特許第6047236号(P6047236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6047236回転機械のためのフィルムライディングシール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047236
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】回転機械のためのフィルムライディングシール
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/02 20060101AFI20161212BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161212BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F01D11/02
   F01D25/00 X
   F02C7/28 B
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-525487(P2015-525487)
(86)(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公表番号】特表2015-523500(P2015-523500A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】US2013052524
(87)【国際公開番号】WO2014022290
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年3月25日
(31)【優先権主張番号】13/562,705
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ビドカール,ラウル・アニル
(72)【発明者】
【氏名】サラワテ,ニーテッシュ・ナウドクマール
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,クリストファー・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ルッジエロ,エリック・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モハン,ヴィヴェク・ラジャ・ラジ
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0304101(US,A1)
【文献】 特表2007−521442(JP,A)
【文献】 特開2006−275044(JP,A)
【文献】 特開2004−060658(JP,A)
【文献】 特開昭62−243901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/00−24
F01D 25/00
F02C 7/28
F16J 15/44
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械のためのシールアセンブリであって、
固定ハウジングとロータとの中間に円周方向に配設された複数のシーリング装置セグメント(12)を備え、
前記セグメントの各々が、
シュープレート(14)であって、前シュー部(26)および後シュー部(28)を有しかつそれらの間に前記ロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯(16)を有し、高圧流体を前記1つまたは複数のラビリンス歯の前部に、低圧流体を前記1つまたは複数のラビリンス歯の後ろに与えるように構成されかつシュープレートと前記ロータとの間に動的空気力を生成するようにさらに構成された、シュープレートと、
漏れを低減するためにスプラインシールを配設することを可能にする溝またはスロットを備えるステータ界面要素(24)と、
前記シュープレートと前記ステータ界面要素とに接続され、前記高圧流体が前キャビティを占めかつ前記低圧流体が後キャビティを占めることを可能にするように構成された、高圧側(18)の前蛇腹スプリング(30)及び低圧側(20)の後蛇腹スプリング(32)または高圧側(18)の前フレキシャ(31)及び低圧側(20)の後フレキシャ(33)と、
一端において前記ステータ界面要素と一体化され、他端において前記前及び後蛇腹スプリングまたは前及び後フレキシャと前記シュープレートとの周りに配置された2次シール(34)
を備え
前記前及び後蛇腹スプリング(30、32)又は前記前及び後フレキシャ(31、33)は、前記2次シール(34)及び前記シュープレート(14)間の接触線の両側に対称に設置され、
前記前及び後蛇腹スプリング(30、32)又は前記前及び後フレキシャ(31、33)の各々は、前記ステータ界面要素(24)および前記シュープレート(14)の円周方向の幅の各々より狭い円周方向の幅を含む、シールアセンブリ。
【請求項2】
前記シールアセンブリ内に設置され、前記シールアセンブリ内で隣接する2次シールと重なるように構成された、複数のシップラップシムをさらに備える、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記シップラップシムの各々が、互いに角度を付けて取り付けられた第1のシムと第2のシムとを備える、請求項2記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記シップラップシムの各々に対して、前記第1のシムが前記2次シールのうちの1つに取り付けられ、前記第2のシムが前記シールアセンブリの前記隣接する2次シール上を自由に滑動するように構成される、請求項3記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記シュープレートが、前記ロータの半径より大きい、前記ロータに対向する前記シュープレートの半径によって、または前記ロータに対向する前記シュープレート上の1つまたは複数のレイリーステップの存在によって、または前記ロータ上の、軸方向もしくは接線方向にまたは矢筈模様に角度のついた溝もしくはスロットの存在によって、動的空気力を生成するように構成される、請求項1乃至4のいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記2次シールが円周方向にまっすぐである、請求項1乃至5のいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
