(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本開示の範囲は、以下の説明において、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
なお、本開示の説明は、下記の順序にしたがってなされる。
<1.本開示の一実施の形態>
[マイクロホンシステムの構成]
[非接触電力伝送部の構成]
[アタッチメントの構成]
【0014】
<1.本開示の一実施の形態>
[マイクロホンシステムの構成]
まず、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムの構成について説明を行う。
図1に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムの構成の一例を示す。本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1は、ワイヤレスマイクロホン2とマイクロホンスタンド3とを有する。
【0015】
本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン2は、筒状のケース20の周面に、後述する非接触電力伝送部の受電部を有する。ワイヤレスマイクロホン2は、非接触電力伝送部の受電部で受電された筒状のケース20外の非接触電力伝送部の給電部からの電力によって内蔵の例えば二次電池を充電する。
【0016】
本開示の一実施の形態に係るマイクロホンスタンド3は、ワイヤレスマイクロホン2を保持するマイクロホンホルダ30と、マイクロホンホルダ30が一端に設けられる支持体31とによって構成される。さらに、マイクロホンスタンド3は、支持体31の他端に設けられる非接触電力伝送部の受電部としての受電コイル32と、マイクロホンホルダ30に設けられる後述する非接触電力伝送部の給電部とを有する。なお、
図1の支持体31は、棒状で示されているもののこれは柱状であっても良い。そして、支持体31の他端には、
図1に示されるような基台(ベース)35が設けられても良い。基台35が設けられる場合には、その内部に受電コイル32を有する形態としても良い。
【0017】
このような構成のマイクロホンシステム1が、舞台等のステージ100の床面に埋め込まれた、あるいは薄型にされてステージ100の上に設けられた電源装置4の上に置かれる。電源装置4の上面付近には給電部としての給電コイル40が設けられている。ステージ100には、給電部の位置を示すマークが必要に応じて設けられる。マイクロホンスタンド3の非接触電力伝送部の受電コイル32は、上述した電源装置4のような平面に設けられた非接触電力伝送部の給電コイル40からの電力を受電する。
【0018】
上述した各機器が
図1に示すように設置される。次に、ワイヤレスマイクロホン2への電源供給の流れについて説明する。
【0019】
ここで、非接触電力伝送の方式について説明する。非接触での電力供給を可能にする方式としては主に3種類ある。
1.2つの隣接するコイルの一方に電流を流すことで発生する磁束を媒介して隣接するコイルの他方に起電力が発生する電磁誘導を用いた「電磁誘導方式」
2.電流を電磁波に変換しアンテナを介して送受信する技術である「電波方式」
3.電磁界の共鳴現象を利用した「電磁界共鳴方式」
【0020】
その中でも、主に用いられるのが電磁誘導方式である。なお、電磁誘導方式では、2つの隣接するコイルの位置ずれによる伝送効率の低下や、電磁波の高周波への対策が必要となる。ここでは電磁誘導方式が用いられる非接触電力伝送を例示して説明する。なお、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1には他の非接触電力伝送の方式が用いられても良い。
【0021】
ステージ100の床面に設置された電源装置4には交流(Alternating Current, AC)100V等の電源が供給される。電源装置4は、給電コイル40から、上面に設置されたマイクロホンスタンド3の受電コイル32に非接触電力伝送によって電源を供給する。供給された電源は、マイクロホンスタンド3の内部に設けられる図示せぬ回路や配線33を経由してマイクロホンホルダ30の内部の給電部に送られる。マイクロホンホルダ30の内部の給電部は、取り付けられたワイヤレスマイクロホン2の筒状のケース20の周面の受電部に非接触電力伝送によって電源を供給する。
【0022】
マイクロホンスタンド3は、充電可能な電池34を内蔵する形態とされていても良い。内蔵の電池34は、例えば支持体31の内部の電源供給の経路中に搭載される。電池34を内蔵するマイクロホンスタンド3が電源装置4の上に置かれると電池34は、電源装置4から供給された電力によって充電される。
【0023】
非接触電力伝送は、電源装置4とマイクロホンスタンド3との間でなされる。そして、非接触電力伝送は、マイクロホンスタンド3とワイヤレスマイクロホン2との間でなされる。ワイヤレスマイクロホン2、マイクロホンスタンド3および電源装置4が
