(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような曝気撹拌装置は、ブロワや撹拌羽根を使用しているために、装置の部品数が多くなったり、装置が大掛かりなものになるといった問題があった。また、単に水中で撹拌羽根を回転させているだけであるため、効率的な曝気及び撹拌を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み創案されたもので、簡易で小型の装置を用いて曝気および撹拌を効率的に行うことが可能な曝気撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水中に沈めて使用され、外部から取り込んだ空気を含んだ気液を崩壊およびせん断し、微細気泡を発生させて曝気を行うとともに、撹拌を行う曝気撹拌装置であって、水中ポンプにより発生させた水流を取り込んで、内部に配置された渦流発生ブレードにより渦流を発生させる第1配管と、前記第1配管に水密状態で連結され、前記第1配管の内径よりも小さい内径を有し、外部から空気を取り込む吸気管が接続された第2配管と、前記第2配管に水密状態で連結され、前記第2配管の内径よりも大きい内径を有する第3配管と、前記第3配管の内径よりも大きい内径を有する第4配管と、を備え、前記第3配管と前記第4配管は、固定ピンを介して連結され、前記第4配管の内周と前記第3配管の外周との間は開口されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、水中ポンプにより発生させた水流を取り込んで、内部に配置された渦流発生ブレードにより第1配管内に渦流を発生させることができる。
【0014】
また、第1配管と第2配管とは水密状態で連結され、第2配管の内径が第1配管の内径よりも小さいので、第1配管内を通過する渦流の流速は、ベルヌーイの定理により第2配管内では増大することになる。これに加え、第1配管で発生させた渦流により、配管内壁に沿ってさらに加速する。その結果、第2配管内の圧力が低下し、第2配管には負圧が発生するので、第2配管に接続された吸気管から効率的に空気を取り込むことができる。
【0015】
さらに、第2配管と第3配管とは水密状態で連結され、第3配管の内径が第2配管の内径よりも大きいので、第1配管、第2配管と第3配管により、ベンチュリー管を構成することになる。したがって、第2配管から取り込まれた空気を含んだ気液が第3配管内で効率的に崩壊およびせん断され、また、配管内の圧力によって気泡が崩壊されるため、微細気泡を発生させることができる。その結果、効率の高い曝気を行うことができる。
【0016】
さらにまた、第3配管に連結され、第3配管の内径よりも大きい内径を有する第4配管を備え、第3配管と第4配管は、固定ピンを介して連結されており、第4配管の内周と第3配管の外周との間は開口されているので、第4配管の内周と第3配管の外周との間の開口から水流がコアンダ現象により勢い良く引き込まれることになる。
【0017】
また、コアンダ現象によって、第4配管の外周に沿って水流が引き寄せられる。このように、第4配管から噴出する水流に加えて、第4配管の外周に沿って流れる水流によって、効率の高い撹拌を行うことができる。すなわち、この第4配管は、ベルヌーイの流速の低下をさせる役割と、コアンダ現象の役割を同時に果たすものである。
【0018】
本発明は、上記構成の曝気撹拌装置において、前記第1配管の内部には、渦流発生ブレードが、前記第1配管の長手方向に対して斜めに設けられ、前記第2配管の外部には、吸気管が、前記第2配管の長手方向に対して斜めに前記第2配管を貫通して接続されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、第1配管の内部に渦流発生ブレードが前記第1配管の長手方向に対して斜めに設けられているので、水中ポンプにより発生させた水流が第1配管の内部に取り込まれる際に、この水流に対して効率的に渦流を発生させることができる。また、渦流発生ブレードにより渦流を発生させることから、渦流を発生させるための動力を別途設ける必要がなく、部品数が少なくて済む。
【0020】
また、吸気管は第2配管の長手方向に対して斜めに第2配管を貫通して設けられているので、第2配管の長手方向に対して直角に接続するよりも水流の流路に対する接触断面積を広くすることができ、効率的に吸気することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡易で小型の装置を用いて曝気および撹拌を効率的に行うことが可能な曝気撹拌装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る曝気撹拌装置の
