特許第6047141号(P6047141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧
<>
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000002
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000003
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000004
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000005
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000006
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000007
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000008
  • 特許6047141-高キャンバーステータベーン 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047141
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】高キャンバーステータベーン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/54 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   F04D29/54 E
   F04D29/54 H
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-501232(P2014-501232)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公表番号】特表2014-508895(P2014-508895A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012030070
(87)【国際公開番号】WO2012134937
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月13日
(31)【優先権主張番号】13/072,091
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ビーチャー,ブレント・エフ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,デイヴィッド・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ブリーズ−ストリング−フェロー,アンドリュー
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−214904(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0222488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機用のステータベーンであって、
翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面と、を備え、
前記ステータベーンが更に、
前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
を備え、
前記翼形部は、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において1.4よりも大きい正規化キャンバを有するような正規化キャンバプロファイルを有
前記前縁が、前記内側スパン領域及び前記外側スパン領域の両方において増大する上反角度を有するようなスパン方向の上反角プロファイルを有する前縁を更に備える、ステータベーン。
【請求項2】
圧縮機用のステータベーンであって、
翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面と、を備え、
前記ステータベーンが更に、
前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
を備え、
前記翼形部は、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において1.4よりも大きい正規化キャンバを有するような正規化キャンバプロファイルを有し、
前記根元から前記内側スパン領域において増大する上反角度及び減少する正規化キャンバを有し、前記先端に向けて前記外側スパン領域において増大する上反角度及び増大する正規化キャンバを有する前縁を更に備える、ステータベーン。
【請求項3】
前記内側スパン領域における前記正規化キャンバが1.4よりも大きい、請求項1又は2に記載のステータベーン。
【請求項4】