前記2次シールが円周方向に曲がっている、請求項1乃至5のいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
前記2次シールの前記一端が、前記ステータ界面要素内に設置されたスロットの中に取り付けられた角度のついた端部を備える、請求項1乃至7のいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
前記2次シールが、支持構造要素を介して前記ステータ界面要素と一体化される、請求項8記載のシールアセンブリ。
【請求項10】
前記支持構造要素が、前記ステータ界面要素の延長部である、請求項9記載のシールアセンブリ。
【請求項11】
前記支持構造要素が、セグメントの漏れを低減するためにスプラインシールを配設することを可能にするための溝またはスロットを備える、請求項10記載のシールアセンブリ。
【請求項12】
前記2次シールの半径方向外向きの動きを可能にするために、前記2次シールが前記支持構造要素と界面接続する、請求項10記載のシールアセンブリ。
【請求項13】
前記2次シールの半径方向内向きの動きを防止するために、前記2次シールが前記支持構造要素と界面接続する、請求項10記載のシールアセンブリ。
【請求項14】
前記シュープレートが、前記接触線の上流に設置された前ポート(50)と、前記接触線の下流に設置された後ポート(52)を更に含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシールアセンブリ。
【請求項15】
固定ハウジングとロータとの中間に配置されたシールアセンブリのために複数のシーリング装置セグメントを設けるステップと、
前シュー部および後シュー部を有しかつそれらの間に前記ロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯を有するシュープレート、高圧流体を前記1つまたは複数のラビリンス歯の前部に、低圧流体を前記1つまたは複数のラビリンス歯の後ろに与えるように構成されかつ該シュープレートと前記ロータとの間に動的空気力を生成するようにさらに構成された、シュープレートを設けるステップと、
前記高圧流体が前キャビティを占めかつ前記低圧流体が後キャビティを占めることを可能にするように構成された高圧側の前蛇腹スプリング及び低圧側の後蛇腹スプリングまたは高圧側の前フレキシャ及び低圧側の後フレキシャであって各々がステータ界面要素および前記シュープレートの円周方向の幅の各々より狭い円周方向の幅を含む前及び後蛇腹スプリングまたは前及び後フレキシャを、前記シュープレートとステータ界面要素とに接続するステップと、
漏れを低減するために前記ステータ界面要素内の溝またはスロットの中にスプラインシールを配設するステップと、
2次シールの一端を前記ステータ界面要素と一体化するステップと、
前記前及び後蛇腹スプリングまたは前及び後フレキシャと前記シュープレートとの周りに前記2次シールの他端を配置し且つ該前及び後蛇腹スプリング又は前記前及び後フレキシャを前記2次シール及び前記シュープレート間の接触線の両側に対称に設置するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記シュープレートが、前記接触線の上流に設置された前ポート(50)と、前記接触線の下流に設置された後ポート(52)を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、ターボ機械のためのシールアセンブリに関し、より詳細には、ロータ/ステータ隙間などをシールするためのフィルムライディングシールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン、航空機エンジン、およびスチームタービンなど、様々なタイプのターボ機械が知られており、発電、推進などのために広く使用されている。ターボ機械の効率は、部分的には、内部構成要素間のクリアランスとこれらのクリアランスを通る1次流体および2次流体の漏れに依存する。たとえば、熱的または機械的に誘起される大きい相対運動に対応するために、いくつかのロータ−ステータ界面において、大きいクリアランスが意図的に許容されることがある。高圧の領域から低圧の領域に向かってこれらの隙間を通る流体の漏れは、ターボ機械に不十分な効率をもたらすことがある。そのような漏れは、漏れた流体が有用な仕事を実行しなくなるという点において、効率に悪影響を与えることがある。
【0003】
異なるタイプのシールシステムが、ターボ機械を通って流れる流体の漏れを最小化するために使用される。しかしながら、シールシステムは、しばしば、シールシステムを介するクリアランスを増加または減少させ得る様々な動作段階の間に、比較的高い温度、温度勾配、ならびに熱的および機械的な膨張および収縮にさらされる。たとえば、起動の過渡期の間に非常に密なクリアランスで運転するように組み立てられる伝統的なラビリンスシールは、定常状態動作の間に大きいクリアランスで運転し、それによって定常状態動作において不十分な性能を引き起こすことがある。
【0004】
