたコンパクトなパケージのフラップシステムを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、大きなファウラ伸展、後縁可変キャンバ運動および垂下運動のための後縁フラップリンク機構を提供する。リンク機構は、1)第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する後方部分を有する支持ビーム、2)空力学的フラップを支持するフラップキャリアリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、フラップ自体に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームを含む。例示的な実施形態では、第3の回転軸は第2の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内にある。りンク機構は、3)第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンク、4)第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクを含む。支持ビームは、さらに、後方部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における接地連結のための第5の回転軸を有する。連結リンクは、前端に第2の固定ヒンジ軸における接地連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する。アクチュエーションシステムは、翼構造の固定部分と第1のリンクの間に動作可能に連結される。第1の実施形態では、アクチュエーションシステムは、入れ子式油圧アクチュエータまたはボールねじアクチュエータなどのリニアアクチュエータを含むことができる。第2の実施形態では、アクチュエーションシステムは、ロータリアクチュエータ、クランクアームおよびドライブリンクを含むことができる。アクチュエーションシステムを動作させることによって、フラップが展開位置、収容位置またはそれらの間の位置に動かされる。
【0007】
本発明の一態様によれば、航空機の後縁フラップ機構であって、第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する第1の部分を有する支持ビームと、空力学的フラップを支持するフラップキャリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、第2の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームと、第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンクと、第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクとを備える後縁フラップ機構であり、前記支持ビームが、第1の部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における連結のための第5の回転軸を有し、後縁フラップ機構は、連結リンクであって前端に第2の固定ヒンジ軸における連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する連結リンクと、第1のリンクに枢動可能に係合されるドライブリンクに動作可能に連結されるアクチュエータとを備える、後縁フラップ機構が提供される。
【0008】
有利には、アクチュエーションシステムは、第8の回転軸において第3の固定軸まわりの回転を有し第9の回転軸においてドライブリンクの前端に回転可能に連結されるように延在するクランクアームを有する、ロータリアクチュエータを含む。
【0009】
有利には、ドライブリンクの枢動係合部は、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第10の回転軸にある。
【0010】
有利には、ドライブリンクの枢動係合部は、第7の回転軸と第2の回転軸の中間の第10の回転軸にある。
【0011】
有利には、第3の固定軸は、翼の後桁に隣接して配置される。
【0012】
有利には、第3の固定軸は、第1の固定軸と第2の固定軸の中間にある。
【0013】
有利には、連結リンクはサイドフランジおよびサイドフランジと連結するブリッジを含む。好ましくは、第1のリンクは、前方に延在するブレードを含み、第7の回転軸はそのブレードに取り囲まれ、そのブレードに連結リンクのサイドフランジが回転可能に取り付けられる。好ましくは、支持ビームの第2の部分は、第1のリンクのブレードを受容する中心リリーフを形成する二また部材を含む。有利には、フラップキャリアビームの前端は、引込み位置において、連結リンクのサイドフランジの間に受容される。
【0014】
