(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単一のエタロンからなり、光ビームを出力するレーザ光源アセンブリの外部にあり、前記光ビームの周波数を設定周波数に動的にロックするエタロンアセンブリを備えるアセンブリであって、
前記設定周波数は、周波数グリッドに分割された周波数帯内の複数の設定周波数から選択され、前記複数の設定周波数は、チャネルに関連付けられたオングリッド周波数と、チャネルに関連付けられていないオフグリッド周波数と、を含み、
前記エタロンアセンブリは、
光ビームを受け取り、干渉効果よって送信ビームを生成するエタロンであって、前記送信ビームは、前記エタロンの温度に依存する周期関数であり、前記エタロンの熱チューニング範囲は、前記エタロンの自由スペクトル範囲の2分の1より大きいエタロンと、
前記エタロンに取り付けられ、前記エタロンの温度を調整するように構成されたエタロンヒータと、を備え、
前記アセンブリは、コントローラを更に備え、前記コントローラは、
それぞれが前記エタロンの熱チューニング範囲に少なくとも等しい帯域幅を有するセグメントに分割される周波数帯全体に亘って分布し、少なくとも1つの較正点が各セグメント内にある複数の較正点から前記設定周波数に最も近い較正点を特定し、前記特定された較正点及び関連する較正温度(Tnom)を読み出すことで、前記設定周波数に基づいて較正データを読み出し、
熱チューニングアルゴリズム及び前記較正データを使用して、前記エタロンのための設定温度を算出し、
前記エタロンが前記算出された設定温度になるように前記エタロンヒータを制御するアセンブリ。
前記エタロンアセンブリは、前記エタロンの一部を囲み、前記エタロンヒータに接触する熱伝導性のシュラウドを更に備え、前記シュラウドの形状は、エタロンに均一な熱プロファイルを提供するように設計されている請求項1記載のアセンブリ。
設定周波数を受け取るステップであって、前記設定周波数は、周波数グリッドに分割された周波数帯内の複数の設定周波数から選択され、前記複数の設定周波数は、チャネルに関連付けられたオングリッド周波数と、チャネルに関連付けられていないオフグリッド周波数と、を含む、ステップと、
前記設定周波数に基づいて較正データを読み出すステップと、
熱チューニングアルゴリズム及び前記較正データを用いて、単一のエタロンからなるエタロンアセンブリ内のエタロンのための設定温度を算出するステップであって、前記エタロンの熱チューニング範囲は、前記エタロンの自由スペクトル範囲の2分の1より大きいステップと、を含み、
前記設定周波数に基づいて較正データを読み出すステップは、
複数の較正点から前記設定周波数に最も近い較正点を特定するステップであって、前記複数の較正点は、それぞれが前記エタロンの熱チューニング範囲に少なくとも等しい帯域幅を有するセグメントに分割される周波数帯全体に亘って分布し、少なくとも1つの較正点が各セグメント内にあるステップと、
前記特定された較正点及び関連する較正温度(Tnom)を読み出すステップと、を含み、
前記エタロンの温度が前記算出された設定温度に等しくなるように前記エタロンアセンブリを制御して、光ビームの周波数を前記設定周波数に動的にロックする方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面及び以下の説明は、例示のみを目的として特定の実施形態を示すものである。以下の説明から、ここに開示する原理を逸脱することなく、他の構造及び方法の実施形態を採用できることは、当業者にとって明らかである。以下、具体例が添付の図面に示された幾つか実施形態を詳細に説明する。なお、図面においては、可能な限り、同様又は類似の機能に同様又は類似の符合を付している。
【0009】
図1は、実施形態に基づく熱ロックシステム(thermal locker system)100のブロック図である。熱ロックシステム100は、チューニングアセンブリ105及びコントローラ110を含む。熱ロックシステム100は、コントローラ110からの指示に応じて特定の周波数(すなわち、設定周波数)にロックされる光ビームを生成する。更に、周波数帯内の異なる周波数値に光放射のビームをロックするように、ビームの設定周波数を動的に調整してもよい。周波数帯は、例えば、1.53〜1.57μm(191083〜196078GHz)をカバーする従来の波長帯域であるCバンド、1.565〜1.625μm(184615〜191693GHz)をカバーするLバンド等であってもよい。熱ロックシステム100は、この出力ビームをユーザが選択した周波数(例えば、設定周波数)に動的にロックすることができる。更に、周波数はオングリッドであってもオフグリッドであってもよい。オングリッドの周波数とは、周波数グリッドの特定のチャネルに関連付けられた周波数であり、オフグリッドの周波数とは、周波数グリッドのチャネルに関連付けられていない周波数である。
【0010】
チューニングアセンブリ105は、レーザ光源アセンブリ115、サブマウント120、温度調整器125、コリメータ130、方向変更アセンブリ135、エタロンアセンブリ140、参照ビーム検出器145、送信ビーム検出器150及びサブマウント温度検出器155を含む。
【0011】
レーザ光源アセンブリ115は、特定の周波数において、光放射の1つ以上の出力ビーム(例えば、前方ビーム116及び後方ビーム118)を生成する。前方ビーム116は、外部アセンブリ(例えば、送信機)に供給してもよい。熱アセンブリシステム100は、後方ビーム118を用いて、前方ビーム116の周波数を識別し、この周波数が特定の周波数にロックされたままであることを確認する。他の実施形態においては、熱アセンブリシステム100は、前方ビーム116と、ビームスプリッティング要素とを組み合わせて用いて、前方ビーム116の周波数を識別する。
