(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに(H)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して20質量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンであり、本発明のシリコーンゴム組成物の主剤である。(A)成分は(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサンと(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサンからなる。(A1)成分と(A2)成分の配合比は(A1):(A2)=0:100〜90:10の範囲であり、(A1):(A2)=0:100〜75:25の範囲であることが好ましく、(A1):(A2)=10:90〜50:50の範囲であることがより好ましい。(A1)成分と(A2)成分を併用することで、本発明のシリコーンゴム組成物から形成されるシリコーンゴムスポンジの収縮率が著しく改善するからである。
【0016】
(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサンの粘度は25℃において、0.1〜100Pa・sであることが好ましく、0.1〜40Pa・sの範囲がより好ましい。なお、(A1)成分のポリジオルガノシロキサンは、極少量の分子鎖末端が水酸基やアルケニル基以外の有機基に置換されていてもよい。(A1)成分のポリオルガノシロキサンのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、また両者の混合物でもよいが、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しから成り、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基で封鎖された、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0017】
(A1)成分中のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。また、(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等の、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。
【0018】
(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサンの粘度は25℃において、0.1〜100Pa・sであることが好ましく、0.1〜40Pa・sの範囲がより好ましい。(A2)成分中アルケニル基は分子鎖側鎖の他に、分子鎖末端に存在してもよい。なお、(A2)成分のポリジオルガノシロキサンは、少量の分子鎖末端が水酸基などに置換されていてもよい。(A2)成分のポリオルガノシロキサンのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、また両者の混合物でもよいが、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しから成り、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基またはアルケニル基を含まないトリオルガノシロキシ基で封鎖された、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0019】
(A2)成分中のアルケニル基は、前記(A1)成分と同様である。また、(A2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基も前記(A1)成分と同様である。
【0020】
(B)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンであり、本発明シリコーンゴム組成物の架橋剤である。ケイ素原子に結合した水素原子は末端シロキサン単位、および/または、ポリマー鎖中のシロキサン単位に位置することができる。このポリオルガノシロキサンは直鎖状のシロキサンポリマーであることが好ましく、RHSiO
2/2単位、および/または、R
2XSiO
1/2単位(これらの式中、Rは、上記(A)成分における、アルケニル基以外の有機基と同様の炭素数1〜10の、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。Xは水素原子もしくはRを表す。)を分子中に必須に含有し、R
2SiO
2/2単位を任意に含有するものである。
【0021】
(B)成分中に存在するケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル数の合計量は、前記(A)成分中のアルケニル基1個当たり、0.4〜20個であることが好ましく、0.4〜5.0個であることがより好ましい。したがって、前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の相対量は、この関係が維持されるように、例えば、1〜1000質量部の範囲で適宜決定されることが好ましい。なお、本発明のシリコーンゴム組成物から形成されるシリコーンゴムスポンジ圧縮永久歪が改善されることから、前記水素原子(即ち、SiH基)の合計量は、前記(A)成分中のアルケニル基1個当たり、1.5〜20個であることが好ましく、1.8〜5個であることが特に好ましい。
【0022】
(C)成分としては、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェンなどのカーボン系導電剤;金、銀、ニッケルなどの金属粉;導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、導電性酸化アルミニウム;各種フィラー表面に金属メッキ処理するなどのフィラー表面に導電被覆処理した導電性充填剤が例示される。これら導電性充填剤は、単独で使用しても2種類以上を併用しても本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0023】
これらの導電性充填剤の配合量は(A)成分100重量部に対して1〜100重量部であり、特に5〜70部とすることが好ましい。これは、上記範囲の下限未満であると所望の電気導電性が得られない場合があり、上記範囲の上限をこえると良好なスポンジが得られない場合があるからである。
【0024】