したがって、ロータ−ステータの隙間をシールするための、ターボ機械とともに使用する改善された適応的(compliant)シールアセンブリが要望されている。好ましいことに、そのような適応的シールアセンブリは、定常状態動作の間により密なシーリングをもたらしながら、過渡動作の間に接触および損傷によって生じる摩擦、摩耗を回避することができる。そのようなシールアセンブリは、システム全体の効率を改善しながら、製作するのに費用がかからず、関連部品により長い寿命をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、回転機械に対するシールアセンブリが提供される。シールアセンブリは、固定ハウジングとロータとの中間に円周方向に配設された複数のシーリング装置セグメントを含む。セグメントの各々は、前シュー部および後シュー部を有しかつそれらの間にロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯を有し、高圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の前部に、低圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の後ろに与えるように構成されかつシュープレートとロータとの間に動的空気力を生成するようにさらに構成された、シュープレートを含む。シーリング装置は、セグメントの漏れを低減するためにスプラインシールを配設することを可能にするための溝またはスロットを有するステータ界面要素を含む。同じく、シーリング装置セグメントは、シュープレートとステータ界面要素とに接続され、高圧流体が前キャビティを占めかつ低圧流体が後キャビティを占めることを可能にするように構成された、複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャを含む。さらに、シーリング装置セグメントは、一端においてステータ界面要素と一体化され、他端において複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャとシュープレートとの周りに配置された2次シールを含む。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、シールアセンブリを製造する方法が提供される。方法は、固定ハウジングとロータとの中間に配置されたシールアセンブリのための複数のシーリング装置セグメントを設けるステップを含む。方法は、前シュー部および後シュー部を有しかつそれらの間にロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯を有し、高圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の前部に、低圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の後ろに与えるように構成されかつシュープレートとロータとの間に動的空気力を生成するようにさらに構成された、シュープレートを設けるステップを含む。同じく、方法は、高圧流体が前キャビティを占めかつ低圧流体が後キャビティを占めることを可能にするように構成された複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャを、シュープレートとステータ界面要素とに接続するステップを含む。さらに、方法は、セグメントの漏れを低減するためにステータ界面要素内の溝またはスロットの中にスプラインシールを配設するステップを含む。方法は、2次シールの一端をステータ界面要素と一体化するステップと、2次シールの他端を複数の蛇腹スプリングとシュープレートとの周りに配置するステップとを含む。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、回転機械が提供される。回転機械は、ロータと、ステータハウジングと、固定ハウジングとロータとの中間に円周方向に配設された複数のシーリング装置セグメントとを含み、セグメントの各々は、前シュー部および後シュー部を有しかつそれらの間にロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯を有し、高圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の前部に、低圧流体を1つまたは複数のラビリンス歯の後ろに与えるように構成されかつシュープレートとロータとの間に動的空気力を生成するようにさらに構成された、シュープレートを備える。同じく、セグメントの各々は、セグメントの漏れを低減するためにスプラインシールを配設することを可能にする溝またはスロットを含むステータ界面要素を含む。シーリング装置セグメントは、シュープレートとステータ界面要素とに接続され、高圧流体が前キャビティを占めかつ低圧流体が後キャビティを占めることを可能にするように構成された、複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャと、一端においてステータ界面要素と一体化され、他端において複数の蛇腹スプリングとシュープレートとの周りに配置された2次シールとをさらに含む。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読めばより良く理解されよう。図面を通して、同じ記号は同じ部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による、回転機械のフィルムライディングシールアセンブリを示すロータの断面図である。
図2】本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメントの斜視図である。
図3】本発明の別の実施形態による、フレキシャを有するシーリング装置セグメントの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による、フィルムライディングシールアセンブリの正面図の一部分である。
図5】本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメントの側面図である。
図6】本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメントの底面図である。
図7】本発明の別の実施形態による、シーリング装置セグメントの斜視図である。
図8】本発明の別の実施形態による、2次シールと一体化された支持構造要素を有するシーリング装置セグメントの斜視図である。
図9】本発明の一実施形態による、隣接するシーリング装置セグメント間にシップラップシムを有するフィルムライディングシールアセンブリである。
図10】本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント内の後ポートを示す図である。