【0012】
レーザ光源アセンブリ115は、出力ビームを生成するために、1つ以上のレーザチップ(例えば、レーザダイオード)を含む。更に、1つ以上のレーザチップは、複数のセクションから構成されていてもよい。例えば、レーザ光源アセンブリ115は、複数のセクションから構成される単一のモノリシックのレーザチップを含んでいてもよい。これらのセクションは、レーザチップの異なる部分、例えば、増幅媒体、チューニング、位相、増幅器等である。1つ以上のレーザチップを選択して、特定のアプリケーションに有用な光放射の周波数を生成してもよい。例えば、幾つかのデータ通信アプリケーションについては、1つ以上のレーザチップによって生成される光放射の周波数は、Cバンド全体に亘って分布していることがある。レーザ光源アセンブリ115は、コントローラ110に接続されている。ビーム116、118の周波数は、1つ以上のレーザチップの温度及びコントローラ110から供給された各チップ(例えば、レーザチップ及び/又は1つ以上のチップセクション)における駆動電流の量に依存する。
【0013】
サブマウント120は、1つ以上のプレートを含む。チューニングアセンブリ105の部品(すなわち、レーザ光源アセンブリ115、コリメータ130、方向変更アセンブリ135、エタロンアセンブリ140、参照ビーム検出器145、送信ビーム検出器150、サブマウント温度検出器155及び温度調整器125)は、1つ以上のプレートに装着されている。1つ以上のプレートは、機械的安定性を提供し、及び1つ以上の部品の熱管理を補助してもよい。更に、1つ以上のプレートは、熱伝導性を有する。この実施形態では、少なくともレーザ光源アセンブリ115が熱伝導性を有する金属板に取り付けられている。幾つか実施形態では、エタロンアセンブリ140は、断熱されたプレートに取り付けてもよい。熱伝導性の金属板は、安定した熱伝導性材料(例えば、窒化アルミニウム)から形成してもよく、断熱されたプレートは、安定した断熱材料から形成してもよい。一実施形態においては、レーザ光源アセンブリ115、コリメータ130、方向変更アセンブリ135、エタロンアセンブリ140、参照ビーム検出器145、送信ビーム検出器150、サブマウント温度検出器155は、サブマウント120の一方の表面に取り付けられ、そして、温度調整器125は、サブマウント120の反対側の表面に取り付けられる。
【0014】
温度調整器125は、1つ以上の温度調整デバイスを含む。サブマウント120の熱伝導部分に装着された部品の1つ以上の温度を管理するために、温度調整デバイスを用いて、サブマウント120の一部又は全部を冷却及び/又は加熱してもよい。温度調整デバイスは、例えば、熱電クーラであってもよい。温度調整器125は、コントローラ110に接続されコントローラ110から信号を受信し、これに基づいて、サブマウント120の一部又は全部を冷却及び/又は加熱する。
【0015】
サブマウント温度検出器155は、サブマウント120の温度を監視し、サブマウントの温度に対応する出力信号を生成する。一実施形態においては、サブマウント120の温度は、サブマウント120の熱伝導部分に装着された1つ以上の部品の温度を示す。例えば、サブマウント120の温度は、サブマウント120の熱伝導部分に装着されたレーザ光源アセンブリ115の温度を示していてもよい。更に、較正の際に、測定された温度とレーザ光源アセンブリ115の実際の温度との間における何らかのオフセットを考慮してもよい。サブマウント温度検出器155は、例えば、サーミスタ、熱電対等であってもよい。サブマウント温度検出器155は、コントローラ110に接続され、サブマウント120の温度を示す信号をコントローラ110に供給する。
【0016】
コリメータ130は、1つ以上の光学素子を含む。1つ以上の光学素子は、後方ビーム118をコリメートして、コリメートビーム132を生成するために使用される。1つ以上の光学素子は、波面歪みを最小化してビームをコリメートするように設計された1つ以上の非球面及び/又は球面レンズを含んでいてもよい。
【0017】
方向変更アセンブリ135は、コリメートビーム(collimated beam)132を参照ビーム(reference beam)136及び方向変更ビーム(redirected beam)138に分割する。一実施形態において、方向変更アセンブリ135は、コリメートビーム132を参照ビーム136及び方向変更ビーム138に分割する偏光ビームスプリッタを備える。更に、幾つかの実施形態においては、方向変更アセンブリ135は、方向変更ビーム138を、サブマウント120に対して参照ビーム136から垂直方向にオフセットさせるように構成してもよい(すなわち、潜望鏡構成)。潜望鏡構成により、サブマウント120上で使用される空間を小さくできるので、チューニングアセンブリ105のフォームファクタを小さくすることができる。更に、幾つかの実施形態においては、方向変更アセンブリ135は、コリメートビーム132が入射する方向変更アセンブリ135の表面に偏光板を備え、この反対面に1/4波長板を備えていてもよい。偏光板及び1/4波長板の機能については、
図2を用いて後に説明する。
【0018】
エタロンアセンブリ140は、方向変更ビーム138を受け、干渉効果によって送信ビーム142を生成する。エタロンアセンブリ140は、エタロン160、エタロンヒータ165及びエタロン温度検出器170を含む。
【0019】
