特許第6047072号(P6047072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6047072-給排気筒 図000002
  • 特許6047072-給排気筒 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047072
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】給排気筒
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/04 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   F23L17/04 606U
   F23L17/04 D
   F23L17/04 606K
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-146143(P2013-146143)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-17774(P2015-17774A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】和田 博
(72)【発明者】
【氏名】中村 政晴
(72)【発明者】
【氏名】足立 真人
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−144639(JP,U)
【文献】 特開平11−132445(JP,A)
【文献】 特開平07−208731(JP,A)
【文献】 特開平07−217865(JP,A)
【文献】 特開2008−032280(JP,A)
【文献】 特開平09−203519(JP,A)
【文献】 実開平02−021447(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気路を形成する内側排気筒と、その外側に給気路を形成するための外側給気筒とを有する二重筒構造で室内側に設けられる給排気筒本体と、先端部分の全周に複数の排気口を形成し、管内に排気路を形成する外側排気筒と、先端部分がラッパ状に拡管された拡管部を有し、前記外側排気筒を内包して外側排気筒の外周との隙間により給気路を形成する内側給気筒とを有する二重筒構造で室外側に設けられる給排気筒トップとを備え、前記給排気筒トップの外側排気筒と給排気筒本体の内側排気筒とが密接して嵌合し、同時に給排気筒トップの内側給気筒が給排気筒本体の外側給気筒に嵌合し、壁を給排気筒本体と給排気筒トップとで挟み込んで構成される給排気筒において、前記内側給気筒の拡管部の周りに拡管部断熱パッキンを設けると共に、内側給気筒の拡管部よりも壁側の内側給気筒の周りに給気管断熱パッキンを設けたことを特徴とする給排気筒。
【請求項2】
前記給気管断熱パッキンと内側給気筒との間及び拡管部断熱パッキンと拡管部との間に空気層を形成したことを特徴とする請求項1記載の給排気筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外給排気式の燃焼機器に使用される二重筒状の給排気筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、排気筒の排気口と給気筒の給気口との間に鍔状の空室を設け、排気筒には空室へ排気を迂回させる連絡口を設けることにより、鍔状の空室の全体が高温に保持され、雪などが吹き込んでも氷結などして給気路を塞ぐ事故を防止するものがあった。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−217865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、最低気温が低くなければ、空室に迂回された排気により空室全体が排気温に近い温度を保持し、壁面から突出する排気筒や空室に雪が吹き付けても、直ちに溶かしてしまい、雪で給気路を塞いだり、氷の膜ができるのを防止できるが、最低気温が低い場合、例えば最低気温が−20℃以下の日が続くような場所では、空室に迂回された排気の熱だけでは氷結を防止できず、給気路が塞がる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、排気路を形成する内側排気筒と、その外側に給気路を形成するための外側給気筒とを有する二重筒構造で室内側に設けられる給排気筒本体と、先端部分の全周に複数の排気口を形成し、管内に排気路を形成する外側排気筒と、先端部分がラッパ状に拡管された拡管部を有し、前記外側排気筒を内包して外側排気筒の外周との隙間により給気路を形成する内側給気筒とを有する二重筒構造で室外側に設けられる給排気筒トップとを備え、前記給排気筒トップの外側排気筒と給排気筒本体の内側排気筒とが密接して嵌合し、同時に給排気筒トップの内側給気筒が給排気筒本体の外側給気筒に嵌合し、壁を給排気筒本体と給排気筒トップとで挟み込んで構成される給排気筒において、前記内側給気筒の拡管部の周りに拡管部断熱パッキンを設けると共に、内側給気筒の拡管部よりも壁側の内側給気筒の周りに給気管断熱パッキンを設けたものである。
【0006】
また、請求項2では、前記給気管断熱パッキンと内側給気筒との間及び拡管部断熱パッキンと拡管部との間に空気層を形成したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、内側給気筒の拡管部の周りに拡管部断熱パッキンを設けると共に、内側給気筒の拡管部よりも壁側の内側給気筒の周りに給気管断熱パッキンを設けたので、拡管部付近の給気路の入り口部分が外気により冷却されるのを防止すると共に、拡管部により流速が遅くなって外側排気筒と熱交換して温度の上昇した給気路の入り口付近の給気の熱が外に逃げるのを防止でき、給気路の入り口部分が氷結するのを防止できるものである。
【0008】