図1に示されるような所定の位置に置かれたときには電源が供給される。さらに、非接触電力伝送は、直接、電源装置4とワイヤレスマイクロホン2との間でもなされる。
【0024】
次に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムの電気系統について説明する。
図2に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1の内部回路の一構成例を示す。
【0025】
図2に示すように、電源装置4は、電源41と、給電部の一例としての給電コイル(1次コイル)40とを有する。電源41に対して、配線や、図示せぬ内部回路等によって給電コイル40が接続されている。電源41としては交流が用いられる。給電コイル40には交流が供給される。
【0026】
マイクロホンスタンド3は、受電部の一例としての受電コイル(2次コイル)32と、給電部の一例としての給電コイル36とを有する。受電コイル32と、給電コイル36とは配線33や、図示せぬ内部回路等によって接続されている。受電コイル32に生じた交流が給電コイル36に供給される。
【0027】
ワイヤレスマイクロホン2は、受電部の一例としての受電コイル21と、整流回路22と、電池23とを有する。電池23は、充電可能であれば良い。電池23としては、例えば二次電池の一種のニッケル水素電池が用いられる。受電コイル21に生じた交流が整流回路22に供給される。交流が、整流回路22において直流へと変換される。変換された直流電源が電池23に供給されることによって電池23が充電される。
【0028】
電池23の充電は、図示せぬ充電制御部によって制御される。図示せぬ充電制御部は、ワイヤレスマイクロホン2に電力が供給されたことを検知すると電池23の充電動作を開始する。図示せぬ充電制御部は、電池電圧、充電電流、電池23の温度等に例示される電池23の充電状態を検出し、電池23が満充電の際には充電を停止する。なお、ワイヤレスマイクロホン2がマイクロホンホルダ30に取り付けられたことを図示せぬ検知部が検知するとワイヤレスマイクロホン2が充電動作状態になるようにしても良い。さらに、ワイヤレスマイクロホン2が、給電コイル36または給電コイル40に近接したことを例えば磁力を通じて図示せぬ検知部が検知するとワイヤレスマイクロホン2が充電動作状態になるようにしても良い。さらに、図示せぬスイッチによって電池23の充電を開始するように構成しても良い。
【0029】
電源装置4の給電コイル40と、マイクロホンスタンド3の受電コイル32とは第1の非接触電力伝送部50を構成する。供給される交流電流によって給電コイル40を貫く磁束が時間的に変化する。給電コイル40に隣接する受電コイル32を貫く磁束もまた時間的に変化すると電磁誘導によって受電コイル32に起電力が発生する。その際に、給電コイル40および受電コイル32を貫く磁束は、給電コイル40に供給される交流電流の周期で時間的に変化しているので、発生する起電力も交流になる。
【0030】
同様に、マイクロホンスタンド3の給電コイル36と、ワイヤレスマイクロホン2の受電コイル21とは第2の非接触電力伝送部60を構成する。
【0031】
次に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムの他の構成例の電気系統について説明する。
図3に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1の内部回路の他の構成例を示す。
【0032】
本開示の一実施の形態における他の構成例に係るマイクロホンスタンド3は、受電コイル32と、給電コイル36との間に、整流回路37と、充電回路38と、電池34と、インバータ39とを有する。それ以外の構成については、上述した一実施の形態の一構成例と同様である。このように、本開示の一実施の形態における他の構成例においては、マイクロホンスタンド3の内部において充電可能である点が上述した一実施の形態の一構成例とは異なる。
【0033】
受電コイル32に生じた交流が整流回路37に供給される。交流が、整流回路37において直流へと変換される。変換された直流が充電回路38に供給される。充電回路38には、図示せぬ充電制御部、定電流回路、定電圧回路、出力回路等が含まれる。充電回路38から出力される電力が電池34に供給されることによって電池34が充電される。
【0034】
電池34の充電は、充電回路38の図示せぬ充電制御部によって制御される。図示せぬ充電制御部は、マイクロホンスタンド3に電力が供給されたことを検知すると電池34の充電を開始する。図示せぬ充電制御部は、電池電圧、充電電流、電池34の温度等に例示される電池34の充電状態を検出し、電池34が満充電の際には充電を停止する。なお、マイクロホンスタンド3が電源装置4の上に置かれたことを図示せぬ検知部が検知すると電池34の充電を開始するようにしても良い。さらに、マイクロホンスタンド3の受電コイル32が給電コイル40に近接したことを例えば磁力を通じて図示せぬ検知部が検知するとワイヤレスマイクロホン2が充電動作状態になるようにしても良い。さらに、図示せぬスイッチによって電池34の充電を開始するように構成しても良い。