エタロン160は、方向変更ビーム138から周期的な出力(すなわち、送信ビーム142)を生成する干渉計素子であり、送信ビーム142は、レーザの周波数及びエタロン160の温度によって変化する。エタロン160は、入射面(第1の表面)及び出射面(第2の表面)を有する。エタロンは、ガラス、1つ以上の結晶又はこれらの何らかの組み合わせであってもよい。一実施形態においては、出射面は、入射面の反対側にあり、両方の面に高い精度の幾何公差で精密な光学キャビティが形成されている。更に、幾つかの実施形態においては、入射面及び/又は出射面を光学的にコーティングしてもよい。キャビティ内の建設的干渉及び破壊的干渉又は共振の条件は、干渉次数と、屈折率、厚さ及び入射ビーム角度のパラメータを有する要素の光路長(optical path length:OPL)とによって決定される。送信ビーム142は、送信最大値(すなわち、共振ピーク)の位置及び幅によって定義できる。より具体的には、1つのピークから次のピークまでの周波数の差は、自由スペクトル範囲(Free Spectral Range:FSR)と呼ばれ、ピークの幅は、エタロンフィネス(Etalon Finesse)と呼ばれ、これは、主に、2つの表面のコーティング反射率の選択に依存する。エタロン160の温度が変化すると、熱光学係数(dn/dT)によって特徴付けられる要素の屈折率と、熱膨張係数(α)によって特徴付けられるキャビティの厚さの両方が変化する。この結果生じる光路長(OPL)の変化によって、共振ピークの位置が変化し、送信ビーム142内の温度による周波数シフト(dυ/dT)が生じる。
【0020】
包括的に言えば、エタロン160の材料は、良好な機械的特性(例えば、安定しており、加工が容易な特性)を有し、制御感度の問題が生じない程度に大きい周波数変化/温度変化(dυ/dT)を有し、エタロン160全体に一様な熱プロファイルを実現する高い熱伝導率(κ)を有する必要がある。例えば、エタロン160は、安定性を有し、この範囲(2〜4GHz/C)内のdυ/dTを有し、κが10W/m.Kを超える材料から形成してもよい。幾つかの実施形態においては、エタロン160は、単一のイットリウムアルミニウムガーネット(「YAG」)結晶から形成してもよい。YAGは、2.2GHz/Cのdυ/dT及び約12.9Wm
−1K
−1のκを有する。これとは対照的に、シリコンは、温度の変化に敏感すぎ(8.8GHz/Cのdυ/dT)、精密な温度制御を要求する。また、サファイヤは、同程度の温度感度(2.2GHz/Cのdυ/dT)を有しているが、その硬さのために、要求される精度での機械加工が非常に困難である。
【0021】
幾つかの実施形態においては、エタロン160は、シュラウド(shroud)によって部分的にカバーしてもよい。シュラウドは、エタロン160全体に亘る温度均一性を維持するために使用される。シュラウドは、一体構造(monolithic structure)であってもよく、複数の部品から構成してもよい。更に、幾つかの実施形態においては、エタロン160とシュラウドの間、シュラウドの部品の間、又はこの幾つかの組合せに1つ以上の空隙を設けてもよい。シュラウドは、熱伝導性材料から形成され、エタロンヒータ165に取り付けられる。シュラウドは、例えば、安定した熱伝導性材料(例えば、窒化アルミニウム、複合セラミクス、銅又は他の金属等)から形成してもよい。
【0022】
エタロンヒータ165は、エタロンアセンブリ140を加熱する。エタロンヒータ165は、熱伝導性の取付面を有し、ここにエタロン160、シュラウド及びエタロン温度検出器170が取り付けられる。エタロンヒータ165は、例えば、熱電クーラ、抵抗ヒータ等であってもよい。エタロンヒータ165の最高温度は、エタロン160の具体的な組成に依存する。例えば、YAGを材料とするエタロン160の場合、エタロンヒータ165は、エタロン160を約78℃の最高温度に熱するように構成してもよい。一方、石英ガラスの場合、エタロンヒータ165は、95.8℃の最高温度に達する必要があり、これは、実用的ではない。更に、エタロンヒータ165の応答時間及び精度は、エタロン160の筐体設計及び材料組成に依存する。例えば、温度変化に非常に敏感である(すなわち、dυ/dTが高い)材料の場合、制御精度及び外部の影響の補償の両方の観点から、エタロンヒータ165に対する特定の温度を維持する要求がより厳しくなる。エタロンヒータ165は、コントローラ110に接続され、コントローラ110から信号を受信し、この信号によって、エタロンヒータ165は、特定の温度への加熱及び/又は冷却を行う。
【0023】
幾つかの実施形態においては、エタロンアセンブリ140は、熱伝導性の取付面の反対側の表面に取り付けられた断熱体を含む。断熱体は、断熱材料から形成され、エタロン160の温度をサブマウント120から隔離するために使用される。断熱体は、断熱セラミクス、ガラス、又は他の何らかの安定した断熱材料であってもよい。更に、幾つかの実施形態においては、エタロンヒータ165の部分と断熱体との間に1つ以上の空隙を設けてもよい。空隙の位置及びサイズは、効率的で一様なエタロンアセンブリ140の熱管理が実現されるように決定される。
【0024】
エタロン温度検出器170は、エタロンヒータ165の温度を監視し、対応する出力信号を生成する。エタロン温度検出器170は、例えば、サーミスタ、熱電対等であってもよい。一実施形態においては、エタロン温度検出器170は、エタロンヒータ165に取り付けられる。他の実施形態においては、エタロン温度検出器170は、エタロン160、シュラウド又はエタロンアセンブリ140の他の部分に取り付けてもよい。エタロン温度検出器170は、コントローラ110に接続され、エタロン160の温度を示す信号を供給する。エタロン温度検出器170がエタロン160以外の部品に取り付けられる実施形態においては、較正の際に、測定された温度とエタロン160の実際の温度におけるオフセットを考慮してもよい。
【0025】
参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150は、入射光放射の強度を測定する。検出器145、150は、フォトダイオード(例えば、p−i−nダイオード)である。参照ビーム検出器145は、参照ビーム136を監視し、対応する出力信号R
