【実施例】
【0026】
以下、実施例などに基づき本発明を詳述するが、下記実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0027】
(実施例1a〜1c)
pH7.4の染毛料と、pH7.0の補助剤を準備した。染毛料は、配合比が2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール0.1質量部、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)0.1質量部、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)0.3質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(23E.O.)0.2質量部、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン0.2質量部、塩化セチルトリメチルアンモニウム0.5質量部、セタノール2質量部、流動パラフィン1質量部、パラフィン0.2質量部、ミリスチン酸イソプロピル0.3質量部、ステアリン酸ブチル0.2質量部、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.2質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテル1質量部、グリセリン0.1質量部、リン酸水素二アンモニウム1質量部、香料0.2質量部、水92質量部のものとした。また、補助剤は、市販のニガリ(赤穂化成社製業務用にがり)とした。
【0028】
実施例1a〜1cは、後記の「染色処理」、「前処理」、「後処理」を単独又は組合せて行った後に、毛束を水洗し、乾燥させた。実施例1aでは、前処理の後に染色処理を行った。実施例1bでは、染色処理の後に後処理を行った。実施例1cでは、pHが5.5になるように補助剤を混合した染毛料を使用して染色処理を行った。
【0029】
(比較例1)
実施例1aにおける染毛料を使用し、染毛処理を行った(補助剤を不使用)。
【0030】
(染色処理)
ヤク毛の白色毛束(ビューラックス社製「BM−YK」)一本に対して染毛料5gを塗布し、室温で5分間放置した。これを染色処理とした。
【0031】
(前処理)
染色処理対象の毛束に補助剤を噴霧してから、一分間放置した。これを前処理とした。
【0032】
(後処理)
染色処理した毛束に補助剤を噴霧してから、一分間放置した。これを後処理とした。
【0033】
図1は、実施例1a〜1c及び比較例1で処理した毛束を示している。染色の濃淡について毛束を目視確認した結果、実施例1a〜1cは比較例1よりも染色性が良く、特に前処理又は用時混合した実施例1aと実施例1cの染色性が良好であった。
【0034】
(実施例2)
前処理及び染色処理を実行する実施例1aと同様にして、毛束を染色した。
【0035】
(比較例2)
2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノールの配合比を比較例1の3倍量とした以外は比較例1と同様にして、毛束を染色した(配合比を3倍量としたのは、実施例2の毛束と同程度に染色するため。)。
【0036】
(褪色試験)
実施例2及び比較例2による染色した毛束について、褪色試験を行った。褪色試験は、毛束一本を80gの3%シャンプー水溶液(シャンプー:ミルボン社製「ディーセス ノイ ウィローリュクス シャンプー」)に浸漬させ、恒温振盪機(LAB−THERMO SHAKER TS−20、SHAKER CONTROL設定6、温度設定40℃)の条件で5分間、10分間又は20分間振盪してから、毛束を水洗、乾燥させた。褪色試験においては、褪色試験前及び各振盪時間の褪色試験終了後のL
*、a
*、b
*、及び褪色試験前を基準としたΔE
*abを分光測色計を用いて算出した(算出値は、測定6回の平均値)。
【0037】
下表1に、実施例2及び比較例2の毛束の褪色試験結果を示す。表1に示す通り、ΔE
*abに関して、実施例2の方が比較例2よりも小さな値であることから、補助剤により褪色抑制が向上したことを確認できる。
【表1】
【0038】
(参考例1a〜1g)
2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノールを0.5質量%含ませた上記基本組成の参考例1a〜1gの染毛料を使用し、上記染色方法により毛束を処理し、水洗、温風乾燥させた。ここで使用した各参考例の染毛料はリン酸及び/又は2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを使用してpHを調整したものであり、参考例1aのpH1.8はとし、参考例1bのpH2.7はとし、参考例1cのpH3.7はとし、参考例1dのpH5.9はとし、参考例1eのpH6.9はとし、参考例1fのpH8.8はとし、参考例1gのpH9.6はとした。
【0039】
図2は参考例1a〜1gの染毛料で処理した毛束を示すものであり、毛束により染色の濃淡に差が生じていることを確認できる。すなわち、pHが5.9である参考例1dの染毛料で処理した毛束が最も濃く染まり、そのpHとの差が大きな程に毛束の色が薄まっていた。
【0040】
(参考例2a〜2b)
pHが異なる参考例2a〜2bの染毛料を製造した。pHと配合比は、下記の通りとした。
参考例2a:
2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール 0.5質量部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 1質量部
水 99.5質量部
pH 4.5
参考例2b:
2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール 0.5質量部
リン酸水素二アンモニウム 1質量部
pH 7.0
【0041】
参考例2a〜2bの染毛料を収容した透明の密栓容器を温度−2℃で3日間放置してから、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノールの析出有無を確認した結果、pH4.5の参考例2aの染毛料には析出が確認され、pH7.0の参考例2bの染毛料には析出が確認されなかった。
【0042】
(参考例3a〜3d)
リン酸水素二アンモニウム1質量%水溶液(参考例3a、pH7.9)、リン酸二水素アンモニウム1質量%水溶液(参考例3b、pH7.9)、リン酸水素二ナトリウム1質量%水溶液(参考例3c、pH9.2)、クエン酸ナトリウム1質量%水溶液(参考例3d、pH8.1)を調製した。参考例3a〜3dの水溶液のいずれか9質量部と、ニガリ(pH7.0)1質量部とを混合し、pHを測定した。
【0043】
下記表2は、上記混合後のpHなどを示すものである。
【表2】
【0044】
上記表の通り、リン酸塩水溶液である参考例3a〜3cを混合した場合は、クエン酸塩水溶液である参考例3dでは認められないpHの低下傾向を示した。この傾向は、リン酸塩が配合された染毛料のpHを低下させると想定されるものであるから、染料(2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール)の染色性向上を期待できる結果であると共に、色落ち抑制に必要となる毛髪内での染料析出の促進を期待できる結果でもある。
【0045】
(参考例4)
参考例4として、リン酸水素二アンモニウム1質量%水溶液(pH7.9)、及び塩化マグネシウム1質量%水溶液(pH5.5)を調製した。そして、リン酸水素二アンモニウム1質量%水溶液:塩化マグネシウム1質量%水溶液=9:1の質量比で混合してpHを測定した。
【0046】
下記表3は、上記混合後のpHなどを示すものである。参考例4の混合液においても、参考例3a〜3cと同様の傾向が認められた。
【表3】