前記第1の高さ位置が、前記根元から約10%のスパンに配置される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステータベーン。
【請求項5】
前記第2の高さ位置が、前記根元から約80%のスパンに配置される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のステータベーン。
【請求項6】
前記前縁が、中央スパン領域において約−20度〜約+25度の間の上反角度を有するような上反角プロファイルを含む前縁を更に備える、請求項1又は2に記載のステータベーン。
【請求項7】
前記第1の高さ位置が、前記根元から約10%のスパンに配置され、前記第2の高さ位置が、前記根元から約90%のスパンに配置される、請求項6に記載のステータベーン。
【請求項8】
前記前縁が、前記根元において負の上反角度を有し、前記翼形部先端において正の上反角度を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のステータベーン。
【請求項9】
前記外側スパン領域における前記正規化キャンバが1.4よりも大きく、前記内側スパン領域における前記正規化キャンバが、1.4よりも大きく、前記第1の高さ位置が前記根元から10%スパンに配置され、前記第2の高さ位置が前記根元から80%スパンに配置される、請求項1又は2に記載のステータベーン。
【請求項10】
前記前縁が、前記中央スパン領域において約−20度〜約+25度の間の上反角を有する、請求項に記載のステータベーン。
【請求項11】
ガスタービンエンジン用の圧縮機であって、
長手方向中心軸線の周りに円周方向に離間して配置された複数のステータベーンを有し、該ステータベーンが各々、翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面とを有する翼形部を含む、ステータ段と、
前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
を備え、
前記ステータベーンの少なくとも1つが、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において1.4よりも大きい正規化キャンバを有するような正規化キャンバプロファイルを有し、
前記前縁が、前記内側スパン領域及び前記外側スパン領域の両方において増大する上反角度を有するようなスパン方向の上反角プロファイルを有する前縁を更に備える、圧縮機。
【請求項12】
ガスタービンエンジン用の圧縮機であって、
長手方向中心軸線の周りに円周方向に離間して配置された複数のステータベーンを有し、該ステータベーンが各々、翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面とを有する翼形部を含む、ステータ段と、
前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
を備え、
前記ステータベーンの少なくとも1つが、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において1.4よりも大きい正規化キャンバを有するような正規化キャンバプロファイルを有し、
前記根元から前記内側スパン領域において増大する上反角度及び減少する正規化キャンバを有し、前記先端に向けて前記外側スパン領域において増大する上反角度及び増大する正規化キャンバを有する前縁を更に備える、圧縮機。
【請求項13】
前記外側スパン領域における前記正規化キャンバが1.4よりも大きく、前記内側スパン領域における前記正規化キャンバが、1.4よりも大きく、前記第1の高さ位置が前記根元から10%スパンに配置され、前記第2の高さ位置が前記根元から80%スパンに配置される、請求項11又は12に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記前縁が、前記中央スパン領域において約−20度〜約+25度の間の上反角を有する、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、ジェット推進エンジンに関し、より具体的にはジェット推進エンジンにおいて使用される圧縮機ステータベーン翼形部に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンにおいて、空気が圧縮機内で加圧され、燃焼器内で燃料と混合されて高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、タービン段を通って排出され、該タービン段が燃焼ガスからエネルギーを抽出して圧縮機を駆動し、例示的なターボファン航空機エンジン用途においてブースタ(低圧圧縮機)及びファンを駆動する際に使用するための出力を生成する。
【0003】
多段軸流圧縮機は、協働するステータベーン及びロータブレードの列を含み、これらの列は、各段で空気を加圧するようにそのサイズが縮小している。圧縮機ベーン及びブレードは対応する翼形部を有し、該翼形部は通常、圧縮機の性能を最大にするためにこれらのサイズが段毎に縮小するにつれて構成が変化する。圧縮機性能には、例えば、加圧効率、流量性能及び失速マージンが含まれ、これらは全て、ベーン及びブレードの翼形部の空力構成、並びにステータベーン上の外側及び内側境界によって影響を受ける。