有利には、第1のリンクは、A字形フレームであって前記第1の回転軸がA字形フレームの脚部の軸受内径面を通って延在するA字形フレームと、頂点にフラップキャリアビームの前方部分を受容するクレビスとを備え、前記フレームはドライブリンクを受容するA字形フレームの前面から前方に延在する第2のクレビスをさらに含む。好ましくは、フラップッキャリアビームの前方部分と第1のリンクの第1のクレビスとの相互連結が球面軸受であり、ドライブリンクと第1のリンクの第2のクレビスとの相互連結が球面軸受である。
【0015】
好ましくは、第2の回転ポイントにおける第1のリンクの相互連結ならびに第3および第4の回転ポイントにおける第2のリンクの相互連結は、球面軸受である。
【0016】
本発明の他の態様によれば、上面、下面、後桁および後縁フラップ機構を備える航空機の翼が提供される。後縁フラップ機構は、ファウラ運動、後縁可変キャンバ運動および垂下運動のためのヒンジ連結された四辺形リンク機構を有する後縁可変キャンバを実現し、第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する第1の部分を有する支持ビームと、空力学的フラップを支持するフラップキャリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、第3の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームと、第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンクと、第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクとを備える後縁フラップ機構であり、前記支持ビームが、第1の部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における接地連結のための第5の回転軸を有し、後縁フラップ機構は、連結リンクであって前端に第2の固定ヒンジ軸における接地連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転ポイントと第2の回転ポイントの中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する連結リンクと、第1のリンクに連結されるアクチュエータとを備える。ドライブリンクによる作動によって、連結リンクが休止している状態でフラップのノーズプロファイルの翼の下面に実質的に平行な最初の前後運動が行われ、伸展する後方運動によって、連結リンクが休止から脱し、支持ビームによる倍増効果で翼の上面に対するフラップ角の迅速な変更が行われる。
【0017】
有利には、アクチュエータは、後桁の後方に取り付けられ第8の回転ポイントにおいて第3の固定軸まわりの回転を有し、第9の回転ポイントにおいてドライブリンクの前端に回転可能に連結されるように延在するクランクアームを有する、ロータリアクチュエータである。第3の固定軸は、第1の固定軸と第2の固定軸の中間にある。
【0018】
有利には、航空機の翼は、スポイラをさらに備える。前記スポイラは、フラップ角と協調したやり方で垂下する。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、後縁フラップ機構の動作方法が提供される。動作方法は、ポイントA、B、C、Dに4本の回転軸を有するリンク機構を、ABリンク、BCリンク、CDリンクおよびADリンクとともに用意するステップと、支持ビームをポイントDでCDリンクにポイントAでABリンクに傾けて取り付けるようにポイントEにおける前方構造固定ヒンジ軸にCDリンクを接合させるステップと、運動を作動させるBCリンクにフラップを固定するステップと、ポイントFの構造固定ヒンジ軸と、ポイントAとポイントBの中間のABリンク上のポイントGの回転軸との間に連結リンクを取り付けるステップと、ポイントAとポイントBの中間のポイントKの回転軸においてABリンクにアクチュエータを連結するステップであって、それによってフラップの上方TEVC動作のためにABリンクが前方に回転され、フラップの下方TEVC動作のために連結リンクが休止している状態でABリンクが後方に付勢され、支持ビームがほぼ静止しているポイントGまわりに回転するロッカアームとして働くステップと、ABリンクを後方に付勢し、それによって連結リンクが休止から脱しポイントFまわりに回転し、ABリンクがポイントGまわりのロッカアーム運動を継続し、ポイントAが回転ポイントEまわりに下方に強く動き、回転ポイントEまわりの支持ビーム上のポイントAの上/下運動が、ポイントDの上/下運動を倍増するように働き、それによってフラップ取り付けポイントBおよびDの両方が引き下げられ、フラップが配置されるステップと、ABリンクをさらに後方に付勢し、それによって支持ビームが時計回りに回転し、ポイントAが下に動かされ、取り付けられたABリンクおよびCDリンクとともにポイントCが引っ張られ、フラップキャリアビームが下にさがりフラップ角が増大するステップを含む。
【0020】
有利には、ポイントGは、回転ポイントAとBを相互連結するラインの前方に確立される。
【0021】
有利には、ABリンクを後方に付勢するステップは、フラップの運動に関連してスポイラを垂下させるステップをさらに含む。
【0022】