【0035】
電池34としては、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等が用いられる。キャパシタを使用しても良い。マイクロホンスタンド3の場合、重量、収納スペース等の制限が少ないので電池34は、電池23よりも大容量とすることが好ましい。例えば、電池23には、ニッケル水素電池を1つ用い、電池34には、ニッケル水素電池を並列で2つ用いる形態としても良い。電池34には、他の種類の大容量電池が用いられても構わない。
【0036】
電池34から放電される直流はインバータ39に供給される。直流が、インバータ39において交流へと変換される。変換された交流が給電コイル36に供給される。ワイヤレスマイクロホン2への非接触電力伝送は上述した一実施の形態の一構成例と同様である。
【0037】
以上に説明した本開示の一実施の形態における他の構成例に係るマイクロホンシステム1のように、マイクロホンスタンド3は、電源装置4から受電した電力を蓄電する機能を有しても良い。本開示の一実施の形態における他の構成例では、電源装置4からマイクロホンスタンド3へと電力が供給されていない状態においても、マイクロホンスタンド3からワイヤレスマイクロホン2への電源供給が可能となる。
【0038】
マイクロホンスタンド3には大きい容量の二次電池を有しているので、マイクロホンスタンド3が電源装置4から離れた場合でもワイヤレスマイクロホン2に電源を供給することができる。なお、マイクロホンスタンド3が据え置きで使用される場合には、電源装置4とマイクロホンスタンド3との間を有線接続による電源接続機能を有する形態としても良い。
【0039】
[非接触電力伝送部の構成]
次に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムの非接触電力伝送部の構成について説明する。
図4に、本開示の一実施の形態に係るマイクロホンスタンド3に設けられる給電部の一例を示す。マイクロホンスタンド3では、第2の非接触電力伝送部60の給電部としての給電コイル36は、ワイヤレスマイクロホン2の筒状のケース20の長手方向に対応してマイクロホンホルダ30に複数設けられる。これによって、ワイヤレスマイクロホン2がマイクロホンスタンド3に設置される際の筒状のケース20の長手方向についての位置の変動に起因する非接触電力伝送の効率の低下が防止される。
【0040】
なお、ワイヤレスマイクロホン2の受電部としての受電コイル21が筒状のケース20の長手方向に複数箇所設置されるようにしても良い。しかしながら、ワイヤレスマイクロホン2の容積、重量、コイルのノイズ、干渉および内部回路の複雑化等の観点からマイクロホンホルダ30の複数箇所に給電コイル36を設置する方が好ましい。
【0041】
次に、マイクロホンスタンド3に設けられる給電コイル36とワイヤレスマイクロホン2に設けられる受電コイル21との位置関係を説明する。
図5に、ワイヤレスマイクロホン2に設けられる受電コイル21の一例を示す。なお、
図5は、
図4に示したA−A線に沿った断面を示している。
【0042】
給電コイル36の設けられるマイクロホンホルダ30は、操作性およびワイヤレスマイクロホン2の保持力の観点から筒状のケース20を全周覆う筒状とすることが難しく、クリップ型、あるいは筒の上側が切り欠かれた様な形状が採用されている。したがって、マイクロホンホルダ30内の全周にわたって給電コイル36が設けられることは困難である。そのため、ワイヤレスマイクロホン2の受電部の受電素子が1つの場合において、
図5に示すように、ワイヤレスマイクロホン2の受電コイル21が給電コイル36と距離を隔てて設置された場合には受電できない、あるいは受電効率が悪くなるといった問題が発生しうる。
【0043】
この問題を解消するために、受電コイル21が給電コイル36に重なるようにマイクロホンスタンド3へワイヤレスマイクロホン2を設置することができるように誘導用の部材を新たに設けても良い。しかしながら、ワイヤレスマイクロホン2をマイクロホンスタンド3に置く動作は、ユーザが、ワイヤレスマイクロホン2の使用中に意識することなく行う動作であり、毎回、指定の位置に合わせて置くようにするのは新たな煩わしさが発生する。
【0044】
図6に示すように、受電コイル21A、21Bおよび21Cが複数箇所に、例えば3箇所に設けられている。なお、
図6も、
図5と同様に、
図4に示したA−A線に沿った断面を示している。受電コイル21A、21Bおよび21Cの各々は、ケース20の周面に、互いに離間して複数設けられる。このような構成によって、ワイヤレスマイクロホン2の受電コイル21A、21Bおよび21Cの何れかが容易に給電コイル36に近接して置かれることとなり、ワイヤレスマイクロホン2は効率良く受電することができるようになる。なお、ワイヤレスマイクロホン2の容積、重量、コイルのノイズ、干渉および内部回路の複雑化等の観点から3箇所に受電コイル21を設置するのが好ましい。