xMonを生成する。送信ビーム検出器150は、方向変更ビーム138を監視し、対応する出力信号T
xMonを生成する。R
xMon及びT
xMonの信号強度は、それぞれ、参照ビーム136及び方向変更ビーム138の光強度に比例する。参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150は、コントローラ110に接続され、それぞれ、出力信号R
xMon及びT
xMonをコントローラ110に供給する。
【0026】
コントローラ110は、前方ビーム116及び後方ビーム118が特定の周波数、例えば、設定周波数で出力されるように、チューニングアセンブリ105を制御するように構成されている。設定周波数は、レーザ光源アセンブリ115から出力される光ビーム116の所望の周波数である。コントローラ110は、1つ以上のメモリ175及び1つ以上のプロセッサ180を含む。幾つかの実施形態においては、コントローラ110は、互いに接続された複数のサブコントローラから構成され、サブコントローラのそれぞれは、アセンブリ100の異なる部分を制御する。例えば、エタロンヒータ165及び温度調整器125を制御する個別のサブコントローラを設けてもよい。
【0027】
コントローラ110は、1つ以上のプロセッサ180を用いて、エタロン温度検出器170、サブマウント温度検出器155、参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150からの信号を監視するように構成されている。エタロン温度検出器170からの信号は、エタロン160の温度を示す。サブマウント温度検出器155からの信号は、レーザ光源アセンブリ115の温度を示す。上述したように、参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150からの信号は、それぞれ、R
xMon及びT
xMonである。
【0028】
コントローラ110は、1つ以上のプロセッサ180を用いて、レーザ光源アセンブリ115、温度調整器125及びエタロンヒータ165を制御し、前方ビーム116及び後方ビーム118の周波数を所望の値にするように構成されている。これらの機能は、
図5〜
図9を用いて後に詳細に説明する。更に、コントローラ110は、参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150をバイアスするように構成してもよい。
【0029】
コントローラ110は、例えば、メモリ175に保存された1つ以上のルックアップテーブルを用いて、チューニングアセンブリ105を調整し、特定の周波数で前方ビーム116及び後方ビーム118を生成及びロックする。ルックアップテーブルは、レーザ光源アセンブリ115に供給される駆動電流と、サブマウント温度検出器155からの測定温度との組み合わせを前方ビーム116及び後方ビーム118の推定された出力周波数にマッピングするレーザ光源アセンブリデータを含む。
【0030】
また、1つ以上のルックアップテーブルは、較正データ及び1つ以上の熱チューニングアルゴリズム(thermal tuning algorithm)を含み、コントローラ110は、これを用いて、エタロン160の温度を設定周波数に対応する設定温度に調整してもよい。1つ以上のルックアップテーブルは、対応する周波数値のために較正されたロック比率(lock ratio)の値及びエタロン温度の値を含んでいてもよい。ロック比率は、周波数、エタロン温度、サブマウント温度及びケース温度の関数である。更に、較正の際に、サブマウント温度及びケース温度の依存性を考慮してもよい。このように、ロック比率は、包括的には、周波数及びエタロン温度の関数とみなしてもよい。一実施形態においては、ロック比率(LR)は、以下のように定義される。
LR=T
xMon/R
xMon (1)
式(1)に示すように、ロック比率は、特定のエタロン温度及び周波数において、送信ビーム142の強度を参照ビーム136の強度によって除算した値である。これに代えて、ロック比率は、他の手法で定義してもよく、例えば、ビーム間の強度の差をビームの強度の合計によって除算した値であってもよい。
【0031】
特定の設定周波数及びエタロン温度のために較正されたロック比率をロック比率設定点と呼ぶ。ロック比率設定点は、特定の周波数値(すなわち、設定周波数)及び対応するエタロン応答値を有する。幾つかの実施形態においては、ロック比率設定点が等しい間隔でT
nom応答曲線に交差するように、ロック比率設定点をエタロン応答値に対して較正する(
図5参照)。この間隔は、例えば、自由スペクトル範囲(FSR)の1/2であってもよい。幾つか実施形態では、この間隔は、50GHzであってもよい。更に、幾つかの実施形態においては、ロック比率設定点の較正された値は、周波数変化に対するエタロン応答を最大にするエタロン応答値を有する。このため、ロック比率設定点が幾つかの他の間隔に設定されている実施形態においては、較正点に関するエタロン温度の要求が非対称になる。エタロンの動作温度の極値は、制限されることがあり、したがって、較正のために、代替となる公称温度が選択されることがある。
【0032】
後に詳細に説明するように、コントローラ110は、ロック比率を算出し、これをロック比率設定点と比較して、後方ビーム118及び前方ビーム116の周波数が設定周波数からシフトしているかを判定するように構成されている。コントローラ110は、1つ以上のレーザチップの温度及び/又は1つ以上のレーザチップに供給される駆動電流を調整し、後方ビーム118及び前方ビーム116のビーム周波数をシフトさせて設定周波数に戻すように構成されている。
【0033】
図2は、