【0004】
より具体的には、空気がステータベーン及びロータブレードを通して加圧されているときの該空気の流れすなわち圧力分布は、圧縮機の周りでは円周方向に、ベーン及びブレード翼形部のスパンに沿って半径方向に、また翼形部の円周方向に対向する正圧側面及び負圧側面に沿って軸方向に変化する複雑な三次元流れ場である。各段を通って加圧される空気の実際の流れは、外側及び内側流路が軸方向に移動する空気流と実質的に相互作用をもたらすので、ブレード及びベーンの半径方向スパンにわたって均一ではない。ステータベーンは、流れを効率的に拡散し、適正な速度で下流側ロータに供給する必要がある。ベーン及び流路表面上の境界層が一体となる端壁領域における流れは複雑である。良好なステータ設計は、圧縮機の作動範囲を制限することになる流れ剥離を生じることなく、ロータの要件に適合しなければならない。
【0005】
空気を加圧するよう設計された軸流及び斜流圧縮機ブレードは通常、固定ケーシング内で回転し、機械を通過する流れの全体の圧力及び温度を引き上げる役割を果たす1つ又は複数のロータを有する。圧縮機ロータブレードは、翼形部の本体上で隆起部を保持し、該隆起部は、翼形部の正圧面上でより高い静圧として、翼形部の負圧面上でより低い静圧としてそれ自体が顕在化する。一般に、圧縮機ロータの先端と半径方向に隣接するケーシング流路との間には小さなギャップが存在する。翼形部の正圧側面と負圧側面間の圧力差により、圧縮機ロータの先端ギャップを通る流れがもたらされる。この先端流は、巻き上げられて渦流になることができ、該渦流は、円周方向に隣接するブレードの正圧側面上に集まる傾向があり、圧縮機先端領域における高レベルの損失及び閉塞を生じる。この閉塞は、圧縮機ロータ先端にわたって散在するので、圧力上昇をもたらす圧縮機能力が低下し、場合によっては失速を生じる可能性がある。この問題は、表面摩擦及び2次流の累積的作用によって生じる端壁付近(ステータベーン上の外側及び内側流路境界のような)の弱い流れによって悪化する。端壁付近の弱い流れによって、上述の渦流が下流側に対流せずにロータ先端領域に留まる恐れがある。
【0006】
当該技術分野において、従来の設計では、上述の損失機構に起因して、端壁領域(ステータベーン上の外側及び内側流路境界のような)において圧力及び速度プロファイルが幾分弱くなることが一般に認められている。ステータベーンは、スパン方向で全体的に湾曲しており、端壁付近においてキャンバが僅かに増大しているが、従来では最小値の1.4倍を超えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2133573A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、端壁領域における流れを強化するよう設計されたロータによりステータ作動を改善して、圧縮機の端壁付近での弱い流れを低減できる特別な特徴要素を備えた圧縮機ステータベーンを有することが望ましいことになる。端壁流の速度及び圧力を強化して、ロータにおける先端閉塞の低減を可能にし、これによりスロットルマージンを増大させることができる翼形部を含む圧縮機ロータブレードを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の1つ又は複数の必要性は、翼形部根元と、翼形部先端と、前縁と、後縁と、前縁及び後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面とを有する圧縮機用のステータベーンを提供し、ステータベーンが内側スパン領域及び外側スパン領域を有し、該ステータベーンは、先端に向かってスパン方向で外側スパン領域において増大し且つ外側スパン領域において1.4よりも大きい正規化キャンバプロファイルを有する、本明細書で開示される例示的な実施形態によって対処することができる。別の実施形態において、内側スパン領域における正規化キャンバは、1.4よりも大きい。別の実施形態において、ステータベーンは、前縁が中央スパン領域において約−20度〜約+25度の間の上反角度を有するような上反角プロファイルを含む前縁を備える。
【0010】
本発明と見なされる主題は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲に具体的に指摘し且つ明確に特許請求している。しかしながら、本発明は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの態様に従って構成された多段軸流圧縮機における圧縮機ステータベーンの列の部分側断面図。
図2図1に例示した圧縮機ステータの一部の部分断面等角図。
図3図1及び2に例示したステータベーンの例示的な1つの根元、中央スパン、及び先端で切った、翼形部セクションの平面図。
図4図1に例示した圧縮機ステータベーンの翼形部部分の等角図。
図5】例示的な実施形態において図1に例示したステータベーンの翼形部の半径方向スパンにわたる翼形部正規化キャンバをプロットしたグラフ。
図6】例示的な実施形態において図1に例示したステータベーンの翼形部の半径方向スパンにわたる翼形部前縁の上反角度を度単位でプロットしたグラフ。
