【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、大きなファウラ伸展、後縁可変キャンバ運動および垂下運動のための後縁フラップリンク機構を提供する。リンク機構は、1)第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する後方部分を有する支持ビーム、2)空力学的フラップを支持するフラップキャリアリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、フラップ自体に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームを含む。例示的な実施形態では、第3の回転軸は第2の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内にある。りンク機構は、3)第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンク、4)第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクを含む。支持ビームは、さらに、後方部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における接地連結のための第5の回転軸を有する。連結リンクは、前端に第2の固定ヒンジ軸における接地連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する。アクチュエーションシステムは、翼構造の固定部分と第1のリンクの間に動作可能に連結される。第1の実施形態では、アクチュエーションシステムは、入れ子式油圧アクチュエータまたはボールねじアクチュエータなどのリニアアクチュエータを含むことができる。第2の実施形態では、アクチュエーションシステムは、ロータリアクチュエータ、クランクアームおよびドライブリンクを含むことができる。アクチュエーションシステムを動作させることによって、フラップが展開位置、収容位置またはそれらの間の位置に動かされる。
【0007】
本発明の一態様によれば、航空機の後縁フラップ機構であって、第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する第1の部分を有する支持ビームと、空力学的フラップを支持するフラップキャリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、第2の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームと、第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンクと、第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクとを備える後縁フラップ機構であり、前記支持ビームが、第1の部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における連結のための第5の回転軸を有し、後縁フラップ機構は、連結リンクであって前端に第2の固定ヒンジ軸における連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する連結リンクと、第1のリンクに枢動可能に係合されるドライブリンクに動作可能に連結されるアクチュエータとを備える、後縁フラップ機構が提供される。
【0008】
有利には、アクチュエーションシステムは、第8の回転軸において第3の固定軸まわりの回転を有し第9の回転軸においてドライブリンクの前端に回転可能に連結されるように延在するクランクアームを有する、ロータリアクチュエータを含む。
【0009】
有利には、ドライブリンクの枢動係合部は、第1の回転軸と第2の回転軸の中間の第10の回転軸にある。
【0010】
有利には、ドライブリンクの枢動係合部は、第7の回転軸と第2の回転軸の中間の第10の回転軸にある。
【0011】
有利には、第3の固定軸は、翼の後桁に隣接して配置される。
【0012】
有利には、第3の固定軸は、第1の固定軸と第2の固定軸の中間にある。
【0013】
有利には、連結リンクはサイドフランジおよびサイドフランジと連結するブリッジを含む。好ましくは、第1のリンクは、前方に延在するブレードを含み、第7の回転軸はそのブレードに取り囲まれ、そのブレードに連結リンクのサイドフランジが回転可能に取り付けられる。好ましくは、支持ビームの第2の部分は、第1のリンクのブレードを受容する中心リリーフを形成する二また部材を含む。有利には、フラップキャリアビームの前端は、引込み位置において、連結リンクのサイドフランジの間に受容される。
【0014】
有利には、第1のリンクは、A字形フレームであって前記第1の回転軸がA字形フレームの脚部の軸受内径面を通って延在するA字形フレームと、頂点にフラップキャリアビームの前方部分を受容するクレビスとを備え、前記フレームはドライブリンクを受容するA字形フレームの前面から前方に延在する第2のクレビスをさらに含む。好ましくは、フラップッキャリアビームの前方部分と第1のリンクの第1のクレビスとの相互連結が球面軸受であり、ドライブリンクと第1のリンクの第2のクレビスとの相互連結が球面軸受である。
【0015】
好ましくは、第2の回転ポイントにおける第1のリンクの相互連結ならびに第3および第4の回転ポイントにおける第2のリンクの相互連結は、球面軸受である。
【0016】