【0045】
図7に示すように、受電部の一例としての受電コイル21A、21Bおよび21Cが3箇所にそれぞれ設けられる。それぞれの受電コイル21A、21Bおよび21Cから出力される交流は整流回路22A、22Bおよび22Cでそれぞれ直流に変換される。整流回路22A、22Bおよび22Cの各々で変換された直流が加算されて充電制御回路25に供給される。充電制御回路25に供給された直流が電池23に供給され、供給される電力によって電池23は充電される。
【0046】
このように、複数箇所に設けられる受電コイル21A、21Bおよび21Cの各々が電池23に接続されており、受電コイル21A、21Bおよび21Cの何れか1つでも給電コイル36と近接していれば電池23を充電することができるように構成されている。すなわち、受電コイル21A、21Bおよび21Cの何れから受電してもワイヤレスマイクロホン2へ給電できるように構成されており、マイクロホンホルダ30の給電コイル36(
図6参照)から効率良く受電することができる。このような構成によって、ワイヤレスマイクロホン2のマイクロホンホルダ30への設置の状態に影響されずにワイヤレスマイクロホン2へ電源を供給することが可能となる。
【0047】
ワイヤレスマイクロホン2に電源が供給されている間は、供給されている電源によって駆動しても良く、電池23(
図2、
図3参照)への充電動作を併せて行っても良い。一方で、ワイヤレスマイクロホン2がマイクロホンホルダ30から外された場合、あるいはマイクロホンスタンド3が電源装置4から外れた位置へ移動された場合には、電源供給が停止される。この場合には、ワイヤレスマイクロホン2は内蔵された電池23によって駆動する。
【0048】
非接触電力伝送では、コイルの電磁誘導によって電力が伝送されるため、ワイヤレスマイクロホン2の使用する電波帯域との干渉を防ぐ必要があり、受電部および給電部はシールド構造にする等の対策が必要となる。なお、携帯電話等で用いられている方式では使用周波数が110kHz〜205kHzとされている。本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1では、ワイヤレスマイクロホン2の周波数と非接触電力伝送の際の周波数との帯域の干渉を避けることが考慮されて構成されている。
【0049】
[アタッチメントの構成]
本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1では、第1の非接触電力伝送部50(
図2、
図3参照)および第2の非接触電力伝送部60(
図2、
図3参照)が同じ規格で構成されている。すなわち、受電コイル21と受電コイル32(
図2、
図3参照)、および給電コイル36と給電コイル40(
図2、
図3参照)の各々が同じ規格で構成されている。
【0050】
このように構成される本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1のワイヤレスマイクロホン2は電源装置4の上に置かれた場合にも給電コイル40から直接受電することが可能とされている。したがって、本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン2の受電コイル21は、マイクロホンスタンド3のマイクロホンホルダ30に設けられた給電コイル36または平面に設けられた電源装置4の給電コイル40からの電力を受電する。
【0051】
マイクロホンスタンド3が用いられない一例として、会議室等で、ワイヤレスマイクロホン2を複数人が交代で使用するような場合が想定される。このような場合において、ワイヤレスマイクロホン2は、使用されていない間には机の上等に置かれることになる。このとき、上述したステージ100の電源装置4に相当する給電装置が机の上に設置され、給電コイル40(
図2、
図3参照)の上にワイヤレスマイクロホン2が置かれることによって給電されるようにすることができる。
【0052】
図8A〜
図8Cには、上述した例のようなワイヤレスマイクロホン2の平面設置を考慮した本開示の一実施の形態に係るアタッチメント26を示す。本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン2は、
図8Aに示されるアタッチメント26が取り付け可能な構造にしても良い。
【0053】
図8Aに示すように、アタッチメント26は略環状である。アタッチメント26には例えば樹脂が用いられる。樹脂以外にも、伸縮性を有する例えばゴムが用いられても良い。アタッチメント26には、その外周面からさらに外周方向に突出する突起27が設けられる。
図8Aにおいて突起27は3箇所に設けられている。なお、突起27の数は、ワイヤレスマイクロホン2に設けられる受電部の数に対応して決定される。
【0054】