図1の熱ロックシステム100で使用されるチューニングアセンブリ105の具体例を示している。レーザ光源アセンブリ105は、前方ビーム116及び後方ビーム118を生成するレーザチップ205を含む。この実施形態では、レーザチップ205は、熱伝導スペーサ210に取り付けられている。コリメータ130は、後方ビーム118をコリメートしてコリメートビーム132を生成する。
【0034】
コリメートビーム132は、ビーム方向変更アセンブリ135に入射する。この実施形態では、ビーム方向変更アセンブリ135は、偏光板215、変更された偏光ビームスプリッタ220及び1/4波長板225を含む。偏光板215は、X軸に沿って方向付けられた線形偏光板であり、X軸に沿ってコリメートビーム132を偏光して偏光ビームを生成する。そして、偏光ビームは、第1の反射面230に入射する。第1の反射面230は、偏光ビームの一部の方向を90度変更し、反射した成分をY方向に伝播させるように構成されている。更に、第1の反射面230は、偏光ビームの一部を1/4波長板225の方向に透過するようにコーティングされている。例えば、コーティングは、偏光ビームの約70%を反射し、約30%を透過するものであってもよい。第1の反射面230によって透過される偏光ビームの部分は、1/4波長板225によって45度回転され、参照ビーム136が形成される。そして、参照ビーム136は、参照ビーム検出器145に入射する。
【0035】
そして、第1の反射面230によって反射された偏光ビームの部分は、第2の反射面235に入射する。第2の反射面235は、X軸に沿って方向付けられた偏光ビームの一部の反射を最大にし、X軸に垂直な方向に偏光された偏光ビームの一部の透過を最大にする材料でコーティングされている。第2の反射面235は、サブマウント120に平行な方向(例えば、Z方向)に偏光ビームを方向変更し、及び方向変更ビーム138と参照ビーム136の間に垂直オフセットを設定するように構成されている。方向変更ビーム138及び参照ビーム136の間に垂直オフセットを提供する第1の反射面230及び第2の反射面235のこの構成は、潜望鏡構成と呼ばれる。この潜望鏡構成により、部品を取り付けるためのサブマウント120上の面積を小さくでき、したがって、チューニングシステム105のフォームファクタ及び/又はフットプリントを小さくすることができる。そして、第2の反射面235によって反射される偏光ビームの部分は、1/4波長板225によって45度回転され、方向変更ビーム138となる。
【0036】
この実施形態では、エタロンアセンブリ140は、エタロン160、シュラウド250、エタロンヒータ165、エタロン温度検出器170及び断熱体255を含む。方向変更ビーム138は、エタロン160の第1の表面240に入射する。第1の表面240は、高度に研磨され、エタロン160の第2の表面245に平行にされ、この第2の表面245も高度に研磨され、必要な光学キャビティが形成されている。更に、幾つかの実施形態においては、第1の表面240及び第2の表面245の両方に1つ以上の反射材をコーティングしてもよい。エタロン160は、方向変更ビーム138から送信ビーム142を生成し、送信ビーム142は、レーザ光源アセンブリ115によって生成される出力ビームの周波数及びエタロン160の温度によって変化する。送信ビーム142は、送信ビーム検出器150に入射する。
【0037】
送信ビーム142は、レーザ光源アセンブリ115によって生成される出力ビームの周波数及びエタロンの温度に依存する。上述したように、エタロン温度が変化すると共振ピークの位置が変化し、送信ビーム142内で温度による周波数シフト(dυ/dT)が生じる。
【0038】
この実施形態では、シュラウド250は、エタロン160の一部を囲み、第1の表面240及び第2の表面245を露出させる。シュラウド250は熱伝導性を有し、エタロン160全体の温度プロファイルを均一に維持する。断熱体255は、エタロンアセンブリ140をサブマウント120及び温度調整器125の温度から断熱する。
【0039】
なお、方向変更ビーム138の一部は、第1の表面240、参照ビーム検出器145、送信ビーム検出器150又はこの幾つかの組合せから反射され、ビーム経路に沿って後方に伝播することがあり、これは、後方反射と呼ばれる。後方反射によって、レーザ光源アセンブリ115の出力に好ましくない雑音成分が生じることがある。偏光板215及び1/4波長板225は、協働して、エタロンアセンブリ140からの後方反射がレーザチップ205に戻ることを防止するように機能する。後方反射は、1/4波長板225によって、更に45度回転し、したがって、後方反射は、Y方向に偏光され、偏光板215は、後方反射が偏光板の方向に対して垂直(すなわち、X方向)になるので、後方反射をブロックする。更に、幾つかの実施形態として、チューニングアセンブリ105の1つ以上の部品を傾斜させ、後方反射又は他の反射がビーム経路に沿って後方に伝播されないようにしてもよい。例えば、エタロンアセンブリ140、参照ビーム検出器145、送信ビーム検出器150等を傾斜させ、後方反射がビーム経路に沿って後方に伝播する可能性を最小化してもよい。更に、幾つかの実施形態においては、1つ以上のバッフル(図示せず)を設け、これを用いて、後方反射又は他の反射を捕捉してもよい。
【0040】
図3A〜
図3Cは、方向変更アセンブリ135を異なる方向から見た図である。
図3Aは、
図1の実施形態の方向変更アセンブリの平面図である。
図3Bは、
図1の実施形態の方向変更アセンブリ135の側面図である。
図3Cは、
図1の実施形態の方向変更アセンブリ135の斜視図である。
【0041】
図4A〜
図4Cは、エタロンアセンブリ140を異なる方向から見た図である。
図4Aは、
