(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値の大きさの絶対値は、より過去の偏差に対応する閾値ほど小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の単独運転検出装置。
前記平均電力変化周期算出部、前記電力変化周期予測部および前記偏差算出部は、前記商用電源系統の電圧の立ち上がり周期と、前記電圧の立ち下がり周期と、の両方の周期から個別に検出した2つの電力変化周期を用いて、それぞれの電力変化周期に対する、電力変化周期の平均、次の電力変化周期の予測、電力変化周期の平均の偏差を算出し、前記能動的単独運転判断部は、2つの電力変化周期に対して個々に算出した偏差を用いて単独運転の是非を判断することを特徴とする請求項9に記載の単独運転検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
〔パワーコンディショナーの構成〕
図1は本発明に係る単独運転検出装置を備えたパワーコンディショナーのブロック図である。単独運転検出装置は、商用電源系統と連系して運転する分散電源の単独運転を検出する。
【0019】
パワーコンディショナー10は、分散電源20と商用電源系統30に接続される。分散電源20は、たとえば、太陽電池パネル、燃料電池など、直流電力を供給できる直流電源である。商用電源系統30は、発電所に接続される50Hzまたは60Hzの商用電源である。パワーコンディショナー10は、分散電源20からの直流電力を交流電力に変換して図示しない負荷に交流電力を供給する単独運転機能と、分散電源20からの直流電力を交流電力に変換して前記負荷の余剰電力を商用電源系統に供給する一方、分散電源20からの直流電力を交流電力に変換して負荷に交流電力を供給するとともに、商用電源系統から負荷の不足電力を供給する、連系運転機能と、の2つの機能を有する。
【0020】
パワーコンディショナー10は、単独運転機能および連系運転機能を発揮させるために、分散電源20の出力電圧を昇圧するDC/DCコンバータ12と、昇圧後の電圧を交流電圧に変換するDC/ACインバータ14とを有する。DC/ACインバータ14は、連系リレー16を介して商用電源系統30に接続される。
【0021】
パワーコンディショナー10は、分散電源20の発電状況に応じて連系運転をしたり、商用電源系統30の送電状況に応じて単独運転にしたりする。パワーコンディショナー10は、単独運転検出装置100を有し、連系運転と単独運転を迅速に認識し、単独運転を検出した場合に連系リレー16を解列させる。たとえば、商用電源系統30で工事による停電が発生したとすると、単独運転検出装置100がこの停電を迅速に検出し、分散電源20から商用電源系統30に向けて電力が供給されることのないように、単独運転検出装置100は連系リレー16を解列させ、DC/ACインバータ14と商用電源系統30とを遮断する。
【0022】
〔単独運転検出装置の構成〕
図2は、
図1の単独運転検出装置のブロック図である。単独運転検出装置100は、無効電力注入部110、電力変化周期検出部120、電力変化周期記憶部125、平均電力変化周期算出部130、電力変化周期予測部140、偏差算出部150、閾値記憶部155、偏差記憶部160、能動的単独運転判断部165、周波数変化率算出部170および受動的単独運転判断部180を有する。
【0023】
無効電力注入部110は、商用電源系統30の停電を迅速に検出できるようにするために、商用電源系統30に無効電力を注入する。無効電力の注入は一般的に行われている技術を用いる。
【0024】
電力変化周期検出部120は、商用電源系統30の電圧の立ち上がり周期と、その電圧の立ち下がり周期と、の両方の周期を個別に検出し、商用電源系統30の電力変化周期を検出する。本明細書では、電力変化周期を商用電源系統30の電圧変化によって検出する。三相交流の場合には、三相の内の一相の電圧変化によって検出しても良いし、二相の電圧変化によって検出しても良い。
【0025】
電力変化周期記憶部125は、電力変化周期検出部120が検出した電力変化周期を記憶する。電力変化周期は、商用電源系統30の電圧の立ち上がり周期と、前記電圧の立ち下がり周期と、を別々に時系列に記憶する。
【0026】
平均電力変化周期算出部130は、電力変化周期記憶部125に時系列に記憶されている電力変化周期をm個取り出し、過去のm回の電力変化周期の平均を算出する。平均電力変化周期算出部130の詳細な動作は後述する。
【0027】