図8Bに示すように、アタッチメント26は、ワイヤレスマイクロホン2の例えばマイクロホンヘッド28に取り付けられる。アタッチメント26は、筒状のケース20が延びる長手方向に対して垂直方向にマイクロホンヘッド28を周回するように取り付けられる。
【0055】
図8Cに示すように、アタッチメント26が取り付けられたワイヤレスマイクロホン2が図示せぬ給電装置が設けられる平面200上に置かれる。
図8Cには、受電コイル21の位置が模式的に示されている。本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン2は、平面200に置かれたときの位置を規制するアタッチメント26が取り付け可能とされる。そして、アタッチメント26は、ワイヤレスマイクロホン2の置かれたときの受電コイル21が平面200の図示せぬ給電装置と近接して位置するように取り付けられる。
【0056】
すなわち、机の上、ステージ100(
図1参照)の床面等の平面200の上にワイヤレスマイクロホン2が置かれて転がった場合にアタッチメント26に設けられる突起27によってその回転を止めることができる。ワイヤレスマイクロホン2の転がりが止まった際の受電コイル21の位置が平面200と近接するようにアタッチメント26が調整される。アタッチメント26は、上述した調整を可能とするために、ワイヤレスマイクロホン2に対して着脱自在に構成されている。
【0057】
アタッチメント26によってワイヤレスマイクロホン2の受電コイル21の何れかが平面設置された給電装置の上に容易に置かれることとなり、ワイヤレスマイクロホン2は効率良く受電することができるようになる。なお、上述したアタッチメント26は一例であって、ワイヤレスマイクロホン2の転がりを止めることができるのであれば突起27をそれ以外の形状(例えば矩形状)に形成しても良いし、逆に溝状としても良い。
【0058】
次に、本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン回路に対する電源供給経路の構成について説明する。
図9Aは、本開示の一実施の形態に係るワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の一構成例を概念的に示す。
図9Aには、ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路として、入力端子T
inと、スイッチSW1と、電池23と、無線伝送部、増幅器等を含むワイヤレスマイクロホン回路29とが示されている。入力端子T
inには、上述した非接触電力伝送部からの電源が供給される。
【0059】
スイッチSW1は、第1の端子aと、第2の端子bと、第3の端子cとを有している。そして、第3の端子cは、第1の端子aおよび第2の端子bの何れかとの間で択一的に導通する。ワイヤレスマイクロホン2の筒状のケース20(
図1参照)等に設けられる図示せぬ電源(トーク)スイッチが切り替えられることによってスイッチSW1内の各端子間の導通状態が切り替えられる。すなわち、ワイヤレスマイクロホン2の不使用時に電源スイッチがオフとされることによって、第1の端子aと第3の端子cとの間が導通状態とされ、第2の端子bと第3の端子cとの間が非導通状態とされる。一方で、ワイヤレスマイクロホン2の使用時に電源スイッチがオンとされることによって、第2の端子bと第3の端子cとの間が導通状態とされ、第1の端子aと第3の端子cとの間が非導通状態とされる。
【0060】
入力端子T
inに対して、スイッチSW1の第1の端子aが接続されている。さらに、電池23に対しては、スイッチSW1の第3の端子cが接続されている。さらに、ワイヤレスマイクロホン回路29に対しては、スイッチSW1の第2の端子bが接続されている。
【0061】
次に、ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の一構成例における電源供給について説明する。ワイヤレスマイクロホン2の不使用時に電源スイッチがオフとされる場合には第1の端子aと第3の端子cとの間が導通状態とされる。入力端子T
inから入力される電源は、スイッチSW1の第1の端子aと第3の端子cとを通じて電池23に供給される。供給される電力によって電池23が充電される。
【0062】
一方で、ワイヤレスマイクロホン2の使用時に電源スイッチがオンとされる場合には第2の端子bと第3の端子cとの間が導通状態とされる。電池23の電力が、スイッチSW1の第3の端子cと第2の端子bとを通じてワイヤレスマイクロホン回路29に供給される。供給される電力によって、ワイヤレスマイクロホン回路29が動作してワイヤレスマイクロホン2が機能する。
【0063】
ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の一構成例では、電源スイッチが切り替えられることによって、電池23への充電と、電池23からの放電とが切り替えられる。
【0064】
次に、
図9Bは、ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の他の構成例を概念的に示す。
