【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下の技術案により実現される。
【0009】
コークス石炭の蒸気管回転乾燥、選別分級及び造粒方法であって、湿潤コークス石炭の計測、蒸気管回転乾燥、排気ガス処理、蒸気凝縮液の回収、選別分級、押出造粒、安全保護、及び湿潤コークス石炭の乾燥と水分含有量の制御によりコークス炉用原料炭の調湿、乾燥、選別分級、押出造粒の目的を実現し、その特徴として、以下の工程を含む。
【0010】
a)
蒸気管回転乾燥工程は、原料炭ホッパー1の湿潤コークス石炭について、鉄分と不純物を除去し、さらにオンラインにて温度(−10〜20℃)、水分含有量(11〜16%)のパラメーターを解析記入した後に、秤量計測2を行い、所定の量を原料供給用スパイラルコンベア3で蒸気管回転乾燥機4に送入し、湿潤コークス石炭を蒸気管回転乾燥機4内の飽和蒸気または過熱蒸気で満たされる套管と十分に接触させて熱交換させ、水分を蒸発させた後、原料排出用スパイラルコンベア14でコークス炉に搬送してコーキングを用い、この過程において、循環ファン10で一部のコークス炉の煙道排ガスAを蒸気管回転乾燥機4内に送入し、内部に入った湿潤コークス石炭と並流接触させるとともに、湿潤コークス石炭から蒸発される水蒸気を蒸気管回転乾燥機4から取り出し、排気ファン6の作用下において、コークス炉の煙道排ガスAを少量の微粉炭を含む水蒸気とともに袋式の集塵機5に移行させて気体と固体に分離し、分離された微粉炭を押出造粒ユニットに送入し、コークス炉の煙道排ガスAが浄化された後の乾燥排気ガスDを全部排出し、蒸気管回転乾燥機4内において湿潤コークス石炭と熱交換を行い、凝縮液となって凝縮液フラッシュ蒸発回収システム19に移行させ
る。
【0011】
b)
選別分級工程は、調湿乾燥済みのコークス石炭を、原料排出用スパイラルコンベア14によりベルトコンベア15に搬送し、その後に秤量チャンバー16に移行させ、秤量計測してから送料用スパイラルコンベア17の供給ポートCを経由して均一に分級器18内に送入し、送料用スパイラルコンベア17の底部において分級器18の内部に沿って溝を設け、溝幅は徐々に大きくなっており、下部にガイド板を設け、ガイド板に複数の通気孔を設け、一次コークス炉の煙道排ガスEが、第1加圧ファン13によって加圧された後に分級器18のガイド板の底部に移行して下方より上方へ向いて通気孔を通過し、それによって、調湿済みの乾燥石炭の中の大量の微粉炭を流動化状態にして一次選別分級を行い、微粉炭を、収集ろ過用の尾部誘引ファン9の作用下において一次コークス炉の煙道排ガスEとともに分級器18の頂部に移行させて粗粒炭の沈降を行い、0.5mmより小さい微粉炭を、一次コークス炉の煙道排ガスEとともに収集ろ過システムに移行させ、一次選別分級済みのコークス石炭に依然として大量の微粉炭が含まれているので、微粉炭を、ガイド板の外側に沿って引き続き分級器18の底部に落下させて二次選別分級を行い、その位置にサーキュラー分散板を設け、サーキュラー分散板に通気孔を設け、コークス石炭がサーキュラー分散板に沿って下方へ移行する際に、第2加圧ファン12によって加圧された後の二次コークス炉の煙道排ガスFと十分に接触させて順次に分離プロセスを完成し、大量の微粉炭を流動化分離した後に、二次コークス炉の煙道排ガスFとともに分級器18の頂部に移行させて二次粗粒炭の沈降を行い、0.5mmより小さい微粉炭も二次コークス炉の煙道排ガスFとともに収集ろ過システムに移行させ、二次選別分級済みのコークス石炭については、大量の微粉炭が既に分離されているので、良好な分離効果を確保し、且つ
、作業調整を可能にするために、さらに第3加圧ファン11によって加圧された後の三次コークス炉の煙道排ガスGと二次選別分級済みのコークス石炭を接触させて三次選別分級を行い、選別分級された微粉炭も同様に三次コークス炉の煙道排ガスGとともに分級器18の頂部に移行させて粗粒炭の沈降を行い、0.5mmより小さい微粉炭は、三次コークス炉の煙道排ガスGにつれて収集ろ過システムに移行され
る。
【0012】
c)
収集ろ過工程は、一次選別分級、二次選別分級、三次選別分級済みの微粉炭を、コークス炉の煙道排ガスAとともに収集ろ過システムに移行させ、袋式のろ過器8を利用して気体と固体に分離し、分離された微粉炭を、袋式のろ過器8の底部から排出し、コークス炉の煙道排ガスと窒素ガスによって不活化された排気ガスHを、誘引ファン9の作用下で全部排出す