電力変化周期予測部140は、電力変化周期記憶部125に時系列に記憶されている電力変化周期をn個取り出し、過去のn回の電力変化周期のうち特定の回の電力変化周期に重み付けをし、重み付け後のn回の電力変化周期の平均を算出することによって次の電力変化周期を予測する。電力変化周期予測部140の詳細な動作は後述する。
【0028】
偏差算出部150は、電力変化周期予測部140が予測した電力変化周期と平均電力変化周期算出部130が算出した電力変化周期の平均との偏差を算出する。偏差算出部150の詳細な動作は後述する。
【0029】
閾値記憶部155は、偏差算出部150が算出した複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値を記憶する。閾値記憶部155は、複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値を、
図9に示すように、偏差算出部150が算出した偏差が正であるときに用いる正パターンの閾値と、偏差が負であるときに用いる負パターンの閾値と、に分けて記憶する。複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値の大きさは個々に異なり、複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値の大きさの絶対値は、より過去の偏差に対応する閾値ほど小さくしてある。さらに、閾値記憶部155は、周波数変化率算出部170が算出した周波数変化率を受動的単独運転判断部180で比較するための閾値(周波数変化率と回数)を記憶する。
【0030】
偏差記憶部160は、偏差算出部150が算出した複数の偏差を時系列に記憶する。
【0031】
能動的単独運転判断部165は、偏差算出部150が算出した偏差を閾値記憶部155に記憶されているあらかじめ定めた閾値と比較してその偏差が閾値を超えていれば分散電源20が単独運転であると判断し、その偏差が閾値を超えていなければ分散電源20が単独運転ではないと判断する。また、能動的単独運転判断部165は、偏差記憶部160に時系列に記憶した複数の偏差を、閾値記憶部155に記憶されている、その複数の偏差のそれぞれに対応する複数の閾値と比較して、その複数の偏差の全てがそれぞれに対応する複数の閾値を超えていれば、分散電源20が単独運転であると判断し、その複数の偏差のうちの1つでもその偏差に対応する閾値を超えていなければ、分散電源20が単独運転ではないと判断する。さらに、能動的単独運転判断部165は、偏差算出部150が算出した偏差が正であるときには、閾値記憶部155に記憶されている、正パターンの閾値を用いて分散電源20の単独運転の是非を判断し、偏差算出部150が算出した偏差が負であるときには、閾値記憶部155に記憶されている、負パターンの閾値を用いて分散電源20の単独運転の是非を判断する。
【0032】
周波数変化率算出部170は、平均電力変化周期算出部130が算出した電力変化周期の平均と電力変化周期予測部140が予測した次の電力変化周期とから周波数変化率を算出する。また、周波数変化率算出部170は、電力変化周期予測部140が予測した電力変化周期を用いて、それぞれの電力変化周期に対する周波数変化率を算出する。
【0033】
受動的単独運転判断部180は、電力変化周期予測部140が予測した次の電力変化周期が算出される度に算出された周波数変化率が、複数回連続して閾値記憶部155に記憶されている閾値を超え、かつ、複数回の周波数変化の方向が同一であれば分散電源20が単独運転であると判断し、次の電力変化周期が算出される度に算出された周波数変化率が、複数回連続して閾値を超えず、または、複数回の周波数変化の方向が同一でなければ分散電源20が単独運転ではないと判断する。また、受動的単独運転判断部180は、電力変化周期予測部140が予測した電力変化周期に対して個々に算出した周波数変化率を用いて分散電源20の単独運転の是非を判断する。
【0034】
〔単独運転検出装置の動作〕
単独運転検出装置100の概略の構成は以上の通りである。次に、単独運転検出装置100の動作を、
図3から
図8を参照しながら説明する。以下に説明する単独運転検出装置100の動作は、本発明に係る単独運転検出方法の手順と同一である。
【0035】
<能動的検出機能>
図3は、無効電力注入部110、電力変化周期検出部120及び電力変化周期記憶部125の動作フローチャートである。
【0036】