少量の添加で良好な導電性が得られることから、(C)成分は特にカーボンブラックであることが好ましい。好ましいカーボンブラックとしては、通常導電性ゴム組成物に常用されているものを使用し得るが、本発明組成物の硬化阻害を避けるために、低硫黄の原料から製造されたpH6〜10の範囲のカーボンブラックであることが好ましい。
【0025】
好ましいカーボンブラックとしては、具体的には、例えばアセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)及び1500℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラック又はチャンネルブラックが例示される。アセチレンブラックの具体例としては、デンカブラック(電気化学株式会社製)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル株式会社製)が例示され;コンダクティブファーネスブラックの具体例としては、コンチネックスCF(コンチネンタルカーボン株式会社製)、バルカンC(キャボット株式会社製)が例示され;スーパーコンダクティブファーネスブラックの具体例としては、コンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン株式会社製)、バルカンSC(キャボット株式会社製)が例示され;エクストラコンダクティブファーネスブラックの具体例としては、旭HS−500(旭カーボン株式会社製)、バルカンXC−72(キャボット株式会社製)が例示され;コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ株式会社製)が例示される。また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックECおよびケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製)を用いてもよい。中でも、不純物含有量が少なく、発達した二次ストラクチャー構造を有し、優れた導電性を付与することができる点から、アセチレンブラックが特に好適である。また、大きな比表面積を有し、低配合量で優れた導電性を付与することができる点で、ケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JDも好ましく使用できる。
【0026】
また、導電性シリコーンゴムスポンジに比較的高い電気抵抗が要求される場合、DBP吸油量が100cm
3/100g以下のカーボンブラックを単独あるいは上記のカーボンブラックと併用して用いることができる。DBP吸油量が100cm
3/100g以下のカーボンブラックとしては、三菱化学株式会社製のRCF#5、RCF#10(三菱化学株式会社製);旭カーボン株式会社製の旭#50、アサヒサーマル(旭カーボン株式会社製);キャボットCORP製のモナーク120(Monarch120)、ブラックパール120(Black Pearls120)、ブラックバール130(Black Pearls130)(キャボットCORP製)などが例示される。
【0027】
なお、(A)成分のアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンとカーボンブラックとを混合して得られたマスターバッチを使用することも可能である。
【0028】
(D)水と無機系増粘剤からなる混合物は、本発明の導電性シリコーンゴム組成物を架橋、硬化して得られる導電性シリコーンゴムを多孔質状、すなわち導電性シリコーンゴムスポンジとするための成分である。(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜250質量部であり、好ましくは20〜200質量部であり、より好ましくは40〜150質量部である。(D)成分の配合量が10質量部未満であると、本発明の導電性シリコーンゴム組成物を架橋、硬化してなる導電性シリコーンゴムが多孔質状、すなわち導電性シリコーンゴムスポンジとなり難く、250質量部を超えると、形成される導電性シリコーンゴムスポンジの強度が損なわれるからである。
【0029】
(D)成分において水は、本発明の導電性シリコーンゴム組成物を架橋、硬化した後、硬化物中から除去されることで導電性シリコーンゴムを多孔質状、すなわち導電性シリコーンゴムスポンジとするための成分である。(D)成分中の水は清浄であればよく、その種類は制限されない。例えば、水道水、井戸水、イオン交換水、蒸留水などが例示される。(D)成分の(A)成分への分散が安定するという点から、(D)成分中の水はイオン交換水であることが好ましい。
【0030】
(D)成分中の増粘剤は、天然または合成の無機系増粘剤であり、水と混合することで(D)成分の粘度を高め、(D)成分の(A)成分中への分散を容易にし、(A)成分中の(D)成分の分散状態を安定させるために配合される。具体的には、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライトおよびノントロナイト等の粘土鉱物を主成分とするベントナイトなどの天然または合成のスメクタイトクレー;および、これらとポリアクリル酸のようなアニオン性ポリマーなどとからなる親水性複合物が例示される。その配合量は、(D)成分中の水100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0031】
中でも、ベントナイト(モンモリロナイト)、ヘクトライトクレー、サポナイトクレーなどのスメクタイトクレーであることが好ましい。水に分散させたときの粘度の上昇が大きく、後述する(E)乳化剤の使用量を少なくすることができるからである。このような、スメクタイトクレーとしては、例えば水熱合成品であるスメクトン(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ルーセンタイト(登録商標:コープケミカル(株)製)、天然精製品であるクニピア(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ベンゲル(登録商標:(株)ホージュン製)、ベントン(登録商標:エレメンティス(株)製)、ビーガム(登録商標:バンダービルト社製)等が入手可能である。これらのスメクタイトクレーのpHは、導電性シリコーンゴムスポンジの耐熱性を維持する点からpH5.0〜9.0であることが好ましい。
【0032】
(E)成分の乳化剤は、従来公知のものが使用でき、アニオン系、カチオン系、両性イオン系及びノニオン系のいずれでもよい。具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどのノニオン系界面活性剤;ポリシロキサン・ポリオキシエチレングラフト共重合体などのポリオルガノシロキサンからなるノニオン系界面活性剤;脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン系界面活性剤;高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤;カルボキシベタイン型またはグリシン型の両性イオン系界面活性剤が例示される。中でも、後述する(F)成分を触媒とするヒドロシリル化反応に影響が少ないことからノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