後縁フラップ機構を動作させる前述の方法において、ABリンク、BCリンク、CDリンクおよびADリンクは、第1のリンク、フラップキャリアビーム、第2のリンクおよび支持ビームの後方部分としてそれぞれ解釈され得る。
【0023】
本発明のさらに他の態様によれば、後縁フラップ作動機構であって、翼に固定された接地リンク、第1の端部で接地リンクにヒンジ連結される連結リンク、第2の端部で接地リンクにヒンジ連結される支持ビームの第1の部分、および連結リンクに取り付けられる第1のリンクを含む第1の4本バーリンク機構を有するリンク機構対偶を備える、後縁フラップ作動機構が提供される。支持ビームの第1の部分は、接地リンクの反対にある。第1の4本バーリンク機構は、第2の4本バーリンク機構にヒンジ取り付けられる。第2の4本バーリンク機構は、第1の4本バーリンク機構と共通の第1のリンク、第1のリンクに連結されるフラップ支持ビーム、フラップ支持ビームに連結される第2のリンクおよび支持ビームの第2の部分を含む。
【0024】
有利には、後縁フラップ作動機構は、第1のリンクに連結される、クランクアームを有するロータリアクチュエータをさらに備える。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、6本バーリンク機構に連動するように連結される4本バーリンク機構を備える、後縁フラップ作動機構が提供される。4本バーリンク機構には、第1のリンク、第1のリンクに取り付けられるフラップ支持ビーム、フラップ支持ビームに取り付けられる第2のリンクおよび支持ビームの第2の部分が組み込まれる。6本バーリンク機構には、支持ビームの第1の部分、連結リンクおよびロータリアクチュエータから延在するクランクアームを含む3つの接地二成分リンク、ならびに接地二成分リンクを相互連結する三成分リンクが組み込まれる。前記三成分リンクは、前記第1のリンクと一体になっている。
【0026】
議論してきた特徴、機能および利点は、本開示の様々な実施形態において別々に達成することができ、あるいはさらに他の実施形態に組み込むことができる。それらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照すれば理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】航空機フラップ機構の一実施形態の側面図である。
図1B】リンク機構要素の拡大側面図である。
図2A】フラップが収容位置にあるときのリンク機構要素の上面後方等角図である。
図2B図2Aに示される要素の背面前方等角図である。
図3A】第1のリンクの等角図である。
図3B】第1のリンクの等角図である。
図3C】連結リンクの等角図である。
図3D】連結リンクの等角図である。
図3E】フラップキャリアビームの等角図である。
図3F】フラップキャリアビームの等角図である。
図4A】フラップがTEVC動作のTEVCアップ位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4B】フラップがTEVC動作のTEVCダウン位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4C】フラップが浅い角度の離陸位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4D】フラップが中間離陸位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4E】フラップが最大離陸位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4F】フラップが浅い角度の着陸位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図4G】フラップが最大着陸位置にある、航空機フラップ機構の側面図である。
図5A】フラップが着陸位置にある、リンク機構要素の上面後方等角図である。
図5B図5Aに示される要素の背面前方等角図である。
図6A】フェアリングのアウトラインが示されている、航空機フラップ機構の側面図である。
図6B】フラップ伸展位置範囲および関連するスポイラの垂下を示す側面図である。
図7】説明の実施形態の動作方法の流れ図である。
図8】第1のバーリンク機構が第2のバーリンク機構に相互連結されている実施形態の構造の説明図である。
図9】4本バーリンク機構が6本バーリンク機構に連動するように連結されている実施形態の構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に開示する実施形態は、大きなフラップファウラ運動を実現する、体積がコンパクトな機構を提供する。フラップの最初の前方または後方の運動が引比較的小さく翼の下面とほぼ平行に行われ、その間(TEVC範囲の)角度が素早く変化し、さらにTEVC運動範囲を出た後、角度を変えながらより素早くファウラ伸展が行われるようになる、運動学とリンク構成における違いが提供される。これはTEVC機能には不可欠であり、やはりまたスポイラが垂下される中間フラップ位置にも不可欠である。
【0029】