図1の実施形態のエタロンアセンブリ140の平面図である。この実施形態では、シュラウド250及びエタロン160は、後方反射を低減するために、Z軸に対して僅かに傾斜して配置されている。
図4Bは、
図1の実施形態のエタロンアセンブリ140の側面図である。この図から明らかなように、エタロンアセンブリ140も断熱体255を有し、エタロンヒータ165から断熱体225を部分的に分離する空隙315が設けられている。
図4Cは、
図1の実施形態のエタロンアセンブリ140の斜視図である。
【0042】
エタロンアセンブリの熱チューニング
図5は、一実施形態に基づく熱ロックシステム100の包括的な熱ロック特性を表すグラフ500を示している。グラフ500は、較正温度(T
nom)に対するエタロン応答505、最高温度(T
max)におけるエタロン応答510、及び最低温度(T
min)におけるエタロン応答515を含む。エタロン応答軸は、エタロンの伝達特性の測定値を示している。伝達特性は、エタロン温度を特定の値、例えば、T
nom、T
max及びT
minに固定し、送信ビーム142を正規化して、周波数領域内にプロットすることによって判定してもよい。送信ビーム142は、エタロン160を通過していないレーザ光源アセンブリ115の出力光、例えば、参照ビーム136、前方ビーム116等によって、送信ビーム142を除算することによって正規化してもよい。グラフ500は、エタロン応答510の2つの最大値の間の間隔としてエタロン自由スペクトル範囲(FSR)を示している。熱チューニング範囲(thermal tuning range:TTR)は、FSR/2より大きいので、フルグリッドの熱ロック(full grid thermal locking)が提供される。熱チューニング範囲は、エタロン温度の範囲がT
minからT
maxまでのエタロン応答の変化の範囲である。
【0043】
図6は、熱ロックシステム100のコントローラ110を用いてエタロンアセンブリ140をチューニングするプロセス600の一実施形態のフローチャートである。他の実施形態では、他の要素がプロセスのステップの一部又は全部を実行してもよい。また、幾つかの実施形態は、異なる及び/又は追加的なステップを含んでいてもよく、ステップを異なる順序で実行してもよい。
【0044】
この実施形態では、コントローラ110は、ステップ605において、ユーザから設定周波数を受け取る。他の実施形態として、コントローラ110は、デバイスから設定周波数を受け取ってもよい。
【0045】
コントローラ110は、ステップ610において、設定周波数を用いて較正データを読み出す。較正データは、較正点と、較正点に関連付けられた較正温度(T
nom)とを含む。アセンブリシステム100は、較正温度(T
nom)における異なる周波数のための複数の較正点を維持している。較正データ点は、ルックアップテーブルから直接的に読み出してもよく、及び/又は、幾つかの実施形態においては、ルックアップ/算出点の限定的な組から算出/補間してもよい。較正点は、関心周波数帯(例えば、Cバンド)をカバーしている。説明を明瞭にするために、周波数帯を幾つかのセグメントに分割し、各セグメント内に較正点があると考えることができる。例えば、周波数帯が4800GHzであり、エタロン160の熱チューニング範囲が50GHzである場合、96個以上のセグメントによって、周波数体全体がカバーされる。
【0046】
幾つかの実施形態では、各セグメント内に1つの較正点が含まれる。幾つかの実施形態においては、較正点は、各セグメントの中心に配置される。他の実施形態においては、各セグメント内に複数の較正点があってもよい。更に、幾つかの実施形態においては、較正点は、他のセグメントから導出してもよい。コントローラ110は、設定周波数に最も近い較正点を読み出す。幾つかの実施形態においては、較正温度は、エタロン160の熱チューニング範囲内に収まる温度である。幾つかの実施形態においては、較正温度は、エタロン160の熱チューニング範囲の中心に対応する温度である。例えば、較正温度は、65℃であってもよい。
【0047】
コントローラ110は、ステップ615において、熱チューニングアルゴリズム及び読み出された較正データを用いて、エタロン160の設定温度を算出する。ある実施形態においては、以下の熱チューニングアルゴリズムを用いてもよい。
υ
i,j=υ
i,0+dυ/dT(T
nom−T
j) (2)
ここで、dυ/dTは、温度によるエタロン周波数変化であり、υ
i,0は、較正温度T
nomにおいて測定される周波数であり、T
jは、エタロン160の温度であり、υ
i,jは設定周波数である。周波数帯域全体には、「i」個の較正点が含まれ、「j」は±0,1,…nであり、nは、エタロン温度検出器170の分解能によって決定される。
【0048】
式(2)は、固定された補正であり、温度によるエタロン周波数変化の周波数依存性を考慮していない。したがって、幾つかの実施形態においては、以下のような周波数補正熱チューニングアルゴリズムを用いてもよい。
υ
i,j=υ
i,0+dυ’/dT(T
nom−T
j) (3)
dυ’/dT=f(υ) (4)
ここで、f(υ)は、周波数の線形関数であっても非線形関数であってもよく、例えば、m及びcを定数として、一次関数f(υ)=mν+cであってもよい。式(3)は、補正された周波数であるが、エタロン温度検出器170によって測定された温度と、エタロン160の実際の温度との間の温度オフセットを考慮していない。これに代えて、幾つかの実施形態においては、以下のような周波数及び温度が補正された熱チューニングアルゴリズムを用いてもよい。
υ
i,j=υ
i,0+dυ’/dT(T
nom−T
j)(1−δ) (5)