図7】圧縮機の例示的な実施形態において図1に例示したブレードの翼形部の半径方向スパンにわたるロータ入口相対速度をプロットしたグラフ。
図8】本発明の例示的な実施形態による圧縮機ロータ翼形部の列を有する多段圧縮機の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
種々の図面を通して同じ参照符号が同じ要素を示す図面を参照すると、図1は、本発明の1つの態様に従って構成された多段軸流圧縮機における圧縮機ステータベーンの列の部分側断面図の一部の概略断面図である。図8は、本明細書において以下で説明されるような、本発明の例示的な実施形態による翼形部10を含む圧縮機ステータベーン204の列を有する多段圧縮機100の概略断面図である。
【0013】
図8において部分的に例示され図示されているのは、ガスタービンエンジンにおける多段軸流圧縮機100の圧縮機ロータ106に好適に取り付けられる圧縮機ブレード104を備えた圧縮機ロータ段102の列である。圧縮機100は、対応する圧縮機ロータブレード(R1、R2、その他として図示)と協働する複数段のステータベーン(S1、S2、その他として図示)を有し、これらは、運転中に空気4が加圧されるにつれて下流側方向(軸方向)にサイズが縮小している。ロータ106は、エンジンの軸方向中心軸線101の周りで軸対称であり、環状外側ケーシング18内でブレード104の全部の列を支持する。圧縮機ロータブレード104の先端12と半径方向に隣接するケーシング18との間には小さなギャップ19が存在する。ロータ106は更に、ブレードを支持する1つ又はそれ以上のディスク109を含む。
【0014】
例示的な圧縮機100(図8)は、半径方向内向きに延びたステータ翼形部10(或いは本明細書ではベーンと呼ばれる)の列を支持する環状外側ケーシング18を含む固定圧縮機ステータ204を備える。ベーン10は、具体的には、高圧タービン(図示せず)によって駆動される支持ロータから半径方向外向きに延びた協働する圧縮機ロータブレード104を通って下流側に空気流4を配向する空力的プロファイルで構成されている。
【0015】
図1及び2を両方とも参照すると、例示的な圧縮機ステータ204は、互いから円周方向に離間して配置され、且つ空気流4の半径方向外側流路34を定める内面を有する外側ケーシング18から半径方向内向きに延びた複数のステータベーン10を含み、該半径方向内側流路は、ベーンに直接的に取り付けられた一体型内側プラットフォーム17(図1及び2を参照)又はシュラウド(図示せず)によって、或いは、下方に配置されるロータシール(図示せず)の一部によって何れかの従来的手法で定められる。
【0016】
ステータベーン10は、互いに同一であり、各ベーン10は、正圧側面又は第1の側面5、6と、円周方向に対向する負圧側面又は第2の側面6とを含み、これらは、前縁20及び後縁30間を軸方向に延び、且つ半径方向内側根元11と半径方向外側先端12との間でベーンのスパンに沿って半径方向に延びている。根元11は、内側流路にて定められ、先端12は、外側流路にて定められる。ベーン先端12は、一体鋳造により、又はケーシングを貫通する相補的アパーチャ内部にろう付けされた延長部によってベーン全体を支持するよう外側ケーシングに好適に固定接合される。
【0017】
図1及び2に最初に図示されるように、各ベーンはまた、ベーン10の中央スパンにて根元と先端の間に半径方向に配置されるピッチセクション40を含み、各ベーンは、根元から先端までベーンの半径方向セクションの各々の空力プロファイル又は輪郭によって定められる(例えば、図3の要素201、202、203を参照)。例示的なベーン10の3つのセクションの平面図が図3により詳細に示され、根元201、ピッチセクション202、及び先端203の相対的幾何形状が例示される。本発明の例示的な実施形態では、根元及び先端セクション201、203におけるキャンバ角は、以下で更に説明するように、ピッチセクション202よりも遙かに大きい。
【0018】
本発明の例示的な実施形態において、ベーン10の空力プロファイルは、所望の圧縮機段に対して決定付けられ、正圧側面5及び負圧側面6間で厚みが増大し、相対的に先鋭な後縁30まで厚みが減少する比較的先鋭な前縁20を含む。ベーンの各半径方向セクションは、前縁から後縁に延びる直線状の翼弦220(「H」、図3を参照)を有し、該翼弦は、下流側の圧縮器ブレードに送給するのに必要な空気流4を転回するため、エンジンの軸方向中心軸101に対して好適な角度方向を有する。各翼弦の特定の角度方向は通常、軸方向中心軸101に対するツイスト角又は食違い角として知られ、特定の空力要件の決定付けに応じて根元11から先端12まで変化する。
【0019】
各圧縮機ステータベーン(翼形部)10は、内側プラットフォーム17(又は他の好適な内側流路構造)の外面と外側ケーシング18の内面との間で半径方向軸線Z(この方向は本明細書では「スパン」と呼ばれ、図1を参照のこと)に沿って延びる。翼形部10は、好適な既知の支持構造(例えば、要素17及び18)と一体的に形成することができ、或いは、従来の手法で取り外し可能に接合することができる。
【0020】