図1に示されるように、例示的な一実施形態では、以下フラップと称する空力学的フラップ12の枢動機構10によって、大きなファウラ運動、TEVCおよび垂下運動がもたらされる。機構は、上面4および下面6を有し後桁8がある翼2に取り付けられ、ヒンジ支持される四辺形リンク機構が組み込まれている。四辺形リンク機構は、支持ビーム14を有する。支持ビーム14は、ポイントA、18で示される回転軸、および回転軸ポイントAの後方にあるポイントD、20で示される回転軸を有する後方部分16を有する。フラップ12を支持するフラップキャリアビーム22は、前端にポイントB、24で示される回転軸を有し、ポイントBの回転軸の後方のフラップ12のノーズ輪郭28内にポイントC、26で示される回転軸を有する。代替実施形態では、ポイントC、26の回転軸がフラップの他の部分に配置され得る。第1のリンク30は、支持ビーム14のポイントAの回転軸とフラップキャリアビーム22のポイントBの回転軸を相互連結する。第2のリンク32は、フラップキャリアビーム22のポイントCの回転軸と支持ビーム14のポイントDの回転軸を相互連結する。本明細書に記載される回転ポイントは、リンク機構要素の運動に対して垂直な平面におけるリンク機構要素の回転を説明するために、二次元構成になっている。実際の応用例では、運動は、完全に二次元というわけではなく、ポイントによって示される軸は旋回軸であってよい。フラップスパンが気流に対して傾けられ支持部が気流と平行になると、後退翼上の任意のフラップによって、フラップ運動の面外成分(out−of−plane component)が導入される。この面外移行、歪みまたはミスアライメントは、後でより詳細に説明するポイントB、C、Dのボールジョイントにより対応される。第2のリンクは、フラップがどの行程にあるかによって、図面に開示される機構の平面内および平面外に歪むことができる。
【0030】
支持ビーム14は、後方部分16に加えて、後方部分16から前方に延在する前方部分34を有する。前方部分34は、前端に(図2A、2Bに最も良く見ることができ後で説明する)第1の固定ヒンジ軸38にある固定翼構造との連結のための、ポイントE、36で示される回転軸を有する。連結リンク40は、前端に(図2A、2Bに最も良く見ることができ後で説明する)第2の固定ヒンジ軸44にある固定翼構造との連結のためのポイントF、42で示される回転軸を有し、およびポイントAとポイントBの回転軸の間の第1のリンク30に連結されるポイントG、46で示される回転軸を有する。アクチュエーションシステムは、翼構造の固定部分と第1のリンク(30)との間に動作可能に連結される。例示的な実施形態では、クランクアーム58は、ポイントJ、60で示される回転軸に枢動可能に係合されるドライブリンク50に連結される。ドライブリンク50の遠端は、リンク30のポイントK、52で示される回転軸と枢動可能に係合する。例示的な実施形態では、クランクアーム58は、ポイントH、56で(図2Bに最も良く見ることができ後で説明する)回転軸54まわりに枢動するロータリアクチュエータ48によって駆動される。ロータリアクチュエータ48は、翼の後桁8に公称的に近接する構造に取り付けられる。代替実施形態では、ロータリアクチュエータ48、ドライブリンク50およびクランクアーム58は、ポイントK(52)で第1のリンク30に直接連結される、入れ子式の油圧アクチュエータまたはボールねじアクチュエータのようなリニアアクチュエータに取って代わられてもよい。
【0031】
後で様々なフラップ位置に関して説明するように、ドライブリンク50による作動は、翼の下面に実質的に平行なプロファイルにあるファウラフラップのノーズ輪郭の最初の前方および後方の運動をもたらす。この運動は、TEVCアップ位置からTEVCダウン位置へのフラップ12のTEVC動作について最適化される。フラップが後方に少し伸展されると、フラップ後縁の下向き角度が素早く変更され、フラップが前方に少し引込まされると、フラップ後縁の上向き角度が素早く変更される。フラップ運動のこの態様は、巡航TEVCの全範囲にわたりフラップおよび機構をフェアリングがシールされた(すなわち間隙がない)状態に保ち、さらに上述の範囲の角度の移動をもたらすのに重要である。
【0032】
図2A、2Bには機構のコンパクトな構造の詳細が示されている。機構は、フラップ動作構造に対してねじり曲げ剛性および側方荷重に反作用する能力をもたらすが、フラップと構造との実際の連結にはピンによる自由な運動を与える。支持ビーム14の前方部分34は、前端にある第1の回転軸38に中心が置かれる軸受内径面64a、64bで終端する二また(siamesed)部材62a、62bを有する。間隔を置いて配置される二また部材62a、62bは、支持ビーム14に対してねじり剛性をもたらし、一方第1のリンク30、連結リンク40およびドライブリンク50の要素がそれらの運動範囲の諸部分にわたってフランジの間で動作するようにくぼんだクリアランスを与えることで小型化を実現する。支持ビームの後方部分16は、ポイントDの回転軸において第2のリンク32の下方末端部にあるボールジョイントまたは球面軸受を受けるクレビス65に集まる。
【0033】