図11】本発明の一実施形態による、空気力学シールアセンブリ内のシュー−ロータ曲率を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント内のレイリーステップ(Rayleigh step)を示す図である。
図13】本発明の一実施形態による、ロータ−ステータシールアセンブリのロータ表面の特徴(feature)を示す図である。
図14】本発明の一実施形態による、回転機械の固定ハウジングと回転機械の軸周りに回転する回転可能要素との間にフィルムライディングシールを形成する方法にともなう例示的なステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介するとき、「a」、「an」、「the」および「said」という冠詞は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することが意図されている。「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外に追加の要素が存在する可能性があることを意味する。動作パラメータの任意の例は、開示する実施形態の他のパラメータを排除するものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による、回転機械のフィルムライディングシールアセンブリ10の断面図である。シールアセンブリ10は、シールアセンブリ10が固定ハウジングとロータシャフト13との中間にあるように、ロータシャフト13周りに円周方向に配列される。固定ハウジングは、シールアセンブリ10の半径方向外側領域を形成するステータ界面要素24を含むことができる。シールアセンブリ10は、互いに隣接して設置されてシールアセンブリ10を形成する、複数のシーリング装置セグメント12を含む。シーリング装置セグメント12の各々は、ロータシャフト13に接近して設置されたシュープレート14を含む。回転機械が動作する間に、シュープレート14は、ロータシャフト13の上の流体膜上に乗る。同じく、シールアセンブリ10は、シュープレート14のロータシャフト表面に対向する面に設置された1つまたは複数のラビリンス歯(図2に16で示す)を含む。ラビリンス歯は、回転機械のシールアセンブリ10の両側上で、高圧領域18(図2に示す)からの流体と低圧領域20(図2に示す)からの流体とを実質的に分離する。同じく、シールアセンブリ10は、シュープレート14と界面要素24とに取り付けられた複数の蛇腹スプリング30、32(図2に示す)またはフレキシャ31、33(図3に示す)を含む。この図では、シーリング装置セグメント12の各々の中に設置される前蛇腹スプリング30だけを示す。シーリング装置セグメント12の各々は、各シュープレート14とロータシャフト13との間にクリアランス隙間が存在するように、ロータに対して組み立てられる。隣接するシーリング装置セグメント12も、それらの間にクリアランス隙間を含む。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント12の斜視図である。図示のように、シーリング装置セグメント12は、前シュー部26および後シュー部28を有しかつそれらの間にロータシャフト(図1に13で示す)に対向する1つまたは複数のラビリンス歯16を有するシュープレート14を含む。シーリング装置セグメント12は、前蛇腹スプリング30および後蛇腹スプリング32からなる1つまたは複数の蛇腹スプリングを含む。シーリング装置セグメント12は、一端を片持ち梁部36を介してステータ上部の界面要素24に取り付けられ、他端において複数の蛇腹スプリング30、32とシュープレート14との周りに配置された2次シール34をさらに含む。2次シール34の各々は、1つの第2の端部においてシュープレート14との線接触を形成する。この実施形態では、ステータ界面要素24は、隣接するシーリング装置セグメント12のステータ界面要素間の漏れを低減するためにスプラインシールを配設することを可能にするための溝またはスロット35を含む。さらに、この実施形態に示すように、蛇腹スプリング30、32および2次シール34は、円周方向においてまっすぐである。まっすぐな蛇腹スプリング30、32およびまっすぐな2次シール34は、機械的応力を低いままとすることができる。別の実施形態では、蛇腹スプリング30、32および2次シール34は、円周方向において曲がっていてよい。
【0013】
シールアセンブリ10(図1に示す)において、近接するシーリング装置セグメント12からの2次シール34は、上部界面要素24とシュープレート14との間の流体の流れに対する抵抗経路を形成する。一実施形態では、前蛇腹スプリング30および後蛇腹スプリング32は、2次シール34とシュープレート14との間で接触する線の両側に対称に設置される。この対称的配列は、シュープレート14が最小の傾きで半径方向に並進運動することを可能にする(前シュー部26の縁部が後シュー部28の縁部よりロータに近い、逆もまた同様)。同じく、対称設計によって生じるより少ない傾きは、シュープレート14が、(ロータが膨張する事象の間に)半径方向内向きおよび半径方向外向きの両方にロバストに大きい変位を移動することができる。
【0014】
2次シール34とシュープレート14との間で接触する線を越える少量の漏れが存在する。2次シール34は、シーリング装置セグメント12を、回転機械の高圧側18に向かう前キャビティ38と低圧側20に向かう後キャビティ40とに区分するように構成される。
【0015】
図3に示す一実施形態では、シーリング装置セグメント13は、シュープレート14と上部界面要素24とに接続された複数のフレキシャ31、33を含む。1つまたは複数のフレキシャは、W型またはV型のいずれかであってよい。シーリング装置セグメント13の他の特徴は、シーリング装置セグメント12と同様である。図3の複数のフレキシャ31、33または図2の蛇腹スプリング30、32の各々は、上部界面要素24およびシュープレート14の円周方向の幅の各々より狭い円周方向の幅を含む。このことで、回転機械が加圧されるときに、流体が前蛇腹スプリング30またはフレキシャ31の周りに流れて前キャビティ38を加圧することが確実になる。同様に、回転機械の低圧側20において、低圧流体が後蛇腹スプリング32またはフレキシャ33の周りに流れ、後キャビティ40内の2次シール34の後ろに低圧を生じる。