圧縮機ステータベーン10が図1及び2の好ましい実施形態において例示されており、円周方向又は横方向に対向する正圧側面5及び負圧側面6を含む。翼形部正圧側面5は、Y軸(図1を参照)で示される円周方向に対して負圧側面6よりも先行する。軸方向軸Xは、圧縮機(及びエンジン)中心軸101と平行であり、空気4が圧縮機100の複数段(図8を参照)を通って加圧を受けたときに該空気のほぼ下流側方向を示す。
【0021】
正圧側面5及び負圧側面6の対応する面は、軸方向又は翼弦方向に対向する前縁20及び後縁30にて共に接合され、プラットフォームとの接合部にある半径方向内側根元11から、図1に示す根元11からスパン距離に配置される半径方向外側先端12までスパン方向(図1のZ軸)で延びている。図8に示すように、ロータ翼形部ブレード104は、周囲ケーシングの内面に近接して配置され、これらの間に半径方向クリアランス又はギャップ19を定める。
【0022】
本発明の1つの態様において、以下で詳細に説明するように、翼形部10は、該翼形部10に対する特定のキャンバ分布及び前縁20に対する特定の上反角特徴要素を備えた幾つかの幾何形状を有し、翼形部先端12付近の結果として得られる幾何形状は、端壁流(すなわち、内側プラットフォーム17及び外側ケーシング18付近の流れ)の速度及び圧力を増大させ、後続の圧縮機ロータにおける先端閉塞の低減を可能にし、これによるスロットルマージンを増大させる役割を果たす。本明細書で示される種々の実施形態におけるステータベーン10の特定の特徴要素は、相対的に弱い空気流を路前記他ブレード先端領域から出て先端付近で半径方向内向きに引き寄せるのを助ける。次いで、この弱い流れは、翼形部先端領域に滞留して非効率性及び失速の可能性を引き起こすのではなく、空気流4の主本体と混合する。本明細書で記載される翼形部の特定の特徴要素により、失速マージンの改善及び圧縮機100のスロットルレンジの拡張が可能となる。
【0023】
本明細書において以下で詳細に記載される特定の翼形部特徴要素の一部は、本発明の利点をもたらす。例えば、先端12における大きなキャンバは、先端領域における空気のロータ入口速度の増強に寄与する。更に、先端領域における空力スイープ(例えば、図1に「C」で示すような)を追加的に用いて、先端領域における境界層の望ましくない滞留の生成を低減することができる。
【0024】
本明細書で使用される用語「上反角」(又は代替として、「上反角度」)及び「スイープ」は、翼形部の設計において使用される従来用語である(例えば、Leroy H. Smith, JR.他による「Sweep and Dihedral Effects in Axial−Flow Turbomachinery」、Transaction of the ASME, September, 1963を参照)。本明細書で使用される上反角度は、例示の目的で図4において角度「A」211(前縁20に対する)及び「B」212として示されている。角度A及びBは、例証として翼形部10の前縁先端12に示されているが、翼形部上の他の場所に存在してもよい。空力スイープは、局所的スイープ角で表される従来のパラメータであり、流入空気の方向と、軸方向及び円周方向又は接線方向両方の翼形部表面の向きとの関数である。スイープ角は、米国特許第5,167,489号において詳細に定義されており、引用により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される符号規定では、空力スイープ角は、前方スイープにおいて負(−)の値として表され、後方スイープにおいて正(+)の値として表される。
【0025】
図1〜4は、本発明の1つの実施形態による圧縮機ステータベーン10を示している。圧縮機ステータベーン10は、翼形部根元11と、該翼形部根元11からスパン距離に位置する翼形部先端12と、翼形部根元11から翼形部先端12に延びる前縁20と、翼形部根元11から翼形部先端12に延びる後縁30と、前縁20及び後縁30間に延びる翼形部正圧側面5及び負圧側面6と、を含む翼形部10を有する。図1に示すように、翼形部10の前縁20は、翼形部根元11と前縁上の第1の高さ位置41との間に第1の内側スパン領域13(「S1」として示される)と、第1の高さ位置41と該第1の高さ位置から半径方向(スパン方向)外向きに位置する翼形部前縁20上の第2の高さ位置42との間の中央スパン領域23(「S2」として示される)と、第2の高さ位置42と翼形部先端12との間の外側スパン領域14(「S3」として示される)とを有する。スパン(或いはスパン高さと呼ばれる)は、スパン方向で翼形部10の根元11から先端12まで延びる。スパン方向は、図1において「Z」として示される方向である。例示的な実施形態において、第1の高さ位置41は、約10%スパンに位置し、第2の高さ位置42は、約80%スパンに位置する。
【0026】