ここで、δは、温度オフセット補正係数である。温度オフセット補正係数は、エタロン160の実際の温度の間と、較正温度からの温度逸脱によって測定されたエタロン温度検出器170の温度との間のオフセットを示す。温度オフセット補正係数は、較正の際に導出してもよい。更に、幾つかの実施形態においては、他の環境因子を補償するために、熱チューニングアルゴリズムに更なる補正項を組み込んでもよい。他の環境因子とは、例えば、サブマウント120の温度、チューニングアセンブリ105を収容するケースの温度、経年劣化等である。
【0049】
ステップ620において、コントローラ110は、エタロン160の温度が算出された設定温度に等しくなるようにエタロンアセンブリを制御する。コントローラ110は、エタロン温度検出器170の監視温度が設定温度になるまで、エタロンヒータ165を調整する。コントローラ110は、例えば、比例積分微分(proportional-integral-derivative:PID)アルゴリズムによって、エタロン160の温度を設定温度に維持してもよい。
【0050】
ある時点で、ユーザが設定周波数を異なる周波数値に変更することを望むことがある。例えば、ユーザは、熱ロックシステム100を異なる周波数にロックすることを望むことがある。コントローラ110は、ステップ625において、異なる設定周波数値を受け取り、異なる設定周波数に基づいて、ステップ610〜620を実行する。これにより、熱ロックシステム100は、この出力ビームをユーザが選択した周波数に動的にロックすることができる。更に、周波数は、オングリッドの周波数であってもよく、オフグリッドの周波数であってもよい。
【0051】
図7は、較正点を含む一実施形態に基づく熱ロックシステム100の包括的な熱ロック特性を表すグラフ700を示している。グラフ700は、較正温度(T
nom)に対するエタロン応答505、最高温度(T
max)におけるエタロン応答510、及び最低温度(T
min)におけるエタロン応答515を含む。具体的には、グラフ700は、エタロン応答505に関する3つの較正点υ
−1,0、υ
0,0及びυ
1,0を表している。
図6を用いて上述したように、エタロン160を設定周波数にチューニングするために、コントローラ110は、設定周波数に最も近い較正点を選択し、エタロン160の温度を調整して、設定周波数における後方ビーム116及び前方ビーム118に対応する設定位置にエタロン応答曲線510をシフトさせる。応答曲線をより高い周波数にチューニングする場合、コントローラ110は、エタロン160の温度を低下させ、応答曲線をより低い周波数にチューニングする場合、コントローラ110は、エタロン160の温度を上昇させる。
【0052】
図8は、一実施形態に基づく異なる熱チューニングアルゴリズムのためのロック誤差を示すグラフ800である。具体的には、グラフ800は、異なるチューニングアルゴリズムを使用する際にロック誤差を最小化する手法を示している。上述したように、式5は温度オフセットを考慮し、周波数補正されている。一方、式2は、補正が固定されており、式3は、周波数補正されているが、温度オフセットを補正していない。正規化されたロック誤差は、ビームの実際の周波数と、エタロン160によって示されるビームの周波数との間の誤差である。
【0053】
熱ロックシステムの動作
図9は、熱ロックシステム100のコントローラ110を用いて熱ロックシステム100によって生成される光ビームの周波数を設定するためのプロセス900の一実施形態のフローチャートを示している。他の実施形態では、他の要素がプロセスのステップの一部又は全部を実行してもよい。また、幾つかの実施形態は、異なる及び/又は追加的なステップを含んでいてもよく、ステップを異なる順序で実行してもよい。
【0054】
ステップ905において、コントローラ110は、レーザ光源アセンブリ115によって生成される光ビームのための設定周波数を受け取る。設定周波数は、レーザ光源アセンブリ115から出力される光ビーム116の所望の周波数である。例えば、ユーザは、設定周波数を194,000GHz又は対応する波長1.546μmに設定してもよい。
【0055】
ステップ910において、コントローラ110は、設定周波数に基づいて、レーザ光源アセンブリデータ及びエタロンの設定温度を判定する。コントローラ110は、1つ以上のルックアップテーブルからレーザ光源アセンブリデータを判定することができる。読み出されたレーザ光源アセンブリデータは、レーザ光源アセンブリ115内の1つ以上のレーザチップ及び/又はセクションのための駆動電流セッティングと、レーザチップのための初期温度値とを含み、この組み合わせは、設定周波数に対応している。エタロンのための設定温度は、
図6に関して説明したプロセスを用いて決定される。
【0056】
そして、ステップ915において、コントローラ110は、レーザ光源アセンブリデータに基づいて、レーザ光源アセンブリ115内の1つ以上のレーザチップに駆動電流を供給する。そして、レーザ光源アセンブリは、初期周波数における1つ以上の出力ビーム、例えば、後方ビーム118及び前方ビーム116を生成する。
【0057】
ステップ920において、コントローラ110は、レーザ光源アセンブリデータに基づいて、レーザ光源アセンブリ115の温度を初期温度に調整する。コントローラ110は、読み出されたデータに基づいて、温度調整器125に信号を供給し、サブマウント120を加熱又は冷却する。コントローラ110は、サブマウント温度検出器155からの信号を用いて、サブマウント120、したがって、1つ以上のレーザチップが初期温度に到達した時点を判定する。一実施形態においては、コントローラ110は、比例積分微分(PID)アルゴリズムによって、1つ以上のレーザチップの温度を、初期温度又はコントローラ110によって決定された幾つかの他の温度に維持する。なお、他の実施形態として、コントローラ110は、ステップ915において、ステップ920のレーザ光源アセンブリの加熱と同時に又はこの加熱の前にレーザ光源アセンブリ115の1つ以上のレーザチップに駆動電流を供給してもよい。