参考例及び実施の形態について説明する。
<
参考例>
本
参考例の曝気撹拌装置1Aは、
図1に示すように、水中ポンプにより発生させた水流を取り込んで、内部に配置された渦流発生ブレード5により渦流を発生させる第1配管10と、第1配管10に水密状態で連結され、第1配管10の内径よりも小さい内径を有し、外部から空気を取り込む吸気管6が接続された第2配管20と、第2配管20に連結され、第2配管20の内径よりも大きい内径を有する第3配管30と、を備えている。
【0024】
本
参考例の曝気撹拌装置1Aは、例えば水質浄化を必要とする流れの遅い川や閉鎖水域に沈めて使用されるものであって、第1配管10に取り込まれる水流は、例えば図示しない水中ポンプ等の動力によって発生させた水流が好適である。
【0025】
なお、曝気撹拌装置1Aを使用する対象に応じて、水中ポンプの出力や、配管の寸法は設定されるが、一例として、水中ポンプの出力0.25KW、第1配管10の内径40mm、第2配管20の内径25mm程度に設定することが挙げられる。
【0026】
第1配管10は、例えば塩化ビニル管で形成された円筒管である。
【0027】
第1配管10の内部には、渦流を発生させるための渦流発生ブレード5が第1配管10の長手方向に対して斜めに設けられている。
【0028】
渦流発生ブレード5は、金属板等から形成された板状体であって、本
参考例では2枚の渦流発生ブレード5が形成されている。
【0029】
この渦流発生ブレード5は、例えば、金属製平板に2か所の切り目を形成し、ブレード5を構成する部分を所望の角度にそれぞれ立ち上げることにより形成されている。その後、この板を丸めて円筒形状に形成したブレード付円筒管50が、第1配管10内の上流に配置され、異径ソケット7から一定の距離をあけることで、最適な渦流を発生させることができる。
【0030】
なお、ブレード付円筒管50を構成する金属製平板としては、加工の容易性から銅板やステンレス板が好適であるが、ブレード付円筒管50全体を3Dプリンターを用いて合成樹脂で一体的に形成しても良い。
【0031】
また、渦流発生ブレード5と第1配管の長手方向との傾斜角は、約30度に設定するのが望ましい。さらに、
図1に示された渦流発生ブレード5は、平板の板状体であるが、先端部が若干湾曲するような板状体が効率的な渦流を発生させるためには好適である。
【0032】
第2配管20は、例えば塩化ビニル管で形成された円筒管であって、異径ソケット7を介して第1配管10に水密状態で連結されている。
【0033】
第2配管20の外部には、外部から空気を取り込む吸気管6が、第2配管20の長手方向に対して斜めに第2配管20を貫通して接続されている。
【0034】
この吸気管6は、例えば合成樹脂で形成された円筒管であって、対向するように一対の吸気管6、6が設けられている。
【0035】
なお、吸気管6の本数は、上記した2本に限定されるものではなく、2本以上であっても良い。
【0036】
また、吸気管6と第2配管20の長手方向との傾斜角は、約50度から80度の範囲に設定するのが望ましく、より望ましくは、約60から70度の範囲である。
【0037】
このように、吸気管6は第2配管20の長手方向に対して斜めに第2配管20を貫通して接続されているので、第2配管20の長手方向に対して直角に接続するよりも水流の流路に対する接触断面積を広くすることができ、効率的に吸気することが可能になる。
【0038】
また、吸気管6は、取扱いの便宜を考慮して軟質の樹脂素材で形成するのが好適である。ところが軟質素材で形成すると、吸気管6の取り回しの自由度が高いため、引っ張り方によっては第2配管20の長手方向に対して90度を超えることが起こり得る。このように、90度を超えてしまうと、吸気効率が極端に低下し、場合によっては水流が吸気管6に流入し、吸気が停止されるといった事態を引き起こすおそれがある。かかる問題点を考慮して、上記したような範囲の角度に設定するのが好適である。さらに、吸気管6の差し込み深さは、水中ポンプの出力0.25KW、第1配管10の内径が40mm、第2配管20の内径が25mmのとき、第2配管20の内壁よりも1mmから3mm突出した状態が好適であり、接続する位置は第2配管20の長手方向に120mm程度の位置が好適である。
【0039】
また、吸気管6の基端部には、バルブ60が備えられており、吸気管6の開口を調整できるように図られている。