図3A、3Bに詳細に示される第1のリンク30は、A字形フレーム構造であり、脚部に軸受内径面66a、66b、および頂点に(図3E、3Fに関して示され以下に説明する)フラップキャリアビーム22に取り付けられる球面軸受を受けるクレビス68を有する。第1のリンクの軸受内径面66a、66bは、支持ビームの軸受内径面70a、70bと整列し、回転ポイントAについて第4の回転軸72を形成する。支持ビームのフランジとの枢動可能な連結のために第1のリンクの軸受内径面66a、66bを間隔を置いて配置することにより、所望の曲げ剛性が高められる。
【0034】
以下により詳細に説明するように、前方に延在するブレード74a、74bは、連結リンク40の枢動可能な取り付けのために設けられる。第1のリンクの前面にあるクレビス76は、ドライブリンク50の後端の球面軸受を受容する。ロータリアクチュエータ48から延在するクランクアーム58の下端のクレビス78は、(図2A、2Bに最も良く見ることができる)ドライブリンク50の前端の球面軸受を受容する。
【0035】
図3C、3Dには連結リンク40が詳細に示されている。連結リンクは、上端に第2の回転軸44と整列する軸受内径面82a、82bがあるサイドフランジ80a、80bを有する。ブリッジ84は、サイドフランジ80a、80bのスペーシングと相まって、連結リンクにさらなるねじり剛性をもたらす。またブリッジ84によって(図2A、2B、4A、4Bに見られるように)引込み位置において第1のリンクの頂点およびフラップキャリアビームの相互連結されるノーズが連結リンクの中を通って受容され得るようになる。サイドフランジ80a、80bの下端にある軸受内径面86a、86bは、第1のリンク30と係合するようにブレード74a、74bの軸受内径面88a、88bと整列し、それによってポイントGで示される回転軸90が形成される。ブレードが第1のリンクの本体から前方に延在するので、ポイントGの回転軸は、支持ビームのポイントEとポイントAの回転軸の中間に実質的に一直線になるように配置されるようになる。この組み合わせによって、ポイントFとGとの間の連結リンクがTEVC範囲内で休止させられるようになり、それによって支持ビームの第1のリンクがほぼ静止しているポイントGまわりに回転するロッカアームとして働くことができるようになる。第1のリンクおよびそのロッカアーム運動の瞬時方向は、フラップ取り付けポイントBを翼の下面と概ね平行な方向に動かすように働くと同時に、ポイントAを主に上/下方向に動かす。ポイントAからポイントDまで支持ビームが延在することにより、回転ポイントEまわりのポイントAの上/下運動が、ポイントDの上/下運動を倍増させるように働き、それによって第2のリンクが主に上または下に動かされる。翼の下面に平行に動くフラップ取り付けポイントBと主に上/下に動く第2のリンクおよびフラップ取り付けポイントDを組み合わせることによって、フラップノーズが概ね輪郭上にとどまりフラップの後縁が主に上または下に動く、言い換えればフラップ角がフラップの前/後の並進運動のとき比較的迅速に変化する、フラップ運動がもたらされる。フラップ機構がさらに伸展されると、連結リンクがその休止から脱し、ポイントFまわりに回転可能になる。第1のリンクは、今動いているポイントGまわりにロッカアーム運動をし続ける。そして、ポイントAは、回転ポイントEまわりに主に下方に動き続け、それによってフラップ取り付けポイントBおよびDの両方が引き下げられ、それが浅い角度(shallow)の離陸位置における垂下スポイラについてフラップを適切に配置する働きをする。
【0036】
図3E、3Fにはフラップキャリアビーム22が詳細に示されている。本体94から延在するノーズ部分92は、球面軸受を収容し、回転ポイントBでの回転可能な取り付けのために第1のリンク30の頂点にあるクレビス68に受容される。フラップキャリアビームは、フラップ12のための水平方向支持部96a、96bがある本体94の後方で分岐する。分岐は、回転ポイントCにおける回転可能な取り付けのために第2のリンクの上端にある球面軸受を受容するクレビス98を形成し、第2のリンクを(図2A、2B、4A〜4Gに最も良く見られるように)その行程の一部にわたってビームに受容可能にし、それによってさらに機構の小型化が促進される。横方向に延在するフランジ100a、100bによって、フラップ12のノーズ桁への取り付けポイントがもたらされる。図示し説明したフラップキャリアビームの形状および構造は、実際のフラップ取り付けの例示的な一実施形態を提供するものである。代替実施形態では他の構造形態を用いてよい。
【0037】
回転ポイントEにおいて支持ビーム(14)の前方部分34を、回転ポイントFにおいて連結リンク40を、ポイントAにおいて第1のリンク30を、およびポイントGにおいて連結リンクと第1のリンクを、横方向に間隔を置いて回転可能に取り付けることによって、機構に、後方に傾いたフラップ上の流れ方向に延在する機構に固有の側方荷重に対応するのに重要なねじれ剛性が与えられる。ポイントBで第1のリンク30とフラップキャリアビーム22のノーズ部分92を相互連結し、フラップキャリアビームのクレビス98と第2のリンク32の上方末端部を相互連結し、ポイントDで支持ビーム(14)の後方部分16のクレビス65と第2のリンクの下方末端部とを球面軸受によって相互連結することによって、動作中、動作する機構リンクを拘束しないフラップの曲げが可能になり、後方に傾いたフラップ上の流れ方向に延在する機構に固有の面外フラップ運動および/またはテーパ状平面形状のフラップによる円錐形運動が可能になる。クランクアーム58のクレビス78にドライブリンク50の前方末端部を、また第1のリンク30から延在するクレビス76にドライブリンクの後方末端部を球面軸受により連結することによって、ドライブリンクが拘束されなくなる。