【0016】
さらに、図2または図3の一実施形態では、シーリング装置セグメント12は、回転機械の高圧側18に向かうシュープレート14の側面における前シュー供給溝42と、回転機械の低圧側20に向かうシュープレートの側面14における後シュー供給溝44とを含む。シュープレート14の上部46は、底部48より広い円周方向の幅を含み、供給溝42、44を形成する。前シュー供給溝42は、ラビリンス歯16の上流に設置された前キャビティ38に高圧流体が流入することを可能にする。同様に、後シュー供給溝44は、ラビリンス歯16の下流に設置された後キャビティ40に低圧空気が流れることを可能にする。図2および図3に示すように、シュープレート14はまた、流体の軸方向の流れを1つまたは複数のラビリンス歯16の前部に与えるために回転機械の高圧側18における線接触の上流に設置された、複数の前ポート50を含む。さらに、シュープレート14はまた、回転機械の低圧側20における線接触の下流に設置された1つまたは複数の後ポート52を含む。一実施形態では、1つまたは複数の後ポート52は、単一または複数のラビリンス歯16の後から後キャビティ40に流入する流体に接線流を与えるために、円周方向に傾いている。別の実施形態では、1つまたは複数の後ポート52は、シーリング装置セグメント12のラビリンス歯16の後ろから後キャビティ40に流体が流れることを可能にするために、まっすぐなポートまたは円周方向に傾いたポートである。
【0017】
シールアセンブリ10(図1に示す)内の隣接するシーリング装置セグメント12間に、隣接する2次シール34間のクリアランス隙間が存在する。図4は、隣接するシーリング装置セグメント12(図1に示す)間の半径方向隙間を示す、シールアセンブリ10(図1に示す)の一部分である。図示のように、ステータ上部界面要素24は、ステータハウジングの一部分を形成し、隣接するシーリング装置セグメント12間にステータ−ステータ半径方向隙間41を有する。スプラインスロット35(図2図3に示す)内にスプラインシールが存在することによって、近接するシーリング装置セグメント間の様々なステータ−ステータ半径方向隙間によって生じる可能性がある漏れ経路に対して、前キャビティ38内の高圧流体と後キャビティ40内の低圧流体との間に漏れ抵抗がもたらされる。非限定的な例では、スプラインシールは、約0.003インチ〜約0.015インチの厚さであり、高温金属合金で作製される。同じく、隣接する2次シール34は、半径方向の2次シールセグメント隙間43を示す。同じく、近接するシュープレート14間に半径方向セグメント隙間47が存在する。シールアセンブリ10において、近接するシュープレート14間および近接する2次シール34間の半径方向隙間41、43、47は、シーリング装置セグメント12のロータに向かう任意の半径方向の動き、またはシーリング装置セグメント12の任意の円周方向の熱膨張がセグメントの固着を生じないように構成される。
【0018】
図5は、本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント12の側面図である。一実施形態に示すように、前蛇腹スプリング30および後蛇腹スプリング32は、ろう付け接合部49によって上部界面要素24とシュープレート14とに接続される。同じく、図5は、シュープレート14および2次シール34上に作用する様々な圧迫力を示す。前キャビティ38および後キャビティ40において、シーリング装置セグメント12を加圧することによって、シュープレート14は、回転機械の起動動作の間にロータに向かって移動させられる。非限定的な例では、シュープレート14は、気体静力学モード(aerostatic mode)の動作において流体膜上に乗ることができ、その流体膜厚さは、ロータとの初期シールアセンブリクリアランスに応じて約3/1000インチ〜5/1000インチに及ぶことがある。
【0019】
気体静力学動作モードでは、加圧によって、2次シール34が半径方向内向きに変形させられ、シュープレート14がロータ13(図1に示す)に向かって押される。2次シール34がシュープレート14をロータに向かって押す間、蛇腹スプリング30、32は、シュープレート14の動きを支持し、案内する。2次シールの接触力および蛇腹スプリング力に加えて、シュープレート14は気体静力学圧力荷重も受ける。これらの気体静力学荷重は、シュープレート14周りに流体が存在することによって生じる。図5の半径方向外面に示すように、シュープレート14は、2次シール34とシュープレート14との間の2次シールの線接触の両側に、高圧(Phigh)および低圧(Plow)を受ける。
【0020】
一実施形態では、前ポート50および2つの前シュー供給溝42(図2図3に示す)は、前キャビティ38から単一または複数のラビリンス歯16の前側に高圧流体をもたらす。同様に、1つまたは複数の後ポート52および後シュー供給溝44(図2図3に示す)は、後キャビティ40から単一または複数のラビリンス歯16の後側に低圧流体をもたらす。したがって、単一または複数のラビリンス歯16は、シーリング装置セグメント12にわたって圧力降下を受け、ロータ−シュープレート隙間に沿った漏れに対する流れ制限をもたらす機能を果たす。前ポート50の存在によって、2次シール34の上流のシュープレート14の全面が、高圧流体にさらされる。同様に、1つまたは複数の後ポート52は、2次シール34の下流のシュープレート14の全面が、低圧流体にさらされることを確実にする。流体膜厚が、シュープレート14とロータ表面との間で3/1000〜5/1000インチであるとき、ロータの回転によって、シュープレート14の下の流体膜圧力に、前ポート50によって生じる高圧と後ポート52によって生じる低圧とに著しい差が引き起こされることはない。その結果、シュープレート14上の正味の流体荷重はほぼゼロである。2次シール力Δpがシュープレート14を内向きに押すので、シュープレート14は、ほぼゼロの正味の流体荷重に影響されて半径方向内向きに移動し、シュープレートを支持する蛇腹スプリングが、この半径方向内向きの動きに抗して作用する。