る。
【0013】
d)
押出造粒工程は、袋式の集塵機5及び袋式のろ過器8の底部から排出される微粉炭を、フライトコンベア7で押出造粒ユニットのバッファーリングチャンバー20内に搬送し、バッファーリングチャンバー20に窒素ガスによる不活化保護を設け、計測された94〜95%の微粉炭を、粘結剤Bとしての計測された5〜6%の
タールスラッジなどの廃棄物とともに高速混練器21内に搬送し、60〜80℃で均一に混合し、その後、円錐式の送料機22にて脱気処理して押出造粒機23内に押入して造粒を行い、得られる粒炭の粒径は3〜8mmであり、造粒後の粒炭の嵩密度は0.6〜0.8t/m
3であり、さらに分級器18の底部の排出ポートLから排出される大量のコークス石炭と混合して併せてコークス炉に搬送してコーキングす
る。
【0014】
また、前記
三次選別分級は、供給ポートの気流速度を15〜30m/sにして2mmより小さい粒炭を前記分級器18の沈降ゾーンに取り入れ、風速が低下した後、0.5mmより大きい粒を沈降させ、0.5mmより小さい微粉炭を、コークス炉の煙道排ガスE、F、Gで前記分級器18から取り出す工程を含む。
【0015】
本発明において、上記方法を実現するための専用設備として、(1)蒸気管回転乾燥ユニットと、(2)選別分級ユニットと、(3)収集ろ過ユニットと、(4)押出造粒ユニットとを含んでいる。
【0016】
(1)蒸気管回転乾燥ユニットは、原料炭ホッパー1と、定量供給機2と、原料供給用スパイラルコンベア3と、循環ファン10と、排気ファン6と、袋式の集塵機5と、原料排出用スパイラルコンベア14と、凝縮液フラッシュ蒸発回収システム19とによって構成されており、その内、原料炭ホッパー1は、鉄分と不純物が除かれ、さらにオンラインにて温度及び水分含有量が解析記入された湿潤コークス石炭を貯蔵し、定量供給機2は、原料炭ホッパー1の湿潤コークス石炭を秤量計測し、原料供給用スパイラルコンベア3は、秤量計測済みの湿潤コークス石炭を蒸気管回転乾燥機4に搬送し、蒸気管回転乾燥機4は、原料供給用スパイラルコンベア3によって搬送される投料(投入される材料)の乾燥と分級が一体に行われる多機能乾燥機であり、循環ファン10は、一部のコークス炉の煙道排ガスAを蒸気管回転乾燥機4内に送入し、内部に入っている湿潤コークス石炭と並流接触させるとともに、湿潤コークス石炭から蒸発される水蒸気を蒸気管回転乾燥機4から取り出し、排気ファン6は、コークス炉の煙道排ガスAによって取り出され、且つ
、少量の微粉炭を含む水蒸気を袋式の集塵機5に送入し、袋式の集塵機5は、蒸気管回転乾燥機4によって乾燥されたコークス炭とそれと同時に入るコークス炉の煙道排ガスAを気体と固体に分離し、原料排出用スパイラルコンベア14は、蒸気管回転乾燥機4によって乾燥されたコークス石炭をコークス炉に搬送してコーキングし、凝縮液フラッシュ蒸発回収システム19は、蒸気管回転乾燥機4内の飽和蒸気または加熱蒸気と湿潤コークス石炭とが熱交換して形成する凝縮液を回収する。
【0017】
(2)選別分級ユニットは、原料排出用スパイラルコンベア14と、ベルトコンベア15と、秤量チャンバー16と、送料用スパイラルコンベア17と、分級器19と、加圧ファン13と、誘引ファン9と、加圧ファン12と、加圧ファン11とによって構成されており、その内、原料排出用スパイラルコンベア14は、蒸気管回転乾燥機4によって乾燥されたコークス石炭をベルトコンベア15に搬送し、秤量チャンバー16は、ベルトコンベア15が搬送するコークス石炭を秤量計測し、送料用スパイラルコンベア17は、秤量チャンバー16で秤量計測したコークス石炭を均一に分級器18内に送入し、分級器18は、送料用スパイラルコンベア17によって送入されるコークス石炭について選別分級を行い、第1加圧ファン13は、一次コークス炉の煙道排ガスAを加圧してガイド板に設けられる通気孔を通過させ、分級器18に搬送されるコークス石炭を一次選別分級して0.5mmより小さい微粉炭を分離し、誘引ファン9は、一次選別分級済みのコークス石炭を一次コークス炉の煙道排ガスEにつれて分級器の頂部に移行させて粗粒炭の沈降を行い、0.5mmより小さい微粉炭を、一次コークス炉の煙道排ガスEにつれて収集ろ過システムに移行させ、第2加圧ファン12は、コークス石炭を二次選別分級して0.5mmより小さい微粉炭をさらに流動化分離し、0.5mmより小さい微粉炭を、二次コークス炉の煙道排ガスFにつれて収集ろ過システムに移行させ、第3加圧ファン11は、コークス石炭を三次選別分級し、0.5mmより小さい微粉炭を、三次コークス炉の煙道排ガスGにつれて収集ろ過システムに移行させる。