【0038】
図4A〜4Gには、フラップ位置の範囲における機構の動作が示されており、航空機の動作における標準のフラップ位置が示されている。フラップはこれらの位置の間を滑らかに移行する。これらの位置は、例示的な実施形態に関するポイントしか示されていない。例示的な実施形態では、位置は、TEVCアップ(公称上−2°角度偏位(angular deflection))、TEVCダウン(公称上+2°角度偏位)、浅い角度の離陸(公称上+9°角度偏位)、中間離陸(公称上+15°角度偏位)、最大離陸(公称上+21°角度偏位)、浅い角度の着陸(公称上+33°角度偏位)および最大着陸(公称上+42°角度偏位)である。図4Aには、フラップ12がTEVC動作の(12aで識別される)TEVCアップ位置にある航空機フラップ機構が示されている。TEVCアップ位置に配置するには、クランクアームが図4Aのビューに対して時計回りに回転され、それによってドライブリンク50が前方に引っ張られ、第1のリンク30が前方に引っ張られる。図面に示されるように、第1のリンクの運動を受けて、ポイントA、B、C、Dの軸まわりの回転を伴う連結リンク40および支持ビーム前方部分34によって位置が定められるかたちで、第1のリンク30、支持ビーム後方部分16、第2のリンク32およびフラップキャリアビーム22が相対的に配置されることにより、フラップノーズ28が想像線で示されるフラップ12のニュートラルアップ位置に対して翼の裏面に実質的に平行な輪郭102上にとどまる状態で、フラップが動かされる。過度な巡航抗力に至ることになる翼の下面の不連続性すなわちそれを段状にしないように、フラップノーズはTEVC範囲にわたって輪郭上にとどまる必要がある。
【0039】
同様に、図4Bには、TEVC動作の(12bで識別される)TEVCダウン位置におけるフラップの運動が示されている。TEVCダウンに配置するには、クランクアームが図4Bのビューに対して反時計回りに回転され、それによってドライブリンク50が後方に付勢され、第1のリンク30が後方に並進移動される。図面に示されるように、第1のリンクの運動を受けて、ポイントA、B、C、Dでの軸まわりの回転を伴う連結リンク40および支持ビーム前方部分34によって位置が定められるかたちで、第1のリンク30、支持ビームの後方部分16、第2のリンク32およびフラップキャリアビーム22が相対的に配置されることにより、フラップノーズ28が想像線で示されるフラップ12のニュートラルアップ位置に対して翼の裏面に実質的に平行な輪郭102上にとどまる状態で、フラップが再び動かされる。フラップキャリアビームのノーズ部分92は、連結リンク40のサイドフランジ80a、80bとドライブリンク50の前端の間に延び、ロータリアクチュエータからの相互連結クランクアーム58が支持ビーム前方部分34の二また部材62a、62bの間において引っ張られる。
【0040】
図4Cには、TEVCダウンから浅い角度の離陸位置へのフラップの展開が12cとして示されている。この伸展範囲では、フラップは、スポイラが垂下しないTEVC範囲内の概ね輪郭上にある状態から、スポイラが垂下しフラップが輪郭の下に落ち始める第1の浅い角度の離陸位置まで移行する。クランクアームがさらに反時計回りに回転させられることにより、ドライブリンク50が後方に付勢され、それによって、垂下スポイラを受け入れるようにフラップを輪郭の下に迅速に落とす運動成分がもたらされる。これは、連結リンク40がポイントGを介して作動して支持ビーム14を時計回りに回転させることで、ポイントAが下に動かされて、フラップが下方に取り付けられたフラップキャリアビーム22を含む四辺形リンク機構が引っ張られる、ポイントA、B、F、Gの相対的な配置により起こる。
【0041】
図4Dは、(12dで示される)フラップが中間離陸位置にある航空機フラップ機構の側面図である。連結リンク40によって、第1のリンクがかなり大きく回転し始め、それによってフラップの垂下が促進される。図4Eには、さらなる伸展が示されており、(12eで示される)フラップは最大離陸位置になり、連結リンクによりさらに大きな角度になる。
【0042】
図4Fに12fで示される)浅い角度の着陸位置および(図4Gに12gで示される)最大着陸位置でのフラップの伸展の進行は、ポイントFとポイントGとの間において連結リンクが本質的に完全に回転して伸展することにより行われる。図5A、5Bには、フラップがフルフラップすなわち完全に伸展された位置にあるときの機構要素の詳細が示されている。連結リンク40は、実質的に完全に伸展され、第1のリンク30に実質的に垂直にポイントF、42とポイントG、46の回転軸が整列する。第2のリンク32は、実質的に、ポイントD、20の回転軸まわりに完全に回転され、フラップの完全垂下角を画成する水平位置に近づく。FGリンクおよび第2のリンクは完全に伸展されオーバセンタ状態に近づくように見られるが、支持ビームリンクにおけるJKドライブリンクの荷重方向および第2のリンクにおける荷重方向BCによって、固着なし状態が保証される。