【0021】
図6は、本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント12の底面図である。この実施形態では、シーリング装置セグメント12は、4つのポートを含む前ポート50を示す。他の実施形態では、前ポート50は、4つのポートより少なくてよく、または多くてもよい。現在の実施形態では、前ポート50は、流体が、前ポート50から単一または複数のラビリンス歯16の前に軸方向に流れることを可能にするように構成される。別の実施形態では、前ポート50は、流体が前キャビティ38から単一または複数のラビリンス歯16の前部に流れるときに、流体に渦巻きを起こす(接線速度を与える)ために、円周方向に傾けられる。この実施形態では、後ポート52の第1の一端を、シーリング装置セグメント12の底面図に示す。後ポート52は、ラビリンス歯16の背面と後キャビティ40とを接続する。図示のように、後ポート52の1つの開口が、ラビリンス歯16の背面に対向して、後シュー部28の第1の縁部に設置される。後キャビティ40内の後ポート52の第2の開口を図7に示す。一実施形態では、後ポート52はより多くのポートに分割されてよい。さらなる実施形態では、1つまたは複数の後ポート52は、単一または複数のラビリンス歯16の後から後キャビティ40に流入する流体に接線流を与えるために、円周方向に傾けられる。
【0022】
図8は、本発明の別の実施形態による、2次シール34と一体化された支持構造要素37を有するシーリング装置セグメント15の斜視図である。この実施形態では、2次シール34の一端は、ステータ上部界面要素24内に設置されたスロット43内に取り付けられた角度付き端部41を含む。支持構造要素37は、ステータ上部界面要素24の延長部である。支持構造要素37は、2次シール34の半径方向外向きの動きが比較的小さい抵抗で可能である一方で、2次シール34の半径方向内向きの動きが、後述するように低減されるように、2次シール34と界面接続する。支持構造要素37は、前キャビティ38内の高圧流体と後キャビティ40における低圧流体との間の、ステータ−ステータ隙間における漏れを制限するために、スプラインシールシムを配設することを可能にするための溝またはスロット39を含むことができる。シーリング装置セグメント15の他の特徴は、シーリング装置セグメント12、13(図2図3に示す)の特徴と同様である。溝またはスロット39内でスプラインシールシムを使用することは、近接するセグメントのステータ−ステータ隙間の間の漏れを低減すること、ならびに近接するセグメントの2次シール間の漏れを制限することを意図している。溝またはスロット39およびスプラインシールシムの厚さは、近接するステータ界面要素の組み立てのばらつきまたは熱および圧力によるたわみによって、近接するステータ界面要素24間に生じる半径方向および軸方向の不整合に耐えられるように構成される。
【0023】
2次シール34と界面接続する支持構造要素37は、非線形スプリング剛性特性を2次シール34に与える。一実施形態では、2次シール34は、双線形スプリング剛性特性を2次シール34に与える。半径方向内向きの動きに対して、2次シール挙動は、一端が支持構造要素37に取り付けられ、他端がシュープレート14に沿って軸方向に自由に滑動する、短くて堅い片持ち梁と同様である。2次シール34の堅いスプリング特性は、半径方向内向きのシューの動きの程度を制限するために、また加圧および半径方向内向きの動きによって生じる2次シール34内の機械的応力を制限するために、半径方向内向きの動きにとって望ましい。反対に、ロータが膨張する事象の間(すなわち、シューが半径方向外向きに動くとき)に、短くて堅い2次シール34によって提供される抵抗は望ましくない。しかしながら、2次シール34は、支持構造要素37に取り付けられていないので、2次シール34は、支持構造要素37から容易に離昇/剥離することができる。半径方向外向きの動きの場合には、2次シール挙動は、外向きのシューの動きに対して低減された抵抗を有する、柔らかくて長い片持ち梁と同様である。
【0024】
図9は、本発明の一実施形態による、隣接するシーリング装置セグメント12間に複数のシップラップシム72を有するフィルムライディングシールアセンブリ70である。複数のシップラップシム72は、シールアセンブリ70内の隣接する2次シール34と重なるように配設される。シップラップシム72の各々は、互いに角度を成して取り付けられた第1のシム74と第2のシム76とを含む。一実施形態では、シップラップシム72の各々は、あるセグメントの2次シールに取り付けられた(ろう付けされた)湾曲した金属シムであり、それによって、そのシムは、近接するセグメントの2次シールの上に延びる。湾曲したシム74、76の挟角(included angle)は、2つの近接する2次シール34に沿った直線間に形成される角度と一致するように構成される。シップラップシム72の各々に対して、第1のシム74は、2次シール34のうちの1つに取り付けられ、第2のシム76は、シールアセンブリ70の隣接する2次シール上を自由に滑動するように構成された延長シムである。そのような延長シムは、加圧されると閉じて、近接する2次シール34間のセグメント隙間の漏れを低減することが予期される。
【0025】
シールアセンブリ70は、各シュープレート14とロータ13との間、および近接する各シュープレート14の間にクリアランス隙間が存在するように、ロータ13(図1に示す)に対して組み立てられる。同じく、近接するセグメント12の2次シール34は、セグメントの固着を回避するために、(図9に示すようにシップラップシム72によって覆われるときを除いて)それらの間にクリアランス隙間を有する。加圧されると、流体は、前蛇腹スプリング30(シールセグメント14、24より幅が短い)回りに流れ、前キャビティ38(図1に示す)を加圧する。スプラインシールおよび/またはシップラップシム70とともに、近接するセグメント12からの2次シール34は、ステータ界面要素24とシュープレート14との間の流体流れに対する抵抗経路を形成する。各2次シール34はそれぞれのシュープレートと線接触を形成するので、シューと2次シールとの間のこの線接触を超える漏れ、ならびにスプラインシールおよびシップラップシム70の配列にわたる漏れは比較的少ない。低圧流体が、後蛇腹32(図2に示す)の周辺を流れ、2次シール34、スプラインおよび/またはシップラップシム70の配列の後ろに低圧を生じる。したがって、シールアセンブリ70にわたる圧力降下は、2次シール34、スプラインおよび/またはシップラップシム70の配列にわたって発生する。シールを加圧することで、シュープレート14がロータに向かって動かされ、その最初の組み立てのクリアランスに応じて各セグメント12のシュープレートが流体膜(3/1000〜5/1000インチ厚)の上に乗り、それによって気体静力学モードで動作する。