【0033】
これらの乳化剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。乳化剤のHLB値(2種以上を併用するときは、その重量平均HLB値)は、1以上10以下のものが好ましく、1.5以上6未満であることがより好ましく、3.5以上6未満であることが特に好ましい。(E)乳化剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜15質量部であり、好ましくは0.2〜3質量部である。
【0034】
(F)ヒドロシリル化反応触媒としては、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒及びロジウム系触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒であることが好ましく、より具体的には、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、これらを熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒などの白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が使用され、特に好ましくは白金系触媒である。中でも、白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒は、混合装置中での好ましくない組成物の硬化を防止する点で好ましい。(F)成分は触媒として有効量(いわゆる触媒量)であればよく、具体的には、例えば前記(A)及び(B)成分の合計量に対して触媒の量(金属元素分として)が質量換算で0.01〜500ppm、好ましくは0.1〜100ppm程度の割合で配合される。
【0035】
白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒としては、白金系触媒を白金金属原子として0.01重量%以上含有し、軟化点が40〜200℃、好ましくは50〜100℃である熱可塑性樹脂からなる、平均粒子径が0.01〜500μmの微粒子状白金系触媒であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、式:C
6H
5SiO
3/2で示されるシロキサン単位を主成分とし、他に、式:(C
6H
5)
2SiO
2/2で示されるシロキサン単位、式:CH
3SiO
3/2で示されるシロキサン単位、式:(CH
3)
2SiO
2/2で示されるシロキサン単位、式:CH
3(CH
2=CH)SiO
2/2で示されるシロキサン単位、式:CH
3(C
6H
5)SiO
2/2で示されるシロキサン単位、式:(CH
3)
3SiO
1/2で示されるシロキサン単位を含有する軟化点を有する熱可塑性シリコーン樹脂;アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルセルロース樹脂、ポリシラン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の軟化点は一定温度で昇温できるホットプレート上でこの樹脂が軟化する状態を顕微鏡で観察することにより求められる。
【0036】
白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒の調製方法としては、白金系触媒と熱可塑性樹脂を溶剤中で均一に混合した後、この混合物をスプレードライヤーなどを用いて気相粒状化する気相乾燥法が例示される。
【0037】
(G)硬化遅延剤は、本発明の導電性スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の硬化速度や作業可使時間を調整するための成分であり、具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどの炭素−炭素三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサンなどのアルケニル基含有低分子量シロキサン;メチル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、ビニル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランなどのアルキン含有シランが例示される。
【0038】
(G)成分の配合量は、本発明の導電性スポンジ形成性シリコーンゴム組成物の使用方法や成形方法に応じて適宜選択される。一般的な配合量としては、(A)成分100質量部に対して0.001質量部〜5質量部の範囲である。
【0039】
本発明の導電性スポンジ形成性シリコーンゴム組成物から形成される導電性シリコーンゴムスポンジの強度を向上させるという点から、さらに(H)補強性シリカ微粉末を配合することが好ましい。(H)成分としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが好適である。また、これらのシリカ微粉末は、例えば鎖状ポリオルガノシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、各種オルガノシラン等で表面処理されたものであってもよい。本発明の補強性シリカ微粉末の比表面積は、50〜350m
2/g、特に80〜250m
2/gであることが好ましい。なお、比表面積は、例えばBET吸着法により求めることができる。
【0040】
(H)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、20質量部以下(即ち、0〜20質量部)であることが好ましく、より好ましくは0〜15質量部、さらに好ましくは0〜10質量部である。
【0041】
その他に、従来シリコーンゴムに添加配合することが周知とされる各種の添加剤、例えば、ヒュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、結晶性シリカ、珪藻土、アスベスト、アルミノ珪酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤;これらの充填剤をオルガノシラン、ポリオルガノシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理したものを配合してもよい。また必要に応じて顔料、耐熱剤、難燃剤、内部離型剤、可塑剤、受酸剤、無官能のシリコーンオイル等のシリコーンゴム組成物に公知の添加剤を配合してもよい。