【0043】
第1のリンクおよび第2のリンクの最適化された長さ、ならびに支持ビームの縦アウトライン内でドライブリンク、ロータリアクチュエータおよびクランクアームがネスト状なっていること、および連結リンク内で支持ビームがネスト状になっていることによって作り出される機構の奥行きが浅いことにより、望ましい奥行きのプロファイルのフェアリングアウトライン110が可能になる。図6Aには、フラップ機構を有するフェアリングの後方部分の垂下についての例示的なフェアリングスプリットライン112が示されている。機構の運動がコンパクトであることによって、さらに、図6Bに示されるように、垂下スポイラの組み入れがさらに可能になる。上面スポイラ104によって、ヒンジポイント106からスポイラ後縁108までのスパンがもたらされる。本明細書に説明されるような機構によって行われるフラップ運動によって、スポイラの後縁が、(図1A)に示されるような公称標準位置から、(図4Aに見られる)フラップのTEVCアップ位置について上方に、上述し図6Bに示されるようなフラップのTEVCダウン、浅い角度の離陸、中間離陸、最大離陸、浅い角度の着陸および最大着陸に対応する様々な下方垂下位置104b、104c、104d、104e、104f、104gまで「垂下」可能になる。
【0044】
図7に示されるように、所望のTEVC、ファウラ運動および垂下運動をもたらすフラップ機構の動作は、ステップ702でポイントA、B、C、Dにおける4本の回転軸、ならびに4つのリンクである、1)ポイントA、Bに対応する回転軸を有する第1のリンク(30)、2)ポイントC、Dに対応する回転軸を有する第2のリンク(32)、3)ポイントB、Cに対応する回転軸を有するフラップキャリアビーム(22)、および4)ポイントA、Dに対応する回転軸を有する支持ビーム(14)の後方部分(16)を有する、(図1Bに示されるような)ヒンジ連結のリンク機構を用意するステップ702を含む。支持ビーム(14)の後方部分(16)は、ステップ704で、ポイントEに対応する接地回転軸を含む支持ビーム(14)の前方部分(34)にさらに接合される。フラップは、ステップ706で、運動を作動させるフラップキャリアビーム(22)に固定される。連結リンク(40)は、ステップ708で、ポイントFの構造ヒンジ回転軸と、ポイントAとポイントBの中間の第1のリンク上のポイントGの回転軸との間に取り付けられる。ポイントGの回転軸は、ポイントAとポイントBを相互連結するラインの前方に確立される。ドライブリンク(50)は、ステップ710で、ポイントKとポイントGの間のラインが公称引込み位置の下方翼面プロファイルに対して実質的に垂直な状態で、ポイントAとポイントBの中間のポイントGの上のポイントKの回転軸で第1のリンク(3)に連結される。ステップ712でフラップの上方TEVC動作のためにドライブリンク(50)を前方に引っ張るように機構を動作させ、ステップ714でフラップの下方TEVC動作のためにドライブリンクを後方に付勢するように機構を動作させることによって、連結リンクがポイントFとポイントGの間でTEVC範囲内で休止させられ、それによって第1のリンクがほぼ静止しているポイントGまわりに回転するロッカアームのように働くことができるようになる。第1のリンクおよびそのロッカアームの運動の瞬時方向は、フラップ取り付けポイントBを、翼の下面と概ね平行な方向に動かすように働くと同時にポイントAを主に上/下方向に動かす。ポイントAからポイントDまで支持ビームが延在することにより、ポイントEまわりのポイントAの上/下運動が、ポイントDの上/下運動を倍増させるように働き、それによって第2のリンクが主に上または下に動かされる。翼の下面に平行に動くフラップ取り付けポイントBと、主に上/下に動く第2のリンクおよびフラップ取り付けポイントDを組み合わせることによって、フラップノーズが概ね輪郭上にとどまりフラップの後縁が主に上または下に動く、言い換えればフラップ角がフラップの前/後の並進移動のとき比較的迅速に変化する、フラップ運動がもたらされる。ステップ718で、ドライブリンクを後方に付勢するように機構を動作させると、連結リンク40によって支持ビーム14が時計回りに回転され、それによってポイントAが下に動かされ、フラップが下方に取り付けられているフラップキャリアビーム22を含む四辺形リンク機構が引っ張られる。ステップ720で、ドライブリンクをさらに後方に付勢するように機構を動作させると、連結リンクがその休止から脱し、ポイントFまわりに回転し、第1のリンクが今動いているポイントGまわりにロッカアーム運動をし続け、ポイントAが回転ポイントEまわりに主に下方に動き、第1のリンクおよび第2のリンクを素早く回転させる連結リンクによる回転作用でフラップ取り付けポイントBおよびDの両方が下に引き下げられ、フラップ角が増大される。ステップ722で、スポイラの垂下がフラップの運動に関連して行われ得る。