【0026】
図10は、本発明の一実施形態による、シーリング装置セグメント12内の別の後ポート52を示す。この実施形態では、1つまたは複数の後ポート52は、複数のラビリンス歯16の後から直接シーリング装置セグメント12の下流キャビティに流体が流れることを可能にするために、まっすぐなポートまたは円周方向に傾いたポートである。1つまたは複数の後ポート52の第1の端部開口が、ラビリンス歯16の背面に対向して、後シュー部28の第1の縁部に設置され得る。この実施形態で示すように、1つまたは複数の後ポート52の第2の端部開口が、シュープレート14の後シュー部の第2の縁部に設置され、流体の流れを、複数のラビリンス歯16の後から直接シーリング装置セグメント12の下流キャビティに案内する。
【0027】
図11は、本発明の一実施形態による、シールアセンブリ10内のシュー−ロータ曲率を示す。シールアセンブリ10はまた、空気力学モードの動作で動作する。ロータ−シュープレート隙間が(たとえば、熱的過渡現象がクリアランスの変化を生じる間に)縮小し始めると、薄い流体膜51が追加の圧力を蓄積し始める。この実施形態では、シュープレート14の曲率半径がロータ半径より大きくなるように、意図的に加工されている。その結果、ロータ−シュープレート隙間が小さくなる(一般的に1/1000インチ未満)と、流体膜51は、回転方向に単調に収束するかまたは収束−発散する。流体くさびの形態のこの流体膜は、追加の圧力を蓄積させる。薄膜の物理的特性は、流体力学的ジャーナル軸受またはフォイル軸受からよく理解されており、適切な流体流れモデルを使用してモデル化することができる。基本原理は、回転方向における流体膜厚における負の勾配が、流体膜内圧力をその境界圧力を超えて増大させることである。薄い流体膜によって生じた追加の圧力は、蛇腹スプリング30、32を圧搾し、それによってシュープレート14を半径方向外向きに移動させ、ロータがシュープレート14と接触するのを防止する。この意味で、ロータの外向きの偏移が、あらゆるシーリング装置セグメント12上のシュープレート14によって追跡される。
【0028】
図12に示す別の実施形態では、薄い流体膜は、回転方向においてシュープレート14上に1つまたは複数のレイリーステップ60、62が存在することによって、追加の力が発生する。図示のように、前シュー部26が第1のレイリーステップ60を含み、後シュー部28が第2のレイリーステップ62を含む。複数の前ポート50および1つまたは複数の後ポート52はまた、シール動作の薄膜空気力学モードにおいて発生する可能性のある追加の熱を運び去るための冷却ポートとしての目的にかなうことに留意されたい。
【0029】
2つのシュー部、すなわち前シュー部26および後シュー部28が存在することで、(円周方向軸回りの)空気力学モーメントが両方向に発生することが可能になる。たとえば、後シュー部28の後縁部が前シュー部26の前縁部よりロータに近くなるように、シュープレート14が傾いている場合、後シュー部28は、前シュー部26より大きい動的空気力を発生し、結果としてもたらされた空気力学モーメントがシューの傾きを修正することになる。同様に、前シュー部26がロータにより近い場合に、前シュー部26は、空気力学的な傾き修正を可能にする。全体的に、ロータとの曲率非整合あるいは1つまたは複数のレイリーステップ60、62を有する2つのシュープレート部配列は、半径方向クリアランス変化ばかりでなくシールの前後の傾きをも修正できる自動修正式シール挙動を可能にする。
【0030】
非限定的な例では、蛇腹スプリング30、32と2次シール34(図2に示す)の両方は、Inconel X750またはRene41のような高温金属合金シムから形成される。蛇腹スプリング30、32の両端部は、上部界面要素24とシュープレート14とにろう付けされる。2次シール34は、ステータまたは上部界面要素24に片持ち梁で支持され(ろう付けされ)、シュープレート表面上を軸方向に自由に滑動する。本実施形態では、2次シール34の自由端は、シュープレート14に(図示のように)接し、常時シュープレート14と接触したままである。一実施形態では、加圧される前は、2次シール34とシュープレート14との間に隙間が存在し(非接触であり)、この隙間は、加圧されると閉じて、2次シール34とシュープレート14との間の接触を確立することになる。一実施形態では、シュープレート14およびステータ界面部分または上部界面要素24は、機械加工されるかまたは鋳造される。一実施形態では、シュープレートの半径方向最内側の表面は、シュープレート14とロータとの間の偶発的摩擦を処理することができる同様の被膜であるNASA PS304またはNASA PS400などの潤滑被膜で被覆することができる。別の実施形態では、シュープレート14と界面接続するロータ表面は、ロータの硬さ、耐食性、および良好な表面仕上げを維持する能力を改善するために、炭化クロムまたはチタンアルミニウム窒化物(titanium aluminium nitride)または同様の被膜で被覆することができる。
【0031】
図13は、本発明の一実施形態による、ロータ−ステータシールアセンブリ80を示す。一実施形態では、ロータステータシールアセンブリ80は、回転機械の動作中に動的空気力を発生させるために軸方向または接線方向に傾けられた、ロータ上の溝またはスロット82を含む。別の実施形態では、ロータステータシールアセンブリ80は、回転機械の動作中に動的空気力を発生させるために矢筈模様(herringbone pattern)の、ロータ上の溝またはスロット84を含む。