図9Bには、ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路として、入力端子T
inと、電池23と、スイッチSW2と、ワイヤレスマイクロホン回路29とが示されている。入力端子T
inには、上述した非接触電力伝送部からの電源が供給される。なお、図示しないが、入力端子T
inに対する電源の供給の有無を検出する検出部が設けられている。なお、図示せぬ検出部は、ワイヤレスマイクロホン2が受電した電力を検出しても良く、ワイヤレスマイクロホン2がマイクロホンスタンド3に取り付けられたことを検出するようにしても良い。
【0065】
スイッチSW2は、入力端子aと、入力端子bと、出力端子cとを有している。そして、出力端子cは、入力端子aおよび入力端子bの何れかとの間で択一的に導通する。スイッチSW2内の各端子間の導通は、入力端子T
inからの電源供給の有無によって切り替えられる。すなわち、入力端子T
inからの電源供給がある場合には、入力端子aと出力端子cとの間が導通状態とされ、入力端子bと出力端子cとの間が非導通状態とされる。一方で、入力端子T
inからの電源供給がない場合には、入力端子bと出力端子cとの間が導通状態とされ、入力端子aと出力端子cとの間が非導通状態とされる。
【0066】
入力端子T
inに対して、スイッチSW2の入力端子aおよび入力端子bの各々が接続されている。さらに、入力端子T
inと入力端子bとの間の経路から分岐して電池23が接続されている。さらに、ワイヤレスマイクロホン回路29に対しては、スイッチSW2の出力端子cが接続されている。
【0067】
次に、ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の他の構成例における電源供給について説明する。入力端子T
inからの電源供給がある場合には入力端子aと出力端子cとの間が導通状態とされる。入力端子T
inから入力される電源は、スイッチSW2の入力端子aと出力端子cとを通じてワイヤレスマイクロホン回路29に供給される。供給される電力によって、ワイヤレスマイクロホン回路29が動作してワイヤレスマイクロホン2が機能する。それとともに、入力端子T
inから入力される電源は電池23に供給される。供給される電力によって電池23が充電される。
【0068】
一方で、入力端子T
inからの電源供給がない場合には入力端子bと出力端子cとの間が導通状態とされる。電池23に蓄電された電力が、スイッチSW2の入力端子bと出力端子cとを通じてワイヤレスマイクロホン回路29に供給される。電池23から供給される電力によって、ワイヤレスマイクロホン回路29が動作してワイヤレスマイクロホン2が機能する。
【0069】
ワイヤレスマイクロホン2の電源供給経路の他の構成例では、入力端子T
inからの電源供給の有無によって、電池23への充電と、電池23からの放電とが切り替えられる。
【0070】
なお、以上に説明が行われた本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステム1は、金属製、樹脂製等の材料を問わず、種々のワイヤレスマイクロホンおよびマイクロホンスタンドに適用することができる。
【0071】
「一実施の形態の効果」
本開示の一実施の形態に係るマイクロホンシステムによれば、電源装置の給電面上にマイクロホンスタンドが設置され、マイクロホンホルダにワイヤレスマイクロホンが取り付けられている間は、ワイヤレスマイクロホンに電源が供給され続けるようにすることができる。したがって、ワイヤレスマイクロホンが、本体に内蔵の電池で駆動する時間を極力少なくすることが可能となり、電池残量に関わるストレスを軽減することができる効果を奏する。
【0072】
さらに、本開示の一実施の形態によれば、
図9Bの例のように、電池の充電を行いながら、ワイヤレスマイクロホンを動作させることができる。したがって、ワイヤレスマイクロホンが上述の状態で使用されている間はワイヤレスマイクロホンの電池が消耗せず、電池残量の低下速度を遅くすることが可能となる効果を奏する。なお、この効果は、電源装置の給電面上にワイヤレスマイクロホンが直接置かれた場合にも同様である。
【0073】
本開示の一実施の形態によれば、マイクロホンスタンドに蓄電池を内蔵することが可能であり、ワイヤレスマイクロホンよりも大きい容積を有するマイクロホンスタンドは蓄電池容量を大きくすることが容易である。そして、ステージ上に、複数台の電源装置を効率良く配置することも容易である。したがって、簡単な構成で、ワイヤレスマイクロホンが、本体に内蔵の電池で駆動する時間を極力少なくすることが可能となり、電池残量に関わるストレスを解放することができる効果を奏する。
【0074】
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いても良い。
【0075】
また、上述の実施の形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。