【0042】
また、本発明の導電性シリコーンゴム組成物は水を含むので、防腐剤や防錆剤を配合してもよい。防腐剤としてはパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光色素;チアゾリン系、イソチアゾリン系、ビグアナイド系、トリアジン系、アイオダイン系、イミダゾール系、ピリジン系の防腐剤が例示される。中でも、微量の配合で防腐効果を示す点から、チアゾリン系やイソチアゾリン系の防腐剤であることが好ましい。防腐剤の配合量は、一般的には本発明組成物100質量部に対して0.001〜5質量部である。
【0043】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、上記各成分あるいはこれらに必要に応じて各種添加剤を配合した組成物を公知の混練手段により均一に混合することにより容易に製造することができる。ここで使用するミキサーとしてはホモミキサー、パドルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、真空混合攪拌ミキサー等が例示されるが、(C)成分、(D)成分と(E)成分を(A)成分に十分に分散させることができるものであれば特に限定されるものではない。
【0044】
かかる(A)〜(G)成分、または(A)〜(H)成分を含有してなる導電性シリコーンゴム組成物は、例えば次のような方法で製造することができる。なお、(H)成分を配合する場合は、予め、(A)成分の一部と(H)成分とを配合したシリカマスターバッチを調製した後、残余の(A)成分と他の成分を混合することが好ましい。
【0045】
具体的には、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(G)成分および必要に応じて(H)成分をミキサーに投入し、所定時間攪拌混合し、使用直前に(F)成分を例えば、スタティックミキサーやダイナミックミキサー等の混合装置を用いて配合する方法;(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分をミキサーに投入し、所定時間攪拌混合し、使用直前に(B)成分と(G)成分を例えば、スタティックミキサーやダイナミックミキサー等の混合装置を用いて配合する方法;(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分および必要に応じて(H)成分をミキサーに投入し、所定時間攪拌混合し、使用直前に(B)成分、(F)成分、(G)成分を例えば、スタティックミキサーやダイナミックミキサー等の混合装置を用いて配合する方法が例示される。
【0046】
保存安定性の点から、二以上の複数の組成物として個別に保存し、成形に供する直前にこれらの個別に保存された複数の組成物を、例えば、スタティックミキサーやダイナミックミキサー等の混合装置を用いて混合して、導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物とすることが好ましい。
【0047】
具体的には、例えば、(I)(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(B)成分と(G)成分を含まない個別に保存される組成物と、(II)(B)成分および(G)成分を含んでなり、(C)成分、(D)成分と(F)成分を含まない個別に保存される組成物とからなる二成分型導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(C)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(B)成分、(D)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、(G)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(D)成分および(F)成分を含まない個別に保存される組成物および(III)(D)成分を含んでなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(C)成分、(E)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(B)成分および(D)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、(G)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(D)成分および(F)成分を含まない個別に保存される組成物および(III)(C)成分を含んでなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(C)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(B)成分および(D)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(C)成分、(G)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(D)成分および(F)成分を含まない個別に保存される組成物および(III)(D)成分および(E)成分を含んでなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;並びに(I)(A)成分、(F)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(E)成分、(G)成分および必要に応じて(H)成分を含んでなり、(C)成分、(D)成分および(F)成分を含まない個別に保存される組成物、(III)(D)成分を含んでなり、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物および(IV)(C)成分を含んでなり、(B)成分および(D)成分を含まない個別に保存される組成物からなる四成分型導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;が例示される。
【0048】
次に、本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、下記工程1〜3からなる。なお、下記工程1における(A)〜(H)成分は上記の通りである。
工程1:下記(A)〜(G)成分から少なくともなるスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製する工程。