【0032】
さらに、一実施形態では、前シュー26の下のロータ13の一部分は、軸方向と接線方向とが組み合わされた方向に配向された溝またはスロットまたはポケット82を含む。さらに、この実施形態では、後シュー28の下のロータ13の一部分は、矢筈模様を含む。さらに別の実施形態では、前シュー26および後シュー28の各々の下のロータ13は、完全に軸方向に配向されたポケット/溝/スロット、あるいは軸方向と接線方向とが組み合わされた方向の溝または矢筈模様を含む。ロータ13上の溝は、回転方向に、または回転と反対の方向に整列することができる。
【0033】
図14は、シールアセンブリを製造する方法に関与するステップを示すフローチャート100である。方法は、固定ハウジングとロータとの中間に配置されたシールアセンブリのために複数のシーリング装置セグメントを設けるステップを含み、ステップ101で提供される。ステップ102で、方法は、前シュー部および後シュー部を有しかつそれらの間にロータに対向する1つまたは複数のラビリンス歯を有するシュープレートを設けるステップを含む。ステップ104で、方法は、シュープレートとステータ界面要素とに複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャを接続するステップを含む。方法は、ステータ界面要素とシュープレートとに複数の蛇腹スプリングまたはフレキシャを締結またはろう付けするステップを含む。さらに、ステップ106で、方法は、漏れを防止するためにステータ界面要素内の溝またはスロットの中にスプラインシールを配設するステップを含む。ステップ108で、方法はまた、2次シールの一端をステータ界面要素と一体化するステップと、2次シールの第2の端部を複数の蛇腹スプリングとシュープレートとの周りに配置するステップとを含む。一実施形態では、方法は、ステータ界面要素に2次シールを締結またはろう付けするステップをさらに含む。別の実施形態では、方法はまた、米航空宇宙局(NASA)によって開発され、NASA PS304またはNASA PS400として知られているプラズマ溶射(PS)を含む金属酸化物ベースの被膜のグループから選択された潤滑被膜で、シュープレートの半径方向最内側の表面を被覆するステップを含む。さらに別の実施形態では、方法はまた、黒鉛、ダイヤモンド状炭素、および六方晶窒化ホウ素、または同様の他の固体潤滑剤および耐摩耗性被膜のグループから選択された潤滑被膜で、シュープレートの半径方向最内側の表面を被覆するステップを含む。さらに、別の実施形態では、方法は、炭化クロム、チタンアルミニウム窒化物などのグループから選択された材料で、シュープレートと界面接続するロータ表面を被覆するステップを含む。
【0034】
有利なことに、本空気力学シールアセンブリは、大きい圧力降下および大きい過渡事象をともなう回転機械内のいくつかの場所に対する高信頼でロバストなシールである。シールアセンブリはまた、製作するのに経済的である。シールの非接触動作は、大きく変化するロータの過渡的位置に対して、本シールアセンブリを特に魅力的にする。さらに、本発明は、スプリング堅さと耐圧性能とを独立に制御することが可能であり、それによって、高い圧力降下に依然として耐えられる適応的シールを設計することが可能になる。さらに、本発明は、シュープレートが、気体静力学動作中にロータと平行に滞留し、空気力学モード中にロータに平行に並進運動することを可能にする。同じく、本発明は、半径方向の動きに対する改善された予測可能性(漏れ性能およびロバスト性に対する向上した予測可能性)を含む。
【0035】
さらに、当業者は、異なる実施形態から様々な特徴の互換性を認識するであろう。同様に、説明した様々な方法ステップおよび特徴、ならびにそのような方法および特徴の各々に対する他の知られている等価物は、本開示の原理に従って追加のシステムおよび技法を構築するために、当業者の一人によって混合され、適合され得る。当然ながら、必ずしも、上記で説明したそのような目的または利点のすべてが、いずれかの特定の実施形態に従って実現できるとは限らないことを理解されたい。したがって、たとえば、本明細書で教示する一利点または利点群を達成または最適化するが、必ずしも本明細書で教示または示唆する他の目的または利点を達成するとは限らない様式で、本明細書で説明したシステムおよび技法が具現化または遂行され得ることを、当業者は認識するであろう。
【0036】
本発明のいくつかの特徴だけを、本明細書で図示し、説明したが、多くの修正形態および変形形態を、当業者は想到するであろう。それゆえ、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲に入るすべてのそのような修正形態および変形形態をカバーすることが意図されていることを理解されたい。
【符号の説明】
【0037】
10 フィルムライディングシールアセンブリ、シールアセンブリ
12 シーリング装置セグメント
13 ロータシャフト
13 シーリング装置セグメント
14 シュープレート
15 シーリング装置セグメント
16 ラビリンス歯
18 高圧領域
20 低圧領域
24 ステータ界面要素
26 前シュー部
28 後シュー部
30 前蛇腹スプリング
31 フレキシャ
32 後蛇腹スプリング
33 フレキシャ
34 2次シール
35 溝またはスロット、スプラインスロット
36 片持ち梁部
38 前キャビティ
40 後キャビティ
41 ステータ−ステータ半径方向隙間
42 前シュー供給溝
43 半径方向の2次シールセグメント隙間
44 後シュー供給溝
46 シュープレートの上部
47 半径方向セグメント隙間
48 シュープレートの底部
49 ろう付け接合部
50 前ポート
51 流体膜
52 後ポート
60 レイリーステップ
62 レイリーステップ
70 フィルムライディングシールアセンブリ
72 シップラップシム
74 湾曲したシム
76 湾曲したシム
80 ロータ−ステータシールアセンブリ
82 ロータ上の溝またはスロットまたはポケット
84 ロータ上の溝またはスロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14