【0018】
(3)収集ろ過ユニットは、袋式のろ過器8と、誘引ファン9とによって構成されており、その内、袋式のろ過器8は、一次選別分級、二次選別分級、及び三次選別分級済みの微粉炭を、コークス炉の煙道排ガスE、F、Gにつれて気体と固体に分離し、分離された微粉炭を、袋式のろ過器8の底部から排出し、誘引ファン9は、袋式の集塵機8から分離される排気ガスHを全部放出し、前記収集ろ過ユニットにおいて、一次選別分級、二次選別分級、及び三次選別分級済みの微粉炭は、コークス炉の煙道排ガスE、F、Gにつれて袋式のろ過器8に搬送されて気体と液体に分離され、分離された微粉炭は、袋式のろ過器8の底部から排出され、コークス炉の煙道排ガスE、F、Gは、浄化された後に誘引ファン9によって全部排出されている。
【0019】
(4)押出造粒ユニットは、袋式の集塵機5と、フライトコンベア7と、バッファーリングチャンバー20と、高速混練器21と、円錐式の送料機22と、押出造粒機23とによって構成されており、その内、袋式の集塵機5は、底部から排出される微粉炭を、フライトコンベア7にて押出造粒ユニットのバッファーリングチャンバー20内に搬送し、高速混練器21は、計測済みの微粉炭を、粘結剤として計測済みの
タールスラッジなどの廃棄物と均一に混合させ、円錐式の送料機22は、高速混練器21のガス抜きに用いられ、押出造粒機23は、均一に混合された微粉炭と、粘結剤として
タールスラッジなどの廃棄物を用いて造粒を行い、得られる粒炭の粒径は3〜8mmである。
【0020】
本発明の長所と有益な効果は、以下
のとおりである。
【0021】
1)本発明において、中圧または低圧の余熱飽和または加熱蒸気を用いてコークス石炭について乾燥と調湿を行い、その後、コークス炉の煙道排ガスを用いて調湿後のコークス石炭を選別分級し、それによって、粒径が0.5mm以下の微粉炭によるコークス炉稼動操作への影響を減らし、さらにコークス炉の炉頂に黒鉛が沈着する現象を減らし、ガス捕集管及び上昇管立管が詰まることを避けることができる。選別分級後の0.5mmより小さい微粉炭を、粘結剤として
タールスラッジなどの廃棄物を用いて混合した後、粒径が3〜8mmとなるように造粒機で押出造粒する。それによって、コークス炉の稼動要求を満たし、微粉炭の損失を減らし、且つ
、コークス炉送入炭の粉塵による環境汚染を減らすなどの効果をもたらし、さらに、コークス石炭の品質を改善し、コークス炉のエネルギー消耗を14%減らし、原料コストを減らすことができる。また、コークス炉の生産率を7〜11%程度高め、コークス炉の石炭ガス産量を8%程度高めることができる。
【0022】
2)本発明において、調湿設備として蒸気管回転乾燥機を用いており、処理能力が高く、操作が簡便で、運転が安定で、メンテナンス費用が低いと言った特徴がある。また、乾燥キャリアガスと湿潤コークス石炭を並流接触させ、キャリアガスとして180℃〜220℃の範囲のコークス炉の煙道排ガスを用いる。コークス炉の煙道排ガスを使うということは、排気ガスの余熱を利用することとなり、水蒸気を蒸気管回転乾燥機から取り出し、同時に安全保護の作用がある。分級器は、微粉炭を選別分級するとともに微粉炭について乾燥作用があり、蒸気用量を減らすことができる。
【0023】
3)コークス石炭が分級器内部を移行する際に詰まりが発生する現象を避けるため、本発明の分級器に設けられるガイド板及びサーキュラー分散板は、水平面との夾角がいずれも70°より大きくなっており、ガイド板及び分散板に通気孔を設けることにより微粉炭と粗粒炭が均一に落下し
、且つ、バラバラとなって分離できるようにし、流動化選別分級を容易にできるようにする。要求を満たした微粒は、コークス炉の煙道排ガスとともに分級器の頂部を通過して袋式のろ過器に移行し、収集された微粉炭は、
タールスラッジと一定の比例で混合された後、造粒機に搬送されて押出造粒され、造粒後にそのままコークス炉内に搬送されてコーキングに用いられる。
【0024】
4)コークス炉の煙道排ガス及び少量の窒素ガスは、除塵と浄化されてから直接に排出され、グリーン経済と環境保護の面において国の産業政策に適合している。