無効電力注入部110は、商用電源系統30に向けて無効電力を注入する(ステップS100)。無効電力の注入は次のような手順で行う。まず、電力変化周期検出部120で検出した、たとえば200msec前の80msecの間の電力変化周期の移動平均と、現在から40msec前までの電力変化周期の移動平均との差を周波数偏差として求める。次に、その周波数偏差の大きさに応じた無効電力注入量を算出し、算出した無効電力注入量を、有効電力を一定に保つため、電流位相を変えながら、商用電源系統30に向けて注入する。
【0037】
電力変化周期検出部120は、商用電源系統30の電力変化周期Ta、Tbを検出する(ステップS110)。電力変化周期検出部120は、
図8に示すように、商用電源系統30のゼロクロスからの電圧の立ち上がりから次のゼロクロスからの電圧の立ち上がりまでの周期をTa系の電力変化周期として検出する。そして、商用電源系統30のゼロクロスからの電圧の立ち下がりから次のゼロクロスからの電圧の立ち下がりまでの周期をTb系の電力変化周期として検出する。つまり、電力変化周期検出部120は、Ta系の電力変化周期とTb系の電力変化周期を個別に検出する。
【0038】
電力変化周期記憶部125は、検出したTa系、Tb系の周期を記憶する(ステップS120)。電力変化周期記憶部125は、電力変化周期検出部120が検出したTa系の電力変化周期とTb系の電力変化周期を個別に、時系列に記憶する。
【0039】
図4は、平均電力変化周期算出部130、電力変化周期予測部140、偏差算出部150、偏差記憶部160及び能動的単独運転判断部165の動作フローチャートである。
【0040】
平均電力変化周期算出部130は、一定時間前までのm個の電力変化周期の平均周期を算出する(ステップS200)。本実施形態ではmは7である。平均電力変化周期算出部130は、電力変化周期記憶部125に記憶されているTa系の電力変化周期とTb系の電力変化周期を別々に取り出す。具体的には、
図8に示すように、Ta系について、現時点から200msec前(50Hzでは10回分の電力変化周期に相当)から7回分の電力変化周期のデータ、Ta(N−10)、Ta(N−11)、…、Ta(N−15)、Ta(N−16)、の7つの電力変化周期を取り出す。同時に、Tb系について、Tb(N−10)、Tb(N−11)、…、Tb(N−15)、Tb(N−16)、の7つの電力変化周期を取り出す。
【0041】
次に、平均電力変化周期算出部130は、Ta系について、[Ta(N−10)+Ta(N−11)+…+Ta(N−15)+Ta(N−16)]/7を計算してTa系の電力変化周期の平均Taaveを算出する。同時に、平均電力変化周期算出部130は、Tb系について、[Tb(N−10)+Tb(N−11)+…+Tb(N−15)+Tb(N−16)]/7を計算してTb系の電力変化周期の平均Tbaveを算出する。なお、上記の例では、7個の電力変化周期の全てを用いて電力変化周期の平均を求めたが、信頼性を向上するために、7個の内の最大と最小の2つの電力変化周期を除外し、残りの5個の電力変化周期を用いて電力変化周期の平均を算出しても良い。
【0042】
電力変化周期予測部140は、現時点より前のn個の電力変化周期から予測周期を算出する(ステップS210)。本実施形態ではnは5である。電力変化周期予測部140は、電力変化周期記憶部125に記憶されているTa系の電力変化周期とTb系の電力変化周期を別々に取り出す。具体的には、
図8に示すように、Ta系について、現時点から5回分の電力変化周期のデータ、Ta(N)、Ta(N−1)、Ta(N−2)、Ta(N−3)、Ta(N−4)、の5つの電力変化周期を取り出す。同時に、Tb系について、Tb(N)、Tb(N−1)、Tb(N−2)、Tb(N−3)、Tb(N−4)、の5つの電力変化周期を取り出す。
【0043】
次に、電力変化周期予測部140は、下記の計算をして電力変化の予測周期を算出する。具体的には、
Ta系の予測周期Ta(N+1)は、
予測周期Ta(N+1)=Ta(N)+[{Ta(N)−Ta(N−1)}+
2×{Ta(N−1)−Ta(N−2)}+2×{Ta(N−2)−Ta(N−3)}+
{Ta(N−3)−Ta(N−4)}]/6
を計算することによって算出し、
Tb系の予測周期Tb(N+1)は、
予測周期Tb(N+1)=Tb(N)+[{Tb(N)−Tb(N−1)}+
2×{Tb(N−1)−Tb(N−2)}+2×{Tb(N−2)−Tb(N−3)}+
{Tb(N−3)−Tb(N−4)}]/6
を計算することによって算出する。
【0044】
以上の計算は、ルングゲッタの4次式を参考にしており、特定の電力変化周期に重み付けをし、微分方程式により、過去の電力変化周期から未来の電力変化周期を予測するものである。
【0045】