本発明の1つの態様において、ステータベーン10は、正規化キャンバが先端12に向かうスパン方向で外側スパン領域14において増大し、外側スパン14領域において1.4よりも大きいような正規化キャンバプロファイル130(例えば、図5を参照)を有する。この関連において、本明細書で使用される翼形部又はブレードの「キャンバ」(或いは、「キャンバ角」)は、当該技術分野で知られている従来の意味である。すなわち、翼形部キャンバ(或いは、「キャンバ角」)は、翼形部の前縁と後縁との間の金属アングルの差違である。本明細書で使用されるように、スパン方向位置における用語「正規化キャンバ」は、最小キャンバで除算した、当該特定位置でのキャンバである。正規化に使用される最小キャンバは、必須ではないが、図1において要素40として示されるような中央スパン位置で生じることができる。本発明の例示的な1つの実施形態による、例示的な正規化キャンバプロファイル(すなわち、スパン方向の分布)が図5に示される。本発明の好ましい実施形態において、第2の高さ位置42は、根元から約80%のスパンに位置し、翼形部先端における正規化キャンバは、1.4よりも大きい。図5を参照されたい。本発明の別の態様において、内側スパン領域におけるステータベーン10の正規化キャンバは、根元からスパン方向で内側スパン領域において減少している。好ましい実施形態において、第1の高さ位置41は、根元から約10%のスパンに位置し、内側スパン領域における正規化キャンバは、少なくとも1.4である。別の実施形態において、ステータベーン10の第2の高さ位置42は、根元から約80%のスパンに位置し、翼形部における正規化キャンバは、先端12に向けて増大している。
【0027】
本発明の別の態様において、ステータベーン10は更に、前縁が先端12に向けてスパン方向で外側スパン領域において増大する上反角度を有するような上反角プロファイル(例えば、図6の要素141を参照)を有する前縁20を備えることができる。好ましい実施形態において、ステータベーン10の前縁20は、例えば、図6に示すように、中央スパン領域23において約−20度〜約+25度の間の上反角度を有する。図6は、例えば、図1に示すステータベーン10の本発明の1つの実施形態による例示的な翼形部前縁20の上反角プロファイルを示している。好ましい実施形態において、翼形部先端12における前縁の上反角度は、+25度未満である。この関連において、正の上反角は、ステータベーン10の正圧側面5における先端においてスパン方向の凸面形状を有することになる。好ましい実施形態において、外側スパン領域14は、スパンの約90%から翼形部先端12に延びる。図6を参照されたい。別の例示的な実施形態において、ステータベーン10は、前縁が根元から内側スパン領域で増大する上反角度を有し、且つ先端12に向けて外側スパン領域で増大する上反角度を有するようなスパン方向の上反角プロファイル(図6を参照)を有する前縁20を含む。図6に示す上反角プロファイルを有するステータベーン10の例示的な実施形態において、翼形部は、根元から内側スパン領域13で増大する上反角度及び減少する正規化キャンバを有し、先端に向けて外側スパン領域14で増大する上反角度及び増大する正規化キャンバを有する前縁20を含む。別の例示的な実施形態において、前縁20は、根元11において負の上反角度を有し、翼形部先端12において正の上反角度を有する。
【0028】
図8は、本発明の1つの態様によるガスタービンエンジン用の圧縮機100を示す。圧縮機100は、1つ又はそれ以上のロータ段を含む。図8は、複数のステータ段204を有する圧縮機100を示し、各ステータ段が長手方向中心軸線101の周りに円周方向に離間して配置された複数のステータベーン10を有し、各ステータベーン10が本明細書において上記で説明したような翼形部特徴要素を備えている。ステータベーン10は、上述のように、内側スパン領域13(「S1」)、中央スパン領域23(「S2」)、及び外側スパン領域14(「S3」)を有する。1つの実施形態において、圧縮機100において、ステータベーン10の少なくとも1つは、正規化キャンバが先端12に向かってスパン方向で外側スパン領域14において増大し、外側スパン14の領域において1.4よりも大きいような正規化キャンバプロファイル141を有する。他の種々の実施形態において、圧縮機100は、上記で詳細に説明したキャンバ及び上反角特徴要素を有する翼形部を含むステータ段204を備えることができる。圧縮機100の別の例示的な実施形態において、外側スパン領域14における正規化キャンバは、1.4よりも大きく、内側スパン領域13における正規化キャンバもまた、1.4よりも大きく、ここで第1の高さ位置41は、根元11から10%スパンの位置にあり、第2の高さ位置42は、根元11から80%スパンの位置にある。更に、別の例示的な実施形態において、圧縮機100は、中央スパン領域23において約−20度〜約+25度の間の上反角を有する翼形部前縁20を有することができる。
【0029】
本明細書において上記で説明した本発明の種々の実施形態によるステータベーン10は、圧縮機100の端壁領域において流れを強化したキャンバ分布プロファイル(例えば、図6の要素141を参照)を有する。本明細書において記載されたステータベーン10の特定の特徴要素は、圧縮機100の臨界端壁領域における圧力及び軸方向速度レベルを増大させる。これにより、圧縮機100において円周方向に隣接するブレード104間のロータ通路から下流側に出る弱い流れの対流が増大することに起因して、ロータ先端付近に集まる弱い流れの量が低減される。所与のスロットル設定に対してロータ先端通路における弱い流れの滞留が削減されるので、機械の失速マージンが大きくなる。本発明の別の態様において、図8は、ガスタービンエンジン用の圧縮機100を示している。圧縮機100は、長手方向中心軸線101の周りに円周方向に離間して配置されたステータベーン10を有するステータ段204を含む。