(A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン 10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
(C)導電性充填剤 1〜100質量部、
(D)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
(E)乳化剤 0.1〜15質量部、
(F)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)および
(G)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
工程2:工程1で得られた導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋、硬化して含水状態のシリコーンゴム成形体を得る工程。
工程3:工程2で得られた含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去して導電性シリコーンゴムスポンジを得る工程。
【0049】
また、前記導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、さらに(H)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で含有することが本発明の製造方法により得られる導電性シリコーンゴムスポンジの強度を向上させるという点から好ましい。(H)成分については、上記の通りである。
【0050】
本発明の導電性シリコーンゴムスポンジの製造方法における工程1としては、(i)個別に保存された複数の組成物を混合装置に投入、混合して、導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製しタンクなどに貯蔵するバッチ方式;(ii)個別に保存された複数の組成物をそれぞれ個別に容器に貯蔵し、各容器に接続された計量供給装置などにより混合装置に供給・混合して、成形に供する量の導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に工程2に供給する連続方式;(iii)前記バッチ方式と連続方式を組み合わせた方式が例示されるが、これらに限定されるものではなく、目的とする導電性シリコーンゴムスポンジ製品の種類、形状や大きさ、成型方法にあわせて適宜選択できる。
【0051】
なお、前記工程1としては、個別に保存された複数の組成物を混合して一段階で導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製してもよく、複数の段階を経て導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製してもよい。複数の段階を経た導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴムの調製としては、複数の個別に保存された組成物を混合して混合物を調製し、次いで残余の個別に保存された組成物を前記混合物に混合して導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製する方法;複数の個別に保存された組成物を混合して第1の混合物を調製し、残余の個別に保存された組成物を混合して第2の混合物を調製し、次いで、前記第1と第2の混合物を混合して導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製する方法;が例示される。
【0052】
また、工程1において、(B)成分の配合量を変えることで、得られる導電性シリコーンゴムスポンジの硬さや物理特性を必要に応じて変えることが可能である。
【0053】
また、工程1において、(C)成分の配合量を変えることで、得られる導電性シリコーンゴムスポンジの体積
抵抗率を必要に応じて変えることが可能である。
【0054】
また、工程1において、(D)成分の配合量を変えることで、得られる導電性シリコーンゴムスポンジの密度を必要に応じて変えることが可能である。
【0055】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法における工程2のスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化させる方法は、特に限定されないが、120℃未満、好ましくは100℃未満、特に好ましくは50〜90℃で工程1において調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を加熱することが好ましい。具体的には、例えば、工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を成型用の金型のキャビティに注入し、加圧下で100℃未満、好ましくは50〜90℃の温度に保持して含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を樹脂フィルム等の剥離性基材上にコーティングし、例えば50〜120℃に加熱して硬化させる含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を合成繊維織布、樹脂フィルム、金属フィルム、金属板、ガラスクロスなどの基体上にコーティングし、例えば50〜120℃に加熱して基体上に含水状態のシリコーンゴム被覆層を形成する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をノズルから吐出し、例えば80〜100℃の熱水中に導入して含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;が例示される。
【0056】
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法における工程3の含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去する方法は、特に限定されないが、工程2で調製した含水状態のシリコーンゴム成形体を120〜250℃で加熱して水を除去することが好ましい。なお、工程2において、合成繊維織布、樹脂フィルム、金属フィルム、金属板、ガラスクロスなどの基体上にスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をコーティングし熱風や赤外線等により基体上に含水状態のシリコーンゴム成形体を連続的に形成する場合などでは、工程2と工程3が同時に進行する場合もある。しかし、均一で微細な気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層を得るためには、このような連続的な成形工程においても、120℃未満の温度でスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の含水状態をできるだけ保ちながら硬化させ(工程2)、次いで120℃以上好ましくは120〜250℃で加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去する(工程3)ことが好ましい。