偏差算出部150は、平均周期と予測周期との偏差を算出する(ステップS220)。
【0046】
具体的には、Ta系については、電力変化周期の平均がTaaveであり、予測周期がTa(N+1)であるので、偏差diffTa(N)は、
diffTa(N)=Taave−Ta(N+1)を計算することによって算出する。また、Tb系については、電力変化周期の平均がTbaveであり、予測周期がTb(N+1)であるので、偏差diffTb(N)は、
diffTb(N)=Tbave−Tb(N+1)を計算することによって算出する。
【0047】
偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)は、正か負の値を持つ。
【0048】
偏差算出部150は、ステップS220で求めた偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)を時系列に偏差記憶部160に記憶させる(ステップS230)。
【0049】
偏差算出部150は、ステップS220で算出した偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)が正であるか負であるかを判断する(ステップS240)。
【0050】
能動的単独運転判断部165は、偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)が正であれば(ステップS240:YES)、ステップS250の正パターン検出処理を実行し、負であれば(ステップS240:NO)、ステップS260の負パターン検出処理を実行する。なお、偏差diffTa(N)が正で偏差diffTb(N)が負であったときには、偏差diffTa(N)についてはステップS250の正パターン検出処理を実行し、diffTb(N)についてはステップS260の負パターン検出処理を実行する。偏差diffTa(N)が負で偏差diffTb(N)が正であったときには、偏差diffTa(N)についてはステップS260の負パターン検出処理を実行し、diffTb(N)についてはステップS250の正パターン検出処理を実行する。
【0051】
図5は、
図4の正パターン検出処理のサブルーチンフローチャートである。また、
図6は、
図4の負パターン検出処理のサブルーチンフローチャートである。
【0052】
偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)が正の場合、能動的単独運転判断部165は、偏差記憶部160から、現時点より前のp個の偏差を取り出し、取り出したp個の偏差を閾値記憶部155に記憶されている閾値と比較する(ステップS250-1)。本実施形態ではpは5である。
【0053】
具体的には、能動的単独運転判断部165は、
図8に示すように、偏差記憶部160から、Ta系として、diffTa(N)、diffTa(N−1)、diffTa(N−2)、diffTa(N−3)、diffTa(N−4)を、Tb系として、diffTb(N)、diffTb(N−1)、diffTb(N−2)、diffTb(N−3)、diffTb(N−4)をそれぞれ取り出す。
【0054】
次に、能動的単独運転判断部165は、閾値記憶部155に記憶されている、
図9に示したような正パターンの閾値Thp(N)、Thp(N−1)、Thp(N−2)、Thp(N−3)、Thp(N−4)を取り出し、これらを、偏差記憶部160から取り出したdiffTa(N)、diffTa(N−1)、diffTa(N−2)、diffTa(N−3)、diffTa(N−4)及びdiffTb(N)、diffTb(N−1)、diffTb(N−2)、diffTb(N−3)、diffTb(N−4)と比較する。
【0055】
具体的には、Ta系については、閾値Thp(N)と偏差diffTa(N)との大小関係を比較し、閾値Thp(N−1)と偏差diffTa(N−1)との大小関係を比較し、同様に、閾値Thp(N−2)と偏差diffTa(N−2)、閾値Thp(N−3)と偏差diffTa(N−3)、閾値Thp(N−4)と偏差diffTa(N−4)を比較する。
【0056】
また、Tb系については、閾値Thp(N)と偏差diffTb(N)との大小関係を比較し、閾値Thp(N−1)と偏差diffTb(N−1)との大小関係を比較し、同様に、閾値Thp(N−2)と偏差diffTb(N−2)、閾値Thp(N−3)と偏差diffTb(N−3)、閾値Thp(N−4)と偏差diffTb(N−4)を比較する。
【0057】
能動的単独運転判断部165は、比較した全ての偏差のそれぞれが、それぞれに対応する閾値よりも大きいか否かを判断する(ステップS250−2)。