本発明の他の態様によれば、上面、下面、後桁および後縁フラップ機構を備える航空機の翼が提供される。後縁フラップ機構は、ファウラ運動、後縁可変キャンバ運動および垂下運動のためのヒンジ連結された四辺形リンク機構を有する後縁可変キャンバを実現し、第1の回転軸および第1の回転軸の後方の第4の回転軸を有する第1の部分を有する支持ビームと、空力学的フラップを支持するフラップキャリアビームであって、前端に第2の回転軸を有し、第3の回転軸の後方のフラップのノーズ輪郭内に第3の回転軸を有する、フラップキャリアビームと、第1の回転軸と第2の回転軸を相互連結する第1のリンクと、第3の回転軸と第4の回転軸を相互連結する第2のリンクとを備える後縁フラップ機構であり、前記支持ビームが、第1の部分から斜め前方に延在する第2の部分を有し、前端に第1の固定ヒンジ軸における接地連結のための第5の回転軸を有し、後縁フラップ機構は、連結リンクであって前端に第2の固定ヒンジ軸における接地連結のための第6の回転軸を有し、第1の回転ポイントと第2の回転ポイントの中間の第1のリンクに連結される第7の回転軸を有する連結リンクと、第1のリンクに連結されるアクチュエータとを備える。ドライブリンクによる作動によって、連結リンクが休止している状態でフラップのノーズプロファイルの翼の下面に実質的に平行な最初の前後運動が行われ、伸展する後方運動によって、連結リンクが休止から脱し、支持ビームによる倍増効果で翼の上面に対するフラップ角の迅速な変更が行われる。
【0017】
有利には、アクチュエータは、後桁の後方に取り付けられ第8の回転ポイントにおいて第3の固定軸まわりの回転を有し、第9の回転ポイントにおいてドライブリンクの前端に回転可能に連結されるように延在するクランクアームを有する、ロータリアクチュエータである。第3の固定軸は、第1の固定軸と第2の固定軸の中間にある。
【0018】
有利には、航空機の翼は、スポイラをさらに備える。前記スポイラは、フラップ角と協調したやり方で垂下する。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、後縁フラップ機構の動作方法が提供される。動作方法は、ポイントA、B、C、Dに4本の回転軸を有するリンク機構を、ABリンク、BCリンク、CDリンクおよびADリンクとともに用意するステップと、支持ビームをポイントDでCDリンクにポイントAでABリンクに傾けて取り付けるようにポイントEにおける前方構造固定ヒンジ軸にCDリンクを接合させるステップと、運動を作動させるBCリンクにフラップを固定するステップと、ポイントFの構造固定ヒンジ軸と、ポイントAとポイントBの中間のABリンク上のポイントGの回転軸との間に連結リンクを取り付けるステップと、ポイントAとポイントBの中間のポイントKの回転軸においてABリンクにアクチュエータを連結するステップであって、それによってフラップの上方TEVC動作のためにABリンクが前方に回転され、フラップの下方TEVC動作のために連結リンクが休止している状態でABリンクが後方に付勢され、支持ビームがほぼ静止しているポイントGまわりに回転するロッカアームとして働くステップと、ABリンクを後方に付勢し、それによって連結リンクが休止から脱しポイントFまわりに回転し、ABリンクがポイントGまわりのロッカアーム運動を継続し、ポイントAが回転ポイントEまわりに下方に強く動き、回転ポイントEまわりの支持ビーム上のポイントAの上/下運動が、ポイントDの上/下運動を倍増するように働き、それによってフラップ取り付けポイントBおよびDの両方が引き下げられ、フラップが配置されるステップと、ABリンクをさらに後方に付勢し、それによって支持ビームが時計回りに回転し、ポイントAが下に動かされ、取り付けられたABリンクおよびCDリンクとともにポイントCが引っ張られ、フラップキャリアビームが下にさがりフラップ角が増大するステップを含む。
【0020】
有利には、ポイントGは、回転ポイントAとBを相互連結するラインの前方に確立される。
【0021】
有利には、ABリンクを後方に付勢するステップは、フラップの運動に関連してスポイラを垂下させるステップをさらに含む。
【0022】
後縁フラップ機構を動作させる前述の方法において、ABリンク、BCリンク、CDリンクおよびADリンクは、第1のリンク、フラップキャリアビーム、第2のリンクおよび支持ビームの後方部分としてそれぞれ解釈され得る。
【0023】
本発明のさらに他の態様によれば、後縁フラップ作動機構であって、翼に固定された接地リンク、第1の端部で接地リンクにヒンジ連結される連結リンク、第2の端部で接地リンクにヒンジ連結される支持ビームの第1の部分、および連結リンクに取り付けられる第1のリンクを含む第1の4本バーリンク機構を有するリンク機構対偶を備える、後縁フラップ作動機構が提供される。支持ビームの第1の部分は、接地リンクの反対にある。第1の4本バーリンク機構は、第2の4本バーリンク機構にヒンジ取り付けられる。第2の4本バーリンク機構は、第1の4本バーリンク機構と共通の第1のリンク、第1のリンクに連結されるフラップ支持ビーム、フラップ支持ビームに連結される第2のリンクおよび支持ビームの第2の部分を含む。
【0024】
有利には、後縁フラップ作動機構は、第1のリンクに連結される、クランクアームを有するロータリアクチュエータをさらに備える。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、6本バーリンク機構に連動するように連結される4本バーリンク機構を備える、後縁フラップ作動機構が提供される。4本バーリンク機構には、第1のリンク、第1のリンクに取り付けられるフラップ支持ビーム、フラップ支持ビームに取り付けられる第2のリンクおよび支持ビームの第2の部分が組み込まれる。6本バーリンク機構には、支持ビームの第1の部分、連結リンクおよびロータリアクチュエータから延在するクランクアームを含む3つの接地二成分リンク、ならびに接地二成分リンクを相互連結する三成分リンクが組み込まれる。前記三成分リンクは、前記第1のリンクと一体になっている。
【0026】
議論してきた特徴、機能および利点は、本開示の様々な実施形態において別々に達成することができ、あるいはさらに他の実施形態に組み込むことができる。それらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照すれば理解することができる。