【0057】
次に、本発明の導電性シリコーンゴムスポンジについて説明する。
本発明の導電性シリコーンゴムスポンジは、加熱による熱変形(熱膨張)が小さく、変形回復性に優れる点から、90%以上の気泡が連続気泡であることが好ましい。ここで気泡が連続気泡であるかどうかは、導電性シリコーンゴムスポンジを水中に沈め、減圧することで、連続気泡中の空気を水に置換して調べることができる。スポンジ中の全気泡に対して連続気泡の占める割合、すなわち連続気泡率は水の密度を1.0g/cm
3として以下の式で求めることができる。
連続気泡率(%)={(吸水した水の質量)/(気泡部分体積)}×100
式中気泡部分体積は以下の式で求めることができる。
気泡部分体積(cm
3)={(スポンジ質量)/(スポンジ密度)}−{(スポンジ質量)/(ゴム密度)}
式中ゴム密度は、(D)成分と(E)成分を含まない他は同様にして調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化させて得られるシリコーンゴム成形体の密度を測定することで得られる値であり、スポンジ気泡壁の密度を表す。
【0058】
本発明の導電性シリコーンゴムスポンジは、5V印加時の体積抵抗率が1×10
1〜1×10
12Ω・cmであることが好ましく、1×10
2〜1×10
11Ω・cmであることがより好ましく、1×10
3〜1×10
9Ω・cmであることがさらに好ましい。
【0059】
また、本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、収縮率が小さく金型キャビティ形状の再現性に優れ、微細で均一な連続気泡を有する導電性スポンジを形成することから、画像形成装置のロールやベルトの弾性材料として有用である。ロールの場合、基体である芯金上に導電性シリコーンゴムスポンジ層を形成するものであるが、この場合、基体である芯金の材質、寸法等はロールの種類に応じて適宜選定し得る。ベルトの場合、基体である無端ベルト上に導電性シリコーンゴムスポンジ層を形成するものであるが、この場合、基体である無端ベルトの材質、寸法等はベルトの種類に応じて適宜選定し得る。
【0060】
また、上記導電性シリコーンゴムスポンジ層の外周に更にフッ素樹脂層やフッ素ゴム層を設けてもよい。この場合、フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブなどにより形成され、上記導電性シリコーンゴムスポンジ層を被覆する。ここでフッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂などが挙げられるが、これらのうちで特にPFAが好ましい。
【0061】
なお、上記導電性シリコーンゴムスポンジ層の厚さは適宜選定されるが、導電性シリコーンゴムスポンジのゴム弾性を有効に利用する点で0.05〜80mmであることが好ましく、特に0.1〜50mmであることが好ましい。また、その上に形成されるフッ素樹脂又はフッ素ゴム層の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【実施例】
【0062】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0063】
<密度>
JIS K6268に準じて測定した。
【0064】
<硬さ(JIS−A)>
JIS K6253に規定されたタイプA硬さ試験機を用いた試験方法に準ずる。
【0065】
<硬さ(Asker C)>
JIS K7312に規定されたタイプC硬さ試験機を用いた試験方法に準ずる。厚さ6mmの試験片を2枚重ねて使用した。
【0066】
<引張強さ、伸び>
JIS K6251に準じて測定した。
【0067】
<反発弾性率>
JIS K6255に規定されたリュプケ式反発弾性試験装置を用いて、JIS K6255に準じて測定した。
【0068】
<体積抵抗率>
厚さ2mmのシリコーンゴムスポンジをSUS304製金属板に乗せ、この上に直径50mmのSUS304製円筒電極を置いた。金属板および電極を日置電機株式会社製ハイテスター3222に結線して5V、250V、500V、および1,000V電圧印加したときの体積抵抗率を測定した。電極をゴムシートに載せてから60秒後の体積抵抗率を読み取った。5回測定した平均値を表1、表2に示した。
また、シリコーゴムスポンジの体積抵抗率の時間依存性は、上記の方法において、印加電圧を5Vとして、2〜600秒経過後における体積抵抗率の変化を測定した。5回測定した平均値を表3に示した。
【0069】
<連続気泡率>
JIS K6262に規定された圧縮永久歪み用のシリコーンゴムスポンジ試験片の質量と密度を測定し、次の式に代入して気泡部分の体積を求めた。式中ゴム密度は、(C)成分と(D)成分を含まない他は同様に調製したシリコーンゴム組成物を架橋、硬化してなる圧縮永久歪み用試験片の密度である。
気泡部分体積={(スポンジ質量)/(スポンジ密度)}−{(スポンジ質量)/(ゴム密度)}
さらに、スポンジ片を水中に保持し、−750mmHg減圧下3分間放置して水を吸収させ、吸水した水の質量を計り、水の密度を1.0g/cm
3として次の式に代入し連続気泡率を求めた。
連続気泡率(%)={(吸水した水の質量)/(気泡部分体積)}×100
【0070】
<平均気泡サイズ>
硬さ測定用試験片をカミソリ刃で切断した中心部分を走査型電子顕微鏡にて観察し、0.04mm
2面積当り(気泡の数は200〜300個程度)の気泡の直径を測定して平均(数平均)を求め平均気泡径を測定した。また、平均気泡径測定時に認められた最大の気泡の気泡径を最大気泡径とした。
【0071】
[調製例1]
粘度8,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量0.30質量%)80質量部にアセチレンブラック(デンカブラック:電気化学工業株式会社製)20質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、3本ロールミルにかけて5パスして流動性のあるカーボンブラックマスターバッチc−1を調製した。
【0072】