【0058】
能動的単独運転判断部165は、比較した全ての偏差が閾値よりも大きいときには(ステップS250−2:YES)、商用電源系統30に停電が発生し、分散電源20が単独運転であると判断して、連系リレー16を解列させ、商用電源系統30を切り離す(ステップS250−3)。一方、比較した偏差のうち1つでも閾値よりも大きくないものがあったときには(ステップS250−2:NO)、単独運転ではないと判断し、連系リレー16の接続は維持する(ステップS250−4)。
【0059】
偏差diffTa(N)及び偏差diffTb(N)が負の場合、能動的単独運転判断部165は、偏差記憶部160から、現時点より前のp個の偏差を取り出し、取り出したp個の偏差を閾値記憶部155に記憶されている閾値と比較する(ステップS260-1)。
【0060】
具体的には、能動的単独運転判断部165は、
図8に示すように、偏差記憶部160から、Ta系として、diffTa(N)、diffTa(N−1)、diffTa(N−2)、diffTa(N−3)、diffTa(N−4)を、Tb系として、diffTb(N)、diffTb(N−1)、diffTb(N−2)、diffTb(N−3)、diffTb(N−4)をそれぞれ取り出す。
【0061】
次に、能動的単独運転判断部165は、閾値記憶部155に記憶されている、
図9に示したような負パターンの閾値Thn(N)、Thn(N−1)、Thn(N−2)、Thn(N−3)、Thn(N−4)を取り出し、これらを、偏差記憶部160から取り出したdiffTa(N)、diffTa(N−1)、diffTa(N−2)、diffTa(N−3)、diffTa(N−4)及びdiffTb(N)、diffTb(N−1)、diffTb(N−2)、diffTb(N−3)、diffTb(N−4)と比較する。
【0062】
具体的には、Ta系については、閾値Thn(N)と偏差diffTa(N)との大小関係を比較し、閾値Thn(N−1)と偏差diffTa(N−1)との大小関係を比較し、同様に、閾値Thn(N−2)と偏差diffTa(N−2)、閾値Thn(N−3)と偏差diffTa(N−3)、閾値Thn(N−4)と偏差diffTa(N−4)を比較する。
【0063】
また、Tb系については、閾値Thn(N)と偏差diffTb(N)との大小関係を比較し、閾値Thn(N−1)と偏差diffTb(N−1)との大小関係を比較し、同様に、閾値Thn(N−2)と偏差diffTb(N−2)、閾値Thn(N−3)と偏差diffTb(N−3)、閾値Thn(N−4)と偏差diffTb(N−4)を比較する。
【0064】
能動的単独運転判断部165は、比較した全ての偏差のそれぞれが、それぞれに対応する閾値よりも小さいか否かを判断する(ステップS260−2)。
【0065】
能動的単独運転判断部165は、比較した全ての偏差が閾値よりも小さいときには(ステップS260−2:YES)、商用電源系統30に停電が発生し、分散電源20が単独運転であると判断して、連系リレー16を解列させ、商用電源系統30を切り離す。また、DC/ACインバータ14(
図1参照)のゲートをブロックする。つまり、インバータ14のゲートにスイッチング信号は与えない(ステップS260−3)。一方、比較した偏差のうち1つでも閾値よりも小さくないものがあったときには(ステップS260−2:NO)、単独運転ではないと判断し、連系リレー16の接続は維持する。また、DC/ACインバータ14(
図1参照)のゲートはブロックせずに、通常通りスイッチングさせる(ステップS260−4)。
【0066】
このように、能動的検出機能では、商用電源系統30に無効電力を強制的に注入し、無効電力の注入による、商用電源の電圧変化の揺らぎによって、商用電源系統30の停電を検出し、分散電源20の単独運転を検出する。
【0067】
<受動的検出機能>
図7は、平均電力変化周期算出部130、電力変化周期予測部140、周波数変化率算出部170及び受動的単独運転判断部180の動作フローチャートである。
【0068】
平均電力変化周期算出部130は、現時点より前のq個の電力変化周期の平均周期を算出する(ステップS300)。本実施形態ではqは25である。平均電力変化周期算出部130は、電力変化周期記憶部125に記憶されているTa系の電力変化周期とTb系の電力変化周期を別々に取り出す。具体的には、