また、請求項2によれば、給気管断熱パッキンと内側給気筒との間及び拡管部断熱パッキンと拡管部との間に空気層を形成したので、更に断熱性能が向上して拡管部付近の給気路の入り口部分が外気により冷却されるのを防止すると共に、拡管部により流速が遅くなって外側排気筒と熱交換して温度の上昇した給気路の入り口付近の給気の熱が外に逃げるのを防止でき、給気路の入り口部分が氷結するのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態の断面図。
図2】同分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明の一実施形態における給排気筒を図に基づいて説明する。
1は給排気筒で、室内と室外を仕切る壁2に設けた貫通孔3を介して、屋内側からは給排気筒本体4と屋外側からは給排気筒トップ5を嵌合させてなり、給排
気筒トップ5は屋外に突出して備えられている。
【0011】
前記給排気筒本体4は、排気路を形成する内側排気筒6と、その外側に給気路を形成するための外側給気筒7を備え屋外側の端部を開放した二重筒構造である。
そして、給排気筒本体4の屋内側端部に来る内側排気筒6及び外側給気筒7を室内に設置した燃焼器具(図示せず)と接続するためのターミナル部8が設けられている。
【0012】
このターミナル部8には、前記燃焼器具の給気菅及び排気管が接続される排気筒接続口9と給気筒接続口10が設けられている。
又、外側給気筒7には、その屋外方向の先端部から給気筒接続口10の近傍にまで連続してめねじ部11が形成されている。
【0013】
前記給排気筒トップ5は屋内側の端部を開放した二重筒構造であり、先端部分の全周に複数の排気口12を形成し、管内に排気路13を形成する外側排気筒14と、先端部分がラッパ状に拡管された拡管部15を有し、前記外側排気筒14を内包して外側排気筒14の外周との隙間により給気路16を形成する内側給気筒17と、中空の円板状で中空部分に外側排気筒14が差し込まれて中空と外側排気筒14の外周との隙間により給気口18を形成する前面化粧プレート19と、該前面化粧プレート19と係合する背面プレート20と、前面化粧プレート19と背面プレート20との間に設けられる給気リング21とからなるものである。
【0014】
そして、給排気筒トップ5の外側排気筒14の内側に給排気筒本体4の内側排気筒6が密接して嵌合し、同時に給排気筒トップ5の内側給気筒17が給排気筒本体4の外側給気筒7の内側に嵌合し、壁2を給排気筒本体4と給排気筒トップ5とで挟み込んで給排気装置1が構成されているものである。
【0015】
22は壁2の室外側に当接する中空の円板状の室外フランジで、該室外フランジ22と壁2の室外側との間には、壁2との隙間を無くして室外フランジ22と壁2に密着する外パッキン23を設けると共に、室外フランジ22の給排気筒トップ5側には、内側給気筒17の拡管部15を内方する中空略円筒状のスペーサ24が設けられているものである。
【0016】
前記スペーサ24は、内側給気筒17の拡管部15が位置するところに中空の仕切り部25が形成され、該仕切り部25の壁2側にはクロロプレンゴムからなる中空円筒状の給気管断熱パッキン26が内蔵され、仕切り部25の給排気筒トップ5側にはクロロプレンゴムからなる中空円筒状の拡管部断熱パッキン27が内蔵され、給気管断熱パッキン26と内側給気筒17との間及び拡管部断熱パッキン27と拡管部15との間には密閉された空気層28を形成しているものである。
【0017】
29は中空略円筒状の氷結防止カバーで、中空部分にはラッパ状の排気カバー30を有し、円周部分には給気口18からの空気の他に給気用の空気を取り入れる開口部31が全周に複数形成されているもので、給排気筒トップ5の前面化粧プレート19と背面プレート20とを内包するように設けられると共に、中空部分から外側排気筒14の排気口12部分が突出するように設けられているものである。
【0018】
そして、燃焼器具を運転する際は、屋外からの空気が給気口18を流通し給排気装置1における給排気筒本体4の内側排気筒6と外側給気筒7の間と給排気筒トップ5の外側排気筒14と内側給気筒17の間の空間とを通過して屋内の燃焼器具に燃焼用空気が供給され、燃焼器具からの排気ガスが給排気装置1における給排気筒本体4の内側排気筒6と外側給気筒7の間と給排気筒トップ5の外側排気筒14と内側給気筒17の間の空間を流通し、給排気筒トップ5の屋外側先端部における排気口12から屋外へ排気されるものである。
【0019】
以上のように内側給気筒17の先端部分にラッパ状に拡管された拡管部15を設けたことで、給気路16の入り口部分の断面積を大きくし、それにより給気口18や開口部31から給気路16に流入する空気の流速を遅くして高温の排気ガスにより温度の上昇した外側排気筒14との熱交換を促進でき、温度が低いままの外気により給気路16の入り口部分が氷結するのを防止できるものである。
【0020】
又、内側給気筒17の拡管部15の周りに拡管部断熱パッキン27を設けると共に、拡管部15よりも壁2側の内側給気筒17の周りに給気管断熱パッキン26を設けたので、拡管部15付近の給気路16の入り口部分が外気により冷却されるのを防止すると共に、拡管部15により流速が遅くなって外側排気筒14と熱交換して温度の上昇した給気路16の入り口付近の給気の熱が外に逃げるのを防止でき、給気路16の入り口部分が氷結するのを防止できるものである。
【0021】
又、給気管断熱パッキン26と内側給気筒17との間及び拡管部断熱パッキン27と拡管部15との間に密閉された空気層28を形成したことにより、更に断熱性能が向上して拡管部15付近の給気路16の入り口部分が外気により冷却されるのを防止すると共に、拡管部15により流速が遅くなって外側排気筒14と熱交換して温度の上昇した給気路16の入り口付近の給気の熱が外に逃げるのを防止でき、給気路16の入り口部分が氷結するのを防止できるものである。
【符号の説明】
【0022】
4 給排気筒本体
5 給排気筒トップ
6 内側排気筒
7 外側給気筒
12 排気口
13 排気路
14 外側排気筒
15 拡管部
16 給気路
17 内側給気筒
26 給気管断熱パッキン
27 拡管部断熱パッキン
図1
図2