[調製例2]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン ・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量0.13質量%)65質量部にアセチレンブラック(デンカブラック:電気化学工業株式会社製)35質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、3本ロールミルにかけて5パスして流動性のあるカーボンブラックマスターバッチc−2を調製した。
【0073】
[調製例3]
スメクタイトクレー(有機ポリマー複合親水性精製ベントナイト(pH6.5)、(株)ホージュン製) 1質量部とイオン交換水 99質量部をホモミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と無機系増粘剤の混合物d−1を調整した。
【0074】
[実施例1〜6]
カーボンブラックマスターバッチ、(A)成分、(D)成分、(E)成分を表1の配合比でホモミキサー(特殊機化(株)製)に投入し、25℃で均一になるまで混合した。ついで、得られた混合物に(B)成分、(F)成分および(G)成分を配合し脱気して導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製した。得られた導電性スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を、圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋、硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、導電性シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらの導電性シリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、体積抵抗率を測定した。その結果を表1に示した。なお、得られた導電性シリコーンゴムスポンジ試験片の断面は均一であり、過大な気泡は認められなかった。
【0075】
[比較例1]
(D)成分と(E)成分を配合しない他は、実施例3と同様にして導電性液状シリコーンゴム組成物を調製し、実施例3と同様にしてシリコーンゴム試験片を得た。得られたシリコーンゴム試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、体積抵抗率を測定した。その結果を表2、表3に示した。
【0076】
[比較例2]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%とメチルビニルシロキサン単位0.15モル%とからなる分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(重合度6000)78部、ジメチルシロキサン単位99.43モル%とメチルビニルシロキサン単位0.57モル%とからなる分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(重合度6000)22部、粘度60mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー0.4部、比表面積50m
2/gの乾式法シリカ30部をニーダーミキサーに入れ均一に混練した。次いで、175℃で60分間混練してシリコーンゴムベースを得た。このシリコーンゴムベース130.4部にアセチレンブラック(デンカブラック;電気化学工業株式会社製)19部を添加し室温にて均一になるまで混練して導電性シリコーンゴムベースを作製した。次いで、この導電性シリコーンゴムベース100部に対して、5mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量0.75重量%)2.0部、ヒドロシリル化反応抑制剤として1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.012部、塩化白金酸とテトラメチルジビニルジシロキサンとの錯体(白金含有量0.6重量%)を0.06部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部を添加し、2本ロール上で均一に混練して導電性シリコーンゴムスポンジ形成性組成物を得た。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を、圧縮成形機を用いて170℃/10分の条件下で架橋、硬化させ、各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間加熱処理してシリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、体積抵抗率を測定した。その結果を表2、表3に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
以下に表1と表2中の語句を説明する。
[カーボンブラックマスターバッチ]
c−1:調製例1で調製した(A)成分と(C)成分からなるカーボンブラックマスターバッチ。カーボンブラック含有量20質量%。
c−2:調製例2で調製した(A)成分と(C)成分からなるカーボンブラックマスターバッチ。カーボンブラック含有量35質量%。
[A成分]
a−1:粘度8,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体。ビニル基含有量0.13質量%。
a−2:粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体。ビニル基含有量0.30質量%
[B成分]
b−1:動粘43.5mm
2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体。ケイ素原子結合水素原子含有量約0.69質量%
【0081】
[D成分]
d−1:調製例3で調製した水と無機系増粘剤の混合物。スメクタイトクレー含有量1.0質量%
[E成分]
e−1:ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製)。HLB4.3。
e−2:ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O30V、花王社製)。HLB1.8。
[F成分]
白金系触媒:白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液。白金金属含有量約4000ppm。
[G成分]
硬化遅延剤:エチニルシクロヘキサノール 2質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン98質量部の混合物。