図10に示すように、Ta系について、現時点から25回分の電力変化周期のデータ、Ta(N)、Ta(N−1)、…、Ta(N−23)、Ta(N−24)、の25個の電力変化周期を取り出す。同時に、Tb系について、Tb(N)、Tb(N−1)、…、Tb(N−23)、Tb(N−24)、の25個の電力変化周期を取り出す。
【0069】
次に、平均電力変化周期算出部130は、Ta系について、[Ta(N)+Ta(N−1)+…+Ta(N−23)+Ta(N−24)]/25を計算してTa系の電力変化周期の平均Taaveを算出する。同時に、平均電力変化周期算出部130は、Tb系について、[Tb(N)+Tb(N−1)+…+Tb(N−23)+Tb(N−24)]/25を計算してTb系の電力変化周期の平均Tbaveを算出する。
【0070】
電力変化周期予測部140は、現時点より前のq個の電力変化周期から予測周期を算出する(ステップS310)。予測周期の算出は、電力変化周期の数が異なるだけで、
図4のステップS210と同じである。
【0071】
周波数変化率算出部170は、平均周期と予測周期とから周波数変化率を算出する(ステップS320)。周波数変化率は、Ta系とTb系のそれぞれに対して求める。Ta系の周波数変化率A=(平均周期−予測周期)/平均周期を計算することによって算出する。Tb系の周波数変化率Bも同様にして算出する。
【0072】
受動的単独運転判断部180は、周波数変化率算出部170が算出した、Ta系及びTb系の周波数変化率A,周波数変化率Bのそれぞれを、閾値記憶部155に記憶されている閾値と比較する(ステップS330)。閾値記憶部155は0.2%、0.3%、0.4%、0.5%といった複数の閾値を記憶している。比較に用いる閾値は選択スイッチによって選択する。本実施形態では、0.3%を選択している。したがって、Ta系及びTb系の周波数変化率A,周波数変化率Bのそれぞれは、0.3%よりも大きいか否かが比較される。
【0073】
受動的単独運転判断部180は、周波数変化率A,周波数変化率Bのそれぞれが閾値の0.3%よりも大きければ(ステップS330:YES)、次のステップの処理に進む。周波数変化率が大きいということは、商用電源系統30が停電した可能性が高いからである。一方、閾値の0.3%よりも大きくなければ(ステップS330:NO)、単独運転ではないと判断し、DC/ACインバータ14(
図1参照)のゲートをブロックせずに、通常通りスイッチングさせる(ステップS360)。
【0074】
周波数変化率A,周波数変化率Bのそれぞれが閾値の0.3%よりも大きければ(ステップS330:YES)、受動的単独運転判断部180は、周波数変化率A,周波数変化率Bの変化方向(正負の符号)が同一のまま、閾値記憶部155に記憶されている連続回数rに達したか否かを判断する(ステップS340)。閾値を超える同一変化方向の周波数変化率A,周波数変化率Bが連続してr回続いたときには(S340:YES)、商用電源系統30に停電が発生し、分散電源20が単独運転していると判断して、連系リレー16を解列させ、商用電源系統30を切り離す。また、DC/ACインバータ14(
図1参照)のゲートをブロックする。つまり、インバータ14のゲートにスイッチング信号は与えない(ステップS350)。一方、閾値を超える同一変化方向の周波数変化率A,周波数変化率Bがr回連続しなかったときには、単独運転ではないと判断し、連系リレー16の接続は維持する。また、DC/ACインバータ14(
図1参照)のゲートはブロックせずに、通常通りスイッチングさせる(ステップS360)。閾値を超える周波数変化率が一定の回数を超えたことを確認するのは、ノイズを除去し、不確実な単独運転の判断がされないようにするためである。ただ、その回数を多く設定すると、単独運転の検出タイミングが遅くなる。したがって、閾値記憶部155に記憶させる回数は、検出の信頼性と検出の速度を満足する回数に設定する。
【0075】
以上のように、単独運転の検出をするためには、商用電源系統の周波数を測定し微小時間の周波数の変化を検出する。これまでは、周波数の変化の過去の平均と最新の平均を比較して、周波数が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを判断し、増加傾向又は減少傾向になったときに単独運転と判断する。しかし、上述の本発明では、周波数の変化の過去の平均と1サイクル後の未来の周波数の変化を比較することによって、単独運転を判断している。このため、単独運転の検出時間は短くなる。また、周波数の偏差を閾値と比較することによって単独運転を検出しているので、単独運転の検出精度が向上する。さらに、能動的検出機能と受動的検出機能の2つの機能を用いて単独運転を検出しているので、単独運転の検出を確実に行うことができる。