ステータ段(図8においてS1、S2として示される)の少なくとも1つは、本明細書において上記で説明されたような本発明の種々の実施形態による特徴要素を有するステータベーン10を含む。従来の圧縮器と比較するために、Viscous 3−D CFD分析のような既知の方法を用いた。この分析では、設計ポイント効率で損失がなく、5%を超えるスロットルマージンの改善が予測される。正規化キャンバ分布(例えば、図5を参照)及び前縁上反角分布(例えば、図6を参照)のようなステータベーン10の幾何形状特徴要素は、圧力及び速度の半径方向分布を改善した。本発明の1つの態様において、中央スパン付近では、1.0である正規化キャンバ分布が使用され、該正規化キャンバ分布は、ステータベーンの根元及び先端に近づくにつれて増大している。本発明により、根元11及び先端12付近で比較的高い正規化キャンバレベル(例えば、1.4よりも大きい)の使用が可能となった。更に、中央スパン領域(図6)において約−20度〜約+25度の間で前縁上反角を境界付け、端壁において強い流れに更に寄与する半径方向スタック分布をもたらすようにすることが有利である。
【0030】
本明細書において上述された本発明の種々の実施形態による、ステータベーン翼形部10の特定の幾何形状特徴要素は、圧縮機100において翼形部の先端領域にて有利なロータ入口速度プロファイルをもたらす。これは図7に示される。図7に示すロータ入口速度分布から分かるように、上述の本発明の実施形態は、従来設計と比べて圧縮機100の先端付近でロータ入口速度を増大させる。図7を参照されたい。本発明の改善された圧力及び速度分布は、ロータ翼形部先端領域付近での閉塞及び損失の低減をもたらし、これにより圧縮機100のスロットルレンジが拡張される。
【0031】
本明細書で記載される本発明の種々の実施形態は、ステータに対する大きな端壁キャンバと制限された上反角分布を兼ね備え、これにより拡散損失を最小限にしながら、下流側ロータに対する動的圧力の増大がもたらされる。この効果は、圧縮機の臨界端壁領域における全圧及び軸方向速度両方のレベルの増大を持続することができることである。これにより、ロータ先端領域において強化した流れでロータが作動することができ、その結果、圧縮機の失速マージンが増大する。この結果、ロータ先端効率の向上がステータ損失のあらゆる増大を相殺するので、段効率に対する悪影響がなくなる。
【0032】
本明細書で記載されるように、本発明の実施形態を特徴付ける特定の幾何形状の特徴要素の一部は、端壁におけるキャンバ(前縁及び後縁金属アングル間の差違)と、ベーン前縁における上反角(ベーン及び流れ面法線間の角度)(図5及び6を参照)とが挙げられる。現行のベーンに対して正規化ベースを比較すると、請求項に記載したキャンバレベルは、端壁付近で遙かに大きくなる(図5を参照)。本発明の種々の実施形態は、中央スパン付近で1.0の最小値を有し、スパンの内側10%及び外側20%を過ぎると1.4を超過する平均値まで増大する正規化キャンバを利用している。対照的に、従来のベーンは、端壁付近で1.4を超えることができない正規化キャンバ値を示す。図5を参照されたい。また、前縁上反角をスパンのほとんどにわたって約−20度〜約+25度の間の範囲に制限することが有利である。前縁(「A」)において大きなキャンバと上反角の制限とが組み合わされると、後縁での結果として得られる上反角は、従来の値よりも小さくなる。しかしながら、本発明の実施形態は、後縁の上反角(「B」)に限定されるものではない。図4を参照されたい。これらの幾何形状特徴要素は、端壁において空力荷重の低減をもたらす。ベーンキャンバの増大により、ロータ先端領域に入る端壁速度が上昇し(図7を参照)、必要とされる拡散を低下させることによりロータに恩恵をもたらす。好ましいベーン上反角は、端壁での表面摩擦の増大にかかわらず、ベーン拡散損失を低く保持する。
【0033】
既知の方法を用いた分析では、本明細書で記載される本発明の実施形態において設計ポイント効率で損失がなく、5%を超えるスロットルマージンの改善を示した。従来のベーンを有する従来の圧縮機において、圧縮機が失速に向けてスロットル制御されると、正圧面上のロータ先端付近で閉塞が滞留し、ロータ通路にわたって接線方向に伝播する。通路幅全体が遮断されると、従来のベーンを有する従来の圧縮機の圧力増大をもたらす容量が減少し、失速が生じる可能性がある。
【0034】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、本発明を当業者が実施及び利用することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0035】
4 空気流
5 正圧側面
6 負圧側面
10 ステータベーン
11 ベーン根元
12 ベーン先端
13 第1の内側スパン領域(「S1」)
14 第1の外側スパン領域(「S3」)
17 内側プラットフォーム
20 前縁
23 中央スパン領域(「S2」)
30 後縁
41 第1の高さ位置
42 第2の高さ位置
130 正規化キャンバプロファイル
204 圧縮機ステータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8