【0040】
上記説明したように第1配管10の内部に渦流発生ブレード5が第1配管10の長手方向に対して斜めに設けられているので、第1配管10の内部に取り込まれた水流に対して効率的に渦流を発生させることができる。また、渦流発生ブレード5により渦流を発生させることから、渦流を発生させるための動力を別途設ける必要がなく、部品数が少なくて済む。
【0041】
また、第1配管10と第2配管20とは水密状態で連結され、第2配管20の内径が第1配管10の内径よりも小さいので、第1配管10内を通過する渦流の流速は、ベルヌーイの定理により第2配管20内では増大することになる。これに加え、第1配管10で発生させた渦流により、配管内壁に沿ってさらに加速する。その結果、第2配管20内の圧力が低下し、第2配管20には負圧が発生するので、第2配管20に斜めに接続された吸気管6から効率的に空気を取り込むことができる。
【0042】
第3配管30は、例えば塩化ビニル管で形成された円筒管であって、第2配管20の内径よりも大きい内径を有し、固定ピン8を介して第2配管に連結され、第3配管30の内周と第2配管20の外周との間は開口されている。
【0043】
なお、第2配管20の第3配管30中への進入量は、固定することが可能な最少距離に設定することが望ましい。このように設定することにより、好適なコアンダ効果を発生できることに加え、ベンチュリー効果を奏する上で重要だからである。
【0044】
また、第3配管30の内径は、第2配管20の内径よりも大きく設定されているので、第1配管10、第2配管20、第3配管30がベンチュリー管を構成することになり、ベンチュリー効果を奏する。したがって、第2配管20には負圧が発生し、第2配管20に斜めに接続された吸気管6から効率的に空気を取り込むことができる。
【0045】
なお、第3配管30の内径は、第1配管10と等しいサイズに設定されることが望ましい。
【0046】
固定ピン8は、例えば、2本のボルト等のネジが用いられており、噴出方向を調整可能になされている。
【0047】
したがって、曝気撹拌装置1Aを例えば閉鎖水域に沈めて使用した場合に、第3配管30の内周と第2配管20の外周との間の開口から水流がコアンダ現象により勢い良く引き込まれることになる。
【0048】
したがって、第1配管10、第2配管20によって生じるベルヌーイ・ベンチュリー効果による早い流速と負圧発生による効率的な吸気という効果を損なうことなく、コアンダ現象により生じた第3配管30を勢い良く流れる水流により、気液が効率的にせん断され、また、配管内の圧力によって気泡が崩壊されるため、微細気泡を発生させることができる。その結果、効率の高い曝気を行うことができる。
【0049】
ここで生成される微細気泡は、径が10〜数10μm程度のマイクロバブル或いは、径が数10μmのマイクロバブル及び1〜3mm程度のミリバブルである。
【0050】
ただし、発生させる微細気泡をマイクロバブルに限定する運転は、バルブ60によって吸気量を調整することにより可能である。しかし、溶存酸素を高い効率で上昇させるためには、バルブ60を全開にして、マイクロバブル及びミリバブルの両方を発生させ、吸気量を最大にする方がはるかに効率が高くなる。
【0051】
さらに、上記したコアンダ現象によって、第3配管30の外周に沿って水流が引き寄せられる。このように、第3配管30から噴出する水流に加えて、第3配管30の外周に沿って流れる水流によって、効率の高い撹拌を行うことができる。
<実施形態>
本実施形態の曝気撹拌装置1Bは、
図2に示すように、水中ポンプにより発生させた水流を取り込んで、内部に配置された渦流発生ブレード5により渦流を発生させる第1配管10と、第1配管10に水密状態で連結され、第1配管10の内径よりも小さい内径を有し、外部から空気を取り込む吸気管6が接続された第2配管20と、第2配管20に水密状態で連結され、第2配管20の内径よりも大きい内径を有する第3配管30と、第3配管30の内径よりも大きい内径を有する第4配管40と、を備えている。
【0052】
第1配管10、第2配管20、吸気管6については上記した
参考例と同様の構成であるため、同じ部分についての説明は省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0053】
第3配管30は、例えば塩化ビニル管で形成された円筒管であって、異径ソケット71を介して第2配管20に水密状態で連結されている。
【0054】