【0045】
図8に示されるように、開示の実施形態はリンク機構対偶として見ることもできる。四辺形リンク機構は、ポイントEとポイントFの間で翼に固定される接地リンク804、ならびにさらなる3本のバーを形成する、連結リンク40、支持ビーム前方部分34およびポイントAとポイントGの間の第1のリンク30の部分806を含む、(破線で示される)第1の4本バーリンク機構802である。第1の4本バーリンク機構は、(実線で示される)第2の4本バーリンク機構808にヒンジ取り付けされる。第2の4本のバーリンク機構808には、第1のリンク30、ポイントBとポイントCの間のフラップキャリアビーム22、第2のリンク32、およびポイントAとポイントDの間の支持ビーム16の第2の部分が組み込まれる。第1および第2の4本バーリンク機構は、接地固定リンクの反対にある共通の物理的なリンクである第1のリンク30を含む。
【0046】
あるいは、図9に示されるように、開示の実施形態は、(破線で示される)スティーブンソン(Stephenson)IIIタイプの確定的6本バーリンク機構904に連動するように連結される(実線で示される)4本バーリンク機構(902)として四辺形リンク機構を見ることもできる。4本バーリンク機構には、第1のリンク30、ポイントBとポイントCの間のフラップキャリアバー22、第2のリンク32、およびポイントAとポイントDの間の支持ビーム14の後方部分16が組み込まれる。6本バーリンク機構には、3つの接地二成分リンク(binary link)である、ポイントEとポイントAの間の支持ビーム14の前方部分34、ポイントEとポイントFの間の連結リンク40、およびポイントHに固定されるロータリアクチュエータ48から延在するクランクアーム58が組み込まれる。第1のリンク30における、ポイントGとポイントA、ポイントGとポイントK、およびポイントKとポイントAの間のリンクは、三成分リンク(ternary link)906を形成する。この形態に見られる6本バーのリンク機構は、4本バーリンク機構にヒンジ支持をもたらし、6本バーの三成分リンクは、4本バーリンク機構のポイントAとポイントBの間のリンクであるリンク30と共通の物理的要素である。
【0047】
特許法令によって必要とされる本開示の様々な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には、本明細書に開示される特定の実施形態に対する修正形態および置換形態が認識できるであろう。そうした修正形態は、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲および趣旨の範囲内にある。
【符号の説明】
【0048】
2 翼
4 上面
6 下面
8 後桁
10 枢動機構
12 フラップ
12a TEVCアップ位置のフラップ
12b TEVCダウン位置のフラップ
12c 浅い角度の離陸位置のフラップ
12d 中間離陸位置のフラップ
12e 最大離陸位置のフラップ
12f 浅い角度の着陸位置のフラップ
12g 最大着陸位置のフラップ
14 支持ビーム
16 後方部分、第1の部分
18 回転軸
20 回転軸
22 フラップキャリアビーム
24 回転軸
26 回転軸
28 ノーズ輪郭
30 第1のリンク
32 第2のリンク
34 前方部分、第2の部分
36 回転軸
38 固定ヒンジ軸
40 連結リンク
42 回転軸
44 固定ヒンジ軸
46 回転軸
48 ロータリアクチュエータ
50 ドライブリンク
52 回転軸
54 回転軸
56 回転軸
58 クランクアーム
60 回転軸
62a 二また部材
62b 二また部材
64a 軸受内径面
64b 軸受内径面
66a 軸受内径面
66b 軸受内径面
68 クレビス
70a 軸受内径面
70b 軸受内径面
72 回転軸
74a ブレード
74b ブレード
76 クレビス
78 クレビス
80a サイドフランジ
80b サイドフランジ
82a 軸受内径面
82b 軸受内径面
84 ブリッジ
86a 軸受内径面
86b 軸受内径面
88a 軸受内径面
88b 軸受内径面
90 回転軸
92 ノーズ部分
94 本体
96a 水平方向支持部
96b 水平方向支持部
98 クレビス
100a フランジ
100b フランジ
102 輪郭
104 上面スポイラ
104b 下方垂下位置
104c 下方垂下位置
104d 下方垂下位置
104e 下方垂下位置
104f 下方垂下位置
104g 下方垂下位置
106 ヒンジポイント
108 スポイラ後縁
802 第1の4本バーリンク機構
804 接地リンク
806 第1のリンクの部分
808 第2の4本バーリンク機構
902 4本バーリンク機構
904 6本バーリンク機構
906 三成分リンク
A 回転ポイント
B 回転ポイント
C 回転ポイント
D 回転ポイント
E 回転ポイント
F 回転ポイント
G 回転ポイント
H 回転ポイント
J 回転ポイント
K 回転ポイント
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9