【0058】
ステップ925において、コントローラ110は、エタロンの温度を設定温度に調整する。コントローラ110は、エタロンヒータ165に信号を供給して、エタロン160を加熱又は冷却する。コントローラ110は、エタロン温度検出器170からの信号を用いて、エタロン160が設定温度に到達したことを判定する。一実施形態においては、コントローラ110は、PIDアルゴリズムによって、エタロン160の温度を設定温度に維持する。
【0059】
ステップ930において、コントローラ110は、設定周波数及び設定温度に基づいて、ロック比率設定点を判定する。幾つかの実施形態においては、コントローラ110は、1つ以上のルックアップテーブルからロック比率設定点を読み出す。更に、幾つかの実施形態においては、ロック比率設定点は、較正点の限定的な組から算出/補間してもよい。ステップ935において、コントローラ110は、それぞれ、参照ビーム検出器145及び送信ビーム検出器150から受け取られる参照信号(R
xMon)及び送信信号(T
xMon)を用いて、ロック比率を算出する。
【0060】
1つ以上の出力ビームの初期周波数は、理想的には、設定周波数と同じであるが、初期的に及び/又は熱ロックシステム100の動作の途中で、設定周波数からの意図しない逸脱が生じる場合もある。設定周波数からの意図しない逸脱は、エタロンアセンブリ140を用いて特定され、レーザ光源アセンブリ115に供給される駆動電流を調整することによって及び/又はレーザ光源アセンブリ115の温度を調整することによって補正される。
【0061】
コントローラ110は、ステップ940において、算出されたロック比率がロック比率設定点に対応しているかを判定する。ロック比率設定点が算出されたロック比率と重なっていない場合、コントローラ110は、ステップ945において、1又は複数のレーザパラメータを調整し、ロック比率設定点に再び重なるように、算出されたロック比率をシフトさせる。1つ以上のレーザチップの温度と、1つ以上の出力ビームの周波数との間には、逆相関の関係がある。コントローラ110は、温度調整器125によって1つ以上のレーザチップの温度を調整してもよく、及び/又は1つ以上のレーザチップに供給される駆動電流を調整してもよい。駆動電流の増加及び/又は1つ以上のレーザチップ温度の上昇によって、1つ以上の出力ビームの周波数が低下する。逆に、駆動電流の減少及び/又は1つ以上のレーザチップの温度の低下によって、1つ以上の出力ビームの周波数が上昇する。算出されたロック比率及びロック比率設定点が一致すると、出力ビームが設定周波数となる。したがって、算出されたロック比率がロック比率設定点に重なるように、1又は複数のレーザパラメータを調整してもよい。ある時点で、ユーザが設定周波数を異なる周波数値に変更することを望むことがある。例えば、ユーザは、熱ロックシステム100を異なる周波数にロックすることを望むことがある。ステップ950において、コントローラ110は、異なる設定周波数を受け取ったかを判定する。コントローラ110が異なる設定周波数を受け取った場合、プロセスは、ステップ910に進み、異なる設定周波数を用いて、上述の処理を繰り返す。この他の場合、プロセスは、ステップ940に進む。
【0062】
更なる構成
上述した実施形態の説明は、説明を目的とするものであり、本発明を排他的に又は開示した正確な形式に限定する意図はない。上述の開示に基づき、多くの修正例及び変更例が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0063】
ここに開示したステップ、動作又はプロセスの何れも、1つ以上のハードウェア又はソフトウェアモジュールによって単独で又は他のデバイスと組み合わせて実行又は実現できる。一実施形態においては、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプロセッサによって実行されて、ここに開示したステップ、動作又はプロセスの一部又は全部を実行するコンピュータプログラムコードを格納するコンピュータ読取可能媒体を含むコンピュータプログラム製品によって実現される。
【0064】
また、実施形態は、ここに開示した動作を実行する装置であってもよい。この装置は、要求された目的に専用の装置であってもよく及び/又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成された汎用コンピュータから構成してもよい。このようなコンピュータプログラムは、持続的なタンジブルなコンピュータ読取可能メモリ媒体に格納してもよく、又は電子命令の保存に適する如何なる種類の媒体に格納してもよく、これらの媒体をコンピュータシステムバスに接続してもよい。更に、ここに説明したあらゆる演算システムは、シングルプロセッサを含んでいてもよく、演算能力を高めるために複数のプロセッサを使用する設計構造であってもよい。
【0065】
更に、本明細書で使用した用語は、主に、説明を明瞭にするために選択しており、本発明の主題を制限又は画定するために選択したものではない。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によっては制限されず、本出願の特許請求の範囲によって定義される。すなわち、実施形態の説明は、例示的なものであり、特許請求の範囲に述べる本発明の範囲を制限するものではない。
【0066】
また、特許請求の範囲において、単数で示す要素は、特段の言及がない限り、「1つのみ」を意味するわけではなく「1つ以上」を意味する。更に、デバイス又は方法は、特許請求の範囲に含まれるために、本発明の異なる実施形態によって解決される全ての問題を解決する必要はない。