第3配管30の内径は、第2配管20の内径よりも大きく設定されているので、第1配管10、第2配管20、第3配管30がベンチュリー管を構成することになり、ベンチュリー効果を奏する。したがって、第2配管20には負圧が発生し、第2配管20に斜めに接続された吸気管6から効率的に空気を取り込むことができる。
【0055】
なお、第3配管30の内径は、第1配管10と等しいサイズに設定されることが望ましい。
【0056】
また、水中ポンプの出力が0.25KWの場合、第1配管10の内径が40mm、第2配管20の内径が25mmのとき、第3配管30の内径は40mmに設定するのが好適である。
【0057】
そして、吸気管6から取り込まれた空気を含んだ気液が、第2配管20及び第3配管30内を流れる渦流によってその気泡が砕かれ、また、配管内の圧力によって気泡が崩壊されるため、微細気泡が生成される。このように生成された微細気泡を含んだ水流が第3配管30から噴出し、第4配管40内に流入する。
【0058】
本実施形態における第4配管40は、
参考例におけるコアンダ効果とベンチュリー効果を奏するように配置した第3配管30と異なり、コアンダ効果専用に配置されるものである。このため、コアンダ効果は、第4配管40の配管径も大きくなることから、
参考例よりも高い効率となる。
【0059】
第4配管40は、例えば塩化ビニル管で形成された円筒管であって、第3配管30の内径よりも大きい内径を有し、固定ピン81を介して第3配管30に連結され、第4配管40の内周と第3配管30の外周との間は開口されている。
【0060】
固定ピン81は、例えば2本のボルト等のネジが用いられており、噴出方向を調整可能になされている。
【0061】
したがって、曝気撹拌装置1Bを例えば閉鎖水域に沈めて使用した場合に、第4配管40の内周と第3配管30の外周との間の開口から水中の水がコアンダ現象により勢い良く引き込まれることになる。
【0062】
また、コアンダ現象によって、第4配管40の外周に沿って水流が引き寄せられる。このように、第4配管40から噴出する水流に加えて、第4配管40の外周に沿って流れる水流によって、効率の高い撹拌を行うことができる。
<他の使用例>
上記した曝気撹拌装置は、必要とされる撹拌能力等に応じて、適宜配管を組み替えて使用することが可能である。
【0063】
例えば、
図3に示す曝気撹拌装置1Cは、第1配管10と第2配管20と、第3配管30とを使用し、第1配管10と第2配管20とは、異径ソケット7を介して水密状態で連結され、第2配管20と第3配管30とは、異径ソケット71を介して水密状態で連結されている。
【0064】
この曝気撹拌装置1Cは、通常のベンチュリー管を構成するので、上記した
参考例や実施形態のようなコアンダ現象を奏することがないため、大きな撹拌能力を必要としない場合に好適に用いられる。
【0065】
また、
図4に示す曝気撹拌装置1Dでは、第1配管10と第2配管20を使用し、第1配管10と第2配管20とは、異径ソケット7を介して水密状態で連結されている。
【0066】
この曝気撹拌装置1Dでは、通常のベンチュリー管を構成しないまま、第2配管20内の吸気管6接続部の圧力を下げるために、第2配管20の長さを延長して、通常のベンチュリー管と同様の現象を発生させるように図られている。
【0067】
また、曝気撹拌装置1Dは、第2配管20から水流が噴出するので、噴出ノズルの径を絞ったまま早い流速で微細気泡を含んだ水流を噴出させることができる。したがって、固形物の洗浄を行う場合に特に好適に使用されるほか、本願の発明者による特許第5192608号「水質浄化装置、およびこの水質浄化装置を用いた水質浄化方法」における噴出部53及びノズル70に置き換えることが可能である。
【0068】
以上説明したように、本発明の曝気撹拌装置は、種々の実施形態を採用することができるので、利用環境や需要に合わせて配管を適宜組み替えることにより実施することが可能で利便性が高い。また、閉鎖水域の他、川や生活排水、食品工場等の排水を浄化する場合や水産養殖等のエアレーション、高圧洗浄ノズル等にも好適に使用される。
【解決手段】水中ポンプにより発生させた水流を取り込んで、内部に配置された渦流発生ブレード5により渦流を発生させる第1配管10と、第1配管10に水密状態で連結され、第1配管10の内径よりも小さい内径を有し、外部から空気を取り込む吸気管が接続された第2配管20と、第2配管20に連結され、第2配管20の内径よりも大きい内径を有する第3配管30と、を備え、第2配管20と第3配管30は、固定ピン8を介して連結され、第3配管30の内周と第2配管20の外周との間は開口されている。